実況パワフルプロ野球11

【じっきょうぱわふるぷろやきゅういれぶん】

ジャンル スポーツゲーム(野球)





対応機種 プレイステーション2
ニンテンドーゲームキューブ
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテインメントスタジオ
(パワプロプロダクション)
発売日 2004年7月15日
超決定版:2004年12月16日
定価 7,329円(税込)
レーティング CERO:全年齢対象
判定 良作
ポイント ミート打ちが大幅強化
サクセスは第二世代キャラの大学編
発売当時では分かりづらい複雑なストーリー
異常な強さを誇る「全国大会」の清本
更に進化した「マイライフ」、奥居が初登場
実況パワフルプロ野球シリーズ


概要

言わずと知れた人気野球ゲームの11作目。PS2シリーズにおける5作目。
大阪近鉄バファローズ、オリックス・ブルーウェーブ、福岡ダイエーホークスが登場する最後のパワプロとなった。

超決定版では、対決!伝説選手やサクセスでの栄光学院大学などが追加されている。

本作の特徴

  • OPは京都アニメーションによるもの。ちなみに、本作が最後の京アニOPとなった。
    • 本作のオープニングムービーはマイライフにフォーカスを当てたものとなっている。
  • 野球パートでは主に打撃部分に大きな調整が加えられた。
    • ミート打ちの強化。芯に近い部分で打てば弾道に補正がかかり、よりヒット性の打球が飛ぶようになった。
    • 従来作では強い打球を飛ばすためには早いタイミングのスイングで引っ張ることが大前提であった。
      しかし今作では、内角の投球は引っ張り、外角の投球は流し打ちと、投球コースによって最適な打球方向を選ばないと遠くに飛ばせなくなった。
      • 外角の投球を強引に引っ張っても滅多にホームランにならなくなった。
    • バントについてもパワーアップしており、投球直後にバントを構えるとセーフティバント、強振状態でバントするとプッシュバントになるなど、これまでよりも違いがハッキリと分かるようになった。
    • また投球後にバットを引くとバスター打法に切り替わるようになった。
  • 打ち込まれてピヨり状態に陥っている投手が更に失点を重ねるとノックアウト状態になる。
    • 一度ノックアウト状態になってしまえば球速の低下や失投率の上昇などの逆補正が強烈にかかり、その試合中は回復することはない。すぐに投手交代する他ない。
  • 今回のサクセスは1か月の朝・昼・夕方で行動を決めるのが基本となり、従来の週1回行動・毎月4週と比べターン数が減ったが、その分1回の練習当たりでもらえる経験点は多くなった。ただし帝王大学では状況次第で1ヶ月4回に増える事がある。
  • 『6』の所持金システムが再登場。様々なアイテムを買うことが可能に。
  • PS2版はHDDに対応。また超決定版ではパワプロ通信モードを使える。
    • サクセスモードで作成した選手をアップロード・ダウンロードしてやり取りできた。現在はサービス終了。

評価点

第二世代のサクセスモード

  • 本作は今までの猪狩・あおい・阿畑らの世代から、前作『10』に登場した友沢・みずきなどの新世代*1へと本格的に世代交代。ここからは清本や久遠など数々の新キャラも登場していく。
    • 矢部については主人公の同級生として継続して登場。
    • 友沢・みずきたちの第二世代は前作の高卒ルーキーとしてプロ入りしている展開が正史であるが、本作は大学編のため従来通りに高卒プロ入りを果たせず大学に進学した世界観で始まる。
    • 後の『パワプロ13』では本作に繋がると思われる別ルートも存在している。こちらの作品も踏まえると、本作『11』は『10』と大きくキャラなどの関係性が違っている事が理解しやすい。
    • パラレルワールドではあるが以降の作品にこちらの世界観が全く関係してこないわけではなく、その後発売された『パワプロ2020』にイレブン工科大学が登場していたりとあくまで別ルートとして存在しているようである。
+ サクセスシナリオ一覧
  • 「パワフル大学」はお馴染み初心者向けパワフルで癖のない大学。『6』から大学リーグが移動した。
    • 本作はチーム成績で「弱小」から「普通」「強豪」になる。一度成り上がると次にプレイした時も「普通」「強豪」で始まる事がある。
      • 開幕版は強豪から普通に落ちやすいが、超決定版は強豪を維持しやすくなった。
    • 継承選手も多く、攻略本でも繰り返しプレイを前提にしている事を語っている。後述の全日本は継承が多いと楽になるので、パワフルを周回プレイするのも戦略の一つ。
    • 『6』『99』『9』のパワフル系は癖はないが強い選手が作りにくく『10』のパワフルは強い選手は作られるが癖が強かったのだが、本作はパワフルは癖のなく強い選手が作りやすいことが好評。
      • 決定版では「リリース○」という強力な特殊能力が簡単にとれるようになり、投手育成の効率がよくなった。
      • マネージャーの小田谷加奈(おだや かな)は付き合いやすく、メリットは野手ではそれなりだが、投手ではクリスマスに「逃げ球」というレア特能がもらえ、クリア時では球速+1されるのでメリットもデカい。
      • 「普通」だと早川あおいが監督に就任、「強豪」だと阿畑がコーチをしてくれる。
  • 「帝王大学」は『6』『9』で山口が在籍していたライバル校。現在は友沢などが在籍している。
    • ランキングシステムでチーム内競争を煽っており、投手・捕手・内野手・外野手で四天王を置いている。主人公も四天王になれば練習効率が非常に上がる。
    • 自主トレを思いつけば次回以降に持ち越される。
      • 2周目以降は、友沢の自主練が監督に糾弾されるイベントが発生。ここで主人公が抗議をした場合は主人公が退部させられ、矢部や過去に退部させられた下井先輩と共に第2野球部を作り、廃部を賭けた紅白試合を挑む事になる。
      • 紅白試合に勝つと野球部のメンバーが野球をする楽しさを思い出し、監督も改心、一致団結して真・帝王大学野球部になるという熱い展開になる。
      • 通常ルートだと継承選手は出ないが、真ルートだと第二野球部を作った時点で継承選手が登場する事がある。また真ルートだと試験がなくなるほか、友沢や継承選手との友情タッグ練習も使える。
      • しかし通常ルートではリスクが大きい代わりに四天王を維持できれば強い選手を作りやすく、真ルートは紅白試合の敗戦でゲームオーバーのリスクがある。一長一短なのも好評。
      • ただ、通常ルートでは四天王になるとデートができなくなる(行うと監督からペナルティを喰らいやる気と体力がかなり下がる可能性もある)ため、彼女が欲しいなら(いくら付き合いやすいカレンでも)真ルート一択となる。
    • マネージャーは我間摩夕(わがま まゆ)。外見はピンクロングのお嬢様なのだが、名前通りわがままで奢らせてくる金食い虫。その上でリターンもパワフルマネージャーの加奈と大差ないというハイリスクローリターン彼女。
      • 他の大学だと出会ったとたんに恋に落ちるため、人によっては交通事故・畜生・顔がいいだけの荒井紀香(パワポケ)と呼ばれることがある。
      • 一応チンチロリンなどでお金を溜めて交際して行けばデレて可愛らしい所を見せるのは救い。ただ、ほぼ毎月デートしなければならないため、そんなことをするくらいならデート代は全て摩夕に奢らせて不眠症・弱気になってでもさっさと破局したほうが良い。
  • イレブン工科大学は、サッカーで有名な理系大学。橘みずきが登場。期末テストが大事な所謂「官僚大学」系。
    • サッカー部とグラウンドの割り当てをじゃんけんで争ったり、練習器材を強化したりできる。練習器材はランダムで持ちこせる。
    • 工科大学のためグラウンドの狭さからも判るように運動部の扱いが良くはないので、サッカー部とは互いに協力しあう仲。
      • サッカー部のメンバーが野球部に助っ人に入るし、逆に野球部がサッカー部の助っ人もやらされる。
    • じゃんけんが重要なので運が絡むサクセスだが、練習で入る経験点は多くハマれば十分強い選手が作れる。
      • 本作のみずきは『10』と違って明るい一面が大きく強調*2され、主人公を振り回してくる。早川あおいの事は以前から知っており、彼女を慕っている設定となった。
      • 『11』がパラレルである事やシリーズの内容を理解すれば彼女の変わりようは特に不自然ではないが、プレイヤーの中には急な性格の変化で戸惑った人も多かった。
      • マネージャーは自称エリートの元気娘、伊東絵里。他の2大学のマネージャーよりリターンが大きい。何故かみずきとの絡みはない。
  • 栄光学院大学は「超決定版」で追加された。元はライバルチーム。
    • 紅白試合が多い代わりに公式戦は4年秋しか出られない。部員の浮き沈みが激しい。
    • 久遠ヒカルは友沢の元後輩で顔はいいのだが、実は弱い。控えの投手の方が遥かに強く、「何故、清本を抑えられた」「そもそもなんでこいつが先発なんだ」とネタで言われる事がある*3
      • 赤得能のせいか13ではよく炎上を起こし「炎上三兄弟次男」と言われている始末。
    • マネージャーは男が担当し付き合うことはできない。イベントで主人公にクイズを出してくる。
  • そして全日本編。日本代表の一員として世界に挑む。チームメイトは友沢・みずき・矢部の他、猪狩兄弟や日下部、一文字、福家、半田、鷹野、神童、一ノ瀬、二宮など懐かしのキャラが盛りだくさん。
    • 選手としては登場しないが一ノ瀬や二宮以外のあかつきナインの後日談も語られている。
    • 比較的今までの試合進行型に近いサクセスだが、日数は短いものの練習の要素がある。他キャラとの友情タッグが強い選手を育成する鍵を握る。
    • オリジナル選手もこっそり参加。継承登録にかかわらずメモリーカードに保存されていれば登場し、ただでさえ強い過去キャラオールスターと共に大正義打線を組める。
    • ミッキーやバンガード、マイルマン、ゴメスといった過去作の外人キャラもライバルチームに登場する。
  • 色々とシステムが変更されており、初心者でもプレイしやすくなっている。
    • ルーキーのお守りは購入アイテムとなり、全シナリオで使用可能に。
    • キャプテンの全操作が今まで7回以降であったが、本作は8回以降から始まるように改善された。
      • これによりサクセスの1選手あたりのプレイ時間が減少し、テンポが向上した。
    • 投手サクセスにおいて非キャプテン時の投球操作はビハインド時でもランナーが出れば操作できるようになった。
      • これによりオート操作による自動失点が減った。
  • 本作は「ナイスお助けシステム」が追加され、NPC・彼女候補マネージャー・スカウトの影山さん・野球仙人が居る所で練習すると手助けしてくれたりする。
    • マネージャーが彼女だと空気を読まず主人公を応援してくれてLOVEパワーという状態になる。この時は月が変わるまでやる気が絶好調から下がらず練習効率も上がる。
  • GC版パワプロはパワポケのパスワードに対応しているのは常だが、本作はパワポケで彼女と交際する事で得られる「超特殊能力」に対応しているパワプロになっている。
    • 他に超特殊能力に対応しているパワプロはN64の『2001Basic』と『パワプロNEXT』のみ。
    • ちなみに本作と同時期なパワポケは『7』。
  • ペナントはドラフト1位指名にくじ引きが導入、FAに海外移籍の志望パターンが追加、海外留学でパワーアップさせることが出来るなど更に進化した。
  • エラー回避は今まで隠し能力だったが、本作からは表示されるようになりサクセス中に他の能力と同じように経験値で上昇できるようになった*4

大幅に進化したマイライフ

  • マイライフが大幅に進化し、独立したモードに。キャラメイクは2つの長所と1つの欠点を設定しなければいけなくなった。
  • 難易度はごくらく・ごくふつう・ごくあくから選べる。
    • 他球団からマークされれば難易度が上がるようになった。逆に成績が落ちれば難易度が下がるようにもなった。
  • マイライフ独自の相棒・奥居が登場。上手く育ってくれれば頼りになる仲間となる。
  • 趣味・交友関係が追加された。チームメイトやライバル、セールスマンやトレーナー、彼女候補と交友関係を結ぶことができる。
    • 決定版では追加彼女候補として奥居の妹の「まりん」が登場する。
  • ゴルフや釣り、ラジコン、オシャレなどの趣味スキルが追加された。
  • オープン戦の結果とドラフト順位が良ければルーキーズイヤーの開幕一軍が出来るようになった。
  • サクセス選手が使えるようになったが、本作は「水晶」というアイテムが必要。
  • 交友関係や趣味スキルの登場によって野球以外の面白さが増し、まさに人生を体験できるモードへと大幅に進化した。
  • 対決!伝説選手(決定版)
    • プロ野球のOB達と対決し、勝利するとOB選手が使えるようになるというモード。
    • 今まで単なるおまけであったOB選手がゲームモードに取り組みこまれていて、非常に面白いゲームとなっている。
    • 著名な選手からいぶし銀の選手まで網羅されており、実況の分かりやすい紹介も相まってプロ野球の歴史をプレイしながら学ぶことできる。

賛否両論点

  • 全体的な試合数が減ったため、試合に勝つだけではスカウトの評価を上げにくくなった。
    • その代わりスカウトが頻繁に練習を見に来るようになった。そのため本作はクリアしたいなら試合よりも練習の方が重要視されている作りになっており、従来の仕様とはかなり違っている。
    • 例外として帝王大学は従来通りの仕様に近く、試合に勝たなければスカウトの評価が上がりにくい。
  • 一部の野手ライバルが「一緒や!どこへ投げても!」と言わんばかりにストライクゾーンに入った球を打ちこんでくる。特に友沢、バンガード、男木、清本などに顕著。
    • 対戦相手として出てくる「西強大学」は特に強豪で、4番の清本和重はシナリオへの関わりは少ないものの圧倒的打撃力でスタンド入り・ホームランをぶち込み、多くの投手に「キレ2」「軽い球」をつけてきた。パワプロシリーズ最強打者の一人。
    • 名前と風貌で一目瞭然だが元ネタは「清原和博」*5。この付近の作品では珍しく、実在人物が元となっているキャラクターである。
    • その反則的強さを比喩して、本作の打撃レベルは「ふつう・つよい・パワフル・清本」と呼ばれる事がある。友沢に匹敵する反応力で強振を多用し、打撃能力は彼すらも凌ぐ。そのため、友沢とは比べ物にならない程危険。ただし、打たれにくい配球が通用しなければゲームバランスが崩壊するため、いくら清本相手でも、打たれにくい配球は必ず存在する。
    • ただし上述した面々は「ライバルキャラ」であり、やや理不尽ながらも強敵としての印象深さを増す。清本などは強振多用もあって強敵さがある。
    • 清本はそれだけに本作初登場のキャラの中では特別に印象に残るキャラであり、そのパワーヒッターぶりとケツアゴに惚れたファンも多い。また、彼の印象が強かったためか、本作の全国大会の試合曲はしばしば「清本のテーマ」と呼ばれたりする。
    • 12開幕版』ほど極悪でないのもライバルキャラの魅力掘り下げに繋がっているとも言われる。
  • バイト「地下の穴掘り」での追加イベント「チンチロリン」による獲得金上限が、開幕版のみ200万と異様に高い。参考までに、ショップで買える最高金額の装備は25万である。
    • これにより育成初期にチンチロで大金を入手できるまでリセットをし、ショップで最上級装備と薬・アイテムを大量買いして以後やりたい放題行う「チンチロ理論」が猛威を振るった。
    • 「地下の穴掘り」のバイトの出現率は低く、「チンチロリン」で勝ち続けるのは低確率なので膨大な時間がかかり、一部の廃人にしか使用されない方法である。
    • オマージュ元*6が青天井だったためそれに比べれば上限をとってバランスを取ったつもりだったのだろうが、それでもゲームバランスを崩すには十分すぎる高さであった。
    • 決定版では上限が半分以下に修正されておりこの方法は鳴りを潜める。それでも稼ぎ方次第で100万を稼げてしまう。
  • サクセスでセーブしてロードするとチームメイトの練習場所が移動してしまう。
    • 「移動技」と呼ばれ手間はかかるがチームメイトが得意練習に移動するまでロードすることで友情タッグを連発できかなり強力な選手ができる。
    • 友情タッグは通常練習よりも経験点が増加するかわりに消費体力が多いという欠点があるが、前述した「チンチロリン」で稼いだ金をパワリンに注ぎ込むことで解決できる。
    • ただし強力な育成法な反面、育成に膨大な時間がかかるため多くのユーザーは避けがちな育成法ではある。
    • 決定版や後の作品では修正された。
  • 継承選手、OBの寄付金、機材継承、自主トレの引継ぎなどによる周回プレイが今までにも増して意識され過ぎている。
    • 面倒臭いという人もいるが、初心者でも地道に強い選手を作っていく事でサクセスを長く楽しめるようになったという意見もある。
  • 第二世代のメインキャラは前作に比べて癖が強くなっており賛否がある。
    • 特に本作で尖ったキャラになっているのが帝王大学の友沢亮である。彼は通常ルートでは印象が薄いキャラなのだが...
      • 真ルートでは目立つために仲間の練習に割って入るなどひねくれた一面を見せる。更にサクセスの話において監督の意見に反抗した友沢を庇って代わりに部活を辞めた主人公に対しても勝手にやったことで自業自得と助けてもらった事を感謝しない傲慢な部分を見せており、非常に印象が悪くなっている。
      • 彼自身も多少の責任は感じている描写があり、その後に主人公が入部した第二野球部と対決をさせて勝利した場合は元の野球部に戻すように監督に約束させるのだがそもそもこうなった原因自体が友沢にある*7ため、結果的に大して印象が良くなっていないようにも感じてしまう。
    • その他、橘みずきの性格の変化もプレイヤーによっては賛否がある。
      • 『10』のように暗い過去を背負っていないためか本作は元気で明るく主人公たちを振り回すおてんばな一面が強調されており、人によっては前作の彼女の方が良かったと感じたプレイヤーも。
      • また本作でのみずきは『12』以降のような主人公との恋愛要素はほぼなく*8、ただの友達程度の関係性で終わるためヒロインとしてはやや印象が薄く見られがちな所がある。
      • イレブン工科大学では主人公以外の軽井沢との恋愛要素が多少あるのもそれに輪をかけている。結果的にはみずきが少し彼に好意を持った瞬間、彼が他の女子にアプローチし出したため冷めて主人公に愚痴を言って終了。と、ギャグで終わる上に内容も大した事はないものだが。
    • また『11決定版』の全日本編では2人揃って主人公(と矢部)をバカにしており、こちらも賛否が分かれる。
      • このパワプロくんはしるこ大学*9出身のためイレブンや帝王大などの他の主人公とは違いかなり気弱な性格という一面はあるのだが、どっちにせよ印象を悪くさせる一因になっているのは否めない。
      • 一応みずきは本編内でしるこ大の主人公のことを心配しており、エンディングでは落ち込んでいる彼を励ますなどヒロインらしい描写も多少あるため最終的にはそれなりに印象は良くなっている。
  • 第二世代の設定がまだ固まっていない部分がある。
    • 本作のみずきはヒロインというよりライバルキャラの要素が強め。また既に『13』の高校時代の構想自体はあったもののまだお嬢様という設定ではなかったためか何故か金持ちのキャラにアプローチするなどの矛盾がある。
    • またこの頃の友沢とみずきは『12』以降のお互いをライバル視している設定ではなく、上記のようにただの同期のメンバーという関係性が強い。
    • このように『11』は本作のみでその後はなかったことになっている設定も数多いため、現在プレイすると違和感を感じる点も多い。
  • 一目惚れで付き合い始める主人公達
    • 今作ではランダムイベントで彼女候補とぶつかり勝手に付き合い始めるという仕様がある。
    • これに伴い付き合う流れも一目惚れだったりとかなり適当な流れとなり、キャラの個性や深みもなくなった。
    • 彼女を作らない育成をしたいときや他の彼女候補を狙っているときにもデメリットとなる。時間短縮の意味では、付き合うまでにデートをする過程をカット出来る部分は悪くないかもしれないが。
    • また、摩夕と付き合うことや帝王大学の通常ルートで彼女を作ることは育成の妨げになるので、ガチ育成のときは交通事故クラスのマイナスイベントして扱われがち。
  • 一部の彼女候補(というか我間摩夕)のハイリスクローリターンっぷり。
    • 加奈よりも評価が下がりやすく、クリスマスは加奈と同じ、加奈はクリア時に球速+1があるのに対し摩夕にはなく、加奈の下位互換になっている。
    • 唯一優れている点では、帝王大学での育成時に加奈よりも意図的に付き合いやすくラブパワーを狙いやすいという点があるが、帝王大学はデートすると夜間練習ができないため相性が悪い(ただし、真ルートではデートしてもペナルティを喰らわないため、摩夕以外なら相性はそれほど悪くない)。
    • 帝王大学で摩夕が彼女だと最終戦の敵のCPUレベルが落ちるイベントがあるのだが、バグでイベントが発生しても効果が出ない。
  • お助けキャラとして極稀に登場する野球仙人のイベント発生率が非常に低くすぐに消えてしまう。
    • 仮に運良く成功したとしても能力の上昇値はダイジョーブ博士の手術に劣る。
  • 打撃部分に調整が加えられた結果、開幕版はミート打ちが歴代屈指の強さ。全員アベレージヒッター持ちか、というくらいヒットが出る。通称「テニスラケット」
    • これは初心者向けを意識したという開発者の発言があった。また、当時(2003年~2004年)はプロ野球の歴史の中でも稀に見る打高投低の時代であり、それを再現したという声もある。
    • 決定版ではミート打ちはやや弱体化されたが、開幕版ではパワーが低いときでは弱かった強振が強化されたためむしろより打高になってしまった。
  • マイライフでは、2年目以降成績に応じた社会貢献を求められるが、最初の1回は何故か手違いで寄付金が10倍(ケタ一つ間違えて)になってしまう。金額は基本的に年俸に即して決められているため、これを10倍すると自分の生活が立ち行かなくなる(年俸2000万円に対してホームラン1本100万円とか)。
    一応断ることも出来るし、先発投手なのにセーブで寄付、1番打者志望なのにホームランで寄付などジャンルの違う寄付を志望すれば実害は抑えられる。
    • しかも開発側はマイライフ伝統のギャグのつもりであるらしく、12以降も延々と引き継がれてしまう(というか彼女候補関連以外のイベントはかなり使い回しされている)。
      後発のメジャーライフに至っては最初の1年目でいきなり社会貢献を求められる(そして金額が10倍になる)。
  • 足を引っ張る一部の味方キャラ
    • 矢部明雄
    • ただでさえチャンス2持ちで使いにくい矢部が今作ではサクセス中での能力の伸びが悪く、矢部の初期能力が高い全日本編以外では弱くサッカー部以下といわれている。
    • そのくせCPUは矢部を優先して使う傾向があるので、外野に優秀なモブや継承選手がいても使うことも…
    • 初野歩
    • 矢部と同じようにチャンス1がネック。長所の守備もBでいまいちである。
      • ちなみに矢部と初野は試合ではベンチにするように攻略本に書かれる始末。サクセスキャラのなのに扱いが酷い。
    • 犬河和音
      • 犬河は投手四天王でありシナリオで強キャラとされているのだが、球速が遅く赤特能が多いためオート時によく炎上を起こす。そのため『6』の江崎と並んでプレイヤーから恨みを買っている。
      • 13でもよく炎上を起こし「炎上三兄弟三男」と言われている始末。
      • 通常ルートではキャプテンになれないため、主人公が投手四天王にならない限り彼の先発は避けられない。
      • その投手四天王になる方法は、実技試験で犬河との的あて対決に勝つことだが、犬河はコントロールが高く高得点を出し、さらに11はコントロールがぶれやすいため勝つのが困難。
      • もっとも、犬河が炎上しにくかったり、投手四天王になりやすかったりすると真ルートへいくうまみが減るのではあるが。あまりに難易度が高いためか、掲示板でも犬河に全勝できた報告は入っていない。
  • テンポ向上のためか稼ぎ防止のためか、今作からは引き分け時は再試合にならず、負け扱いになるようなった。
    • そのため、投手育成で主人公は1失点もしてないのに味方が得点できないせいで引き分け→負け扱いになるということが起きたりする。
    • 一応今作では同じ負け扱いでも引き分け時ではパワフル大では評判ダウンがなかったり、帝王大ではペナルティがなかったり差別化はできている。
      • また、投手育成で能力の低い序盤において、下手に勝ち上がって強豪校と戦い、フルボッコにされて赤特能を貰うくらいなら、わざと負けたほうがいいと考える人もいるため、デメリットばかりではない。

問題点

  • サクセスの話が複雑化している
    • 本作は前作の『10』とは繋がらないパラレルの話である。『8』もパラレルではあるものの、こちらはドラフ島など独特な世界観であるため比較的分かりやすい内容ではあった。
    • しかし本作は大学野球編という特に何の変哲もない世界観で、その上に旧作のキャラも登場するため普通に続編として受け取ってしまう人が非常に多かった。これにより一部キャラの性格が急に変化している事に違和感を持ち、混乱するプレイヤー*10も。
    • また更に分かりにくくなっている要因が、『14』などの正史でも早川あおいの引退など本作の設定が一部引き継がれている部分がある事である。つまり本作はパラレルであるが正史に関係する部分もあるという訳の分からない事になっている。
    • 話自体も『13』の内容を知っている前提で進む所が多い。特に発売当時ではシナリオの流れが掴みにくかったと思われる。本作だけでは友沢の故障の原因、みずきのペンダントの下り、決定版では久遠と友沢の因縁など謎のまま終わっており、投げっぱなしな部分も数多い。
  • 練習のテンポが悪い
    • 本作から練習コマンドを押すとキャラがアニメーションするようになった。これ自体は面白い部分もあるのだが、この動きに時間がかかるなど全体的に前作よりテンポが悪くなっている。
    • オプションでアニメをオフにする事も出来ない。またこれが原因かは不明だが練習画面に入る時も少しロードが入るようになり、ゲーム中の動作もやや重くなった。
    • この問題は次回作以降もあまり改善されていない。
  • 反映されないイレブン大学の機材
    • グラウンド配分のじゃんけん勝負で勝った時に何故か発掘でOBの機材、勉強イベントで発明した機材、試験イベントでもらえる機材での機材アップは一時的に反映されなくなる仕様がある。じゃんけん勝負に負けるか5:5のときは反映されている。
    • しかも練習をする画面では機材のレベル上がった表示になっているので紛らわしい。
  • 今作でマイライフは大幅に進化した一方、問題点もある。
    • マイライフでパワフルスポーツのランキング引退選手等の発表が一気にされず一人一人選手が名前を出す方式なのでテンポが悪い。
      • 決定版では一気に発表されるようになりテンポがよくなった。
    • マイライフの地域の格差
      • バットorグラブの職人、代理人を教えてくれたりやパスワードアイテムをくれるバーのママ、疲労を取ってくれるマッサージを行うトレーナーなどは東京在住であり、ホームが関東にあるチームの利便性が非常に大きい。関東以外の球団は遠征中にしか上述の面々と会えない(バーのママは夜しか会えないので特に会いづらい)。
    • リアリティに欠けるマイライフの仕様
      • 契約更改でマイライフ提示された年俸が不満なら値上げを要求できるのだが、成績を掲示して説得……というわけではなく「それについての査定が抜けていた」という不条理なもの(ちゃんと査定されていればそこで終わり、査定し直した結果マイナスになることもある)。しかもそんなミスをやらかす割に、3回までしかこちらの話を聞いてもらえない。
      • ちなみに交渉したところでオーナーの評価が下がったり、逆に交渉しなければ評価が上がったりはしないので、交渉しない理由がない。
      • 引退する選手や妻から本を貰える事があるが、読むと確実に破れる。強力なアイテムなので何度も使用できるとバランスが崩れるからかもしれないが、それにしてもせっかく貰った本をいきなり破ってしまうというのは罪悪感がある。
      • これらの仕様は最新作でもなおってないこともあり、改善を望む層がいる。

総評

新世代を意識した展開だが、テコ入れとしては概ね成功しており、友沢は猪狩とは違う路線のライバルキャラとして評価されている。
決定版はやや難易度が下がっているが、開幕版の方が鍛えやすい部分もそれなりにある。PS2のパワプロとしては、まだ開幕版がベータ版で終わっていなかった最後の時期だったとも言える。
本作以降はシステム面の難点が多かったため、純粋な野球ゲームとしてはここまで(人によっては『12決定版』まで)をパワプロ黄金期と評する意見も多い。
サクセスは第二世代の話自体が分かりにくいが、本作もプレイするとやや難解でシナリオの癖の強さが足を引っ張っている部分もある。とはいえ、総合的に見れば良作の部類に入るゲームである。


余談

  • 本作から『13』までの時期、ファンブックとして「サクセスやろう」という本がパワポケと一緒になって出ていた。
    • パワポケもパワプロもサクセスの過渡期だった事がよくわかる。
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最終更新:2024年02月13日 19:58

*1 ファンからは第二世代と呼ばれている

*2 『13』の話も踏まえると、本作の彼女は色々なしがらみがない方であるとも取れる

*3 実際は、清本を抑えたというエピソードは一切存在しない

*4 前作のパワプロ10では精神練習後にランダムで上昇する仕様で、意図的に能力値を抑えるためには精神練習を控えるしかなく、確実な方法は無かった。

*5 ただし、打撃フォームやスタイルなどの能力面の元ネタは「中村紀洋」である。

*6 言うまでもなく「カイジ」の地下チンチロ編

*7 もちろん強引な方針を行ったり、主人公を退部させた監督にも問題はあるのだが...

*8 決定版の全日本編では多少それらしいイベントが追加された。

*9 対戦相手としてしか登場しない謎の大学。忍者の固有キャラがいる

*10 一応『10』の話をしっかり理解していれば、違う世界観である事は分かるのだが...