ここでは、『ダブルドラゴン(アーケード)』とFC及びGB移植版を紹介する。



ダブルドラゴン

【だぶるどらごん】

ジャンル アクション


対応機種 アーケード
販売元 タイトー
開発元 テクノスジャパン
稼動開始日 1987年6月
プレイ人数 1~2人(同時プレイ可)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
配信 アーケードアーカイブス
【PS4】2014年11月22日/823円(税8%込)
【Switch】2018年1月18日/823円(税8%込)
判定 良作
ダブルドラゴンシリーズ

概要

前年に稼動されたアーケード版『熱血硬派くにおくん』の流れを受け継ぎつつ、ベルトスクロールアクションというジャンルを確立したゲーム。

  • 『熱血硬派くにおくん』を手掛けた岸本良久氏が本作のディレクターを務めていることから、上記の後継作として作られた側面が垣間見られる。
  • ちなみに題名は『双截龍』と書いて『ダブルドラゴン』と読む。

ストーリー

功夫道場を営む、双截拳使いの双子の兄弟ビリー・リーとジミー・リー。
誘拐されたマリアンを救出するため、暴力組織「ブラック・ウォリアーズ」の本拠地へと殴り込む。

特徴

  • いわゆるベルトスクロールアクション。奥行きのある横スクロールのゲームである。しかも2人同時プレイが可能。
    • 全4面だが、ステージ3は前半の森林地帯と後半の敵のアジトの入り口に分かれているので実質的には全5面。本作はステージ1からステージ3までステージが途切れることなく繋がっている。
  • 8方向レバー+3ボタン(パンチ、ジャンプ、キック)でプレイヤーキャラクターであるリー兄弟を操作する。
    • パンチもしくはキックで通常攻撃。
      • パンチ2発を相手に当てると、相手がかがんで隙ができ、様々な追い打ちをかけることが可能。
      • キックだと1発で相手がかがみ、同様に追い打ち可能。但しキックは避けられてしまうことがある。
    • ジャンプは障害物や穴を飛び越えるのに使用。また、ジャンプ中にパンチもしくはキックボタンを押すと飛び蹴りを出せる。
      • 但し本作の飛び蹴りは、後のベルトアクション等で一般的となった操作(自分の向いている側に蹴りが出る)とは違い、ボタンにより向きが固定される(パンチボタンだと左に、キックボタンだと右に蹴りが出る)。
    • その他、ボタンとレバーの組み合わせにより、肘打ち(背後攻撃)やソバット等の技で攻撃できる。
  • 道中では金属バットやナイフ、ムチ等といった武器が入手でき、それらを手にして攻撃することも出来る。
    • また落ちているドラム缶や岩は、持ち上げて投げつけたり、蹴り飛ばして転がしたりできる。
    • 敵にも武器を使ってくる者がいる。ダウンさせると落とすので奪い取って活用できる。

評価点

  • 殴る蹴るの爽快感
    • 本作は「暴力表現」にかなり力を入れてあり、豊富な攻撃方法で相手を叩きのめすことが出来る。
      • 「髪を掴んで膝蹴り」と「背負い投げでぶん投げる」という追い打ち攻撃が可能。どう敵をひるませて、その敵にどう追い打ちを加えるかが、本作を楽しむポイント。
      • 武器もまた「金属バットをフルスイング」「投げられたナイフを叩き落して投げ返す」「火のついたダイナマイトを投げ返す」などなど…。
      • ステージによっては地形もまた武器となる。ベルトコンベアに巻き込んだり剣山に突き落としたり…。
  • 優れたBGMが多い。
    • 特にタイトル画面の曲は、後の『ダウンタウン熱血物語』でダブルドラゴン兄弟(りゅういち・りゅうじ)とのバトルのシーンでも使われている他、数多くのシリーズ作品にも使用される名曲である。
    • ステージ1のBGMも良曲で、後の『熱血硬派くにおくんSP 乱闘協奏曲』(3DS)でも本作を再現した場面*1で使用されている。
  • 爽快感あるSE。
    • 敵に打撃を与えた時の「バギィッ!」という音、バットのスイング音なども妙に生々しい。
  • 即死攻撃が一長一短になっている
    • 後述する即死攻撃(機関銃の弾丸など)が敵にも当たる仕様となっている。このためリスクを伴うが上手く敵に当てることで一撃で倒せたりする。また一長一短にすることでゲームバランスがとられている。

問題点

  • 「肘打ち」が極めて強力で、リーチが長いうえに相手は何故か無防備に食らってくれる。これだけで最後まで進めてしまうほど。難点といえば後方にしか出せず、威力がやや小さいという程度。
    • せっかく多彩な攻撃方法があるのだから、本作をより楽しむのであればいろんな技を試してみるべきだろう。
      • ちなみに肘打ちを使用禁止にすると、かなり難易度が上昇する。通な方は是非試して欲しい。
    • 一方、左右2回レバー入力、いわゆる普通のゲームでいうダッシュ動作をすると頭突きになる。リーチが短く起き上がり時に使えるか、程度でしかない邪魔なアクション。意図せず出てしまうため操作性の悪さの一因となっている。
  • 最終面のトラップが難しい。
    • 最終面の前半には「せり出してくる石壁」と「槍を突き出してくる彫像」のトラップが存在しており、いずれも体力の3/5以上奪われた挙句大きく押し戻される(槍の方は即死。但し敵にも当たる)。
      • このうち石は飛び出し方にムラがあって何とか避けられるものの、槍は近づくと間断なく突いてくるため、祈りながら像の手前を通過するしかなかったりする(一応、ジャンプしながら通過すれば多少当たりにくくなる)。
  • ラスボス「ウィリー」は機関銃を使用してくるが、この弾丸の威力は『熱血硬派くにおくん』のラスボス「さぶ」の拳銃と同じく一撃必殺という極悪仕様。たとえ体力満タンでも食らうと即座に1人ミスとなる(但し弾丸は敵にも当たる。命中すれば一撃で倒せるが自分も喰らう可能性があるのでリスクが大きい)。
    • おまけにウィリーは機関銃での殴りや後ろ蹴りといった打撃技も使ってくる。これらの小技で足止め後に撃つという即死連携は精神的ダメージが大きい。しかし相変わらず肘打ちには弱いので接近戦を挑み肘打ちを連発すればあっけなく倒せたりする。
    • 一部の敵が投げるダイナマイトの爆風も巻き込まれると即死する。これは敵も同様。
    • ナイフは食らうと痛いが『くにおくん』のドスと違って即死しない。また投げられたナイフはパンチやキックで叩き落せる。
  • 2人プレイ時ではウィリーを倒した後、マリアン(ヒロイン)を賭けてプレイヤー同士が対決するという超展開。
    • しかも「一方が死んで、生き残った方がヒロインのキスを受ける」か「両者が時間切れなどで同時に死んで両者ゲームオーバー」の二択である。
    • 故意でもない限り同時に死ぬことはないが、もし本当にそうなった場合、通常のゲームオーバーの表示だけ一瞬行われ、コンティニュー待ちをすっ飛ばして早々にタイトル画面に戻ってしまう。
  • バグが多い
    • 地形の当たり判定が怪しく、おかしな場所にめり込んで転落死するポイントがあらゆる場所にある。
      また、ハシゴに登っている最中にわざと転落死すると即座にゲームオーバーになるといった厳しいバグも…
    • 致命的なのは、最終面の槍のトラップ辺りに出てくる敵(ローパー)がダメージを受けたポーズのまま固まってしまい、倒せなくなるというバグ。こうなると先に進めなくなり、タイムオーバー、ゲームオーバーを待つしかない。

総評

多彩な方法で相手を叩きのめす、バイオレンスな爽快感が人気を集めた作品。
ベルトスクロールアクションのジャンルを確立した一作である。

余談

  • 本作の構想は『熱血硬派くにおくん』の開発の最終デバッグ段階に入った頃に練られており「落ちた武器を拾える」「同時プレイが出来る」といった要素で発展したものとなる。
    • 世界に売れるように日本のツッパリの抗争ではなく、アメリカのストリートファイトをモチーフにした作品となった*2
  • 当時としては過激な暴力描写のために、一部のファンからは「発禁になるのでは」と噂されたりもした。
    • 実際にアメリカの一部の州で稼動禁止の措置が取られたこともある。
      • ただアメリカでは大いに人気を博し、1994年には実写映画まで制作されている(日本では正式公開されず)。
  • ステージ1にこっそり「熱血硬派くにおくん」の看板が存在している。
    • また、ビリーとジミーがガレージから出てくるところからゲーム開始となるが、ガレージに置かれている車が『ロードブラスター』*3のプレイヤーカーであるLX-5という小ネタもある。*4

家庭用移植

  • 本作はFC、GB、セガ・マークIII、GBA、ジェネシス(海外版MD)、Atari Lynx、XboxLive、PS4に移植されている。
    • FC版に関しては下記記事を参照。
    • GB版はFC版同様にアレンジが加えられた移植となっており、新たなトラップが追加されている。
      • FC版とGB版はバーチャルコンソールとして、前者はWiiで後者は3DSでそれぞれ配信中。
    • セガ・マークIII版はFC版準拠のキャラクターデザインだが、AC版と同様に2人同時プレイが可能。
    • GBA版は初代をベースに様々な要素を加えたアレンジ移植となっている。詳しくは『ダブルドラゴン アドバンス』参照。
    • ジェネシス版とAtari Lynx版、XboxLive版はAC版ベースの移植となっているが、ともに処理落ちがなくなりゲームスピードが速くなっている。またジェネシス版ではリンダ(女ザコ)の髪型と服の色がAC版と違う。
      • ジェネシス版はセガから承諾されてない非公式ソフトであり、XboxLive版は配信終了している。
    • PS4/Switch版は「アーケードアーカイブス」の作品としてダウンロード販売が行われている。こちらは著作権の絡む一部グラフィックの差し替えがされている事を除けばAC版の完全移植となる。
    • スマホ及びPC向けに『ダブルドラゴントリロジー』の名目で3タイトルがセットになったものが配信されている。基本的にはゲーム部分はAC版のまま移植されているが画面に表示されるライフ、スコアなどの部分が高解像のものに差し替えられていて変更できないためその点では完全移植でない。

ダブルドラゴン(ファミコン)

【だぶるどらごん】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
販売・開発元 テクノスジャパン
発売日 1988年4月8日
定価 5,800円
プレイ人数 1~2人(交代プレイ)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2009年2月24日/500Wiiポイント
【3DS】2013年2月6日
【Wii U】2014年1月22日/上記共に500円
判定 なし
ポイント シングルドラゴン化
経験値でレベルアップ

概要(ファミコン)

アーケード版をFCへと移植したもの。ゲームハードの性能差から完全移植ではなく
様々なアレンジが施されたアレンジ移植となっている。

アーケード版からの変更点(ファミコン)

  • 2P同時プレイがオミットされて交代制になってしまった。この為、ビリー一人で「ブラック・ウォーリアーズ」からマリアンを救い出すストーリーとなっている。
    • ミスをした場合もその場復活ではなく戻り復活となっている。
  • ステージやギミックの追加
    • ステージ数はAC版と同様に4面だが洞窟内などの新たなマップが多数追加され、ギミックも増加した。
    • ジェフの代わりに中国武術を使う「チン・タイメイ」が登場。チン・タイメイは後にアーケード版『II』に逆輸入される等、シリーズの常連キャラクターとなる。逆にジェフは移植の際に消される事が多い悲運のキャラクターに
  • レベル制の導入
    • 攻撃を当てた際の攻撃方法に応じて経験値が溜まるようになり、1000を超えるとレベルが上昇し、アクションが解禁されていく仕様となった。
    • 最初はパンチとキックに加えヘッドバットしか出来ないが、レベルが上がるとジャンプキック、肘打ちなどのAC版のアクションに加え、回し蹴りや腰かけパンチといった追加アクションも使用可能となる。
      • 基本的に後に覚えるアクションほど獲得経験値が少ない。その為、効率よく成長させるにはある程度アクションを制限して戦う必要がある。
    • なお、FC版と同系統のゲームボーイ版ではレベル制は廃止されている。
  • 対戦モードの追加
    • 「GAME MODE B」は対戦格闘モードとなっており、ビリーと、リンダやウィリアムスなど敵キャラクターの中からキャラクターを選択して対戦を行う。
      • 通常モードに比べ、キャラクターが大きくなり、使える技も異なるが、残念な事に同キャラ対戦しかできない。例えばビリーを選択したら色違いのジミーとしか戦えないのである。ついでにアボボ(&ボロ)は「GAME MODE A」とデザインが全く変わらない。
      • ラウンドの概念はなく、どちらかが倒れればゲーム終了となる。2Pと対戦するかCPUと対戦するかは選択可能。
    • ちなみにFC版と同系統のゲームボーイ版の同モードではリー兄弟での2P対戦しかできない。

評価点(ファミコン)

  • 概ね、アーケードの要素は移植できており、また、処理落ちが厳しかったアーケード版に比べるとスムーズに動く。
    • レベル制により、選択肢が多くて迷いやすかったアーケード版に比べると様々なアクションに満遍なく触れる事が出来る。
    • 敵のロジックの変更により武器攻撃がかなりあて易くなった。また、獲得経験値も多いため積極的に使う事が推奨される。
    • 接触判定が怪しいといったアーケード版のようなバグもないわけではないが、大半は気にならないレベルかプレイヤーが有利になるものが多い。

問題点(ファミコン)

  • 同時プレイのオミット
    • やはり二人同時に遊べるベルトアクションというアーケード版の評価点がオミットされてしまったのは残念な点である。
  • 変更点により難易度が跳ね上がってしまった。
    • 戻り復活となった為、最終面のボスラッシュシーンなどでやられてしまった場合はやり直しとなっており、かなり厳しくなった。
    • コンティニュー不能。アーケード版はやや乱暴だがコンティニューしまくるパワープレイが可能だった分、クリアのハードルが上がってしまった。
    • 体力回復手段に乏しいため、ダメージの大きい投げナイフや爆弾にあたったり、即死トラップに安易に引っかかるようでは到底クリアできない。
      また、アーケード版に比べてギミックやステージの追加により即死するポイントが増えている。
      • FC版と同系統のゲームボーイ版ではエクステンド制が追加されている。
    • 追加ルートやギミックの問題。ステージ3以降から前触れもなく無限ループが随所に挟まり、ルートを知らなければ何度も同じ場所を回る羽目になる。加えて、アーケード版から健在のせり出す石壁など*5、強力なギミックがあっという間に体力を削っていく。
      • FC版と同系統のゲームボーイ版では追加ルートとギミックは廃止された。
  • バトルモードは敵キャラクターが操作できるという点のみが目新しく、プレイするには微妙な出来。グラフィックをはじめ、アクション含めた全ての要素がオリジナルモードとは違うため、同じ名前のキャラクターが登場する別ゲームのような扱いになっている。
    • 必殺技などの派手なアクションは少なく、また一試合のやりきりである。どちらが勝ってもゲームオーバーの音と共にタイトルに飛ばされるのも味気ない。

賛否両論点(ファミコン)

  • 肘打ちはアーケード版に比べて避けられるようになり若干当てづらくなったが、リーチや威力は最強クラスである為、依然として双截拳最強奥義として君臨している。
+ ジミーの扱いについて、ネタバレ
  • 2Pキャラクターだったジミーはウィリーを倒した後に登場するラスボスになっている。
    アーケード版における最後のプレイヤー同士の殺し合いを再現したものと思われるが、実はオープニングのマリアン拉致シーンの中に色違いのジミーらしきキャラクターがいる。
    アーケード版のプレイヤーキャラクターが完全に裏切ってラスボスになるという点もある意味斬新ではあるが…
    • FC版と同系統のゲームボーイ版ではジミーは対戦モードにしか登場しないので、敵としての登場はない。

総評(ファミコン)

アーケード版からFC版への移植は必然的にアレンジ移植となる事が多く、本作でも例外ではないものの、残念ながらアーケード版からの劣化部分をアレンジによって補いきれておらず、特にコンティニュー不能や戻り復活制になった事で難易度が跳ね上がってしまい、気軽に遊ぶにはやや厳しい物となってしまった。

余談(ファミコン)

  • 本作のデフォルメされたリー兄弟のグラフィックが『ダウンタウン熱血物語』に登場するダブルドラゴン兄弟の顔グラフィックのモチーフになった。
  • 後にアークシステムワークスからリリースされたくにおくんシリーズ『ダウンタウン乱闘行進曲 かちぬきかくとうSP』『ダウンタウン乱闘行進曲マッハ』には本作の「チン・タイメイ」に酷似した紫髪で上半身裸の格闘家キャラクター「つばき」が黒幕として登場している。
    • 同作にはダブルドラゴンからのゲスト参戦としてリー兄弟*6も登場しており、彼らが所属するチームのストーリーでは「つばき」と対面したジミーが「チン・タイメイ」と呼ぶシーンもある。
+ 裏技(ネタバレ)
  • 無限レベル稼ぎ
    • MISSION2の最後にて、2階のリンダを1階に誘導して1人だけ倒し、3階まで上ってから1階へ戻る、すると残してきたリンダが消えているが攻撃判定が残っており攻撃すると無限に経験値が入り簡単に最大のレベル7まで上げることができる。 
  • ボスをスルー
    • MISSION2のチン登場後に戻って梯子を下り、チンを画面から消すとクリア扱いとなる
      MISSION4の砦に登場するアボボも近くに上れる崖があり無視して進める。

ダブルドラゴン(ゲームボーイ)

【だぶるどらごん】

対応機種 ゲームボーイ
発売元 テクノスジャパン
発売日 1990年7月20日
定価 3,500円(税別)
配信 バーチャルコンソール
3DS 2011年6月22日/500円
判定 なし
ポイント 国内唯一のGB版シリーズ
FC版をベースに色々追加
若干アーケード寄りになった内容
ジミーどこいった?
ダブルドラゴンシリーズ

概要(ゲームボーイ)

ファミコン版をベースにゲームボーイに移植した物。

今作はテクノスジャパンのゲームボーイ初参入タイトルでもある。


システムなど(ゲームボーイ)

  • 操作方法
    • 基本的な操作方法はFC版を踏襲していて、十字キーでプレイヤーの移動、Aボタンでパンチ、Bボタンでキック。
    • 十字ボタンとABボタンの組み合わせで様々な技を繰り出す事が出来る。技の種類はFC版とほぼ同様だが、ヘッドバッドと馬乗りが削除されている。
    • 肘打ちはFC版では敵に対して背を向けた状態では距離に関係なく発動させる事が出来たのだが、今作では敵が近くにいる時にしか発動する事が出来なくなっている。
    • FC版とは異なりレベル制が廃止されていて、デフォルトの状態から全ての技を使う事が出来る。
  • ステージ及びミス関連
    • ステージはAC、FC同様に全4ステージ(スラム街、工場、怪しげな森、ウィリーのアジト)構成。
    • 各ステージ内でプレイヤーのライフがゼロになると、ステージ内のシーンの最初からやり直しになる「戻り復活」がFC版から継続採用。
    • FC版とは異なりスコアエクステンドが採用されていて、一定のスコアを稼ぐと1UP。
  • VSモード
    • 今作はタイトルメニューでは対戦モードを選ぶ事が出来る。今作の対戦は1PのCPU戦が削除され、通信ケーブルを用いた2P対戦のみが収録。
  • その他
    • 今作のキャラクターデザインはおおむねFC版に準じているが、女雑魚のリンダだけは大幅にデザインが異なり、ヘアスタイルが黒髪ツインテールで服装がミニスカートとロングブーツに変更されている。

評価点(ゲームボーイ)

  • レベル制の廃止
    • 今作はFCに存在していたレベル制が廃止された事により、アーケード版と同様にデフォルトの状態で全ての技を繰り出せる様になった。
    • 最初から全ての技を繰り出せる様になった事により、戦闘の自由度はFC版から大幅上昇。
      • 特にFC版では後半のレベルにならないと使えなかった旋風脚や肘打ちが最初から使える点は大きく、数発の攻撃で敵を吹っ飛ばす爽快感を非常に早い段階から行える様になったのは良い。
  • ファンサービスの多さ
    • 今作はファミコン版をベースに制作されたのだが、アーケード版初代をはじめ、当時リリースされていたシリーズ作品から様々な要素が導入された、シリーズのトリビュート的な作品にもなっている。
      • アーケード版初代からは、2面のボス前で扉から次々と敵が出現するラッシュが再現されている他、3面の前半がまんまアーケード3面の流れをなぞっている。4面後半では串刺し地帯こそ存在していないものの、アーケード同様トラップが2種類になり、かつアボボ戦のシチュエーションも再現。
      • 一方、『II』からは2面でFC版7面のベルトコンベア付きの落とし穴が存在していたり、3面ボスのアボボ戦が同ステージの地面が徐々に崩れる仕掛けを再現。4面の前半のラストではアーケードの3面ボス戦を彷彿とさせるシチュエーションが待ち受けている。また、4面の後半にはFC版3面のヘリの扉を彷彿とさせるトゲ付き扉のギミックも。
        この他にも、アボボの攻撃パターンにブルノフの得意技であった掴んでからパンチで追撃する攻撃が実装されていたり、『II』のアイテムの手榴弾がアーケード版のダイナマイトの代わりに導入されている。
  • スコアエクステンドの採用
    • FC版はスコアエクステンドが実装されていなかったことから、残機はデフォルトの3機のみで進めなければならず、戻り復活の存在もあいまって、ミスが許されない非常にシビアなゲームになっていた。
    • だが、ゲームボーイに移植された際にスコアエクステンドが採用された事によって、戻り復活こそ健在なものの、FC版よりトライしやすくなっているのは良い。
  • ステージの仕掛けについて
    • FC版の特定ステージではアーケードに存在していない無限ループの仕掛けが存在していたのだが、ゲームボーイ版ではカットされ、アーケード原作同様の一本道に回帰したのは良い。

賛否両論点(ゲームボーイ)

  • 肘打ちについて
    • 今作ではアーケード、FC版同様に肘打ちが使えるのだが、発動可能な間合いが狭くなった分強力な攻撃になっている。
    • 一方で、発動可能な間合いが狭くなった事によって出しづらくなり、これまでの移植版と比較して連発しづらくなっている。
    • 肘打ちが使いづらくなった反面、今作ではただの立ち蹴りが非常に優秀な技に昇格している。リーチあり、出が早く当たれば敵は必ず怯む、そこからコンボもつながると欠点なしのレベルとなっている。
  • 登場する敵について
    • ダブルドラゴン名物の一つである大男「アボボ」は、当時のROM容量の都合なのか、1画面に最大で1体までしか出現しない。
    • アボボの最大出現数が減少した事によって、彼と戦うシーンについては簡単になったのだが、原作やFC版のファンからは「迫力が足りなくなった」という意見も見られている。

問題点(ゲームボーイ)

  • 相変わらずの高難度
    • 今作はFC版をベースにしているのだが、ベース作品の難易度が非常に高かったので、今作も非常に難易度が高くなっている。
    • FC版同様に戻り復活を採用。最終面のボスラッシュシーンなどでやられてしまった場合はやり直しとなるのだが、ミスからの再開地点がFC版より遠くなっているため、各エリアの奥でミスした場合は復帰まで時間が掛かってしまう。また、相変わらず体力回復手段にも乏しい。
    • FC版同様にコンティニュー不能
    • 無限ループこそ削除されたものの、ステージ内の仕掛けも相変わらずキツい。
      • 2面に落とし穴付きのコンベア地帯が追加されたのだが、画面の制約なのか、コンベアから穴を飛び越える際のタイミングが「穴の手前」になってしまい、序盤にしては繊細なジャンプアクションを行う必要のある難所と化してしまった。
      • 3面後半の洞窟の後半ではFC版と同様に横移動リフトが存在するのだが、スクロールの仕様が変更された事により初見殺しのシーンと化してしまった。
      • 4面名物のせり出す壁は弱体化しているのだが、その代わりなのか、今作で導入されたトゲ付き扉地帯が非常にキツい。ラスボスのウィリーがあまり強くない事も相まって、今作屈指の難所である。
        オマージュ元である『II』のヘリの扉は雑魚やボスを巻き込む事があるため、武器の代わりとしても使えたのだが、今作のトゲ付き扉の場合は敵が巻き込まれず、完全な罠になってしまった点も難易度を引き上げている。
  • 影も形も無くなってしまったジミー
    • 今作は白黒のゲームボーイに移植された作品という事でグラフィックの差別化が難しかったのか、ビリーの色変えキャラクターであるジミーが1Pプレイではリストラされてしまった。
    • ジミーが登場しないという事もあってか、二人でのプレイは対戦格闘しか存在せず、結果FC版以上に シングルドラゴン と化しているのは否めないだろう。
  • 盛り上がりに欠けるようになってしまったラスボス戦
    • アーケード原作やFC版におけるラスボス前の雑魚ラッシュやラスボス戦のBGMはタイトル画面で使われている「ダブルドラゴンのテーマ」になっていて、最終決戦に臨むプレイヤーを盛り上げていたのだが、今作のこれに該当する場面ではBGMが切り替わらず、ステージ道中の曲がそのまま流れ続ける。
    • 曲自体は悪くないのだが、元々が道中向けに作られていたという事もあってかミスマッチで、原作やFC版と比べて盛り上がりにくいと言わざるを得ない。特に、元を知っているプレイヤーは「曲が変わらない?」と違和感を覚えるのは間違いない。
    • 「ダブルドラゴンのテーマ」はタイトル画面で使われており、曲自体はROMの中に入っているのだが……。

総評(ゲームボーイ)

テクノスジャパンのゲームボーイ初参入タイトルとして発売された今作は、ファミコン版をベースに更なるアレンジを施した作品となった。
辛口難易度は相変わらずなものの、初期ゲームボーイソフトにしては健闘している部類と言えるだろうか。


その後の展開(ゲームボーイ)

  • 今作発売後のゲームボーイにおけるテクノスジャパン製タイトルは、同じく自社の看板タイトルであるくにおくんシリーズのみがリリースされる事になった。
  • 一方でゲームボーイのダブルドラゴンシリーズは、国内では今作のみがリリースされたのだが、海外では『Double Dragon II』を1991年12月にリリース。これは1990年12月7日に発売された『熱血硬派くにおくん 番外乱闘編』のキャラクターとBGMを差し替えて発売された。
    • また、開発こそ異なるが、アーケードの『3』と『バトルトード』とのコラボレーション作品『バトルトード&ダブルドラゴン』もリリースされていて、シリーズの海外人気を窺わせる。さらに海外では独自にアニメ化され、それがSFCの『Double Dragon V』となり、さらに後年『ダブルドラゴン ネオン』という独自の新作が発売されている。同人作品『アボボの大冒険』も有名。日本発祥のゲームでありながら海外で独自の進化を遂げた作品である。

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最終更新:2023年11月29日 20:15

*1 本作のステージ1を再現した街並みが用意された映画スタジオで「ウィリアムス」「ローパー」「アボボ」と戦う場面が存在する。

*2 くにおくんでも海外版はストリートギャングの抗争風に変更されていた

*3 本作の生みの親である岸本氏がデータイースト在籍時に手掛けたLDゲーム

*4 『ダブルドラゴンII』でもスタート地点のガレージに収められている戦闘ヘリが、LDゲーム『サンダーストーム』の自機である「LX-3」と思しきものであるという小ネタが有る。ちなみに『サンダーストーム』も岸本氏がデータイースト在籍時に手掛けたLDゲームである

*5 2発で即死したAC版に比べると威力は半減しているが、キャラの機動力の低さから当たりやすさは倍増している。

*6 外見はりゅういち・りゅうじの髪色違い