※当ページでは、SFCの『幽☆遊☆白書』とその続編である『幽☆遊☆白書 特別篇』を紹介する。(判定はいずれも良作)



幽☆遊☆白書

【ゆうゆうはくしょ】

ジャンル シミュレーション(ビジュアルバトル)
対応機種 スーパーファミコン
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売・開発元 ナムコ
発売日 1993年12月22日
定価 9,600円
判定 良作
ポイント 唯一無二のビジュアルバトル。
再現度は非常に高い。
独特の操作方法とゲームバランス。
幽☆遊☆白書シリーズ

概要

冨樫義博の人気漫画(アニメ)、『幽☆遊☆白書』を元にしたキャラクターゲーム。
ストーリーモードが搭載されており、アニメ版をゲーム展開都合上多少手直ししたものを駆け足で楽しめる。
公式ジャンルは「ビジュアルバトル」となっているが、他に類を見ないシステムを有した対戦ゲームで、1対1のバトルと『KOF』のような勝ち抜きのチーム戦がある。

システム

  • 互いに行動を選択し、そのぶつかり合いによって相手の体力を0にすることを目的とする。
    • 例えるならば、アクション要素を排した対戦格闘ゲームといった感じ。
  • ターン制だが、行動入力はアクティブ。両方が入力終了することで行動に移るが、片方の入力があまりに遅れた場合は一方的に殴られる。
  • 各キャラクターはパンチ4種類・回避行動4種類・7種類の固有技+ジャンプの計16種の行動を取ることができる。
    • パンチ・回避はノーコストだが、固有技は「霊撃」と「技」の2種類に分かれており、それら2種のポイントを各技に応じた量消費する(ジャンプは技を消費する)。
  • ターン開始時に画面中央に霊魂(霊気玉)数個またはアイテムが表示され、これは直後のターンでの行動結果に応じて両者に分配され、霊力と技のゲージに任意に分配することができる。
    • 攻撃に成功して相手の行動を防ぐことや相手の攻撃を完全回避するといったことで霊魂を独占できる。
    • アイテムには技の力を回復する「技」、霊力を回復する「霊」、体力を回復する「愛」の3種類があり、それぞれ効果の大きいものと小さいものがある(見た目のサイズで判別可能)。
      • ただしアイテムは手に入れただけでは効果を発揮せず、次のターン以降任意のタイミングで使用する必要があり、使用を邪魔されなかった場合にのみ初めて効果が出る。
  • 十字キーそれぞれが霊撃・技・パンチ・回避に対応している。押し続けることで成功率・威力の度合いを示すゲージが貯まり、BAXYで種類を選択。
    • 各行動には優先順位というものがあり、先手・後手に問わず基本的には「射撃系霊撃>伸び系霊撃>近接系霊撃>技・パンチ」の順に優先される。これを覚えて、いかに相手に邪魔されずに技を使うかが重要になってくる。
      • 例:先手を取って伸び系霊撃を出しても、相手が後手で射撃系霊撃を出していれば、まず相手の攻撃の命中判定が先に行われる。
      • パンチはノーコストで使えてゲージ増加も早い代わりに、命中率・回避率が低く、霊撃技に対してはほぼ無力。余程の状況でなければまずカウンターを叩き込まれてしまう。
      • なお一部キャラが持つ「キャンセル技」(残像や身代わりなどを出し、相手の攻撃をいなす技)などは、上記の優先順位を無視できる。
  • バランスによる転倒の有無
    • ダメージを受けるとよろめく描写が発生し、更に攻撃を受けると倒れてしまう。倒れると起き上がるまで無力化してしまうのでバランスの配慮も必要になる。
      • バランスは回避行動でしか回復しないので攻撃偏重だと、こちらの攻撃が当たり自分はかすっただけなのに倒れる危険も生まれる。

評価点

  • 登場キャラクターが多彩。
    • 主人公勢やメイン敵チームはもちろん、原作ではかませ犬扱いであったが実力は確かな「美しい魔闘家 鈴木」「吏将」「是流」*1と渋い選出。
      • 鈴木は何と専用BGMを引っさげて登場する力の入りよう。
    • ゲーム化にあたり全キャラクターに6種類の固有技が必要になっているため、作中登場しなかった必殺技が追加されている。
      • 陣の「修羅烈風斬」、鈴木の「クラウンズイリュージョン」などオリジナル必殺技はどれもキャラのイメージによく合っている。
    • 一部キャラクターは霊力を高めた時に必殺技が変化する。
      • 例を挙げると蔵馬の「シマネキ草→魔界のオジギソウ」、飛影の「妖剣→16回斬り」など。
    • そして、これら全てが原作アニメとほとんど同じ声優(残念ながら一部キャラは違う)によるボイス付き。
      • 電源を入れてナムコロゴが表示される際の「レイガ~ンッ」のかけ声だけは妙にクリアなのだが、肝心なバトル中のボイスが非常にこもって聞こえるのは残念。それでも、当時のスーファミソフトに収録されているキャラボイス量としては、非常に頑張っていたと言える。
  • グラフィック
    • スーパーファミコンにしては綺麗なドットで、キャラ再現が出来ている。
      • バトル中はこの美しいドット絵が迫力ある構図で動くため、アニメ版のキャラを自分で操作しているかのような臨場感が味わえる。
  • 原作再現ができている
    • シナリオでは幽遊白書のストーリーをなぞれ、キャラゲーとしても合格点。
      • ただし、暗黒武術界に入る前の霊界探偵編にあたる部分はゲームオリジナルな展開となる。
      • こちらでは蔵馬飛影の逃走を追う展開から始まり蔵馬を先行させる形で蔵馬より先に飛影と戦う。飛影撃退後、間もなく蔵馬とイベント戦闘になり原作と同じく暗黒鏡で蔵馬の願いを叶える。
      • 暗黒鏡使用後は原作では双方特に何事もなかったが、こちらは幽助が瀕死の状態になり、その場に駆けつけた桑原が霊気を送る形で一命を取り留める原作朱雀戦後の展開になる。
      • 飛影蔵馬の身柄がその場でコエンマに引き渡されると直後唐突に現れた朱雀単体とその場で戦闘となる。
      • その朱雀との戦いを傍らで見ていた左京と戸愚呂弟が朱雀戦後に登場し戸愚呂と2回の戦闘に入る。1度は勝利必須も2戦目は負けイベント戦になり、戦闘後ここで初めて幽助らは幻海と出会う。そして暗黒武術界編へと突入。
      • ここまでの流れは最初の飛影と戦った森の中ですべて完結する。
      • 暗黒武術会以降は比較的原作に沿った展開となる。幻海から幽助への霊光玉継承、幻海と戸愚呂の決闘などの名場面もしっかり再現。
    • 一部のバトルを除いて戦うキャラを選べるが、原作通りの対戦カードにすると敵が原作を意識した専用台詞を言う熱い演出がある。
    • ぼたん/螢子/雪菜といった、他の幽白ゲーではあまり登場しない女性陣が台詞つき(ボイスはなし)で登場するのもファンには嬉しいところ。
    • 他には左京もかなり出番が多い。裏浦島も蔵馬が妖狐に戻るイベントシーンで登場。
  • 一部のキャラが体力回復アイテムを使う際、関わりのあるキャラのことを思い出す演出もニヤリとできる。続編にはない本作のみの演出。
    • 蔵馬なら母親、桑原や飛影なら雪菜のイメージ映像が一瞬画面に映る。
  • 戦略のあるバトル
    • アクションや格ゲーとも違う、独特のバトルで中毒性がある。
    • 敵の技を予測して、防御や攻撃を考えるなど戦略的な面白さがある。
    • 霊気玉を技と霊撃のどちらに割り振るか、数ターン先まで見据えたリソース管理など考えることは多く奥深い。

問題点

  • システムが独特。かつ、実は運任せの部分が多い。
    • とにかく他に類を見ないものなので慣れるまでが大変。が、慣れればそれほど複雑ではない。
    • あくまでも「確率」を中心としたゲームシステムであるため、場合によっては取りうる最善の行動を選択し続けても、一方的に負けてしまうことも有り得なくはない。
      • 一応、運次第で上級者に勝てる余地を残した初心者救済の側面もあると思われる。
  • 霊撃偏重、後手有利のバランス
    • 互いにぶつかり合う際の成否の強弱関係(優先順位ではない)は霊撃>>技>>回避行動とパンチとかなりはっきりしている。よって霊撃以外の行動は大抵霊撃で潰すことができる。
      行動が遅れればそれだけ成功率に影響するシステムではあるものの、ゲージを貯める速さ、そのときのキャラのポーズ、画面の見切れ方等々、画面内には相手の行動を特定する情報が豊富なため、ちょっと慣れたプレイヤーなら相手の行動に即座に追従することが出来、先に行動することによるアドバンテージはこれの差を覆すには至らない。
      では霊撃で先を取るのが最適解かと問われればそうでもなく、キャンセル技やジャンプで無効化されたり(後述)、射撃を跳ね返されたり、回避行動を取られたり*2とこれも有利とはいえない。
    • 以上のことから相手の行動を特定した後、即座に最適な行動を取る戦法が比較的有利となることが多い。
      霊撃を優先するCOM相手なら、「相手がガス欠になるまで回避⇒相手の技、パンチをひたすらコスト最低(攻勢を維持するため)の霊撃で嬲る」で全ての敵を圧倒できるし、対人戦は(互いに先に行動をしたがらない、という)「千日手」になり易い。
      一度片方の霊力が尽きると、尽きた方は「霊撃を回避」以外まともな選択肢が無く、もう片方は「回避以外の行動(つまり先手)」を相手に取らせればほぼ確実にそのターンを制することが出来るからである。
      対戦では低コストの霊撃を持っていないキャラでの攻略はまず不可能。持っていても相当な不利を被ることになる。
    • ただし、以下の理由により完全に後手有利という訳ではない
      • 攻撃モーションが途中まで同じで異なる性質の霊撃を出すキャラが数人存在する。そのキャラが相手の場合、回避選択が少しでも遅れると回避失敗(=相手の霊撃を無防備状態で喰らう)となるため、リスクが高くなる。
      • 武威は同じ攻撃モーションから異なる性質の技を繰り出す。そのため、回避を試みると最低50%の確率で回避失敗となり、さらにリスクが高い。
  • 特殊な効果の技や霊撃
    • 特殊な効果を発揮する技や霊撃の一部にはゲームバランスを大きく左右する程の物が存在する。以下はその例。
      • 「キャンセル技」は相手の全ての攻撃を無効化する。しかも優先順位が最上位なので、後出しでも発動ができる。最低限の*3リスクで相手の霊力を削ることが出来る。
    • 「判定が地上にしかない技や霊撃」は見てから「100%」ジャンプで回避可能。しかもジャンプは成功すれば場の霊魂を「全て」回収できるので、使いどころを選ぶ技になってしまっている。相手の技ゲージがジャンプもできないほど枯渇していれば話は別だが。
      • なお、これは対人戦や敵COMが使ってきた場合のことで、対CPU戦でこちらが使う場合は少々事情が変わる。COMの霊撃ゲージが不充分である場合、こちらが霊撃バーを溜めるとCPUは防御バーを溜めるのだが、当該の技や霊撃は防御態勢を取っている相手には必中する。そういう意味でも極端な性能であると言えよう。
  • キャラクターによる性能面の個性は意外と希薄。強弱ははっきりと分かれているが、絶妙なバランス設定になっている。
    • たとえば、最終ボスである「戸愚呂弟100%」の能力は、上手く使えば明らかに他のキャラを簡単にねじ伏せられるほどではあるが、ダメージ系霊撃の最低消費霊力が全キャラ中最大の6であり霊力が枯渇しやすいいう欠点もしっかり持ち合わせている。
    • それでも、(100%前の弟も含めた)他の戸愚呂チームのメンバーと連戦で挑まなければならない最終章は、そうそう簡単にはクリアさせてくれない難易度である。
    • 蔵馬は本作では妖狐になれない上、素の状態の霊撃が低威力・低命中率で殆ど使い物にならず、またほぼ「伸び」霊撃しか持っていない。霊力アップ後で本領を発揮するタイプなので先手を取られやすい上に、耐久力も高くなく持久戦にも不向き。「飛び」霊撃が強い相手だと、霊撃を命中させるだけでも一苦労となってしまう。特に、原作の主力技となっている「薔薇棘鞭刃(ローズウイップ)」の性能が低く、消費が大きい割りにダメージがかなり低いのが辛い。原作において女性人気の高いキャラの1人なのだが、そのイメージで戦うとかなりの苦戦を強いられる、総合的に見て玄人向きのキャラ。
  • 一部キャラクターはボイスが3種類程しかなく、原作仕様上主人公幽助のバリエーションも少ない。また下記の配役変更キャラを中心に、全体的に早口となっている。
    • 一部の配役に変更がある(特別篇に登場するキャラクターも同様)。
      • 是流:真殿光昭→森川智之(死々若丸役)
      • 凍矢:松本保典→鈴木勝美(戸愚呂兄役)
      • 吏将:田原アルノ→曽我部和恭(鈴木役)
      • 武威:金尾哲夫→若本規夫(酎役)
  • 対戦モードの仕様
    • ストーリー中のパスワードの入力によって使用可能キャラが決まると言う仕様の為に対戦モード選択の度にパスワードを入力しなければならない。

軽度の問題点

  • 出ていない原作のキャラが一部いる
    • 概ねのキャラは原作で出てきた技を使用するなどなるべくゲームオリジナル技が出ないように工夫しているチョイスだが、原作で蔵馬を苦しめた「画魔」や、暗黒武術会以前に出ていたキャラ、例えば「乱童」や「朱雀以外の四聖獣」などバトルキャラクターとして登場できるであろうキャラが出ていないのは少々残念。
  • キャラ同士の呼び名が誤っている
    • 蔵馬→幽助の「浦飯君」(正しくは「幽助」)、蔵馬→幻海の「幻海」(正しくは「師範」または「幻海師範」)が該当。
    • 桑原→呼び名自体は間違いではないのだが、幽助を「ウラメシ」とカタカナ表記で呼ぶ。原作でこのような呼び方はしないので違和感がある。

総評

対戦ゲームとしては運任せなところが強いが、キャラクターゲームとしては元のキャラクターを最大限に生かしており、原作漫画もしくはアニメを知っていれば120%楽しめる。
他のSFC系キャラゲーでもなかなか見かけない、目まぐるしい演出でおなじみの必殺技を放つ演出をウリとした本作の公式ジャンル「ビジュアルバトル」は、プレイしたファンからは総じて好評であると共に、他のゲームでもそう簡単に真似しきれなかった程の、本作唯一のアイデンティティとなった。
今見ても、キャラゲーという観点を抜きにして、非常に野心的な一作だったといえよう。


幽☆遊☆白書 特別篇

【ゆうゆうはくしょ とくべつへん】

ジャンル シミュレーション(ビジュアルバトル)
対応機種 スーパーファミコン
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売・開発元 ナムコ
発売日 1994年12月22日
定価 9,800円
判定 良作

概要(特別篇)

無印発売の丁度1年後に発売された続編。
参戦キャラクターの入れ替わり・霊撃と技を出す際に消費するポイントのゲージが一括化といった要素が追加されており、オリジナル版よりもかなり遊びやすくなっている。


評価点・変更点(特別篇)

  • ゲージの一括化
    • 霊力ゲージと技ゲージが同じゲージを使用する形式に変更された。その為に獲得した霊気玉は自動でゲージに補給される様になりゲームのテンポが向上した。
      • ゲージの一括化とバランスゲージの導入に伴い、アイテム「技」がバランスゲージ回復の「気」に変更された。
  • 「バランスゲージ」の視認化
    • 前作では隠し項目だったが、特別篇では霊力や体力と共に基本設定として表示されるようになり、バランスの減少が回避率・命中率に大きく影響するようになった。
      • その為にバランスを無視した戦闘は自分の首を絞める事になり、バランスを回復できる回避行動の価値上昇に繋がった。
    • 闘志アップでバランスゲージが回復するようになったため、闘志アップの有用性が増し、戦略の幅が増えた。
  • パンチの強化
    • 弱パンチがパンチを連打する形になったほか、まれに近接霊撃級の威力と判定補正の入った「気合の入ったパンチ」が出る様になった。
      • これにより、前作のように「技、霊撃、ジャンプなら後出しでも必ず出せる」とは限らなくなった。また、パンチの使用価値が若干だが上がった。
  • 射撃の相殺
    • 「飛び」の霊撃を同時に行なうと原作さながらぶつかり合うようになった。
      • 結果には「一方的に突き抜ける」「双方が突き抜ける」「相殺する」と3種類あり、突き抜けた場合「威力が弱まる」ことも。
  • 「衝撃波霊撃」の追加
    • ダメージは無くバランスを崩すのみだが、射撃の霊撃と同様相手の射撃を相殺することができる。
    • 凍矢の「呪氷光晶壁」、鴉の「パイナップル」など、前作の霊撃の一部が衝撃波霊撃に変更になった。
  • ストーリーモードの廃止
    • それでも変身・妙に熱いキャラクターチョイス・条件を満たすとモーション変化といった部分は継承されている。前作にはなかった演出・変更された演出も存在する。
  • 参戦キャラの変更
    • 『暗黒武術会編』以前のキャラの一部がリストラされ、一部の『魔界の扉編』キャラが追加されている。
      • ある意味鈴木よりも濃いキャラである「神谷実」医師の参戦や、幻海、蔵馬、鴉といったキャラクターに変身が加わる*4、飛影が黒龍波を喰うことができるなど、よりファンサービスに力が注がれている。
        幻海、蔵馬、戸愚呂弟は変身後の姿を隠しキャラクターとして使用可能。ただし、幻海と蔵馬は変身後の性能そのままではなく調整が加えられている。
      • トリッキーだが実用的な技を持つ神谷、飛び道具に特化している刃霧、ハマると手が付けられなくなるが脆いピーキーな性能の樹、そしてラスボス級に相応しいバランスブレイカー寸前の仙水と、性能も個性的で旧キャラと被ることもない。
      • 更に変身後は別の声優が声を演じている場合は、きちんとアニメ準拠で声優が変更される。
  • BGMも新規収録されたものに変更されている(一部無印のアレンジBGMもあり)。
    • 全体的にダンサブルなBGMはなかなか聴き応えあり。
  • 飛影の「黒龍喰い*5」や鴉の「トリートメントはしているか」など、アニメであった演出が一部追加された。
    このほかにも、前作と同じ技であっても一部演出が強化されているものもある。

賛否両論点(特別篇)

  • ゲームバランスの変更
    • 無印以上に「敵より先に攻撃を当てて相手のバランスを減らしていく」ことで有利になりやすい仕様になったため、先に攻撃を当てた者勝ち的な傾向が強くなった。
    • バランスゲージ導入や霊力ゲージの一括化によってより戦略を練りやすくなったことで、更に万人向けに遊びやすい仕様にはなったのだが、無印で頻発した「後発の攻撃でもバランスに関係なくやたら直撃を受ける」といった緊迫感が減った。
    • 霊撃・技関係も相当調整が入っており、全体的に「回避率」が落ちている。これによりジャンプで相手の霊撃を外したり、霊撃をガードで受けとめられる確率がかなり下がっており、相当バランスゲージに差が無ければ『リスクの高い行動』となっている。
      • 前作で猛威を奮った技である「キャンセル技」については、先手発動で「その後の行動の回避力にプラス修正が入る」、後手発動だと「ガードよりも成功確率の低い回避行動」と調整されており、先手発動はともかく、後手発動はほぼ死に技と化してしまった。
      • 「近接系霊撃」は一部を除いてかなり成功率・回避率が落ちており、飛び霊撃や伸び霊撃の成功率も前作より落ちているにもかかわらず、『相手が先制で伸び・飛びをだし、こちらが後攻で近接を出した場合』に、こちら側が一方的に喰らってしまうケースが多い。
  • キャラ間のバランスの変更
    • 前作で猛威を振るっていた桑原と陣はそれぞれ中級霊撃が弱体化。逆に霊撃が殆ど使い物にならなかった蔵馬は妖狐へ、殆ど劣化幽助に近かった玄海は全盛期への変身で一気に最強クラスの性能を手に入れることができ、大幅に上方修正。
    • 鴉は相当な弱体化。本作で重要な「バランスの耐久力」が全キャラで一番低く、非常にダウンしやすい。最強物理飛び霊撃の一角だった「追跡爆弾」は通常時だと威力が下がった上にコストが1重くなってしまっており、金髪化で性能が上がってようやく前作の通常時と同等程度のレベルに。キャンセル技の「死の舞」が弱体化したことで防御性能も一気に辛くなってしまい、『最弱キャラ』と評価する人が多くなってしまった。
    • 前作はラスボスの戸愚呂弟を含め、一応極端にバランスを崩すキャラは存在しなかった。しかし、本作のラスボス的存在である仙水ははっきりいって露骨に優遇されており、『誰が使っても扱いやすい上に期待値も物凄く高い』というバランス崩壊級の性能になっている。

問題点(特別篇)

  • 前作より劣化した表現がある
    • 幽助のショットガンが、第一作のようにやたらめったら撃ちまくるものから、「反転して球を3~4発撃つだけ」となった。
      • ストーリーを経て精神的な成長を遂げたというところを表現したかったのかもしれないが、ゲームとしては演出が地味になったと言わざるを得ない。
    • 蔵馬(素)の「食妖植物」や鴉の「追跡爆弾(トレースアイ)」は、前作では相手に迫ってくるような迫力あるアニメーションだったがどちらもカットされている。
    • SEでも劣化があり、戸愚呂弟の指弾や陣の修羅旋風拳のSEが前作では迫力あるものだったのが、今作では軽いものにボリュームダウンしている。
    • 一方で飛影の「邪王炎殺黒龍波」のように迫力が増したものもあることも追記しておく。

総評(特別篇)

キャラクターゲームとして元のキャラクターを最大限に生かしていた前作を正当進化させた。
唯一無二の「ビジュアルバトル」は、ゲームバランス・演出共に強化され、問題点も殆ど見当たらない。
アニメ世代はもちろん、当時リアルタイムで原作を見ていない若年・キッズ層にも十分おすすめの一作。


移植・その後の展開

  • ナムコの幽白ゲームは、他に次作『幽☆遊☆白書2 格闘の章』および最終作『幽☆遊☆白書FINAL 魔界最強列伝』の2作品がSFCで出ている。
    • ジャンルは格闘アクションに変更。良作とまでは言い切れないが無難に仕上げた格闘キャラゲーであった。

余談

  • このゲームに最も近いシステムと称されるのはPC-FXの『バトルヒート』だが、操作は大きく異なっている。当時萌芽が出始めていた「インタラクティブゲーム」にも近似したものが感じられる。
  • セガもゲームギアで展開していた幽白ゲームの第2弾として『幽☆遊☆白書II 激闘! 七強の戦い』という、本作のビジュアルバトルを模倣したシステムのゲームを発売していた。だが、こちらもバトルヒートと同様に本作に敵う要素が無く、本作より明らかに劣化しているようなゲームバランス、地味なビジュアル演出、耳に堪えるやかましいBGMと、ゲームとしての評価はあまり高いものとは言えない出来であった。
    • また、このGG版IIの発売日は、未だにファンから幽白ゲームの最高傑作との誉れが高い、あのメガドライブ版『魔強統一戦』と同じ1994年9月30日だったりする。
  • 隠しモードのタイトル『熱闘!激闘!首くくり島!』の元ネタは、ナムコが当時出していたアーケードゲーム『熱闘!激闘!クイズ島!』のタイトルのもじり。
  • 幽白関連以外では、本作より10年以上後にPS2で発売された『アニメバトル 烈火の炎 ~Flame of Recca~ FINAL BURNING』にも似たようなシステムが使われている。
    • 原作つきのキャラゲーという立場は同じだが、原作終了後の発売だったのもあってまず知名度が低い。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月27日 13:43

*1 「美しい魔闘家 鈴木」は原作では最終的にSクラスまで成長する。吏将は蔵馬に"間違いなく大将クラス"と、是流は飛影に"殺すには惜しい使い手"と称される実力の持ち主

*2 対霊撃では互いにリスクを負うものの、コストを必要としない分こちらのほうがやや低リスク。回避に成功すれば一気に流れを掴める

*3 ゲージを充分に溜めてから発動しないと不発に終わることがある上、完全にガードできないケースもしばしばあるので100%では無い。しかし本作のキャンセル技はかなり成功確率が高く、ゲージ量が僅かでも成功することが多い。

*4 幻海は若い頃の姿、蔵馬は妖狐蔵馬、鴉は金髪になる。

*5 ライフ回復、戦闘中全能力(ゲージ速度含む)が大幅上昇するという反則に近い効果。ただし相手による霊撃反射が必要で、かつ反射された黒龍破を受け身する必要がある。当然黒龍破発動分のコストは必要