ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ

【ぺるそなふぉー じ あるてぃめっと いん まよなかありーな】

ジャンル 対戦型格闘ゲーム
対応機種 アーケード
メディア Taito Type X2(NESiCAxLive)
発売元 アトラス(インデックス)
開発元 アトラス
アークシステムワークス
稼働開始日 2012年3月1日
プレイ人数 オフライン:1~2人
判定 良作
女神転生シリーズ

概要

『女神転生』シリーズの派生作であるRPG『ペルソナ』シリーズとして2008年に発売された『ペルソナ4』のキャラクター*1が登場する格闘ゲーム。
略称は『P4U』で、ストーリーはパラレルワールドなどではなく、『P4』より後の時間を描いた作品として正式に位置づけられている。
ただしP4だけでなく『ペルソナ3』に登場したキャラや本作オリジナルキャラも登場しており、P3~P4のお祭りゲーとしての側面も持つ。
開発はアトラスと『GUILTY GEAR XX』や『BLAZBLUE』を制作したアークシステムワークスとの共同開発。
ゲーム部分はアークシステムワークスに委託されており、ゲームシステムは上記した両作ととても似通っている。
HD機初の『ペルソナ』がまさかの格闘ゲームということで、ユーザーの驚きは大変なものだった。
原作の人気やアークシステムワークスの実績もあり、不安と共に期待の声も大きかった。


特徴

  • 基本操作・ペルソナ
    • 原作でもそうであったように、本作での使用可能キャラは全員がペルソナ*2使いであり、ペルソナと共に戦う。
    • 本作での操作は、移動に使う1レバー+攻撃に使う4ボタンという2D格闘ゲームらしい構成。A・Bボタンでは本体の人間が、C・Dボタンはペルソナが攻撃するという、ギルティギアを踏襲した配置である。
      • しかし技構成はブレイブルーのように、ABCボタンが他の格ゲーにおける弱・中・強に相当しDボタンで各々特殊なペルソナ攻撃を繰り出す。このDボタンだけでもペルソナによる高速突進、時間差攻撃、投げといった多彩な技があり、本体とペルソナの連携攻撃が基本システムに位置づけられている。
    • 画面に出現したペルソナにも食らい判定があり、ペルソナ出現中に本体かペルソナが攻撃を受けるとペルソナは消滅する。4回消滅させられると「ペルソナブレイク」が発生し、一定時間ペルソナに関する攻撃やバーストが行えない状態となる。
  • 連打コンボ
    • 本作の代表的なシステムの1つ。Aボタンを連打するだけで通常技による連続攻撃から必殺技(スキル)、ゲージがあればスーパーキャンセルによって超必殺技(SPスキル)まで自動でコンボを行う。
      • ボタン連打時の通常技による連続攻撃は専用のもので、アーク製の格ゲー同様、別の通常技を出していくことでコンボを繋げることも可能。
  • 逆ギレアクション
    • こちらも本作の代表的と言えるシステム。BボタンとDボタン同時押しで繰り出せる反撃向けの必殺技。無敵時間を持つもの(いわゆる昇龍拳など)や、相手の攻撃を受け止めて反撃する当て身技など、相手の攻撃をかわしつつ攻撃する性能の技に統一されているのが特徴。
    • 通常時でもガード中でも、逆ギレアクションの入力を連打するだけで相手の攻めを切り返すことが可能であり、連打コンボ同様、初心者に優しいシステム。
    • ただし、総じて防がれた場合のフォローは利きにくい。さらに使用した時点で体力が一時的に減少する上に、フェイタルカウンター*3というシステムの存在から、読まれると大ダメージを被ることになりやすい。
  • スキル
    • いわゆる必殺技。使うコマンドはほぼ全キャラ*4が波動コマンドまたは竜巻コマンド。昇龍コマンドは存在しない。
      • SPゲージを25消費し、ボタンを2つ押しすれば、いわゆるEX必殺技にあたる必殺技の強化版・スキルブーストも出せる。
    • いわゆる超必殺技「SPスキル」はSPゲージを50消費して使用できる。こちらも複雑なコマンドは無く、全てが波動や竜巻の手順を2回入れる真空コマンドとなっている。
      • 余談だが、本作PS3版は真空波動コマンドは下、右を素早く2回入力することで代用できる。2回入力系のコマンドは慣れないとやや難しいが、これに気付けばどのコントローラーでも比較的簡単に出せる。
  • 体力ゲージ
    • 本作では「"逆ギレアクション" を使用する」「スキル ⇒ SPスキルの "スーパーキャンセル" を行う」および「相手のスキルをガードする」の3つで、体力ゲージが一時的に減少し青く表示される。
    • この「青体力」は時間経過で徐々に回復していくほか、青体力への減少によってKOされること=削りKOはない。
  • 覚醒
    • 体力が35%以下で操作可能状態になると、原作にもあったキャラの目元のカットイン(通称「カッ」トイン)が画面に現れ、覚醒状態になる。
      • 覚醒状態になると、それ以降の被ダメージが減少し実質的に体力が大幅増加・SPゲージが50ポイント最大容量ごと増加(SPスキル1回分。100 ⇒ 150になる)。加えて覚醒状態でしか使えないSPスキルが使えるようになるなどの有利な効果が得られる。
      • 上記のとおり覚醒は非常に強力なのだが、コンボを受けている間は体力が減少しても覚醒状態にならないという仕様がある。このため安全に覚醒するための工夫、逆に覚醒させずに倒しきるための工夫など、独特の戦略が生まれている。
  • バッドステータス
    • 一部の技には状態異常を相手に付与し、一定時間行動を制限する特性を持つ。例えば移動を制限される「感電」や、レバー入力が逆になる「混乱」など。
      • 目新しいシステムではないが、RPG発祥のシステムを格ゲーに取り入れている一例。
  • バースト
    • 専用ゲージを消費し周りに衝撃波を発生させるシステム技。GGXXとほぼ同じだが、本作ではペルソナを使用して発生させているため、ペルソナブレイク時には使用できなくなる。本作には以下の三つがある。
      • "リバーサルバースト":被ダメージ中にコマンドを入力する事で発生する緊急脱出手段。いわゆる青バ。
      • "マックスバースト":何もしていない時にコマンドを入力する事で発生。ヒットさせるとこちらのSPゲージが満タンになる。いわゆる金バ。
      • "ワンモアバースト":ワンモアキャンセルと同じく攻撃中の硬直をキャンセルしつつ、相手を大きく上空に打ち上げる。本作独自。
  • その他代表的なシステム
    • 原作での「総攻撃」の演出を使った「ボコスカアタック」という共通の特殊攻撃があり、Aボタン+Bボタンを同時に押すと「発生は遅いが相手の攻撃をガードしながら出せる中段攻撃」を発動できる。
      • 立ちガード以外での回避は困難で、なおかつ地上ヒット時は追加入力で「ボコスカラッシュ」⇒「ボコスカフィニッシュ」という特殊な連続攻撃で追撃できるため、ハイリターン。ただし、発生が遅いだけにガード・避けられた時の隙も大きい。
      • 空中に居る相手に当てるとバウンドしながら大きく吹っ飛ぶ。空中ヒット時にコンボに組み込んで〆に使えたりもする。
    • 煩雑なレバー入力を伴うコマンドを極力抑え、同時押しシステムが豊富。発生が早くダウンを奪える下段技である足払いが、全キャラ共通でレバー下+A+Bと入力すると出せるようになっている。
      • また他のゲームではシビアな入力を要求されがちな小ジャンプは、このゲームでは下+A+Cで行うことも特徴。A+Cで少しだけ無敵時間の付いた前方移動を行う「クイックエスケープ」などもある。
    • GGXXでのロマンキャンセル・BLAZBLUEでのラピッドキャンセル*5は、「ワンモアキャンセル」という名前で登場している。同じく超必殺技(SPスキル)1回分のゲージを消費。
    • アーク製の格ゲー恒例の一撃必殺技もある。決勝ラウンドでSPゲージを100消費することで使用できる。しかし例に漏れず大半のキャラでの性能は魅せ技の域。
  • 実況(ナビ)
    • P4本編で非戦闘員だった久慈川りせは、本作でも使用可能キャラとしては登場しない。しかし、対戦中にプレイヤーの行動に対して褒めたり励ましたりたまに難癖つけたりとコメントを付けてゲームを賑やかにしてくれるナビとして登場する。
    • 当初はりせのみだったが、後に原作でもナビを務めていたクマや美鶴、陽介やアイギス、同じく非戦闘員キャラでP3のナビ担当だった山岸風花、P4の人気キャラだった堂島菜々子から選べるようになった。うるさい場合はOFFにも設定できる。

登場キャラクター

+ 簡易紹介

ペルソナ4からの参戦

  • 鳴上悠
    • 原作主人公*6。原作とは違い、ペルソナはイザナギで固定。リーチと発生に優れた技が多く、防御性能も高いなど、主人公キャラらしく安定した性能を持つ。
    • この手のスタンダードキャラには珍しく、攻めの要素でも強烈なものを持っているため、総合性能はかなり高い。
  • 花村陽介
    • ペルソナはジライヤ。テンタラフーやスクカジャなど原作で活躍した補助スキルもバッチリ実装。別格の素早さとネタの多さで相手を追い詰めていくキャラ。
    • そのスピードとトリッキーさから立ち回りはかなり強いが、体力が低いため触られるとあっさり沈むことも。
  • 里中千枝
    • ペルソナはトモエ。原作から変わらずスピードとパワーを兼ね揃えたインファイター。凶悪な近接戦闘能力に加え優秀な逆切れアクションも持つなど隙のない性能。
    • リーチこそ短いが、花村に次いで素早くあまり不備を感じさせない点も魅力。SPスキルが軒並み高性能なため、ガン攻めが可能。
  • 天城雪子
    • ペルソナはコノハナサクヤ。各種アギ系魔法に加えて回復呪文のディアまでしっかり装備。角度の投げ分けが可能な扇子や発動距離、起爆時間を調整できるアギなど、豊富な飛び道具が自慢のシューティングファイター。
    • さらに真価を発揮するのは下地を整えた上での起き攻め。一度型にハメてしまえば「火炎ブースタ」や「火炎ガードキル」などを絡めたセットプレイで一気に持っていける。
    • 弱点はとにかく小回りが利かないこと。接近戦はかなり厳しいため、冷静な判断力が求められるキャラ。
  • 巽完二
    • ペルソナはタケミカヅチ。圧倒的な体力と強烈な投げ技が持ち味の重量級キャラ。アーク製格ゲーの投げキャラに付き物な移動制限はなし。
    • 投げ、打撃の双方から高いダメージが見込め、逆切れアクションも高性能と、接近戦でのプレッシャーは屈指。加えて飛び道具も持ち合わせるなど器用な面も。
    • 反面スピードは鈍く、主導権を相手に握られやすい。ワンチャンスを掴みとるための粘り強さが重要。逆転のカタルシスこそが最大の魅力ともいえる。
  • クマ
    • ペルソナはキントキドウジ。各種アイテム召喚やひねくれた攻めの手段を有し、クマらしくトリッキーなキャラクターに仕上がっている。
    • 中下段による崩しは不得手な代わりに、左右のガード方向を揺さぶる崩しがしやすいのが特徴。
    • アイテム召喚(順番は固定)による立ち回りは奥が深いが、例によって操作自体は複雑でないため、意外と取っつきやすい点も魅力。
  • 白鐘直斗
    • ペルソナはスクナヒコナ。すばしっこさと豊富な罠、各種銃撃で立ち回る遠距離タイプのキャラ。
    • 即死魔法であったムドオンやハマオンも格ゲー向けにアレンジされまさかの実装。「運命カウンター」を減らしきった状態でヒットさせれば相手を即死させることが可能で、独特の操作感と戦術が味わえる。
    • 防御性能には劣るため、終始自分のペースを崩さないことが肝心。

ペルソナ3からの参戦

  • 桐条美鶴
    • ペルソナはアルテミシア。やたらリーチの長い立ちAを筆頭に高性能な技を多く持ち、高火力コンボをも備えたハイスタンダードな溜めキャラ。残念ながらテンタラフーは無い。
    • 全体的に高性能さが目立つ上、使いやすい要素も多く持つため、鳴上悠と並んで初心者にも勧められるキャラ。
  • 真田明彦
    • ペルソナはカエサル。己の拳を武器に、怒涛のラッシュ力で相手を沈める突撃ボクサー。残念ながらタルンダは無い。
    • 屈指の短リーチという欠点を抱えるものの、サイクロンチェーンなる独自のシステムを持ち、接近戦での攻めの強さは凶悪の一言。
    • ペルソナは牽制/攻撃は自分、と割り切った性能になっているため、ペルソナブレイクの影響があまりない点も魅力。ただ展開によってはカエサルに頼らずに試合を決めることも多いため、ペルソナ持ってないなどと言われてしまうこともしばしば…。
  • アイギス
    • ペルソナはアテナ。遠距離技主体の通常形態と素早い空中機動が可能なオルギアモードを行き来して戦う特殊キャラ。
    • 原作ではいらない子だったオルギアモードがまさかの大躍進。発動中はガード困難な中下段択を延々と仕掛け、高火力コンボを決める凶悪キャラになれる。オーバーヒートには注意。
    • 通常形態ではろくにダメージが奪えないため、如何にオルギアモードと銃弾120発(ラウンド中はリロード不可)を使いこなすかが課題となる。
  • エリザベス
    • ペルソナはまさかのタナトス。原作で使用した多彩な魔法の数々は「SPゲージが非常に溜まりやすい」という特性と併せてプレイヤーキャラとして実装。性能の強みを押し付けて勝つキャラという点でも原作再現。もちろんメギドラオンもございます。
    • 個々の技は強烈だが癖が強く、体力の低さはワースト1位。パターンにはまると案外あっさり攻略されてしまうのも原作通り…?
      • 原作の凶悪な体力も再現して欲しい!と思う方はスコアアタックのボスモードに挑戦すると吉。

新規キャラ

  • ラビリス
    • 『P3』のドラマCDで存在が示唆されていたキャラで、『P4U』で晴れて初登場。ペルソナはアリアドネ。
    • 「斧ゲージ」という特殊ゲージを有し、上手く溜める事ができれば驚きの火力が叩きだせるアタッカーキャラ。立ち回りに少々不安はあるが、挙動は素直なので使いやすい。
    • ドでかい斧を振り回すため攻撃範囲が広く、斧ゲージMAXなら連打コンボでも超火力が出せるなど、ある意味初心者が最も勝ちを拾いやすいキャラと言える。
  • シャドウラビリス
    • 名前通りラビリスの「シャドウ」で、ペルソナは持たず実際は自身の一部であるアステリオスを使役する。
    • 基本的な挙動はラビリスと共通だが斧ゲージは無い。またシステム上ペルソナとして扱われているアステリオス関連もかなり特殊。
    • ほぼ完全に個別行動を取るアステリオスの仕様を駆使した攻めは非常に強力だが、使いこなせないとあっさりやられることになるテクニカルキャラ。

評価点

  • 初心者にも上級者にも楽しめる間口の広さと奥の深さ
    • 連打コンボの有用性
      • 補正がきつく一見初心者用要素のように感じるが、その代わりコンボ3段目には大きなSPゲージボーナスが付いてくる。そのため熟練者でも敢えて連打コンボを使うという場面も生まれており、死に要素になることはない。
    • 逆切れアクションと覚醒システム
      • 元来初心者には難しいコマンドに設定されてきた無敵技がボタン同時押しで手軽に出せる上、追い詰められた場合は覚醒によって防御力が大幅に上がるなど、初心者にありがちな「一方的に攻撃されて何もできなかった」という事態が極力起こらないように調整されている。 決して実力差をひっくり返すような要素ではないが、いい勝負までは持っていきやすいと言える。
    • 初心者にも嬉しいシステムを多数採用しつつも、限られた技数の個々の性能は練り上げられており、様々な使い方・コンボルートを内包させた調整は見事。稼働から一年経っても未だに研究が続いていたほど。
  • 良好なゲームバランス
    • 全キャラ豊富な技を有しながらも、極端に強すぎるキャラ、弱過ぎるキャラはいない。性能差自体は確実に存在するものの、どのキャラを使っても安定したバランスで対戦を楽しめるように作られている。新規の原作・版権持ちタイトルには稀なバランスの良さと言える。
      • この点は『GGXX』や『BLAZBLUE』で何度も調整を繰り返したことで得られたノウハウが生かされた完成度と言えるだろう。
  • 原作譲りの魅力的なキャラクター
    • スタンダードな鳴上、スピードキャラの陽介、接近戦特化の千枝、遠距離戦が得意な雪子、投げキャラの完二等、各々個性的な性能でやり込みがいがある。また、キャラのモーション・演出・セリフに至るまで原作を上手く格闘ゲームに落とし込んでいる点も好評。
    • 登場人物はほぼ全員仲良しなこと、全体的にポップで明るい演出や舞台設定が相まって、格闘ゲームにありがちな殺伐とした雰囲気ではなく、さながらスポーツ大会のような爽やかな雰囲気に統一されている。
    • ナビに関してもキャラ・台詞パターンともに豊富かつ嫌味は薄めで飽きにくい。
      • ただ実況に関しては少々状況判断が適当な部分もあり、リバーサルバーストをガードされた時に「ナイスバースト!」と言ってきたり、開幕5秒しか経っていないのに「動きがワンパターンなんじゃないの?」という台詞が飛び出すことも。これが原因で「煽りせちー」「動画勢*7りせちー」なるネタも誕生した。
    • 『P4』原作に登場した「メガネ」も、アーケードではゲーム内通貨を消費して、家庭用ではDLCとして購入&装着が可能。『P3』勢も装着可能。
    • 地味な点だが、キャラクターカラーとペルソナのカラーが別個で選べるのも好評。
  • グラフィック・BGM
    • 『BLAZBLUE』の製作チームが制作しただけあって、2Dアニメーションのキャラクターと3DCGの背景を組み合わせた画面となっており、どちらも時代相応に美麗なグラフィックとなっている。
      • 特に背景については力を入れていることが製作者インタビューでも語られている*8
    • 原作『P4』で作曲を担当した目黒将司がいくつかのBGMを、P4でサブを担当していた喜多條敦志が多くのBGMを担当。
      • 「Reach Out To The Truth」「Heartful Cry」といったそれぞれの原作で人気の曲がアレンジされて使われていたり、また新規追加曲も良曲が多く、好評。

賛否両論点

  • 原作ファンの格ゲー未経験者でも軽快に動かせるように考慮されたゲームシステムだが、全力での対戦となると長いコンボレシピを覚えたり複雑な操作を要するなど、格ゲーへの慣れとそれなりのやり込みは不可避。
    • ただし難しいコンボも色々ある、というだけで必須になる高難易度コンボというのは実は多くない。簡単な連携から覚えていけばどんどん自分が上達していくのが実感できるだろう。
  • ボタン同時押しの多さ
    • 使用ボタンは4つであるが、システムの都合上同時押しが非常に多い。
      • 例としてAボタンが絡む同時押し操作を挙げるだけでも「ボコスカアタック(A+B)」「足払い(↓+A+B)」「スキルブースト(コマンド+A+B)」「ガードキャンセル(ガード中に ⇒ +A+B)」「クイックエスケープ(A+C)」「ミニジャンプ(↓+A+C)」「空中振り向き(空中でA+C)」「ワンモアキャンセル(A+B+C)」「バースト(A+C+D)」とほとんどを占める。
    • またAC版のボタン配置が左上、左下、右上、右下の順でABCDと固定となっている点も個人によっては辛い。
      • 所謂ボックス配置と呼ばれるタイプである。BLAZBLUEのように配置を変更したりは出来ない。
      • 勿論家庭版ではボタン配置も同時押し操作のボタン割り振りも自由に行える。
    • ただ、「暴発しやすいレバーコマンド入力よりこっちのほうがいい」とするプレイヤーも多く、賛否ある。

問題点

  • 起き攻めに偏ったゲームバランス。
    • 特に鳴上と千枝の「ダウンを奪って多段攻撃のペルソナ設置を重ね、相手を拘束しつつ本体でローリスクな崩し択をかけて再度ループ」という流れは批判されやすい。
      • その他のキャラも状況さえ作ればガード不能が仕掛けられる雪子やシャドウラビリス、多段のタイミングを変えられる落雷から2択をしかける完二など、ほとんどのキャラの起き攻めが強烈。
    • 起き上がりをずらしてペルソナを割るという対策もあったのだが、小技の発生が遅く無敵技の性能もイマイチな雪子やラビリス等のキャラは実質抜け出すことは不可能であり、2択をモロに受けるしかなかった。
  • 新規タイトル故にキャラも1キャラあたりの技も現在の格ゲーにしては少なめ。この点を持って飽きが早いと感じるプレイヤーも見られた。
  • バランスに影響する仕様の穴。
    • 代表的だったのが真田の「連続キルラッシュ」。特定の操作を行う事で真田のスキル「キルラッシュ」を絶え間なく連発する事ができ、永久ガード連携が組めてしまうというもの。
      • この連携一本で詰んでしまうキャラが存在し、さすがにまずかったためか2012年5月のパッチにて素早く修正された。
    • もう一つ代表的なのが「同技補正解除」。
      • 本作には「特定の技を1コンボ中に2回以上組み込むと、その威力が大きく減少してしまう」という「同技補正」が存在する。
      • しかしこの同技補正、チェック機構が10種類までしか技を記憶しておく事ができないため、補正対象の技を10種類以上コンボに組み込むことで、11種目以降の技がこの補正を無視できてしまう。
      • 同技補正ありきでバランス調整が行われているゲームであるため、この抜け穴は大問題。上手く利用すれば補正の緩いコンボを組むことも可能となり、この仕様を利用すれば即死コンボも目指せるようになる…。
      • …と思われたが、やはり10種類以上もの特定の技を1コンボ中に組み込もうとするとかなり条件が厳しく、この仕様から生まれた即死級コンボはほとんどが魅せコンボの域。
      • 一応、仕様のムラという点で言えば問題だが、このような現状もあってあまりバランスを崩す事態には至っていない。
    • ただ唯一、比較的容易に条件を満たせる「直斗」だけは実戦投入が可能で、「ハードル走*9」と呼ばれる超高火力コンボが開発され、時たま猛威を振るう姿も見れる。
      • しかし、直斗自身のキャラ性能の欠点もあり、「ハードル走」込みでもキャラランクは下位~中堅といった評価にとどまっているため、このコンボがバランスを崩す事態には至っていない。
    • 完全に余談だがこの同技補正解除、共通のシステムが多い『BLAZBLUE CS2』でも同じ事が出来た。
  • シナリオが簡素で中途半端。
    • 事件の黒幕を匂わせる中途半端な所で終わるぶつ切りED。アーク製作のゲームとしては珍しいことではなかった*10。が、『ペルソナ4』の続編ということもあり期待していたファンは肩透かしを喰らってしまった。
    • 稼動前から家庭用の発表がされていた為、「家庭用で終わらせるだろう」とある程度納得はされていた。
      • それでも曲がりなりにもアトラスの作品でもあるのに、他のアーク作品と同じ展開方法をとるのはいただけないとする人も多い*11
  • 恋愛要素が皆無
    • P4であった仲間コミュに恋愛要素があったが、本作には匂わせるだけである。P4の要素が削られているのは残念である。
    • 「描写が難しいので逃げている」という意見もある。

総評

当初囁かれた不安を打ち破り、『ペルソナ』シリーズのキャラゲーとしても、一作の格闘ゲームとしてもそつなくまとまった完成度の高い良格ゲー。
コンボゲーとしての難易度も低めで格ゲービギナーにも向いており、かといって必要以上に底が浅いわけでもない。
原作ファンは勿論のこと、格ゲーに興味のあるプレイヤーなら幅広く薦めることができる作品。


ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ(CS機)

【ぺるそなふぉー じ あるてぃめっと いん まよなかありーな】

ジャンル 対戦型格闘ゲーム

対応機種 プレイステーション3
Xbox 360
メディア 【PS3】BD-ROM
【360】DVD-ROM 各1枚
発売元 アトラス(インデックス)
開発元 アトラス
アークシステムワークス
発売日 2012年7月26日
定価 パッケージ:7,329円
ダウンロード:5,980円(共に税込)
プレイ人数 オフライン:1~2人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 良作
女神転生シリーズ

概要(CS)

アーケード稼動当初から発表されていた家庭用移植版。
売りの1つとして、30~40時間のボリュームのストーリーモードが搭載されている。


追加・変更点

  • かなりのボリュームのストーリーモード
  • 初心者向けのチュートリアルモード追加
  • その他、スコアアタックやチャレンジ等やりこみ要素の追加
  • ナビキャラの追加(菜々子・風花)。

評価点(CS)

ストーリーモード

  • 公式で30~40時間とある通り、単純に『P3』『P4』の続編ストーリーを楽しむだけでも結構な量がある。
    • ただし、それぞれの背景の違いはあれ、中盤は似たような展開が続く為、30~40時間全てが新鮮なストーリーではない。
  • アーケード版では冒頭に少しとEDに少しだけだったストーリーだが、P4側は鳴上が戻ってくる所から、『P3』側は事件発覚からストーリーが始まる。
    • 元々後続として家庭用があった為にアーケード版は黒幕を匂わせて終わってしまったが、事件解決までしっかり描かれている。
  • (公式サイトでエリザベスがネタバレする者に対して非常に恐ろしい呪いをかけているため)詳細は伏せるが、「事件」の内容、『P3』キャラと『P4』キャラの絡み、そして新キャラ「ラビリス」と、ストーリーに対する評価は非常に高い。
  • エリザベス編
    • 姉マーガレットの交流や『ペルソナ4』メンバーとのストーリーが描かれており、原作ファンからも評価されている。
    • 特に『P4』の前日談とも言えるエピソードが補完された事は評価が高い。

ラグのないネット対戦(PS3)

  • 自身と相手の環境に依存するが、ほぼラグのないネット対戦が可能になっている。
    • 360版は後述の通り発売当初は酷いラグが発生していた。現在は修正済み。

賛否両論点(CS)

  • シナリオが完結しない
    • 一応は物語としての描写と区切りがついたところでありつつも、アーケード版同様またも真の黒幕の存在を匂わせて終わり、という締めは賛否両論。
    • 続編を意識しての事だと思われ、初めから2部~3部作と分かっているならそれなりに綺麗な幕引きともとれるのだが、発売時に続編の発表は無かったため中途半端な終わり方という不満を招いた。
  • 隠し要素解禁のハードルとして非常に高いものがある
    • 本作の隠し要素として、対戦中のナビゲーター及びラウンドコールをりせ以外のキャラに設定できるようになるというものがある。
    • この内、ラウンドコールはアーケードモードのクリア、クマのナビはストーリーモードの全キャラクリアと誰にでも解禁できるものとなっている。
    • しかし、りせとクマ、美鶴以外のナビを解禁するには、アーケードモードより難度の高いスコアアタックモードを複数のキャラでクリアする必要がある。初心者はもちろんの事、熟練者といえども持ちキャラ以外での攻略は一筋縄ではいかなかった模様。
      • 高性能のAIが相手ということもあり、勝つためのロジックを組み立てることを楽しんだ人もいれば、パターンにハメるだけの作業と捉えた人もいるなど賛否が分かれるところ。
    • 美鶴のナビは任意の1キャラでチャレンジモードを全問クリアで解禁可能。チャレンジモードとは各キャラの指定されたコンボを正確に行うものであるが、「チャレンジ」と名を冠するだけあって全問クリアとなると中々難しい。
      • 当然、チャレンジモードの最終30問目は超上級問題。お題のみでコンボ内容が表示されず、また一回成功するまではサンプルプレイを見ることができないため、自力でコンボを考える必要があるというアクションパズル的な要素を含んでいる。そのお題も「10000ダメージ」「150Hit」「指定した技を複数回当てろ」など、キャラの技性能を熟知し、高度に使いこなさなければ解けないものばかり*12。もっとも、#30についてはネットで検索して正解レシピを見れば割と簡単にできたりするのだが、初心者にとっては大抵29問目が操作難易度的な意味で壁となるだろう。
    • 上記のような解禁難度の高さに対して、解禁できる要素が原作ファンにとっては非常に魅力的なため達成感はある。一方で、あまりの難易度の高さに初心者が置いてきぼりという声もあり批判も生んだ。
      • どうしてもクリアできないという初心者のためにDLC購入によって解禁も可能。ただしその難易度の高さから「DLCを買わせるためにこんな解放条件にしたのではないか?」と邪推する声も多々あった。
  • トロフィー・実績難易度が異常に高い。
    • コンプリートの難易度はPS3・Xbox360ではトップクラス。
      • 特に高度な操作技術や腕前を問われる場面が多く、格ゲー初心者ではかなり厳しい。もっとも、その高い難易度にあえて挑戦しようというプレイヤーも多い。

問題点(CS)

  • チュートリアルモードが不十分
    • 初心者向けを謳う割には簡素で基本的なシステム解説しか行われていない。
    • 格ゲー全体で見ればそこまで薄い訳ではなかったのだが、初心者向けから応用までかなり細かく解説・補足説明があった同社制作の『BLAZBLUE』とどうしても比較されがちで、ややボリューム不足と感じられることも。
  • 360版では発売当初、オンライン対戦において謎のラグが発生していた。
    • その動きの遅さから水中戦と揶揄された。現在は修正済み。

総評(CS)

アーケード版稼動前から発表されていたCS機移植版。
元々アーケード版がキャラゲーとしても格ゲーとしても良く出来ていただけに、オンライン対戦の快適さもあり好評。
単純にP3・P4ファンがストーリーモードを見るだけでもそれなりに楽しめるほどにストーリーもしっかり描かれている。


余談

  • 発売元のアトラスは『豪血寺一族』シリーズ等で既に対戦格闘ゲームに参入しているが、『豪血寺』と本作のヒットによって格ゲーブランドを2本確立させた事から、将来はアトラスブランド同士のクロスオーバー格ゲーが実現する可能性もあり得るだろう。
  • クロスオーバー2D対戦格闘ゲーム『BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE』へ本作から鳴上悠氏・花村陽介氏・里中千枝氏の参戦が決定している。
    • 他作品のキャラクターがシリーズ最新作からの参戦扱いなのに対し、これら3人は『P4U2』からの参戦ではない。しかしPVでは『P4U2』で追加された新技を使っていたり『P4U2』のOPアニメーションが映像素材として使われていることから、実質『P4U2』からの参戦であると言える。
      • 余談だが同作の体力ゲージ色も、満タン時は青色で少しでも減ると黄緑色と『P4U2』と同様の移り変わりである。瀕死状態では赤みがかったオレンジ色となるが、このあたりは他の参戦作品『BB』や『UNI』と同じ形式である。
      • また、実装されている本作のスタジオステージ背景の積み重なっているテレビ、大画面ディスプレイで流れる映像に前作『ペルソナ4』のOPアニメーションの一場面が追加されており、この中でクマと『P4U2』にてプレイアブル化されたマーガレットが一足お先に登場している。
    • システム面でも全キャラにP4Uにおける連打コンボの「スマートコンボ」(BBTAGでは強攻撃ボタンでも可能)、逆ギレアクションの「リバーサルアクション」、ボコスカアタックの「クラッシュアサルト」(タッグバトルであることを生かした合体技)それぞれを搭載と本作の流れを多々汲んでいる。
    • 2017年10月21日より開催の『闘神祭2017』内にて体験版のプレイアブル出展が行われ、2018年5月31日にPS4/Switch/Win(Steam)で発売。2019年4月25日にはAC版が稼働。
      • 製品版では鳴上悠、花村陽介、里中千枝、天城雪子が参戦。その後DLCなどで巽完二、アイギス、白鐘直斗、桐条美鶴、真田明彦、ラビリス、クマ、エリザベス、足立透が順に参戦し、本作のキャラは(シャドウラビリスを除き)全員参戦。ついでに次回作から足立透も参戦した。
      • 2019年11月21日にはDLCを同梱した完全版『BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE Special Edition』が発売。そして2023年4月27日には、この完全版がXSX/One/Win(MS Store)移植された。

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最終更新:2023年10月06日 12:52

*1 パーティキャラクターの自称特別捜査隊の面々。

*2 自身の中にある「もう一つの人格」がパワーを持った像として現れたもの。有り体に言えば『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する「スタンド」である。

*3 特定の技をカウンターヒットさせると、以後のコンボ中のけ反り時間・受身不能時間が通常カウンターヒット以上に増加する仕様。

*4 一部キャラはレバーを2回下に入れるコマンドの必殺技がある。美鶴のみ、そのタメ技の比重が大きいいわゆる「タメキャラ」となっている。

*5 超必殺技用のパワーゲージを50%消費して行動中の操作キャラクターをニュートラル状態に戻すシステム

*6 原作ゲームにおいて主人公のデフォルトネームは存在しない。本作ではアニメ版と同じ名前となる。

*7 ゲームをプレイするより対戦動画を見て楽しむ事が多いユーザー層の事。時には動画で得たいい加減な知識だけで適当な発言を行うため、揶揄としてこの名称が使われる事もしばしばある。

*8 舞台はテレビの中の世界。一見すると普通の日常的な学校や街の風景なのだが、地面に衝撃が走るとテレビ画面のようなノイズが走ったり、教室がテレビの撮影セットのようになっていたりといったギミックも。

*9 スキル「二連牙」でピョンピョン跳ね回る姿からこの名が付いた。

*10 他社ゲーでは匂わせつつもきちんと1物語として完結させたものが多いのだが、アーク格ゲーはブレイブルー1作目の無限ループオチはともかくとしても投げっぱなしが多い傾向にある。

*11 もっとも、ストーリーの監修はアトラスが行っているので、別にアークのせいではない可能性は十分あるが。

*12 例えば鳴上の#30は「覚醒SPスキル "十文字斬り" を一度の連続技で3回当てる」のだが、十文字斬り含む大半の覚醒SPスキルは普通に当てたのでは追撃できず、またワンモアキャンセルも使えない条件が付いている。