ファイアーエムブレム 紋章の謎

【ふぁいあーえむぶれむ もんしょうのなぞ】

ジャンル シミュレーションRPG

対応機種 スーパーファミコン
メディア 24Mbitロムカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 1994年1月21日
定価 9,500円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 通常データ3個+中断データ1個(バッテリーバックアップ)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 バーチャルコンソール
Wii 2006年12月26日/926Wiiポイント(税10%込)
WiiU 2013年4月27日/943円(税10%込)
New3DS 2016年6月22日/943円(税10%込)
書換 ニンテンドウパワー
SFC 1997年9月30日/1,000円/F×6・B×4
判定 良作
ポイント 全面的に改訂され、さらに遊びやすくなった
暗黒竜と光の剣』がほぼ丸ごとついてくる太っ腹ぶり
一部キャラの救われなさには賛否両論
ファイアーエムブレムシリーズ


概要

SRPGの地盤を固めた『ファイアーエムブレムシリーズ』(以下FE)の3作目であり、初代『暗黒竜と光の剣』(以下FC版)のリメイク+続編。
ハードをSFCに移したおかげもあり、全てにおいてパワーアップ。このシリーズを「誰もが知るSRPGの代表格」にまで押し上げることに成功した。


特徴・リメイク前からの変更点

ゲームバランスの再調整

ゲームシステムはFC版を元にしたうえで、各種計算式の変更やバランスの再調整など改良が加えられている。

  • ユニット・キャラクター関係
    • クラスチェンジ仕様が一部変更。
      • FC版ではクラスチェンジできなかったクラスのうち、アーマーナイトとハンターに上級職への道が開かれ、それらのユニットの使い勝手が増した。
      • またFC版においては、CC効果が基本的に「上級職の基本値より低い能力を補正する」のみだったのが、今作ではHP・幸運・武器レベルを除くパラメーターが必ず特定値を加算*1されるというものになり、CC前の成長が無駄になることがなくなった。
    • 特定のキャラクター同士を近くに配置すると戦闘時のパラメータにプラス補正が加わる「支援効果システム」が本格的に導入された。
      • 本シリーズは「戦場を舞台とする人間ドラマ」としての側面を持っているが、それを戦術面・プレイヤー心理面の両方から補強することに成功している。そして同様のシステムは後続作品にも連綿と進化しながら受け継がれている。
    • 僧侶は女性専用のシスターに名称変更された。杖を使うことで経験値が入るようになり、育成に「敵から攻撃されて生存することで、敵を倒したのと同等の経験値を得られる」という無茶な方法をしなくてすむようになっている。
    • FC版の「盗賊の鍵」が廃止され、盗賊は鍵なしで扉を開けたり跳ね橋を下ろせるようになった。敵の盗賊も扉を開けて移動する。
  • 戦闘関係
    • 騎兵・飛行ユニットが乗騎から降りて歩兵化できる「乗り降りシステム」を導入。
      • 騎乗時は槍・歩兵時は剣といった風に、FC版とは違って環境に応じて武器や兵種を使い分けることが求められるようになった。
      • また、屋内マップでは強制的に歩兵となって移動力やステータスが下がるため、それを加味したユニットの育成や利用が必要となっている。
    • マムクートの竜への変身が、戦闘のたびに変身ではなく石を使用することで数ターン変身を維持するように変更。
      • ステータスの幸運が高いほど長いターンの維持がされやすくなる。また、ブレスが相手の防御力無視・魔法と同様の直間両用の射程となったことで、敵としてさらに厄介になった。
    • 戦闘に入る前に敵味方のステータスが表示されるようになり、結果予測を立てるのが少し容易になった。
    • 敵の能力値の上昇度が「全クラス一律」ではなくなり、クラスらしさが増した。
      • 例えばスナイパーは技と速さが伸び、ジェネラルは特に守備力とHPの伸びが高いといった調子。
    • 「追撃」の仕様変更。
      • 攻速差が3以上の場合に発生するようになった。FC版のようにわずかな攻速差で思わぬ追撃を受けてしまうといった状況が減った反面、序盤の味方のSナイトやアーチャーが敵に追撃し辛くなっている*2
    • 「必殺回避率」の導入。
      • ステータスの幸運の値の分、敵の必殺率を相殺できるようになった。上述の支援効果でも相殺値が加算される。FC版では敵の必殺による事故が多発したが、本作はこれにより理不尽な要素が軽減された。
    • 魔法防御が0固定ではなく、クラスによって差がある。また若干ながら成長するようにもなった。
  • アイテム関係
    • 「輸送隊」システムの追加。
      • FC版に存在した施設「預かり所」に代わるアイテム保管庫で、マップではマルスのユニット特性のひとつとなっている。マルスと彼に隣接したキャラは輸送隊を使用してアイテムの出し入れができるようになった。
      • FC版の難点であった出撃準備画面でのアイテムの受け渡しや出し入れも可能になり、出撃前編成の利便性も改善。
      • さらに輸送隊には「戦死者が所持していたオーブを自動的に回収してくれる」「マルス以外のキャラがアイテム等を持ちきれない場合にストックしてくれる」と言う役割もあるので、全体的にアイテムの補給・配備が手軽に行えるようになった。
    • アイテムの仕様が一部変更された。
      • 特に大きいのは「メリクルソード(FC版では「メリクル(レイピア)」)」。FC版ではマルス専用武器だったが、本作では他のキャラでも武器レベルさえ上がれば扱えるようになっている。
    • 敵の盗賊に宝箱を開けられた場合でも、その盗賊を倒せば奪われたアイテムを取り返せるようになった(FC版では奪われたアイテムが消失してしまった)。
    • 騎兵・アーマーが槍しか扱えなくなり、槍と剣の差別化が図られた。(FC版の槍は命中率が低い・重い・騎兵にしか扱えないなど剣のほぼ下位互換とも言える存在だった。)
    • 特効武器の調整。
      • アーマーキラーの命中が80から100に上昇し、地形効果の高い拠点を守るアーマー相手にも外すことが少なくなった。
      • ナイトキラーがSナイトだけでなく上級職のパラディンにも特効するようになった。
      • ドラゴンキラーはドラゴンナイトに特効しなくなったが、攻撃力が6から10となり(特効だと30)、守備力の高いドラゴン相手に十分使える武器になった。
      • サンダーボルトは味方シューターがいなくなったため必殺率の高い武器に変更。魔法攻撃にも見えるが普通に物理属性である。
    • 魔法書・杖は威力固定ではなく、装備者の「力」の値が影響するようになった。成長率0%だった力もきちんと成長するようになっている。
      • 火の魔法は氷竜特効、氷の魔法は火竜特効になった。雷魔法は特効がない代わりに必殺率が少し高い。
      • ウォームの魔法は長射程・敵専用になった。
    • 所持アイテム数の増加。
      • 武器と道具に別れ、それぞれ4つづつ計8個持てるようになった。魔法書は武器、杖は道具扱いになり、両方使える司祭のアイテム管理が楽になった。
  • 闘技場の仕様変更。利用に掛け金が必要になり、武器の持ち込みが出来なくなった代わりにターン表示中にBボタンで降参することが可能になった。
    • 降参した場合はペナルティとして掛け金が没収される。
    • 敗死の危険性が若干緩和されたため、FC版よりも気軽に闘技場に通う事ができる。
    • その代わり、出場ユニットの能力によってこちらが弱い武器を強制されたり、敵が強い武器を持つようにもなった上、場合によっては竜族まで登場するようになったため、理不尽になった面もある。

評価点

2部構成の大ボリューム

本作はFC版のリメイクである「第1部・暗黒戦争編」と、その続編となる新ストーリー「第2部・英雄戦争編」の2本立て。
第1部・第2部ともに20章(+α)で構成されており、両方合わせて40章以上に及ぶ大ボリュームの一本である。

  • ゲーム開始時に、二部あるストーリーからどちらをプレイするか選択可能で、第1部を死亡者ゼロでクリアすれば、そのデータを引き継いで第2部を始めることが可能。
    • ただし能力などの引き継ぎは行われず、第2部の特殊エンディングの発生条件となっているのみ。
  • 第1部は容量問題のせいで、FC版から25章のうち5章・加入する仲間ユニットは6人削除されている。各マップもイベントの統合や簡略化が行われているが、削除された部分はシナリオの根幹にはさほど関係無いものばかりのため、ストーリーを理解する分には全く問題は無くシリーズ初体験のプレイヤーでも大丈夫*3
  • 今作の本編にあたる第2部は、過去の仲間との対立や王家の紋章「ファイアーエムブレム」の謎が明かされる展開など、第1部のヒロイズム的な内容とは一線を画している。
    • そして直系の続編であるだけに、第1部に比べて前半部の難易度が高く、第1部かFC版のクリア経験者を対象としているような難易度設定がされている。

グラフィックの強化

  • ハードをスーパーファミコンに移したことでグラフィックが強化。
    • それが最もよく現れているのがキャラの顔グラフィック。美形キャラの数多い少女漫画的なタッチとなっており、これによりキャラクターへの感情移入度もより深められた。
    • また、ソフト容量の増加により、FC版では他キャラの使いまわしだった自軍キャラのグラフィックも全員個別のものになった。
      • 以後シリーズはこの方向性を継承していき、美形キャラクターが増えたことで女性ファンも徐々に増えていった。
  • 戦闘アニメーションも大幅にクオリティアップした。
    • 騎馬ユニットが走れば騎乗者が揺れる、ジェネラルが歩けば鎧が揺れる、と派手さはないが精密で丁寧な作りとなっている。その一方で必殺攻撃時や専用武器を装備したマルスの攻撃などはダイナミックなアクションで魅せてくれる。敵を一刀両断に斬り抜ける勇者の追撃必殺も必見。
      • ジュリアン、変身前のチキは2回連続で敵の攻撃を回避した時のみに特殊なアクションをするようになっている。
    • アニメ設定に「リアル」を選べるようになった。「○○の攻撃」や「必殺の一撃!!!」のナレーションが表示されなくなり、テンポが良くなる。
    • 戦略・テンポ重視のプレイヤーのために、戦闘アニメそのものをOFFにすることも可能。

賛否両論点

第2部のストーリー

第2部のストーリーを要約すると、「暗黒戦争の終結を機に建国された「アカネイア神聖帝国」の皇帝に就いたマルスの戦友ハーディンが、その保護下にある「アリティア王国」の王子マルスにグルニア国の反乱の制圧を命令し、その中でマルス達を国ごと「反逆者」に仕立ててアリティア王国を侵略。国を追われたマルスが各地を転戦しつつ体制を整え、やがてアカネイア神聖帝国との全面戦争に突入する」というもの。
このアカネイアとの戦いを縦糸に、さらに竜人族「マムクート」の過去やタイトルの「ファイアーエムブレム」の逸話や各国の成り立ちといった重要設定、世界観の根幹を横糸にしながら、「暗黒戦争」に真の決着をつける事となる。

  • 勧善懲悪な第1部とは違う、一筋縄ではいかない人間のしがらみを主軸にしたストーリーの完成度は非常に高く、評価するファンは今なお多い。その一方、新たに追加した設定のせいで後味の悪い展開をたどるキャラもいることに賛否がある。
  • 一応シナリオライター自体は第1部のシナリオを書いた加賀昭三氏が引き続き担当しており、全くの別物と言えるほどに作風が変化したわけではない。
    • しかし群像劇型RPGのように特定のキャラに思い入れするのも本作の楽しみ方の一つであるため、前作で気に入ったキャラがプレイではどうしようもない悲劇の結末を迎えることになった当時のプレイヤーの悲しみは計り知れず、特にFC版からプレイしてきた層の批判は大きかったとも言われる。
    • 開始早々、第1部で共に闘った仲間の半分近くが立場上敵として立ち塞がる展開が続く。
      • アカネイア兵の隊長となったジョルジュとアストリアは序盤にもかかわらず銀装備の上級職部下を多数従え、更に本人はパルティア・メリクルソードといった最強武器を携えているので普通に立ち向かっては容易く返り討ちにされてしまうため、基本的には近寄らず相手にしない・ひたすら逃げることが求められる。仮に本人を倒してしまうとその時点で死亡し、後に仲間にできなくなってしまう。幸いジョルジュたちは積極的に襲ってこないがアストリアたちは容赦なく襲いかかって来る(一応それまでの距離は長く取られているので逃げる気になっていればまず逃げきれるバランスだが)。
      • 1部で仲間ユニットだったオレルアン騎士団のキャラは全員ハーディンに従い、仲間になるのはマルス達と戦うことに迷いのあるロシェだけ。残りのウルフ、ザガロ、ビラクはマルスを完全に敵視していて最後まで敵扱い。性能やキャラ的にもあまり使われなかった彼らだが、それでも元仲間を倒してしまうのはためらわれる。
        一応この4人の中ではロシェが一番優秀なのでプレイヤーに最も愛用された可能性が高く、1人だけしか入れられる枠が取れなかったとしたらそれをロシェに充てたのは無難な判断ではあるが。*4
    • アリティアの聖騎士アランは第2部にて「病を患っている」という設定が追加され、第1部におけるジェイガンと同様の「初期ステータスは高いが成長率は低い序盤限定のお助けキャラ」という残念な立ち位置になってしまった。しかも第1部と違って死に際の台詞以外は一言も喋らなくなってしまった。そしてエンディングでは……。*5
      • 一方で第1部で彼と二者択一だったサムソンは、第2部ではグラ国の王女シーマとのヒロイズムなやりとり、そしてエンディングでは更に親密になったことを匂わしており、扱いの差が酷い。能力値も(HP以外は)最初から上級職とは思えないほど高く、成長率もまずまず。更にはシーマと相互支援効果もあるため、オグマ・ナバールに次ぐ3人目の勇者として十分に活用できる。
      • もっとも第1部では仲間になっても今更感のある能力の二人だっただけに、厳しい難易度の第2部序盤でジェイガンポジションを与えられたアランはジェイガン以上に十分に活躍できるようになったとも言える。
  • そして新たな皇帝ハーディン、アカネイア王族唯一の生き残りのニーナ王女、アカネイアのボア司祭の3人が絡んだストーリーは非常に重い。
+ その詳細。以下ネタバレ

暗黒地竜メディウス打倒後、ニーナ王女はアカネイア王家の血筋を絶やさないようにするため、またアカネイア王国を復興させて政情を安定させるために結婚する必要があった。いわゆる「政略結婚」である。
ニーナは想い人であったグルニア王国の将軍カミュとの婚姻を望んていたが、すでにカミュはマルスとの戦いで戦死していたためそれはかなわぬ夢*6
アカネイア復興とカミュへの想いとの板挟みで苦しみ猶予を求めるニーナであったが、側近である司祭ボア達が強く食い下がったため、彼女は望まぬながらも結婚せざるを得ない状況になった。
結婚相手の候補は、暗黒戦争終結の第一功労者であるマルスか、彼女を長い間ドルーア帝国から匿い続けたオレルアン王弟ハーディン。
マルスにはシーダという幼馴染兼婚約者がいることをニーナは知っていたため、*7ハーディンを選んだ。しかし、これがすでに悲劇の始まりだった。

元よりハーディンはニーナに想いを寄せていたため喜んで結婚を承諾したが、それからまもなく彼は、ニーナが抱くカミュへの未練に気づいてしまう。
望まれない愛ゆえに、部屋にこもり酒浸りになるなど精神的に追い詰められていった。
そんな彼の元に死んだはずの闇の司祭ガーネフが商人に化けて現れ、ハーディンに闇のオーブを手渡してしまう。それによって衰弱していたハーディンの心はたちまち黒く塗りつぶされてしまい、暴君と化したのである。
それによって「心の弱さ」という弱点を克服したハーディンは、皮肉にも「暴君としてなら」賞賛されるであろう優れた政治的手腕を発揮してしまった*8
彼は決して無能などではなかった。ただ、心が弱すぎたのだ。


こうした経緯により、表ボスであるハーディンには「悲劇の英雄」としての同情の声も多く、逆にハーディンをそのようにさせたニーナやボアが、泥沼戦争の元凶として挙げられる事も多い。
同時に、ハーディン自身も女性関係だけで国王の責務を果たさなかったことなどへの批判も存在する。(新・紋章の謎では作中でも批判される描写が追加されている)

とは言え元凶としてハーディン・ニーナ・ボアのいずれを挙げたとしても、それで片付くほど単純な問題ではない。
少し脇道にそれるが、現実の中世でも、政治力の保持を目的とした政略結婚は普通に行われていた。つまり王位継承権のある女性が他国の王族又は貴族の男性と結婚し、軍事力や財力によって政情の安定を図るのは珍しい話ではなく、そこに個人の恋愛感情を挟む余地はなかった。
これは貴族制を描写する舞台で古くから扱われる、家名と恋愛の板ばさみとなる普遍的なテーマである。
実際、後にリリースされた『風花雪月』では、これに類似した血統至上主義や政略結婚の話が多く見受けられ、これを経験したユーザーからはニーナに同情する声も上がっている。

この観点から見れば、「強引に結婚させなければ本作の悲劇は起こらなかった」とされるボアも、戦乱で滅亡寸前のアカネイア再興のために政略結婚を押し進めたのは臣下としてそこまで間違った判断とは言い切れない。
アカネイアの血が絶えれば後継者争いで更なる内乱が必然である以上、続けざまに起こる戦乱で苦しみ続ける民草を司祭として見過ごせないとも言えるし、本編でアカネイア王国の腐敗貴族達がろくでもない存在である事が示されている事から、目前に迫る権力闘争の回避が急務であったとも言える。
無論、カミュへの未練を隠すよう諭した事は明らかにハーディンを利用する目的であったが、少なくとも自身の権力のためではなかった事、結果的に失敗だったとはいえ配慮があった事は覗える。
ニーナに関しても「結婚した以上は夫であるハーディンを愛するべきだった」と言われることもあるが別にハーディンを嫌っている訳でもなく、皆殺しにされた王族唯一の生き残り*9という事情だけで再興の旗印となり、戦争の爪痕も癒えぬまま半ば諦観で政略結婚に応じざるを得なかった事、結婚までの流れは戦争後わずか数か月で行われており彼女に気持ちの整理をする暇がなかった事、そもそもハーディンとニーナには親子ほどの年齢差があることなど、こちらも単純に割り切れる問題ではない。
作中でガトーがマルスに 「人間の心とは、そう簡単なものではない」 と諭しているとおり、到底、単純な理屈で片付くような問題ではないのだ。

順に紐解く場合、第二部の悲劇の主たる要因は腐敗し権力に阿る貴族達による所も大きい。
救国の戦士であるマルスらとアリティアすらも高慢に見下す貴族が登場しており、後述するようにアカネイア聖王国自体が醜悪な成立過程を持つ国家だった事さえも判明するため、その腐りきった土壌ゆえに破綻は必然だったと考える事もできる。
特にその貴族ラングは登場こそ第二部序盤の敵だが、実は第一部でもアカネイアからドルーアに寝返って私腹を肥やしていたとされる大貴族で、アカネイア滅亡の元凶の1人である

なおこうした元凶の考察において、しばしば忘れられがちであるが、悲劇の直接的な原因はガーネフの暗躍である事も忘れてはならない。*10
ハーディンも、ニーナも、ボアも、腐敗した貴族でさえも、よしんば彼らが事態を乗り切ったところで「悲劇の回避」はまず不可能であっただろう。


  • こうした第2部の重い展開に合わせるためか、第1部に及ぶ設定の中に追記されたものもまたかなり多い。
+ 設定追加部分 ネタバレ注意
  • アカネイア王国
    • FC版においては単にメディウスに滅ぼされるだけの完全な被害国であったが、今作では様々な設定が付加された事でこの大陸の戦乱の元凶と評されるほどのドス黒い国家だったことが判明した。
      • 王国の初代皇帝・アドラは元々は盗賊であり、ラーマン神殿に眠っていた封印の盾と3種の神器(メリクルソード・パルティア・グラディウス)を盗み、封印の盾に嵌っていたオーブを売った金で兵を整え、3種の神器による圧倒的な武力で各地の都市国家を制圧して国家としたのがアカネイアの建国の経緯である(オーブが外された盾はそのまま紋章:ファイアーエムブレムとして使われた。*11)。
      • ラーマン神殿の報復を恐れたのかどうかは不明だが、大陸でひっそりと暮らし、時には人間達を助けていた竜族の生き残りをマムクートと呼んで異形の化け物として軽蔑、迫害するように仕向けたのもアドラだった。
        メディウスが後にドルーアを建国しアカネイアや人間達を攻撃する様になったのはこれが原因である。
      • つまり、本作の戦乱である「暗黒戦争」はメディウスの人間達への復讐……アカネイア王国への因果応報でもあり、彼等を完全悪、人間側を正義と断ずる事が出来なくなっている。
    • 100年前にメディウスが人間を滅ぼそうとした際に立ち向かった英雄カルタスがアルテミスと結ばれた事と、そのカルタスの関与によってアリティア・オレルアン・マケドニア・グルニアが建国されたという設定も追加された。
  • オレルアンとハーディンの設定
    • ハーディンは旧作ではただのオレルアン騎士団隊長に過ぎず*12、前回の戦いでニーナ姫を助けて戦ってたとはいえ、彼がなぜ主要王家に婿入りできたのか疑問に持つプレイヤーも多かった。
    • そこで、本作にあたって「ハーディンはオレルアン王の弟である」という設定が追加された。
      • また、オレルアンもカルタスの弟マーロンの一族が統治しており、傍系とは言えアカネイア王家に連なる一族であるという設定になった。
  • グルニア
    • カルタスが騎士団長時代に彼を助けていた勇将オードウィンが、強力な騎士団を結成し周辺部族をまとめ上げて国家として立ち上げた。
      • しかしカルタスは、「統治していた旧ドルーア地方を放棄させる」「アリティアに援助したり従属国マケドニアを建国する」などのようにオードウィンを牽制したりグルニア国力を削ぐ政策を行っていた。これが反アカネイアの感情を持たせる原因となっていた。
  • マケドニア
    • 旧ドルーア帝国の支配地域で人間は奴隷として過酷な労働に従事させられており、それに反発した若者・アイオテを筆頭とした反乱軍が応戦。ドルーア崩壊後、グルニア牽制を目論んだカルタスの手助けによって国家へと昇格された。
      • こういった経緯からアカネイアはマケドニアに対して横柄な態度を取っている。それがアカネイアに過剰なまでに従順だった父を殺害してでもドルーアと手を結ぶと言う暴挙をミシェイルに起こさせる原因となった。
      • 第2部でのミネルバの発言などからガーネフに操られていると思われがちだが、ミシェイルの場合は完全に自身の野心だけが行動の理由だった。
    • また、ミネルバは軍人としては有能であるものの、為政者としての能力は低いことを示唆するストーリー展開になっている。
  • カミュ
    • 第1部で死亡したと思われていたが、実は記憶をなくして『FE外伝』の舞台であるバレンシア大陸に流れ着いていた。瀕死だったところを聖女ティータに拾われ、献身的な看病によって一命を取り留める。その後リゲル皇帝ルドルフにより「ジーク」という名前を与えられる。
    • 最終的には記憶を取り戻し、アルムと協力しバレンシアの動乱を終結させた。
      • その後、アカネイアでグルニアの反乱が起きた事を知り、顔を仮面で隠して「シリウス」と名乗り、アカネイアへ舞い戻り、オグマらと合流し、マルス達とも共に戦う事となる。
      • 最終章では洗脳されたニーナを説得した。一連の戦いが終結した後は「カミュなど知らぬ」と言って去っていった。
      • なお、この時点でカミュには既にティータという、かけがえのない大切な人がいる。故に、アルテミスとアンリよろしく、どうあがいてもニーナの想いは成就しないのだ。
      • カミュ自身は何もしてないのに、ニーナがカミュの事を忘れられなかったことが遠因で戦争になっていた事を知ったカミュの心境やいかに……。
  • ほとんど余談に近いが、ガーネフの持つ闇魔法マフーは第1部では「ガトーからマフーを盗み出した」とされているのだが、第2部では「嫉妬に狂った彼がガトーから闇のオーブを盗み出し、それを元にしてマフーを作り上げた」ことになっており、矛盾している。
    • 第1部でこの説明をしているのはガトー自身なので「知られたくないことをごまかしつつ端折った」とすれば別に矛盾はないが。

以上の内容だが、本作の中核を手掛け生みの親とされる加賀昭三氏は箱田真紀氏*13との対談で「説明しないことで想像を喚起したかった。なので続編の制作は複雑な思いがある」旨を語っている。つまり、これらは「追加設定」ではなく「開示された裏設定」という側面が大きい。

これらのように、本作の作風の変化は一部の面で暗く、重く、賛否の分かれる面はあれど、その後に加賀氏がシナリオを担当した『聖戦』も鬱展開で大きく話題性を集め多数のファンを生み出し、また氏が制作から抜けた以降の『烈火』、『蒼炎』、『風花雪月』でもこういった重い要素をベースにした作品は多くリリースされ好評を得るなど、これらの要素もまたシリーズの人気を高めた魅力の一つであることは間違いない。

また、黒幕が以前打倒したガーネフやメディウスである点も賛否が分かれている。
もちろん、新キャラが黒幕ならいいというわけでもないだろうが、せっかくなら未知の敵と戦いたかったという意見も見られた。

ゲームバランス面

  • 各種ステータスの最大値は一律20(最大HPのみ52)で、中盤以降手に入る星のオーブ及びその欠片を持たせて育成を行えば容易にカンストが狙えるため、育成を徹底的に行うとユニットの個性が薄くなる、ヌルゲー化するといった問題が生じる。
    • ただし、逆に言えば成長率が低めの「使えない」キャラであっても、愛を注いでやればエースになれるということでもある。また、どちらも重要アイテムなので恩恵にあずかれる期間は限定されている他、出撃人数や敵の配置の考慮もあるので「誰でも簡単に」最強キャラになれる訳ではない。
    • また、今作の終盤の敵は自軍(竜に変身した状態のマムクートを除く)の守備力を無視する竜がメインになり、その他の敵もHPと守備が最大値でも3発耐えられない攻撃力を持っており、たとえ全キャラの能力値を軒並みカンストさせても決して油断は出来ない布陣になっている。
      • 敵のステータスは一部を除いて幸運が「--」になっているが、このせいか幸運が低いほど発生しやすいデビル系武器のデメリットが発生せず、マムクートの変身ターンが無制限になっている。反面回避率(必殺回避含む)に関しては0扱いとなっており、メリットのみではない。
  • 騎兵ユニットの乗り降り。屋外なら任意に行えるが、室内戦(最終章含む)では強制的に下馬して歩兵になってしまう。
    • 歩兵になると持ち味の移動力やステータスが下がり使いにくくなる。ホースメン→ハンターはもろもろの関係でまだしも、(槍を使用する騎兵)→ナイトは使用武器が剣になる関係で剣専門職の歩兵である傭兵(→勇者)に比べると移動力で1劣るなど使い勝手が悪い。
    • ただし、騎兵系は野外マップではその高い移動力を活かした活躍が可能だし、室内でも槍が扱えるアーマーナイト系の価値上昇といった、「環境に応じて兵種を使い分ける」という形でのバランス取りはSLGとしてはさほど間違ってはいない。
      事実、FC版は騎兵キャラは移動力と武器の使い分けが可能で優位であるのに対し、アーマーナイトはCC不可、勇者にしても攻撃力が最大の武器*14が(使用に危険の伴う「デビルソード」を除けば)「ぎんのつるぎ」で攻撃力不足でラスボス戦に参加できなかったため、それぞれの使い分けが求められるように調整されているのは評価すべき点でもあるだろう。
      • また、この使用武器が変わることを逆手に取った使い方もできる(威力では劣っても剣の方が軽く、攻速が素早くなって2回攻撃できるようになることがある)。その観点からすると下馬することで下位職のハンターに戻るだけというホースメンの方が不遇と言えるだろう。
    • 性能面はもちろんだが、下馬した途端に槍が使えず今まで使ってもなかった剣しか使えないというのも不自然で納得し辛い。
      • 「馬上槍だから」と解釈するにも、槍歩兵系は普通に同じ槍を使うのでやはり腑に落ちない。せめて性能面でカバーする要素があれば良かったのだが…。
  • 第2部を主体にシステムやバランス調整がされているため、第1部でしわ寄せを受けたものも存在する。
    • 第1部ではあまり出てこなかったマムクート。前述の通り性能が強化されており、第2部ではずっと変身した状態の竜系ユニットが大量に登場する*15。守備が売りのアーマーナイト系は守備力無視のブレスになすすべがなく、FC版で装備できたドラゴンキラーも装備不可になり相性が致命的に悪くなった。
    • 敵の上級職が下級職10レベル分の成長上積みをしているため、味方上級職のパラメーターが敵のそれよりも低い事が多い。特にHPが低くなっており運用に不安が残る。
      • 特にFC版ではハンターの上級職として扱われていなかったホースメンがあおりを喰らっている。そもそも敵ホースメン(とその下級職であるハンター)の成長率は極端に低く設定されているのに、その基準にすら追いついていない。
        味方としては上級職扱いであることが災いし、下級職扱いのハンターであるカシムと比べてレベルアップの機会が少ないという大ハンデを負う。「上級職の割にパラメータが下級職並み」「成長機会が少ない」「重要パラメータである力と速さの成長率もカシムの方が上」という三重苦はとてもカバーできるものではない。
  • シューターに至っては、仕様が「硬くて遅い間接攻撃ユニット」から「超遠距離固定砲台(範囲3~10マス、移動不可)」に変更されている。ついでに守備も大幅に低下。この関係でFC版の味方シューター2人が丸ごと削除。
  • 杖使いは下級職の男性僧侶が削除された関係で、上級職であるはずの司祭が序盤から出てきて杖の使用だけを担当している。能力的にはそれほど高くないが、HPはそこらの下級職に比べればかなり高いので倒すのに手間がかかる。第1部でも第2部でも序盤の敵は下級職のみで構成されていたが、第1部では回復係はほとんどいない。
    • 下級職の杖使いにはシスターもいるが、第2部で敵シスターが特殊なギミックを担当している関係でこうなったとも考えられる。
  • 「序盤で一気に追い詰められる」というストーリーの都合もあるが、第2部の難易度曲線はいびつである。
    • 2章からいきなり上級職のドラゴンナイトが登場する等、序盤から強いユニットを多く配する勢力との戦いが連続する。序盤は弱点こそはっきりしているものの、初見で対策をとるのは結構難しい。
      さらに孤立している仲間ユニットを助けたり、並行する作業が多かったり、迫り来る強力な増援や小隊から逃れるため進軍を急がなければならない局面が多い。初期配置からしてシビアであり、高難易度かつ変則的な攻略を求められるマップが前半に多い。
    • 高レベルかつ高能力値のキャラが序盤から加入する、クラスチェンジアイテムが最序盤から手に入る、闘技場も序盤の3章と5章に登場するなど、早急にエースユニットを作成する事が推奨されている。
    • しかし、主力キャラが仲間に加わり、さらに強力なアイテムが揃い始める中盤に入るとだいぶ楽になり、そこで主力をきっちり育てれば充分クリア可能。
    • これは開発スタッフが第1部もしくはFC版の経験者をメイン対象に据えて難易度調整を行っていたためと思われる。そのため通常攻略する上で不自然な稼ぎ行為を行う余地はないがその必要性も無く、ツボを抑えた攻略を心がければきちんとクリアは可能である。

問題点

  • 線形合同法*16による乱数が使用されているため、高い確率と低い確率が交互に出る箇所が多い。これがさまざまな問題を引き起こす。
    • 必殺の一撃の発生が数値以上に高い。数値上は20%であっても乱数の拾い方が10→90→20→80などと極端に偏っていると、2回に1回は必殺が出る(必殺率50%)ことになってしまう。
    • 命中率もあてにならない。数値上77%程度でも約9割当たる(ソース)。逆に言うと回避する確率は数値よりも低い。
      • これらが複合して「やっつけ負け」のリスクが上がっている。「予期していなかった必殺で倒しまくる」→「そのせいで空いた部分に次から次へと敵兵が突っ込んでくる」→「敵の攻撃を全然回避できずダメージが累積して死ぬ」→「経験値をムダに独占された挙句に死なれて経験値がパー」→「相対的に他のキャラに経験値が与えられない」という最悪の結果に繋がりやすい。
    • FC版のレベルアップ時の能力上昇パターンが限られるという問題は解消されたが、今度は乱数のブレが大きすぎて成長が偏るという別の問題ができてしまった。
      • レベルアップすると「力→技→速さ→幸運→守備→魔防→HP→武器レベル」の順でパラメータがアップするかどうかの判定になるのだが、必殺の一撃で敵を倒してレベルアップした場合、力が上がらない→技が上がる→速さが上がらない…と順に判定される事が多く、結果として「技+幸運+武器レベルの3点セットで上昇」することが多い*17。頭文字を取って「わこぶ」というスラングが使われているほど。それだけ多くのプレイヤーに印象を残した問題でもある。
        これらのパラメーターは力や速さに比べて効果が地味。技や幸運は命中率などを上げるパラメータだが影響は薄い。武器レベルは値に応じて使用できる武器が増えるのだが、これがカンストしていないと使えないのは「アゲインの杖」だけで、次点の「ボルガノンの書」でさえ14、アカネイア王家に伝わる最強の3武器「パルティア」「メリクルソード」「グラディウス」に至ってはたったの12で使えることから、武器レベルが上がっても残念感が強い。なぜ問題とされるかこれで分かるだろう。
        「わこぶばかり成長→基本能力が伸びず戦闘が必殺頼み→必殺でレベルアップしてまたわこぶ」という負のスパイラルにも陥りやすい。そんなこんなで本来ならば嬉しい要素であるはずの必殺の一撃や技ステータスの上昇が迷惑要素になることも多い。
        逆に言えば、 必殺が発生しにくい乱数には、力・素早さ・守備・HPが上昇しやすい乱数がセットになっている箇所が乱数表に多い ということでもある。
        次章で成長吟味すべく経験値90台に調整しようとしている時に予期せぬ必殺が出て「予定はご破算&わこぶ」で実質2レベルの損なんてのもお約束。
  • 騎乗することにより能力値にプラス補正がかかるクラスの場合、補正がかかった状態でも能力値を最大の20までしか上げられない。よって降りた状態では補正値分だけ下げられた状態になってしまう。
    • パラディンの力を例にとると騎乗で補正値+2の状態になっている。この状態でレベルアップしても20までしか上げられないため、降りると18になってしまう。ナイトの状態で力を20まで上げれば乗り降りに関わりなく20となる。
    • ラストは下馬状態で戦うことになるため最大値近くになるとレベルアップ前は下馬しておいた方がいいという面倒なことになってしまう。
  • マムクートは竜石を使用して変身するとHPが2倍になるが、変身状態でレベルアップして最大HPが1上がって奇数になり、その状態でマムクートに戻ると最大HPが半減し端数切り捨てになる。つまり上がったはずの最大HPが元に戻ってしまう。あまり成長しないバヌトゥはともかく、成長株のチキはこの影響をもろに受けてしまう。
    • HPを成長させるには変身中に2度続けてレベルアップし、最大HPを2成長させなければならない。しかしチキのHP成長率は80%と万全ではないため、場合によっては3回、4回とレベルアップさせる必要が出てきてしまう。
    • マムクートの状態で「てんしのころも」を使うと最大HPが7上がり、変身すると14も上がる。これで一応HP不足は解消できるが、逆に強力すぎてバランスが壊れがちになる。
  • 戦闘アニメをOFFにすると戦闘時の情報が極端に少なくなる。
    • 特にレベルアップしたときは「レベルアップ!」と表示されるだけで上昇したステータスをその場で確認できないのは非常に不便。
      • アニメOFF機能は、公式ガイドブックのインタビューによると、「シミュレーションゲームとして、一手一手の戦略を楽しむ」人向けの機能と言うことだが、細かな部分への配慮が甘いのが残念である。
  • バグ・不具合が多い。細かいものからゲームバランスをぶっ壊すバグ、ハマリまで大小様々。
    • ただし、意図せず出てしまうバグはそう多くなく、後発出荷版で改善されているものもある。また、「拾った能力上昇アイテムが何度も使えるようになる」という裏技として利用されるプレイヤー側に有利に働くバグもある。
  • 前述の通り、第1部ではFCから削られたキャラが存在する。
    • FC版から削られた仲間ユニットは、リフ、ダロス、ロジャー、ジェイク、ベック、ガトーの6人。
      ガトーのみはストーリーで重要な役目があるためNPCとして登場しているが、それ以外のキャラの削除には「ストーリーでの役割がなく削除しても影響がない」「クラスの削除・仕様変更があるにもかかわらず専用のグラフィックやアニメーションを用意してやらなければならない」「容量不足のせいで、彼らを入れてしまうとセーブデータを3つどころか2つ確保するのも難しくなる」といった内部事情があったため。
      リフとダロスは旧作の取説で「主要な登場人物*18」の項に載せられていたのだが……。
    • しかし、その割に専用グラフィックやアニメーションどころか、1人だけ上級職が同じ名前の実質別クラスというキャラ(マリク)もいたため、えこひいきに感じる人もいた。
    • また、ロジャーに関しては、アーマーナイト(つまり特殊クラスではない)であり、登場マップが削られたりしていないにもかかわらず、汎用敵Aナイトに置き換わってしまっている。ファミコン版での説得がノーヒント+無理矢理感があった関係もあるのだろうが。
    • サブストーリー「ハーディンに銀の剣を届ける」が削除され、序盤から銀の剣を使えなくなった。*19
  • 第1部に登場していても、前述のオレルアン騎士団など、第2部では仲間にならなかったり、そもそも登場すらしないキャラクターが少なからず存在する。
    • この影響で、第2部では味方に斧使いが一人もいなくなってしまった。後続作品と違い「(剣槍斧の)3すくみ」システムやCCがまだ無いので弊害は小さくなっているが……。
      • 付け加えて、本作では安価でアーマー系に特効のある「ハンマー」も削除されてしまった。
      • かわりに「ぎんのおの」という強力な斧が追加されているが、1部では1つしか手に入らないのに対し、2部では使用可能なユニットがいないにもかかわらず大量に入手できる。これをくれる人は高値で売れると言ってくるため、設計からして明らかな売却用アイテムになっている。
      • だが、予備知識がないとこちらの使い手がいないことを認識できないため気が付けば「使い手が現れるのを待っていたら現れずアイテム欄を圧迫したままに終わった」という例も散見された。
    • まだ影響は小さいが、2部では屋内で槍を唯一使える(ひいては最強の槍「グラディウス」を使える)クラスのアーマー系が2人しか出てこないので選択の幅が非常に狭くなっている。
  • FC版から引き続き登場するキャラにも調整が入っているが、全体的にやや弱体化。
    • マルスはFC版では強力な専用武器が複数*20存在することから、クラスチェンジができなくても強ユニットとして重宝されていた。
      • しかし本作ではメリクルが専用武器でなくなったうえにレベルアップボーナスも削除。ファルシオンも特殊能力がなくなり、素早さ成長がヘタれると追撃ができなくなるほど重くなった。そのうえクラスチェンジができない点はそのままであるため、結果的に弱体化の憂き目にあっている。*21
    • アリティア騎士団のアベル・カイン・ドーガはHP成長率が落とされ、終盤まで頼る事がFC版に比べて難しくなった。中でも成長パターンが優秀だったカインは設定変更のあおりを受け、重要なパラメータが成長しにくくなり使い勝手がアベルと逆転してしまった。
    • 設定ミスか、戦士マジのHP成長率が10%と致命的なものになった。
      • FC版では100%だったため、おそらく0を一つ付け忘れたミスと思われる。ただし、マジ自身が元々主戦力にするほど強くなかったため、気にしなかった人が多いのが不幸中の幸いか。
    • オレルアン騎士団隊長であったハーディンは、第2部での悲劇に見舞われることになったせいか幸運の成長率が大幅に低くなっている。それに対して急成長を遂げたのが部下のロシェ。HP成長率がアベルやカインよりも上になったため育てれば後半でも頼りになる。
    • 上級職の基本能力値が落とされており、最初から上級職で仲間になるキャラはFC版のような即戦力にしづらくなっている。ジョルジュやアストリアなどはストーリーの立ち位置に不釣り合いなスペック。成長率へのテコ入れも特にない。
    • 盗賊は武器レベル成長率が0%で強力な剣を扱えない設定だったが、きちんと成長するようになった。ただし初期値が低く成長率もあまり高くない。
    • シスター(僧侶)はFC版に比べれば成長するようにはなったものの、やはり魔道士キャラに比べると成長率が低い。それどころか司祭にクラスチェンジしてもHPが18までしか底上げされないため弱体化している*22。ただし第2部のシスターはそれなりに成長し、成長率補正アイテムもあるので戦力にしようと思えば可能。
  • 前作『外伝』で搭載されていたフリーマップは存在しないため、後半からユニットを育成するには工夫がいる。
    • 特にペガサス3姉妹の三女「エスト」は、成長率こそ高いものの1部2部ともに低レベルかつ後半で参入するため育てるのは大変。
  • 第2部では成長率補正アイテムとして星のかけらが12種類あるが、このうち「星のカプコーン」の成長率補正効果が機能していない*23
    • あまり意識して上げる必要のない武器レベルはともかく、他のかけらで代用しにくいHPの成長が残念なことになっている*24
  • 司祭のグラフィックはウェンデルやボアのような老司祭を基本ベースに作られている。しかし魔道士マリクが司祭になるとそれとは違った特別なグラフィックになる……とここまではいい。
    • 問題は第2部には魔道士としてマリクとほぼ同年齢のエルレーンや、更に若いユベロ(一応13歳だが顔グラはそれよりも幼く見える)まで登場する。当然彼らもマリク同様条件さえ満たせば司祭になれるのだが、彼らは普通に敵やウェンデルのようなノーマルスタイルな司祭になってしまう。
    • 勿論「フードのついた典型的な司祭のローブを着ているというだけでジジイとは限らない」のだろうが、たいていの人は司祭といえば上記2人やガーネフが代表例であのスタイルからジジイを連想してしまう。特に幼いユベロはそのギャップが大きすぎる。第2部主体に考えられているにもかかわらず配慮の足らなさが窺える。
    • また、FC版では女性魔導士の「リンダ」も同様の司祭姿になってしまう問題があったが、SFC版では新規に追加された女性用司祭姿になる。一応改善と言えるが、クラスチェンジ前の金髪からレナやマリアのような赤髪になってしまうという新たな問題が出てきてしまった。容量の都合か女性は全員この姿になってしまい、リンダ以外も全員が赤髪になる。*25
    • 一方で敵専用ユニットとして既存クラスの色違いである「蛮族」「バーサーカー」「ダークマージ」などが追加されているが、元となったクラスとの差がほぼなく、違いがあまり感じられない。
  • 終章は3マップをセーブなし(中断は可能)で攻略する必要があり、途中でゲームオーバーやリセットを行うと、1マップ目からやり直しとなってしまう。
    また、無敗クリアを目指す場合は、4人の決められたキャラクターを1マップ目から連れていく必要がある。そのうちの二人は屋内なので本来の力を発揮できないなど、制約が多い。
  • ストーリー観点で配慮が足らない部分も見られる。
+ ネタバレ・通称「グラの大虐殺」
  • 第2部終盤の17章「グラの落日」で登場するグラの王女シーマ(ジェネラル)を仲間に入れる条件としては「グラ兵を1人も殺さない」こと。
    このマップの敵はアカネイア兵とグラ兵に分かれておりアカネイア兵は時期相応の強さだがグラ兵はこの終盤なのにレベル1で最弱の鉄装備と、まるで弱いだけでなく戦意もなくなんの行動も起こさない。そのグラ兵を1人も殺さず、シーマとマルスが話すと本来ならば過去の怨恨があるはずで*26戦いの中で敵ではあってもそんな彼らを一人も殺さず過去の過ちも水に流すマルスの寛大さにシーマ王女は感服して降伏する。更に去ろうとするサムソンをシーマが引き止め、その心中を悟ったサムソンはどこまでもシーマを守ることを決意する。……と、ここまでは感動的なのだが、ゲームとしてはシーマとサムソンは仲間になったとはいえ、グラ兵たちは(システム上では)敵のままなので、そのまま攻撃できてしまうのだ。
    • シーマはジェネラルとはいえレベル1で成長の余地はあり、またザコ同然とはいえ経験値は「ユニットの種類」と「ボスか否か」だけに紐づいたシステムであるためグラ兵も経験値は強いアカネイア兵同様にくれるのでゲーム的観点ではシーマのレベルを上げるため(星のオーブを持たせて)事もあろうかシーマがグラ兵を殺して経験値にするという、悪逆非道で名高い父王ジオルも真っ青な凶行を平然と行わせるプレイヤーが続出した。これは後にグラの大虐殺と呼ばれた。
    • もちろん中にはゲームとはいえ後ろめたさを抱いた者もいたようだ。だが屋内で槍が使える者が味方ではアーマーナイト・ジェネラルしかおらず特に2部ではそのメンツは長らくドーガのみと苦しく、そのドーガは若いくせに低成長という頼りなさも手伝ってアーマー系(正しくはグラディウス要員)戦力は少しでも欲しい。しかもこの先は強敵ばかりな上に、残りの話数という点でもそのチャンスが少ない苦しい事情も手伝って、やはり虐殺がもたらす経験値の美味しさという誘惑には勝てなかった者が多い。
      「シーマ王女を慕う兵たちが自らその身をささげた」「見た目は殺しているように見えるが、実は某ナメック星人よろしく融合合体した」などと勝手に都合よく解釈しようとしたプレイヤーもいたようだが、いずれにしてもシーマ王女は「私のために戦ってくれたあの者たちをどうして捨てられるものか!」(章の開始時)「貴様ら よくも我が民を!」(普通に戦いを仕掛けた時)などと、どの口がそんなことを言うのか?やはり「蛙の子は蛙か」などネタは尽きないものになった。
    • 後の作品のような同盟軍といった概念が無かったにせよ、せめて「シーマ王女が仲間になると同時にグラ兵をマップからイベント扱いで離脱or消滅させる」ぐらいの措置は取れなかったものだろうか?
      • 後のリメイクでは、この点が改善されシステム上でグラ兵は敵のままでもシーマとサムソンは彼らを攻撃できなくなった。また他の面々ならグラ兵を攻撃できるが経験値システムが変わった関係で得られる経験値が少なくなったので大して旨味もない上に、それでもタダ同然だから「雀の涙でも取れるものは取っとこう」と軽はずみにそれをやってしまうとシーマとサムソンが再び敵に戻る(二度と仲間にはできない)という手の込んだ罠まで施された。この当時なら「シーマが仲間になると同時にグラ兵はそのまま撤退・降伏した扱いとして消える」ぐらいシステムでできそうなものだし、上記のようにもっと複雑な仕組みが組めるのに敢えてそのような罠を仕掛けてきている点から、開発のインテリジェントシステムズ自身もそんな人非人なプレイヤーには罰を与えたかった意図が垣間見える。*27

総評

第1作の時点で基礎は固まっていたが、2作目『外伝』が意欲的な改革を行ったのに対し、本作は第1作のシステムをより洗練してクオリティを高めたことが評価された。
システムの大幅な刷新や、加賀氏の作風の変化が賛否ありつつも高い評価を得た第二部のストーリーといった、『ファイアーエムブレム』というシリーズが持つ魅力を完成させた一作といえる。


その後の展開

  • 本作発売当時は、OVAやドラマCD、4コマアンソロジー本にコミカライズとFEのメディアミックス展開が最盛期であった時代であった。ここからも多くのファンを取り込むことに成功している。
    • ただしOVAはナバールが仲間になり、ハーディンの部隊と合流……という、ゲームで言えば第1部序盤の半ばで打ち切りとなっている。「ユーザーの反響次第で続編を作る可能性はある」との事だったが、結局期待していた程の売り上げは出せなかったようだ。
    • ちなみにOVAでのマルスの声は緑川光氏が担当しているのだが、これは一般的なオーディションではなく「ファンからの人気投票」という異例の試みによって決められたという。また、ナバールの声は子安武人氏が演じているが、これはファイアーエムブレムシリーズの大ファンだった子安氏が、直接働きかけた結果である。
      • このキャストは『大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』にマルスが参戦した際にも引き継がれた。スマブラシリーズのマルスのデザイン・モーションはFC~SFC版がベースとなっている。ナバールに関しても、ソーシャルゲーム「ファイアーエムブレムヒーローズ」において、引き続き子安氏が声を担当している。
      • ちなみにOVAの脚本を担当していたのは、『スクライド』や『機動戦士ガンダム00』シリーズなどで後に有名になる黒田洋介氏。当時はアニメ脚本家としてはほとんど新人であったが、ゲームシナリオの経験もあったための起用だろう。
        その縁もあり後年のある作品のファンブックで、彼が緑川光氏を紹介したところでもマルスを挙げている。
  • 2000年にエンターブレインより小説版が販売されている。
    • 出番の差こそあれど全キャラクターが登場し、また『外伝』『聖戦の系譜』の要素も随所に盛り込まれている。
      • 第1巻である『暗黒竜と光の剣』は本作がベースとなっており、リフやロジャーといった本作で削除されたキャラクターは登場しない。
  • Wiiのバーチャルコンソールでは、サービス開始最初期の2006年12月26日に、FEシリーズでは初めて配信が開始された。
    • また、WiiUでも、2013年のファミコン生誕30周年記念の『Wii Uバーチャルコンソール体験キャンペーン』として『バルーンファイト』『MOTHER2』と共に第2弾として本作の配信が予定された。2013年4月27日より配信されている。

余談

  • FEシリーズは発売延期が多いことで有名なのだが、中でも本作は延期が多かった。
    • 外伝同様、クレジットは前年のまま年を越して持ち越すハメになった。
  • CMはゆったりした「FEのテーマ」に乗せて、本の押し絵からマルス達が飛び出し裕木の周りに登場するという合成映像。
    • 前作までの声楽隊によるインパクトのあるCMとは正反対の、ほのぼのした感じの演出で印象に残っている方も多いのではないだろうか。
      • なお、CMには女優の裕木奈江を起用。起用に関しては、当の本人がとある雑誌でFEシリーズのファンであることを雑誌で語っていたことが縁となった。
+ 『紋章の謎』のCM

  • 人気作であったが故に攻略本も多数発売された。
    • 中でも小学館の公式ガイドブックに至っては、基本的な攻略情報を掲載した通常版に加え、「初心者の方にはお勧めしません」と警告した上でさらなる詳細なデータを記した「任天堂公式ガイドブック ファイアーエムブレム紋章の謎PROFESSIONAL」も発売された。
      • 内部データの開示や、バグ技も駆使したマニアックな攻略といった実用面もさることながら、スタッフインタビューに著名人のコラムやしりあがり寿による妙ちくりんな年表といった副読本としての要素も充実。読みごたえのある1冊になっている。
      • 同書で明かされた没要素には『ファイアーエムブレム 外伝』より登場しており、『聖戦の系譜』以降のFEシリーズに欠かせない存在となった「ファルコンナイト」やパラディンの上位互換クラス「ナイトロード」などのクラスが見られる。実際「ダークナイト」などの没クラスは製品版にも存在している。
        よってファルコンナイトが登場していないのはアカネイア大陸関係の作品のみになってしまったが、リメイク版でようやく追加されることとなった。やはりこの事を踏まえての事だろう。
      • また、敵のパラメータに「善悪」が考案されていた。「よく似たゲームが他にあったので途中でなくなりました」とのこと。実際第2部にはプレイヤーの善悪観念を問うてくるギミックが随所に垣間見える。
  • グラフィックやシステムなど多数の変化により、味わい深いネタ要素も多い。
    • 僧侶リフは先述の通りリストラされてしまったのだが、オリジナル版でリフが加入した村を訪ねると村人から傷薬がもらえるように変更されたため、リフがきずぐすりになったと大いにネタにされることになってしまった。
      • FC版において、リフの使うライブの杖は本当に傷薬相当の10Pしか回復できなかったので何とも切ない。
    • FC版では凛凛しい顔だったキャラも第二部において「バカ兄貴」としての側面が強められたマチスは間抜け顔に、詐欺師の設定が加えられたカシムは他人を騙しやすい気弱な顔になっている。インタビューによると、FC版でのユーザーの反応をもとにしているとのこと。
      • 逆に、FC版でのグラ使いまわしが改善されたりイケメンになったことでもネタ化した者がいる。某ゲイ漫画のキャラに似ているという理由で「オレルアンのいい男」と揶揄されるようになってしまったビラク、『ジャングルの王者ターちゃん』似の顔から美形化したオグマ、説明書のイラストから「出っ歯」と揶揄されていたがイケメン化したアベルなど。
      • 揃って登場するのに同じ顔・色で見分けがつかなかったトムスとミシェランも差別化が図られ、とてもアーマーナイトとは思えないほど凛凛しい顔になった。初期値が低いミシェランよりもトムスの方が成長するというのは相変わらず。
    • 第2部の敵のセリフなどにも、突っ込みどころ満載だったり、色々と特徴的なネタも多い。
      • ボスのシューター・トラース「方位445…撃て!!!」(※東西南北どこから攻撃を仕掛けても同じ台詞。またシューターは反撃不能な上にステータスが低いため、シューターが攻撃するまでにこちらが移動範囲ギリギリからにじり寄っている場合が多い)
      • 序盤の悪役・ラング「(命乞いのセリフを長々と垂れ流した揚句)と・・・ゆだんさせといて・・・ばかめ・・・死ね!!!」(システム上不意打ちやそれに類するスキルが存在しないので、こちらから攻めている場合は結局普通に攻撃することになる。よってほとんど無意味なのが余計に哀愁を漂わせる。)
      • ボス盗賊・ダール「盗賊のうわまえをはねるたぁなんてヤツらだ・・・お前たちゃ人間じゃねえ!」→「人殺しー」(※断末魔。『新』では章間のナレーションにしかなかった句読点がこれを含めた各セリフについた)
      • ビラク「そうだよロシェ」(これ自体はなんてことの無いセリフだが、発言者の2次設定などの事情が合わさり、ネタと化してしまった)
      • ステータス関連ではビラクは初期レベル1で成長率も低いダメキャラだったのだが、仲間にならない2部では同僚のロシェと同じパラディンレベル8なのに守備力で2上回り下剋上を果たしている。敵に回るとこの成長、こいつ闇属性か……。
      • 成長率が低く、初期メンバーのゴードンを適当にクラスチェンジさせるまで育てるとあっさり追い抜かれる、「大陸一の弓使い」ことジョルジュ。また、そのゴードンも2部では「アリティア一の弓使い」という名声を得たのに弟のライアンの成長が目覚ましくあっさり下剋上を許したりする。
      • 「だが、ジルジュよ」(※親友であるはずのアストリアに名前を間違えられるジルジュ。『新』でも残っている
      • 第二部の終盤にて、撃破した途端に瞬時にターバンを頭にかぶった顔グラ(第一部の使い回し)に変化して散り際のセリフを言うハーディン皇帝(こちらはさすがに『新』では改められた)。
    • 2部でのステータスギャップでネタにされるのが女騎士ミディアの強さで、捕らわれの身ながらなんとパラディンのレベル16というだけでなく上がりにくい守備力でさえアーマー顔負けととても女性とは思えないほどの屈強な凄まじき力を持って登場する。
      • この強さは4話前にようやく加入する恋人のアストリア(勇者)を完全に凌駕するもので、一応アストリアは加入時レベル5なので、そこから成長させればなんとか面目は保てる強さにはなるのだが大抵彼の加入時には傭兵・勇者枠はオグマとナバールが怒涛の成長力で最強クラスになりブイブイ言わせている頃なので戦力で考えればアストリアに無理に出番を与える必要がなくあるいは上記の怨恨からメリクルだけ没収して敢えて飼い殺しにするプレイヤーがいてもおかしくなく、そのまま放置され足元にも及ばない力を持った恋人と対面することとなるケースも少なくない。
      • 知っての通り恋人のアストリアは序盤から敵として立ち塞がりメリクルを振り回して襲ってきたようにハーディンに対して忠実な立場で仕え続け弱い者ばかりいじめるだけで富や名声が安泰な立場という美味しい環境でぬくぬくとしてきたのに対して、ミディアはそのハーディンが強大な力を持つと知りながら敢えて高貴な身分を捨ててクーデターを起こしたほどなので、これほどまで逞しくなるのは頷けるし、この時期としても充分すぎる強さで加入してくれるのは結構なことだが強すぎて可愛げがないと否定的にとらえる者もいる。
      • エンディングでアストリアは「最近になってようやく妻を迎えた」と語られるがそれがミディアとは言われておらず、片やミディアは「アカネイア自由騎士団に参加」とだけ言われ結婚に言及されていないことから、この二人は結ばれなかった可能性が高い*28。ストーリーの観点では祖国や主君に対して相反することをしたため、お互いの心が離れてしまうのも納得だが、このステータスから「アストリアが尻に敷かれるのを恐がって別れた」とか「強くなり過ぎたミディアからすれば頼りなくなって愛想尽かされた」など、いろいろネタにされている。
    • ……等、まあシュールなものも多く、今でもファンの間で愛され続けている。
  • 第二部のとある章にて、「マスターソード」と言う武器を持った「バーサーカー」という敵専用の兵種の敵ユニットが一人だけいる。
    • 武器の名前もさることながら、当のバーサーカーの本作でのグラフィックは「金髪に緑の服を着た勇者」と言う内容。明らかに別の任天堂のゲームの主人公を意識したデザインである。
      • さらに言うと、バーサーカーという兵種そのものは本作が初登場だがこの名無しのユニットだけの専用兵種となっている。姿形はオリジナルを意識した勇者のそれなのはいいとして、なぜバーサーカー(狂戦士)などと名付けたのか?
      • まともに戦うと強いのだが、間接攻撃能力を持たず魔法に弱いので、大抵は一度も剣を振るう事なく倒される。
    • 後発作品においてはバーサーカーは『トラキア776』で敵専用の兵種として復活し使用武器は斧に変更され、続く『封印の剣』以降は味方キャラクターでもこの兵種に就くユニットが現れ、その後はほぼシリーズ常連の兵種の1つに数えられるようになった。海賊の上級職であったりなどちゃんと狂戦士のイメージを付けられている。
      • 一方のマスターソードに関しては、その後は『トラキア776』で1度だけ復活した以降はリメイクの『新・紋章の謎』を除き登場しなくなっている。やはり『ゼルダの伝説シリーズ』との混同を避けるためだろうか?
    • リメイク版の『新・紋章の謎』ではバーサーカーと言う兵種自体は存在するが、原作でのマスターソード所持バーサーカーは単なるソードマスターに差し替えられた。
  • 第2部「紋章の謎」ではアランとサムソンの「メトロイドコンビ」が組めるようになった。
    • しかし、アランの能力が上記の通りで終盤では使えたものではないため、どうしてもこのコンビの活躍が見たいなら大量のドーピングが必要。

+ タグ編集
  • タグ:
  • SRPG
  • SFC
  • ファイアーエムブレム
  • 任天堂
  • インテリジェントシステムズ
  • IS
  • 1994年

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月03日 08:13

*1 HPと武器レベルはFC版同様に上級職の基本値に補正。幸運はCCでは加算されない。

*2 攻速が0以下だと0として計算されるため、追撃には最低でも攻速3が必要。

*3 第1部は「第2部だけだとストーリーもなにもあったもんじゃない。これでは新規層の獲得を狙うにはハードルが高すぎる。ということで追加した」という経緯がある。また、当初は25章のうち数章程度を抜き出したダイジェスト版にする予定だったが、意味不明過ぎるからと追加していくうちに結局全20章(ほぼ収録)になり、プロデューサーも「大丈夫かいな」と先行きを不安視していた。

*4 ちなみにこのロシェ、HPだけが高くて他は全部低いという、まるで敵ユニットそのものな能力値で仲間になる。次章で仲間になるミディアと比べれば一目瞭然。

*5 「戦いの後 病に倒れた…」(原文まま) 戦いの最中から闘病生活である事は語られているため、病に倒れたというのは「戦時中は元気だったが、戦後になってとうとう発病した」ではなく「病没した」という意味なのだろう……。

*6 例え生存していたとしてもアカネイアに刃を向けた国の将である故に、貴族陣の猛反発にあうのは確実。史実の英雄アンリとアルテミスよろしく決して結ばれる事はなかったであろう。

*7 そもそも紋章第一部のエンディングでマルスにシーダへのプロポーズを言わせたのがニーナである。

*8 グルニアへ圧政および悪政を敷いて反乱を誘う。カダインには後継者争いの火種を投下し、疲弊していたグラ王国に甘言を囁いて味方につけた。マケドニアへはミネルバ王女の政治的手腕の低さを見抜き、軍部へのクーデターを支援した。アリティアに関しても、マルスの気質を存じていたため、それを利用した手口で首都陥落まで追いやっている

*9 因みにニーナを唯一生き残らせたのはカミュ。これには、メディウスがニーナを生かしておきたかったという目論見も絡んでいるが

*10 一端を辿れば実はガトーも関係しているのだが。

*11 なお、旧作~第1部の時点でマルスがファイアーエムブレムを手に入れた後は「鍵を使わずに宝箱を開けられる」という盗賊と同じ能力を使えるようになっていたが、この一件との因果関係は不明。

*12 FC版取扱説明書におけるハーディンの記述:「オレルアン騎士団の隊長。ニーナ王女を助け、オレルアンの地で戦っている。」

*13 漫画家。月刊Gファンタジーにて1993年3月から1999年1月まで『暗黒竜と光の剣』のコミカライズを連載していた。

*14 旧作ではメリクルはマルス専用、勇者は装備不可。

*15 敵は「開始時に竜形態に変身するマムクート」も「最初から竜形態のマムクート」と同様にずっと竜形態だが、プログラム上の処理が違うらしく、前者のみ何度も戦っていると武器を使い切った扱いになり攻撃してこなくなる(反撃時は普通にブレスを吐く)。

*16 次の値が今の値に特定の値を足して別の値で割った余りになっている。実はFC時代にも使われていたが、現在一般に使われている乱数アルゴリズムでは最も低級な方法で、特に本シリーズのような連続した使用には向かない。

*17 魔防は相当偏った乱数でないと上がらない

*18 ちなみに主要登場人物扱いだったのはマルス・シーダ・カイン・アベル・ジェイガン・ニーナ・ゴードン・リフ・ダロス・ハーディン・オグマ・ジュリアン・モロドフ・レナ・ミネルバ・マリク。序盤加入者でもナバールなど載せられてもいない連中さえいる中でリフ・ダロスはしっかり入れられている。

*19 後に『聖戦の系譜』で復活し、銀の剣を賜ることは騎士にとって大変名誉な事であるとされている。

*20 レイピア、メリクル、ファルシオン

*21 この反省か、次回作以降はクラスチェンジが可能となったり、純粋に成長率、初期値が高いなど、主人公キャラへのテコ入れが進んでいく。また、再リメイク作でも、レベル上限が30になっていたり、成長率が上がっていたりと、マルス本人の強化が進んでいく。

*22 FC版はHP22、速さ14、守備8が保障された

*23 設定上は武器レベル+30・HP+20・守備+10・技-10・速さ-10。

*24 他にHPプラス補正があるのはタウルス(+5)とピスケス(+10)のみで、ピスケスの入手は一番遅い。

*25 これらの要素は、当時エニックスから発売された4コマ漫画劇場でも、実際にネタにしている作家がいた。

*26 第1部の過去、グラは同盟国ながらアリティアを裏切っておりマルスは父王コーネリアスを殺されている。この第2部でも以前にマルスをはじめ騎士団が遠征で不在のアリティアをグラ軍はアカネイア軍に同行して不意打ちのような形で攻めている。

*27 そもそもFC版初作の時点で、ユニットに対する命の重みにこだわっており、他のRPGのように「金や魔法さえあれば生き返れる」という命を軽んじることを否定するシステムにした。

*28 一応ミディアは「結婚しつつも騎士を引退しなかった」「自由騎士団に参加した後にアストリアと結婚した」という解釈はできなくもない。ただミディアが死んでいた場合でもアストリアが妻を迎える後日談は変わらない。