ヴォルフィード

【ゔぉるふぃーど】

ジャンル 陣取りパズル


対応機種 アーケード
発売・開発元 タイトー
稼動開始日 1989年7月
配信 アーケードアーカイブス
【Switch/PS4】2024年3月28日
Switch:838円/PS4:837円(税込)
判定 良作


概要

  • 『QIX』と同じタイトー制作の陣取りゲーム。
    • 陣取りゲームの基本ルールは「フィールド上で自機を動かして陣地を占領し、一定割合以上の領域を確保するとクリア」というもの。
    • 自機は最初はフィールドエリアの外周4辺の上しか移動できないが、ボタンを押しながら画面内に向かって移動させると軌跡上にラインが引かれ、そのラインで領域を切り取るとそこを占領する事ができる。
    • 自機はラインを引いている間以外はバリアを展開していて、敵と接触してもミスにならない。ただし、時間が経過するとバリアの通じない敵などが湧いてくるため、いつまでも安全ではいられない。
  • 『QIX』は抽象的でテーマ性の見えにくいアブストラクトゲームとして完成されていたが、『ヴォルフィード』はそれとほぼ同じルールを踏襲しつつ、SF設定などを付加させて世界観に奥行きを持たせている。また、ボスに個性を持たせ、様々な姿や攻撃方法でプレイヤーを楽しませる工夫がこらされている。

特徴

  • グラフィック演出が向上し、全16ステージにそれぞれ異なる大型のボス敵が1体(+ボスの縮小版のような姿をした雑魚が数匹)ずつ存在する。ボスは一定時間動くとしばらく静止して弾を撃ってくる。
    • ボスは見た目だけでなく、動きも攻撃方法も独自のものを持っている。
    • フィールドを自機のラインで分断した場合「ボスのいない側」を占領できる、と覚えておくとよい。
  • 『QIX』では、ラインを引く際の速度を高速・低速の2種類(それぞれ領域獲得時のスコアが異なる)から選べたが、本作の自機の速度は1種類のみ。
  • エネルギーブロックが出現している時に陣地で囲むと、アイテムが出現する事がある。
  • 自機の引いたラインに敵が接触してもすぐにはミスにならず、接触部分から発生したスパークに当たった時にミスとなる。

スコア稼ぎについて

  • 占領した陣地の割合が画面全体に対して99.9%に近づくほど、クリアボーナスは高得点になる。
    • ボスのサイズが大きいので一見すると99.9%など無理に思えるが、ボスのサイズは動ける領域の広さに合わせて小さくなっていく。少しずつ狭めていけば、残り0.1%に収まるサイズまで小さくなる。
  • ザコをまとめて倒すと高得点。上記と合わせると、ボスとザコを上手く分離してからボスを狭い領域に閉じ込めてクリアすれば得点は大きくなる。
  • アイテムによる攻撃でボスを破壊すると10万点。
  • 最初に引いたライン1本で20%以内の領域にボスを閉じ込める事に成功すると、特別ボーナス100万点が入る。
    • ラインに敵が触れても即死せず、ボスが瞬間的に隙を見せるという本作の仕様ならではの稼ぎ方と言える。
    • ボスがどのように動き、どのタイミングでどの位置に止まるかを把握しないと実行不能だが、パターンさえ確立すれば実は最も効率よくスピーディにクリアできる方法でもある。
      • ただし、ボスの動きは自機との位置関係にある程度左右されるため、一口にパターン化と言ってもただ待ってればいいというほど簡単な話ではない。
    • ちなみに一発囲みを積極的に狙った場合だと、スコアが7桁しかないのでほぼ半分の面で一発囲みに成功した時点でカウンターストップになる。また、一回も一発囲みを行わずにカウンターストップを達成することも可能。
  • ステージ16のみ、一発クリアの成否に関わらずクリアした時点で100万点。
  • 設定にもよるが2万/4万/12万/48万でエクステンドして行くため、コンテニューが出来ない仕様上スコアを稼ぐ事は攻略に直結する。

評価点

  • 点稼ぎが熱い。
    • スコアは稼ぎ方の難易度が高いほど指数関数的に上がっていくため、苦労が数字に反映される。
  • 攻略自体も熱い。
    • ボスの動きや攻撃がステージごとに変わり、同じ陣取りルールでも戦略性が異なってくる。
    • ぐりぐり動いては止まってドカンと弾を放つ緩急あるボスの動きと、細かく動き続けるザコの動きの絡み方も、シンプルなルールの上に一筋縄でいかない歯応えを持たせている。
  • 見た目が華やか。
    • 陣取りゲームはだいたい地味路線になりがちだが、その中ではハデな方。生物をモチーフにした機械的なデザインのボスたちも印象的である。さすがにお色気路線には勝てないが。

問題点

  • サウンドが少なく、無機質な環境音の中でのプレイが大半となる。見た目は華やかだが、こっちは徹底的に地味。
    • その代わり、どこか不安さを感じさせるバリア展開中や、一気に緊張感が走る線を引いている間の音、見た目と同じく個性的な各ボスの攻撃音など、効果音周りは出来が良い。スタッフロールを見るに、本作の音響を担当したのはOGRこと小倉久佳氏。
  • コンティニューがない。そのため、先のステージを見るには「頑張る」以外に方法がない。
  • ボスの動きは基板によって2パターンあるらしく、一方で通じた攻略法が他方で通じないという事態が起こりうる。
  • 4方向レバー式。そのため、ちゃんと取り扱い説明書を読まずに他のゲームと同じように8方向レバーのまま稼働させてしまうと、斜め入力では自機が止まってしまうためゲームにならない。
  • スコアの桁数が足りない。ボス1発囲み100万点の膨大なボーナスがあるにもかかわらずスコアの上限が9,999,999点であるため、ボス1発囲みを10回決めるとカンストしてしまう。
    • その結果、雑誌上でのスコア集計で初回の時点でスコアカンスト達成者が続出し、スコア集計が打ち切られる事態になった。

総評

陣取りゲームは地味だ。その地味さの範囲内で、スコア稼ぎや個性的なボス敵といったマニアックな華やかさを盛り込み、ゲーマーのためのゲームとしての完成度を上げて生まれ変わったのが本作である。
「面白い地味ゲー」とは得体の知れない魅力や中毒性を持っているものだが、本作がまさにそれであり、純粋にゲームとしての面白さ一本勝負でも名作と呼ばれるほどの存在感を放っている。『QIX』の派生でありながら、オリジナルを超えたと言っていいだろう。



その他

  • PCEやMDにアレンジ移植版が出ている。
    • アーケード版と違い、引いたラインに敵が触れると即アウトになる。また、触れなくても、完成させない状態で長時間経つとスパークが発生して追ってくる仕組みに変更されている。
    • また、ステージが全40ラウンドに大幅増加。
      • MD版はオプションでミス条件等のルールをAC版ベース・PCE版ベース・『QIX』ベースの3種類から選択可能。
  • FM TOWNS版はCD-DAによるBGMが追加されていたり、フィールドの外に占拠状況がドット単位で表示される等のガジェットが追加されていたりする。
  • PS『SIMPLE1500シリーズ Vol.80 THE 陣取り』として家庭用移植された他、PS2『タイトーメモリーズII 下巻』に収録されている。
  • 2024年3月28日に『アーケードアーカイブス』(ハムスター)シリーズの1作品としてPS4、Switch向けに配信。
    • OLDとNEWの2バージョン収録のほか、こだわり設定でスコアカンストの上限設定*1、モニター画面反転時での敵の挙動変化の再現、プレイ中のバージョン及びこだわり設定情報の表示が設定可能。

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最終更新:2024年03月28日 22:36

*1 デフォルト状態ではアーケード版から上限が引き上げられており、設定をONにすることでアーケード版と同じ上限になる。