超速変形ジャイロゼッター

【ちょうそくへんけい じゃいろぜったー】

ジャンル トレーディングカードアーケードゲーム
対応機種 アーケード
発売元 スクウェア・エニックス
タイトー
開発元 ロケットスタジオ
界グラフィックス
稼動開始日 2012年6月21日
料金 1プレイ:100円
ドライバーズIDカード:500円
判定 良作
超速変形ジャイロゼッターシリーズ
超速変形ジャイロゼッター / アルバロスの翼


概要

児童(小学校中学年~高学年)を主なターゲットとしたアーケードゲーム。ロボットに変形する自動車「ジャイロゼッター」の活躍を描く。
国内自動車メーカーの協力を受けて多数の実在車両がジャイロゼッターとなって登場している点と、「筐体の変形」(スクエニいわく「アーケードゲームとしては世界初」)といった派手な演出が大きなアピールポイントとなっている。

  • スクウェア・エニックスの児童向けTCAGとしては『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードシリーズ』の後継作に位置づけられる。開発元も同じであり、システムや演出などに共通点が見られる。
  • 2012年6月に、先行リリース的な位置づけの「第0弾」が稼働開始。同年9月に「第1弾」、11月に「第2弾」にアップデートされ、その都度新カードが追加されていった。
    • 2013年7月より2度目の大幅なバージョンアップをした「新1弾」を稼動開始、そして最終的には「新3弾」までバージョンアップを重ねた。
  • 協賛メーカーは、スズキ、ダイハツ工業、トヨタ自動車、日産自動車、スバル(富士重工業)、マツダ、光岡自動車、三菱自動車(五十音順)の計8社*1
    • スズキとダイハツ工業は新2弾より参戦。

ゲーム内容

ゲーム開始&モード選択

  • 100円玉を投入してクラクションボタンを押す。マシンカード(低確率で「スペシャルカード」の場合もあり)が筐体下部から排出されるので受け取る。
  • 「ジャイロゼッターをプレイする」「遊び方をおぼえる」「カードだけ買う」のうちから一つを選択する。
    • 「ジャイロゼッターをプレイする」を選んだ場合、「ひとりでプレイする」「ふたりで協力してプレイする」のどちらかを選ぶ。また、「ひとりでプレイする」を選び、かつ2台の筐体がリンク状態で設置されている場合、乱入対戦を受け付けるかどうかを選択する。
      • 最大同時プレイ可能人数は2VS2の4人。
  • 「ドライバーズID」という専用ICカード(500円で別売り*2)を挿入する。なくてもプレイできるが、プレイ履歴の記録や経験値・アルカディアポイント(強化オプションパーツや使い切りアイテムを買えるお金のようなもの)の蓄積はされない。
  • ここで追加のコイン投入を4枚まで行うことができる。得られる経験値とアルカディアポイントは追加投入のたびに増加(4枚追加した際の獲得経験値は6倍。通常プレイを5回行う場合に比べて効率が20%向上することになる)。もちろんカードも投入コインの数だけ獲得できる。
    • 時間あたりのインカムを少しでも増やしたいオペレーターにとっては嬉しい仕様。プレイヤーにとっても高効率で経験値を獲得できる仕様だが、敗北時の損失が大きいので必勝を期して臨まなくてはならない。
  • コースを選択する。第2弾の時点では、2つの「練習コース」を含む全9コース+ランダムが選択可能。
  • 持っているマシンカードを3枚まで筐体にスキャンする。最初にスキャンしたマシンがリーダーカー(ドライブモードで操作するマシン)となる。スキャン枚数が3枚未満の時は規定のマシンが貸し出される(ライバード、GT-R、プリウスαという、アニメの主人公達が使用しているラインナップ)。
  • ドライブモードにおけるAIサポートを選択する。
    • 決して壁にぶつからず、コーナーでは自動でドリフトしてくれる「かんたん」、壁にぶつかりにくく、ステアリングのみでドリフトを制御できる「ふつう」、一切のサポートなしで、完全にドライバーの操作通りに動く「むずかしい」のうちから一つを選ぶ。
      • 後のアップデートで追加された要素。稼働開始当初はサポートはなく「むずかしい」相当でプレイする以外になかった。
  • そしてゲーム開始。まずはドライブモード、次いでバトルモードをプレイして勝敗を決し、ゲーム終了となる。

ドライブモード

  • CPUが操る敵チームが出現。この内のリーダーカーと、一対一のレースを繰り広げる。
  • 操作はステアリングと左手のレバー。レバーを上に倒すとブースト、下に倒すとブレーキ。フットペダルは無く、アクセルは常に踏みっぱなしの状態であるため、一般的なレースゲームとは操作性が異なっている。
  • ブーストを使うと爆発的に加速するが、使用のたびにEP(エネルギー)を消費する。また壁や敵車に接触するとEPが大幅に減少する。路上に置かれたアイテムを取得するとEPが少し回復する。
  • ステアリングを大きく切っている時にブレーキをかけるとドリフト状態になる。またドリフト状態でブーストを使用すると瞬時にドリフトが強制終了する。
  • このドライブモードで敵車に勝ち、より速いタイムでゴールインすると、バーストパワーが最初から溜まった状態でバトルモードを開始できる。またEPの残量がそのままバトルモードに持ち越される。

バトルモード

  • バトルモードに移行する際、画面の指示に従ってステアリングを上に押し上げることで、ゲーム筐体を「超速変形」させる。
    ダッシュボードが展開して4基の「ジャイロレバー」が出現。同時に画面上でもジャイロゼッターが車からロボットに変形する。以後、バトルモードでは中央2基のジャイロレバーのみを使用する(2人協力プレイの際は、それぞれ左右2基ずつを使用する)。
  • バトルモードは自チーム対CPUチームの、3対3のコマンド入力バトル。双方はマシン3台分のEPを合算したEPゲージをそれぞれ持ち、これを互いに技を繰り出して削りあう。
    1対1の技の応酬を3組行うことで1ターンとなり、以後組み合わせを変えてターンを繰り返す。
    • つまり1体だけが倒されて2VS3などになるということがなく、 劣勢でもチーム全体の攻撃力が落ちない というメリットがあった。
  • ターンの最初に、マシン3台分の技を選んで、ジャイロレバーを押し込んでコマンド入力する。技はマシンごとに多種多様だが、どのマシンでも3種類から選ぶことになる。
    • ノーマルアタック:通常攻撃。クリティカルが出やすく、バーストパワーも溜まりやすい。右のレバーを押し込んで入力する。
    • バーストアタック:威力が高い必殺技。何らかの追加効果を持つことも多い。左のレバーを押し込んで入力する。
    • カウンターアタック:敵がバーストアタックを選択していた場合は、これを跳ね返して自分は無傷、敵に大ダメージを与える。それ以外の場合は微量のダメージを与えるのみ。両方のレバーを押し込んで入力する。
  • 入力が終わったらバトル開始。バトルは自動で進行するが、技のインパクトの瞬間にジャイロレバーの操作が求められる。タイミングよく操作するとバーストパワーが大きく加算される。
  • 「スペシャルカード」を一試合につき1回だけ使用可能。全体攻撃、味方強化、敵の行動阻害などの特殊な技が発動する。
  • バーストパワーが溜まりきると自動的に、究極必殺技「ファイナルバースト」モードに移行して、ゼツボー的にカッコイイ ファイナルバースト発動(公式攻略動画より*3)となる。その威力は絶大であり、ほぼ勝利が確定する。
  • こうしてターンを繰り返していき、先に相手のEPゲージを0にした側が勝者となる。
  • まれにボスキャラがバトルモードに乱入してくることがある。一体のみで出現し高いステータス値を誇るが、行動パターンにある程度の法則性があるので、それを読みきれば撃破可能である(2人協力プレイでは必ずボスキャラが出現する)。

マシンの能力値とタイプ

  • 各マシンは以下の能力値を持つ。
    • EP:ドライブモード開始時のEP(エネルギー量)。これをたくさん残してドライブモードを終えると、バトルモードでのEPも多くなる。
    • スピード:ドライブモードでは速度に影響。バトルモードでは攻撃の順番に影響。高い方が先攻を取りやすくなる。
    • パワー:ドライブモードではブースト時の速度に影響すると言われている(詳細は未検証)。バトルモードでは攻撃した際に与えるダメージに影響。
    • ボディ:ドライブモードでは壁にぶつかった際のEP減少量に影響。高いほどEP減少が少ない。バトルモードでは攻撃を受けた際の防御力となる。
    • エコ:ドライブモードにおけるEPの減りにくさ。これが高いほど、通常時・ブースト時ともにEP減少量が少ない。
  • そして、各マシンは以下の4つのタイプに分類される。
    • スポーツタイプ:スピードに優れる。ドライブモードを高速で駆け抜け、バーストパワーを貯めてファイナルバーストを撃つ戦法を得意とする。上級者向け。
    • セダンタイプ:すべての能力値が高めのバランス型。クセがなく幅広い戦法に対応できる。中~上級者向け。
    • ワゴンタイプ:パワーとボディに優れる。ドライブモードでの速度は控えめで、壁にぶつかってもEPペナルティが軽い。バトルモードでは攻防に直結する能力が高いため主力となる。初~中級者向け。
    • エコタイプ:エコに優れる。速度が遅いが、ハンドリング性能が高く扱いやすい。安全運転に徹して多くのEPをバトルモードに持ち越す戦法を得意とする。バトルモードでは特殊能力に長けたサポート役となる。初心者向け。
  • 第3弾より消防車やパトカーなどをモチーフとした「はたらく車」が登場。
    • はたらく車:ドライブ能力は低いがバトルモードでは何らかの効果が発動、共通のファイナルバースト「緊急招集」を持つ。
  • この他にマシンのメーカーと車体色も重要。「メーカーをすべて揃える」「車体色をすべて揃える」「マシンのタイプをすべて異なるものにする」と、バトルモード開始時にボーナスとして能力が強化される。このボーナスは複数の同時取得も可能。
  • ボスを倒すモードもあった。ボスは月1くらいで更新された。
    • 正直なところボスはカウンターが成功するかという運ゲーであった。一応属性等を考慮すればかなり有利には戦えたが運が必要だった。

新1弾からの変更点

  • 新1弾よりゲームシステムに大幅なアップデートが行われた。

アルカディアミッション

  • 関東地方の市区町村を選択し、ドライブモード&バトルモードで与えられた課題をクリアするモード。『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードシリーズ』のレジェンドモードに近い。新1弾以降における事実上のメインモードである。
    • 与えられる課題はドライブモードなら「スピートアイテムを5個以上取ること」「1分20秒以内にクリアすること」、バトルモードなら「3ターン以内に勝利すること」「カウンターを成功させること」など。
    • ドライブモードのコースはミッションごとに異なる。よって、このモードを選んだ場合「コース選択」は行われない(ミッション選択がそれに相当するので)。
    • このモードの登場により、これまで遊ぶことに目的意識があまりなかった本作にも、ようやくクリアする概念が追加された。
  • 各市区町村ごとに5ステージ存在し、最終ステージでは必ずボスキャラが登場するため、しっかりと対策を行えてボス戦に望めるのも評価点。
  • 特定のボスキャラと期間限定で戦えるミッションも、このモードから選択することができる。
    • 余談だが、この期間限定のボスキャラとのバトルに課せられる課題は恐ろしく厳しい。ドライブモードでは、基本的に「むずかしい」の難易度でSランクを取る必要があり、バトルモードでは特定のレベル以上のボスを倒さねばならない。1度倒すごとにボスレベルが1ずつ上昇していくのだが、課題のレベルは30だったり50だったりする。さすがに条件を満たせるプレイヤーが少なかったからか、ボス討伐のカウントはIDごとではなく筐体ごとに変更された。

トレジャーミッション

  • ドライブモードが簡略化され、ドライブ中にアイテムを集めることを目的としたモード。ドライブモード終了時にはもちろんバトルモードがあり、アルカディアミッション同様に課題もある。アルカディアミッションの低難易度版という趣き。
    • コースは3ラインしか存在せず直線のみで、壁にぶつかるということはない。但し、代わりに障害物が登場する。

バーストファイト

  • 第5弾までの通常プレイに相当。ボスキャラの乱入ももちろんあり、このモードでしか登場しないボスキャラもいる。
    • 新1弾以降はこのモードでないとランキングに載らない仕様になっている。

ジコランボーナス

  • ゲーム終了時に本作のマスコットキャラ(?)ジコランより、パーツを1つランダムで貰うことができる。
    • ゲームのスコアによってボーナスのランクがノーマル・ブロンズ・シルバー・ゴールドの4段階で分かれ、ランクが高い方が良いパーツが登場する。
    • このシステムの導入により、ゲーム終了時にオプションパーツを買うモードは廃止された。それまでに購入したパーツは、自動的にジコランから貰えるパーツと同等の性能のものに変換される。

評価点

演出面

  • 気分を盛り上げる凝った筐体。
    • 本作の魅力・特徴は、まず何よりも筐体構造にある。ドライブモードこそ一般的なレースゲームと大差ないが、バトルモードでは「ジャイロレバー」という特殊なデバイスを操作する。
      このジャイロレバーは円筒型で、押しこむことで操作する。かなり大きく、強めのバネが入っているので、プレイヤーは両腕を張りそれなりの力を込めて操作することになる。トリガーもついており射撃系の技などでタイミングよく入力する。
      こうした操作感覚が、いかにもロボットを操縦している気分を実感させてくれる。『戦場の絆』のようなリアルな操作感覚ともまた異なる、まさにスーパーロボットの操縦者気分を味わうことができる。
    • そして本作の最大のアピールポイントが、モード移行時の「超速変形」である。
      プレイヤー自身の手でステアリングを押し上げると、派手な電飾と効果音(と、画面内でキャラクター(車)が変形するタイミング)にあわせてジャイロレバーがせり出して来る。一度体験したら忘れられないほどのインパクトのあるギミックで、プレイヤーの闘争心をゼツボー的に高揚させてくれる。大人のプレイヤーにとっては、少し気恥ずかしいかも知れないが…*4
  • ジャイロゼッターというメカの持つ魅力。
    • ジャイロゼッター達のデザインがユニークで魅力的。技のモーションも凝っている。
      • リーゼント頭のツッパリ学生のような姿の「羅武流」、女狐と花魁をモチーフに三味線型のライフルを持った「アルシオーネ」、ボンネットがそのままカエルロボの頭部となる「マーチ12X」などなど、非常にキャラが立った個性的デザインが多い。デザインがオーソドックスな機体であっても、多くは特徴的な目立つ武器を持っており、それを活かした技モーションを見せてくれる。
    • メインメカデザインは、『ガンダムシリーズ』でメカデザインを経験した石垣純哉氏、同じく『ガンダムシリーズ』や『ダライアスバースト』の海老川兼武氏、『マクロスシリーズ』や『アクエリオンシリーズ』の河森正治氏など、多数のデザイナーが参加している。
  • アナウンサーによるアツいバトル実況。
    • バトルモードでは「マイクマン関(CV:関智一)」というアナウンサーが戦いをハイテンションに実況してくれる。「ヤリヤリヤリヤリ、やりすぎィィー!!」「装甲を脱ぎ捨てて……おまえ誰だァーーッ!!」などの実況セリフはネタ性も高く、ファンから愛されている。
    • ジャイロゼッターは純然たるメカであり、意志を持ったり喋ったりすることはない。しかしこの実況の楽しさと、躍動感ある技モーションのおかげで、無機質で冷たい印象は感じさせない。

腕前の優れた者が勝利するゲームデザイン

  • 当たり前のことを言っているようだが、児童向けTCAGというジャンルではむしろ少数派と言っていい。プレイヤースキルが勝敗を分けるゲーム設計であるため、年長・大人のプレイヤーにとっても遊びごたえがある。
    • ドライブモードでは、一般的なレースゲームと同様のテクニックが要求される。繰り返し練習してドライビングテクニックを身につけ、コースを憶える必要がある。
      バトルモードでは互いの戦略と戦術が勝敗を分ける。「このとおりに操作すれば必ず勝てる」というヒントなどはなく、相手の選ぶ技を読みきることが重要になる。
      対CPU戦では、敵は行動にクセやパターンを持っているので、これを熟知すれば戦いを優位に進められる。また対人戦では「わざと特定属性のバーストアタックに弱いチーム編成にして、相手のバーストアタックを誘ってカウンターバーストで返す」「レースモードで負けたからカウンターバーストを多めに入れて一発逆転を狙う VS それを見越してノーマルアタック中心で攻める」などといった心理戦が展開されることになる。
    • レアリティの高いカードが絶対ではないバランス。本作はマシンの強さとカードのレアリティとの相関性がそれほど高くない。同じ車種が複数のレアリティに存在することもあるが、大抵は属性攻撃への耐性(および車体色)が違うだけで、ステータス値は同一である。
      したがって、レアリティの高いカードを多数集めるよりも、明確な戦法を踏まえたチーム構成(相手を雷属性に弱くするマシン+雷属性の技を持つマシンの組合せ等)を考えたり、先述した組み合わせボーナスを取得する方が重要となる。そのためレアリティの低いカードだけでも十分に戦える。
      • 児童向けTCAGは「強力なカードをたくさん持っている者が勝つ」「希少なレアカードを多数集めないと真剣勝負の場に立つことすらできない」といった物が多いのだが、本作はそのような傾向が薄い。歴史が浅く総カード枚数が少ないため、強デッキのトレンドがまだ固定化されていないから、といった要因もあるのだが。

問題点

筐体構造による問題

  • ショッピングセンターや大型電器店にも設置できるように、小ぶりでコンパクトな設計となっている(それでも他の筐体よりは大きめだが)。コクピット型をしていないため「レースゲームとしての臨場感」ではさすがに見劣りする。
  • 椅子は店側で別途用意しなければならないため、椅子を置いていない店では大人には遊びづらい(体格によっては小学生でも苦しい)。体格の小さな子供には、むしろ遊びやすいのだろうが。
    • 逆に店舗によってはめちゃくちゃ豪華な椅子があったりなかったりした。
  • スペースの都合上、斜めを向けて並べられたり、壁に向かって横一列に並べられたりする。従って、 相手の手が見えてしまう 。これでは、後出しじゃんけんである。
  • 「2台接続時、起動時の通信エラーが頻発する」、「ゲーム終了時、ダッシュボードが自動で閉じずに開きっぱなしになる」といった筐体の不具合が現在確認されている。
    • 隣の台がカード切れを起こしたのに自分の台がエラー落ちしたことも…しかもカードの補充が優先されるので長時間待たされる。
  • アクセルを緩める操作ができないため、コーナリングに独特の感覚とテクニックが要求される。レースゲーム経験者でも最初は戸惑う。
    • 減速してグリップ状態で曲がることが難しいので、ほとんどのコーナーをドリフトで走破することになる。
      • しかし悪いことばかりではなく、ひとたびコツを掴めばなかなか気持ちが良い。また、フットペダルがないという点は、逆に今までレースゲームの経験がなかったプレイヤーとっては遊びやすいのかも知れない。
      • イメージとしては常時アクセルがオンのリッジレーサーのような挙動…と言えばわかりやすいだろうか?(ブレーキをかけてドリフトする感じ)
    • 第3弾より「ドライブゲームだけをプレイする」「バトルゲームだけをプレイする」のモードが加わり、「レースは苦手だからバトルで遊ぶ」ということができるようになった。
  • オンライン対戦機能が実装されていないため、対戦プレイは2台の筐体をLANケーブルで繋ぐ必要がある。1台しか導入していないお店では対CPU戦しか遊べない。
    • Wi-Fi通信機能は搭載されているが、イベント告知等の案内等に機能が限定されていた。

児童層に対する配慮とアピール力の不足

  • 高いプレイヤースキルが要求されるゲームなのに、児童層への配慮が薄く、ハードルの高いゲームになっているという批判がある。特にドライブモードとそのチュートリアルに関しては大いに問題がある。
    • 「練習コース」が実装されたのは第1弾にバージョンアップされてからであり、第0弾の時点ではなかった。
    • 「遊び方をおぼえる」では「初心者にはエコタイプがおすすめ」ということを教えてくれない。アニメの主役メカであるスポーツタイプのライバードなどを初回プレイに選んだら、ろくにコーナーも曲がれず、わけがわからないまま終わってしまうこともある。
      • ドリフトをする方法は教えてくれるが、「早めにカウンターステアを取る」、「ドリフト中にブーストを使用するとドリフト状態が強制終了する」といったテクニックまでは教えてくれない。これを知らないと壁に連続でぶつかってピンボール状態となってしまう。
        そもそも児童の中には「カウンターステア」という言葉や概念すら教えてもらわないとわからない子も多いのではないだろうか。
    • ただし、後のアップデートで「ドライブモードのAIサポート」という要素を導入。レースゲームが苦手な人でも楽しみやすくなった。
    • そもそも、「努力や練習が勝敗を分けるゲーム内容がすでに児童向けではない」という指摘もある。「あまり小難しいことを要求せずに、お金の力でレアカードをかき集め、それを並べるだけで勝てるようなゲームの方が、児童層へのアピール力は高い」と言うのだ。
      極論のようにも聞こえるが、他社の高インカムTACGの人気の理由を考えると、あながち間違っていると言い切ることもできない。
    • アニメや玩具も同じ問題が散見される。ゲームから話が逸れるので詳しくは余談に。

ゲームシステム・バランス面

  • カードデザインからマシンのタイプを判断しにくい。マシンタイプはカードの四隅の色で判別できるのだが、エコタイプは緑、ワゴンタイプは赤っぽい茶色、セダンタイプは黒っぽい灰色、スポーツタイプは黒っぽい灰色にカーボンシート風の模様となっている。
    また「旧車コレクション」と呼ばれるシリーズと、筐体から排出されないプロモーションカードは、マシンの種類にかかわらず全て赤っぽい茶色にカーボンシート風の模様となっている。
  • マシンの車体色に見分けづらい物がある。どう見ても赤い「ロードスターRS(カッパーレッドマイカ)」が「ゴールド」に属している。また「プリウスα G(クリアーストームメタリック)」は、カードでは白あるいは銀色に見えるが、実際は「ブルー」である。
    • 第2弾以降のカードデザインでは、マシンタイプや車体色分類が明記されて判別しやすくなっている。
  • スペシャルカードが手に入りにくい。スペシャルカードはすべて「ウルトラプレミアム(UP)」か「プレミアム(P)」のレアリティに属しており、このレアリティのカードは筐体から排出される確率が極めて低い。「一枚も持っていないより、どんな種類の物でも一枚持っていた方が確実に有利」という性質の物なのだが、そのたった一枚を手に入れるだけでも苦労させられる(1パック200枚中に1~2枚)。
    • ただし、スペシャルカードは雑誌やマンガ版単行本に付録としてついていたり、「マシンカード下取りキャンペーン*5」でも手に入る。これらの方法で入手するのが良いだろう。
      • 「下取りキャンペーン」の2回目が告知されたのだが諸事情により中止になってしまった。以降の予定は無いまま筐体の稼動終了を迎えることとなった。
  • レースやる意味がない
    • ENをそれなりに消費してゴールするより、エコタイプでEN満タンでのろのろ走ってゴールし、 通常攻撃*6を2ターンやってゲージをためてオーバードライヴをする というのが圧倒的に強かった。
      相手を一分以上待たせて 確実に勝とう!…宮本武蔵気取りか?早く着いた場合のボーナス(あるいは遅い場合のペナルティ)をもっと増やすべきであった。
  • マイクマン関がうるさ過ぎた
    • このゲームのある意味最大の特徴で、かつ最大の欠点。
      攻撃ごとにそれぞれ異なるセリフを喋ってくれて本当に賑やかで楽しいのだが、裏を返せば…当たり前ながら同じ攻撃では毎回同じ。そして声がうるさい。本当にうるさい。BGMどころか効果音すら聞こえないレベルって
      • 新1弾辺りから設定でオフにされたのか削除されたのか、ゲーセンで声を聴くことはなくなった…。

総評

独創的で遊びごたえのあるゲーム内容が高評価を受けている作品。
基本的には児童向けのゲームなのだが、プレイヤースキルが勝負を分ける優れたゲーム性と、実在の車が多数登場するという要素のため、中高生や大人のプレイヤーも多く見られる。親子二代で楽しんでいる例も見受けられる。
稼働開始当初は「レースゲーム未経験者にとってハードルが高い」「淡々と戦うだけの内容でストーリー性に乏しい」という欠点が指摘されていたが、度々のアップデートによって改善されている。

  • ドライバーズIDカードや専用カードケースは、カケル少年とロボット形態のライバードが描かれた物と、漆黒の背景に車両形態のライバードが描かれた物の2種類が用意されており、後者は大人が所持していても違和感が少ないデザインである。この点からも、本作が大人のプレイヤーをも視野に入れて企画されていることが窺える。

余談

アニメ版について

2012年10月よりテレビ東京系列でアニメが一年間放送された。

  • 一応低年齢層向けになっているが、いわゆる「大きなお友達」に媚びるかの様な要素が散見、狙っている年齢層のギャップがある。まあ喜んでるファンも多いが。
    • 監督曰く、コンセプトは「ギャグ」「ちょいエロ」「真剣バトル」とのこと。ちょいエロ……?
      • ちょいエロは大きなお友達*7には嬉しいが、メインターゲットである児童及びその保護者にはあまり歓迎されない。一々エロが挟まれば視聴しにくかったり、友人との話題に出しにくい児童もいたのではなかろうか。
      • 監督は『銀魂』の他『勇者ロボ』シリーズにも携わった高松信司氏であり、見方によってはスラップスティックものを得意とする氏の作風とも取れる。
    • 実は原作のSPカードにもその趣向が見られ、「水着ver」なるカードがある。効果は同名カードと同じだが女性キャラクターがアニメ版の水着を着ているイラストがプリントされている。
      • この水着verは排出されるカードなのだがレアリティは2番目に出辛いP(プレミアム)なのに排出率は100枚に1枚というUP(ウルトラプレミアム)並。排出率と描かれているイラストの関係で取引価格もUP並。
      • 水着verが用意されているのはりんね沙斗理(さとり)、結華、光(きらり)の4人。尚、りんねは12歳の中学校1年生*8である。
  • 実車の扱い(ロボット形態)が雑であった。プリウスアルファは1戦目(第3話)で壊れてからずっと修理中(それでオリジナルカーに乗り換え)、他の自動車もGT-RもしくはZ34(中盤で同一人物が乗り換え)以外は敵役(光岡系)だけ、それ以外は基本的に雑魚扱いでハッキングされて暴走したりすることもあった。主人公は言うに及ばず、その他の仲間も敵もオリジナルの車種ばかりを使う。どこかの説明には「君の家の車も出るかも」とあったはずだが……。
  • さらに公式Twitterの悪ノリが激しい事でも知られ、原作公式から警告を喰らったほど。詳しくはこちら。
    • 中には露骨な下ネタまで投稿されていたが、アニメ版ツイッターアカウントは担当が替わることなく最終回まで続いた。
  • こうした事情から児童向け販促アニメとしては手放しに褒められないものの、「第二のターゲット」ともいえる大きなお友達からは概ね好評を得ていた。
    • 原作もそうだが恐らく大人も楽しめる様に作られた結果なのだろう。実際後述のフィギュアを含めお色気を歓迎しているファンも居る。
    • むしろ「インカムで苦戦していた本家本元のゲーム版や、チープな玩具が足を引っ張っていた」と評する者もいるほど。玩具については後述。

玩具について

バンダイより変形する玩具も発売されたのだが、残念ながら不評であった。

  • 元々ジャイロゼッターは、玩具化を前提とした完全変形可能なデザインではない*9こともあって設計上の無理が生じており、変形玩具としての出来はお菓子コーナーのおまけが大きくなったとしか表しようがなく、評価は芳しくない。
    • 簡単な変形しかできない、変形工程がほぼ同じ、塗装はほんの一部など。これで300円程度なら許されたかもしれないが、価格設定も高めで、トミカサイズのプラスチック製ミニカーでなんと800円。普通のミニカー2、3台と同等の値段*10だが、付加価値も同等かと言われると……?
      • 簡単すぎる変形について詳細に説明すると「ロボットの上から車のガワを文字通り被せただけ」であり、変形の際に丸々取り外す仕様は悪い意味で話題になった。
    • ただし自動車としての形状の再限度は悪くなかった*11。また、さすがにタイヤは装着されており、見た目(ピン打ち)と引き換えによく回転した。
      • 要するに、その辺りはミニカー等の実写モデルで当然事足りる上に、変形機構があるという事は少なからず見た目を損なっているという事でもあるので…。
  • 変形玩具・ロボット玩具の雄であるトランスフォーマー戦隊ロボ、同時期*12に展開が始まったダイヤロボ*13(安価かつ価格相応の出来映え*14)等、かち合うブランドが多かったのもまずかった。
  • 結局、アニメは1年間続いたのに玩具の展開は半年で終了してしまった。やはりセールスは振るわなかった模様である。
    • ちなみにりんねと累のフィギュアがメガハウスより2013年10月に発売されている。
      • 初回購入特典や店舗限定予約特典にカードが付くのだが、これが「水着ver」と同じく狙い所が不明瞭なデザイン*15。アニメ終了時期に発売するのだから子供へのアピールは終わっているのだろうが……。
    • 高年齢層向けのロボット玩具に「ROBOT魂」や「DX超合金」というブランドもあるのだが、そちらではなぜか商品化されなかった。
  • これらの玩具の件をもって「ジャイロゼッターは玩具が売れなかったから成功しなかった」と発言する者もいるが、これは玩具の出来の悪さや、本作の主な収入源がアーケードゲームであることを認識していないことによる誤解。
    • トランスフォーマーやスーパー戦隊は玩具が主力商品の一つであり、その玩具にちゃんと力を入れているので本作は事情が違う。
    • ロボットアニメはかつて児童向けのロボット玩具で利益を得るビジネスモデルが主流であったうえ、現在でも低年齢層(児童)向け番組は「玩具の宣伝」として制作される傾向が強いため、このような誤解が生まれてしまう。
    • また、「ロボット物である事が足を引っ張った」といった意見も見られるが、これもやはり誤りである。

その他

  • 『最強ジャンプ』誌にマンガ版が連載(漫画 水野輝昭 原案・監修 市村龍太郎)。主人公と乗るロボット(主人公機)はアニメ版と同じ。
    • 登場人物や話の大枠はアニメと一緒ではあるが、ストーリーは別物。アニメ版ではラスボスと思われていた人物の背後に黒幕がいたが、マンガ版では逆にそのラスボスが黒幕だった人物を操っているという展開になっている。
    • 単行本にはオマケのカードが付いていたが、稼働終了が発表された後に発売された6巻と7巻には付いていない。
  • その独創的なゲーム性故にインカムは伸び悩んでいるようで2013年に入ってからは徐々に稼動店舗を減少させていた。
  • 2013年11月8日稼動の新3弾が最終アップデートとなり、2014年2月2日をもって正式稼働終了となった*16。以降、各店舗より筐体の撤去が進み現存していない。
    • 末期には筐体の部品も販売されたとのこと。
  • 3DSにて本作の外伝作品『超速変形ジャイロゼッター アルバロスの翼』が発売。アニメ版と連動したストーリーとなっている。
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  • タイトー
  • TCAG

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最終更新:2024年04月07日 19:00

*1 本田技研工業株式会社は「イメージに合わないから」との理由で不参加。

*2 稼働当初(第0弾)の頃始めた場合は、第1弾のカードのバージョン違いと1枚とセットで配布された。

*3 アニメ版主人公準拠だと「ゼツボー的にカッケー」。「ゼツボー的」は「(肯定的な意味で)凄い」と言う意味の主人公の口癖だが、毎回ヒロインから「使い方が間違っている」とツッコミを受けている。

*4 ただし大人(40代)は大人で『超電磁ロボ コンバトラーV』の操縦桿を思い出すかもしれない。

*5 メーカーに不要カードを10~30枚送付すると、リストアップされたプロモーションカードの中から希望の物がもらえるというキャンペーン。DMB同様、不定期に実施される予定であった…が。実際には1回しかなかった。

*6 カウンターされずに確実にゲージをためるため

*7 児童向けアニメを愛好する青年以上のオタク層。

*8 関連書籍によっては“11歳”となっているが……ひょっとして飛び級なのだろうか。

*9 デザイナー各氏に「完全変形しなくても構わないので、自由にデザインしてください。」と発注されたとの事。しかしマクロスシリーズで知られる河森正治氏だけは完全変形可能なデザインを仕上げてきたという。“さすが”である。

*10 参考までに、2012年当時のトミカのメーカー希望小売価格(いわゆる定価)は360円(※2014年に450円に値上げされている)、実売300円程度(当時のヨドバシ価格、廃盤の近い(かつ地味な)車種などはよく200円になっていた)。なお、トミカはダイキャスト(金属製)であり、一般に、プラスチック製ミニカーは精密な模型(細かいパーツが作れる)か、走行モデル(チョロQ等)向けである…要するに精密な模型でない限り同じ形でもやや安っぽく見える(と、考えられがち。特に無塗装の場合。)。

*11 ミニカーでは実車との見え方の違いや部品強度を考慮して大きさなどを変える場合があるが概ね正確だった

*12 ジャイロゼッターの一部店舗での第0弾先行稼働が2012年6月21日、爆速救命ダイヤロボ第1弾発売が2012年8月10日で780円(※1種類600円のものあり)、ジャイロゼッターのおもちゃの発売日は‎2012年10月2日で(モーフィンミニカーシリーズは)880円、ジャイロゼッターは1/64、ダイヤロボは1/54。

*13 正式名称:爆速救命ダイヤロボ

*14 ジャイロゼッターはボディ未塗装(細かい彩色の実)、ヘッドライト塗装。ダイヤロボはボディ塗装済み、ヘッドライトクリアパーツ。

*15 ゲームでも使えるカードは累が全裸でのシャワーシーン、りんねが体操着ブルマー。ポストカードは累がほぼ裸のシャツ1枚、りんねがスクール水着。フィギュアに至っては衣服が外せる、と完全に大人向け仕様である。

*16 一応、3月頃までは稼働している店舗があったようである。