Zill O'll ~infinite~

【じるおーるいんふぃにっと】

ジャンル RPG

対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 コーエー
発売日 2005年6月23日
定価 通常版:7,140円
プレミアムBOX:9,240円
廉価版 KOEI The BEST
2006年7月27日/2,940円
コーエー定番シリーズ
2009年11月26日/1,575円
判定 良作
Zill O'llシリーズ
Zill O'll / infinit / inifinit Plus / TRINITY Zill O'll Zero


概要

  • 1999年にPSで発売されたRPG『Zill O'll』をPS2でリメイクした作品。グラフィックと音楽が一新され、追加イベントや追加エンディングが多く盛り込まれている。
    • 基本的に無印で好評を博した自由度、世界観、シナリオ、キャラクターなど評価点は変わっていないので無印版の項目も参照するといい(特筆すべき変更点や改善された点については下記)。
  • 無印はゲームとしては成立していたものの、没キャラや没シナリオが多く、思わせぶりなのに結局解明されない設定やイベントが幾つもあった。今作ではそれらの多くが追加され、一部は微変更されている。

評価点

  • グラフィックはハードに合わせて新たに作り直され、無印と比べて格段に美しくなっている。
    • 無印で評判の悪かった武器デザインも及第点レベルのデザインに。
    • 主人公に限り、装備しているものがグラフィックに反映されるようになった。
    • フリントやセバスチャンといった無印では顔グラのなかったNPCにも顔グラがつくようになった。
  • 周回要素の追加。
    • このゲームにおける評価点の中でも特筆すべき点。これによってプレイヤーの選択によって変わっていくシナリオや豊富に用意されたエンディングをより楽しみやすくなっている。
    • 周回後はソウルパラメータのストックや装備の強化に必要な錬剛石が使用された分が差し戻された形で引き継がれるようになっている。
    • スキルポイントもソウルポイント×50追加された状態で始められる。このためクリア後の周回は一気に楽に進められる。
      • レベルなどは引き継がれないため、戦闘に手応えが欲しいプレイヤーも引き継ぎ要素を利用しないことで戦闘がぬるくなることを防げる。
    • また二周目以降に追加されるスタート地点もある。
  • ソウルシステムの調整。
    • 無印では自由度の高い成長システムとして評価されていたものの、「ソウルを手に入れるために必要なソウルパラメータの割り振りがわかりづらい」「パーティーから外した仲間のソウルパラメータが勝手に割り振られている」といった不満点もあった。
      • 今作ではソウルパラメータを割り振ると手に入るソウルがはっきり見えてきたり移動したりする、というビジュアル的にわかりやすい表を導入した。また説明書に一部を除いたソウルの入手条件が記載されている。
      • ソウルパラメータは一度ストックされたあと、好きな時にプレイヤーが割り振れるようになったため、パーティー外のキャラクターのソウルパラメータが勝手に割り振られることもなくなった。
  • 姿を隠して移動できる魔法、インビジブルの仕様変更。
    • 無印ではモンスターに感知されなくなるだけでこちらからモンスターに接触すれば戦闘に入る仕様だったため、狭い通路にモンスターがいる場合は戦闘回避できなかったが、今作では効果時間中は接触判定も消失するため移動が一気に楽になった。
  • イベント、キャラクター、エンディングの大量追加
    • 元々評価の高かったシナリオやキャラクターの楽しみが大幅に増えている。新たに追加されたイベントも無印からのイベントに負けず劣らず評価が高い。中にはムービーが追加されたイベントも。
      • オズワルドの街の位置づけやウルカーンの闇の神器イベント、リベルダムのディンガル軍襲撃イベント中の脱出ルートなど内容が変更されている箇所もいくつかあるが基本的な大筋は無印と変わらないか演出が強化された形になったため批判はほぼない。
    • イオンズやアスティアなど無印では名前だけしか登場していなかったキャラクターも今作では登場したり仲間になったりする。
    • 無印で登場していたが仲間にならなかった何人かのキャラクターも仲間にできるようになっており、エピソードが大幅に増えたことで人気となったキャラクターも少なくない。
      • またザギヴのように無印では仲間になるタイミングがあまりにも遅かったキャラクターが中盤で仲間にできるなど嬉しい配慮がなされているキャラクターも。
    • フレアやレムオンといった無印では必ず死ぬ運命だった一部のキャラクターも生存ルートが用意され、ファンを歓喜させた。更にはこういったキャラともエンディングを迎える事が可能。
      • 逆に死亡イベントが追加されたキャラも存在する。
    • エンディング鑑賞モードが新たに追加。このためエンディングを集めるというやり込み要素、プレイ目標も増大。さらに同じメモリーカード内なら別のデータで見たエンディングも共有される。
    • ただしこれらの追加の影響でフラグ立てが非常に複雑なイベントも増えてしまっている。そういったイベントに限って評価が高いものだったり人気キャラが関わっていたりするのが困りもの。
      • 上記のレムオンの生存ルートやツェラシェル関連のイベントはフラグ立てが非常に複雑な上にキャラクター好感度の調整が難しくわかりづらいことで評判。両者とも女性人気の高いキャラでありそれぞれのイベント内容も素晴らしいため*1、フラグ管理に失敗した大勢のプレイヤーが涙を飲んだ。
  • ロード時間は若干無印より緩和されている。ただし依然として気になるレベルではある。
  • スキルもいくつか追加されている。
    • そのうちの一つであるクイックアーツはDEX(器用度)にかかわらず全ての宝箱を開けられるようになるため、序盤から強力な装備を入手するのに便利で、周回要素の追加と相性がよくプレイの高速化に貢献している。

賛否両論点

  • 音楽の変更
    • 音質は飛躍的に向上しており、迫力がある。曲自体もファンタジーに相応しい重厚な曲であり、街の曲などは好評。
    • しかし「激闘」や「限界」といった無印で人気のあった戦闘曲が原曲の面影のない別曲に変えられてしまったことを嘆く声も多い。ただし、変更後の曲も悪い出来ではない。
  • 戦闘バランス
    • 「強敵はとことん強く、弱い敵は圧勝」という両極端なバランスは基本的に無印と変わっていない。この点は下手に変えてテンポが悪化するよりはよいとの意見もあるが不安定なのは変わらない。
    • 使うかどうかはプレイヤーの任意とはいえ、強化されたインビジブルやクイックアーツの利用で序盤から強い装備を容易に集められるようになったため、序盤~中盤はぬるくなっているとも言える。
    • ただし設定上強大とされているボスはHPが大幅に増やされるなど全体的に強化されており、その点は改善点といえる。
  • 護衛依頼の仕様変更
    • 原作では護衛依頼中は戦闘に護衛対象が参加し、やられてしまうと依頼失敗となっていたのが仕様変更され、戦闘への参加をしないようになった。
      • 以前はこの仕様のせいで戦闘開始直後に敵に先手を取られてそのまま護衛対象がやられるなどの理不尽な事故が発生していた為、それがなくなった事でかなり遊びやすくなった。
      • 一方で、戦闘に参加しなくなったことで「護衛をしてる実感が無い」「庇うコマンドの実用性がなくなった」といった意見も出ている。また、護衛依頼は上記のような難しさもあってか内容に対して依頼料金も高かったのだが、簡易化した事でただ単においしい依頼になっており、やる事の変わらない荷物運びの依頼が割安すぎる状況になってしまった。

問題点

  • モーションやエフェクトは無印同様パターンが使い回されている部分が多く、進歩が見られない。
    • 一例を挙げるとイベントで敵を撃破した後の演出のほとんどが爆発するか闇に飲まれるかのどちらかである。人間の敵幹部も死亡時に爆発するというシュールさ。
  • 戦闘テンポがやや悪化している。
    • 無印はターン制ではなく、AGI(素早さ)に応じて行動順が変わる(バーが表示されないFFのATBみたいなもの)仕様であったため行動順がきたキャラだけコマンドを選択すればよかったのだが、今作ではターン制になっているためターンが来るたびに全てのキャラのコマンドを選択する必要がある。
      • 無印で猛威を振るったAGIを上げる行動への対策かと思ってしまうかもしれないが、今作では相手よりAGIに大きく差があるとダブルアクション、トリプルアクションが発動して1ターンに2回3回の行動ができるようになるシステムが追加されているためむしろバランス調整面でも極端化している。
    • 無印では〇ボタンを押しっぱなしにしていれば戦闘演出は全てスキップできたのだが、この作品だとキャラや敵が行動するたびに〇ボタンを押さないとスキップできない。
    • とはいえあくまで戦闘テンポは無印と比較しての話であり、普通のRPGに比べればかなり高速で快適な部類。
  • 装備の仕様に関しても無印と変わらないため固定装備のキャラクターが不遇なのも同様。
  • 複数のキャラクターとエンディングのフラグが立っている場合、明確に優先度が決まっているため見たいキャラとのエンディングが見れなくなってしまうことがあるのも変わらず。

総評

容量不足などの理由で無印では詰め込められなかった要素がふんだんに追加され、まさしく完全版といってよい出来である。グラフィックが向上しているのも嬉しい限り。
システム面でも周回要素が追加されたことが大きく、従来の遊び方に加えてエンディングを収集するという目的が新たに提示された。
無論リメイク作品の宿命として「無印のほうがよかった」という一部の要素への意見や「無印と変わらない問題点」もいくつかあるが、それを踏まえても新たな評価点のほうが多く、良リメイクと言ってよい作品。
後に発売された『Zill O'll ~infinite Plus~』もこの作品をベースにしている。
ただプラスは当該項目にある通り幾つか無視できない問題点も発生している。無難さで選ぶならPS2版を遊ぶのがよいだろう。

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最終更新:2023年05月30日 15:22

*1 前者はただでさえ関連イベントが多いにもかかわらず序盤の一時期にしか好感度を上げられない上に上げ過ぎると別のキャラクターの死亡フラグが立ってしまう、後者は終盤のイベントが密集している時期にある町の宿屋に何日も宿泊した後複数のダンジョンを訪れる必要があり、計画的に行わないと他のイベントを見逃してしまう。