カービィボウル

【かーびぃぼうる】

ジャンル アクション
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 スーパーファミコン
発売元 任天堂
開発元 ハル研究所
発売日 1994年9月21日
定価 7,900円(税別)
プレイ人数 1~2人
セーブデータ 5個(バッテリーバックアップ)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2007年4月24日/800Wiiポイント(税5%込)
【WiiU】2013年5月8日/800円(税5%込)
【New3DS】2016年6月7日/823円(税8%込)
書換 ニンテンドウパワー
1997年9月30日/1,000円/F×3・B×4
判定 良作
ポイント SFC初のカービィかつカービィシリーズ4作目
ゴルフ+ビリヤードのようなボールゲーム
完全クリアの難度非常に高し
星のカービィシリーズリンク


概要

SFC初のカービィ作品にして、カービィシリーズの第4作目。
また、カービィのボールゲームとしては2作目になる。
ゴルフとビリヤードを組み合わせたゲーム(公式談)。

物語

ちいさなほしの ちいさなくに
ここは へいわな 「プププランド」
きょうも カービィは のんびり のんびり へいわなひびを おくっています

そんな あるひの ある よるのこと
「こんやも ほしたちを ながめながらすてきなゆめを みようかな」
「おやっ?」なんだか ようすが へんです
いつもなら たくさんの ほしたちがきらきら かがやいて いるのですが こんやは ほしが たったひとつしかでていないのです
そのときから とても さびしいよるがなんにちも つづきました

カービィは いなくなった ほしたちのことがしんぱいで こんやも よぞらを みています
「あっ!?」そのときです
「ウシシシ まだひとつ のこっていたぞ」
あの「デデデだいおう」が さいごのほしをさらっていくところを みつけました

「プププランド」の よぞらにきれいなほしたちを とりもどすため カービィは 「デデデだいおう」の あとを おいかけるのです
めざすは てんくうにうかぶ だいおうの しろ がんばれカービィ!


特徴

基本システム

  • 本作では主人公であるカービィはボールとして登場。プレイヤーはボールのカービィをゴロ又はフライでショットし、コース上すべての敵を倒してカップインするのが目的。
  • ステージ上には何体かの敵が配置されており、ぶつかることで倒すことができる。
    • 最後に残った1体がゴールのカップに変わり、そこにカービィをカップインさせることでステージクリアとなる。そのためゴールカップの位置は敵の数だけバリエーションがある。
  • 8つのコース、それぞれに8つのステージ(ホール)があり全64ホールが用意されている。
    • クリア後にEXコースがあり、64ホールすべてを敵・やくもの配置が変更された状態で挑む。
  • カービィは1打ごとに、残り体力を示すバイタリティが1つ減り、ステージ上の一部障害物にぶつかってダメージを受けるとさらに減少する。
    バイタリティがゼロになる、もしくはOB(ホールの外へ落下)になると残りカービィが1体減る。
    • バイタリティは敵を1体倒す/ゴールにカップインすると回復させることができる。
    • 残機を増やす方法はホールインワンのみ。(1打目で敵を全て倒しそのままカップイン)
  • 打ったあとに特定のタイミングでAボタン(がんばれボタン)を押すことで、転がる距離を伸ばしたり少し強くバウンドさせたりできる。
  • ゴロとフライ二種類のショットに、左右へのカーブ(回転)を使い分け、地上や空中に配置された敵を倒しゴールを目指す。
    • ゴロの場合のカーブは壁に接触した後も横回転は持続する。何らかのダメージを受けたり、能力を発動すると横回転はなくなる。
    • フライの場合のスピンは前後左右にかけられ、1バウンド目のみにその効果が出る。バウンド前に壁接触、ダメージ、能力発動いずれかでスピンは解除される。
      • なお、撃つ際には目安となるガイドラインが表示され、そこにはカーブやスピンも反映される。フライでは2バウンド先まで表示。
  • 打つ方向、ゴロかスピンか、回転をかけるか決定すると、パワーゲージを調節して打つ。
    • なお、フライ、カーブでのガイドラインは最大パワー時の表示で固定。
  • ステージ上には様々な仕掛け「やくもの」が満載。以下に例を挙げる。
    + やくものの一例
  • キックパネル:青い丸に矢印があるパネル。どんな角度からボールが飛んできても、このパネルに乗ると矢印の方向に転がっていく。(スピン状態でも矢印方向が優先され、スピンの効果は消える)
  • ダメージゾーン:トゲ。上にカービィが乗るとダメージを受けてバイタリティが1減り、速度も落ちる。
  • ワープパネル:ボールがパネルからパネルへ速度を保ったまま瞬間移動する。色によってワープ後の動きが違う。
  • バンカー:砂が敷き詰められたパネルで、ボールの勢いを止めてしまう。
  • 水:強いゴロやフライのスピンである程度は水切りショットができる。いくつかの能力は水上でも使用できるが、そのまま沈んでしまう能力もある。水中からのショットは水の抵抗がかなり大きく、脱出は困難。また、多くの場合水を抜いたり、元に戻したりするスイッチがある。
  • 回転床:カービィの弾道に影響が出る。回転を止めるスイッチが必ずどこかに有る。
  • トランポリン:フライ等でバウンドすると床より高く跳ねる。がんばれボタンを併用すると効果はさらに高まるが、元の高さより上がることは無い。
  • コンベア:この上を通過すると弾道に影響し、停止すると終点まで運ばれる。上りでも転がり落ちたりはしない。
  • ダッシュ床:矢印が示す方向に加速力を与える。
  • バンパー:カービィを跳ね返す。がんばれボタンを併用すると加速できる。
  • ウィスピーウッズ:カービィシリーズではお馴染みの木。今作では単なる立ち木扱いの障害物キャラだが、スパーク能力で倒して消し去ることができる。
  • クラッコ:一定間隔で真下に雷を放ちながら、空中に浮いているキャラ。本体や雷に当たるとバイタリティが減るが、こちらもスパークで破壊可。
  • ゴルドー:スパークでも倒せない無敵の障害物キャラで、ぶつかるとバイタリティが減る。移動するタイプも存在する。
    • 仕掛けの中には攻略上で重要な要素になり、場合によっては使いこなせないことには先に進むのも困難なところも。
  • シリーズおなじみのコピー能力も健在。
    • 今作では吸い込みはなく、その敵を倒す事で能力を入手することが可能。1打した瞬間、もしくは能力をコピーした瞬間から、停止するまでの間にそれぞれ1度だけ使用できる。能力発動後に倒した敵からコピーした場合はその都度使用できる。(例としてバーニング使用後にバーニングをコピーすれば、再度加速することができる。)
    • 能力は次ホールまで持続する。ホール8をクリアするなどでコースを抜けるとリセットされる。

2P対戦モード

  • 対戦モードは黄色のカービィ(通称キービィ)と星の数・ホールの取り合い・そして接触やコピー能力による妨害と、ゴルフゲームと一味も二味も違う要素のもと遊ぶ。パーティゲームとしても遊ぶ事が可能。
    • 1Pモードとの差異は、敵を倒すとプレイヤーごとの色の星に変わり、ゴールまでに稼いだ自分の星の数を競う。相手の色の星に触れると、自分の色に変えることができる。
    • このモードのみ、倒すとルーレットによりコピーを入手出来る敵も存在する。
  • コースは「ウィスピーウッズ」「ミスターシャイン&ミスターブライト」「クラッコ」「ゴルドー」の4コースが有り、コースの名が付いたキャラが障害物や仕掛けとして多く登場する。
    • ハンデを付けたりすることも可能。残機は存在せず、バイタリティが無くなると一回休みとなる。

評価点

  • カービィらしさ満点
    • ゲームの随所にギャグ要素、可愛さがある。各ステージ開始前デモも秀逸。
  • ドット描画
    • セーブデータに名前をつける代わりに、ドット絵でアイコンを描画する。スタンプ機能もあるため絵心がなくても安心。上手なプレイヤーはそれなりに描きこむこともできる。 (友人の家にソフトを持ち込み、起動した最初の画面で自慢できる)
  • やり込み次第で開放されるご褒美要素。
    • 下記の問題点と表裏一体であるが、他のゴルフゲームと同様でスーパーショット的なプレイが達成できたときの感動は大きい。多数の能力やギミックを利用することもあるため、特に最終ホールのホールインワンにかかる時間はゴルフ系ゲーム随一。
    • このゲームはカップインする度にそれまでの打数が確認出来るのだが、1コース8ホールでの合計打数が少ないとメダルが貰え、銅→銀→金の順に高評価となる。
      • ランキングでは挑戦回数も記録される。
    • 取得したメダル次第では難しくなったエクストラコースが開放されたり、サウンドテスト等のおまけ要素がタイトル画面で開放されるようになる。
  • コピー能力のアイデア
    • 無能な能力が無い。1Pプレイでは扱い辛いニードルも2Pプレイでは活躍できたりする。
  • 一定打数以内で必ずカップイン出来るように設計されている。
    • 説明書の他にコピー一覧表があるのだが、そこの一番下にご丁寧にも「ショットとコピーを併用すれば必ず3打以内にカップインする事が出来ます」と書かれている。
      • つまり、1Pゲームにおいては「ノーミスカップイン」「3打以内」と段階的な目標のもと、どのようにカップインを狙うかを考える目安として上達の目標が敷かれているのだ。
    • 更にはデモプレイで操作方法や様々な戦術・コピーの説明・使い方を説明してくれる。デモは20用意されており、それらを通じて解説付きで分かりやすく説明されている。
      • また、画面左上にはデモプレイの操作と同期しボタンが光るコントローラの画像が表示され、デモプレイが実際にどのようにして操作されているのかが視覚的に分かるようになっている。
        デモプレイ集の解説文の一覧は基本的にひらがな・カタカナ表記の文章だが、「上」、「十字」などの漢字もみられる。
  • ゲームとしての完走難度は抑え目。
    • ゴルフとビリヤードを融合させたゲームとしては、打数制限は意外と余裕がある方で、ある程度の腕前があれば全8コースをクリアする事は可能。難度の低いコースでホールインワンができるようになれば、残機を増やして再挑戦する方法も取れる。
    • また、全コースをクリアするとラスボスであるデデデ大王が登場するが、ボスとしては非常に弱い。更にこの戦いではカービィのバイタリティが無制限になっており、弱点さえわかれば残機を少し溜めてゴリ押しで勝つことも可能。
    • ただし、上記は全て普通にエンディングを目指した場合の話である。詳しくは後述。
  • ゴルフの様に目標地点が決められているわけではないため、攻略パターンが豊富。
    • 意外な方法でホールインワンを狙えるホールもあるので探す楽しみもある。

問題点

  • リトライが無く、マップセレクトがかなり不便
    • ステージ攻略において途中からのやり直しが存在せず、1回で8ホールすべてを一気に回らなければならない。長丁場になること必至。
    • また、ホールを指定しての練習機能 「マップセレクト」があろうことか全コース金メダル特典の隠し要素 となっている。とあるステージのホール8のみ練習したくても、全ステージを完璧に仕上げなければならず、その難易度は下記の通り猛烈な高さという本末転倒。
      • クリア後のEXコースでマップセレクトを行う場合も、EXコース全てで金メダルをコンプリートしなければならない。
      • そこまでやって解禁したマップセレクトは「必ず能力の無い状態でスタート」の為、前のホールからコピーを持ち込むことはできない。金メダルやホールインワン狙いの領域まで来ると前ホールからコピー能力を持ち越す必要があるコースが複数出てくるため、その練習に使えないのはかなり不便。
  • 方向感覚の重要性
    • トルネード、パラソル、UFOは能力中に左右で操作できるのだが、カービィが動いている方向に対しての左右(いわゆるラジコン操作式)になっている。たとえば画面手前に向かっているときは左右逆になるため、この特殊な操作感覚は混乱を招く。
  • ガイドラインが意外と不便に思う時がある。
    • ガイドラインは最大で打った場合しか表示されない為、カーブやフライで弱く打つときはプレイヤーが予想して打つ必要が在る。また、やくものの上を通過する場合も全く変化がないので、これも予想して打つ必要がある。
  • 2Pバトルで一部極悪ステージが存在する。
    • 該当するのはゴルドーコースのホール5。このコースはダメージゾーンが広範囲に配置されており、しかもその先が場外に落ちるように設計されている為、軌道を少しでも違えようものなら、運が良くても単に一回休み、酷い時にはOB+一回休みという状態がとにかく起き易い。このホールをカップインするために、対戦者と一時協力することも経験した人も多いのでは?

難易度

本作はスーパーファミコンにおけるカービィ作品第1弾であると同時に、コンプリート難易度が非常に高いことでも知られている
エンディングに到達するだけなら全く関係の無い話なのだが、上述の「マップセレクト」に必要な金メダル全取得を目指す場合、頭を使わないと打数を抑えられないコースが多数存在する。
正直、全てのコースで金を取るのは攻略本を見ながらプレイしてもキツい

  • ホールによっては針に糸を通すような撃ち方をしたり、ボールの撃ち方をよく工夫しないと3打以内はおろか、下手をすると8打以上ものボールを打ってしまう事も。もはや「詰め将棋」ならぬ「詰めゴルフ」である。
    • 将棋と比べるとひたすらアナログな上に、能力の使用もタイミングや微調整があるのでさらに強烈。敵の配置変え等といったテコ入れが施されるエクストラでは一層顕著となる。
    • 特に通常・エクストラ問わずコース5の7ホールは打数を抑えにくく、数多くのプレイヤーを苦しめた。パラソルなどの使用中に落下位置の微調整に失敗して、涙を飲むことになるケースも少なくない。
    • 攻略本をもってしても撃つタイミングや角度の微調整や頑張るタイミングなどはプレイヤーの感覚などに左右されるため、それを1ホール終えるまで連続で成功させ続けないといけないのもつらい。
  • 他にもホールによっては「前のホールからどのコピーを持ち込むか」まで考えなければならないものもあり、ホールに着いた時点で取り返しがつかなくなっていることがある。
  • 上記の難所をはじめとして常にシビアな操作が求められるため難易度が高く、未クリア・又は全てご褒美要素を出せていないままプレイを終えてしまったカービィファンも多い。

総評

地味ながら、十分にやりごたえのある…というよりもむしろ、尋常ではないやり込み難易度を有する一本。

とはいえ、それはあくまでコンプリートを目指すのであればの話。
デモプレイによる丁寧な操作説明や、徹底して練られたコースデザインを有する本作は
カービィシリーズならではの世界観も相まって、初心者やライトゲーマーであっても十分楽しめるよう配慮されている。

一人で黙々と攻略に挑むもよし、友達と熾烈な妨害合戦を繰り広げるもよしと遊びの幅は意外とある。
現在はNintendo Switch Onlineで遊ぶ事もできるので、興味があるなら一度はプレイしてみて欲しい。

但し重ねて言うが、コンプリート難易度だけは洒落にならないレベルなので、実機で目指す場合は覚悟を持って挑まれたし。


余談

  • 本作はもともとはカービィとは無関係なゴルフゲームとして開発されていた。
    • 公式ガイドブック巻末のスタッフ質問集にて宮本茂は「開発期間は『MOTHER2』と同じくらいかかった」と答えている。
    • ちなみに本来予定されていたゴルフゲームは再制作され、1996年にサテラビュー専用番組「スペシャルティーショット」として日の目を見た。
  • 本作だけデデデ大王が弱いのは「難コースに苦しめられてきたプレイヤーのためのうさ晴らし」という事であえて簡単に調整されたから。
    • エクストラでも耐久力2倍程度の補正にとどまっている。
  • 縛りプレイの研究など、現在に至るまでやりこみ勢が存在している。
    • 某所では、とあるユーザーがエミュレーターを使って行なった「三つのボタンのみ利用してクリアに挑む」という縛りプレイが長期に渡り支持を得て、ニュースサイトに取り上げられた事も。
      • そしてこの3ボタン縛りクリアは「RTA in JAPAN Online 2020」にて人力で実演された。いくらツールアシストプレイは現実で再現可能とはいえ、人間の可能性は恐ろしい。
  • 実は、厳重かつ非常に凝ったコピーガードが施されている。
    • まず『スーパードンキーコング』等のSFCの他のゲーム同様のコピーガードがあり、起動しても遊べないようになっているのだが、強引にそれを突破すると……
      • 何から何まで制限された縛りプレイを強制される。敵を倒してもトマトが回復せず、ホールインワンによる1UPもなし。その上ゲームオーバーになると「CONTINUE」の文字がわざわざ薄くなってまで選べなくなっており、そのままゲームを終えるとセーブデータが削除される
      • それでも金メダルぐらいの腕前があれば8コースクリアも可能だが、ワールドクリア時の結果画面でゲームがクラッシュする。意地でも遊んでやろうとした違法プレイヤーを苦心の末、どん底に突き落とす仕様。もちろん、この場合もデータが削除される
    • ちなみに、同じハル研究所の『MOTHER2 ギーグの逆襲』にも似た具合に不正コピーに対する強制縛り機能が存在している。こちらはラスボス戦まで分布させるほどの手の込みよう。
  • 2019年9月6日に『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』で配信された。また、2022年6月10日には『カービィボウル レッツ♪カービィダンスバージョン』という全要素解禁済みの特別版も配信された。
    • 巻戻し機能を使えば鬼のような難易度のやりこみが結構楽になる。
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  • 星のカービィ
  • 任天堂
  • HAL研究所
  • 1994年

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最終更新:2023年03月17日 04:51