ぬし釣り64

【ぬしづりろくよん】

ジャンル 釣りRPG
対応機種 ニンテンドウ64
メディア 128MbitROMカートリッジ
発売元 パック・イン・ソフト(ビクターインタラクティブソフトウェア)
開発元 ディーディーエル、フェルガ、トゥキャン
発売日 1998年11月27日
定価 6,800円(税抜)
判定 良作
ぬし釣りシリーズリンク


概要

ファミコンで発売された第1作目がファニーゲーム賞を受賞した事で有名なぬし釣りシリーズが初めてニンテンドウ64に進出した作品。
シリーズで初めての特徴を多く取り入れている。

ゲーム内容・特徴

  • プレイヤーはまず、6人の家族(兄・弟・姉・妹・父・母)の中から一人を主人公として選択する。セーブデータはそれぞれにつき一つ。
    • 彼らは河口に住む6人家族で、話の導入が異なるためそれぞれが求めるぬしも異なる。
      • 例えば弟を選べば「村を地震で悩ませるぬしを釣り上げに行く」というストーリーだが、姉を選べば「恋人が手紙で教えてくれた美しい魚を求めに行く」という内容となる。
      • 妹は猫と会話できる能力を持つという設定であり、各地の猫からヒントをもらえるという独自の仕様もある。
  • ゲームはトップビュー視点のRPG方式で進められる。主人公には体力(最大100)のパラメータがあり、0になると最後のセーブ地点に戻される。
    • 体力は動物との戦闘や虫に刺される・毒のある魚に不用意に触れるなどで減少するが、ただ歩いたり泳いでいるだけでも減っていく。ゲームが進めば消耗が少ない移動手段を入手できる。
      • 体力は食事をとる(購入した野菜や弁当、釣り上げた魚や採集した植物)か宿屋に泊まることで回復できる。ただし、毒のある魚やキノコなどを食べると当然体力が0になる。
    • 移動は歩くのが基本だが、水面に降りれば泳ぐことも可能。しかし泳ぎながらの釣りはできないし、体力の消耗も大きい。
      • イベントをこなすことで水上での移動と釣りが可能になる「タライ」「カヌー」が入手できる。
      • 地上での移動も、ある釣り大会の賞品で「マウンテンバイク」を入手すればぐんと快適になる。
  • マップは川(淡水)・海(海水)がそれぞれエリアごとに区切られている。道標の看板を調べることで移動可能。
    • スタート地点は自宅のある河口(海)で、他に海は防波堤、川は下流・中流・池・湖・清流・渓流・山上湖・沼に分類される。勿論釣れる魚は大きく異なってくる。
      • 清流は地震により橋が倒壊していて、水面にも降りられないため最初の状態ではこれより上流にあるマップ(渓流および山上湖)に移動できない。イベントをこなして橋を架ける必要がある。
      • 沼は通行手形を入手しなければ移動することができず、こちらもイベントをこなさなければ入手できない。
    • SFC版同様四季があるが、取れる昆虫と植物が異なるぐらいで、冬になったらそのエリアの魚がいなくなったりするわけではない。
      • 湖は冬になると凍りついて普通の釣りができなくなる代わりにワカサギ釣りができるなど、季節を活かした演出もある。
    • セーブポイントは各地の地蔵が担当する。
  • 釣りについて
    • 釣りは仕掛けによって内容が変化する。ウキを使えば「ウキ釣り」、重りをつけてウキを外せば「ミャク釣り」、テンビンをつければ「投げ釣り」、針をサビキ仕掛けにして一度に複数の魚を釣る「サビキ釣り」、ルアーロッドとルアーで「ルアー釣り」……と、とにかく仕掛けに応じて釣りの種類も豊富。
      • 釣りの種類によって仕様が異なり、ウキ釣りならウキが沈み込んだ瞬間にAボタンで合せいきなり魚とのファイトに突入するが、ルアー釣りはこまめにルアーを動かしてやらないと水中画面に移行せず、さらに水中画面でもルアーを動かして魚を誘う必要がある。
      • 釣れる魚は水面の場所によってある程度決まっており、また仕掛けの種類や餌の種類によってもかかるかどうかが左右されるため、相性を考えなければならない。
      • 釣りの仕掛け(竿・ハリ・ウキ・餌・ルアーetc)は各地の釣具屋で購入するか、イベントで入手する。初期装備の小物竿&袖針ではぬしはおろかそこいらの少し大きな魚さえも厳しい戦いになるので、金を集めて適宜購入するのが基本。
    • 水中画面で魚がかかれば、本格的な釣りの開始。画面の左に向かって逃げる魚に対し、プレイヤーは右側に引っ張る格好のオーソドックスな釣り画面となる。魚が弱ったタイミングを見計らって引いていき、水面から引き揚げれば成功。水面から上げた後Aボタンで魚を完全に釣り上げるが、Bボタンでリリースできる。
      • 釣り上げた魚はビクに入る。ビクは初期状態では10尾しか入らないが、さらに大容量のものを購入することができる。
    • 釣り上げた魚は魚屋に売ることで金策になるが、若魚を釣り上げた場合はリリースすることで増やしたり大きくしたりできる。
      • 各地には「魚の生息率」があり、釣り中の主人公のパラメータ表示で確認できる。これが少ないと魚がかかりにくくなる上、魚の値段は大きさに依存するので若魚は積極的にリリースするのが推奨される。
    • プレイヤーはどこかの地域にいる「ぬし」を釣り上げるのが目的で、釣り上げた後に特定の場所に行くとイベントが発生、一応のゲームクリアとなる。
      • その後さらに釣りノートの記載を埋めることで、全主人公共通の「真のぬし」が出現。これを釣り上げることがゲームの最終目的となる。
  • 昆虫採集
    • シリーズ初登場の要素。虫取り網を持った状態で画面上の虫のアイコンを追いかけ、そのアイコンにむけて網を使うと画面が切り替わって採集開始。
    • 虫によって異なるが、虫取り網か手づかみで採集する。虫の種類によっては攻撃を受けることもある。
    • 虫の方にも生息率があり、特定の種類を採りすぎると絶滅させてしまうことも。
    • 採った虫を釣りの餌に使うこともでき、また疑似餌の参考にするという理由で釣具屋に売ることも可能。
    • 虫かごに入る量は決まっているが、購入して容量を増やせる。なお、イベントアイテムとして使われるナミテントウには専用の虫かごが用意される。
  • 花摘み
    • 同じくシリーズ初登場。スコップを持った状態で画面上の植物のアイコンに接近し、掘り起こす動作で画面が切り替わって採集開始。
    • 画面上の植物をハサミで採集する他、水をあげて植物を元気にすることもできる。
    • やはり生息率があるので、絶滅させないようにこまめに水をやることになる。
    • 摘んだ植物は魚と同様に食べられるほか、宿屋が装飾用に求めているので売って金にできる。
    • 摘んだ植物は花かごに入る。花かごの容量も増加可能。なお、イベントアイテムとして使われる春の七草には専用の花かごが用意される。
  • 動物との遭遇
    • 各地に動物がうろついており、プレイヤーと接触することで戦闘画面になる。
    • 戦闘画面では餌を与えるか戦うか選べる。餌付け・戦闘ともに物を投げつけて餌付け・攻撃する。投げつけるものは動物によって違い、弾道には結構な癖がある。
      • 餌を与えることで生息率を上げられる他、懐いている動物がたまに喜ぶ仕草を見せてくると主人公の体力が回復する。
      • 攻撃で大きなダメージを与えると動物は逃げ出し、生息率が減少、最悪絶滅に至る。
    • 動物は種類によっては餌付けしても攻撃的で、中にはこちらの攻撃に対して反撃を繰り出してくるものも。
    • 逃げるコマンドで主人公は逃げ出すが、画面下側のウインドウを主人公のアイコンが横切るまで待つ必要がある。Aボタンを推せば加速するが、連打しすぎると転んでタイムロスになる。
    • 動物を攻撃して追い払っても経験値はもらえなくなってしまったが、餌付けすると感謝の手紙が送られるなどの要素も。

評価点

  • 迫力のある各種要素
    • メイン要素となる釣りはN64の性能を活かし、魚が3Dポリゴンで描写されるようになったことで迫力満点に。
      • メモリ拡張を行わないゲームながら、画質はN64のゲームとしては高い部類に入る。ウナギなどのうねるような動きも見事な演出であり、水中画面を泳ぐ魚の姿に仰天したプレイヤーも多いことだろう。
    • 効果音も充実しており、大きな魚がHITすれば泳ぐときにグワングワンと大きな音が鳴り響く。釣り上げるのも非常に難しく、熱戦になること間違いなし。
    • 仕掛けの種類が充実しており、様々なバリエーションの釣りを楽しめる。
      • ルアーとフライ釣り、鮎の友釣りは水中画面で仕掛けを動かして誘う必要があり、本物にやや近い感覚でプレイできるようになったのも評価が高い。
    • 虫取りも、一気に近づくと逃げられる等、実践に近い感覚。
  • ゲームボリュームの多さ
    • 主人公は6人いて、狙うぬしが異なるので、違う物語を楽しめる。
      • 人物のセリフはほとんど同じだが、過去にぬしを釣り上げた名人からぬし用のアイテムをもらえたり、ぬしを釣り上げた後のイベントなどのメインイベントは違うものになっている。
      • ある宿屋に泊まると、主人公がぬしの夢を見るというイベントが発生する。
    • 魚種は計102種。虫は111種で花は40種と収集要素は結構な数がある。
    • 釣り場の数も種類が豊富で、様々なロケーションの釣りを楽しめる。
      • 中流や池ではなんと田んぼで釣りができる。そしてメダカやザリガニが釣れる。
      • 初期状態では前述通り清流以上の上流と沼に行けないが、それ以外の場所には自由に移動できるので序盤から自由度は結構高い。河口のメジナ釣り大会を放置して湖のブラックバス大会を狙うもよし、大会には参加せず黙々と釣りを楽しむもよし。
  • 音楽も高評価。
    • エリアごとに違う音楽が流れるが、全体的に牧歌的・ノスタルジックな雰囲気を漂わせる各種BGMは質が良い。
    • 釣りをするときはBGMが止まってしまうが、代わりに潮騒や川のせせらぎ、鳥の鳴き声といった環境音が豊富に流れてくることで、のんびりと釣りをする実感を与えてくれる。
  • 過去作と比べてゲーム進行で優しくなった部分も。
    • 動物への餌付けに消費アイテム(弁当や魚など)が必要でなくなった。
    • いままでの作品は、所持金が無い状態で釣具がなくなると詰んでしまうが、消費アイテムを必要としない昆虫採集と花摘みでの収穫物を売る事で、ある程度の収入が入るようになった。
  • リアルでやってはいけないが、シカケを人や動物に当てると、人ならイテッと言い、動物は鳴くと言った細かいこだわりも。

賛否両論点

  • 釣り上げた魚や捕まえた昆虫を水槽で飼育できるようになった。
    • 当時のゲームとしては出来の良い3Dモデルの魚をじっくり見たいという人には評価が高い。
    • しかし飼育は非常に難しく、放っておくと簡単に死んでしまう。入れた生物が決して死なない水槽もあるにはあるが、それを使うにはコントローラパックが必須。
    • 後述するように飼育の仕様に関連した問題点もある。
    • また飼育して大きくなった魚をそのまま大会に持ち出すことが可能*1なため、クリアできる大きさまで魚を育ててから大会に参加し優勝を狙うという不正もできてしまう。
      • メジナ釣り大会など明らかに難しい釣り大会があるため一種の救済措置とも取れるが、さすがにどうなのか。
  • 主人公によって釣れるぬしが異なるため、必要なゲーム進行にばらつきがある。
    • 父・母のぬしはスタート地点に近い海の魚*2であるため、初期状態から非常に早期に釣れてしまう。特に父は初期状態の金銭で購入できる釣り竿と餌で十分なので、極端な話最初のエリアから動かなくても釣れてしまう。
      • 両親のぬしが早々に釣れてしまうのは、このゲームを子供に買い与えた親がプレイする事を考慮し、敢えて短めにしているとのこと。が、そうではない場合は上記の不満が生まれてしまう。
    • 一方で弟以外の子供たちのぬしは全て清流以上の場所にいる。後述のイベントをクリアする必要がある分手間がかかることになるが、そこを突破すればクリアは目前。
    • そして、一番攻略に手間がかかるのは弟。彼のぬしは最後の地点となる沼にいる。つまり清流開通+ナミテントウor春の七草集めのイベントをクリアする必要がある。
      • ストーリー展開的*3にも、弟が本作全体の主人公というイメージで作られたのだろうか。
    • 妹のぬしは山上湖にいるのだが、あるイベントを発生させると水が引いて釣り場が少なくなってしまうため、釣るのが困難になる。発生させる前に釣るか、さらにイベントを進めて水を戻すかしなければならない。
  • イベントには、リアルに考えるとツッコミどころが多いものも。
    • 猫と会話できる妹や石ころを光る石に変える少女、喋る魚や河童の存在など、超常現象の類が存在するのはまだ「そういう世界観」で納得できなくもない。
    • 父を主人公にしてぬしを釣り上げた後のイベントでは、ライバルが先に釣り上げていた……と見せかけて違う魚に細工してぬしに見せかけたというイカサマだったとオチがつく。主人公からも指摘されるが、明らかに別の魚*4なのでさすがに気づけよと言いたい。
    • 湖のブラックバス大会では釣り上げた魚を環境保全のために放流する。
      • ただし、本作発売当時の1998年はまだ外来生物法*5による特定外来生物への対策が取られておらず、普通に再放流されていたしブラックバスもキャッチ&リリースで楽しむスポーツフィッシング対象魚の扱いだった。
      • なお、大会終了後に釣った魚を放流するのは釣り大会全般の仕様であるが、外来種を対象とするのはブラックバスのみ。また外来種の魚自体はバス以外にもブルーギルなどが登場しており、これらを釣り上げた際も普通にリリース可能。

問題点

  • 初期状態では制限されているエリアに行くためのイベントを起こすのが、結構な手間になる。
    • 清流に行く為のイベントを起こすには秋にならないといけないが、秋になるまでの時間が長い。一度日をまたぐと15日単位で進み、3~4ヶ月で季節が変わるのだが、このために何度も宿屋に泊まることになる。
    • 沼に行く為の通行手形をもらうイベントは七草集めとナミテントウ集めの2つあるが、これも面倒。どちらも清流以上に上らなければ達成できないのだが……。
      • 七草の場合は春にしか咲かないため、秋に清流開通イベントを起こした上でさらに春になるまで進めなければならない。
      • ナミテントウは秋でも採集可能だが、ある人物からもらえる偽物があり、これを入れてしまうと他をすべて集めても最初から集め直しになるという罠がある。
  • 図鑑の魚は102種類と述べたが、本来1種類の魚に複数のバリエーションがあって別枠になっている。ニジマスなら小型、大ニジマス、アルビノ、コイなら小型と大コイ等。
    • バリエーションを数えなくとも種類は豊富だし、同シリーズの『ワンダフルジャーニー』や『こもれび』と比べると断然マシだが、微妙に水増し感がある。
    • また、大サクラマスが小さいサクラマスのいない湖にいる。山上湖と間違えて設置されたのかもしれない。
  • 水槽の仕様の問題点
    • 当たり前の話だが、海水の魚と淡水の魚を同じ水槽には入れられない。
    • ヤゴやカメが昆虫扱いで、水槽も当然昆虫用のに入れる事になるが、入れて翌日になると死んでいる。
      • ヤゴやタガメは魚の水槽で育てたかったとの声もあった。
    • 水槽には60cm以上の魚を入れる事ができない。
  • 全体で見れば釣り場の種類は豊富だが、海が河口と防波堤の2つしかないことに物足りなさを感じる声も。
    • 遠洋まで漕ぎ出すことはできないので、マグロやカジキ等を釣るのには、『海のぬし釣り2』と64GBパックが必要。さらにその魚を釣る事ができる場所は河口の釣堀限定になる。
    • 上記の2つを持つユーザーは釣堀で釣った大型魚を湖の寿司屋で売りさばくという戦法をとって金稼ぎができたため、ゲームバランスに影響を与えることになる。
  • 真のぬしを釣り上げるとその後はそのぬしを釣り上げる事はできない。
    • 他の魚の大型バリエーションなのだが、普通のぬしと違い二度と釣れないのは寂しい。

総評

細かい点に難はあるが、綺麗に描かれた魚との駆け引きや、1年間の釣りシーズンの再現、釣り以外のコレクション要素など釣りに関わる楽しみをゲームに詰め込み、一人でも家族でも楽しめる構成になっている。ぬし釣りシリーズ最高傑作との声が多い。


余談

  • 何故かゴキブリを捕まえることが出来る(当然飼育も可能)。ある意味『どうぶつの森』を超えている。
  • 本作の続編として、同じく64で発売された『ぬし釣り64~潮風にのって~』がある。ただしストーリー的なつながりはない。
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  • 名前変更可能
  • ぬし釣り

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最終更新:2022年11月10日 22:13

*1 ビクを空にしなければ大会に参加できないが、水槽の魚はカウントされない

*2 父は河口のクチグロ、母は防波堤のマダイ

*3 他の主人公はライバルへの対抗などの個人的事情で旅立つのだが、弟だけ「村を地震から救うため」と目的が壮大。また清流の橋のように、地震の影響は他の主人公でも現れている。

*4 イカサマがバレる場面に吹きだしでイラストが出るのだが、イラスト上も偽物とわかる模様で描かれている

*5 ブラックバスやブルーギルは制定当初から特定外来生物になっており、生きたままでの運搬や所持が禁じられている。