本項目ではアーケード版及びSS移植版の『ダイナマイト刑事』とそのPS2移植版である『SEGA AGES 2500シリーズ Vol.26 ダイナマイト刑事』について紹介しています。
判定はいずれも「 良作 / バカゲー 」。



ダイナマイト刑事

【だいなまいとでか】

ジャンル ゴチャバトルアクション
対応機種 アーケード(ST-V)
販売元 セガ・エンタープライゼス
開発元 セガAM第1研究開発部
STI(Sega Technical Institute)
稼動開始日 1996年7月10日
プレイ人数 1人~2人
判定 良作
バカゲー
ポイント 業界初の3Dベルトスクロールアクション
ダイ・ハード』をリスペクトした世界観
だがゲーム内外でおバカな要素が炸裂
ダイナマイト刑事シリーズ
ダイナマイト刑事 / 2 カリブの海賊編 / EX アジアンダイナマイト

ダイナマイト刑事 (SS)

【だいなまいとでか】

対応機種 セガサターン
高解像度で見る 裏を見る

発売元 セガ・エンタープライゼス
メディア CD-ROM 1枚
発売日 1997年1月24日
定価 6,090円(税3%込)
レーティング セガ審査:全年齢推奨
廉価版 サタコレ
1998年3月12日/2,940円(税5%込)
判定 良作
バカゲー

※共通項目は省略


概要

業界初のフルポリゴンベルトスクロールアクションゲーム。最大2人まで協力プレイが可能。
開発は『』『ゴールデンアックス』等を手掛けた内田誠氏*1率いるAM1研、及びアメリカのSega Technical Institute*2が担当。


ストーリー

2015年12月31日・午後5時30分。
サンフランシスコとしては珍しい降雪の中、日系企業の超高層ビル『エターナルタワー』では、米国大統領の娘を含む多数のVIPによる年越しパーティーの開宴が準備されていた。
しかし、同ビルの警備会社の取締役を勤める男、ウルフ本郷が率いるテロリストが事前にビルに潜伏しており、ビルは瞬く間に占拠され多数の一般人やVIPが人質となってしまう。
15分後、「Mr.ダイナマイト」ことブルーノ・デリンジャー警部補と、次期SWAT隊長の新人婦警シンディ・ホリデイ警部らが搭乗するSFPDのヘリがビル近辺を遊覧飛行していた。
ビルからの緊急無線を受けたSFPDは、大統領の娘を含む人質を救出すべくビルへの強行突入を決定、ブルーノとシンディの2人の刑事(デカ)は丸腰で突入することとなる。


特徴・ゲームシステム

  • 1レバー+3ボタンで操作。ボタンはそれぞれパンチ、キック、ジャンプの3種類。
    • レバーと3つのボタンの組み合わせで様々な技が出せ、当時人気だった『バーチャファイター』シリーズを代表する3D格闘ゲームを意識した作りになっている。
      パンチやキックを中心とした基本コンボや、ザコ敵を一撃で倒せる”逮捕”、全ボタン同時押しで出せる完全無敵の”旋風脚”等、技は多数。
      敵を浮かせて空中コンボを決めたり、ジャイアントスウィング・弧延落等のバーチャお馴染みの技や、追い打ち、金的等も出せる。
    • 落ちている武器を拾って使用する事も出来る。銃器もあるがそれ以外にも様々なアイテムを武器として使える。
  • 激しいゴチャバトルを繰り広げる「アクションシーン」を中心に、「CAUTIONシーン」を含めた全5ステージで構成されている。
    • 前者はいわゆる『熱血硬派くにおくん』に似た半固定画面での戦いだが、演出が画面の拡大など技術の進歩によりダイナミックになっている。
    • 後者は画面の指示に従ってレバーやボタン操作を行う、いわゆる「QTE」になっている。入力に成功すると微量だが体力が回復するので、非常に重要である。
      • ステージ間の移動デモ中に「CAUTIONシーン」が挟まる構成となっている。
      • 失敗した場合は体力が減ったり、追加戦闘が発生したりする。
  • 他、ライフが満タンの状態で回復アイテムを取得すると、ライフの上限を越えてライフを上げる事もできる。

評価点及びおバカな点

  • ゲーム自体は良くできたアクションゲームで、難易度の高さから攻略しがいのあるゲームと評された。
    だが、このゲームの真価はシステム部分以外の大量に盛り込まれた濃く、変なおバカ要素の数々にある。
    • 敵はテロリストなのだが、チンピラや防弾装備を纏った男は兎も角、パンツ1丁の男、バイカー風や相撲取りのデブ*3、アフロのカンフー黒人、四本足ロボ*4等々到底テロリストに見えない連中ばかり。
      PS2版隠しページで設定されたキャラの名前や設定も「悪の消防団 トム&ジェリー」*5、「レストルームボーイ」と「パンツマン リッキー」*6、「スワちゃん」*7、「アメフットマン」*8と投げやり気味。
      • 続編では敵のおバカな容姿や設定が更に悪化。実際、上記隠しページでも締めの一文で「この事件を振り返ってみると、敵の殆どが如何にマトモだったかが分かる(要約)」との表記があった。
      • 実は、続編を含めこのシリーズに登場する敵はウルフ本郷とその側近を除き、全て 現地でそのへんから寄せ集めただけの安上りのバイト だという。
  • 味方側にもおバカ要素がしっかり存在。
    • ゲーム中でも「プレイヤーの背中に何故か『POLICE1』、『POLICE2』と書かれている」「救出目的の大統領の娘が不細工で怖い」等、(いい意味で)イカれたネタが満載。
      一応、「ステージが進む毎にプレイヤーの服が戦いによりボロボロになっていき、最終的にはタンクトップに裸足になる」といった『ダイ・ハード』を忠実に再現した熱い演出もある。
    • ゲーム中では語られない裏設定は更におバカで、ブルーノの愛称「Mr.ダイナマイト」の由来が「SFPD内でも検挙率がNo.1レベルに高いが、捜査中の物的損害が合計140億ドルにも上る為」、
      ビルに丸腰で突入する羽目になった理由も「SFPD署長の主導で、新人のシンディをもてなす為に警察のヘリで市内案内をしていた為、武器を殆ど積んでいなかった*9」と徹底しておバカである。
  • 使える武器が本当に多岐に渡っている。
    • 銃器は拳銃や短機関銃が主。アイテムのマガジン(弾倉)を持っていればリロードが可能で、拳銃を持った状態で雑魚敵を掴めば一発撃破の「逮捕」も可能。
      中にはロケットランチャーや対戦車ライフルと、普通は人に使うべきでない銃器もあるが、これらを撃ち込まれてもライフさえ残っていれば敵も味方も平然と立ち上がってくる。 本当に人間なのだろうか
      拳銃や短機関銃はよく見ると『ダイ・ハード』を意識したチョイス*10なのも細かい。3D描写が苦手なハードらしく2Dで描写されているが、特に違和感無く描写されている。
    • その他武器に日用品や家具が混じっている。CMで「モップ、柱時計、コショウ」と歌っている通り、振り回し系(モップ、鉄パイプや斧等)や投げつけ系(柱時計、ドラム缶やチェア等)だけでなく、
      「コショウや殺虫剤を敵の顔面に振り掛け・噴射して咳き込ませる」、果ては「殺虫剤とライターで即席火炎放射器」といったものまであり実に個性的。
      • こちらも続編ではフランスパンや小便器、ブラストシティ筐体など更にふざけた武器が多数追加されている。
  • ゲーム上のスパイスとして上手く組み込まれている「CAUTIONシーン」
    • 事前に予告が入って成功するとライフ回復や戦闘回避の恩恵を受け、失敗してもペナルティーは戦況が多少不利になる程度でこの手のQTEにありがちな理不尽感は感じない。
      • 成功時はスタイリッシュに敵を撃破したり不意打ちを回避するムービーが流れる一方、失敗すると「すれ違い様の飛び蹴りを避けられてそのまま転倒」、「爆発物で派手に吹っ飛ぶ」といった一転して笑える内容になる。
        攻略上では成功させるに越したことはないが、中には失敗した方が元ネタの『ダイ・ハード』らしいということでわざと失敗するプレイヤーも見られるほど。
  • これらのおバカな設定や一部キャラの見た目とは裏腹に、音楽や効果音はシリアスなものが多く、『ダイ・ハード』風の世界観にマッチしている。
    • 作曲は当時STIに所属していたHoward Drossin氏が担当。特定のフレーズを異なる曲に流用する等、曲の作りも映画のサントラを意識している。
      メインBGMである「High-Rise to Hell」はその時々の場面演出とシンクロした曲調で、雰囲気を否が応にも盛り上げており、『PROJECT X ZONE』でもブルーノのテーマ曲として扱われている。
      シリーズ通しての敵であるウルフ本郷の荘厳なテーマ曲「Get the Hell Out of Here」と「Four Walls of Fury」は続編でもアレンジされ使用されている。
    • 効果音はキックや拳・武器を振り下ろす際に派手な風切り音がしたり、金的時には「ボヨヨ~ン」とコミカルな音と共に被害者が痛々しい悲鳴を上げる等、おバカ要素もしっかりある。

問題点

  • 全体的な難易度が高い。
    • アーケードゲーム故仕方無い面もあるが、一般的なネタを楽しもうとする層には難易度が高く、かなり辛い。
      ただどこを取っても理不尽というレベルではなく、攻略をしっかり組んで繰り返しプレイする層には好評であった。
    • 敵味方それぞれ横方向にしか向けず、一部雑魚敵やボスはガードも使用してくる。前者は本作が「3Dベルトスクロールアクション」の最初期作ということで仕方ないかもしれないが、
      後者のガードはプレイヤーは一切使用できず、大抵の敵はガード後に高威力のコンボ技を使う為、「ガードされる=ライフ激減確定」もザラで、高難易度の一因を担っていると言える。
      また、敵側の火力が全体的にプレイヤー側よりも高火力であり、たった1回のミスからライフが4割以上減らされる事も珍しくないため、ライフに余裕がある状態でも全く油断できない。
      • 上記2点への対策のため、掴み技を上手く使う必要がある。幸いなことに敵も横方向にしか向けないため上下方向からの掴みはやり易い部類であるし、こちらが拳銃を持った状態では雑魚を瞬時に無力化出来る「逮捕」もある(無効な敵もいるが。)。
    • プレイヤーは残機が無いライフ制*11で、一度死ぬとコンティニューへ直行。下記にある通り、ライフは大幅回復する機会が無いのが厳しい。
      ライフ回復アイテムはカプセル型の小・筒型の中・四角型の大の3つがあるが、何れも回復量が微妙で、中ライフ以降は強い雑魚敵を倒さなければ出てこない。
      しかし、前述した通り「CAUTIONシーン」でもライフを中レベルほど回復させる事ができるので、ボタンを押したり、レバーを倒すタイミングを覚える必要がある。

総評

一般的には特有の高難度でウケが悪かったが「コショウ」や「殺虫剤」といった数々の変な武器や、あまり可愛く見えない大統領の娘等のおバカな要素が一部で支持を受けた作品。
今でも置いてあるゲームセンターは少ないだろうが、もし見かけたら話のタネに一度でもプレイしてみる価値はあるかもしれない。


余談

  • テロリストによって占拠された高層ビルを舞台にした世界観や、ブルース・ウィリスを意識した風貌の「ブルーノ警部補」等の点から察せるが、元々本作は映画『ダイ・ハード』のゲーム化を見越して製作されたものである。
    • 実際に海外では『DIE HARD ARCADE』として発売された(海外の続編は国内版とほぼ同じタイトルである『DYNAMITE COP』として発売された。)。
    • この海外版では、プレイヤー設定が原作と同じ「ジョン・マクレーン」*12とオリジナルキャラ「クリス・トンプソン」、舞台が「ナカトミプラザ」*13へ変更されている。
      • なお本作の他にも、『ダイ・ハード』のゲームは過去にファミコンとPCエンジンから発売されている(どちらもパック・イン・ビデオから発売。)。
    • ちなみに本作は日本でのロケテスト時は「DEAD LINE」という仮タイトルで稼働しており、『ダイ・ハード』の版権取得後も、日本ではそれを使わないオリジナル作品で行けると判断され、「ダイナマイト刑事」として世に出た経緯がある。
      • 日本版のタイトルは、アメリカで開発を行っていた日米合同チームからから「タイトル案を三つ考えてくれ」と依頼が来て、二つは考えついて、あとの一つが考えつかなかったが二つあれば十分だと思ったため、数合わせのために絶対に選ばれないおバカタイトルとして「ダイナマイト刑事」をネタで入れたら、チームメンバー全員一致で「ダイナマイト刑事」に決まってしまったとのこと。ちなみに没になった二つは「摩天楼の狼(まてんろうのおおかみ)」と「拳獣(けんじゅう)*14」。
  • 本シリーズを語る上で外せないのが、メーカー公式とは思えない程おバカ・おふざけ要素満載だった公式サイトだろう。
    • 操作法やストーリー解説といった真面目なページは当然あるのだが、一部開発・販売スタッフによる文章は基本的に大げさで、ページ移動時にいちいちカットイン*15が入る。
    • それ以外のページは自社・他社のゲーム弄りやアニメ・漫画・時事ネタ等、全体的に伏字だらけでおバカ。セガのスタッフにしか分からないであろう身内ネタもあった。
      中でも「挺身過激団・爆組」*16のページは業界裏ネタ等、セガ内でもブッチギリにアングラなネタの無法地帯で、コアな刑事ファンとスタッフとの交流ページもあった。
    • ここではこれ以上説明しきれないので、具体的にどういうものなのかはアーカイブ保存されたセガサターン版公式サイトを参照してほしい。
  • このブッ飛んだ公式サイトはセガ社内からは不評だったが、ファンからは好評だったようで、以降の刑事シリーズでも殆ど同じスタッフ陣により公式サイトが製作されていくことになる。
    刑事シリーズ以外でも、セガのアーケード基板「NAOMI」の裏ページにあった業界裏話も「挺身過激団」と酷似した文面で綴られており、同スタッフが関わっている事を想起させている。
  • 開発には、後に「パオン・ディーピー」を立ち上げるデータイーストのスタッフが関わっている。つまりバカゲー要素はデコゲーの血が受け継がれている。

移植版について

  • 最初に発売されたセガサターンへの移植版は、ST-Vがハード互換基板であった為移植度はかなり高い。
    • CD-ROM故の長い読み込み時間がネックではあるが、BGMはそれを活かしたオーケストラアレンジとなっており、その品質は20年経った現在でも堪えられる程に豪華。
      スタート時に隠しコマンドを入力することでほぼ全てのBGMをAC版と同じ内蔵音源版に変更することも可能。この内蔵音源版は後述のPS2版には収録されていない。
    • オプションも存在するが、変更できるのは同士討ちや流血表現の有無程度で、AC版にあった難易度・残機設定は存在しない。
    • ミニゲームとして、セガの初期ゲーム『ディープスキャン』が収録されている。本編でコンティニューする為のクレジットはこれを遊ばないと増えない。
      因みに初期クレジットはたったの3しかない。上級者は兎も角、本編クリアに多くのクレジットが必須な初心者にはただただ面倒な要素である。
      • 続編の『2』移植版ではクレジット増やしは撤廃されたものの、逆に本編でのコンティニューが制限される事態となってしまった。
  • 2006年4月27日には、SS版を基にし新モードを追加したプレイステーション2版『SEGA AGES 2500シリーズ Vol.26 ダイナマイト刑事』も発売された。詳細は後述。

続編等

  • 本作の直接の続編は以下の通り。
    • ダイナマイト刑事2 カリブの海賊編(1998年)
      • システム基板がMODEL2になり、グラフィックや動きが格段に進化。詳細は該当ページ参照。
    • ダイナマイト刑事EX アジアンダイナマイト(2007年)
      • NAOMI基板で製作された、DC版『2』をベースにしたバージョンアップ版。開発は内田氏率いるセガ上海。
      • 新たに「コスチュームチェンジ」という強化システムが追加されたが、チェンジによりかえって弱体化することが殆ど、評価はイマイチ。
        恒例のCAUTIONシーンは従来のコマンド入力式に加えて3択クイズが追加された。
        グラフィックは一新されているが、ゲーム自体はリメイク的なものなので、人によっては焼き直し感を強く感じるかもしれない。
      • 2023年現在、シリーズで唯一他機種への移植がされていない。
  • 他、本作のシステムを流用した作品として、『THE HOUSE OF THE DEAD』シリーズの外伝作の『ゾンビリベンジ』も存在。
    • こちらは敵がテロリストから派生元のシリーズ同様ゾンビに変更されている他、世界観から明らかに浮いている「毒島力也」がカルト的人気の作品になっている。
  • ベルトアクションを発展させて全方向への攻撃を可能にした本作の手法は、続編や後の『スパイクアウト』などに受け継がれていく。
  • セガ・カプコン・バンナムの3社によるコラボレートゲーム『PROJECT X ZONE』に、セガ代表の一人としてブルーノが参戦している。ボイスはブルース・ウィリスの吹き替えを担当した経験がある、樋浦勉氏。
  • 2014年にノベライズ版「ダイナマイト刑事 BURNING 2020」が発売された。発売は『いっき』『スペランカー』『アイドル八犬伝』などレトロゲームのノベライズで有名な桜ノ杜ぶんこ。
    ストーリーは上記の「EX」直後からスタートし、イラストは『逆転裁判』で有名な岩元辰郎氏、シリーズ創始者の内田氏も監修として参加しており、ほぼ「『刑事』の新作」と言える内容となっている。

SEGA AGES 2500シリーズ Vol.26 ダイナマイト刑事

【せがえいじす2500しりーず ぼりゅーむ26 だいなまいとでか】

対応機種 プレイステーション2
メディア CD-ROM 1枚
発売元 セガ
開発元 セガ(上海&日本)
発売日 2006年4月27日
定価 2,500円
プレイ人数 1人~2人
レーティング CERO:15歳以上対象
配信 ゲームアーカイブス
2012年8月22日/800円
判定 良作
バカゲー
ポイント 『ダイ・ハード』やおバカっぽさがより強化
あまりにも高難易度過ぎる追加モード
良移植だがメモリーカード未対応
SEGA AGESシリーズリンク

概要(2500)

『ダイナマイト刑事』のPS2移植版。開発は内田氏率いるセガ上海。
サターン版の完全移植の他、様々な追加要素が存在する(半分ぐらいはおバカ要素だが。)。


評価点(2500)

  • 「SEGA SATURN MODE」以外のほぼ全てのモード(後述)で、ありとあらゆるグラフィックがハード相応にフルリメイクされた。
    • ゲーム内容はオリジナル版と同じだが、モードによっては武器の外見が変わる。
      • 銃器類は通常モード以外では数種類からランダムに変わる。一例としては、通常モードの拳銃と短機関銃は『ダイ・ハード』そのものなベレッタ92とMP5だが、「DEADLINE MODE」では映画『ロボコップ』で主人公が使うオート9拳銃や、『メタルギアソリッド』でお馴染みのソーコムピストルやファマスが登場する事がある。
    • 一部シーンでは新たな効果音や背景描写が追加。
      • 「非常に珍しい降雪の中、年越しを控えるサンフランシスコ」という舞台設定に準じ、屋外ステージでの降雪描写・3面ロビーの背景にクリスマスツリーが追加された他、シリーズ創始者の内田氏が今までプロデュースした作品に関する背景物も各所に追加された。
    • キャラ外見も進化。ブルーノはほぼブルース・ウィリスそのものとなり、オリジナル版で散々ネタにされた大統領の娘も大分可愛くなった。
      • 公式サイトでは『当時「助けたくない」とさえ言われた大統領の娘もこのとおり』と、比較画像付で紹介されている。

追加モード

  • 様々なモードが多数追加されている
  • 最初から選べるモードは以下の3つ。
    • サターン版の完全移植である「SEGA SATURN MODE」
    • 純粋リメイクな通常モード「DYNAMITE DEKA MODE」
    • 初期ライフが2倍となり、若干倒されづらくなった「EASY MODE」
      • 後述するコスプレ機能により、2面冒頭で『ゴールデンアックス』の衣装に着替えられる。
        3面のボス「アメフットマン」も同作の「デスアダー」衣装に着替えており、BGMや背景までもが同作仕様になっている。
  • 以下は上記モードクリア時に表示されるコマンドを入力すると登場していく追加モード。
    • 逮捕のみで(四本足ロボ以外の)敵を倒す「ARREST MODE」
    • 敵も味方も(ボス以外は)銃火器一発で死亡する「ONE SHOT KILL MODE」
    • ダメージで死なない代わりに制限時間が存在する「DEADLINE MODE」
      • 「アメフットマン」も『エイリアンストーム』のボスのマスクを装着し、ご丁寧にBGMも同作仕様となる。
    • プレイヤーが『獣王記 -PROJECT ALTERED BEAST-』の獣人となる「ALTERED BEAST MODE」
      • ご丁寧にシステムや通常BGMも同作同様となり、ライフが常に減少していく為、敵を攻撃した際に出る「スピリットボール」取得が必須。
  • 通常モードと「ALTERED BEAST MODE」を除き、特定のステージ中に落ちている衣装付マネキンを拾う事によってその衣装に着替える事が可能。
    • ただし上記の『EX』とは異なり、着替えたところで性能が変わるわけでもない。ただのネタ要素である。

その他の追加要素

  • ミニゲームとして1966年に稼働したアーケードゲーム「ペリスコープ」が追加。
    • 家庭用移植の際、クレジット稼ぎのミニゲームとして往年の名作が移植されるのが恒例行事となっていたが、まさかのエレメカ移植である。
      シークレットホームページでは製作時の苦労話が収録されていた。
  • ボタン毎の設定が可能なオプションや、ギャラリー兼サウンドテストモードも収録。
    • ギャラリーでは数々の資料やサターン版取説の他、当時話題となったサターン版CMも見る事が出来る。

問題点(2500)

  • 「EASY MODE」以外の追加モードはコンティニュー不可能。
    • 難易度の高さと相まって、冗談抜きで神様レベルの腕前が無いと追加モードを堪能する事ができない。
  • メモリーカードに対応していない。
    • そのためプレイするごとにパスワードを入れなおしたりオプションを設定しなおしたりしなければならず、若干面倒。
      とはいえ、それを差し引いても良移植。上記のコンティニューと共に対応していれば間違いなく優良移植だっただろう。
    • 下記の公式隠しページでは、ゲーム中のキャラにメモリーカード未対応について頭を下げて謝罪させていた。

総評(2500)

システム周りに若干難があるものの、全力で斜め上に突っ走りましたという全盛期セガのバカっぷりを堪能できる良移植。
もしプレイ出来る環境があれば、ここからダイナマイト刑事の世界に触れてみるのも一興だろう。


余談(2500)

  • 移植復活にあわせ、おバカ・おふざけ要素満載だった公式サイトもこっそりと復活していた。
    • 2017年時点で既に消滅しているが、SEGA AGESでの公式サイト下部に「ぱすわーどの小部屋」*17へのリンクがあり、同ページにて各モードクリア時に表示されるパスワードを入力すると、「挺身過激団・爆組」による様々なページが閲覧できた。
      中にはこんな隠しページも。
    • 具体的にどういうものなのかはアーカイブ保存が完全でない為、現在は閲覧できない事が残念でならない。
      + 隠しページ一覧。筆者が記憶を頼りに書いた概要付き
      ページ名 大まかな内容
      ダイナマイト刑事エネミーキャラ名鑑 ALIENBURGER*18で解禁。俗に言う「敵キャラ紹介」。
      紹介文は刑事シリーズの裏設定のみに登場する記者「リチャード・コーンフィールド」の回想という形を取っていた。
      因みに、敵キャラの名前や設定は当時のスタッフ「ヒライ刑事」が復活に合わせてヤケクソで設定したらしい。
      ペリスコープ移植秘話 HOLLYWOOD*19で解禁。内田氏自らが綴った、至極真面目な移植ドキュメンタリー。
      「刑事といえばおまけで旧作移植」「ポリゴン表示が得意なPS2による製作」という事で、
      「初期のセガが製作した、最初期の立体的なエレメカ」であるペリスコープの移植が決定したらしい。
      当初は何とか探し当てたアメリカで死蔵されていた筐体を丸コピしようとするも、予想以上に破損が酷かったため、
      結局は効果音や一部グラフィックは実機を頼りに一から手作り*20した事が明かされていた。
      戦いの記録 TRICLOPSで解禁。前作までのサイトの復刻版。『2』の「ぱすわーどの小部屋」等は閲覧不可だった*21
      「ニトロ山田(偽名)」改め「ニート山田子(偽名)」による、今だからこそ言える裏事情やその後が書かれた一言が追加されていた。
      神田むー子(仮名)のうらはら
      ☆Tsundere Heart☆
      WENDIGO*22で解禁。俗に言う「壁紙コーナー」だが、絵柄は新旧大統領令嬢やウルフ本郷と、微妙なものばかりだった。
      ニート子(偽名)とニート美(偽名)の
      わくわく☆刑事AGESレポート
      ZAIJIAN*23で解禁。(恐らくは)「ニート山田子(偽名)」による、妄想・おふざけ全開のトークページ。
      内容は「セガが新ハードを作り、ゲーム業界に革命が起きる」という明らかなトンデモ理論を振りかざすニート子と、それを突っ込むニート美というもの。
      ニート子は偽の円グラフ等を例に取り力説するが、ニート美が不正に気づき、最終的にはニート子を問いただすも捕まり、同じ思想に洗脳されるというオチだった。
      …以上の内容通り、ページ名とは裏腹に実際の内容は刑事とは一切関係無く、何故か『トリガーハート エグゼリカ』のキャラも使われていた*24

配信(2500)

2012年8月22日には上記のPS2版がPSストアで配信され、価格は800円。しかし、やはりセーブ機能は存在しない。
データをPS3のHDDに保存する形式の為、元々短かったロード時間がさらに短縮されており、PS2版以上の快適なプレイが可能となっている。

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最終更新:2023年11月01日 10:40

*1 公式サイトでの通称は「内田刑事長」(うちだでかちょう)。

*2 サンフランシスコ州に拠点を構えていたセガ・オブ・アメリカの社内開発部門。通称「STI」。過去には『コミックスゾーン』や『カメレオンキッド』、『ジ・ウーズ』、『ソニックスピンボール』などを開発しており、本作が同社最後の開発作となった。

*3 この内、相撲取りの方の「明日乃山留吉」(あすのやまとめきち)は続編の『2』でもボスとして再登場する。

*4 設定上はウルフ本郷が表向きに経営し、エターナルタワーの警備も担当している警備会社の所有物らしい。

*5 何れも消防服を纏った敵で、前者は2面で初出する標準体系、後者がラスボス前に登場する大型体系。当然元ネタは「トムとジェリー」であり、解説でも「いつも仲良く喧嘩している。きっと前世は追いかけっこでもしていたんだろう」(要約)とあった。

*6 前者は2面冒頭で悲鳴を上げながらゴミ箱に落ちたり、トイレで用を足している黄色い服の敵で、後者は言うまでも無い。「コイツらの動きや外見のせいでCEROのレートが上がりかけたという噂がある」(要約)との解説があった。

*7 3面で初出する、「BADBOY」(悪童)と書かれた警察風の防弾装備に身を固め、拳銃で武装したマスク男。

*8 3面のボス。PS2版では胸部プロテクターに「29」の数字があるが、これは「日本では29という数字は肉好きの証拠らしく、きっと彼も肉好きなのだろう。被り物好きでもある」(要約)との解説があった。

*9 そしてその数少ない武器で武装したSWAT隊員「カミカゼホワイト」と「カミカゼブラック」(PS2版で命名)は、1面スタート時にブルーノらを潜入させる為の囮となるも、その役割をほとんど果たせずに即殉職してしまっている。

*10 拳銃は『ダイ・ハード2』でテロリストが使用していたグロック拳銃、短機関銃はシリーズ通して悪役に使用されているMP5短機関銃風。

*11 アーケード版のみ、ディップスイッチで残機制と切り替えることも可能。

*12 時系列上では『ダイ・ハード』の事件解決後らしく、階級は「警部補」。

*13 『ダイ・ハード』に登場した、日本企業のロサンゼルス支社である高層ビル。外見は同映画の配給元「20世紀フォックス」社の社屋そのもの。ただ、日本版のエターナルタワーがツインタワーであるのに対し、ナカトミプラザはシングルタワーの為、海外版では第2ビル屋上や連絡通路が舞台となる4面で矛盾が生じている。

*14 偶然か否か、サミーがATOMISWAVEで開発していた(未発売に終わった)3D格闘ゲームにこのタイトルが使われていた。

*15 主に登場人物の迷言等だが、当然ながらこれらの台詞はゲーム中には一切登場しない。

*16 元ネタは『サクラ大戦』の「帝国華撃団・花組」。

*17 この要素は『2』が初出。

*18 内田氏が過去に手掛けた『エイリアンストーム』から。

*19 刑事シリーズの元ネタである『ダイ・ハード』がハリウッド映画として有名だからか。

*20 魚雷が推進する効果音は物同士を擦り付けた音を加工し、実機そのものではないが、何とか満足のいく仕上がりに漕ぎ着けたとか。

*21 セガ社内に残っていたアーカイブから復刻したらしく、一部ページは復刻出来なかったらしい。

*22 PS2版「獣王記」で主人公が変身できる雪男から。

*23 中国語で再見(またね)という意味。内田氏がPS2版開発当時、セガ上海に在籍していた為か。

*24 ニート子がフェインティア、ニート美がエグゼリカ。勿論、使用に関しては制作会社の「童」から許可を得ているが、このページでは内容のせいか目隠し線がなされていた。同ゲームはPS2版刑事と同時期稼働した「EX」でも、メイドカフェステージの背景としてポスターが登場していた。