天地を喰らうII 諸葛孔明伝

【てんちをくらうつー しょかつこうめいでん】

ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 4Mbit+64kRAMROMカートリッジ
発売元 カプコン
発売日 1991年04月05日
定価 8,500円(税抜)
判定 良作
天地を喰らうシリーズ


概要

  • 原作は、本宮ひろ志による三国志の時代が舞台の漫画。本シリーズは本宮氏がキャラクターデザインを手掛けた以外は一般に知られる「三国志演義」を元に構成されたシナリオのRPG。本作はその2作目に当たる。
    • 1作目とは最後に戦うラスボス武将が同じだけの別物ストーリーの扱いとなっており、より三国志演義のストーリー展開に忠実になっている*1
  • プレイヤーは原作漫画の主人公でもある劉備の軍を率いて戦っていくことになるが、サブタイトルにもあるように、中盤以降の主人公は実質的に孔明が務めている。

特徴・評価点

  • 1作目でも採用されていたシステムだが、本作は、それぞれの武将のHPこと「兵士数」が通常攻撃の威力にも直結する。つまり、レベルが上がり最大HPが上がれば攻撃力が上がるのだが、現在HPもとい兵士数が減れば減るほど攻撃力も減っていく、というもの*2
    • 味方だけではなく、敵側の武将や兵士も例外ではない。兵士数が減った味方は早めに回復させる、武力の高い敵の兵力を早めに減らして攻撃力を下げる、といった戦略が必要となる。
    • 前作は兵数の桁が増えるたびに倍という大雑把さだったが、今作ではちゃんと比例する形になっている。
    • 残り兵士数が僅かの武将の攻撃では、本当に雀の涙と呼べる域まで与えるダメージが激減する。ある意味でリアルな仕様かもしれない。
    • また、「HP」である以上、回復系のアイテムや策略(後述)、そして宿屋で千~万人単位の兵士数が回復する点は、前作共々、半ばバカゲーに近いテイストである*3
  • 各武将に使用する武器が設定された。劉備なら剣。関羽なら刀。張飛なら槍と装備可能な武器が決められている。
  • 「陣形」・「戦闘背景」・「得意地形」の要素の追加。
    • 陣形の効果により特定の陣形に有利になったり、策略の成功率がアップする代わりに攻撃力が低下したり、指定したキャラ以外は直接攻撃のダメージを受けないなどの多彩な効果を持つ。スクウェア・エニックス社のロマサガシリーズでも採用されている同名のシステムとかなり共通点が多い。
    • 陣形は策略ポイントを消費し、武将が5人いないと組めない(また軍師は6人以上武将がいると戦闘に参加できない)。敷いた陣形によっては武将の性能を殺してしまう恐れもあるため、活かすなら隊列編成も重要だったりする。
    • なお戦闘中にしか敷けない陣形を除き、一度敷くと他の陣形を敷くか、戦闘に参加している一部を除き2人武将が討ち取られるまでは、陣を敷いたままになる(宿に止まっても継続)。
    • 戦闘中は画面下に背景が表示され、平地であれば草原。城であれば城門。森の中なら深森のように何処で戦っているのかが解るように。
    • 得意地形は一部の武将が持つ能力で、戦闘する場所と得意地形が一致していればその武将の兵士数を表すメーターが黄色に変化。その戦闘中は攻撃力が上昇する。
  • 一般的なRPGの魔法にあたるものとして「策略」という要素がある。(本作ではSP:策略ポイントと表示)
    • ステータスの「知力」に依存しているため、成功率・威力がキャラによって異なり、孔明の策略は成功率が高く威力も高いが、張飛の策略は成功しにくく威力も低い。
      • 成功率は相手の知力にも依存するので、孔明(知力が最高値の255)が撃った攻撃系の策略なら、相手が典韋などかなり知力が低い相手ならほぼ確実に成功するが、司馬懿(知力250)などが相手だと極端に成功率も低くなる。
      • ただ、知力が高い武将が発動しても、策略の成否ともに完全に100%までは行き着けない。天才軍師・孔明でも、失敗する時は失敗する(特に攻撃系よりも成功率が低めな一部の補助系策略で顕著)。それどころか、知力が中堅クラスの敵が放つ「あんさつのけい(即死攻撃)」で孔明が沈むといった事態も時折起こる事も……。
  • 概要欄にある通り、シナリオは三国志演義に忠実であり、前作では見られなかった仲間の戦死イベントも存在する。しかし既に死んだはずの呂布が生きていて荊州争奪戦に乱入してくる、漢中・蜀を制圧した後、そのまま北伐=曹操ら魏軍への全面戦争に乗り出して最終的には魏を滅ぼしたりと、王道RPGのお約束要素に近いオリジナルな展開も多い。
    • しかも随所随所に三国志の漫画として非常に有名な「横山光輝版三国志」での名台詞や展開が流用されている。
      • 官渡の戦いが唐突に省略されたり、インターネットスラングで時折ネタにされている「げぇっ関羽」も含めて同じである。
      • 本来無関係の「横山光輝版三国志」からこれだけあからさまなストーリー盗用をしていながら、タイトルとなっている本宮ひろ志作「天地を喰らう」からはキャラデザインを借用しただけ。まさかの三国志漫画コラボゲームである。
    • また、孔明の見せ場のひとつである赤壁の戦いにおいても大掛かり、かつ、ツッコミどころ満載なオリジナル展開がある。
    • もっとも三国志は、「史実→正史→演義→吉川小説→横山漫画」など流用や創作を重ね、演義や本宮漫画の時点で妖術・神仙・超人的活躍も多いため、荒唐無稽なフィクションや流用はある意味原作に忠実と言えるかも知れない。
+ ネタバレ
  • 戦いに必要な矢を集めさせられたり、東南の風を吹かせるという展開になるのは三国志と同じだが、本作の場合、100万本の矢を城の宝箱から入手するのはまだしも、東南の風を吹かせるのに必要なアイテムは邪馬台国へ渡って大蛇を退治して卑弥呼から受け取るというトンデモ展開になっており、ややもするとバカゲーに足を突っ込みかけている。
    • 邪馬台国や卑弥呼は三国志の正史に登場している、実は原作再現要素であったりはする*4のだが、問題は大蛇。大蛇の元ネタは、その外見から日本神話の「ヤマタノオロチ」であると思われるが、オロチが襲うのは「クシナダヒメ」であり、卑弥呼ではない。有名なRPGである『ドラゴンクエストIII』のネタも混ざっているのだろう。
    • いずれも本来ならば孔明の知略が際立つ有名なエピソードでありながら妙な脚色になっている。
      • ちなみに三国志演義では、前者は偵察の船を出させて矢を射かけさせる事で回収、後者は東南の風が吹く日をあらかじめ知っていた事になっている。
  • 前作でも存在した司馬懿の「落雷の計」を、本作においても破ることになるのだが、今回は、破るためのコマンドが前作と同じというファンサービスに、「三国志演義」の見せ場である五丈原における策「死せる孔明生ける仲達を走らす」の再現となる要素が追加されている。無論、本作において孔明が身罷ることはなく、「生きているふり」が「死んだふり」に変更されている。
  • 戦闘中の敵味方武将の表記が漢字。常用漢字ではないものも多く、スタッフのこだわりが感じられる。
  • 通常の移動がファミコンのゲームにしては早め*5
  • 1作目では「ひょうろう(兵糧)」システムという概念もあった*6。だが、これがゲームの快適性の阻害にも繋がっていた為か、本作では廃止された。
  • 魏軍と決戦に挑む最終章(第6章)では、一部の敵武将が低確率で落とすレア装備が多く用意されている。同時期のこちらの大作ゲームと共に、レアアイテム狩りに勤しんだプレイヤーは多かったであろう。
  • 城下町や村、関所内など所々の地面にアイテムが落ちている事がとても多い。中にはその時点で店で買える物よりワンランク上の装備が手に入ることも。
  • BGMの評価も高い。
    • 担当したのは『ロックマン3』や『ブレス オブ ファイア』なども担当している藤田靖明氏。
    • 重要な戦いではボス専用の曲が流れる。曲の評価は非常に良く燃え上がるのだが、これが序盤の序盤で戦う袁術戦で聞けるのだ。次に聞くのが後半でならないと暫く聞けないためこの配慮は嬉しいところ。
    • ファミコンのRPGにしては非常に珍しく戦闘曲が4種類(通常(名無し雑魚)、野良武将、攻城戦、ボス戦)もある。
  • 戦闘の舞台も城や砦に挑むばかりではない。関所で戦ったり、時には敵の策略や伏兵による奇襲を受けたり、戦闘で火計による火攻めをしたり受けたりする。時には武将による一騎打ちやプレイヤーの起こした行動によって戦闘の展開自体が変わることもあるのだ。
    • 上記の陣形もお互いが組んだものによっては相性がある。例えば素早さを上げる白馬の陣と攻撃力、防御力ともに上がるが素早さが激減する衝方の陣が対陣すると白馬の陣を敷いた側が2回連続攻撃が出来たり。防御力と回避率が上がるが補助は無効になる静寂の陣同士が対陣すると陣の特性が失われたりと、意外に凝っている。
  • 城や砦等の戦いでは戦闘前に敵が台詞を話すのだが、この台詞が前作のように使いまわしが殆ど無くなり、豊富になった。
    • 極一部だが、戦いに負けて全滅した後、再度戦うと戦闘前に敵の台詞が変わる戦闘も。容量の少ないファミコンでである。
  • 前作で登場した一部の策略が削除されたものの、全体数・種類が大幅に増えた。前作では補助系の策略は3つしか持てず、新しい策略を覚えると古い策略が消えてしまったが、今作は覚えた補助系策略は全て使えるようになったため、大量に持てるようになった。攻撃系と回復系は前作と同様に上書きされていく方式で5段階。段階が上がるにつれ、消費SPと威力が上がっていく。
    • 割合ダメージやSP減少に反射。蘇生。ダンジョン脱出。更には永続麻痺・永続混乱といった強力なものまで存在する。
  • 攻撃系策略に平地と山場で使える火計・水辺の近くで使える水計に加えて落石計が登場。落石計は近くに山がある時に使える。
    • 攻撃・回復策略が単体か全体で選択出来るようになった。攻撃系の策略は前作より最大兵士数が大幅に抑えられたことも合わさり威力が凄まじく。特に、最大の5段階目まで強化された策略を高知力持ちで敵単体で決まった際の破壊力は必見。
    • 前作で使い辛かった回復系の策略である完復の計(4段階目)は完全回復はしなくなり、名ばかりとなったが、全体に掛けられるようになったため使い勝手が上がった。*7また、回復系や一部の補助系策略・陣形が移動中でも使えるようになった。但し、回復は単体のみ。
    • 味方に掛ける補助系に成否判定が付いた。前作で猛威を振るったと思われる撃免の計(敵通常攻撃無効)と策免の計(敵策略無効)は持続ターン数も短縮されたことも合わさり、前作程の強さは無くなった。
      • 持続ターン数はランダムであり、1ターンで効果が切れてしまう場合もあれば、数ターン効果が持続する場合もある。
  • RPGが苦手な人でも遊べるように初心者を救済してくれる道具・施設が追加された。
    • 移動中で使うことで全回復出来る「野営の道具」。移動中・戦闘中問わずSPを回復してくれる「知復丹」。策略扱いの敵全体を攻撃し、何度でも使える「連弩」。お金を支払うことでレベルをそこで上げられるレベルまで上げてくれる「訓練所」はその類である。回復・補助系の道具は1種類につき、9個まで纏められるようになったのも大きい。
    • その他に、回復や必ず奮闘を出せる市販道具の効果を持ち、一定確率で壊れるまで何度でも使える「石」。敵全体に地形を問わず5段階目の威力の策略やランダムで補助系を放つ「兵法書」。装備した武将の能力値を上げてくれる「白馬」等の道具も登場。
    • 前作は無限だった敵武将のSPに上限がついた。ただし、味方は軍全員で共有されているのに対し、敵は個人が自軍とほぼ同じ数値のSPを持っているので、未だに格差があると言っていい。
    • コマンドの武将(ステータス確認)で前作でマスクデータだった素早さが表示されるようになった。
    • レベルが99まで上げられ、前作のようにレベルを上げすぎてもバグらなくなった。
    • 武将の加入、離脱が相次ぐが、離脱する武将の装備品は、後に加入する武将が装備しているため無駄にはならない。
  • 武将のステータス数値が極一部を除いて5刻みで設定され分かりやすくなった(その分、画一的な印象になってしまっているが)。

問題点

  • 中盤以降、かなり多くの武将が仲間ができるが、普通にプレイしていたら使われないような者もいる。
    • 廖化・雷銅・呉蘭など*8は張飛・趙雲・関羽などの下位互換の能力で、仲間になる頃にはもっと優秀な武将がいる。それらの武将メインの編成で挑む縛りプレイでもしない限り、基本的にスタメン入りの顔ぶれが固定される傾向が強い。
    • その代わり前作は兵士数が固定だったのに対し、今作はレベルアップすると兵士数が増加するようになったため、愛があれば終盤まで使うことは可能*9
  • 前作の特徴であった、敵として出てきた武将を仲間に加える事ができなくなり、PT編成の自由度が低下している。
  • 一部の武将は発生するイベントの関係上、編成所で外せないのがいる。
    • この煽りを受けて、仲間ではなく、仲間にすることが罠と言われてしまったのが張苞。途中で関羽と張飛が外れ、息子である関興と張苞が2人の代わりに加入するのだが、性能が張飛の劣化版(そして知力が低いのも同じで策略に弱い。)・武器が味方武将で多く使われる槍。槍を使う武将では趙雲や馬超と言った張苞より性能の高い武将がおり、更に得意地形が無いと散々な評価を受ける始末。更に同性能の武力と知力を持つスタメン候補の武将には魏延がいるので加えると策略に弱い武将が増えてしまうという事態に。
    • しかも上記の通り、加えると二度と外せない。そのため必然的に、加える関興だけを仲間にした後、編成所で最大人数となる7人までしてから張苞を仲間にして編成所に送る、或いは無視するのが定石となっている。
  • 前作の大きなポイントだった総攻撃(高速で処理されるオート戦闘)が、追加された攻撃エフェクトのせいか低速化している。前作での通常戦闘より若干早い?程度の処理速度程度しかでないため、前作をプレイした後でプレイすると雑魚戦などが煩わしく感じる可能性も。
    • あくまで前作と比べてであり、この時代のオート戦闘としては優秀な方ではある。
  • 策略や道具の中には初心者を救済するには十分に機能を果たすが、使いこなすと強すぎてゲームバランスを崩すものもある。とはいえ、ある分には便利であり、使うかどうかは使用者の任意なのも事実。
    • 策略ではまず攻撃系全般。特に5段階目まで強化されると火計最強の「火神の計」、水計最強の「水龍の計」、落石計最強の「激石の計」は敵単体に対して知力がそこそこの武将が使用しても単体で3000程、全体だと5部隊いても1武将に800以上のダメージを与えられるが、これが諸葛亮や姜維といった知力が高い武将が使うと4000から5000の(全体だと1000以上、人数が少なくなると更にダメージが増える)ダメージを叩きだす。「激石の計」に至っては命中すると6000程のダメージを叩きだすこともある。山の近くの城や関は意外と多く、(ボス戦になり易い)攻城戦でも「激石の計」を使用可能な場所が多い。高知力の味方が低知力の敵武将に掛ければ高い確率で成功するため、2回撃ち込めば簡単に打ち取れるのだ。今作の敵の最高兵力は9999なので、これが如何に恐ろしいか理解してもらえるだろう。
    • 勿論、後半の敵はこれらの策略を知力の高い武将が持っているため、策略が失敗したり逆に低知力の味方に使われて一撃で倒される事態も多々ある。
    • 全体で使用しても命中すればそれなりのダメージを出すため、体勢を崩された状態で敵からやられると纏めて打ち取られるということもある。そのくらい、前作に比べて策略の威力が高まったのだ。
    • 回復系では最後に覚える「金仙の計」。これは回復の性能に対しての燃費が異常なまでに良い。一言でいえば、ドラゴンクエストモンスターズジョーカー2で使えるベホマズンがホイミのMP消費量で使えるもの。
    • 一段階前の「完復の計」の消費SPが8なのだが、この「金仙の計」の消費SPは4である。かつ、回復力も「完復の計」の約2倍程のために屈指の燃費力を持つ。 SPの消費数は前作にも見られた要素であるが、前作より兵士数が抑えられているため結果的に回復力は大幅に上がることに。かつその余りの燃費の良さに設定ミスだろという声が多数出た。
    • 持続ターンが短縮され、更に成否判定が付加されて弱体化したとは言え、直接攻撃を無効にする「撃免の計」と策略を無効にする「策免の計」や、決まれば敵一体を一撃で倒す暗殺の計は相変わらず強力。ただし、「撃免の計」や「暗殺の計」は敵も頻繁に使用するためバランスはとれている。その他では戦闘中敵の攻撃からの回避率が上がる「煙遁の計」。命中率こそ低いが決まれば解策の計(敵の策略を全て解除する)か倒されるまで動きを封じる「縛殺の計」。戦闘中味方を攻撃させる「離反の計」。敵の策略を一度だけ反射するため、知力の低い味方武将に掛ければ絶大な効果を発揮する「策返しの計」辺りも理解すればかなり強力。
  • 道具では敵全体を策略扱いで攻撃する「連弩」。連弩は何度も使えるため、知力の高い武将に持たせておけば強力。しかも人数が減ればその分与えるダメージが増え、途中で敵を倒せば計算処理し直して威力が上がるというとんでもないもの。
    • 弱点は策略扱いのため、「策返しの計」で跳ね返されるということ。策返しの計が掛かったことを気付かずに使ってしまうと最悪の場合は自分で自分を討ち取るということにも。
    • また、明らかに役に立たない策略が存在する。「殺毒の計」は、通過すると兵士数が減少するフィールド上の毒の沼地(説明書では「わなの沼」)の効果を無効化する策略だが、沼はゲーム中二箇所にしか登場しない上に、ゲーム進行上通行する必要性は全く無いので、この策略を習得した所で有り難みが全くない。但し、敵の計略に嵌って逃げる場合が1か所だけあり、そこでダメージを防ぐのには役立つ。ゲーム終盤になって習得する「招魂の計」は、移動中戦闘中問わず、戦闘不能になった武将1人を復帰させる策略なのだが、復帰時の兵士数は400。ゲーム開始直後から道具屋で安価で買える「招魂丹」と効果は全く同じである。持ち歩けるアイテム数が時代相応に少ないので無意味とは言えないが、消費SP32もかなり重く、有り難みは全くない。
  • 陣形では「魚鱗の陣」と「八卦の陣」が群を抜いて超性能。
    • 「魚鱗の陣」は、2~4番目の仲間の攻撃・防御力が大幅に上昇。1・5番目の武将は防御力が更に上昇するが攻撃力が激減。更に味方の策略成功率が倍増し、敵の策略成功率が半減するというもの。この陣形の強みは1・5番目に知力の高い武将、2~4番目に攻撃力の高い仲間をおくと理に叶った陣形となり、弱点がなくなる。更に戦闘前に陣を敷くことが可能で、陣を解かなければ永続的に効果を得られるという壊れっぷり。使えるようになるレベルも低めで習得するころには軍師系の武将も現れる。そうでなくても大抵の軍師になれる武将が習得できるのも強みなのだが。
    • 特にこの状態での攻撃系策略や「暗殺の計」(一撃で相手を倒す)や連弩といった強力な策略は猛威を奮う。極端な話、この魚鱗の陣だけで最後まで通用すると言っても過言ではない。
    • 欠点は平地で戦闘を行うと素早さが0になってしまうこと。平地で戦う場合はほぼ間違いなく敵全員に先手を許してしまう。
      • また、陣の構成上、策略を使いにくい雑魚戦では殲滅に時間がかかりやすいのもネック。
    • 「八卦の陣」は攻撃が通る生門を5人のうちから1人を設定。その設定した1人以外は攻撃を受け付けない、更に生門の下隣(生門が5人目なら1人目)の武将は死門になり、死門を攻撃すると反射する。更に敵の策略成功率が半減するというオマケつきであり、相手の陣形を解除する「解陣の計」で散開させられる危険も小さい。ラスボスだろうが使えば楽勝になる。司馬懿(知力が250)が魏延(知力が90)に策略を仕掛けても目に見える程に失敗するのも珍しくない。
    • 習得する時期がゲームクリア直前であり、孔明を軍師に任命できないと使用できず、戦闘中しか使えず終了すると解除されてしまう。またSP消費が全策略中最も多い48と、燃費がとても悪い。そして1人でも武将が倒される(他陣形は2人)と散開状態になる欠点もある。しかしそれに見合う程の超高性能である。
      • 一応策略は効果があるのだが回避率が上がるうえ、上記の「策免の計」を合わせて使えば死角がカバーできてしまう。
    • 他にも低レベル(魚鱗より先)で覚え素早さが大幅に上がり、デメリットは使える場所の限定される水計が弱体化するぐらいでほぼ無いと言ってよい「白馬の陣」、防御力が下がるが素早さと攻撃力が上がる「一文字の陣」どちらも事前に陣形を敷くことが可能で二流武将戦や雑魚戦で使えて強力。
      • こちらは直接攻撃向けの陣形で戦闘に参加可能な五人全員で直接攻撃が出来る上、アイテムの「会心丹(かいしんたん)」(使うと会心の一撃を放つ 市販品)と組合せればボス戦でも比較的有利に戦える。
    • 他の陣形は癖が強く使いづらい。特に攻撃力が倍増。奮闘率も上昇するが防御力が大幅に下がり水辺での戦闘中にしか敷けない「背水の陣」と防御力と回避率が大幅に上昇するが戦闘中にしか敷けず、回復系策略が使えなくなる「静寂の陣」は味方では使う分には明らかに使えない。
    • ただし陣形は敵も使ってくるのでこちらのみが有利に戦えるわけではない。「静寂の陣」と「八卦の陣」は敵に使われると非常に厄介。特に八卦の陣は敵の猛攻を凌ぎながら生門を探さないといけない。下手すると死門を攻撃してしまい反射される→敵から攻撃されて倒されるということも。
    • 余談だが陣形の1つは全員の素早さが少し下がり、3人目は攻撃力大幅上昇、2・4人目は攻撃力が低下するが防御力が上昇、1・5人目は攻撃力が皆無になるが防御力は超上昇、 更に味方の策略成功率が魚鱗の陣より高いというもの。
  • 前作で敵として登場した黄巾賊(張角)、董卓、袁紹らはともかく、劉備らと並ぶ三国の一角である呉軍(孫権軍)と戦えなくなったのは残念*10
    • 1作目と同様な呉軍との全面戦争を期待したファンには残念といえる。
  • とどのつまり、題材の三国志演義、更には漫画「天地を喰らう」の世界観がそうであるように基本的に劉備軍(蜀)贔屓なので、魏・呉ファンの方は色々とお察し下さい。王道RPG的な展開にしたかった為だろうが、曹操率いる魏を筆頭に、劉備軍が戦う敵側は総じて非道な悪役扱いになっているので、魏のファンにとっては特に……。
  • 移動速度が速くなる「せきとば」は装備した者が隊列にいる、もしくは編成所にいると効果が発揮されるのだが、逆に装備した者が何らかの理由で隊列を離れてしまうと効果が失われて移動速度が低下してしまう。
    • 具体的に言うと博望坡の戦いと入蜀の時。前者は孔明・趙雲以外は別働隊として、後者は関羽・趙雲・孔明が荊州の守りとして隊列を離れてしまう。
    • 前者は博望坡の戦いが終わるとすぐ合流するので期間は短いが後者は入蜀~落鳳坡のイベントが終わるまでと実に長く、この中には作中屈指の面倒臭さを誇る「景帝の墓」というダンジョンも含まれている。
    • この為、正史通り関羽に「せきとば」を持たせ続けていると両場面において移動速度が低下してしまう。
  • 宮殿や山系ダンジョンなどで段差を昇り降りする際の移動速度が遅い。
  • 物凄いバグがある
    • 預かり所に64個めいっぱいの道具を預けて64個目を引き出すと、敵将や兵士や「劉劉」という謎の武将がパーティーに加わっていたり、預かり所に「金」という道具が登場したり、兵士数が20万近くに増大したりとおかしなことになる。更にバグで登場した敵を一度編成所で外してから加えると、敵として登場しなくなる。ただし進行等詰まる可能性があるため、遊び程度に留めておくのが無難。
    • 他にもイベントで使う重要アイテムが消滅し進行に支障が出る・詰むような状況になることが普通にプレイしていても起こることがある。
  • 一部前作と比べて不親切になった部分も
    • 前作で各城を行き来できるアイテムであった「しんこうのおふだ」が削除された為に各地を徒歩や船で行き来しなければならなくなった。
    • 装備武器が各武将毎の得意武器しか使用できなくなった為に編成所で武将を加えた際、使用できない武器が割り当てられているという事が頻発する。
  • 敵から奇襲を受けた場合、総攻撃と同じように最初のターンが早送りされる。これにより策略を使われたことはSEで分かるが、攻撃系策略や「暗殺の計」以外は何の策略を使われたかまでは分からない。ある意味リアルではあるが、奇襲はボス戦であろうと発生するため場合によっては大きく不利になる。*11

総評

  • 三国志演義以上の劉備贔屓(原作漫画「天地」準拠とは言え、また当時の三国志入門ジャンル全体がそんな風潮なのでその点はさほど目立たなかった)、メンバー入れ替えの自由度の低下、赤兎馬が無い時点での移動速度の遅さ……などの問題点もあるが、一度覚えた計略が枠の関係で無くなる、兵糧の概念が無くなるなどの前作の問題点を解消し、また当然ながらグラフィックなども進化した。歴史題材作品の黎明期にして、原典に疎い子供達にも取っつきやすく遊びやすいRPGとして完成された作品と言える。

「天地を喰らう」ゲームの他の展開

  • カプコンは「天地を喰らう」を様々なジャンルでゲーム化してきた。本作以外では、アーケードでも2作品がリリースされている(ジャンルはベルトスクロールアクション)。特に『天地を喰らうII 赤壁の戦い』の評価は高い。
  • その他、スーパーファミコン版として、コーエー版三國志さながらなシミュレーションゲームが発売された他、ゲームボーイでもFC版の流れを汲むRPGが発売された。
  • カプコンの携帯サイトにて本項のFC版『II』が携帯アプリ版として移植された。(FC版1作目も。)
    • ストーリー進行やゲームシステム自体はオリジナル版とほぼ同じなのだが、「せきとば」が無くとも移動スピードが最初から高速・一部の武将キャラクターの顔グラフィックや台詞がFC時代と異なる・野戦武将(ザコ戦扱いでランダム出現する敵武将)が数種類(もとい数人)に固定されたといった、いくつかの変更点がある*12
    • そのくせ、ザコ戦から逃走する「たいきゃく」がよく失敗するといった、オリジナル版から抱えていた不親切な仕様などはお誂え向き? にも当時そのままである。
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最終更新:2024年04月18日 09:23

*1 それでも終盤は前作さながらな、劉備軍びいきもいい所と突っ込みたくなる展開のオンパレードではあるが

*2 実際の与ダメージ率は更に各武将毎の「武力」の能力と、装備している武器の攻撃力によって計算されるという形式

*3 ただしコーエーの三国志等でも治療等で数千人の兵士が一気に回復する描写がある(こちらは負傷兵であるが)ので治療中だった兵士が復帰したという描写とも取れる。

*4 正史の卑弥呼は魏に臣下の礼をとっており、本作のように劉備に協力するというのは変な話ではある。

*5 ただし、第1章スタート当初はかなり遅い。1章終盤で速度アップアイテムの「せきとば」を入手する事でサクサクと進む。

*6 自軍の兵糧が無くなると移動時に兵士数がどんどん減る=ダメージを受ける。『女神転生』シリーズのマグネタイトとほぼ同じシステム

*7 回復力は単体に対して約5000ほどで回復量を上回る兵士数を持つ敵武将に対して使用した場合は完全回復はしない場合があるが、味方の場合、回復量を上回る前に上位の回復系の策略に上書きされるため味方が使用すれば文字通り全回復してくれる

*8 もっともこの雷銅・呉蘭は演義/正史共に劉備軍入り、即、戦死したような人物なので、パーティ入りし戦死・離脱もしない扱い自体が優遇ではある。

*9 特に馬良、馬謖、魏延は加入が比較的早めで離脱しないので装備武器や使用可能策略が強力な事もあってスタメンに入れる価値が高い

*10 本作の呉軍は「赤壁の戦い」の前哨戦に味方として絡む程度である。

*11 例えば奇襲中に「撃免の計」を使われた場合は攻撃が無効化されて初めて分かる

*12 広義的に見ると、他のケータイ移植ゲームにもよくある「劣化移植」と呼ぶに近い出来である。