夢ペンギン物語

【ゆめぺんぎんものがたり】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2MbitROMカートリッジ
発売・開発元 コナミ
発売日 1991年1月25日
定価 5,800円(税別)
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント やせてゴールを目指す風変わりなシステム
初心者向けのマイルドなゲームデザイン
2周目が本気モード


概要

けっきょく南極大冒険』、『夢大陸アドベンチャー』を経て1991年に登場したコナミのペンギンゲー第3弾。1人プレイ専用。
パッケージ裏で「業界初のダイエット・アクション」と紹介され、「やせる」ことが目的のアクションゲームになっている。


ストーリー

ある日、主人公のペン太は、恋人のペン子から太っているペン太の体型を見損ない、サングラスをかけたギン次と付き合うと言われてしまう。
ペン子は、本当に自分が好きなら痩せて迎えに来てほしいとペン太に話し、一方ギン次はやせ薬を部下に持たせたから悔しかったら奪って痩せてみろと見下して言った。
ペン子のためにダイエットに奮戦するペン太だが、そこにはギン次の邪魔が…。

  • なお、実際のゲーム中のテキストにおいてはカタカナや漢字のフォントが無いため、キャラ名もすべてひらがな表記で「ぺんた」「ぺんこ」「ぎんじ」となっている。

ゲームシステム

基本操作はペン太を操作し、やせ薬やタイマーを入手しながら制限時間内にペン子の待つゴールを目指すというもの。
全6ステージ構成。2面、4面、ラスボス戦はアクションではなくシューティング形式での戦いとなる。
1周目クリア時点でストーリーは完結するが、おまけの2周目もクリアするとゲーム終了となる。*1

  • ペン太には大まかに3つの体型(というよりも「体格」という表現の方が近い)があり、下部のゲージでわかるようになっている。ハートが示すメモリ以下を目指して体型を維持しながらゴールを目指すのが基本となる。
    • ハートの位置(クリアに必要なノルマ)はステージが進むごとに厳しくなっていく。
      • 1周目冒頭のチュートリアル面(ゴールに辿り着きさえすればクリア)を除き、ステージクリアの条件は「制限時間以内に、ノルマより体型ゲージが少ない状態でステージを完走する」事。ノルマを上回った体型ゲージのままステージを完走しても、時間切れになってもゲームオーバーとなる。
  • 体型によってジャンプ性能、スピード、攻撃に違いがある。
    • 「ひまん」太っており、動きが遅くジャンプも低い。攻撃はフライングボディアタックで、発動した瞬間からモーションが終わるまでの間は完全無敵状態である上に、非常に攻撃力が大きい。また、シューティング面では連射性能は最低。
      • なお、ストーリーの都合上当然ではあるが、チュートリアル面を除きクリア条件に設定されたノルマがこの体型に該当するステージは存在しない。
    • 「ふつう」前述のひまん状態よりは痩せた状態で、ひまんより大幅に動きやすくなっている。攻撃は近接攻撃のキック(移動しながら止まらずに繰り出せる)であるが、「ひまん」状態の攻撃とは異なり無敵状態にならないので注意が必要。シューティング面では連射性能は中間。
    • 「やせ」とても小さな体付きになり、身軽になったことで動きも早く、より高いジャンプができるようになる。「ポ砲」という射撃攻撃が可能となる。遠距離攻撃である為とても強力だが、単発の威力がふつう状態のキックよりも低い点には少々注意。シューティング面では連射性能は高い。
  • やせ薬は落ちているものを得たり、敵を倒すことで得ることができる。
  • アクションゲーム・シューティングゲームにありがちな敵や弾、障害物(シューティング面のみ)に触れて1ミスという概念は全く無い。制限時間を過ぎるかノルマ到達前にボス撃破およびゴールインすることがない限り、殆どは時間減少やひまんゲージ増加というペナルティしか与えられないので幾らでも立て直しが利きやすくなっている。
  • 敵の多くはギン次の手下であり本気で(?)ペン太を太らせにかかってくるが、倒すことで以下のアイテムが得ることがある。
    • オレンジのやせ薬:ゲージ1つ分を減らすことができるやせ薬。ステージに配置してあることが多い。ゲージを0にする事で地上面はMマーク、シューティング面ではHマークの効果が現れる(ただし、減らした分は若干増えて戻ってしまう)。
    • 紫のやせ薬:ゲージ3つ分を減らすことができる強化やせ薬。やせ状態以降は1つ分の減少となる。部下が持っていることが多い。
    • タイマー:制限時間を延長する効果がある。特に2周目は延長時間の効果が薄れているので、取り逃しや無駄な時間浪費は避けたい。
    • Mマーク:地上面のみ存在するマークで、一定時間無敵になる。
      • 大抵の敵は触れただけで倒せる上に無敵の敵も素通りできる。ただし、水場に溺れると効果は消えてしまう。
    • Hマーク:地上面ではプロペラが頭に付いて上昇飛行ができる。シューティング面では自機のショットが高威力な貫通ミサイルに強化される。
      • 敵機や弾、障害物に被弾すると効果は消える。プロペラはFC版「けっきょく南極大冒険」のペギコプターのオマージュといった外観。
    • Aマーク:4面のシューティング面のみ存在するマークで、画面中の敵を全滅させる。
      • 全滅した敵のほとんどがアイテムになるので時計ややせ薬を稼ぐチャンスになる。
  • ペナルティ
    • 地上面・シューティング面ともに、食べ物に触れると問答無用でペン太が食べてしまいゲージが上昇する。
    • 地上面では敵にぶつかると制限時間が減少した上、ペン太がダウンしてしまう。
    • シューティング面では敵や障害物にぶつかると、自機の飛行機が爆発してペン太が空中に放り出される。「ペン太が必死に腕をバタつかせホバリングしている間に画面外から別の飛行機が補充され、そこにペン太が再度乗り込んで復帰」というプロセスが描写されるのだが、なぜか最初にペン太が空中に放り出された時点でひまんゲージが大幅に増えてしまっている。
      • 食べ物や飲み物を全く摂取していない事象のはずなのに、ペン太が太る理由は不明。ゲームバランスの都合ではあるだろうが、ちょっとしたツッコミ所。
    • 地上面水場に溺れるとゲージが最大値に上がってしまい、どんな状態でも一発で「ひまん」状態になってしまう。
  • ゴールに辿り着いた時点でクリアとなるチュートリアル面と、ボスキャラが居ない1面以外は、ゴール到着後にボスを倒すことでステージ終了となる。
    • なぜかボスもやせ薬を出してくるため、終盤ノルマに達していなくてもやせるチャンスはある。制限時間が残っている限り、最後まで諦めてはいけない。

評価点

  • ゲーム初心者でも慣れやすく楽しみやすいゲームデザイン。
    • ゲーム開始にチュートリアルが存在。「Aでじゃんぷ」「ビンでやせる」「Bでこうげき」と基本操作が判りやすく低年齢層でも十分に理解し、楽しめるものとなっている。
    • 操作性は良好。プレイしていて操作面でストレスを感じることは少ない。
    • ゲーム難易度も抑えめで多くの人が無理なくゲームクリアができる調整。
      • ただし被弾や食べ物に触れた時のペナルティはそれなりにあり、決してヌルすぎて単調というわけではない。
    • コンティニューが無制限であり、再チャレンジがし易い。
      • ステージ毎に再帰が可能だが、最終面の6面だけは2回に限定される。
  • グラフィックが美麗で、キャラクター描写も細かく描かれている。
    • 背景の描写がとても綺麗で、目を引いてしまうほど。3面の段々重ねのケーキを上っていく様は見ていても楽しい。
    • オープニングのアニメ調の演出も、シンプルかつファンシーな世界観を良く活かした内容である。終盤に至ってはペンギンというかわいいキャラクターなのになかなかシリアス。ややネタバレになるが、それまで嫌味な立場だったギン次の本性を曝け出す悪役ゲス顔っぷりの描かれ方もさらに凄い。ペンギンなのに。
    • ステージ中の敵・味方両方のキャラクターもどれもヘンかわいい。
      • 動物系の敵が多いが中には正体不明な敵も。ギン次の部下にぶつかると「いてっ」というフキダシが出る演出も。
      • ペン太自身のモーションも細かく、落下時間が長いとギョロ目になったりする。プロペラで飛ぶ姿も何気に楽しそうである。
    • ボスもヘンなのが多く堂々と「ぎんじ」と大きく書かれたド派手な戦艦(艦長は豚)、頭にロウソクが2本ついたクリームマン、分裂体を倒していくことでどんどん小さくなるグラサンの鳥ぐらーさんなどが存在し、ステージ共々パロディウスシリーズのノリを匂わせる。
    • とは彼らは言えペン太を太らせるどころか本気に殺しにかかってるような気がしなくもない。言うなれば高速で突撃死、空中の追撃死、落下してくるカバによる圧死、ボスの投げる樽による轢死、所々にある水場の溺死、極め付けは無理矢理太らせようとする肥満による死である。こんな状況を掻い潜るペン太も散々である。
  • 「やせる」のが目標というゲーム。
    • 彼女のためにやせる。という如何にもシュールな内容だが、アクションゲームの目標は数あれど「ダイエット」を主軸としたものは類を見ない非常にユニークなもの。
      • 本作より後発の『ダイエットゴーゴー』(データイースト)くらいであろうか。
      • 大体は悪者を退治するためだとか、世界を救うためだとか、財宝を目当てにするだとか、誘拐された者を助けに行くだとかシリアスな目的が多い。その中でダイエットを目標にするのは結構珍しい例。
    • ペン太自身が、太っていようが痩せていようがかわいいのも魅力。さすがペンギン。
  • BGM
    • 地上面の穏やかなものもあれば、シューティング面では爽やかな音楽に切り替わったりする。ボス戦やゲームオーバー時の変てこな音楽もあったり、割と聴き応えがある。
      • ボス戦BGMは1曲だけではなく、終盤の2人のライバルペンギンとの戦いの為にロック調のシリアスな曲がもう1曲用意されている。

問題点

  • ステージ数が少なく内容がやや薄い。慣れると2周クリアしても30分程度で終わってしまう。
    • 敵の動きが単調な上、立て直しのしやすさ、タイマーややせ薬を手に入れやすいのあって難易度が低いのが要因か。
    • ただし、2周目になるとタイマーややせ薬の効果が半減、食べ物に触れたりすると大幅にゲージ増加というペナルティがあり難易度も向上する。こちらは割と本気モード。
  • エンディングの結末。
    + クリックで開閉。ネタバレ注意。 終盤、ギン次はペン子を誘拐するという暴挙に出てしまい結果ペン太はペン子を救うという、唐突に真面目なアクションゲームらしい展開になる。
    やせている状態で救ったことでペン子はペン太を惚れ直すのだが、エンディングの終わりになってペン太に対し「太ってる人なんて大嫌い」「まだまだやせ方が足りない」などと散々キツイ事をぬかしていた言っていたペン子が、夜空の下で愛を語らいながらパクパクと食事していたら突然太った(というか巨大化した)上、その衝撃的な瞬間を目の当たりにしてしまったペン太が驚いた後「あちゃ~」という感じの表情と仕草を見せる…という、因果応報というか本末転倒というか、そういうノリの結末を迎える。
  • ただ、本編のペン子の態度とは違い、太ったペン子をペン太が嫌うような素振りが描かれていない為、一応ちゃんとハッピーエンドととれるようにはなっている。(色々な意味で前途が多難であるようにしか見えないが)
    • 後付設定ではあるが、パロディウスシリーズの「ペン太郎」はペン太とペン子の息子という公式設定があるため、本作の後にふたりが結ばれたことだけは確かなようである。
      • エンディングのオチを皮肉ってか、ファミマガで「2周目はペン子が主人公になる」というウソテクが掲載された。
    • ノルマに達していない状態で助けても感謝されるだけで「やっぱり太ってる人は嫌い」と言われて振られてしまい、ペン子はギン次と一緒にどこかへ行ってしまう。2回やりなおすチャンスがあるが、それ以降となるととうとう見放され、ゲームオーバーになる(事実上はバッドエンドと言ってもいいのかもしれない)。
      • 地味にマルチエンドとなっており、ペン子と共に去っていくギン次の姿が変わる。制限時間に間に合わないと普通の姿だが、ギン次の戦闘機を撃破しつつひまんゲージが到達しないとギン次は全身包帯姿へと変わる。
    • そもそもダイエットのために大量にやせ薬に依存するということ自体がとんでもなくシュール。ダメ。ゼッタイ。

総評

長きに渡りコナミが磨いてきた、ペンギンのキャラクターのかわいらしさが最大限に発揮されたゲーム。
低年齢層向けにピッタリなかわいらしいキャラクターデザインとはいえ、世界観とストーリーがちょっとシュールすぎるきらいはある。
だがアクションゲームとしての完成度は本物。ファミコン後期のゲームにふさわしい、小粒ながら手堅い一作である。

古き良きコナミの、ファミコン時代のアクションゲームを適度な難度で手軽に楽しく遊びたいプレイヤーにはうってつけだろう。


その後の展開

  • 2006年9月15日にWindows版がi-revoゲームにて配信された。i-revoゲームのサービス終了により現在は配信終了。

余談

  • タイトル画面におけるペン子のグラフィックは、「やせ」状態のペン太の色違いである。(リボンのスプライトを上から重ねてはいる)
    • ペン太のゲーム中のグラフィックはどの体型でもとてもかわいらしく、タイトル画面におけるペン太は「ひまん」状態であるため違和感は全く無い。
  • 本作の効果音の一部は『魂斗羅』など他のコナミゲームから流用したものが使われている。
    • ラスボスが撃ってくるチャージ弾の発射音は、本作から数ヶ月後に発売された『ラグランジュポイント』のランク6武器の発射音と同じ。
  • コナミの定番だったペンギンのキャラが、本作を機に「ペン太」という名前が付けられた。
  • コナミの3Dフライトシューティングである『エアフォースデルタ ブルーウィングナイツ』のゲスト機体として本作のシューティング面で登場する機体込みでペン太が参戦している。戦闘機としての名前がないため、機体名が「ペン太」なのはこの際目をつぶろう。
    • 機体の説明文に「太り過ぎを理由に恋人ペン子に振られたペン太をスマートなぎんじから取り戻すべくペン太が調達したジェット戦闘機」と書かれていることからも本作モチーフであることは明確だが、「MiG-21を彷彿とさせる中翼機」だの「ロケット、バルカンと言った通常兵器に加えて、 ダイエットを妨害したぎんじへの意趣返しとして、食べると太る魚爆弾を搭載している。 」と実にツッコミどころのある内容である。
  • フジテレビの人気番組『ゲームセンターCX』にて、有野課長ことよゐこの有野晋哉がこのゲームに挑戦し、番組史上最速クリアを果たしたゲームタイトルという事で有名。
    • ちなみに、クリアに要した時間は1時間35分である。
  • タイトル画面に表示されている、コナミのロゴの色が上下逆になっている。

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最終更新:2023年11月16日 07:57

*1 2周目もストーリーやテキストは原則変わらないが、2周目グッドエンディングの最後のナレーションの文章だけは1周目と異なる内容になっている