悪魔城ドラキュラ Circle of the Moon

【あくまじょうどらきゅら さーくるおぶざむーん】

ジャンル アクション

裏を見る(ベスト版)
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテインメント神戸
発売日 2001年3月21日
定価 5,800円
セーブデータ 8個(バッテリーバックアップ)
レーティング 【VC】CERO:B(12歳以上対象)
廉価版 コナミ・ザ・ベスト:2005年11月3日/2,500円
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2014年8月27日/702円
判定 良作
悪魔城ドラキュラシリーズ

概要

  • 探索型ドラキュラの2作目。GBAのロンチタイトルでもある。通称「月輪」「サークル」(海外は「CotM」)。
  • 面クリア型ドラキュラを今まで制作してきたKCE神戸が唯一制作した探索型ドラキュラでもある。後に、KCE神戸は吸収合併されコナミデジタルエンタテインメントに統一されるため、ドラキュラシリーズ生みの親による最後のドラキュラとなった。
  • 本作にはお金の概念が無く、アイテム類はほぼ全て敵が落とした物を拾うしかない。
  • 『月下の夜想曲』(以下前作)に比べ、複雑な要素が排除されシンプルに遊びやすくなった。
    • 前作は剣やナックルなど様々な武器を使っていたが、今作は従来通りの鞭に戻った。ただし後述のDSSを使用すれば、今作でも様々な武器を使うことが可能。
  • 能力値の上限をアップさせるアイテムに最大MPアップが加わり、3種類になった。

ストーリー

時は1830年。
オーストリアの郊外にて、闇を統べる魔王が混沌を欲する者の手により蘇ろうとしていた…。
ドラキュラの僕 カーミラの手により、悪魔城でドラキュラ復活の儀式が執り行われている。
そこへ、異変を察知したバンパイアハンターのモーリスとその弟子ネイサン、ヒューがドラキュラの復活を阻止しようと現れた。
「貴様を復活させる訳にはいかん!」
しかし、時既に遅くドラキュラは復活し、その魔力によりモーリスはドラキュラに囚われてしまった。
そして、ネイサンとヒューは悪魔城地下墓地に落とされてしまう。
二人は、ドラキュラを倒し師匠を助けるために、悪魔城内を探索し始めた。
(説明書3ページより抜粋)


特徴・評価点

  • ドラキュラらしいハードな難易度。
    • 前作では、後半になるにつれ主人公や武器が強くなりすぎてバランスが崩壊するという問題点があったが、本作は敵の強さが全体的に高めであり、エリアごとの敵の強さにもメリハリがついているので、大きくバランスは崩れない。
      • また、ゲームを進めると一部エリアの敵配置が変化するが、その切り替えタイミングが非常に上手い。エリア移動時にほぼ100%通るであろうルートをピンポイントで変えてくるため、すでに何度も通った場所であっても常に緊張感を持ったプレイが必要となる。
    • 回復アイテムを使ってゴリ押しをしようとしても、特定の敵が落とすアイテムを集めるしかないため非常に時間がかかる。そのうえ回復量も微々たる量(HP数百~数千に対しポーションの回復量は僅か20)である。
      • 後半になると100以上回復できるものも出てくるが、入手する手間を考えると非効率。
    • 様々な種類の敵も厄介で、積極的に攻撃をしかけてくる。手を抜くと簡単にやられるので、ザコ相手でも攻略パターンを考える必要がある。
      • 勿論、初心者完全お断りというハードではない。レベル上げやアイテムによる能力上昇や装備品やDSSの活用で状況を打開したりゴリ押しで進むことも、何度もやられながらもパターンを把握しプレイヤー自身のスキルを駆使して進むこともできるバランスとなっている。
      • また、GBAの作品中最もセーブポイントが多く、各所に均等に配置されているので体勢の立て直しが容易になっている。
  • 掟破りの探索
    • 意外な事に開始時は終盤訪れるエリアに踏み込み、そこから地下墓地に落とされて探索開始という展開で城門エリアはスタート地点ではなくただの1エリア扱いとなっている。
      • その落下するシーンは最上階ほどの高さから地下までまっすぐ落とされる演出でBGMも緊迫した鬼気迫るものが流れるのだが、直後両足を伸ばして平然と「スタッ」と着地し「…どうやら怪我は無い様だ」と口にする為非常にシュールでよくネタにされる。
      • 悪魔城伝説や宿命の魔鏡のように道中、地下ルートから悪魔城に侵入する作品もあるが、地下からスタートする展開は今作がシリーズ初である。
  • マップ構成の完成度の高さ。
    • 寄り道やUターンを考えなければ、順当に攻略順に進んでいくと広い悪魔城をほぼ一筆書きにできる構成になっている。そのため「次にどこに行けばいいかわからない」という事態に陥りにくく、非常に完成度が高いマップ構成になっている。
    • 前述の通り、順当に攻略していくとほぼ確実に通ることになる通過点のマップは敵の配置が更新されることが多く、それ自体が一種のヒントとして機能している。
  • GB三部作からはるかに快適になったアクション。
    • ハード性能の限界からスロー歩行を余儀なくされていたGB三部作と異なり、SFC並みの処理能力を持つGBAになったことで移動速度は軽快になり、プレイヤーのストレスも大きく低減した。
    • ゲーム開始直後こそ歩き+低空ジャンプだけで不安になる*1が、すぐにダッシュアイテムが手に入りスピーディに。この点は明示こそされないものの、「伝統のノロノロ歩行からの脱却」を暗に印象付けている。
    • また、今作は最初からスライディングが使えるうえ、かなり隙が少なく連発できる。これに気づくと最初から移動にはストレスを感じにくい。
  • 飛び級ならぬ飛びエリア。
    • とあるエリアをクリアした後、本来次に行くべきエリアを飛ばして2つ先のエリアに挑むことができるようになっている。普通は入口付近である洗礼を受けて慌てて退散することになるのだが、それを無視して強引に進めることもできる。
      • これが意図せずなってしまったものではなく、明確に狙って作られた節が見受けられるのがポイント。つまり探索型の問題であった「攻略ルートが固定されている」点を打破し、「自信があるなら進んでもいいですよ」とプレイヤーの腕に判断を委ねることで自由度の高さを実現しているのである。
  • 素晴らしいサウンド。
    • GBAのロンチタイトルでありながら、本作は音質がとても良い。さすがコナミと言ったところか。
    • 本作のBGMは半分以上が過去作品のアレンジであるが、おなじみの『Vampire Killer』をはじめ、『clockwork』、『THE SINKING OLD SANCTUARY』など様々な曲が選ばれている。
      • メジャーな作品から当時マニアック気味だった作品まで幅広い作品から選出されている。これはサントラによると「感情を表現するメロディーの優れたものを中心に集めた」とのことである。
      • 原曲に忠実なものから驚くほど大胆なアレンジを施されたものまで様々だが、総じて高評価。特にドラムなどの低音部の存在感が素晴らしく、イヤホンなどで聞くとその重厚さに驚くことになる。
    • 勿論、『fate to despair』などオリジナル曲もレベルが高く、定評がある。特に最初のエリアの曲である『awake』に至っては、地下墓地という暗くて薄気味悪いイメージからは想像出来ないほど美しいイントロで始まる曲で、この作品の主人公ネイサン・グレーブズのテーマ曲として人気が高い。
      • 最初のエリアにオリジナル曲『awake』を持ってきて、実質最後のエリアに既存曲(かつ三大名曲の一つ)『Vampire Killer』を持ってきたスタッフのセンスはファンに絶賛されている。
      • それだけに、タイトル曲が既存曲の『鎮魂歌』である点は悔やまれる。
        しかしGBAとは思えないほどの高音質での収録であり、オリジナルの『血の輪廻』のCD音源と比較しても全く遜色がない。本作のサウンドへの注力ぶりを象徴するかのようなクオリティであり、意図的な選出である可能性もある。
  • DSSについて。
    • デュアルセットアップシステム(Dual Setup System)の略で、本作一番の特徴である。特定の敵を倒すと入手できる「動作カード」と「属性カード」を組み合わせて使用する(設定では鞭にこのカードをセットするスロットがある)ことにより、様々な能力を得ることができるようになる。
    • 鞭に属性をつける、能力値を上昇させる、属性攻撃を吸収する、召喚魔法を使う、スケルトンになる、など効果は10x10=合計100種類にも及ぶ。
    • 基本的には攻略の手助けになる程度であり、クリアに必須なものではないので、一切使用せずにクリアすることも可能。
    • 特定の場所で高威力を発揮するもの、ボスをも瞬殺する反則的な威力を誇るもの、逆にどうしようもなく使えないものなど、その使い勝手は様々。中には微妙な性能に思えて、使いこなすと意外な効果を発揮する組み合わせも。
  • グラフィックはおなじみのゴシックホラー調でレベルが高く、背景の細部まで描き込まれている。
  • 壁を破壊できる隠し通路が大量にあり、マップ達成率を100%にするやりがいがある。さらに、DSSやレベルアップアイテムや装備品を収集したり、DSSがまともに使えなくなる闘技場など、やりこみ要素もある。
  • ゲームをクリアすると、新たに4つの転職モードが遊べるようになる。ただし、最初から全てを選べるわけではなく、新しく出現したモードをクリアするたびに次のモードが出現する(マジシャンをクリア→ファイター開放、といった具合)。基本となるバンパイアキラー以外の特徴は以下の通り。
    • マジシャン…HPなどの能力が低いものの、INTとMPが高く、DSSカードも最初から全て揃っている。
    • ファイター…DSSは一切使えない(カードが手に入らない)が、戦闘関連の能力値が高い。
    • シューター…能力は低めながら、サブウェポンの扱いに優れる。他のモードと比べてハートの最大値が高め、ダメージ大幅修正*2、ハート消費半分となっている。また、ナイフを取るたびに通常ナイフと追尾ナイフが切り替わる。
    • シーフ…戦闘能力は最低クラスだが、敵のアイテムドロップ率に影響するLCKが16倍。
      • 転職モードではそれぞれ能力に差があり、駆使するべき方法も異なる(説明もない)ため、慣れないうちはほとんどのモードで苦戦を強いられることになる。マジシャンならDSSをある程度理解していないと話にならないし、シューターもサブウェポンをガンガン使う癖をつけないと厳しい(事前が強いファイターなので余計に)。シーフも序盤は能力が低すぎてHP回復アイテムが追いつかず(そもそも回復する間もなく瞬殺される)、回復アイテムなどのアイテムドロップ率の高くなる終盤になるほど状況が好転する…といった具合。唯一、駆使するべき方法が基本攻撃となるファイターだけは別で、終始何も考えずごり押しでも割と楽勝だったりする(最終戦のみ全体攻撃手段が無いためややきつい)。
  • セーブデータが8個も作れる。
    • 多くても2~3個、酷いと1つしか作れないものもある中、この数は驚異的。
    • 各職業(モード)別に作成してもなお3個も余るサービス精神は評価に値する。

問題点

  • 全体的に画面が暗く、敵や敵の攻撃が見づらい。バックライトがない初代GBAで遊ぶと難度は5割増し(推定)。
    • GBASP以降のゲーム機、ゲームボーイプレイヤー、バーチャルコンソール、『Castlevania Advance Collection』なら問題ないので安心してほしい。
    • 次回作以降改善され、全体的に明るい画面配置になっており見やすくなっている。
  • GB三部作から遥かに快適になったとはいえ、まだまだ全体的な操作性に難有り。操作性がよろしくないのはドラキュラシリーズの伝統ではあるが…。
    • 開発元が異なるからか、『月下』と比べると従来の面クリア型悪魔城に近い操作感になっている。空中での左右操作こそできるものの、上昇・落下は異様に速く、高所から落下した場合はリカバリーが難しい。
    • すぐにダッシュアイテムが手に入るが、「十字ボタン二度押し」なので入力しづらい。
      • ただ、『白夜』の連打するスタイルのダッシュとは異なり、他のACTのような走り続けるタイプ(『月下』のリヒターモードと同様。操作的には『星のカービィ』シリーズのものに近い)なので、性質が根本的に違うものではある。
      • また、ダッシュジャンプ中に方向転換をすると強制的にダッシュが解除されてしまう。そのため、ダッシュやダッシュジャンプ中に危険を感じてもとっさに回避するのが難しい。
    • 鞭を振る時の溜め・振った後の硬直がやや長い。かなり余裕をもった攻撃をしないとあっさり反撃されてしまう。ただ長さに関してはかなりのもの。
  • キャラクターのドット絵枚数が少なく、従来シリーズのなめらかなアニメーションと比べるといささか劣る。
    • 顕著なのはダッシュで、なんと3枚しかない。性質上最も多く使用するアクションなのに動きがカクカクしており違和感は拭えないところ。せめでグラフィックの切り替わりがもう少し速ければ…。
    • スライディングなどやけになめらかに動くアクションも存在しており、グラフィックの配分に疑問符がつくところも。
  • 評価点に挙げた飛びエリアに関して、初プレイ時にその仕様に気付けず、延々とやり直し続けたプレイヤーも少なからずいた模様。
    • いくら進めるといっても、予めエリアの構造を熟知したうえで敵を無視して最短ルートで駆け抜けなければならないくらいにシビアであり、初プレイで挑むのは無謀である。
    • 前のエリアの出口からはかなり離れているため、攻略順を過度に深読みせずに順当に近い順に進めばこの罠にハマることは多くはない。半端に探索ゲーに慣れているひとほどハマりやすい罠である。
  • DSSカード、回復アイテム、装備アイテムのすべてが敵のドロップ頼み。
    • 大きくバランスを崩しにくい仕様ではあるが、何を手に入れるにしても敵を倒し続けなければならないのは不便。
    • アイテムのバランスは悪い。ポーションはたったの20しか回復しないため超序盤でしか使えないわりに、意識して敵を狩らないとそれほど手に入らない。ハイポーションも、回復量250とたいして多くないのに、後半の敵しか落とさない。しかもドロップ率は低く、落とす敵を10万単位の経験値が貯まるまで狩っても、2個手に入ればいいほう。そのわりに、いらない装備品は処分もできないのにバカみたいに手に入り、余る余る。製作スタッフが優先順位を間違えたとしか思えない。なぜ、せめてショップを用意しなかったのか…。
    • DSSカードも、属性系のうちの2枚は闘技場の奥の方の強敵しか落とさないため、入手はかなり大変。
  • 難易度バランスは全体的に良いものの、経験値曲線がかなり極端*3であるためエリアの水準を超えたレベル上げは困難。ボス戦で詰まった場合にレベル上げに頼る攻略は難しい。
    • ちなみに最もEXPが高い雑魚敵でもEXP30000なのに対し、Lv99までのEXPは約2451万と莫大であり、レベルを最大まで上げるといったやりこみも莫大なプレイ時間が必要となってしまうのもネック。
      • ただし、このEXP20000持ちの敵のいる部屋は画面切り替えがしやすく、DSSウラヌスを使えば比較的楽に狩る事ができるため、最大レベルにするのに凄まじい労力と時間が掛かるという程でもない。少なくとも自分と敵のレベルによって入る経験値に補正がかかり、最終的に何を倒しても経験値が1しか入らなくなる『月下』や『白夜』に比べればはるかに楽である。
  • DSSカードの入手と説明が意地悪。
    • 敵一体一体のドロップアイテムをリストにしてしらみつぶしに探していくことでもしない限り、全てのカードを見つけ出すのは非常に困難。
      • さらに属性カードは2枚を除いて落とす敵がそれぞれ2体ずつ設定されているので、それに気付かないと落としもしないアイテムを求めて延々と倒し続けるハメになる(その場合はビッグハートが出るという決まりがあるが、気付けるかどうか…)。
    • 中には特定のエリアをクリアした後、通常ならまず行かないであろうボスを倒した後の空部屋に出現するというタチの悪い敵もいる。
      • 一応、「敵配置が進行に応じて変わる」というヒントはあるのだが…。
    • 使用するDSSがどういう効果なのかは、「効果が実際に発揮されるまで」表示されない。武器変化系などはただ攻撃するだけで良いが、「特定属性に対するダメージ吸収」ならその属性の攻撃を受けなければならないし、「LCKアップ」なら敵がアイテムを落とさなければならない(これは発動時にLCKが変化するのでまだ分かりやすい方だが)。
      • 極めつけは「コマンド入力で発動」というもので、普通でも無理難題であるのにコマンドがあろうことか「↓→↑+攻撃」である。攻略情報無しだとサブウェポンを(妙な操作を経て)使おうとして暴発(判明)…という奇跡でも起こさないと判明不可。
      • 幸いにも(?)、本作には未入手のDSSを使用することが出来る裏技(バグ)がある。ただ一回ごとにメニューを開く面倒な操作が必要な上、使用後も効果説明が一切表示されない*4
  • DSSの強さにムラが有る。
    • 例えばウラヌスは「画面全体攻撃+無敵になる召喚魔法」という強力な効果で、組み合わせによっては(消費MPの多さ・使用後の隙などを考慮しても)連発しているだけでボスを一方的に倒せる。逆に、サターンは入手時期が遅い・落とす敵が強い・ドロップ率が低いの三重苦にもかかわらず「使い魔がちゃちい援護射撃するだけ」というゴミ性能である。
  • ボスを倒しても魔力の玉が出現しない(回復できない)。
    • アイテムを使い切ってHPも残り僅かというギリギリの勝利だと進退窮まる事となる。ほとんどのエリアはそう遠くない位置にセーブ部屋(回復可能)があるのでそこまで行ければ良いのだが、それでも必ずボス部屋の目の前にセーブ部屋がある他の探索型ドラキュラと比べると、少々遠い(特に展望閣では、ボス部屋~セーブ部屋間に出現する敵が強いため、逃げるのも大変)。そのため、そこまでの道のりで雑魚に殺され元の木阿弥…という事態になりやすい。
      • この作品では帰るところまでを含めてのボス戦、と考えるべきである(いわゆる「試合に勝ったが勝負に負けた」「帰るまでが修学旅行です」など)。
    • 比較的序盤に入手可能なカードの組み合わせで回復効果を発動できるものがあり、それを知っていればひとまずHPだけは確保できる(ひたすら待機する羽目にはなるが……)。
  • ワープ部屋の数と配置が悪過ぎる。
    • 場所が中途半端で活用し辛い。あとでマップを埋めに行ったりするのが面倒。
    • そもそも、数が少ない。地下回廊より下のエリア(全体マップのほぼ半分より下)には1つも無い。上半分でも、機械塔には無い。
  • 死神がぞんざいで格好悪い。
    • 地下保管庫という辺鄙なエリアの警護にまわされたうえに、事前の掛け合いもない(格下のネクロマンサーですらあるのに…)。格好も一見死神には見えず、さらに変身すると六本足のになるというあんまりな扱い。
    • 前述の飛びエリアの被害に遭ったのがこの死神であり、シリーズ恒例のボスであるにもかかわらず攻略に必須ではないという扱いになっている。もっとも上述の通り飛びエリアの攻略自体が高難易度であり、よほどの腕がなければ戦うことになるだろうが。
  • 異常に強いドラキュラ。
    • 元々難しめのゲームだがドラキュラの強さは別次元であり、それまでを遥かに上回る。特に最終形態の画面2/3を覆うほどの巨体から繰り出される連続突進は、カスリでもすればほぼ即死。回避するにはハイジャンプが必要だが、両者(ネイサン/ドラキュラ)の動きの性質上画面外の状況を常に推測しなければならない。しばらくすれば攻撃は止み一息つけるが、この間の眷属(コウモリ)召喚も、即死ではないものの一撃でHPの3割ほどを平気で奪ってくる。
    • 幸い、現在のVC版やCollection版であれば巻き戻し機能で気軽にプレイできるが、オリジナル版当時の場合、そこだけ相当に理不尽であり最後の最後で心を折られたプレイヤーも少なくはない。
  • 折角のやりこみ要素である「闘技場」だが、ここに限ってなぜかBGMがない
    総じて音響面でのこだわりが見られる作品なだけになぜここだけ無音なのかは謎である。

総評

  • GBAのロンチとしてかなりの完成度を見せた名作。発売当時は品切れ店が続出し、中古価格も高騰するなど好評を博した。
    • 特に海外での評価が非常に高く、欧米市場での爆発的なセールス記録はシリーズファンの間で有名である。
  • 高い難易度と操作性の悪さ(癖)などから、探索型でありながらもそことなく従来の趣向を彷彿とさせる本作は、「探索系はどうもなぁ…」という面クリア型ファンにもオススメできる。

余談

  • サウンドトラック(白夜の協奏曲とのカップリング)が出ているが、なぜか音質が非常に悪いので注意。
  • 上記されているが海外評価が非常に高く、ロンチタイトルながら50万本を売り上げ、メタスコア91点の高評価を受けている。
    • 北米版は日本同様『Castlevania:Circle of the Moon』というタイトルだが、欧州版は単に『Castlevania』となっている。
  • ストーリー年表的には他シリーズと設定上の破綻はないのだが、開発にIGAこと五十嵐孝司氏が関与していないからか、五十嵐氏がプロデューサーになってから作成した年表には含まれていない。そのため、ファンからの非難の声が上がることも少なくはない。(ちなみに五十嵐氏が関わった「奪われた刻印」も、ベルモンドの名は出るもののその一族が直接関わることはないせいか、年表には含まれていない。)
    • 実際のところ、本作の情報が掲載されていた当時の『コナミマガジン』によると、本作は開発段階では『月下』の直接の続編として制作されており、本作で主人公の師匠であるモーリスのポジションになる予定だったのはリヒターだったとされている。
      しかし、開発スタッフからの年老いたリヒターを見たくないという声を受けて、設定変更されてあくまで外伝作品という扱いになったという。
      よってIGA氏担当作品でないため年表から除外されたのではなく、開発時点で既にこういう扱いになることは決まっていたということになる。
      • 実際、本作の背景グラフィックには一部『月下』からの流用・アレンジが見られるが、それもこの設定変更前の名残だったのではないかと思われる。
        主人公ネイサンのモーションもリヒターと共通するものが多数見受けられ、これも一族あるいは同門の弟子だった名残、とも考えられる。
    • ちなみに作中のモーリスの扱いは記事冒頭の通り、オープニングでドラキュラに捕まり、終盤までそのまま捕まりっぱなしである。
      『月下』でもリヒターは操られて悪魔城の城主になるという失態を晒しているが、本作がこのままの設定で発売されていたら更に体たらくを積み重ねていたところだった。結果的には出演できなくて正解だったのかもしれない…。
      • 本作同様、開発途中での設定変更により急遽主人公がベルモンドの名前を継がない作品に変更される、というのは過去にも『悪魔城ドラキュラ黙示録』で発生したことがある。奇しくもこれもKCE神戸開発による作品であった。
  • 登場キャラの一人「ヒュー・ボールドウィン」はそのモーションの多彩さから、「クリア後にヒューが使えるようになるに違いない」と期待したプレイヤーが多かったとか。
    • ちなみに全体的なモーションのドット絵の枚数はどういうわけかネイサンより多い。ネイサンがよくネタにされるダッシュにしても5枚ほどある。このあたりの作り込みの細かさもおまけキャラとしての期待を持たれる原因になったと思われる。
  • 探索型悪魔城ではお約束のTAS*5の変態挙動だが、開発元が異なる本作も例外ではない。
    • 一部のDSSを用いて壁抜けを行うことができ、開始2分でラスボス戦に直行する
      更に特定のDSSでネイサンがスケルトン*6となって極大威力の巨大骨を投げる。その巨大な骨によって4桁ダメージを連発するインパクトは絶大であり、TAS界隈でネイサンは「ホネイサン」と呼ばれている。
      あまりに骨のインパクトが大きいせいか、悪魔城で「骨のあるゲーム」というとほぼ間違いなく本作を指す。
    • 逆にファイターモードでは一切DSSを使用できず壁抜けも骨も使えないため、「骨抜きにされた変態」だの「奪われたカルシウム」などと呼ばれる。反面、シリーズでは珍しい走り続けるタイプのダッシュの存在もあり「悪魔城マラソン」などの呼び名も。
    • ちなみに極端に緻密な操作を要求される場面は多くないため、RTA上位勢も平然と壁抜けだの骨だので大暴れしており、やることがTASとあまり変わらなかったりする。
      特にスケルトンはあらゆる攻撃で即死するというリスクを背負いながらも巨大骨を当てられればボスであろうと瞬殺できる独特の爽快感があり、癖になっているプレイヤーもよく見られる。
    • 2023年には画面全体に常時9999ダメージの攻撃判定を発生させ続けるというDSSを用いたとんでもないバグが発覚(通称「Nuke(核兵器)」)。本作の敵は最大でもHP3000なのでラスボスを含むあらゆる敵が即死する。
      • 当初はTASで発見されたが人力でも再現可能なことが判明し、後にマジシャンモードでのRTA記録が大幅に更新されることとなった。
  • 正史から外れていることや開発元のKCE神戸が本作を最後にKCE大阪に吸収されたこともあり、本作の存在は後の作品ではほぼ触れられることのない扱いとなっている。
    • 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』にて本作の楽曲『Awake』が収録。しかもGBA三部作出典の楽曲では唯一の新規アレンジと優遇されている。スピリットとしてもネイサンに加えヒューが登場し、初のゲスト出演となった。

再販・移植

  • コナミ・ザ・ベストとして2005年11月3日に再販された。
    • セーブ謀体がリチウム電池からFRAM(フラッシュメモリのような物)へと変わっているので、末永く遊びたい方はこちらを是非。
  • 2014年8月27日にWii UのVCで配信。
  • 2021年9月24日にダウンロードソフト『Castlevania Advance Collection』が配信。
    • プラットフォームはNintendo Switch/プレイステーション4/Xbox One/Windows(Steam)。価格は2,200円
    • Circle of the Moon』『白夜の協奏曲』『暁月の円舞曲』『悪魔城ドラキュラXX』を収録している。
    • いずれも欧州版・北米版も収録されている。本作に関しては海外版の方がレベルアップが遅く難しい。
    • 周波数とビットレートを「ハイクオリティサウンド」に変更できる機能が付いており、サントラ版よりも更に音質が良くなっている。
      ただでさえクオリティが高かった本作のサウンドを更に強化してくれる嬉しい追加要素である。
    • 操作面でも、原作にあったスペック不足による処理落ちがなくなり、さらなる快適なプレイが可能となった。
      その分一部のボスや回避困難の攻撃も動きが滑らかになり、難易度がさらに上がることに。
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最終更新:2023年08月15日 01:36
添付ファイル

*1 攻撃判定ありのスライディングがあるのでこれを連続使用する事で歩きよりは高速で移動できる。

*2 サブウェポンごとに修正値が異なり、STR値を基準に最低は聖水(1.0倍)最高は十字架(3.0倍)。

*3 必要経験値の計算にレベルの4乗が含まれ、レベル99までの必要経験値の折り返し点がレベル83程度となっている。当然道中でも一定以上のレベル上げは多大な時間が必要となる。

*4 なお、動作・属性カードがそれぞれ1枚ずつ必要なので、ファイターモードでDSSを使う事は出来ない。

*5 「Tool-Assisted Speedrun」若しくは「Tool-Assisted Superplay」の略。外部ツールを使用し、実際のゲーム機で理論上実現可能な範囲内でのスーパープレイや最速クリアを目指す遊び方のこと。

*6 8分の1の確率でSTR3000の極大ダメージを与える巨大な骨を投げるが、あらゆる攻撃で即死する。