※本記事ではオリジナルであるSFC版と、若干の追加が行われたGBA向けの移植版「超魔界村R」について記述しています。



超魔界村 (SFC)

【ちょうまかいむら】

ジャンル アクション
高解像度で見る
裏を見る
対応機種 スーパーファミコン
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売・開発元 カプコン
発売日 1991年10月4日
定価 8,500円
レーティング 【VC】CERO:A(全年齢対象)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2007年2月20日/800Wiiポイント
【WiiU】2013年4月27日/800円
【New3DS】2016年7月20日/823円(税8%込)
書換 ニンテンドウパワー
1997年9月30日/1,000円/F×2・B×0
判定 良作
魔界村シリーズ

概要

家庭用オリジナル作品としてリリースされた、魔界村シリーズの第3弾。
前作から「上撃ち・下撃ち」が廃止され、それに代わる新要素として、二段ジャンプと鎧の種類の増加によるパワーアップシステムが追加された。

ストーリー

大魔王ルシファーとの死闘の後、再び魔界が復活するであろうことを危惧したアーサーは、
魔界を完全に滅ぼしうる力を持った最強の武器を探すため、愛するプリンセスを残し長い旅に出た。
アーサーの背中を見送りながら、プリンセスは民のため、城と街の復興に力を注ぐことを誓った。

それから3年後。城の竣工式が行われることを知ったアーサーは王国に駆けつけ、 愛するプリンセスと静かなひとときを過ごす。

しかし、再び魔の手は忍び寄り、またしてもプリンセスがさらわれてしまう。
ルシファーとは別の魔の者が魔界を復活させようとしていることを悟ったアーサーは、
鎧に身を包み槍を手に三度、魔界へと乗り込んでいく。

プリンセスを救い、今度こそ魔界を討ち滅ぼすために……!

特徴

パワーアップシステムのさらなる拡張
前作『大魔界村』同様のパワーアップシステムが搭載されているが、本作ではさらに進化した。


お馴染みの装備。本作では新たな鎧が追加されて全3種類に増え、取得毎にアーサーが強化されていく。
種類問わず、一度のダメージで失われて裸になる。その状態で再度攻撃を受けることで1ミスとなる。
装備中のものよりもランクが上の装備を出現させた後、取得するまでの間にダメージを受けて裸になった場合、どの装備をとっても「鋼の鎧」になる。

  • 鋼の鎧
    • アーサーの基本的な鎧。 初期装備であり、裸の状態になると特定の宝箱から再度出現する。また、裸の状態でステージボスを倒し、鍵を取得すると自動的にこの鎧を装着する*1
  • 青銅の鎧
    • 鋼の鎧を装着時に、特定の宝箱を開けると出現する二段階目の鎧。装着すると、各武器がパワーアップする。
  • 黄金の鎧
    • 青銅の鎧を装着時に、特定の宝箱を開けると出現する最高ランクの鎧。装着すると各武器に応じた魔法が使えるようになる。
      入手時に防御アイテム「月の盾」(後述)がセットで装備される。
  • 罠の宝箱から出現したマジシャンの魔法弾を受けた際の変身パターンは、前作同様、装備の状態によって変化し、鎧のランク順(裸→鋼→青銅→黄金)に、「赤ん坊・オットセイ・蜂・女の子」となる。
    • 一定時間経過もしくはダメージを受けると元の姿に戻る(赤ん坊の場合はそのままミス)。どの変身状態でも左右移動とジャンプが可能*2だが、ハシゴの昇降や攻撃は共通して不可能となる。


初登場の防具。黄金の鎧装着時でのみ装備できる*3。規定回数分だけ敵弾を防ぐことが可能。
敵本体との接触については無効*4で、その時点で鎧と盾が一度に失われる。 これらの盾には敵弾を防ぐ効果に加え、魔法メーターのチャージ時間を短縮させる効果が備わっている。
黄金の鎧を装備しているときに宝箱から出現し、盾を失った後は宝箱を開けることで再び入手可能。

  • 月の盾
    • 黄金の鎧とセットになっている赤色の盾で、黄金の鎧を取得すると同時に装備される。また黄金の鎧装着時に盾を持っていない場合、特定の宝箱から出現する。
      敵弾を一発だけ防ぐことができ、防ぐと壊れる。
    • 魔法メーターのチャージ時間が、盾を持っていない状態のときに比べて少しだけ短くなる。
  • 太陽の盾
    • 黄金の鎧+月の盾装備時に特定の宝箱から出現する青色の盾。こちらは敵弾を三発防ぐと壊れる。ただし貫通性能のある敵弾やダメージ判定の大きい攻撃に対しては一撃で壊れてしまう。
    • 魔法メーターのチャージ時間が最短になる。また、ステージクリアすると被弾した回数はリセットされ、再び三発まで防げるようになる。
    • この盾を装備した時点で、最高ランクの装備状態となる。
  • 注意点として、盾で敵弾を防ぐには、敵弾が飛んでくる方向を向いた上で「立ちポーズ(操作ニュートラル)の状態にする*5」必要がある。つまり背後からの敵弾や、しゃがみ中・ジャンプ中・攻撃モーション中には防ぐことは出来ない。

ステージ構成

  • 旧作同様、前半・後半の2つのエリアに分かれたステージ(ステージ6以降は除く)を制限時間内に進む。
    • 各エリアには5分間の制限時間が設けられており、タイムオーバーになると鎧の有無関係なしに1ミス。後半エリアに入るとリセットされる。

新アクション

  • 二段ジャンプ
    • ジャンプ中の上下撃ちが廃止された代わりにできるようになったアクション。ジャンプの軌道や高さを調整できるようになり、移動の面での不自由さが若干だが緩和された。
    • 一段目のジャンプ後、足場に着地するまでの間であれば、任意のタイミングで二段目のジャンプが出来る。十字ボタン左右の組み合わせにより、二段目のジャンプで方向転換することも可能。
  • 回転ショット
    • 二段ジャンプ中(二段目のジャンプで上昇している最中)に武器を撃つと、アーサーが武器を投げた後一回転する。その際、射出中の武器の色が変わり威力が上がる(後述の「火柱のタイマツ」「女神の腕輪」を除く)。
    • これ以上武器を射出することが出来ない状況で回転ショットを行うと、二段ジャンプ中に攻撃出来ない代わりに、その直後に普通に投げた一射目が回転ショットの威力になるというバグ(裏技)がある*6

宝箱システム

  • 前作同様、宝箱がフィールド内に隠されており、特定アクションを取ることで出現させられる。
    • 本作では新アクションの二段ジャンプを利用して出現させる場合が多い。
  • 今作では、武器、鎧、盾、マジシャン(敵)の他に「トラバサミの罠」が追加された。
    • 2周目以降にはラスボス専用武器が追加され、特定条件を満たした状態で開けることで入手できる。

その他

  • コンティニュー制
    • 本作ではコンティニュー可能回数に制限があるが、ゲーム中で集めたドル袋の数(ドル袋の色*7は問わない)に応じて、その回数を最大「9」まで増やせる。
      • 難易度によって、1回の回数増加に必要なドル袋の数は変わる。
  • 1UPアイテム
    • 前作同様、壺を持った敵を倒し、出現したアイテムを取得し続けると、残機増加アイテム「1UPの像」が出現する。
      • 出現条件は前作同様「32個目の壺から出る」だが、前作では個数のカウントが継続されていたのに対し、今作ではステージクリア・ミスのいずれかでカウントはリセットされる。
        このカウントリセットがあるせいで、入手を目指さない場合は余程手間取っていない限り見かけることはなく、この1UPアイテムの存在に気づかずゲームを終えたプレイヤーも多い。
      • 更に制限時間があるせいで、狙って取得するにしても相当時間に追いやられるため、前作と比べて狙って取得しづらくなっている。
      • また、出現したアイテムを取得せずに画面内に残したままでいると個数のカウントが進んでいかないため、出現した武器も含めて入手する必要がある。

武器一覧

+ ノーマル版/パワーアップ版 の順に記載する。
  • ヤリ/焔のヤリ
    • ヤリ:アーサーの初期装備であり基本的な武器。そこそこの威力で2連射可能。速度もそこそこだが軌道も前方にまっすぐ飛ぶため、素直な性能で扱いやすい。
    • 焔のヤリ:青白い炎をまとったヤリを射出する。威力が5割増になる反面、連射が出来なくなってしまう。
    • 魔法:「雷(サンダー)の魔法」
      • 直上からの落雷を受け止めた後、雷を左右に直線的に拡散させる。雷はあらゆるものを貫通し、敵に当たると高速で連続ヒットする。軌道、威力共に扱いやすい。
  • ナイフ/光のナイフ
    • ナイフ:威力は低めで貫通性能もないが、3連射可能で軌道もヤリとほぼ同じであり、さらに飛ぶ速度が速いため、全武器の中で最も扱いやすい。
      連射すると2発目、3発目はそれぞれ微妙に射出位置が上下にズレるため、少し直線上からずれている場所にも攻撃できるというメリットもある。
    • 光のナイフ:貫通性能が追加され、光の尾を伸ばしながら飛んでいく。射出した瞬間に“溜め”が入る性質上、速射性はやや落ちるものの、それでも使い勝手は良好。
    • 魔法:「火竜(ファイヤードラゴン)の魔法」
      • 発動させると、アーサーから出現した火竜が真上に上昇してからアーサーの前で降りた後に横方向へ飛び、さらに上方向へ向きを変えてから後方へと去っていく。
        軌道が独特でアーサーの後方は無防備だが、敵に当たると高速で連続ヒットし、まともに当たったときは全魔法中最高の威力を誇る。
  • オノ/両断のオノ
    • オノ:円を描くように前方に飛んでいく武器。ヤリに比べて前方への攻撃範囲が広いが、旧作と異なり貫通性はなく、速度が遅く連射も出来ないため扱いづらい。ステージ1では出現しない。
    • 両断のオノ:攻撃判定が円状に広がる。射出直後にいったん真上に飛んだ後、前方へバウンドしながら転がるような軌道に変化し、さらに敵への貫通性能が追加されるが、地形は貫通しない。
      威力は上がっているが、相変わらず連射が出来ない上に目の前の敵を攻撃できる速度が遅く、射出したオノが画面から消えるのに時間がかかるため、これまた扱いにくい。
      また天井の低い場所だと、射出直後にオノが天井に当たって消えてしまうため、前方への攻撃が困難になる。
    • 魔法:「雷光(ライトニング)の魔法」
      • 自分自身を中心に8方向にレーザーを放つ。範囲は非常に広いが、敵が小さいと予想外にレーザーの間をすり抜けることがある。
        敵に当たれば高速で連続ヒットするが、レーザーが短いためヒット数は少なく威力は比較的低め。
  • タイマツ/火柱のタイマツ
    • タイマツ:シリーズ恒例の近距離特化武器。ステージ2では出現しない。威力は後述の最強の武器に次いで高く、更に2連射可能。
      放物線を描くように飛び、地形に接触するとウェーブ状に火柱が発生し、これが敵に当たると多段ヒットするため、直接敵に当てるよりもこの火柱を当てるほうが大きなダメージを与えられる。
      近距離特化武器らしく飛距離が短く、上方向への攻撃にはジャンプとの併用が不可欠。
    • 火柱のタイマツ:威力がアップし、火柱の大きさが2倍近くも大きくなる。火柱を除けば軌道はタイマツと同じため、欠点はそちらに準じる。
      こちらもパワーアップ版では威力最強。ただし、なぜか前述の二段ジャンプ撃ちをすると、ノーマル版の二段ジャンプ撃ちと同じ威力に下がってしまう。
    • 魔法:「盾(シールド)の魔法」
      • 3つの魔法珠が自分自身の周りを回転する。魔法珠は敵弾を消すことに加え、敵に直接当てて攻撃に用いることも可能。
        同時に攻撃することもできる。魔法珠はおよそ5秒後に消滅。魔法のチャージは消滅してからでないと再度できない。
  • ボウガン/追撃のボウガン
    • ボウガン:前方斜め上2方向へ2連射可能な矢を同時に放つ。全武器の中で威力が最も低い。
      下方向からの敵に弱いが、このゲームでは上から攻めてくる敵が多いため、メリットの方が大きい。目の前の敵に対してはしゃがみながら攻撃することで当てやすくなる。
    • 追撃のボウガン:敵を追尾する弾を3発同時に発射する。連射はできなくなるが、一部の敵(特にレッドアリーマーエース)に対して圧倒的な強さを誇る。
      ただし、敵がいない状況で撃つと、まれに追尾弾が画面内をしばらくの間飛び回ったまま消えなくなる他、画面内にある宝箱や一部のボスが放つ弾などを優先的に追尾するため、扱いにくくなるという欠点もある。
    • 魔法:「探索(シーク)の魔法」
      • 画面内の宝箱を強制的に出現させる。全ての魔法の中で唯一攻撃力を持たないが、魔法発動直後の無敵時間が最も長いため、敵の体当たりや攻撃を回避するのに使える。
        また、追撃のボウガンが画面内を飛び回ってしまった場合の弾消しも出来る。特定のステージでは、この魔法を使用しなければ出現しない宝箱がある。
        逆に、場所によるが画面内に宝箱の出現ポイントが入っているにもかかわらず、この魔法を使用しても出現しない宝箱もある*8
  • カマ/真空のカマ
    • カマ:立って投げるとカマが回転しながら水平に直進して飛ぶが、それが地形に接触する、あるいはしゃがんで投げると地形に沿って飛ぶようになり、地形の端からしゃがんで撃つと斜め下に飛んでいく。
      耐久力の高い敵に当てると十字に切り刻むエフェクトが発生し、その見た目から二段ヒットしているように見えるが、実際は単発ヒットである(この特性はパワーアップ版も同様)。連射は不可能。
    • 真空のカマ:ノーマル版の性能はそのままに威力がアップするが、敵を切り刻む演出時間がノーマル版より少し長くなるため、その分隙が多くなってしまう。
    • 魔法:「竜巻(トルネード)の魔法」
      • アーサーを中心に発生した竜巻がだんだん大きく回転しながら左右対称に分かれて飛んでいく。敵に当たると連続ヒットし、攻撃範囲がほぼ画面全体に及ぶ。
        効果時間が非常に長く、効果範囲も威力も優秀で極めて強力な攻撃魔法。
  • クロスソード/光輪のクロスソード
    • クロスソード:二重L字形の独特な軌道を描く投擲武器。2連射可能。アーサーの頭上に飛んでブーメランのように戻ってきた後、そのまま真横に向かって飛んで再度戻ってくる。ステージ5~7で出現する。
      横スクロールでは前方に対しての攻撃手段が基本であるため、上方に飛んでから正面に飛ぶのでは正面に対して攻撃が遅い上、戻ってくる都合上射程も短め。
      頭上の敵には攻撃しやすいものの、真上にしか飛ばないため、上空の敵に対しても攻撃しづらい。
    • 光輪のクロスソード:威力がアップし貫通性能が追加される。飛ぶ速度はノーマル版よりやや下がる。軌道は変わらないため、使い勝手は良くない。
    • 魔法:「大爆裂(ニュークリア)の魔法」
      • アーサーの頭上で左右に広がる爆発を起こす。このエフェクトに攻撃判定はなく、実際には画面内のすべての敵にダメージを与えられる。あまり有用性はないが、宝箱に対しても攻撃判定がある。
        しかし威力が低く(ノーマル版一発分と同じ)連続ヒットもしないため、使い勝手はあまり良くない。
  • 女神の腕輪(プリンセスの腕輪)
    • ステージ7を初めてクリアした際にプリンセスからこの武器の存在について教えてもらえ、2周目から入手可能となる、最強の武器かつ対ラスボス戦専用武器。
  • 黄金の鎧を装着した状態(盾の種類や有無は問わない)で、武器の入った宝箱を開けると出現する。
  • 武器の入った宝箱を複数個開けると、画面内にこの女神の腕輪を複数個出現させることも可能だが、特にメリットはない。
    • 「黄金の鎧を装着していても魔法はない。」
    • 「飛距離に応じて威力が変化する。射出直後が最も威力が高い(=近距離で当てると高威力になる)。」
    • 「鎧のグレードが変わっても武器は変わらず、武器そのものは一切パワーアップしない。」
    • 「鎧のグレードに応じて飛距離が変化する(黄金の鎧装備時が最も飛距離が長く、さらに敵弾をかき消す効果が備わる)」
    • ……など、前作の「サイコキャノン」と性能が共通しているが、「連射が不可能」という点が異なる。
  • この武器のみ、二段ジャンプ撃ちをしても(敵に当てる距離が同じであれば)威力は通常と変わらない。

評価点

  • 全作までの操作性を踏襲しつつ、新たなアクションが上手く盛り込まれた。
    • 二段ジャンプを駆使しないと先に進めないため、前作とはまた違った操作性を要求される。
    • 武器は前作よりも種類が増加、さらに上位の鎧を着ると性能が変化する。
      ただし、性能変化=強化ではあるが、必ずしも使いやすくなるというわけではない。
  • グラフィック、BGMの質が高い。
    • CPシステム1の前作→SFCでの本作と、ハードの制約によるクオリティ低下に対する不安の声はあったが、グラフィック・サウンド共にSFC全体から見てもクオリティは高い。
    • 更にSFC独自の回転・拡大機能を生かし、アーサーを取り囲むように出現して回転するボス、ステージ全体が回転してMAP構成が変化する面など、演出面も従来作以上にダイナミックに変化し、ステージのギミックとしても活かされている。
    • ハードがSFCに移ったことでサウンドがオーケストラ調になり、各ステージの世界観によくマッチしている。
      • おなじみのステージ1におけるメインテーマも、新たにアレンジし直されてイントロが刷新され、初代のアップテンポなノリを引き継ぎつつ、オーケストラ調に相応しい壮大な曲調になっている。
    • 前作では効果音は攻撃のヒット音含め軽い感じであったが、本作ではかなり重厚でリアルな音色になっている。

賛否両論点

相変わらずの高難易度

  • 旧作ほどではないが、シリーズファンやアクション経験者以外には難しいままで相変わらずハードルは高い。
    • 武器や魔法の性能強化といった緩和策も用意されているが、当然ながら鋼の鎧や裸状態だと圧倒的に不利な展開を強いられるので、やはり熟練者以外には厳しい。
      2周しないとラスボスと対決出来ない*9という、通称「魔界村システム」は継承済み。さらに 「黄金の鎧で入手する最強武器必須」 という『大魔界村』の仕様も継承済み。
    • しかし、それはこれまでの作品同様、特別に理不尽なものではない。何度も練習すれば突破の可能性を見出せる絶妙なバランスで構成されているため、難所を突破した時の達成感は相当なもの。
      • 難易度は高いが、それでも前作・前々作と比べると大幅に緩和されている。敵の出現タイミングや行動パターンにおけるランダム性が減少したため、攻略パターンを組みやすい。
        例えば、本作のレッドアリーマーエースは、シリーズ中最弱と言われている。これはノーダメージで撃破できるパターンが、全ての武器で構築済みであるため。
        また、一部の武器の魔法が非常に強力なので、それを利用すれば勝つのは容易。その他、魔法発動直後に長い無敵時間が発生するようになり、魔法連発によるゴリ押しも可能。

プレイ時間の増加

  • 家庭用ハードオリジナル作品であることを考慮してか、各ステージが全体的に長くなった。
    • やり応えが増した一方で、よほど手慣れたプレイヤーでない限り、2周クリアするには早くても1時間以上はかかる。
    • 集中力を要する上にコンテニュー回数が有限であることも全面クリアへの壁となってしまう。

上下撃ちの廃止

  • 前作では「上下撃ちが強すぎてバランス面でやや問題がある」とも評されていたが、本作で廃止されたことに対しては、アクションのテンポ感の減少も相まって「立ち回りが厳しくなった」という不評の声も少なからずある。

ジャンプの仕様

  • 新たに追加された二段ジャンプは、「ジャンプの調整ができる」「反転すら可能」「ゲーム性の向上」など利点もあるが、「他ゲームの一般的なジャンプと感覚が大きく違うため慣れにくい」「使いこなさなければ進めない」などの難点もある。

マジシャンの魔法による変身パターン

  • 「弱体化させられるが攻撃はかろうじて可能」のパターンが削除され、初代と同じく一律で攻撃不能となったため少々辛くなった。
    • これは初代が基準とも捉えられ、前作をプレイしていなければ気にはならない。

問題点

ステージ7の難易度が突出して高い

  • ステージ6とステージ7では前半・後半エリアの区別が無く、5分以内にボスを撃破しなければならない。
    だが、とくにステージ7は敵配置のイヤらしさが目立つ構成となっており、普通にプレイしていると制限時間に追われてタイムオーバーになりやすい。
    • スタート地点からハシゴを昇り上方向へと進む途中で、ハシゴに掴まったままの無防備なところに、壁から出現するザコ敵の体当たりを食らって下へ叩き落とされたり、壁に配置されている「コッカトリスの首」が二段ジャンプでギリギリ攻撃が届く高さだったりと、タイムロスに繋がる要素が多い。
    • 更に最奥部では2体のボスとの連戦になる上に、各ボスの耐久力が高く必然的に長期戦になりやすいため、ここにたどり着くまでに時間をかけすぎているとタイムオーバーになる恐れもある。
      とにかく「時間との勝負」となるステージであり、威力の高い武器や特定の魔法を駆使しないと時間内にクリアするのが難しい。
      特に女神の腕輪を装備してクリアしなければならない2周目は、難しさに慣れない初心者にとっては大きな“壁”となってしまう。シリーズ経験者の中にも「射程が短く、魔法も使えない女神の腕輪では攻略が難しい」と評する声も。
    • また、宝箱から女神の腕輪が出現した際には、前作同様に数秒間の演出が入り取得まで少し待たされるのだが前作よりも演出時間が微妙に長いため、このステージでは取得するタイミング次第によってはタイムロスに繋がりかねない。

序盤のつかみが悪い

  • ステージ1前半エリアに登場するザコ敵「ゾンビ」は、棺おけに入った状態で地中から出てくるのだが「地中から出てきた後、そのまま棺おけのふたが壊れてゾンビが出てくるパターン」と「棺おけが空中に浮かんでからゾンビが出てくるパターン」の二通りに分かれている。
    • 後者の場合、棺おけがしばらく空中浮遊し続けるため、棺おけの出現からゾンビ本体に攻撃判定が発生するまでに間が空いてしまう。
      二段ジャンプでも飛び越せない高さに滞空するため、地形や障害物との兼ね合い*10次第で進路を塞がれてしまうこともあり、その間、待たされることになるのでテンポが削がれる。

処理落ちが発生する

  • 特にオブジェクトが1度に多数出現する地点で多く発生する。
    • ステージ1前半エリア:地形の陥没地帯では、背景のタワーモンスターが大量のドクロを吐き出すようになっているが、このためか地形が陥没する際に処理落ちが発生する。
    • ステージ2前半エリア/ステージ7終盤エリア:ザコ敵「ゴースト」が、空中を漂う霊魂が変化するというパターンで出現するのだが、ゾンビよりも出現間隔が短い上に最大3体で間断無く発生するため処理落ちが激しい。
    • また、一部の魔法の使用時にも処理落ちが発生する(特に魔法効果が画面外に消えるまで時間がかかるトルネードの魔法等)。

ラスボス戦の難易度が旧作に比べて易しい

  • 元々、このシリーズの各ラスボスは、ラストステージへ難なく到達できるほどの敏腕プレイヤーにとってはそこまで驚異的な存在ではないのが傾向的だが、本作ではますます弱さに拍車が掛かっている。
    • 前作のラスボス「大魔王ルシファー」が多彩な攻撃パターンを持っていた*11のに対し、本作のラスボス「魔帝サマエル」は、攻撃パターンが単純すぎてたやすく勝ててしまう。
    • 攻撃手段は、頭部の口から放射線状に拡散するレーザー光線を、腹部の口から2つの円盤をそれぞれ吐き出すというものだが、この円盤には攻撃判定が無く、足場代わりに飛び乗ることで弱点である頭部の顔に攻撃する、という戦い方になっている。
      円盤と光線を吐き出すタイミングが異なる場合もある*12のだが、それ以外の大きな攻撃パターンの変化等も無い。

相変わらず使える武器と使えない武器との性能差が激しい

  • 青銅の鎧装着後は武器の威力が上がるのだが、使いやすさの面では必ずしも強化されるわけではなく、軌道の変化や連射力の低下などで相対的に弱体化する部分もある。
    ナイフとボウガンが非常に使える一方で、クロスソードと両断のオノは「アーサーの攻撃力を弱体化させる敵の罠ではないか?」と言われるほど。
    • もちろん、使いづらい武器でも攻略が出来ないわけではない。 「使いづらい武器をなるべく取らない様立ち回る」「逆に使いづらい武器を用いて縛りプレイでやりこむ」 というのが、魔界村シリーズの伝統なのである。
  • シリーズ定番の「対ラスボス戦専用武器」は、鎧(特に黄金の鎧)を失うと威力が弱体化するという前作同様の扱いの難しさに加え、連射ができなくなってしまったため実質的に性能が弱体化しており、扱い辛くなっている。
    • このこともあり、2周目におけるステージ7のボス2連戦は本作最大の難所となっている。
    • 2周目で、この武器を所持しないままステージ7をクリアすると、ステージ6からやり直しになるが、その際のメッセージ中で武器を入手する方法が明示されず、説明書にも記載されていない。
      • 条件は前作とほぼ同じで非常にわかりやすいので、プレイしていて気づかないということはまずないが、前作未プレイの人にとってはやや不親切か。

相変わらずの宝箱システム

  • 鎧の重要性が高まっているが、宝箱を出すには従来通り、特定の座標を通過しなければならず、隠された場所を見つけるのに苦労する。
    • 本作では、二段ジャンプ中の座標通過によって出現する宝箱が多い。
      とくに、「足場から空中に向かってジャンプし、逆方向へジャンプして元の足場に着地」というアクションで出すものが多いが、宝箱を出す以外にもこのアクションを駆使して進む地形も多いため、習得は必須である。慣れないうちは難しく、間違って意図せぬ方向へ跳んでしまったり、穴の真上で垂直二段ジャンプして落下死したりと、ミスの要因になりがち。
      • 宝箱を出現させる魔法が登場したため、前作よりは探すのが楽になっている。

テンポ感の減少

  • アクションの感触が全体的に重く、挙動がややもっさりとしているためゲームテンポが若干悪くなった。

エンディングを台無しにするバグ

  • ラスボスを倒した後のエンディングでは前作同様、各ステージ道中を進むアーサーと共に敵の名前を紹介していくものになっているが、肝心のこのシーンにバグがある。
    • オプション画面の「コントロールパッド」項目で操作ボタンの割り当てを「ショットB/Y、ジャンプA」もしくは「ショットA/B, ジャンプY」にしていた場合、このシーンでのアーサーの動きがいびつになる上、途中でステージ穴に落下する。穴に落ちたアーサーはなぜか1ミス扱い(ご丁寧にミス時のジングル付き)となり、ステージ紹介画面が通常通りスクロールされた後に何事もなかったかのように続きから進行していくものの、今度はBGMが消えるという不具合が発生する。
      その後、収録部分が切り替わるためかアーサーとプリンセスが乗馬しているエンドロールシーンでBGMは元通りに流れ始める。
      • さすがにこの流れを初見で見せられたら興醒めであるが、操作をデフォルト設定のままで進めるプレイヤーが大半だったためか、このバグ自体はほとんど知られていなかった。以降の移植版では修正されている。
      • この挙動はエンディングの作り方に原因がある。当該シーンは録画されたものではなく、記録された操作(いわゆるマクロ)に従ってその都度アーサーを動かしている。問題なのはデフォルトのボタン設定で組まれているマクロに対して、このシーンに オプションの操作ボタン変更が適用されてしまう 事で、結果アーサーが意図した動作を行えずに上記の現象が起こるのである。ちなみに本作が初出の現象ではなく、MD版の大魔界村でも操作ボタンの変更を行うとエンディングでアーサーが しっかり穴に落ちる

総評

旧作に比べると、動きがモッサリしていたり、ハード性能から来る要因で劣化している点が有ったりもするが、それらはこれまでのファンを極端にガッカリさせるものでもなく、魔界村らしい硬派なゲーム性はきっちりと引き継がれている。
難易度の面では、初心者にとってはやはり辛口気味と言えるが、旧作と比較すれば魔界村シリーズ入門者にもそれなりに手を出しやすい程度には落ち着いている。

「魔界村」の看板を背負うに十分な完成度を持つ作品といって差し支えないだろう。


超魔界村R (GBA)

【ちょうまかいむら あーる】

ジャンル アクション
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売元 カプコン
開発元 アフェクト
発売日 2002年7月19日
定価 4,800円
プレイ人数 1人
レーティング 【VC】CERO:A(全年齢対象)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2015年1月14日/702円
判定 良作

特徴(GBA)

  • SFC版を忠実に移植したオリジナルモードと、新規ステージやボスを追加したアレンジモードの2種類のゲームモードが用意されている。
    • アレンジモードは、オリジナルモードと異なって周回の概念がなく、女神の腕輪をステージ1から入手することが可能。
      • この仕様により、女神の腕輪以外の武器を所持してアレンジモードのステージ7ボスを撃破した場合、オリジナル版の2周目同ステージで女神の腕輪を持たずにクリアした時と同じメッセージが流れ、同ステージスタート地点からのやり直しとなる。
    • ステージクリア時の鎧の装備状態により、次ステージを「オリジナルの通常ステージ」「アレンジステージ」「オリジナルの難しいステージ」の3種類から選択できるようになる。
      • すべて、オリジナルの難しいステージを選択してゲームクリアすると、エンディングに変化が生じる。
      • また特定の状態で特定のステージをクリアすれば、特定の次のステージを飛ばして更に次のステージに移動することが可能。
    • 追加ステージは主に『魔界村』『大魔界村』のステージを再現したものとなっており、一角獣やドラゴンといった懐かしのボスも登場する他、「レッドアリーマー・ジョーカー」「バルバロ」などの完全新規のボスも追加されている。
  • セーブ機能の実装
    • セーブが可能になったことで、セーブした面のスタート地点から、そのときの装備状態と所持中の武器を引き継いで再開できるようになった。
      • ただし、セーブデータ領域は1つしかないので、複数のデータを作ってやりたいところからやり直す、といったことは不可能。また、再開地点は必ずステージの最初からである。

評価点(GBA)

  • セーブ機能とアレンジモードの実装により、携帯機の強みであるリプレイ性が大きく向上した。
  • グラフィック・操作性ともに再現度が高く、SFC版に親しんだプレイヤーでも違和感なくプレイできる。

賛否両論点(GBA)

  • 効果音・BGMなどの音周りに変化が見られる。
    • ただし、これはハードの性能差ゆえに避けられない問題でもある。また、再現度自体はかなり高く、携帯機として十分なレベル。
  • ベタ移植なので、ゲームバランスや処理落ちはそのまま。
    • とはいえ、リメイクではなくあくまで純粋な移植作であり、手の加え方が中途半端でゲームバランスが改悪されるケースを考えれば問題視すべき点ともいえないだろう。

問題点(GBA)

  • アレンジモードのステージ分岐機能がやや不便。
    • ステージクリア時の鎧の種類で選択肢が増減するため、次に選べるステージの種類がプレイヤーの腕前に依存して変化してしまう。また黄金の鎧では選べないルートも存在するため、選択の自由度が低い。

総評(GBA)

ゲーム自体はオリジナル版に忠実で、この手のゲームによく見られる『移植前の方が良かった』という事態が限りなく少ないレベルに達している。
加えて追加要素で新たな遊びを盛り込むと共に、セーブ機能の実装によって遊びやすくなった。
追加要素に加えて携帯機ならではの手軽さという利点もあるため、オリジナル版へのこだわりがなければこちらを選ぶのもありだろう。


その他移植

  • カプコンジェネレーション第2集『魔界と騎士』(PS/SS)
    カプコン クラシックス コレクション(PS2/PSP)
    • 『初代』『大』と共に原作を移植。ただし、カプコンジェネレーション版では、ステージ3ボスの出現タイミングが変わっているため、SFC版での戦法が通用しない。
  • バーチャルコンソール版(Wii)
    • SFC版を配信。
  • バーチャルコンソール版(Wii U)
    • SFC版とGBA版を配信。
  • バーチャルコンソール版(New3DS)
    • SFC版を配信。

余談

  • 同社発売の『MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds』に登場している本シリーズの主人公アーサーの必殺技は本作の装備を基に構成されており、「プリンセスの腕輪」や「ボウガン」といった武器が登場している。
  • PS版収録の公式資料内の企画書によれば、実は近接武器としてハンマーが登場する予定だったらしい。
  • 当時、二つの少年誌で連載されていたゲーム漫画で本作を取り扱ったエピソードが掲載された事からも、当時の注目度が窺える。
    • それぞれ、「コロコロコミック」(小学館)の『電脳ボーイ』(ながいのりあき著)と、「コミックボンボン(講談社)」の『ロックンゲームボーイ』(池原しげと著)である。
      • 前者では「ラスボス戦で円盤を乗り継ぎながら弱点を集中攻撃する」、後者では「3面ボスを火竜の魔法で倒す」という描写があるのだが、今日のタイムアタック(所謂RTAやTAS)動画では、これらがタイム短縮のテクとして実演されている。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 1991年
  • ACT
  • SFC
  • カプコン
  • 魔界村シリーズ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年12月14日 13:01

*1 ただし、1周目のステージ7ボス撃破後にはこの鎧装着の演出はない。また、2周目の同ステージボスを、女神の腕輪〔別項目で解説〕以外の武器を持った状態で撃破後に鍵を取得した場合も同様。とはいえ、画面が切り替われば鎧装着状態から再開となる。

*2 オットセイの場合は二段ジャンプも、そして女の子の場合はしゃがむこともそれぞれ可能。

*3 ただし、特定のステージで、ある手順を踏むことにより、青銅の鎧装着時でも盾を装備できる。

*4 ザコ敵「ファイヤーキラー」「ブルーキラー」のみ、ゆっくり接近してきた時に接触した場合のみ盾で防ぐことが出来るが、高速体当たりを繰り出してきた場合は「相討ち」となってしまう。

*5 ただし、↑キーは立ちポーズに影響しないので押しても構わない。またハシゴに掴まっている最中は十字ボタンどの方向を押していても、敵弾が向かってくる方向に盾が向いている状態ならば敵弾の接触ダメージを防ぐことが出来る。

*6 例えば、カマやオノなどの連射が利かない武器を投げた際に、その武器が画面内に残っているうちに回転ショットを行うと、武器が射出されずアーサーがただ回転するだけだが、その直後に(立ち撃ちやしゃがみ撃ちなど、二段ジャンプ撃ち以外の撃ち方で)投げた一射目だけが回転ショットのときと同じ威力になる、ということ。

*7 白いドル袋を取得すると500点、黄色いドル袋を取得すると1000点のスコアがそれぞれ入る

*8 その場合は立ち位置を変えて、特定の地点に立って魔法を発動すれば出現する

*9 ただし、初代『魔界村』では1周目でもラスボスとの対決はあるのだが、「実は幻であった」という扱いになっている。

*10 ステージ1の前半エリアの終盤では、一定地点を通過するごとに陥没・隆起を繰り返して地形が変化する

*11 アーサーのいる方向に向かって自在に繰り出すビームで攻撃するだけでなく、足場を崩して移動を制限してきたり、鎧の有無に関係なく即死させる踏みつけ攻撃をしてきたりする

*12 同時に吐き出す場合と、足場→光線の順に時間差で繰り出す場合の2パターン。