ザ・モノポリーゲーム2

【ざ・ものぽりーげーむつー】

ジャンル ボードゲーム
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対応機種 スーパーファミコン
発売元 トミー
開発元 トムキャットシステム、エイプ
発売日 1995年3月31日
定価 11,500円(税別)
プレイ人数 1~5人
判定 良作
モノポリーシリーズ


概要~「モノポリー」ってどんなゲーム?

  • モノポリーとは、盤面周辺に配置された40マスをぐるぐる回る、世界的人気を誇る双六ゲーム。その中には28種類の物件マスがあり、それらを購入し、他のプレイヤーから「レンタル料」を徴収することでお金を稼いでいく。
  • しかし、通常時のレンタル料は微々たるもので、このままでは勝利を目指すどころか、ゲームが永遠に終わらない。そこで他のプレイヤーと「交渉」をし、8色あるカラーグループに属する2~3物件や盤面各辺の真ん中に配置されている「鉄道」、止まったときのサイコロの出目でレンタル料が決まる「電力・水道」をまとめていくことになる(当然それ相応の物件や現金を他プレイヤーに放出する必要も生じる)。
    • なお、かなり勘違いしている人が多いので補足しておくと、購入可能な土地は「止まった人が買える」ではなく「止まった人が定価で買える権利がまず与えられ、拒否した場合は全員で競売(最高値を付けた人が購入)。」である。このため「自分がほしい土地に止まれないのでいくら出してもいいのに揃えられない」ということはなく、人数にもよるが普通は数周もすればすべての土地に購入チャンスは発生する。
  • 「交渉」によって物件をまとめると、カラーグループの場合は家を建設できるようになり、レンタル料も最初とは比べ物にならないものに跳ね上がる。「鉄道」「電力・水道」もカラーグループほどではないがそれなりのレンタル料に跳ね上がる。この「跳ね上がったレンタル料」で、他のプレイヤーを支払い不能、つまり「破産」に追い込むのがモノポリーの最終目的である。
  • なお、非常に重要なことだが「交渉」は他のプレイヤーのターン時でも可能。また家の建設や、資金を得るために物件を抵当に入れる場合も同様。(抵当に入れられた物件からはレンタル料は得られなくなる。借金が増えたり没収されることはないが抵当を解除するためには抵当価格に10%上乗せした額を支払う)
  • モノポリーの要素を取り入れたボードゲームソフトには『いただきストリート』や『カルドセプト』が挙げられる。

特徴・評価点~「わかっている」とファンを唸らせたモノポリーのゲームソフト

  • このゲームは大のモノポリーファンであり、日本モノポリー協会会長を務めている糸井重里氏、モノポリーの世界大会優勝経験者の百田郁夫氏が監修に当たっており、開発もモノポリーの大会にて優勝経験有なスタッフがいるトムキャットシステム、『MOTHER』で知られるエイプが手がけている。
  • そのため、ゲーム内容も実に「わかっている」とファンを唸らせる出来になっている。
    • 「ルールの部屋」では上記でも記したモノポリーの基本的な遊び方が学べる。またゲームを進めると「攻略本」という名の下に、モノポリーをもっと戦略的に進めるためのアドバイスも追加される。(例えば有利・不利なカラーグループなど)
    • 総勢36人ものCPUプレイヤー。好々爺、ギャル系、気弱なサラリーマンなど特徴あるキャラ付けがなされており、それぞれに好きなカラーグループなどのキャラ付けがなされており、また特徴的なセリフを話すので(例えば「しもだ」の「このクソカード!」)、まるで対人戦を楽しんでいるかのような錯覚に陥る。
      • 刑務所入所時のセリフも、物件を購入する段階の序盤ではがっかりする表情だが、物件が売り切れてレンタル料も高額化している中~終盤ではほっと一息つく表情を見せるなど、芸も細かい。
    • もちろん、実際の対人戦も可能。「マルチプレイヤー5」を使用して最大5人の対戦ができる。
    • 「歴史の部屋」に入ると、「いかにしてモノポリーは創られたか」をはじめ、モノポリーに関するマニアックなトリビアを閲覧できる。
    • ミニゲームとしてクイズやスロット、麻雀風カードゲームが収録。暇つぶし、息抜きにもってこいである。
      • ただし、スロットとカードゲームは後述のオレンジカップ決勝をクリアし、「カジノの部屋」をオープンしないとプレイできない。
  • ゲーム本編は、プレイヤーはモノポリー大会が開かれているホテルの宿泊客となり「オレンジカップ予選・決勝」「レッドカップ予選・決勝」「イエローカップ予選・決勝」「グリーンカップ予選・決勝」そして「ボードウォークカップ」を勝ち抜くことが目的。それぞれには参加料(コイン)が必要で、高ランクカップになるにつれ高くなる。ちなみにコインはゲームスタート時、およびコインがなくなってしまった時に、フロントから3枚もらえる。
    • ただし各カップを順番に勝ち進む必要はなく、前述のミニゲームで参加料を稼いで、いきなりボードウォークカップに挑むこともできる。
    • ボードウォークカップ優勝後は、「フリープレイの部屋」がオープンする。そこでは前述の36人のCPUから好きな対戦相手を選択してゲームを楽しめる。
    • 「トロフィー集め」というやり込み要素もある。上記カップ戦に優勝することはもちろん、ミニゲームで好成績を収めるほかに、「フリープレイ○連勝」というかなり厳しい獲得条件のものもある。
  • このように、「モノポリーをわかっている方々」が手がけたゲーム内容、手応えのあるやり込み要素、そしてボード版での対人戦にも通用しうるテクニックが身につけられるCPU対戦から、発売から15年が経過した今でも「モノポリーのゲームソフト最高傑作」に本作を挙げる方々は非常に多い。

問題点

  • プレイ中のテンポがあまりよくない。CPUのセリフがスキップできない仕様。ボタンを押していると若干セリフの処理は早くなるが、「…」など、考え込む表情などでセリフが止まる部分は早くならないので総じて時間がかかる。
    • そのため1ゲーム終わるのに1時間以上、長くなると2~3時間かかる。ここに苛つく人もいる。
    • 誰か一人が生き残るまでゲームが終わらないデスマッチ方式オンリーなのも時間がかかる原因。モノポリーのルール上、ほぼ逆転不可能な状態から十分以上かかる場合も。
      • またその結果、モノポリーをしてもコインはロクにたまらず、カジノやクイズで稼ぐのが最適解、と言う事になってしまっている。ただ、これは「コイン不足でストーリーが進まない」と言う事がほとんどない、と言う事でもあるが。
      • ただしアイテムコンプリートまで考えると、「ちょっといいトロフィー」&「すっごいトロフィー」(コインを貯めて購入するのだが、これが凄まじく高い)など、やり込み要素とは言えやや厳しい労力を払わされるアイテムも。
  • 「モノポリーが分かっている人間」には良いソフトだが、「モノポリーを初めて触れる人間」には序盤ステージのCPUでもかなり厳しい。交渉を繰り返していくゲームの性質上、そこで何をしていいのか分からず投げてしまう事も。
    • 初心者のためには先述された攻略本が役に立つ筈なのだが、その攻略本はレッドカップ決勝(4ステージ目)を勝ち抜かないと手に入らない。かといって「CPUの戦術を見て学んでいく」ほど序盤のCPUの頭が良い訳ではない。
      • もっとも、発売当時ならばともかく、現在このWikiを読めるような環境にある人なら、ネット上でいくらでもファンによる戦術解説サイトを見つける事が出来るので大した問題点ではないが。
  • 逆に、モノポリーに詳しい人間にも、やや不満な点も存在する。
    • 本来のルールでは、全資産を抵当に入れてもレンタル料を払えないプレイヤーは「仮破産」となり、交渉の機会が与えられる。この交渉を行っても足りない場合に初めて「破産」となりゲームから脱落する。しかしこのSFC版では即座に「破産」となり、交渉が行えない。
      • モノポリーでは、破産させたプレイヤーは破産したプレイヤーの持つ全ての資金と権利書を獲得する。そのため、多くの権利書を持っているプレイヤーを破産させた者がすべての権利書を受け継いで独走態勢になってしまったり、逆に受け継いだ権利書が抵当に入っていた場合の手数料で強制的に現金不足に追いやられたり、などという事が起こり得る。
        通常のモノポリーではそれを阻止するために、他のプレイヤーが仮破産プレイヤーの権利書を買い取って生き延びさせる「救済交渉」という行動をとるのが一般的である。しかしこのSFC版ではそれが出来ないために、破産が以後のゲーム展開に、本来以上に大きな影響を与えてしまうのである。
        ただし、この救済交渉は多くの権利書を交渉の俎上に乗せるため、柔軟な会話の出来ないCPUでは難しいと言う事情もあり、致し方ない所でもあるのだが。
    • 最後にサイコロを振ったキャラの次の手番のCPUは、「先にサイコロを振らせて下さい」と言って絶対に交渉に応じてくれない。普段はモノポリーの定石として正しいのだが、残り2人になった場合や、レンタル料が払えず今すぐにお金が欲しいと言う場合には、この仕様が不自然になる事も。
  • 相当練り込まれているCPUキャラとの交渉だが、実は釈放カードを使った抜け穴が存在する。
    • 釈放カード2枚をまとめて売ると85ドルで売れて、75ドルで買い戻せる。これを繰り返すと現金を無限に徴収でき、独占の土地を抵当に入れてでも現金を作って買ってくれる。さすがに家の売却まではしてくれない。
  • モノポリークイズの中に、前作と本作に共通した出題ミスが存在する。

総評

「卓上ゲームのコンピューターゲーム化」に伴う難点は存在するものの、「モノポリーの魅力、醍醐味」を余すところなく再現して見せた良作といえる。
発売から十数年経過した現在でも「モノポリーのゲームソフト最高峰の傑作」とファンから支持される理由は、ひとえに製作スタッフの「モノポリーへの愛」であろう。CPUの思考ルーチン、盤面の雰囲気作り、その他要素とも、「モノポリー愛を持っている者」でないととても作れるものではない。


その後、モノポリーのゲームソフトは…

  • PS、PS2、GC、GBA、Windowsなど、多種のハード向けに様々なメーカーからモノポリーのゲームソフトが発売された。
    • タカラから発売されたPS版は前述の百田郁夫氏が監修している。出来もそれなりの好評価。
    • トミーから発売されたPS2&GC版『めざせっ!大富豪人生』は「CPUの出来が悪い(たいしたキャラ付けがなされていない)」「劣化『いただきストリート』というべきオリジナルモード」「余計なミニゲームを導入(これで他プレイヤーの物件の強奪や、多額のレンタル料を他の誰かになすり付けることを図れる)」などが理由で、不評を買っている。
    • 2009年3月19日にエレクトロニック・アーツ(以下EA)から発売されたWii版は、PS2&GC版の不評要素の一部に加え、「自分のターンにしか交渉・家建設・抵当とその解除ができない」「キャラ付けされたCPUがいない。それどころか一人用モードすら存在しない」「操作の多くがWiiリモコンでのポインティングであり十字キーでは操作できない」という仕様になっており、モノポリーの醍醐味もパーティゲームとしての快適さも失われてしまっている。(しかも海外では、操作以外全く同じ内容でXbox360、PS3、PS2でも発売されている)
    • 2017年にユービーアイソフトから発売されたNintendo Switch版は、相変わらずルールが間違っている、ロードが長くテンポが悪い、操作性がいまいちなど評価が悪く、「モノポソー」と言う蔑称が付けられてしまっている。

第一作の特徴

  • 「2」とナンバリングがされている、ということは前作も存在する(『モノポリー』型番:SHVC-ML)。本作ほど有名ではないものの、音楽はすぎやまこういち氏が手がけている
    • もちろん、すぎやま氏も「モノポリーへの愛を持っている者」の一人である。
  • 「2」はサイコロを振って出目がわかった直後にリセットして再開すると、振った直後から再開するが、「1」では振る前から再開し、交渉や家の建設もできてしまう(出目は変わらない)。これを利用して、一度CPUにサイコロを振らせて自分の土地に止まるかどうかを確認してから、リセットして家を建てるといった攻略法が存在する。結果、破産しにくくなる。
  • プレイヤーが負けることを最優先した交渉、すなわち、CPU同士でその時における相場から逸脱した金額でカラーグループをまとめる交渉をしたり、明らかに自分が不利になるような交渉を平気でする。当然そうして取引した片方のCPUは程なくして破産し、一方的に強くなったもう片方のCPUにプレイヤーも窮地に立たされる。これが初代SFC版モノポリーをつまらなくさせた最大の原因である。

余談

  • 本作のWiiバーチャルコンソール配信は絶望的。理由はUBIソフトが2014年からモノポリーのゲームソフト化の権利を原盤の版権を持つハズブロからライセンス契約により取得しているからである。
  • 本作において、CPUの出すサイコロの出目を疑うプレイヤーがいるが、かつてウェブ上に存在したモノポリーファン向けの掲示板で同様の疑義を呈した時は、開発に関わっていた百田氏がその掲示板で「出目の操作はしていない」と出目の操作を否定した書き込みをしている。またこの件については、本ソフト用の攻略本にも同様の記述がある。
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最終更新:2021年08月22日 16:35