動物番長
【どーぶつばんちょー】
ジャンル
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アクションゲーム
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対応機種
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ニンテンドーゲームキューブ
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発売元
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任天堂
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開発元
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サルブルネイ エーコロン(N64版のプログラム) インテリジェントシステムズ(GC移植)
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発売日
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2002年2月21日
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定価
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6,800円
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判定
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良作
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概要
カラフルなヤセイを失った世界を舞台に、主人公のドーブツが喰いつ喰われつを繰り返しながら自分と世界にヤセイを取り戻していくアクションゲーム。
元々NINTENDO64で発売予定であったが、既に64市場が末期でありGCの市場活性化も考慮してGC用に再開発された。
特徴
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主人公のドーブツは名前入力が可能。入力した名前は「ブタ○○○○」「クマ○○○○」「トリ○○○○」といった呼び名で呼ばれるようになる。
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説明書曰く「名前は本名を入力してみるのがオススメ。ゲームにコクが出ます。」
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主人公含め全てのキャラクターが立方体や長方形、板で構成されている。
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ボスを倒すことで手に入れる「ナマニク」を使って「コウビ」したり、他のドーブツを喰らいその肉を奪うことで「ヘンタイ」する。このヘンタイを重ねることで強くなっていく。
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ドーブツは多数の種類があり、肉色ドーブツは「薄い・濃い・すごく濃い」といった濃度の「黄・赤・青・紫・灰」の色がついていて色ごとに特徴が違う。
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これ以外に、基本的には攻撃してこない緑の「草色ドーブツ」と頭パーツがない「ムシ」もいるが、これらは食べても色は変わらずヘンタイはできない。
黄畜類
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外見は主に草食動物モチーフ。ガードと攻撃力に優れるタフネスなタイプの種。移動は遅め。
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赤翼類
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外見は鳥類モチーフ。ジャンプ(滞空時間)に優れるスピード重視の種。ただし防御や攻撃は低め。
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青爬類
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外見は爬虫類・両生類モチーフ。攻撃射程に優れるスナイパーのような種。 ただし横歩きや常時飛び跳ね等移動に癖がある。
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紫乳類
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外見は哺乳類モチーフ。バック(後進)に優れるトリッキーな種。バランスは良い。
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灰獣類
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外見は大型肉食動物モチーフ。小回りは利きにくいが、紫乳類以上にスタンダードでバランスの良い種。
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ただ肉を喰うだけでは形は変わらず、薄い黄だけで揃えないとダメとか、すごく濃い赤と黄を混ぜないとダメなど結構頭を使うパズルゲーム的な要素もある。
いらない色は、「うんこ」をする事で、新しい色から順に捨てていくことができ、これで調節して好きな組み合わせを作れる。
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キャラクターデザインのみならずオブジェクトデザインも独特で、キャラばかりでなく、池、草、壁、月、太陽、水面の波紋、アイテムまでもが立方体や長方体で構成されている。
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敵のドーブツのハラ(体力)をタックルや噛み付きで0にして気絶したところで肉に喰いちぎるのだが、その際血が派手に飛び散る、喰われているほうが悲鳴を上げるなど、ヤセイの厳しさを如実に表している(そもそもTVCMの時点で既にそんな感じだった)。
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また、ベロのステータスが上がっていると、確率で立って動いているドーブツからそのままニクを引きちぎる立ち喰いが発動し、鮮やかな血の華が盛大に咲き乱れる。
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自分がピンチのときは、相手の頭をもぎ取って喰うアタマ喰いが発動することも…
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当然、敵のドーブツも生きるのに必死なため、こちらのハラ(体力)が0になった場合、早く起き上がらないと肉を喰いちぎられて「ケガ」をしてしまう。
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肉を全て喰いちぎられると死亡してゲームオーバーになるが、肉が1つでも残っていればゲームを続行できる。
ケガをしている状態で敵のドーブツの肉を喰うと、失った部位が再生してケガが治る。
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特殊能力を持つナマニクの部位を喰いちぎられると、そのナマニクに対応する能力が使えなくなってしまう。
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コウビをした後に親は肉を全てメスに喰われて、頭だけを残して死亡する。さながら現実のカマキリやジョロウグモのオスの如き残酷な末路である。
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ではどうするのかというと、生まれた子供の中から1匹を選んで操作を引き継ぐことになる。どうやら意識や記憶は子供に受け継がれているらしい。
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「動物番長」というのはラスボスのことなのだが、それ以外のボスもなんらかの長の座に収まっている。
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「動物班長」「動物生徒会長」「動物水道局長」「動物税務署長」等が立ち塞がる。だからどうした感が否めないが。
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ヘンタイの種類名も、文具、旗、楽器の名前や不動産用語など、動物や野生とは縁遠い名前が使われていたりする。しかも、その姿とどことなく雰囲気が似ているような気もしなくもない所が妙な味を出している。
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メニュー画面の選択時やカーソル動作時の効果音も、動物の鳴き声。
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体の形を変化させる「ヘンタイ」、体の色を捨てる「うんこ」、メスとの「コウビ」など、躊躇なく使われるストレートな言葉。
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信じられないかもしれないがゲーム中や説明書にも、これらの言葉が当たり前のように使われている。説明書やチュートリアルも、かなりぶっ飛んだノリである。
評価点
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色々な形のドーブツになるのが楽しい
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150種類もあるので好きな形が一つは見つかると思われる。
ジャンプ力が強い形、攻撃力が高い形、防御力が高い形…能力的なところ以外でも常に後ろ歩きの形や、カニ歩きしか出来ない形など多種多様な形がある。
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難易度が丁度良い。
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相手にタックルさせてそれを避け、隙を見て攻撃を加えれば手堅く勝てる。落ち着いてやればクリアできない難易度ではないため、ゲームのあまり得意でない層にも適している。
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プレイスキル次第では「混色」で動物の種類稼ぎが効率良くできる。
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個人差はあるが、3節ぐらいまでなら慣れていれば「暴色」を狙うことで物凄い勢いで動物の種類が増える。
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形以外にもキャラクターのモチーフも様々で、馬やカラス、カニやウナギなどといった変わったものも。
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BGMも良い
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ピアノやバイオリン等で構成される全体的に短いながらもヤセイを感じる良い曲多し(曲数は少ないが)。特に、高原とOPは名曲。
問題点
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一部のドーブツになるのが面倒くさい
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「淡濃色」という種類のドーブツになるには「淡色」「濃色」という2種類の肉を喰わねばならず、その2種類の色のドーブツがいない場合は該当する色を持つ「淡濃色」のドーブツから肉を取らねばならない。
これが曲者で「淡色の肉だけを取りたいのに濃色の肉も一緒に取っちゃった」という事態になりやすい。
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しかし、ドーブツに喰らいついたときに咥えているニクを優先的に取るという性質があり気に入らないニクを咥えてもキャンセルでき、それに加えてその1枚だけを喰う「おさえ喰い」というテクニックで調整もできる。
だが、相手が弱いと数枚のニクを一気に喰ったり、「立ち喰い」が発動してしまう事もある。
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また、「一節の淡濃色」になるためには、該当するドーブツから直接肉を食わなければならない。
このうち一部のドーブツが隠し道の先に居るため、気づかないと何周も繰り返すハメに。
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一部ボスが厄介。
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「動物清掃局長」は護衛に大量のダミーを連れている。強化を怠ると袋叩きにされかねない。ここは回復アイテムのゲンキ玉の使いどころである。
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元が64なのでグラフィックが粗い
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しかし、それを逆手に取るかのような四角いキャラクターやドット絵調の表現で独特の味を出しているので、単純に粗いとも言いがたい。
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ボリュームが薄い
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150種という形態の多さに反してゲームが異常に短くすぐ終わる。慣れているプレイヤーなら急がなくともAny%を3時間程度でクリアできる。そのため普通にやっていると何十周もグルグル続けていくことになる。
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わずらわしさがないと思えるか、作業的かと感じるかはその人次第。
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クリアの為に形態100種到達を強制される
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「百獣の王でなくては動物番長には勝てない」。文字通り『百獣の王』にならなくてはラスボスに挑めないという訳である。そのため、攻略の自由度は低い。
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チュートリアルの中にも強制ではないものが混じっており、手早く攻略したい際にはどこをどうカットしていけばいいか分かりづらく、不親切。
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人を選ぶ作風
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露骨になりすぎないよう適度にオブラートに包んでいるとはいえ、動物と食い合うというシビアな内容に加えて、
「ヘンタイ」「コウビ」「うんこ」などのストレートに下品な表現や出血表現も含まれているため、独特なビジュアルデザインやゲーム全体に漂う独特なノリも含めやや人を選ぶ。
総評
四角いドーブツが四角い世界を歩き回るという、絵面だけはなんともシュールなゲームだが、実は非常にシビアな世界観であり、
露骨になりすぎないよう適度にオブラートに包みつつ、弱肉強食の世界を上手く表現してゲームに落とし込んでいる。
作風的に人を選ぶ側面も否めないが、ゲームとしての完成度は高いので、興味があればぜひ遊んでみて頂きたい。
余談
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本作の海外版も任天堂から発売が検討されていたものの、日本版の売上がそこまで振るわなかったために一旦中止となった模様。
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その後Atlus USAが名乗りを挙げ、『Cubivore: Survival of the Fittest』というタイトルで無事リリースされた。
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海外からのローカライズタイトルや国外発売時に任天堂が代理リリースとなることは数多くあるものの、任天堂自身のタイトルが後に他社発売となるパターンは非常に稀である。
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なおCubivoreではタイトル自体のライセンスに関する社名がパッケージやゲーム内でもAtlus USAやサルブルネイのみとなっており、任天堂の名前は表記されていない。
にもかかわらず後述のスマブラ続編の海外版でCubivoreという名前と共に採用されているため、現在は海外版の版権も任天堂に移っているのかもしれない。
最終更新:2024年02月27日 23:09