※本ページではSFC版『奇々怪界 謎の黒マント』と、そのセルフリメイクかつ続編である『奇々怪界 黒マントの謎』を併せて扱う。判定は2作とも 良作



奇々怪界 謎の黒マント

【ききかいかい なぞのくろまんと】

ジャンル アクションシューティング
対応機種 スーパーファミコン
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売・開発元 ナツメ
発売日 1992年12月22日
定価 8,500円(税別)
書換 ニンテンドウパワー
1998年8月1日/1,000円/F×2・B×0
プレイ人数 1~2人
判定 良作
奇々怪界シリーズ

概要

1986年に発売されたタイトーの業務用シューティングゲーム『奇々怪界』(以下、AC版と表記)の家庭用オリジナル作品として制作された、新生『奇々怪界』シリーズの第1弾。
タイトーとライセンス契約を結んだナツメ(現:ナツメアタリ)が制作・販売した。

ストーリーはAC版の後日談であり、直接の続編に当たる。


ストーリー

小夜ちゃんが七福神を妖怪軍団の魔の手から救い出し、妖怪たちも大人しくなって数年が経ったある日。
小夜ちゃんに懲らしめられて改心した妖怪たちの親玉、化け狸の魔奴化(まぬけ)が小夜ちゃんの神社に駆け込んできた。
彼の話によると、改心したはずの仲間たちが暴れているという。
神社を襲撃してきた妖怪たちを鎮めた小夜ちゃんは、異変の背後に謎の黒マントの怪人の存在があることを知り
その素性が海を越えてやってきた西洋妖怪軍団の首領であり、日本征服を目論んでいることを突き止める。

こうして、日本妖怪と日本の平和を守るため、1人と1匹の新たな冒険が始まった。


ゲームシステム

本作では、AC版を踏襲しつつも基本システムを一新している。

ライフ制+残機制&その場復活

  • ライフは初期状態でハート4つ分。ステージクリア時にライフが全回復すると共にハート1つ分最大値が上昇し、全部で8メモリ分まで増加する。
    • ハート1つにつき2メモリ分の体力設定になっているので、実質、16メモリ分の体力値となる。受けるダメージは敵の攻撃の種類や地形ダメージの種類によって変化する。
    • ゲームオーバー後にコンティニューすると初期値に戻ってしまう。
  • ミスして残機が減った後はその場復活で継続する。
    • ミスからの復活の際、上空からキャラが回転しながら飛び降り、着地と同時に画面内の敵にわずかにダメージを与える。
    • 地形によるダメージ*1の場合はライフが減少するのみで即死扱いにはならず、ミス時と同様の演出で復帰して継続する。ミスになるのは地形ダメージが体力値の残量を上回っていた場合のみ。

キャラクターセレクト

  • ゲーム開始時に小夜ちゃんか魔奴化のどちらかを選択する。
    • ボンバー攻撃と特殊攻撃の特性が異なるだけで、それ以外の性能は同じ。
    • 2人同時プレイ時に同じキャラにカーソルを合わせることはできるが、同キャラ選択はできない。
    • なお、キャラセレクト画面で隠しコマンドを入力することでステージセレクトが可能。コマンド入力はコンテニュー後のセレクト画面でも有効。

自機の操作・性能
ボタン表記はデフォルト時のもの。オプションで設定変更可能。

お札攻撃

  • 小夜ちゃんはお札、魔奴化は木の葉を投げつける。パワーアップアイテムを取ると性能が変化する。
    • Aボタン=単発、Yボタン=連射。

お祓い攻撃

  • Bボタンを押すと小夜ちゃんはお祓い棒、魔奴化はしっぽを前方180度の範囲で振る。
    • 前方からの敵弾を弾きつつ(一部例外あり)接触した敵にダメージを与える、攻防一体のアクション。ただし、AC版同様に一撃で倒せるザコ敵はごく一部のみ。
    • AC版と違って歩きながらのお祓いはできず位置がその場で固定となり、耐久力のある敵に当て続けているとその反動で徐々に自機の位置が背後に押し戻されていく。
    • 派手に連続ヒットしているように見えるが、攻撃力そのものはお札に比べてかなり低く、耐久力の高い敵相手には押し負けてしまうため純粋な攻撃手段には向かない。
  • お祓いで倒した敵はAC版同様に吹っ飛ばされた後、壁に叩きつけられて消滅する。2面の水上ステージのように壁が無い場所では画面外へすっとんでいくため、ザコが落とすアイテムが取れない場合もある。
    • お祓い攻撃そのものにもアイテム取得判定があるため、壁などの地形にめり込んで取れなくなったアイテムを取得する事が可能。

滑り込み(スライディング)

  • Xボタンを押すと、進行方向に向かって通常の2倍の速さでヘッドスライディングする。
    • 本作は敵の攻撃が激しいため、これをもっていかに敵の攻撃を回避するかが大きなポイントとなる。
      • 足場によっては落下したり地形に挟まれてしまうこともあるため、スリル満点。

術(ボンバー攻撃)

  • L/Rボタンで発動する無敵付きの広範囲攻撃。グリーンアイテム(緑の水晶玉)を取ることでストック数が増える。
    • 小夜ちゃんは左右上下の十字方向に強力な爆風を放つ。遠距離でも大ダメージを与えられるが攻撃判定がエフェクト通りにしかなく、斜め方向に隙がある。
    • 魔奴化は周囲を回転しながら拡散していく木の葉弾を発射。安定した攻撃範囲を誇るが、大ダメージを与えるためには引き付けて使う必要がある。
    • 緊急回避としても役立つが、特筆すべきはその攻撃力。2~3回使えば大抵のボスは沈められる。

特殊攻撃

  • Yボタン長押しでお祓いチャージを行い、点滅が最速になってからボタンを離すと発動する。なお、チャージとお札攻撃は両立可能。
    • 小夜ちゃんはお祓い棒を前方に突き出した状態で体を回転させるお祓いスピンを繰り出し、魔奴化は動けなくなる代わりに一切の攻撃を無効化する無敵地蔵に変身する。
    • どちらも便利だが「チャージ中はお祓い攻撃ができない」「お祓いスピンはダメージを受けると中断し、無敵地蔵は攻撃終了時の隙が大きい」という欠点もある。

2人プレイ時の特殊攻撃

  • 味方に向かってスライディングすると、衝突された相手を弾き飛ばし、一定時間、画面内を腹ばいの状態で回転しながら滑らせる「スピンアタック」が発生。
    • 2人同時にスライディングしてぶつかると、2人同時にスピンアタックが発生する(ダブルスピンアタック)。
    • 発生中は完全な無敵状態となり攻撃判定も発生して敵にダメージを与えられるようになる。
    • 反面、スピン中はぶつかった壁に対して90度の角度に反射しながら滑り続けるのみで、効果が切れるまで一切の操作を受け付けなくなる。
      • このため常に足場から転落する危険を伴い、更に動作終了時にライフを2メモリ消費する。ライフ2メモリ以下の場合は、無消費と引き換えに殆ど滑らなくなる。

登場アイテム

+ 一覧

パワーアップアイテム
取得するごとにショット攻撃の威力と性能が強化され、全3段階までパワーアップできる。
特定の敵を倒す、もしくはアイテムキャリアーの敵キャラ「お玉」を全滅させると落とす*2

  • ブルーアイテム(拡散弾)
    • 青い水晶玉。取るとお札が1段階パワーアップして拡散弾になる。取得の度に投げるお札の枚数が増加すると共に攻撃範囲が扇状に広がり、弾速も上昇する。
  • レッドアイテム(貫通弾)
    • 赤い水晶玉。お札が1段階パワーアップして貫通弾となり、重なった敵にまとめてダメージを与えられるようになる。
      • パワーアップごとに弾が大きくなり弾速も上昇する他、2段階目以降で敵への被弾時に弾が左右に拡散するようになり、最大で攻撃範囲が最も大きくなる。
  • グリーンアイテム(ボンバー攻撃)
    • ボンバー攻撃を使えるようになる。つづらからしか出現しない。3つまでストック可能。

この内、ブルーアイテムとレッドアイテムの効果は重複せず、どちらかを装備している時に別の方のアイテムを取ると、1段階パワーダウンしてしまう。

回復アイテム

  • 団子
    • 体力を全回復
  • お茶
    • 体力を4メモリ回復。

その他

  • つづら
    • アイテムボックス。特定の場所におかれているか、特定の地点を通過すると上空から落ちてくる。各種アイテムが入っているが、「スカ」の札と共に敵が出現すハズレのつづらもある。
  • お守り
    • バリアが張られ、敵弾を2発分だけ防ぐ。
  • 狛犬
    • 自機を乗せた狛犬が一定時間、自動的に画面内を飛び跳ねる。発動中は無敵だが移動範囲は8方向の直線に限定される。
      • 七福神からのみ入手可能。
  • 七福神
    • 小夜が仕える7人の福の神。今回は隠れキャラとしてフィールドのどこかに隠れている。マップ上の特定の場所をお札で打つとランダムで七福神の誰か1人が姿を現し、アイテムを3種類まで与えてくれる。アイテムの種類は七福神1人ごとに違い、各自、常に同じものをくれる。

難易度面

  • AC版と違って即死制ではなくなったが、その反面、敵の攻撃もかなり激しくなっており、難易度がかなり高い。
    • 残機は得点で増えることはなく、特定の場所に1UPが隠されているのみ。数自体も少ない。
    • 抜け道、寄り道の類は一切存在せず、群がる敵を確実に突破することを要求する、業務用を意識したような硬派なゲーム性となっている。

評価点

  • 練りこまれたステージ構成と絶妙な難易度。
    • どのステージもマップ構成や敵の配置がしっかりと考え抜いた上で作られており、高難度のゲームにありがちな雑多で大味な構成からくる理不尽な難しさとは無縁である。
    • 難易度は確かに高いが、根気よく挑んでプレイを繰り返し、対処法を覚えていくことにより、確実に突破口を開ける。
  • クオリティの高い演出の数々
    • 隠し要素等が少なく、ステージ分岐もない一本道のゲームであるが故に演出関連はかなりこだわって作られている。
    • 書き込まれたグラフィック、情緒溢れるBGM、コミカルかつ重厚な効果音など、数あるSFCのソフトの中でもかなりの高水準に達している。
    • 「西洋妖怪との戦い」という世界観だけあって、AC版のような「和」を意識したBGMは少ないが、ほのぼの系からシリアス系までバラエティ豊かな曲がそろっており、臨場感あふれるプレイを盛り上げてくれる。
    • OPや各ステージの開始前やクリア後に挿入されるビジュアルシーンの質も高い。

問題点

  • 難易度の高さ
    • しっかりと作りこまれやりこむ程に上達を実感できるいい塩梅に仕上がっているのは上述の通りであるが、難易度傾向そのものはアクションゲーム上級者向け。初心者や中級者にとっては非常にキツいレベルで、腹立ちまぎれにコントローラーをぶん投げたくなってしまうであろうほどの難しさになっている。
    • 第一に、地形やトラップの比重が増加してアクション性が高まり、反射神経重視のゲーム性に変化したことが大きい。加えて、マップ構成と敵の配置・攻撃パターンとの絶妙な兼ね合いも難易度上昇の大きな要因であり、ゲーム全般において敵の攻撃や地形を切り抜けるのがかなり難しい。
      • 例えば、2面の時点で強制横スクロールで進むイカダの上で水上への落下に注意しつつ大量のザコ*3をさばくという難しい場面が出てくる。
      • 他にも、左右に動いて変化する地形をザコ敵の攻撃をかいくぐりつつ進む3面後半、出現するザコ敵を全てさばかないと先に進めない箇所がある3・4面、前半戦・後半戦に分かれ再戦時にフィールドの左右が落下穴になり回避行動が制限される3面ボスなど、地形と敵の複合や、パターンの異なる敵同士の複合が多く切り抜け辛い局面が続く。
      • こうした点を熟知しパターンを覚えこんで対処法を身に着けていかなくてはならないあたり、覚えゲー的側面も強まっている。
    • ステージ進行に伴ってザコ敵の攻撃が激しさが増していく反面、キャラクターの素の性能はAC版同様、制限が大きい。
      • 立ち回りの制限自体は「滑り込み」アクションによって補われているものの発動直後の隙が大きい。
      • 「自機の当たり判定が見た目通りで大きい」という点も同様で、敵が群がるシーンや敵弾が多く出てくる場所では被弾しやすい。
      • ショット攻撃の素の性能については「当たり判定が見た目通りに狭く狙い撃ちが必須」というAC版の制限をそのまま受け継いでいるため、パワーアップ効果が切れて範囲攻撃ができなくなると非常に厳しい戦いを強いられる。
      • 特に本作では斜め撃ちの重要性がAC版に比べて大きい*4ため最弱状態のままでは切り抜け辛く、パワーアップの維持はほぼ必須。
      • にもかからず、大量に出現するザコや耐久力の高いザコの処理に忙しく、ダメージを抑えて進むのも難しいため、パワーアップを維持するのも至難の業である。
    • 残機獲得の機会が限られていることと下記の通りライトユーザーへのフォロー不足も拍車をかけている。
  • ライトユーザーに対するフォローはあるもののほとんど機能していない。
    • 「イージー」を選んでも体感的な変化が実感しにくく、結局のところノーマル以上と大差ない難しさである。
    • スコアによる残機増加がなく、1UPアイテムの入手機会も限られているにもかかわらず、オプションで残機をいじれないのも厳しい所。
    • 裏ワザでステージセレクトが可能だが、どのステージから初めても前述のコンティニュー時と同様にライフは初期値のままなので、後半から始めるほど厳しくなってしまう。
    • ある程度習熟してきたらゲームオーバー後は、最初からやり直した方が結果的には効率的である。
      • 素の難易度の高さとライフの都合もあって、練習目的で使うにも向いていない。
  • 2人同時プレイが楽しいゲームではあるが、色々と問題が多い。
    • 前述の「スピンアタック」だが、操作不能+ライフ消費のデメリットが非常に大きく、ほとんど使い道はないと言っていい。あらぬ形で暴発して2人揃って回転しだした挙句、穴に落下などの事故が起きやすい。
    • いわゆる「自機狙い」の攻撃をしてくる敵が多く、1人プレイ時よりも対応に困る状況が多い。
      • 特に極悪なのは最終ボスの電撃攻撃で、自機の居場所をトレースして一定時間電撃を放ち続けてくるため、部屋中をスライディングで駆けずり回らなければかわせないのだが、2人同時プレイ時にはそれぞれの自機に向けて電撃を放つので、かわすのはほぼ不可能である。
      • さらにスライディングに夢中になっているとダブルスピンアタックが暴発しやすい。

総評

ポップな見た目とは裏腹に上級者向けに仕上げられている感があるが、AC版が元々持っていた硬派な難しさを受け継いだ正統作とも言えるだろう。
AC版同様、ただ理不尽に難しいだけの作品ではなく、何度も繰り返しプレイして覚えていけば上達が目に見えて実感できる絶妙なバランスで成り立っている。
諦めずに地道にプレイすれば確実にそれを実感できるはずだ。

AC版のかわいらしいデザインをさらにポップにアレンジしたキャラクターデザインや、各ステージの世界観にあった情緒溢れるBGMの数々、そしてポップさとは裏腹な玄人好みの硬派な難易度を持った本作。
アクションゲームの腕に覚えがあるならぜひ挑戦してみていただきたい。


余談

  • パッケージイラストは著名な漫画家・あさりよしとお氏が担当している。
  • 隠しキャラ七福神出現時のジングルはAC版でのエクステンドジングル、本作における1UPの際のジングルはAC版で七福神を救出したシーンで流れるBGM「小夜神輿」の一部が流れるようになっている。
  • 『西洋妖怪軍団との戦い』という鬼○郎ライクな筋立ての本作だが、実は、AC版の企画・デザインを担当した藪崎久也氏が構想していた続編の企画の中に、「西洋妖怪軍団が攻めてくる」という設定のものがあった。
  • 副題「謎の黒マント」について。
    + エンディングに関するネタバレあり
  • エンディングにて、西洋妖怪たちも黒マントに操られていたことが判明する。しかし、肝心の黒マントの素性・素顔などは一切分からず「謎の黒マント」のままで終わってしまう。
    • 開発スタッフが過去にmixiの奇々怪界コミュニティで明かしたところによると、企画段階では正体は西洋の悪魔であり、正体を現しての最終決戦が予定されていたが、容量不足で実現できなかったらしい。
      • 当初構想していた通りの設定かは不明であるが、続編『黒マントの謎』にて日の目を見ることとなった。
  • 海外版
    • 海外では本作続編ともに『Pocky & Rocky』というタイトルで発売されている。
    • 小夜はPocky、魔奴化はRockyとなっている。

その後の展開

  • 本作発売から30年後の2022年4月21日、本作の続編となる完全新作の『奇々怪界 黒マントの謎』がSwitch/PS4で発売された。2023年2月24日にはWin(Steam)版、12月7日にはXSX版が発売。
    • 開発はナツメアタリの開発チームTENGO PROJECT、パッケージイラストは本作同様あさりよしとお氏。

奇々怪界 黒マントの謎

【ききかいかい くろまんとのなぞ】

ジャンル アクションシューティング

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Windows(Steam)
Xbox Series X/S
発売元 【Switch/PS4】タイトー
【Win】ナツメアタリ
【XSX】ININ GAMES
開発元 ナツメアタリ
発売日 【Switch/PS4】2022年4月21日
【Win】2023年2月24日
【XSX】2023年12月7日
プレイ人数 1~2人
定価 4,180円(税10%込)
レーティング 【Switch/PS4/Win】CERO:B(12才以上対象)
【XSX】IARC:7+
判定 良作
ポイント 帰ってきた元祖巫女さんシューティング
美麗ドット絵、良BGM、新キャラ&ステージetc.
黒マントの正体もきっちり判明
難易度は相変わらず高い

概要(黒マントの謎)

WILD GUNS Reloaded』『ザ・ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン』に続く、ナツメアタリ(旧ナツメ)のセルフリメイク第3弾。
SFC版のメインスタッフ3人(TENGO PROJECT)が、他の開発業務と並行しながら完成させたものである(通称0.5ライン)。

ここで言う『セルフリメイク』というのは「過去の名作のオリジナルスタッフが最新の制作環境で新たに作成した」という意味で、今作自体は『謎の黒マント』の単純なリメイクではなく、続編にして完全新作という位置づけとなっている。
サブタイトルが若干ややこしいことになっているが、ストーリーそのものもSFC版の後日談となっており、復活した黒マントとの新たなる戦いの物語が描かれる。


評価点(黒マントの謎)

  • グラフィックのリファイン
    • 16:9に対応しつつ、全てのドット絵が打ち直されている。画面の広域化に伴い、自機の火力と敵の同時出現数も向上した。
    • キャラクターの表情・髪・衣装、草木や水面の動きが分かりやすくなっており、キャラクターの頭身が上がったビジュアルシーンも大判かつ美麗。
    • 可愛らしく動き回る豊富なキャラクター、お祓い攻撃でザコを浄化する演出、紅葉が散らばる境内、歴史の代表的な時代を巡るかのような新ステージ、コインと引き換えにアイテムをくれる福引くんなど、多彩なシチュエーションが用意されている。
    • ステージ構成はSFC版1・2・5・6面のリメイクと新規ステージ5つが入り混じっており、懐かしさと目新しさをバランス良く楽しめる。
  • SFC版準拠のBGM・SE
    • タイトル画面やビジュアルシーン、SFC版リメイクのステージにおいては、音源をリファインした正統派アレンジBGMが流れる。新曲もシーンごとの雰囲気にマッチしており、いずれも良曲揃いである。
    • SEはSFC版と同じ音をメインにしつつ、新規の音を16bitテイストにて追加。
  • 新キャラ・新アクションの追加
    • SFC版の小夜ちゃんと魔奴化に加え、アメノウズメ・イカヅチ・蛍御前の計5名が使用可能。また、お札ボタン連打で補助寄りの攻撃を行う「攻撃昇華」と、3色目となる緑のお札攻撃*5、お札攻撃が一定時間パワーダウンしなくなる「フィーバータイム(仮称)」も追加された。なお、2人同時プレイの専用アクションである「スピンアタック」は削除された。
      • 小夜ちゃん:山間の神社に住む巫女さん。攻撃昇華は前方へ鏡を設置する「返し鏡」。これを攻撃すると最寄りの敵に弾を放つため、射角変更・火力強化に使える。お祓いチャージは即席のバリアを張る「注連縄結界」。
      • 魔奴化:小夜ちゃんの一番の友達である化け狸。攻撃昇華はお札攻撃の向きを固定する「豆狸神輿」。お祓いチャージはごく僅かだが動けるようになった「地蔵変化」。
      • アメノウズメ:巫女の始祖たる女神。攻撃判定のある勾玉を従え、水や奈落に落ちず、スライディングに無敵が付く。攻撃昇華は小夜ちゃんのものと同質の鏡を3枚設置する「巴神鏡」。お祓いチャージは小夜ちゃんのものと同質の「神結び」。
      • イカヅチ:貂(テン)の妖怪。お祓い攻撃のリーチが長く、赤のお札攻撃を得意とする。攻撃昇華は最大3体まで出せる「分身術」。お祓いチャージは敵の弾をはじく氷塊を左右に設置する「氷牙」。
      • 蛍御前:怪力無双の女武者。お札攻撃のリーチが非常に短い反面、スライディングが最も素早く、お祓い攻撃のリーチも長い近接型。攻撃昇華は複数の矢を放つ「早撃」。お祓いチャージは敵の弾をはじく巨大な回転刃を前方へ停滞させる「新月斬」。
  • 特殊アクションの性質
    • サブウェポンとも言うべき攻撃昇華は、使用に多めのボタン連打が必要かつ発動時に立ち止まるため、乱戦での再使用が難しい。お祓いチャージは防御の要となるアクションだが、「お祓い攻撃を出さないとタメが始まらない」「被弾時にタメが解除される」という欠点がある。
    • どちらも出てしまえば強力なので、安全な状況を見極めることが重要*6
  • オンラインランキングの実装
    • 使用キャラがステージごとに異なるストーリーモードと、使用キャラを固定するフリーモードがある。
    • ハイスコアは難易度不問であるため、難易度ノーマルで残機ボーナスを優先する手もある。
  • 新たなるストーリー
    • 導入こそSFC版を踏襲しているが、途中で新たな展開を見せつつ徐々にスケールが大きくなっていく。
    • 新キャラクターたちも各々の事情を背負って戦っており、単なるにぎやかしに終わっていない。
  • 黒マントの正体
    • 本作にて黒マントの素性が判明し、その真の姿と決着をつけることになる。
    • 最後まで人間サイズだったSFC版に比べ、まさに大悪魔といった禍々しい風貌であり、迫力ある演出もラスボス戦として申し分ない。

賛否両論点(黒マントの謎)

  • ボリュームの偏重
    • 通しプレイでクリアを目指す場合、ビジュアルシーンを全スキップしても1時間以上かかる。一方で、トレーニング・ボスラッシュ・サウンドテストなどは実装されておらず、ステージセレクトも要コマンドの裏技扱いとなっている。
      • ストーリーモードには中断機能が実装されているが、保存される情報は難易度・ステージ数・ライフの最大値・特殊アクションの可否のみ。
    • 新キャラ解禁後のやり込み要素はハイスコア競争(=通しプレイ)に限られており、良くも悪くもアーケードライクと言える。
  • 原曲の未収録
    • これまでの『Reloaded』『ワンスアゲイン』と違い、SFC版BGMに切り替えることができない。
    • 本作においては新曲が多く、その全てをSFC風にデチューンする手間を考えれば仕方ないと言える。
    • また、評価点で挙げたようにBGMは良曲揃いとなっており、「低品質のアレンジだと思い出が損なわれる」などの心配は無用である。

問題点(黒マントの謎)

  • 難易度の高さ
    • ライフの初期値が少ない、(幾らかマシにはなったが)被弾時の無敵時間が短い、スコアエクステンドがない、初期状態のお札攻撃が細く当てにくいなど、根本的な部分はSFC版と同じ。
      • 接触ダメージの増加(1 → 2)、お茶の回復量減少(4 → 3)など、変更によって却って厳しくなった部分もある。
    • 難易度エクストライージー(残機無限・ストーリーモード限定)を解禁するには、敵の落とすコインを一定数稼ぐ必要がある。また、コインは数秒で消えてしまう上、ザコをお祓い攻撃で倒すとコインが出ないため、コツを掴むまでは稼ぎにくい。
      • 「解禁までに幾らか上達するはずなので、できれば正攻法でクリアしてほしい」という意図だろうか。
    • ただし、敵の配置・行動パターンを覚え、特殊アクションを駆使することで突破口が見えるという匙加減も変わっていない。また、1UPを含む隠しアイテムも多めに配置されている。
      • 難易度がノーマル以下であれば、敵の攻撃でパワーダウンした分がアイテム化するという救済措置があり、急いで回収すれば挽回可能。
  • 狛犬の弱体化
    • 移動と体当たり攻撃を兼ねる無敵アイテムなのだが、着地硬直の延長によって取り回しが悪くなり、効果時間は約1/2に減少、さらに終了間際の点滅演出も削除された。
    • 残り時間を把握しないまま敵陣に突っ込むと、不意に効果が切れてピンチを招く可能性がある。
  • 2人同時プレイの仕様
    • ローカル限定*7、中断機能なし(ステージセレクトの裏技は使用可能)、アイテム・コイン・福引くんのいずれも増量せず取り合いになりやすい残機が尽きた側は全滅およびコンティニューを待つしかない*8という厳しさ。
    • 慣れたプレイヤー同士で組まない限り、画面スクロールの調整テクニックも封印されてしまうため、高難度に拍車がかかりやすい。

総評(黒マントの謎)

「シリーズの雰囲気を尊重しつつ現代のハードスペックに合わせる」の手本とも言うべき、アーケードライクな最新作。
描き込まれたドット絵、高品質のBGM、豊富なキャラクター、目まぐるしく変わるシチュエーションなど、ボリューム満点の仕上がりとなっている。
当時の思い出を損ねることなく、懐かしさと目新しさを両方味わえるだろう。

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最終更新:2024年03月12日 15:09

*1 壁にはさまれる、高所からの転落、水への水没など。

*2 AC版のお玉は攻撃方法を統一しないとアイテムを落とさなかった(お祓いのみ、お札のみで倒す)が、本作では攻撃方法問わず全滅させるだけで落とすようになっている。

*3 ザコ敵である河童のかわたろうはイカダに上がり込んだ後、小夜ちゃんを水面に引きずり込もうとしてくる。また、一定地点通過後に上空から大量のザコが出現しイカダに乗り上げて襲ってくる。

*4 特に2面のボスは斜め撃ちでないと攻撃を当て難い。

*5 例えば、小夜ちゃんなら命中時に追尾弾が追加発生し、魔奴化なら壁で反射するようになる。

*6 例えば、小夜ちゃんのお祓いチャージはバリア展開中のタメ入力を受け付けないため、バリア消失後に再入力する(お祓い攻撃を出す)必要あり。

*7 オンラインランキング非対応、PS4版のシェアプレイ機能は利用可能。

*8 SFC版では相方の残機を消費することで復活可能。