スーパー魂斗羅

【すーぱーこんとら】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2MbitROMカートリッジ
発売・開発元 コナミ
発売日 1990年2月2日
定価 5,800円(税別)
配信 バーチャルコンソール
【3DS】2012年10月10日
【WiiU】2014年3月5日/共に500円
判定 良作
ポイント アーケードの人気作をファミコンに移植
オリジナル要素多し
魂斗羅シリーズリンク


概要

  • 銃を撃ちひたすら先へ進む硬派アクションで、『魂斗羅』の続編。
  • アーケードゲーム『スーパー魂斗羅 エイリアンの逆襲』の移植だが、ハードスペックの相違から移植に伴いサブタイトルの『エイリアンの逆襲』はカットされている。
    • ゲーム内容についても、『グラディウスII』のようにファミコンに合わせたアレンジが施されている。
  • シリーズおなじみの二人同時プレイにも対応。

評価点

  • ゲームを遊んでまず目に付くものとして、前作より敵弾が見やすくなった。
    • これにより細かい避けが簡単となり、初心者でも安心して取り組めるようになった。
  • 操作方法は前作同様に十字ボタンでプレイヤーの移動、Aボタンでジャンプ、Bボタンでショットと相変わらずシンプル。
    • 十字ボタンで八方向に照準を変えられる自由な操作性。アーケード原作ではジャンプ調整の存在から、操作性に関してもハードルの高い物になっていたが、移植に伴い削除され、より簡単かつ自由にプレイヤーを操作できる様になった。
  • アイテム類も一定時間経過すると消滅する仕様に変更されている。
    • 前作のような他の武器を取ってパワーダウンしてしまういわゆる「事故」も起こりづらくなった。
  • 装備などのアイテム類の大半は前作から続投。唯一の変更は「ファイヤーボール」が「ファイヤーガン」に変更されたのみ。
    • また、アーケード原作における武器アイテムの重ね取りによる二段階パワーアップやトップビュー面でのハイパーシェルの削除により、武器の仕組みそのものがアーケードから一転して理解しやすい物に変更された。
  • トップビューステージの操作性・視認性が良好。
    • 同じくアーケードからファミコンに移植された『戦場の狼』や『怒 (FC)』にあったような処理落ち・ちらつきは最小限に抑えられて快適にプレイ可能。
  • FC移植に伴いゲームバランスが調整された事により難易度も低下。シリーズ屈指の難易度を誇っていた原作から一転してFC版初代と同等かそれ以下の難易度に変更され、操作性やアーケード原作にあったシステムの削除も相まって、より親しみやすい内容になっている。
    • また、原作からアドリブを求められるシーンは少なくなった事から、パターン性が強く要所での動き方を覚えればクリアに近くなるというゲーム性に変貌していると言えよう。
  • ハードスペックの穴を埋める、AC版から+αされた要素の数々。
    • AC版ほどのビジュアルの派手さはなくなってしまったものの、新ステージの追加やシリーズ初の下スクロールステージ、更には溜め撃ち可能な武器といった追加要素が非常に多く、カットされた要素についての不満点を見事にカバーしている。
      • ステージ増加に合わせ、ボスキャラクターも多数追加。滑らかな動きが特徴的な「烈撃六連機動砲スパイダル」や、2つの顔を持つデザインが衝撃的な最終ボスの「陰獣キムコウ」等、いずれもAC版からの続投組と引けを取らないレベルで個性的。
  • グラフィック
    • ファミコンでありながら各ステージのボスは総じてデカく、一面ボスのヘリコプターの時点で度肝を抜かされる事うけあい。
    • 背景やキャラの書き込みは総じて高クオリティ。荒廃しきった格好よさがある。
    • 武器アイテムのアイコングラフィックも前作同様の武器名のイニシャルに変更されている為、アイテムの視認性も大幅に向上。
  • BGM
    • AC版原曲の雰囲気を保ちつつも、ファミコン版の雰囲気にマッチするようなアレンジが施されている。
      • ファミコンの音源でありながら、オーケストラヒット*1の力強い重低音がそこかしこで鳴らされるのも特徴。*2
    • ただし、ゲームプレイ中はSEにかき消されたり、攻撃の回避などに集中しているため聴き入る暇も無い事が多い。
      幸い今作にはサウンドテスト機能があるので、そこでじっくり聴くと良い。
    • FC版のBGMは前作のFC版も担当した前澤秀憲氏がアレンジを担当している。

賛否両論点

  • 良くも悪くもAC版とは違いの大きいゲーム性
    • そもそも、本作がリリースされた1990年という年は既にアーケードゲームの基板スペックの向上により、アーケードからファミコンへの完全移植が困難になりつつある時代であった。本作は当時のアーケードゲームよりも遙かに下のスペックのハードへの移植の為、前作から一転してアーケード原作から大きくアレンジした作品になっている。
      • 基本操作やシステム面はFC版前作を踏襲。ラピッドビレッツ重ね取りによる武器連射数のアップや武器性能といったアイテム面も前作とほぼ同様である為か、前作経験者はすんなりと本作に溶け込める事が出来る。
      • ステージ構成も変更されている。ゲーム前半はAC版の展開をなぞっているものの、3面の後半からオリジナル展開が目立っていき、最終的にはFC版オリジナルステージでラスボスと決着を付ける事になる。
        AC版から続投しているステージも1面の砲台+戦車や3面のエイリアン地帯など移植に伴いカットされてしまったシーンも多い。2つ存在するトップビュー面は比較的ACに忠実に再現されているのは幸い。
  • トップビュー面について
    • これはアーケード版の時点で賛否が分かれているのだが、初代に存在していた疑似3Dスクロールステージから本作で当時のアクションゲームではありふれていたタイプのトップビューのステージに差し替えられた事によって、「オリジナリティに欠ける」と嘆くプレイヤーも少なくは無かった。

問題点

  • 武器間の格差
    • 本作は前作のFC版からほぼそのまま武器の種類を引き継いでいる為か、前作で指摘されていた弱武器と強武器との格差も殆ど改善が無い据え置きになってしまっている。
    • 一応、ファイヤーは前作とは全く異なる武器性能になっている*3のだが、前作そのままな性能のスプレッドガンが続投してしまっているためか、強化された割には存在感が薄め。
      • なお、本作のファイヤーの様なチャージショットタイプの武器は後にMD『魂斗羅ザ・ハードコア』やPS2『真魂斗羅』等で復活している。ただ、こちらではメインというよりもサブウェポンとして使用する形なので、妥当なポジションで収まっている。
  • ミスしてからの復活が困難。
    • 本作のゲームバランスは「避け」よりも「攻め」重視に設定されており、敵に攻撃される前に出現地点を覚えて即撃破することで有利に進むことができる。したがって、装備の優劣により難易度が大きく変化する。
    • 前作同様、ミスすると装備中のアイテムが剥奪されてしまい攻略の難度が上昇してしまう。前作から引き継いで改善されていない点の一つ。
  • アーケード版からスケールダウンされた演出。
    • 本作はアーケードで人気だったゲームをファミコンに移植した物だが、グラフィックや演出面はファミコンのゲームということだけあって、流石にアーケード版と見劣りする。
    • アーケード版では中~大型敵を撃破すると轟音と共に大爆発という、ド派手でダイナミックな演出が見物だったが、FC移植にあたり撃破時の爆発が少なく効果音も小さめという、かなりスケールダウンした物に変更されてしまった。
    • 音響面でも、オープニングのボイスや、後半ステージではエイリアンを倒すとけたたましい断末魔の声を上げる、といったサンプリングボイスの演出もウリの一つだったが、ハードの性能都合上当然ではあるがそうした演出もカットされてしまっている。
      • ただし、エイリアンの断末魔については最終面のザコ敵(オーリアン)のみ専用のやられSEが用意されている*4
    • アーケード版のBGMは前作から基板の容量が増えた事を利用してBGMもFM音源とオーケストラやギターといった楽器のサンプリングが絡み合う豪快な物が多かったのだが、こちらも移植の際にオミットされてしまった。
    • また、前作FC版と比較しても、ステージ開始時のマップ表示やステージクリア後の会話デモもカットされてしまった。これによりステージ間のシーンも非常に簡素に。
      • 会話シーンの無い点は残念な事に次作「魂斗羅スピリッツ」にも引き継がれてしまった。
      • ステージ間の余計なシーンがカットされた為か、海外版(後述)は国内版とほぼ同様のROMになってしまったのだが。
  • 一部アイテムの存在意義の消失。
    • 本作でのアイテム出現はランダムではなく完全に固定化されている。
    • 前作では取得すると一定時間無敵になる「バリア」が多く登場し画面内の敵を一掃する「スマートボム(スペシャル)」は1箇所のみとサポートアイテムの出現比率に偏りがあったが、今作では逆に「スマートボム」が多く出現し「バリア」が1箇所のみ*5という、これまた偏った出現比率になってしまっている。
      • これにより前作で出来た「バリアを取得してステージの特定ポイントまで一気に駆け抜ける」という芸当が殆ど出来なくなってしまった。

総評

アーケード版から様々な点が変更・グレードダウンされている事は否めないが、スーパーの名に恥じない、難易度高めの破天荒なアクション。 前作とは違い、3DSや携帯アプリなどでの復刻の機会に恵まれているため、是非とも破壊の爽快感を味わってもらいたい。


海外版

  • 北米版は『SUPER C』名義で発売されている。
    • 特殊チップが搭載されてない関係で背景アニメがカットされてしまった前作と比較してROM容量が大幅に増加し*6、国内版と同等の仕様が実現している。
      裏技は国内版同様サウンドテストは搭載されたが、残機数アップ*7の効果が国内版よりも厳しく、30人から10人に減少しており、またステージセレクトのコマンドも前作同様無効化されている。
  • 本作の欧州およびオーストラリア版もプレイヤー等人間キャラクターがロボットに差し替えられた「Probotector II: Return of the Evil Forces」名義で発売された。
    • 前作の欧州版はBGMもスローテンポに変更されていた*8のだが、今作のBGMは国内版と同様の物を使用。要するにキャラクターだけが差し替えられた作品として発売されるに至った。
      • 以降も欧州における魂斗羅シリーズ作品は、しばらくの間は今作と同様に国内版からほぼキャラクターだけが差し替えられた物が発売される事になった。

余談

  • 本作は前作同様に『魂斗羅デュアルスピリッツ』のおまけとして収録されている。
    • 但し北米版の「SUPER C」名義での収録になっているので、国内版に思い入れがあるのなら、バーチャルコンソール等のほうが良い。
  • 本作のパッケージイラストはNES版の物をそのまま流用している。
    • イラストレーターは海外のコナミタイトルのパッケージイラストを多く手掛けていたTom duBois氏。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 1990年
  • AC
  • ACT
  • コナミ
  • 魂斗羅

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最終更新:2024年04月03日 05:30

*1 通称「オケヒ」。文字に起こすと「ジャン!」「ギャン!」と言った感じの音色。単発でインパクトを生むために鳴らされることが多いが、本作ではゲーム開幕早々、ステージ1のBGM冒頭からイントロのフィルインに続いてメロディラインとして使われる。

*2 これはFCの内蔵音源に搭載されているDPCMを使っている。DPCMはサンプリング音声を鳴らす事が可能ではあるが比較的容量を食うため、ROMの容量が大きくなった後期以降に活用されることが多かった。

*3 AC版の「ボム」に近い性能。

*4 「キュ~ッ」っと言った感じの鳴き声。AC版の断末魔とは比べるべくもないが、一応の差別化はなされていると言える。

*5 しかもその地帯は敵が全く存在しないため、あってないようなもの

*6 ROM容量自体は日本のFC版と同じ

*7 前作はコナミコマンドだったが本作は亜流の別コマンド

*8 NTSCとPALの違いによるフレームレート低下の影響と考えられ、意図的なものではないと思われる。