聖剣伝説2

【せいけんでんせつつー】

ジャンル アクションRPG
高解像度で見る
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対応機種 スーパーファミコン
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売・開発元 スクウェア
発売日 1993年8月6日
価格 9,800円(税抜)
プレイ人数 1~3人
配信 バーチャルコンソール
Wii 2008年9月9日/800Wiiポイント
WiiU 2013年6月26日/800円
判定 良作
ポイント 聖剣シリーズの世界観を確立した名作
プレイヤーを引き込むタイトルロゴ演出
王道ストーリーを彩る名曲たち
魔法偏重のバランスやバグの多さに難あり
聖剣伝説シリーズ

概要

聖剣伝説シリーズの第2作目。ただし「マナの樹」「聖剣」などの用語は共通するものの、明確な世界観のつながりはない。

前作『聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~』がファイナルファンタジーシリーズの外伝作として制作されていたのに対し、
本作からは「ファイナルファンタジー外伝」の冠が外され、明確に「聖剣伝説シリーズ」として独立化した最初の作品となった。

海外版タイトルは『SECRET of MANA』となっており、後の3Dリメイク版にもこのタイトルが使用された。
この『○○ of MANA』というタイトル形式は本作以降の海外版でも継続使用され、日本でも『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』以降はこの形式を採用している。このため、海外ではマナシリーズとしても知られている。


ストーリー

PROLOGUE

はるか昔、マナの力を使った文明が地上に栄えていた。
やがて人々は、マナの力を戦争に利用するようになり、マナの要塞と呼ばれる巨大な船を生んだ。
あまりに強大なその力は、神々の怒りにふれ、神獣が地上へとつかわされた。
要塞と神獣の激しい戦いは、世界を炎と毒で包み、地上からマナが失われていった。
その時、聖剣を携えた勇者によって要塞は落とされ、神獣も人々の前から姿を消した。
戦争によって文明は失われたが、世界には再び平和が戻った。

時は流れ、歴史は繰り返す……

村の伝説

動乱の中、人々はその剣を携えた勇者を待つ
その剣は世の平定をとり戻すためにのみ真の力を現すという
エクスカリバーや草薙など呼び名を変え
あまたの物語や伝承の中に語り継がれるその剣
その名をマナの剣という

(説明書より)


システム

  • モーションバトル
    • 本作の戦闘システム名。基本的なシステムは見下ろし型視点でのアクションゲームだが、アイテムや魔法の使用などは後述のリングコマンドで行う。
    • 通常攻撃やダッシュは無制限で連発できず、約1~2秒のインターバルを必要とする。連打でも攻撃モーションをとったり駆け出したりはするが、威力や走れる距離が大幅に落ちる。
      「ただ攻撃ボタンを連打するだけでいい」という単純な操作法に一石を投じた独特なシステム。
    • 通常攻撃ボタンを押し続けると必殺技ゲージを溜めることができ、離した時点でのレベルの必殺技が使用可能。武器自身のレベルが上がるほど使える必殺技も増えていき、上位レベルの必殺技ほど溜め時間は長くなる。溜めている間は走れなくなり、移動速度が遅くなる。また、アイテムや魔法も使用できないなど行動が制限される。
    • 敵味方にはRPGのように物理攻撃の命中率・回避率といったパラメータが設定されており、一定確率で自動的に攻撃を回避したり防御する。
  • パーティメンバーは気弱な少年ランディ、強気な少女プリム、したたかな妖精ポポイの最大3人。
    • それぞれ初登場時に限り一回だけ、名前を任意で入力できる。後から変更することはできない。
    • セレクトボタンで操作キャラの変更がスムーズに可能。画面下のキャラクターアイコンに数字がつき、何番のコントローラーが操作しているか表示される。
    • メインキャラクター3人のキャラクターデザインはクレイ人形で行われており、説明書のキャラクターイラストにもクレイ人形の画像が載っている。
  • リングコマンド
    • アイテム・魔法の使用、武器防具の装備、各種メニュー設定を一括してアイコン化・階層化したもの。
    • コマンドを使用するとプレイが一時停止し、対象キャラクターを取り囲むように並んだリング状のコマンド一覧が出現する。左右ボタンでリングを回転させてコマンドを選ぶ。
    • アイテムを使うコマンドを選べば、またそこから使うアイテムの一覧のリングが開くなど、すべての挙動はリングコマンドの中で完結するようになっている。
    • これは最早 「聖剣伝説」シリーズの象徴 と言っても過言ではなく、以降のシリーズ作品にも搭載されている。
    • また、本作を皮切りに他社アクションRPGでもリングコマンドを模倣したシステムが導入されるようになった。
  • 多彩な種類の武器や魔法(精霊)。
    • 武器は「剣」「斧」「ヤリ」「ムチ」「弓矢」「ブーメラン」「ジャベリン」「グラブ」、魔法は「サラマンダー(炎)」「ウンディーネ(水)」「ジン(風)」「ノーム(地)」「ドリアード(木)」「ルナ(月)」「ウィル・オ・ウィスプ(光)」「シェイド(闇)」とそれぞれ8種類ずつが存在。武器のモーションや魔法の効果は多彩に用意されている。
      • 各武器には攻撃以外にも使い道があり、剣で草を薙ぐ、斧で岩を砕く、鞭で離れた杭を掴んでジャンプする、ジャベリンで離れたスイッチを押したりする。
      • 精霊による魔法はポポイとプリムが使えるが、同じ精霊でもそれぞれ使える魔法が異なる(ポポイは攻撃系、プリムは回復・補助系が多い)。
    • これらには個別の熟練度およびレベルの概念が存在し、武器は鍛冶屋で、精霊は神殿でレベル上限を上げていったうえで、武器や精霊を使い込むことで、より上位の必殺技が使えるようになったり、魔法の効果が高まったりする。
  • 1人プレイのほか、キャラクター1人を他のコントローラに割り当てて2~3人での同時プレイが可能(3人プレイにはマルチタップが必要)。
    • 多人数プレイ中はスタートボタンで参加、非参加(CPU操作)をスムーズに切り替えられる。
    • 1Pも非参加にできるが、全員をCPU操作にはできない。

評価点

ストーリー

  • 「ひょんな事から事件に巻き込まれた主人公が世界を救う」といった王道的なファンタジー・シナリオ。主人公の成長物語としての側面も持ち、キャラクターの描写としては初めは弱気な少年が、課せられた使命に戸惑いつつも仲間と共に前進しようとする葛藤等、世界観への没頭を阻害しない程度に纏められている。
  • 絵本のような牧歌的な世界観ながら、本筋そのものはシリアス・やや暗めな印象を受ける。しかしながら一部のコミカルな演出(大抵はポポイ絡み)や感動シーン等の印象も強い。
  • 特にラストバトル直前のやり取りからエンディングまでの最後の盛り上がりは、シナリオとしては比較的ありふれたものでありながら屈指の名場面とされており、多くのプレイヤーが涙を流した。
  • FF的世界観が強かった前作とは時系列面での直接的な関連はなく独自の世界観を生み出しているが「マナ」など共通の用語や同じモンスターで世界観を共有している部分もある。

グラフィック

  • ハードがゲームボーイからスーパーファミコンへと移ったことに伴い、グラフィックが劇的な進化を遂げた。
  • グラフィックの傾向としては全般的にコミカルで可愛いデザインを基調とし、機械デザインなどは雰囲気を壊さない程度の質感に収められ、世界観を統一している。
  • キャラクターはプレイヤーや敵モンスター、脇役に至るまでアニメーションのパターンが細かく、小気味よく動き回る。
  • 魔法のレベルが上がるとグラフィックに変化が起こる(主に大きさが変化するだけだが)。
  • 背景も丹念に描きこまれている。

サウンド

  • SFCの音源全てを使い切っているという特性故、アクション動作(攻撃や魔法等)のSE音が鳴るとサウンドの発音割れを起こしてしまうという現象が発生してしまうが、それだけ作りこまれているということでもある。
  • 菊田裕樹によるBGMは非常に特徴的な音階が多用され、美麗で神秘的な雰囲気が前面に打ち出されている。世界観に多大な貢献をした本作の人気要素の一つ。楽曲製作の際に限界まで追求した結果SFC音源とは思えないハイファイサウンドになった。当時サウンドチームに所属していた下村陽子はこの製作環境を知って感嘆する程だったといい、現在でもファンが多く存在する。
  • 代表作は「少年は荒野を目指す(フィールド)」「子午線の祀り(ラスボス戦)」「危機(通常ボス戦)」等があるが、一つが挙がればあれもこれもと芋づるの様に曲名が挙げられるほど人気曲は多い。尚、曲名は小説や演劇から引用されている。
  • フラミー搭乗時の音楽だけでも3曲ある。
    + ...
    • 中でも終盤になると切り替わるBGM「予感」は、空が夕焼けに変わり、時折聞こえる雷鳴のようなマナ要塞の砲撃音とともにマナの要塞が移動する演出と相まって、特に印象に残る曲となった。

演出

  • 壮大なサウンドと共に巨大なマナの樹が姿を現すタイトル画面の演出は当時の多くのプレイヤーに衝撃を与えた。
  • 敵撃破時のエフェクトにはいくつかのパターンがあり、敵の種類によって撃破エフェクトが異なる。いずれも爽快な演出で、印象に残りやすい。
    • 飛沫が飛び散る、外骨格・骨が落下、煙を上げて消滅、羽根が飛び散る、魂が掻き消える、軟体が分裂して消える、といった風に、とにかくパターンが多い*1
  • ダメージ量や回復量の数値表示は、数値が小さければ数字のサイズも小さく表示され、数値が大きければ数字のサイズも大きく表示される。これにより、大ダメージを与えた・受けたといったことが視覚的にも分かりやすく、強力な攻撃などがより派手に感じられたりする。
    • 厳密には三段階あり、 0~49 は一番小さく、 50~199 は中間サイズ。 200 以降は大文字となる。

システム

  • 簡単操作でシームレスなバトルを実現したモーションバトル。
    • 操作方法がシンプルで分かりやすい他、動作も軽快なため操作感は抜群に良い。特に、ほとんどのシステムが直感的に操作できるため非常にプレイしやすい。
    • 通常攻撃のインターバルは、多くのザコ敵がダウン復帰に要する時間とほぼ同等。つまり正確なタイミングであればあるほど敵の反撃を抑え込む事ができる絶妙なバランス。もちろんヒット&アウェイや敵ごとの無敵時間などのクセに慣れていく事で必然的にプレイヤー自身もスキルアップしていく。
  • 最大3人まで同時プレイが可能という珍しいアクションRPGジャンル。ゲーム機やソフトのコストの高い時代背景から同時プレイ可能なゲームが人気を集めていたが、中でもプレイヤー同士が協力しながら進めていけるRPGは斬新だった。
    • 操作していない味方(CPU)の行動パターンはコンフィグから設定可能。
  • 魔法の重ねがけによってボスの撃破が容易になるなどゲームそのものの難易度は低く、クリアに要するテクニックは簡単なものばかり。ダンジョン内の謎解き要素も、特別困難なものは無くテンポよくプレイすることができる。
  • 視覚的な分かり易さとテンポの良い操作性を両立したリングコマンド。
  • 宿屋、ニキータなどのセーブポイントの実装とマトック、カギの回数制限の廃止により、前作のような行き詰りが解消され、遊びやすくなった。

賛否両論点

アクション面

  • 飛び道具を投げてくる雑魚敵も先に攻撃してしまえば飛び道具から攻撃判定が消えるなど、基本的にガンガン攻めるのに向いたバランス。また、後述する攻撃魔法の仕様や回避不可能な攻撃など、アクションというよりRPGのコマンド戦闘に近い場面も多い。
    • 前作はボタン連打がダメージ量に繋がる仕様だったため、本作のインターバルを置かずに連打するとほとんどダメージが与えられない仕様変更に不満を覚えるプレイヤーもいる。
    • いくつかのボスは特に顕著で、高誘導や広い攻撃判定で回避困難だったり、そもそも移動可能な範囲が狭すぎてフィールドを移動する意味が無いケースもある。
  • プレイヤーキャラや多くの雑魚敵は、ダウン中(攻撃を受けて一時的に倒れている状態)にも喰らい判定が残る。これにより、一度ダウンすると複数の敵からハメ殺される事がある。
    • 特に序盤のウェアウルフやタイガーキメラは難敵としても名高く、攻撃を避けながら戦おうとしてもハメ殺される事が珍しくない。一応、ウェアウルフはストーリーの流れによっては戦闘回避できる。タイガーキメラは仲間が食われている隙に攻撃という攻略法があるにはあるが…。
    • ハメに関してはプレイヤーも多くの雑魚敵に対して通常攻撃だけでハメる事ができ、もちろんハメが不可能な敵もそれなりに存在するため一辺倒なバランスというわけではない。
  • 回避動作
    • 攻撃を受けた時、確率で特殊なモーションを取って回避または防御する仕様(見た目が違うだけで効果は一緒)があるが、ステータス依存の自動発生のみであり、プレイヤーが能動的に使用する事ができない。敵も同様に、確率で攻撃をかわしたりする。
    • プレイヤー側にとって自分に発生すればありがたい動作ではあるのだが、敵キャラに発生するとストレスが大きく、後述する必殺技にリスクを与える要因にもなっている。

必殺技

  • 武器ランクと武器熟練度を上げると、攻撃ボタンのタメによる必殺技をより高いレベルで使えるようになり大きなダメージを与えられる。
    • しかしこの溜め時間と威力の実用性が今一つ釣り合っていない。一応キャラクターのレベルが上がると溜め時間は短くなるが、1段階完了まで約1.5秒程度必要、つまり8レベルまで溜めるには10秒前後必要。攻撃力は1段階毎に+50%であるため、戦闘中に必殺技を溜める必要性に乏しく、使うとしても敵との遭遇前に溜めておく用法がセオリー。また、溜めの最中は移動速度が落ちるため、位置取りや回避にリスクも伴う。
    • 必殺技レベルが高いほど攻撃モーションが長くなる傾向があるが、ほとんどの必殺技*2が実質1ヒットで隙も大きめ、かつ命中判定は初段で決定されるため、長いモーションほど大きな隙を晒してしまう。前述した自動防御は敵も発動するため、長い時間を掛けた必殺技が回避されて無駄になる事も珍しくない。
    • このため実戦で有効に使用できるのは1~2段階までで、それ以上は効率が伴わない。長い溜め時間には補助魔法と相性が良くない難点もある。
    • またダメージは999でカンストしてしまうため、ステータスやバフによってはダメージアップ狙いで一定以上の高レベル技を溜める意味がなくなってしまう。
  • 一応、移動速度を落とす事で慎重に探索を進める、広いエリアでヒット&アウェイ戦法で応用、飛び道具で段差や壁を貫通する等の使い方もできる。
    • ボスによっては立ち位置やパターンによって攻撃できないインターバルが数秒間~数十秒の間はあるので、再び攻撃できるようになるタイミングで大ダメージを狙う等、決して使えないわけではない。タイミング次第では魔法との併用コンボも狙えないわけでもない。
  • 武器によって必殺技のアクションのバリエーションに差がある。剣やグラブなどはレベルによって様々なアクションを見せるが、弓矢や鞭などはモーションのパターンが少ない。

武器バランス

  • 殆どの武器は敵が密集または一直線上に位置しているとまとめて攻撃できるが、一部の武器は一個体だけの当たり判定となっている。またモーションに隙が生じる武器がある。
    • 投げヤリ・弓矢が該当する。高所への攻撃手段として使えるが、遠隔系武器としては一部のオブジェクトを貫通しないのでやや扱い辛い感がある。必殺技レベルが高ければ高い程飛距離も上がり弾数も増えていくが溜めからの攻撃からとなると爽快感に欠けてしまう。弓矢は射出までのモーションが長いため更に扱い辛い。
    • モーションが短く、貫通、遠隔攻撃、(一直線上ではあるが)まとめて攻撃できる面に優れているのはムチ、高所への攻撃手段を兼ねるとブーメランが扱いやすい部類になる。
      • はっきり言って投げヤリと弓矢には、上の二つ、ことブーメランに勝る要素がほとんどない。ムチについては一応、高所に届かないというネックがあるため、この点だけは差別化できるが*3
    • 近接攻撃系では剣・斧・ヤリが扇状に攻撃するので薙ぎ払うには便利であり、その点を考慮すると高所に使う以外投げヤリ、弓矢はボス戦だけというバランスに陥りやすい。
    • 格闘もまとめて攻撃が出来るもののリーチが非常に短く、敵にギリギリ近づいての攻撃となる。格上相手だと返り討ちに遭いやすいという難点もある。

魔法

  • 全体的に非常に強力で魔法一辺倒のバランスになりやすい。
    • 攻撃魔法はダウン時の起き上がり中やガードモーションに関係なく回避不能、エフェクト発生中の対象は直前のモーションの属性が保持されるためエフェクト中は敵を拘束できる、さらに敵の拘束よりも術者の硬直が先に終了して連続で魔法を使えると粒揃いの性能で、重ねがけによる魔法ハメが成立してしまう。ダメージが表示される前に連続使用するとダメージも合算される(合計ダメージは最大999まで)。
    • 詠唱中は行動できない、敵ごとに有利不利な属性が多い、最終盤になるまではMPが低い等から通常時に乱発はできないが、逆に言えばボス戦にリソースを集中するとヌルゲーと化してしまう。
    • とはいえ厄介なザコ敵や回避不能攻撃に対して有効となる仕様であるため、これを難点と取るか本作らしい特徴と取るかはプレイヤー次第だろう。
  • 本作の魔法は精霊の系統ごとに魔法レベル(熟練度)が設定されており、これらは魔法を使用する事で経験値を得てレベルアップする。そして初期状態では威力も効果も低いが、レベルを上げる毎に効果が著しく増大していく。
    • このため、要所で魔法を使っているだけではなかなか熟練度が上がらず肝心な場面で威力不足に陥りやすい。こういった仕様も「魔法を使いまくって進めた方が楽になる」というバランスに拍車をかけてしまっている。
    • ただし、終盤までMPがそれほど上がらず回復手段も乏しい事もあり、攻略しながらでは魔法レベルはさほど高くならない。このため熟練値上げにはRPGと同じく拠点を往復した経験値稼ぎが必要になってくる*4。条件が魔法の使用であるために、消費MPの少ない魔法を持った精霊はレベル上げにかかる手間が少なく、そうでない精霊は逆に手間がかかってしまう。
    • この点はアクションを期待するプレイヤーにとっては作業的で苦になるが、逆にRPG要素に抵抗がないプレイヤーならどんどん増大していく効果に楽しみを見出す事もできるだろう。
  • その他の仕様として、魔法レベルは最大のLv8になると通常の威力は上がらないものの、派手なエフェクトの魔法(俗に超魔法と呼ばれる)が熟練値依存の確率で発動する。この時はLv8の計算式が適用され高威力となるが、リアルタイム処理の通常時と異なり画面の時間が停止するため逆にテンポの良さを失ってしまう。熟練値を含めた最大レベルに上げるためには136回の使用で到達するLv7段階から更に149回の使用が必要であり、完全にやり込みの域である。
    • 魔法をかけられるオブジェクトを利用して、それを対象として熟練度稼ぎに魔法を何度も使用するというプレイヤーも多い。
+ 強力な魔法の一例
  • 攻撃魔法全般
    • ポポイは月精霊ルナを除く全ての精霊に1つ以上の攻撃魔法を備えており、前出の通り魔法ハメの主力。魔法レベルをきちんと上げれば単発でも普通に高威力である(魔法レベルが1上がるたび基礎威力の50%ずつ強くなる)。
    • これにプリムの「ディテクト」とMPを回復させるアイテム「魔法のくるみ」と組み合わせると、後述する強力な補助魔法を用いずともボスを封殺する事が可能。特に難しい条件を必要とせず、大半のプレイヤーが自然に使っていたであろうハメ技である。
  • アブソーブ(ポポイ/ルナ)
    • 敵からMPを吸収する魔法。ルナとの契約は中盤~終盤だが、修得後はザコ敵相手でも魔法無双になる。
    • 敵の持つMPに差があるため目標の選定は必要だが、消費MP1なのでリスクがほとんどない。更に命中時にはダメージ魔法と同じく対象がヒットバックするため、物理攻撃のサポートをしつつMP補給する事ができる。
  • フレイムセイバー(プリム/サラマンダー)、ストーンセイバー(プリム/ノーム)、ムーンセイバー(プリム/ルナ)
    • 武器攻撃に一定回数分の属性付与を行うセイバー系の魔法で、その中でも実用性が極めて高いもの。
    • フレイムセイバーは攻撃した相手を「火ダルマ」状態にする効果を持たせる。これは一定時間食らい判定を残したままスリップダメージを与えつつ行動不能という凶悪なもので、耐性のないザコ敵はこれだけで封殺できる。消費MPも僅か2と至れり尽くせり。
    • ストーンセイバーは攻撃した相手を「石化」状態にする効果を持たせる。こちらは相手の残りHPを半分にした上で一定時間食らい判定を残したまま行動不能にし、その上でダメージという凄まじい効果。ある程度攻撃力があれば行動不能どころか即死攻撃も同然なため*5、フレイムセイバーよりも圧倒的に敵を手早く処理できる。消費MPが4と高めで、序盤はおいそれと使えない点以外は凶悪。
    • ムーンセイバーは攻撃で与えたダメージだけ自分のHPを回復する、吸収の効果を持たせる魔法。そこらのザコ敵なら簡単に全回復するほど強力だが、吸収の都度HP回復モーションをとるため大きな隙を晒してしまい、テンポも削がれる。強力な効果ではあるが好みは分かれる。
  • エナジーボール(プリム/ルナ)
    • 魔法の説明(クリティカルヒットが出やすくなる)と異なり、対象の通常攻撃が一定回数だけ確実にクリティカルになるというもの。
    • 他の魔法と違い対象が単体固定という難点はあるものの、ボス戦では特に威力を発揮する。条件を揃えればラスボス戦でもカンストの999ダメージを連発してしまい、途轍もない速さで撃破できるほど。
  • ティンクルバリア(プリム/ウィル・オ・ウィスプ)
    • 一定回数だけ物理攻撃から身を守るバリアを張る。説明通りあらゆる物理攻撃を完全に無効化する屈指の防御魔法。終盤の難所はおろかラスボスの炎を含めた物理攻撃をも完全に防ぐことができ、物理攻撃しかしてこないザコ敵に対しては鉄壁とも言える効果を発揮する。
    • セイバー系やエナジーボール等と同じく、時間制ではなく効果が発動した回数で魔法が切れる仕様であるため、あらかじめ掛けておけばデメリットがなく、保険としても申し分ない性能を持つ。
    • ただしダメージはカットしてくれるものの追加ステータス異常までは防げない。石化や火だるま等には注意する必要がある。

一方で消費MPに対してダメージや効果が微妙で割に合っていない魔法もある。以下が該当する。

+ 使えない魔法の一例
  • イビルゲート(ポポイ)
    • 消費MPが8という高燃費に対してほとんどの敵にはHPの数割程度、ボス戦は1しかダメージを与えられないという超絶微妙魔法。これは敵HPに対しての割合ダメージ計算式になっている上に数値設定が異常に小さく設定されているため。同属性の「ダークフォース」の方が消費MP2と低消費かつ高威力のため完全に立場がない。
  • ルナティック(ポポイ)
    • 画面上にいる敵味方、単体・全員かどちらかに良い効果・悪い効果が付加するというドラクエでいう「パルプンテ」のような魔法。ステータス強化・ステータス弱体・全回復・全員気絶・味方全員チビッコ・味方全員モーグリ・変身(敵のみ)の全8つ。どちらかというと味方に対してデメリットな効果が多い上消費MPはこちらも8で実質余興程度にしか使えない微妙な魔法となっている。
  • ラーバウェイブ(ポポイ)
    • 炎属性の攻撃魔法だが、基本威力が「ファイアボール」(消費MP2)よりも劣っているのに消費MP3。ただし、長いエフェクトで敵を長時間拘束できる点、ファイアボールは発動から命中までに隙がある点、という2つの点でファイアボールより優れている。

空飛ぶ乗り物関連

  • 360度視点を回転して飛行可能なのだが、地理関係を把握しづらい。ABボタンで高度を変えられて、地上付近まで降りると見下ろし表示になるなども含めて、表現上は見栄えするのだが。
    • 表現や操作の上では世界が球形のように感じられてもあくまでマップデータは普通に四角形でしかない齟齬も、感覚的に把握しづらい原因。
    • 上に表示されるN・NE・E・SE・S・SW・W・NWの方角表示にきちん合わせて移動すれば行き過ぎて世界を一周しても元の位置に戻る。しかし世界が球形ではないので、八方向表示に角度を合わせず微妙な方角の場合は直進しても元の位置には戻らない。実際は正方形のMAPなので世界1周も東西南北だと約10秒だが北東・北西・南東・南西だと約14秒。
  • 最終ダンジョンへの侵入は空から行うが、中に入るには大まかに言うと方角+操作の条件が合うと自動で入っていく方式で、コマンドは表示されない。そのためその入るための操作方法を知らなかった当時のプレイヤーは目的地が見えているのに近づいても入っていかず通り過ぎてしまい延々往復する羽目になった、なんてことが起こりがちだった。
    • 逆に目的地の近くで適当にうろついていたら入れた、なんてことも起こった。
  • STARTボタンでFF2を彷彿とさせる球状の世界地図が表示される。
    • 球形地図は見にくいものの、球形地図表示中に左右ボタンで地図の向きを回転させると連動して実際の向きが変わるため、地図を見ながら進行方向を調整できるのは便利。しかしY軸方向に球形地図を回転させて離れた場所を見ることもできるので、そういう使い方をして地図を回転させた後は、逆に連動して実際の向きが変わってしまうことは不便。
    • L/Rボタンで平面地図表示に変更もできる。世界全体を把握しやすい。しかし球形地図表示に最適化してあるものを無理矢理データ処理しているのか平面地図表示には9秒かかってしまう。なおこの表示画面では枠を動かせるが何の意味もない。
  • 移動中の曲は3種類存在するが、ストーリーの進行で強制的に変化してしまい、それまでの曲が聞けなくなってしまう。場面の雰囲気もあるため仕方ない面もあるが、どれも良い曲のため選択ができればとも感じる部分ではある。

ラスボス戦について

+ (ネタバレ注意)
  • 本作のラスボス戦は実質的にイベントバトル。
    • 聖剣を持ったランディに対してプリム・ポポイの2人がラスボス戦専用の魔法を使うと ラスボス戦専用の最強の剣が発動し、その力でラスボスに立ち向かう、というもの。
      • 直前のイベントシーンでの切なくも熱いやり取り、緻密に描き込まれた巨大なラスボス、非常に人気の高い専用BGM「子午線の祀り」、ここまでに存在が示唆されてきた最強の剣の発動のための上記の凝ったプロセス…と、これでもかというほどに優れた演出でクライマックスを大いに盛り上げてくれる。
    • その反面、ARPGとしてのゲーム性はこの戦いでは皆無に近い。
      • ラスボスの攻撃は物理・魔法ともに全て必中*6、こちら側の攻撃のタイミングは一定周期ごとにランディ達の前に降りてきた時限定、聖剣以外での攻撃は基本的に通用しない…ということで、
        やることそのものは「ひたすら敵の攻撃に耐え続け、攻撃のタイミングが来たら剣で斬る」ということくらい。ラスボスの攻撃も(見た目こそ派手だが)威力・頻度ともにそれほど激しくないため、MPさえ尽きなければ負ける要素はほぼ無いと言っていい。
    • 良くも悪くも演出面に特化した戦闘であり、最後だからこれでいいと感じるか、最後にしては味気ないと感じるかはプレイヤーによって印象が分かれるところ。
  • なお、内部的には「桁違いに高いラスボスの防御力を桁違いに高い聖剣の攻撃力で突破している」形なので、高レベルの必殺技を使ったり、先述のクリティカルを確定で出せるようになる魔法「エナジーボール」を使えば通常の武器でも一応ダメージを通すことは可能。
    • そのため、最強の剣発動の仕組みに気付かないまま、上記の力技でダメージを通すやり方を正攻法と勘違いして、そのままクリアしてしまったプレイヤーもそれなりに居たようである。


問題点

バグ

本作は天才プログラマとして有名なナーシャ・ジベリ氏が最後に関わったスクウェア作品であり、氏の代名詞でもあるバグの宝庫としても非常によく知られている。以下にその例を挙げる。

ゲーム進行関連

  • ボス戦で「最後にリングコマンドを開いたキャラと、ボス撃破後の操作キャラが違う」とボス撃破後の処理が進まず、部屋に閉じ込められゲームが進行不能になる。
    • 普通にプレイしていても割と発生する上に、「ボスを倒したところで進行不能、リセット確定」というプレイヤーに強い徒労感を味わわせる内容から凶悪性が高く、本作のバグの筆頭である。初見であったり、強いボスほど武器攻撃のため接近することの多い操作キャラが戦闘不能になりやすく、発生リスクが上がるのもタチが悪い。
    • バグ条件がわからなかった時には「ボス撃破時にセレクトを連打するとバグる」とも言われ、当時は作品の広告と共に、スクウェアが通達したこのバグに関する注意書きが各小売店の店頭に掲載されていた*7
  • 武器の1つである鞭をフィールドの杭に引っ掛けて段差や穴を飛び越えるアクションがあるのだが、特定の状況下では明後日の方向にジャンプして壁の中に埋まってしまう。魔法のロープや風の太鼓を所持していなければ(もしくはどちらも使えない場所だと)脱出できずリセット確定(運良く壁のすぐ近くに杭があり、鞭を装備している仲間がそれに触れられれば脱出出来ることもある)。
  • 特定のフィールド(屋内)で魔法のロープを使用すると自動的に延々と使用し続けて無限ループに陥り、ゲームが進まなくなる。
  • 特定のボスが仲間キャラを捕獲している間にそのボスを倒すと、捕獲されている仲間がボス共々消滅してしまう。ボス撃破直後の一時的なものではなく、本当にその後もずっと離脱したまま。ただし一部の再加入イベントで復帰することもある。
  • バトルフィールドから移動したエリアでイベントが発生すると、戦闘不能や行動不能といった状態異常がイベント中でも継続される。このときイベント中に(自動で)動くべきキャラが行動不能だったり、イベントの演出で仲間の1人が戦闘不能にされて全員が動けなくなったりすると、イベントを進められなくなりフリーズする。
  • モーグリ状態から元に戻る間に宝箱を開けようとするとフリーズする。

データ関連

  • 特定のセーブポイント(クリスタルパレス前のニキータ)にフラミーで直接降りてセーブすると、そのデータをロードしてもゲームを再開できなくなる。内部データで「前画面」のデータが異常になるらしい。
    • このバグを利用し、本来はラスボス戦以外で使用不可能な最強剣をラスボス戦以外でも使用可能にする裏技がある。ただしこの状態でラスボス戦である魔法の効果が切れると素手になるバグがある(装備をし直すと元に戻る)。同様の方法でヤリ・ムチ・弓の武器パワーも入手可能である。
    • また、本来その時点では入れない(シナリオを進めると入れるorクリア済みで入れない)街やダンジョンに入ることも可能。上記の最強剣を所持したまま特定のボスを倒すと必ずフリーズしてしまうので、終盤まで進めたければこのバグでシナリオやボス戦を(少なくとも中盤までは)飛ばす必要がある。
  • 序盤で入手可能な売却不可のアイテム「魔法のロープ」を特定の手順で売ろうとすると、アイテム名が「バットラー」に変化する。この状態だと高額で売れる上に無くならないため幾らでも資金を稼げ、おまけに元の魔法のロープに戻す方法も確立されているため、正しい手順さえ知っていれば不具合を起こす心配もない。
    • このバグは序盤以外でも起こせるが、他の売却不可アイテムを所持しているとそれが消滅して進行不可能になることがあるので非推奨。本作では金を稼ぐ必要に迫られることがほぼ無いため、最序盤以外ではリスクに見合ったメリットはほぼ無い。

バグ以外の問題点

ゲームシステムの不備

  • アイテム「魔法のロープ」が必須な場面があるにもかかわらず任意入手(ダンジョン内の宝箱)であり、入手せずに進んでしまった場合とあるダンジョンで進行不能に陥りリセットしなければならなくなる。
    • ただしこのダンジョン内にはセーブポイントが存在しないため、やり直せなくなることはない。
  • 終盤のダンジョン「マナの神殿」クリア後、地上部分に出現するニキータが店売り最強防具を売ってくれるが、このニキータが「画面内に出現できるNPCは3人まで」という制約にひっかかって出現しないことがある。
    • ここでニキータが出現することに気付かないまま次の「マナの聖地」に向かってしまうと、理不尽なまでに高い雑魚敵の攻撃力で3桁のダメージを喰らうという事態に陥る。
      • それもそのはず、ニキータが売ってくれる防具の防御力は合計470だが、これを買い損ねた場合は252にまで落ちる。実に一撃当たり218ものダメージが上乗せされてしまうのである。あまりにも唐突なダメージのインフレに面食らった人もいるだろう。

仲間関連

  • あくまで序盤とはいえ、ランディ一人で進める期間は意外と長く、マルチプレイが可能になるまではそこそこ時間がかかる*8。本作の売りであるマルチプレイのお預け期間が長いというのは惜しまれる。
    • また、3人揃うまでの流れにもいくつかの展開があるのだが、ある1パターンを除いて難易度の高いバトルが待っている
+ ネタバレ含む
  • 水の神殿に着いたとき「ディラックたちが妖魔の森へ出発するところを見たか」でまず分岐が発生する。これをしていないとその後のゴブリン襲撃イベントがなくなり、パンドーラに着いた時点でプリムを仲間にできず、高難度バトル発生が確定*9。なおパンドーラにてプリム加入イベントを無視し、ポポイを先に加入させた場合も同様である。
  • パンドーラに着いた時点でプリムを仲間にできても、その後のストーリーの流れでガイアのヘソに直行しようとするとプリムと別れることになってしまい、これまた高難度バトル発生が確定一度妖魔の森に行き、斧でないと壊せない像を確認することでプリムもガイアのヘソに行くことを了承してくれ、この展開でのみ高難度バトルを回避できる
  • なお、ここまでに挙げた「高難度バトル」はどれも「妖魔の森でウェアウルフに襲われているプリムを発見し、彼女を助けるためにウェアウルフと戦う」というものである。ちなみにこのシーン専用のマップも用意されている。
  • 後ろをついてくる仲間キャラと距離が一定以上離れると見えない壁に阻まれているかの如く、それ以上先に進めなくなってしまう。
    • 仲間キャラは真っ直ぐ操作キャラについてくるしかできないため、障害物や地形に引っ掛かってしまいやすい。こうなると、操作キャラを切り替えて抜けるか一旦操作キャラをUターンさせるかしないと先へ進めなくなる。
    • 狭い通路が曲がりくねるような場所だと常に後ろがついて来れるように気を遣わなければならず、かなり面倒。
  • 操作していない味方(CPU)の行動パターンはコンフィグから設定できるのだが、この設定画面のアイコンはリングコマンドの中でも「キーコンフィグ」や「画面カスタマイズ」等が並んだ若干分かりづらい場所に紛れている。仲間加入時のチュートリアル等も無いため、人によっては行動パターンを設定できることに最後まで気付かないことも。
    • 初期設定の行動パターンは何故か敵に対して最も消極的に動くように設定されているため、上記に気付かないと敵から距離を取ってばかりでほとんど攻撃に参加しないお荷物な仲間と旅をすることになってしまう。
  • CPUキャラは敵がいない間はついて来てくれるが、敵を感知すると警戒して対応しようとするためついてこなくなる。
    • 特に探索などで強敵をスルーしたい場合、無理に攻撃を仕掛けて返り討ちにあうことが多い。
    • 仲間キャラが敵の相手を始めてしまった場合、立ち止まるので上記のように画面がスクロールしなくなり、スルーしたくても先へ進めなくなる。少しすれば戦闘をやめて追ってきてくれるものの、若干のテンポの悪さは禁じ得ない。
    • それぞれ個別にキャラクターの動きや行動のパターンは設定できるが、いずれも状況次第でその場に立ち止まってしまう。敵をスルーしたいならわざと戦闘不能状態にしておいた方がいいぐらいである。

戦闘関連

  • 攻撃を当てづらく設定されているボスモンスターが多い
    • 画面外に出てしばらく戻ってこない、速い速度で動き回る、飛んでいて攻撃が届きにくい、特定のタイミングでないと物理攻撃が当たらない、といった特徴を持つ敵がかなり多く、全体の1/3程度はこれらの特徴に該当する。
    • アクション性があると言えなくもないのだが、攻撃不能期間が長く攻撃チャンスが限られている都合上ストレスにもなりがちであり、攻撃を外すとまたジリジリと敵の隙を待たなければならないためテンポが悪い。
      • 魔法は上記の攻撃判定の問題をほぼ無視して使えるため、本作の魔法偏重のバランスに拍車を掛けている。
  • 武器を鍛えてパワーアップさせていくシステムの弊害
    • モンスターには種族が設定されており、武器には種族特効が設定されているものがある。通常のRPGであれば敵に合わせた特攻武器を使って大ダメージを狙いたいところだが、同じ武器を段階ごとに強化していく本作の仕様上 武器をパワーアップさせると特効効果が消えたり別の特効効果に上書きされてしまうので、状況に応じて武器を選ぶことができない。
    • 武器の中には状態異常効果を与えるものがある。とりわけ「眠り」「風船」の効果を持つ武器がある「ヤリ」「グラブ」「スピア」は攻撃するだけで敵を行動不能にすることができるため非常に強力であり、これらの効果を持つレベルまで鍛えたら、それ以上に鍛えると実質的に弱体化するため、うかつに強化できないジレンマが生じる。
  • 敵の使用する魔法について
    • 味方側が使う魔法の強さについては賛否両論点の項で述べたが、当然ながら敵が魔法を使ってくる際も「必中」「エフェクトが終わるまで拘束される」といった仕様は据え置き。魔法を使ってくる敵は最序盤から登場するため、演出で操作キャラが拘束される状況が頻繁に起こりテンポが阻害されがち。
    • 詳しくは割愛するが、本作で攻撃魔法の全体がけをする際のダメージ計算は同時期の『FF』シリーズなどと比べるとやや特殊であり、対象の人数によってダメージが大きく増減する仕様となっている。
      • ボスが味方全体を対象に使用してくる攻撃魔法は3人にかけることを前提に威力が調整されており、1人でも戦闘不能者が存在すると被ダメージが跳ね上がってしまうため、実質的に常に3人生存している状態で戦うことを強制されてしまう。
  • 別の敵を召喚するカオスソーサラーという雑魚敵がいるが、この敵が召喚するニードリオンが場違いな強さを誇る。知らずに戦おうとすると瞬殺されかねない非常に凶悪な敵であり、プレイヤーにトラウマを植え付けた。 一番のトラウマはフリーズだろうけど。
    • さらにそれより前のダンジョンに登場するシェイプシフターという雑魚敵は変身能力を持っているが、問題なのは上記のカオスソーサラーにも変身するという事である。つまり運が悪いとシェイプシフター→カオスソーサラーに変身→ニードリオン召喚という最悪なコンボが発生する。このダンジョン攻略の時点でニードリオンの攻撃を喰らったらほぼ即死である。
    • ニードリオンは通常遭遇する「マナの聖地」で適正な装備やレベルであっても苦戦する敵なのに、それ以前のダンジョンでしかも貧弱な装備で戦わされるのは理不尽である(「マナの聖地」突入可能なタイミングで段違いに強力な装備が購入可能になるが、それでやっとまともな被ダメージに抑えられるくらいの強さ。「マナの聖地」以前に遭遇すると必然的にそれより大きく劣る装備で戦う羽目になる)。

やり込みに関する不満

  • 一部の武器パワーが不足する
    • ボス撃破や宝箱回収などを繰り返して進行すると最終的にほとんどの武器ランクは8になるが、斧とグラブは武器ランク7までしか武器パワーが貯まらない*10
    • ラストダンジョンの雑魚モンスターは倒すと低確率で武器パワーを落とすため、これを狙ってランク9の隠し最終武器を作ることが本作のやり込み要素の一つになっているのだが、斧とグラブだけはこの作業を2回分行う必要がある。
  • 上記のランク9の最終武器だが、どの武器種のものも一律で「ランク8より攻撃力は勝るものの特殊効果は持たない」という性能になっている。ランク8から攻撃力が僅かしか上がらないにもかかわらず有用な特殊効果を失ってしまう武器も多く、いまひとつやり込み甲斐を感じにくい。
    • ランク9の斧に至っては 攻撃力が2しか変わらないのにランク8の時の力+5のボーナスを失ってしまう というまさかの弱体化*112回鍛える手間を省かせるための配慮だろうか?
  • ランディの最強頭防具「グリフォンヘルム」や火だるま・雪だるまを防ぐ最後まで有用な腕防具「チビデビルリング」は踏破後再挑戦できない「マナの聖地」でしか取れない*12

ストーリー関連

+ ※若干のネタバレ注意
  • 本作は全編を通して世界の支配を目論むヴァンドール帝国との対立構造が描かれるのだが、そのためか序盤から 帝国による襲撃→場当たり的にボスを倒して解決 の流れがかなり多い。
    • 物語中盤までは要所で敵の拠点を攻略する展開も用意されているのだが、終盤は帝国側に出し抜かれる展開がひたすら連続する。
      クライマックスまでほぼ敵の思惑通りに話が進み、黒幕の野望成就の直前まで漕ぎつけられてしまうため、最後の最後にギリギリで黒幕を倒してなんとか事態の収束に持ち込んだ、といった印象は否めない。
  • 味方側の陣営として反帝国のレジスタンスや共和国も登場するが、明らかな帝国側の罠に誘い込まれ窮地に陥ったり、スパイの潜入に慌てふためいたりといった頼りない描写が目立つ。
    • 戦場に駆けつけて「我々が帝国からの援軍を防ぐ!」と言っていたりもするので設定上は支援をしてくれているのかもしれないが、なにぶんまともに活動している直接的な描写に乏しく、主人公たちの役に立っている印象は抱きにくい。
  • 中盤、空を飛ぶ移動手段の入手以降はしばらくの間おつかい的な流れで世界をたらい回しにされる展開が連続し、会話イベントの量も減るため、やや中だるみが起きる。

その他

  • 後半のボス敵は、ストーリーに直接関わるものを除いた殆どが既存のボスの色違い。
    • ボスキャラ数自体はかなり多いため、余りに使い回しばかりという程ではないのだが。
  • 森マップや建物内等、フロアの出入り口がわかりにくい箇所が幾つか存在する。
  • 本作のダンジョンには全編を通して「斧を使わないと壊せない岩」「ムチを使わないと飛び越えられない崖」がところどころに配置されており、先に進むためだけにこれらの武器に持ち替えなければならない場面が頻出する。
    • ひと目見れば斧・ムチを使えばいいと分かる同じようなオブジェクト・地形が序盤から延々と登場し続けるため謎解きの要素を担っているわけでもなく、ダンジョンの雰囲気づくり程度の意味しか持たない*13煩わしい要素となってしまっている。
  • 名前・フォント関連
    • キャラの名前を入力する際、初期値が無い上に未入力で決定する事も出来ない。そのためデフォルトの名前にしたい場合でもいちいち自分で入力する必要がある。
    • ネーム決定・コンフィグ・システム画面の文字が通常の1/2の潰れフォントであることからフィールドの文字より読みづらい。
      • 1990年代当時は表示装置はブラウン管テレビ*14しかなかったため解像度が低く、濁点と半濁点の区別がつきにくかったことでデフォルトの名前を入力しようとして「ブリム」「ボボイ」というシュールな名前にしてしまう事も少なくなかった。
      • 更にスーパーファミコン本体とテレビ間の接続がRF(同軸ケーブル)接続の場合はより解像度が悪く認識しづらいのも拍車をかけている。
      • フォントの判別しづらさはテレビの接続がコンポーネントやS端子などの(ビデオ端子)接続であれば幾分か軽減できる。

総評

ハードが変わったことで、前作の問題点であった敵の思考ルーチンが大幅に改善され、敵の攻撃に積極性が見られるようになりアクション性が高まった。

しかし、自動回避や撃てば必ず当たる魔法が強力すぎてアクション性を損なっている面もあり、その点をアクション"RPG"としてどうとらえるかは人それぞれであろう。
複数人プレイで協力して攻略する楽しみが増えたのは大きなポイントであるが、その仲間がCPU操作の時には足を引っ張りがちになるのはアクション面で大きな問題点となってしまった。

上記のようなアクション面の粗やバグなどの不備が目立つものの、アクションRPGの裾野を広げた一翼として後続作品に多大な影響を与えた作品であることは間違いなく、強く印象に残る高クオリティBGMの多さも併せてマイナス部分を補って尚余りある魅力を内包している。
ファイナルファンタジーの外伝に過ぎなかった聖剣伝説に、オリジナルの世界観を創出することでスクウェアの代表的シリーズにまで押し上げた傑作である。


移植版

  • 2008年以降、Wii/Wii Uのバーチャルコンソールや携帯アプリ・スマートフォンにて順次配信されている。
    • VC版は当然ながらベタ移植だが、ボス戦後にゲームがストップするバグだけは修正されていて、ほとんど起きなくなっている。
      • また、SFCでも全くバグの被害にあったことが無いという人もおり、公表されてはいないが後期出荷版でひっそりと修正された部分があったのではないか(VC版は後期SFC版ベースなのではないか)とまことしやかに噂されている。
    • 携帯アプリでの移植を機に、イラストレーターのHACCAN氏によってメインキャラクター3人や精霊のデザインが描き直された。以降も、『2』のキャラクターはこの時のデザインを元に登場している。
  • 2018年2月15日に本作の3Dフルリメイク『聖剣伝説2 SECRET of MANA』がPS4/PSVita/Windows(Steam)で発売された。詳細は別項を参照。

余談

開発経緯

  • 原型として、「戦闘画面に移らずそのまま戦闘する」というシームレス戦闘システムの『ファイナルファンタジーIV*15の企画案の1つがあった。企画者は田中弘道。
  • このFF4没企画がスーパーファミコン用外部CD-ROM機器「プレイステーション(仮)」用ソフトとして再利用され、『○鳥(まるとり)プロジェクト(鳥山明プロジェクト)』として企画がスタートし、仮題がなんと『クロノトリガー(仮)』となっていた。しかし当時円満終了予定だった漫画『ドラゴンボール』が連載延長になって鳥山明が多忙になり開発は延期、1年後に開発再開するということで、進行していて企画が鳥山明と無関係な作品に形を変えて生まれ変わったのが本作『聖剣伝説2』である。
  • その後、塩漬け状態だった『○鳥プロジェクト(クロノトリガー)』はCD-ROM機器自体が中止され実現できなくなり、後に改めて企画を再利用してドリームプロジェクトとして新規に開発し直された(参考:12)。
    • そのため『聖剣2』『クロノ』両作品の主人公・ヒロインの姿はよく似ている。
    • もしCD-ROM機器が発売されていたとしても、当時『ドラゴンボール』は連載をさらに延期して魔人ブウ編を始めたため、当初の予定通り鳥山明にがっつり携わってもらうのは難しかったかもしれない。
  • また本作のモーションバトルも、『クロノ』のアクティブタイムバトルVer2.0と同じく『FF4』の没案のシームレス戦闘システムが発端となっている。
  • 移植・リメイクに関しても、日の目を見ずお蔵入りとなったものがいくつか存在している。
    • ワンダースワンカラーへの移植が予定されていたが、後に『ファイナルファンタジーIII』等と同様に開発中止となっている。
    • ゲームボーイアドバンスにて『新約 聖剣伝説2』の仮題でリメイク版が予定されていたものの、その後も詳しい情報は出ないまま諸事情により開発中止となった。
      • 長らく画面写真が公開されていなかったが、2018年にブラウニーブラウン(現、ブラウニーズ)代表取締役の亀岡慎一氏のTwitterで開発中の画像が公開された。画面から察するに『新約聖剣伝説』をベースにしたリメイクだったと思われる。

没関連

  • データ上でしか存在しない装備品がある。ゲームとしては問題ないのだが、公式攻略本に没データがそのまま掲載されてしまったため、探してしまった人もいるだろう。
    • 「ルビーアーメット」が該当。店頭販売も敵の戦利品にもない装備品であるが、公式本の「基礎知識編」では掲載された上で何故か値段の記載がある。
    • 同書は他にも非売品の値段が掲載されていたり、値段が違う等の誤記があったりと、所々おかしい箇所も見受けられる。同じ出版元の『ファイナルファンタジーVI』の公式本でも誤記・誤植が見られるのでいわば前科モノ。
  • 開発時には「ひょうたん島」という場所・イベントが制作されていたが、没になった模様。
    • 当時の雑誌にて、ひょうたん島なる場所の画面写真が掲載されていた。
    • 本作にはフラミーに乗って行くことができる、メインストーリーには関係のないサブイベント的な小島がいくつかあり、ひょうたん島もその一つだった可能性はある。

その他

  • 海外では約2年後に本作のシステムをベースに『Secret of Evermore』が製作された。『3』が海外未発売なのと対照的に、そちらは日本未発売となっている。
  • コンポーザーである菊田氏によるリマスターアレンジCD『シークレット・オブ・マナ・ジェネシス』が2012年に発売された。
    • 原曲再現を重視したアレンジCDであり、ほとんどは原曲に忠実であるが、一部のものはゲームプレイに則したアレンジが施されている。
  • キャラクターの動作が現実的なものばかりであった(分身、瞬間移動などが無い)ため、当時の年少プレイヤーが傘や縄跳びを武器に見立ててこの動きを真似ることが多かった。
  • 攻撃魔法「イビルゲート」の超魔法が発動するとき、1/64の確率でシャドウゼロというキャラがワラワラ登場するエフェクトになる(63/64はただの超魔法)。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 1993年
  • SFC
  • ARPG
  • スクウェア
  • 聖剣伝説

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最終更新:2023年09月29日 09:54
添付ファイル

*1 『3』や外伝的作品の『LOM』以降もこのモーションは続いている。

*2 例外的にブーメランのレベル1・4・6の必殺技だけは、敵に密着して出せば一度に最大2ヒットする

*3 厳密に言うと、ムチには対岸の杭に当てたら移動してしまうという難点もあるが。

*4 安全な街中での補助魔法使用では入手経験値量が半減してしまう。ただし半減せずに回復できる場所はある。

*5 逆に敵側が使っても脅威となりマナの要塞に登場するマスターニンジャが異様に強いのもこの為である。

*6 先述の物理攻撃の自動回避機能や魔法効果による回避は有効。

*7 後期出荷分では、「ボス撃破後にフリーズするバグがあるのでコントローラを触るな」との注意書きが書かれたペラ紙が同梱されている。もっとも、これでは完全な回避は出来ないのだが。現在プレイするのであれば、ボス撃破後にYボタンを押して操作キャラのリングコマンドを開けば確実に回避可能。

*8 あらかじめ攻略順を知り、スムーズにプレイした場合でも加入まで十数分、初見でシステムやマップ、ストーリーを理解しながら進めるならば倍は見積もった方が良い。

*9 このルートでは、パンドーラ城にてプリムが出てきた部屋に入るとレアキャラ2名が登場。プリムが何故エルマンに反発していたかよく判るイベントとなっている。

*10 時期限定バグ技であるがグラブの武器パワーを1回分入手する方法はある。

*11 一応レベルを上げると力がカンストするランディに装備させる分にはこの限りではないが。

*12 取得確率は宝箱開封時に1/10である。ただこれらのレア装備は敵配置の関係上比較的入手しやすい

*13 一応これらの武器の入手前には障害物としてシナリオ進行を制御する役割を持つものもあるが、それらは最序盤の数か所程度。

*14 カラー液晶テレビが一般にも普及しだすのは2000年代後半頃から

*15 当初はFF5。初期にはFC版FF4が開発予定であったため、SFC用のFF第1作の名称は元々はFF5の予定だった。しかしFC版FF4が開発中止になり、SFC用のFF第1作のナンバリングが4へと前倒しになった。