不思議のダンジョン2 風来のシレン

【ふしぎのだんじょんつー ふうらいのしれん】

ジャンル ローグライクゲーム
対応機種 スーパーファミコン
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売・開発元 チュンソフト
発売日 1995年12月1日
定価 11,800円
配信 【Wii】バーチャルコンソール
2007年7月24日/900Wiiポイント
書換 ニンテンドウパワー
2000年8月1日/1,000円/F×8・B×16
判定 良作
ポイント 『シレン』シリーズ第1作
『トルネコ』から様々な点で正当進化
やや大味ながら高い自由度
風来のシレンシリーズ


概要

トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』(以下「前作」)に続く『不思議のダンジョン』シリーズ第2作にして『風来のシレン』シリーズの第1作である。
前作から大きく進化したゲーム性と新しい独自の世界観が人気を博し、続編が何本も製作され、『シレン』シリーズは名実共に不思議のダンジョンシリーズの代名詞となった。 『不思議のダンジョンシリーズ』の2作目、ということで『2』の文字を冠しているが、以後はシリーズ双方が独立したため、このタイトル表記は本作のみとなっている*1

チュンソフトオリジナルの和風な世界観の中、「風来人」と呼ばれる旅人のひとり・シレンを主人公とし、黄金のコンドルが棲むと言われるテーブルマウンテンの頂上を目指す物語。
時系列的には『アスカ見参』と『シレンGB』の間に位置する。


特徴

  • 基本システムは前作とほぼ同じだが、様々な要素が追加されている。
    • 「キャラクターの同行」「窃盗可能な店」「モンスターへの変身」「ボス」「アイテムが入る容器」「白紙の巻物」など、本作で追加された新要素の多くはローグライクの傍流である『NetHack』の影響が大きい。
    • 前作『トルネコの大冒険』がRPGの始祖の一つに数えられる作品である『Rogue』の影響が強いのと同様、本作もその傾向を遵守しているといえる。
  • 深部から登り階段で歩いて帰還する必要のあった前作『トルネコ』からは打って変わり、本作と本作以降の不思議のダンジョン系列作品では概ね、どのダンジョンでも目標達成となった時点で自動帰還するようになった。
  • ダンジョンの中に「」が登場するようになり、お金の重要性が増した。
    • 前作『トルネコ』ではお金のダンジョン内での使い道が無かったが、本作ではダンジョン内で営業中の「店」を訪れれば、ギタン(シレン世界の通貨)によるアイテムの売買が可能になった。
    • 単にアイテムを売買できる恩恵だけでなく、手持ちの未識別アイテムを買値・売値から大まかに識別するというテクニックにも活用できる。
      • 他にも「不要なアイテムだが換金のために保管しておく」「欲しいアイテムが高くて買えないので泥棒を企む」など、様々な形でプレイヤーの工夫を促す戦略性の増進にも寄与している。
    • また、ギタンは敵に投げ当てると金額の10%相当の固定ダメージを与えることができる。
      • 落ちているものを普通に拾うと財布へ収められてしまうが、足元から「保存の壺」に入れればアイテム扱いで携帯できるため、ダメージソースとして戦略的にも大きな意味を持つ。
    • 泥棒(お金を払わずに店を出る)すると、「店主」を始めフロア内に規格外に強力な敵が大量に出現する。
      • まともに相対するとまず勝ち目なく瞬殺されてしまうものの、アイテムや罠を駆使したり店主の習性を利用したりすることで次の階層まで逃げ切ってしまえば、あとは何のデメリットもない。極めてハイリスクかつハイリターンな選択肢として、本シリーズの名物の一つとなった。
      • 一方で、間違えて買い物中にワープしてしまう、商品が消滅した上に所持金が足りないなどの理由で不本意ながら泥棒状態になってしまい、結果倒されるという理不尽要素も加わったが、本シリーズのファンにはこういったアクシデントを楽しむプレイヤーも多い。
    • 特に店主が異常なまでに強いというぶっとんだ設定は、シレンシリーズ内外を問わず不思議のダンジョン系作品の定番要素となり、あらゆる方法を駆使して店主を倒すことをゲームのやりがいとするプレイヤーさえ存在する。
  • 新種のアイテムとして、中に複数のアイテムを入れられる「」が登場し、持ち歩ける総アイテム数が飛躍的に増えた。
    • ただし、「保存の壺」以外は中のアイテムを任意で取り出せない(壺を投げて割ったり、「吸い出しの巻物」を使う必要がある)、転んだり投げると壺が割れてしまって消失する、モンスターに盗まれたときの被害が大きいなど、相応のリスクも併せ持つ。
    • 入れたアイテムが分裂する「分裂の壺」や装備を強化できる「強化の壺」などゲームバランスを一変させるものもあれば、入れたアイテムの取り出しに難儀する「割れない壺」「うっぷんばらしの壺(割れると爆発する)」など当然デメリット持ちの壺もある。
    • 「背中の壺」など一部の壺は「入れる」ことができない代わりに回数分「押す」ことが可能なものもある(マッサージ等の「ツボを押す」と掛けたもの)。一捻り加えることでアイテムにさらなるバラエティを持たせている。
  • 武器・盾・杖の「合成」機能が初登場。
    • 新アイテム「合成の壺」にアイテムを入れて合成することにより、複数の能力を併せ持った武具を作成可能となった。
      • 合成の壺はアイテムを入れる順番が重要であり、先に入れた武具をベースとし、後から入れた武具の特殊能力や補正値が加算される。 たとえば、「カタナ+3」「成仏の鎌+4」がある場合、前者を先に入れると「成仏の鎌の能力(ゴースト系に大ダメージ)を持ったカタナ+7」に、後者からだと「成仏の鎌+7」となる。
      • 合成が成立する組み合わせは「武器+武器」「盾+盾」「杖+杖(同名のみ)」の三通り。
      • これに合わせて、特定の種族のモンスターに大ダメージを与える武器や、一部の敵の特技を防ぐ盾といった、特殊効果を持つ武器や盾のバリエーションも大幅に増加した。
    • 杖の場合は効果を合成するのではなく、同種の杖を一本に統合し使用回数を増やすことができる。ふきとばしの杖[5]+ふきとばしの杖[3]であれば、ふきとばしの杖[8]になるなど。
  • モンスター関連
    • 前作はドラクエのモンスターが出ていたが、本作のモンスターはすべてオリジナル。しかし、特徴的なデザインや行動のインパクトでどれもが印象深い。
    • モンスターのレベルによって名前や外見、特殊能力が変化するようになった。前作ではスライムLV.1→スライムLV.2→スライムLV.3…とレベルアップしたのが、本作ではマムル→あなぐらマムル→どうくつマムルのように名前自体が変化する。
      • たった3段階しか存在しないが、多くのモンスターはレベルが上昇すると特殊能力追加やステータス強化により飛躍的に危険度が増す。めつぶしや身代わりの杖による同士討ち、「ぼうれい武者」の乗り移りといった外的要因で敵がレベルアップしてしまうと一気に危険な状態に陥ることが多い。
      • 一方で高レベルモンスターは倒した際の経験値も多い。あえてレベルアップさせてアイテムで倒し一気に経験値を稼ぐというテクニックも生まれ、高いリスクには相応のリターンも用意されている。
      • 一部のモンスターはレベルの概念を持っていなかったり、姿は変わらないが際限なくレベルアップしたりする。
    • 前作にない厄介な性質を持ったモンスターも大量に登場。
      • 特に印象深いのは「ゲイズ」系の催眠攻撃。これを受けると1ターンの間でたらめな行動をとってしまい、装備を手持ちの壺に入れさせて最悪消滅させたり、持っていれば倒れた時に復活できる復活の草を意味もなく飲ませてきたりと、致命的な被害を誘発させてくる。
      • また、臭い息で所持アイテムをランダムでおにぎりにしてしまうシュールなモンスター「妖怪にぎり変化」系も特徴的な存在。大切なアイテムをおにぎりにすることがある危険な存在だが、手持ちアイテムを不用品のみで固めるなど上手く利用すれば逆に食料稼ぎに使えたりもする*2
      • 幅広いモンスターのバリエーションとレベル制の導入により、ダンジョンの深層の敵の面子がまったく変わらないという前作の問題点もやや解消された。
    • 前作『トルネコ』ではボスに相当するキャラがいなかったが、本作ではメインシナリオダンジョン「こばみ谷」最奥でボスモンスターが登場する。
  • シャッフルダンジョンが登場。
    • マップが自動生成ではなく既成の中からランダムで選択されるダンジョンで、そのほとんどは屋外が舞台になっている。
    • 自然に近い場所であるため部屋や通路の形が複雑で、見た目も地下のダンジョンとは大きく異なる。
    • 旅人を主人公とした和風の世界観に合わせて渓流・峠・森林・湿原などロケーションも様々で、斜め見下ろし視点も交えて立体感と奥行きを持たせて描かれており臨場感がある。
  • 町や村だけではなく、ダンジョン内にも人間NPCが出現するようになった。
    • 旅に役立つ助言を与えてくれる者、シレンをサポートしてくれる者、こばみ谷途中の村まで護衛を頼む者など様々である。中にはシレンと共にモンスターと戦ってくれる「旅仲間」キャラも3人登場する。
  • ダンジョンの基本攻略法を学べる「フェイの問題」が登場した。
    • 詰め将棋のように、決められた場面のお題を解いていくというもの。
    • 初心者にとってはプレイしながらテクニックを覚えられる上、クリアごとにランダムにアイテムをもらえるのでテーブルマウンテン攻略にも役に立つ。
    • 通常は問題内で手に入れたアイテムを持ち帰ることはできないが、「倉庫の壺」を入手することでアイテムを持ち帰れる問題も存在する。
  • メインダンジョンの途中に町や村が登場するようになった。
    • 本作は全30階層のダンジョン「こばみ谷」を制覇することが目標だが、こばみ谷の道中にある村や町には宿屋・店・鍛冶屋・倉庫などが存在し、冒険の中継地点として役立つ。
    • ちなみに武器を鍛えてくれる「鍛冶屋」の登場も本作から。倉庫と鍛冶屋の両方がある中継地点「山頂の町」であれば、「立ち寄る度に倉庫に預けていた武器を鍛えてまた倉庫へ預ける」を繰り返す初心者救済策を取ることも可能。
      • 一部の武器・盾に設定された条件を満たすことで発生する、特殊な隠し武器・盾も3つ存在し、全て鍛冶屋が絡む。
    • 冒険の回数が増えるにつれ、村や町ではNPCによるイベントが発生する。物語を彩るだけでなく冒険の助けになる実利を含むものも存在し、中には、とあるアイテムや仲間キャラがこばみ谷で出現するようになる解禁イベントも含まれる。
      • 後述のエクストラダンジョン2つもこのNPCイベント絡みで解放される
  • クリア後に挑めるエクストラダンジョンが3つ登場。
    • スタート時に支給される「ワナ師の腕輪」を装着することで、敵をワナに掛けて進められる「掛軸裏の洞窟」。
      • 普段は厄介な罠を味方として使えるのが特徴。ただし宙に浮いているモンスターは罠にかからなかったり、強力なアイテムも少ないため、クリアにはワナの駆使が必須となる難しいダンジョン。また、こばみ谷より序盤の敵がやや強め。
    • 食神のほこら」では、支給される武器「ブフーの包丁」で敵を倒すとその敵が「(敵名)の肉」を落とすことがある。
      • 肉を食べるとモンスターに変身し、モンスターの特技が使用可能になる。また肉を投げると相手がそのモンスターに変身する。
      • しかし「ブフーの包丁」以外の武器が全くと言っていいほど手に入らず*3、変身中は敵が肉を落とさないため、進み方をしっかり考えておく必要がある。アイテムも店以外ほとんど落ちていない。
    • 両方とも途中にいるNPCに話しかければクリアとなるが、99F以上潜ることも可能。
    • ブフーの包丁とワナ師の腕輪はこばみ谷でも入手できる予定だったが、あまりにも個性すぎたためにこれらのアイテムをメインにした専用ダンジョンという形で実装するに至ったという説がある。
    • 上記の2つのダンジョンをクリアし、かつフェイの問題を全50問解いていると、前作の「もっと不思議のダンジョン」にあたる難関ダンジョン「フェイの最終問題」に挑戦できる。
      • ほぼすべての敵とアイテムが出現し、アイテムは草・巻物含めすべて未識別状態。あらゆるテクニックを総動員して攻略する必要がある。
  • 「拾う」コマンドがより多機能な「足元」コマンドに変更された。
    • アイテム欄が一杯の時でも「交換」でアイテムを拾えるようになった他、足元のアイテムやワナを直接使用したり説明を見ることができるようになった。
  • 1フロアに長居し過ぎた際のペナルティが、前作の地震から突風に飛ばされるに変更。
    • 前作同様、1回目、2回目の突風は無害なものの、3回目の突風でダンジョンの外へと吹き飛ばされてしまう。こうなると 問答無用で冒険失敗 となってしまうため、満腹度対策をして同じフロアに留まりレベル上げやアイテム収集を続けることのリスクが大きくなった。
      • 普通は発生しづらいが、町などの中継地点でも長時間とどまり続けると突風が吹く。
    • 本作の突風はフロアの滞在ターン数とは関係なく、コマンドの入力回数を表す「行動数」が一定値になることで発生する。前作の地震の発生条件もそうだったのだが、前作とは行動数の計算式が異なる。
  • 前作では敵味方共に攻撃命中率は87.5%だったが、本作ではシレンの通常攻撃の命中率が約91.4%に上昇。
    • 「必中の剣」を装備するとシレンの通常攻撃は100%必中になり、「見切りの盾」を装備するとモンスターの通常攻撃の命中率が50%まで下がる。
    • 一方でアイテム投擲の命中率は87.5%のままなので、投擲より通常攻撃の方が当たりやすくなっている。

評価点

前作からの正統進化

  • 上記にある数々の新要素は今でこそ当たり前のことばかりに思えるが、その後の不思議ダンジョンシリーズの骨格部分が今もほとんど変化していないことを考えれば、本作がいかに完成されたゲームであるかがわかる。

自由度・やりこみ性の高さ

  • 代表的なのが、ラスボスに肉化(ブフーの杖)以外のあらゆる状態異常が通用すること。
    • モンスターハウスの巻物を読んだりジェノサイドの巻物を投げると一撃で即死する。エーテルデビルやカラクロイドの肉を食べると一方的に倒せたり、逆に弱いモンスターの肉を投げつけると瞬殺できる。
    • ただし、小細工抜きに真っ向から殴り合うと強い。ステータスの上では多くのレベル3モンスターより攻撃力が低いが、HPの高さや雑魚やワナでの妨害で苦しくなる。
  • 町もダンジョン扱いになっているため、住民を矢で殺したりモンスターにさせたり、果てはアークドラゴンの肉を食べて全員焼き殺すなんて遊び(?)も可能。
    • 店の中で泥棒しない限りは怒られないので、「殺人無罪窃盗死罪」というパワーワードが生まれた。
    • 死亡した住民は次の冒険の際に何事もなかったかのように復活するので特にデメリットはない。一部のイベントがその冒険の間だけ進行しなくなる程度である。
    • 住民をモンスターに変える遊びも、やり方次第で「満腹度の減らない安全なマップで、モンスターの経験値やアイテムを稼ぐ」というテクニックに発展させることができる。こういった特性を利用したテクニックを自分で考えていくのも面白い。
  • 書き込んだ巻物の名前に応じた効果を発動する「白紙の巻物」でしか発動できない効果があったり、最強の武具を製作するという裏技的要素も存在。
    • 前者のうち1つは「ストーリーダンジョンを倉庫なしでクリアする」という縛りプレイに近いクリアで得られる。このほかにも本作では縛りプレイが熱い。
    • もう1つは、前作に出た「聖域の巻物」の効果を発揮することができるのだが……本作ではガイコツまどう、おばけ大根やオヤジ戦車など、聖域を無視して攻撃できる強力な飛び道具系の技を使う敵が多く、使用しても前作ほど無敵にはならない。パコレプキン系など壁抜けできる敵からも攻撃を喰らってしまう。それでもゲイズ系など大半のモンスターは完全に無力化できる。
  • 仕様の穴を突いた要素だが、「フェイの問題を全部クリア(=冒険回数50回以上)しないと行けないフェイの最終問題を冒険回数1回の状態でクリアする」という特殊なやりこみも存在する。

特別なエンディングの存在

  • 条件は「旅仲間キャラを連れたままラスボスを倒す」というもので、エンディングおよびスタッフロール中の風景が少し変化する。
    • 旅仲間キャラはLVが上がらず後半が非常に厳しい上に、ラスボス撃破及びエンディング鑑賞の機会は初回に見れる一度きりのみ。それでもやってのけるプレイヤーを想定して、このようなエンディングの変化を用意していたチュンソフトには感服するばかりである。単に3人同時に仲間にするだけなら、イベントの時期を調整することで簡単にできるので、ぜひ挑戦してみてほしい。

世界観を演出する質の高い和のBGMとSE回り

  • BGMは前作『トルネコの大冒険』と同じくすぎやまこういち氏が担当。和風テイストの楽曲はいずれも名曲揃いで、トルネコシリーズと同じく、一つの曲をベースに様々なメロディにアレンジするという手腕が発揮されている。
    • また、効果音も、前作で使用されていたのと同じもの・新規のもの含めて音色が独自のものに作り直されており、本作のトルネコシリーズとは一味違う雰囲気を演出している。

賛否両論点

前作に比べると「理不尽かつ大味なゲームバランス」になっている

  • 一部のモンスターが大幅に強化されている。
    • 上記のゲイズ系を筆頭に、ガイコツまおう、アークドラゴン、イッテツ戦車など凶悪なモンスターが多く、理不尽な死に方が大幅に増えている。
      • その対策も厄介で、ゲイズやガイコツまおうは魔法を反射するレア盾がなければ行動を封じられている間に殴り倒されかねない。
      • アークドラゴンはドラゴンシールドで炎のダメージを半減しても、近づくことすら困難。出現階までにどれだけ回復手段や「ジェノサイドの巻物」を用意できるかの消耗戦となる。
    • エクストラダンジョンは35階まではそれなりにバランスがとれているも、36階から敵の攻撃力が一気に上がり、さらに進むごとに最大値の255に達している者が多くなるために、並の装備品ではまず敵と殴り合えなくなる。下記のテクニックなしでは相当なプレイヤースキルがないと99F到達は難しい。
      • ただし、凶悪モンスターの多くはエクストラダンジョンのみに自然発生する。そしてエクストラダンジョンはもともと持ち込み不可のため、死んでも特別ペナルティがあるわけではない。「何度も潜り少しずつ装備を整える」が「何度も潜り少しずつ知識を蓄える」に変わっただけとも言える。
    • ちなみに最凶クラスの理不尽さを持つ「ねむり大根」は本作では自然発生しない上、ゴーストハウスにも出てこない。出るとしたらベルトーベンに呼び出されるか、めまわし大根からレベルアップする時だけなので、この時はまだ牙を隠している。
    • エクストラダンジョンのみに発生する「特殊モンスターハウス」は特定のカテゴリーを集めたタイプだが、序盤から平然とレベル3の敵が登場するため理不尽な死に様が後を絶たない。
      • 特にパワーハウスの「デブートン」の凶悪さは有名で、10マスも離れた位置から攻撃力255の石を投げて攻撃してくる。開幕ドレインハウスの「うたうポリゴン」も凶悪で、2ターン目で通路に逃げ込めないとほぼ終わる。
  • ゲームバランス崩壊級のアイテムも存在している。
    • 「白紙の巻物」か「吸い出しの巻物」(壺に使うと中身だけを取り出せる)が計2枚と、容量4以上の「分裂の壺」(入れたアイテムが2個に分裂する)があれば簡単にアイテムの無限増殖が可能。無限合成や無限落とし穴で簡単にクリアできてしまう。
      • 分裂の壺と白紙(吸い出し)の巻物2枚が揃えばクリア確定と言ってもいいほどで、シレンに限らず、歴代ローグライクゲーム最強のアイテムコンボとも言える。
    • 「強化の壺」(入れた武器等が1階進む毎に強化されていく)も強力。
      • 盾をいくつも入れて強化した後に合成することで、攻撃力255モンスターの攻撃を0ダメージにできるほど強い盾を簡単に作れてしまう。
      • また、有用な杖の回数を大幅に増やすことも容易。
    • どちらの壺もフェイの最終問題でしか入手できないが、それなりの確率で落ちているので、浅層でも十分できるというのがバランスの悪さに拍車をかける。
    • 透視の腕輪、復活の草、ジェノサイドの巻物なども非常に強力なアイテムである。これらが入手できなければフェイの最終問題の難易度が格段に上がるほど。
      • 凶悪なモンスターに超強力なアイテムで対抗するバランスになっていると言える。
    • バランスは大味気味だが、その大味さの波に真っ向からぶつかって進むもよし、反則アイテムで狡賢く進むもよし、あえて強力なアイテムを縛って進むもよし、普段何気なくやっていることをしないで進むもよし……と、裏を返せばプレイヤー自身の好みを反映させやすい自由度の高さを持ち合わせているとも言える。

エクストラダンジョンのモンスター分布について

  • 「フェイの最終問題」は序盤こそ2F~5F程度で一新されるが、中盤~後半の出現モンスター更新のスパンが長く、人によっては中弛みしやすい。
    • 特に、全体の約4割にあたる60F~99Fはモンスターの顔ぶれが殆ど変わらない*4上に、敵の種類も少ない。
      • アークドラゴンやイッテツ戦車のような強敵が多いとは言え、長々と同じ敵を相手にしなければならず、変化に乏しく途中から飽きてくる・ダレやすいという声もある。
      • さらに、高HPで防御力も高く正攻法では倒すのに平均10ターン程かかる「正面マスター」の存在が、この仕様と悪い方向に嚙み合ってしまっている。盾の補正値が限界まで鍛えてあると倒すまでAボタン連打しかすることが無くなり、ますます単調になる。
  • 「食神のほこら」と「掛軸裏の洞窟」はさらにスパンが長く、46Fからモンスターの顔ぶれがあまり変わらなくなる。
    • フェイの最終問題と違ってアークドラゴンやイッテツ戦車が出現せず、60Fからは同じモンスター構成のままエンドレスに続く。
    • ただし、これらは46Fまで潜ることがやりこみプレイの部類。アークドラゴンやイッテツ戦車はこれらのダンジョンにおいては強すぎるため、自然出現しないのは妥当だろう。
  • 本作のほとんどのモンスターはレベルが3段階しかなく、数が少ないため仕方ない面もある。
    • だが、序盤のモンスターの出現フロアを増やして後半のモンスターの出現を遅らせるなど、もう少し工夫できなかったのだろうか。
    • レベルアップ(レベルダウン)やシューベル系に呼ばれる等でしか出て来ないモンスターが何種類かいるので、それらを自然発生させるフロアを増やす等、やりようはあった筈である。

バネフロア

  • ダンジョンの部屋のパターンに「通路が存在せず、10分割された部屋をバネでワープする」ものが存在する。
    • どの部屋に飛ぶかは完全ランダムな上、大きい部屋ほど抽選率が高い仕様の為、目当ての部屋が4×4マス(最小サイズ)だったりするとたどり着くまでに難儀する。
    • あっさりアイテムを回収出来る事もあれば、運が悪いと階段部屋になかなかたどり着けない事もあり、ストレスが溜まる。
    • 部屋の構造上モンスターからの妨害を受けにくいというメリットがある為、一概に欠点とは言えない。

問題点

  • ダンジョン深部に行くほど「攻撃力」より「防御力」の方が重要なゲームバランスになっていく。
    • レベルアップすると最大HPと攻撃力が上昇するが、防御力はレベルアップでは上昇せず、盾を鍛えることでしか上げられない。
      • なのに鍛冶屋が鍛えてくれるのは武器だけ、錆罠がサビさせてくるのは盾のみで、盾の方が鍛えにくい。
    • 盾は+99まで鍛えることで全てのモンスターの通常攻撃を0ダメージに抑えられるが、武器を+99まで鍛えても全てのモンスターを一撃では倒せない。
      • これは、シレンの攻撃力がモンスターと同様に「255」でカンストしてしまうのが原因である。そのため、攻撃力が255になってしまうと、それ以上武器を鍛えるのはほぼ無意味になってしまう。
      • 「会心の一撃が出る」「ドラゴン系にダメージ倍化」などの特殊能力を合成することで攻撃力255の壁を超えることもできるが、それでも限界がある。そのため、武器を鍛える楽しみが微妙になってしまった。
    • 36階以降のモンスターの大半は、攻撃力255のシレンでも一撃では倒せない。攻撃力255でも3発以上殴らないと倒せない雑魚敵もいる(ヘルギャザーやハードレムラスなど)。
      • つまり終盤になると、「攻撃力255のシレン VS 攻撃力255のモンスター」という不毛な殴り合いになる。こうなると防御力が高い方が必然的に有利になるので、ある程度盾を鍛えるのは攻略に必須となっている。
      • また、36階から敵の攻撃力が頭打ちになることから、「盾の強化は必須だが、強化さえしてしまえば以降のモンスターの通常攻撃は全く怖くなくなる」というかなり極端なバランスになっている。その場合、怖いのはアークドラゴンなどの防御力無視のダメージを与えてくる敵のみとなる。
    • 前作のトルネコにも攻撃力上限はあったのだが、シレンでは強化の壺や合成の壺で武器や盾を+99まで鍛え上げることが容易になったために露呈した問題点と言える。
      • 前作では+99まで装備を鍛えるのに相当なやりこみが必要で、もっと不思議のダンジョン30階の奇妙な箱を持ち帰るだけなら+99まで鍛える機会は皆無だった。本作では、フェイの最終問題をクリアするまでに+99まで鍛えることが比較的楽にできてしまう。
  • バグが結構多い。意図してやらない限り発生しないが、詰んでしまうような重大なバグがいくつか存在。
    • 1フロアに長くとどまって中断→再開すると読み込む内容の多さからロード時間が異様に長くなる。あまりに長くとどまっていると、データ消去やバグの発生につながってしまうことも。
  • 後のシリーズと異なる点として、冒険ごとに倉庫内のアイテムが未識別状態になってしまうという点がある。おそらくストーリーの道中にある預かり場(中継点にある倉庫)の影響だろう。
    • 一方で識別後のアイテムを覚えていれば杖の回数以外を識別した状態で冒険に臨めるが、アイテムを持ち込めるテーブルマウンテン(こばみ谷)でしか使えないのでクリア後だとありがたみはほとんどない。
  • 回想システムの仕様
    • 前作に存在した「倒れた(脱出した)フロアでの死因や動き等をリプレイし、研究して次の冒険の役に立てたり、コピーして珍プレー好プレー動画として残したりする」という回想を使ったテクニックが、本作では若干活用しづらくなっている。
    • 前述の通り、町もダンジョンとして扱われている。そのため、ダンジョンで倒れて町に戻ると新たなフロアに行った扱いになり、ダンジョン(前のフロア)での行動は消されていく。
      • つまり、倒れてからスタート地点の町に戻されるまでに急いで本体の電源を消さないと、回想として残されなくなってしまう。
    • 前作では町がダンジョンとして扱われていなかったために発生しなかった。
  • こばみ谷(メインダンジョン)を歩き回る徘徊NPC
    • ダンジョンでは、シレン以外の風来人もうろついていて、話すとプレイに関するヒントをくれるが……シレン1人なら入れ替わって難なく進めるが、入れ替われるのはシレンだけなので、仲間がいる場合はNPCの後ろに置き去りになってしまう。部屋ならまだいいが、行き場の無い通路だと邪魔。
      • 本作の旅仲間は、別の部屋に置き去りにしたり、落とし穴に落ちてしまうと、次のフロアについてこれずにはぐれてしまう。「特別なエンディング」達成の難易度を上げている一因。
    • それが嫌なら、後ろをついて行くしかないのだが、こいつら揃いも揃って鈍足(2ターンに1回しか行動できない)なので、ついて歩くのは非常にめんどくさい。回り道も場合によってはロスするし、倒すにも打撃ができないので矢などのアイテムを使うことになる。敵モンスター以上の邪魔者になってしまっている……というのは言い過ぎにしても、少々不親切な仕様である。
      • 仮に等速だった場合は逆にシレンが追い付くことができなくなるので、仕方がない仕様とも言える。また、こういった徘徊NPCを倒してもペナルティはないし、NPCが出現する序盤で仲間がモンスターに苦戦することは少ないので、置き去りにしても後で合流すればそんなに問題はない。
  • フロアに存在可能なアイテムの最大数が少ない
    • (壺の中身を含む)所持アイテムと床落ちのアイテムの総数が127を超えると、そのフロアではそれ以上アイテムが生成されなくなってしまう。
    • 本来なら壺を使って最大220個のアイテムを携行できたことを考えると、127という数字は意外と少ない。
      • ただし、220個のアイテムを持ち歩くには容量10の壺が20個も必要。普通に落ちている壺の容量の最大値は6なので、相当な数の「壺増大の巻物」が必要になる。装備品を+99まで鍛える作業よりよっぽど大変である。そもそも、壺を20個持ち歩くと武器や盾や腕輪を装備できなくなるので、あまり現実的ではない。
    • 宿場や町にアイテムを大量に持ち込むと倉庫や預かり場のアイテムが消えてしまうため、こばみ谷を周回したりダンジョンからアイテムを持ち帰る際は注意が必要になる。
  • アイテム持ち込み可能なダンジョンがこばみ谷のみで、エクストラダンジョン3つはいずれもアイテム持ち込み不可能。
    • そのため、強力なレベル3モンスターが大量発生するのは持ち込み不可ダンジョンのみであり、こばみ谷で鍛えた装備を作ってもそれに見合うモンスターがいない。
    • こばみ谷でしか入手できない最強装備である、秘剣カブラステギやラセン風魔の盾の使い所が非常に少なくなってしまっている。

総評

『不思議のダンジョンシリーズ』の基礎を完成させ、シリーズの土台を築いた画期的な作品。
本家チュンソフトのシリーズだけではなく、他社のローグライクゲームにすら影響を与えている。
大味かつ絶妙に計算されたゲームバランスは後続作品では味わえない今作独自の魅力でもあり、プレイヤーのセンスと腕次第で自由な遊び方が可能。
日本においてローグライクというジャンルを決定づけるようになった作品だろう。


その後の展開

  • 後にニンテンドーDSで『不思議のダンジョン 風来のシレンDS』としてリメイクされている。こちらは別項目を参照。
  • 本作自体の外伝作品として1996年4月28日~5月24日の間、サテラビュー放送番組として 『BS風来のシレン』 がサウンドリンク(音声連動)ゲームとして放送された。青二プロダクション所属のキャストによるドラマパートと「風来のシレン スペシャル・アレンジヴァージョン」を音源とした高音質のサウンドで4週にわたって1時間ずつ計4時間のダンジョン探索を行い、ダンジョン深層に囚われたスララを救出するシナリオとなっている。
    • 4週ごとに制限時間の1時間以内で既定のダンジョンを攻略していく形式で最終話の第4話後半では、道中スララを引き連れた上での探索を要求される。ダンジョン内で力尽きた場合は「倉庫の壷」で倉庫に送ったもの以外はロストした上で放送されているダンジョンのやり直しとなる。
    • 他プレイヤーとの競争要素として4週分のプレイで獲得した総スコアに応じて放送元であるSt.GIGA社から表彰されるキャンペーンが存在した。
  • Wiiのバーチャルコンソールで配信されていたが、ゲーム性を損ねないようにするためか、セーブデータをSDカードに保存できないようになっており、また一部のバグも修正されていた。
    • 「まるごとバックアップ機能」の存在がゲーム性を損ねてしまうためか、WiiU・New3DSのバーチャルコンソールでは配信されていない。
    • Wiiショッピングチャンネルが2019年1月31日で終了したため、今から本作のVC版を新規で購入するのは不可能。
  • 2000年8月1日からニンテンドウパワー*5での書換えが開始された。

余談

  • チュンソフト公式より、プレイ動画の公開や投稿が許可されている作品である。公式で今作を用いた大規模なRTA大会が開催された時も大きな話題となった。
  • 2013年に藤商事から『CR不思議のダンジョン 風来のシレン すずね姫とまどろみの塔』としてパチンコ化された。
    • シリーズからキャラクターを結集し、一部オリジナルキャラも登場する。
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  • 風来のシレン

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最終更新:2024年03月22日 16:33

*1 双方とも、後に『ドラゴンクエスト・キャラクターズ トルネコの大冒険2 ~不思議のダンジョン~』『不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!』がそれぞれ別々に登場している

*2 通称「オニギライズ」・「ニギライズ」

*3 他に手に入る武器はタウロス系の敵が落とすミノタウロスの斧のみだが、タウロスとミノタウロスは出現せず、メガタウロスが51階から出現するのみなので通常プレイする範囲では手に入らない

*4 5種を除いて物荒らし&カラクロイド→洞窟マムルの変化しかない。

*5 ローソンで1997年9月30日~2002年8月31日まで行われたゲームソフトの書換えサービス。空状態の専用メモリカセットを3,980円購入して別料金で書換て入れる必要がある。割高な上に端末の操作がわかりにくくスーパーファミコン自体が時代遅れ同然だったこともあって普及しなかった。しかもこういった既存タイトル専用タイトルに比べると書換え料が安かったが中古カセットを購入した方が安かったため尚の事利用されなかった。

*6 専用新作ソフトとしては2000年11月29日に『メタルスレイダーグローリーディレクターズカット』が書換え開始された。因みにこれはスーパーファミコンそのものでも最後のソフトとなった。