このページでは『名探偵コナン 魔術師の挑戦状!』『名探偵コナン 西の名探偵 最大の危機!?』『名探偵コナン 夕暮れの皇女』の三作品を紹介しています。


名探偵コナン 魔術師の挑戦状!

【めいたんていこなん まじゅつしのちょうせんじょう】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ワンダースワン
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売元 バンダイ
開発元 バンダイ
キャラメル・ママ
トムキャットシステム
発売日 1999年8月5日
定価 3,600円(税抜)
判定 なし

概要

青山剛昌の人気漫画『名探偵コナン』を元にしたゲームの一作。ワンダースワンで発売された三部作の第一作目。
当時最新作だった映画『世紀末の魔術師』とコラボしており、シナリオにも若干同作がらみの話がある。

  • チュートリアルを含め全部で6つのシナリオがあるオムニバス形式。タイトルメニューから好きなものを選択できる。
    • 最初は選べるシナリオが制限されるが、ゲームを進めるとシナリオが増えていく。
    • シナリオの出現状況はオートセーブされる。プレイ中はマップ画面で呼び出せる手帳画面から中断できるようになっている。
  • ゲームの進め方は米花町マップをメインとしてあちこち移動して情報を集め、選択肢と後述のマルバツールで捜査を進めていく。
    • GBのシリーズのようにキャラを歩き回らせる要素はなく、純粋なアドベンチャー画面で進行する。
    • メイン画面にはいくつかのコマンドが表示されており、場面に応じたコマンドを選択することで会話やアイテムの使用が出来る。
    • 前述の手帳画面では登場人物やこれまでのあらすじの確認などが可能。マルバツールを呼び出すのもここから。

マルバツール

  • 本シリーズの特徴的なシステムであり本編となるパズルゲーム。今作の推理は全てここで行う。
  • いわゆるマトリックス式のロジックパズルで人物や時間、行動などがキーワードとなり、捜査パートで得た証言を元に関連するキーワードが交錯するマスに○を、関係のないマスを×で埋めていく。全てのマスを埋め、解答が合っていればクリアとなる。
    • キーワードの種類に応じて小と大のサイズがあり、小は3種類のキーワード、大は4種類のキーワードの関連性を解答する事になる。
  • メインシナリオを全てクリアした後はおまけとして全30問のパズルに挑戦することが出来るようになる。本編では何度ミスしても大丈夫だが、このモードでは3回ミスすると終了。
    • 全問クリア時にはミスした回数とタイムでランクが表示される。また、おまけエピローグを見ることが出来る。

評価点

  • グラフィックは美麗。イベントグラフィックも多く、原作の雰囲気はよく再現できている。
  • パズルがメインのゲームなので、シナリオ自体はスムーズに進められるよう配慮されている。
    • ADVパートの各種コマンドは必要なモノ以外は暗くなっているため、迷うことなく進められる。
    • 人によっては不満点かもしれないが、選択肢によるゲームオーバーもないのでシナリオ進行自体は難易度が低い。
    • シナリオの出来は普通。最終シナリオではこれまでの話で登場した「ある物」が重要な秘密を握っていることが明かされるなど、盛り上げ方も良い。
  • マルバツールはなかなか良く出来ており、おまけ問題集もあってかなり遊べるものとなっている。
    • 自分で情報を元にアリバイなどを論理的に組み立てていく過程は面白く、手軽に推理している雰囲気を味わうことが出来る。
    • ゲーム開始時にチュートリアルシナリオでしつこいくらい解き方を教えてくれるため、すんなりプレイできるのも良い。ちなみにこのチュートリアルで『世紀末の魔術師』の予告編を見ることが出来る。
    • マスを埋めるヒントが文章なので、ある程度内容を読み取る必要があり捻った言い回しも多く、なかなか頭を使わせてくれる。ゲームバランスも良く、序盤は本当に簡単だが問題集の後半などはかなり難しい。

問題点

  • マルバツールを使う手帳画面に行くには街のマップまで戻る必要があり、少々面倒くさい。
    • 手帳画面を開くたびに本体を持ち替える必要があるため、やはり面倒。
    • また、中断するのも手帳画面からしか出来ないためマップ画面に戻れない場面では中断することができない。
  • 何度でもシナリオをプレイできるが、クリア評価などはないのでリプレイ性は薄い。マルバツールでミスするとその場で間違いを教えてもらえるため、そういった部分での難易度は低め。
    • 実質的な内容は推理ADVというよりパズル寄りなので、その辺に期待すると肩透かしを食らうかもしれない。
  • シナリオの出来自体は普通なのだが、おまけエピローグの内容が原作の重要事項を完全に無視している。
    + ネタバレ
  • 怪盗キッドからの問題を全て解いたコナンは数日後、新聞で多数の事件が解決していることを知る。コナンの解答を元にキッドが解決するよう仕向けた、という展開なのだがその新聞記事に大きな問題がある。
  • よりにもよって「事件解決の糸口となったのは工藤新一からの手紙が決め手だった」と掲載されているのである。
    • 言うまでもないが、コナンは工藤新一が生きていることを組織に知られないよう細心の注意を払っている。それを完全にフイにする原作破壊と言っても過言ではない展開である。このキッドの行動に対してコナンは慌てるでもなく「今回も引き分けだな…」と一言漏らすだけ。

総評

何と言ってもマルバツールの面白さが光る一作。縦持ちを活かした画面構成も完成度が高い。
誰でも手軽に推理している雰囲気を味わえ、他の推理ADVとはまた一味違った面白さを秘めた佳作パズルである。
シナリオもおまけエピローグを除けば原作の雰囲気やネタはしっかりしているので、原作ファンも楽しめるタイトルである。


名探偵コナン 西の名探偵 最大の危機!?

【めいたんていこなん にしのめいたんてい さいだいのきき】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ワンダースワン
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売元 バンダイ
開発元 バンダイ
キャラメル・ママ
トムキャットシステム
発売日 2000年7月27日
定価 3,800円(税抜)
判定 なし

概要(2)

『名探偵コナン』を題材にしたワンダースワン三部作の第ニ弾。
基本は前作を引き継ぎつつ、いくつかの新要素、操作性の向上などシステム面のブラッシュアップが図られている。前作の登場人物も登場する。

  • ADVパートとマルバツールをメインとしてゲームを進める流れは同じだが、新たに「Hintシステム」という要素が加わった。
    • マルバツールを解くための情報は「Key証言」と名前が付き、手帳画面で集めた数と内容を確認できるようになった。
    • また、前作ではミスすると自動的に判定されていたが、今作では確定ボタンを押すまで正解か分からないようになり、よりパズルゲームらしく難易度も上がっている。
  • Hintは特定の場面で入手できる情報だが、そのままではマルバツールで使用することは出来ない。Hintを投げかけたい相手の所で手帳画面からHintメニューを開き、聞きたいHintを選ぶことで新たなKey証言を入手できる。
    • Hintは一度に複数使う必要がある場面もあり、画面下に必要数が表示されるようになっている。ただし、現在持っているHintが必要数を満たしていてもそれがそのまま正解とは限らない。
  • 特定の場面では画面内を調べる捜査パートや情報を頼りに車を追いかける追跡パートなども挿入されるようになった。
  • シナリオ選択時に難易度を選択できるようになり、クリア時には評価ランクも出るようになった。
  • また、新要素としてタイトルメニューから見られる「コナン手帳」が追加された。プレイヤーの情報や友達の情報を交換できるシステム手帳となっている。登場人物紹介などもここに移動し、おまけとして占い遊びも搭載された。
    • オリジナルの登場人物の名前が登録されている名前に変化する遊びもある。

評価点(2)

  • マップ画面やマルバツールからいつでも中断できるようになり、シナリオの途中でもセーブが入るようになったため手軽さが増した。
  • マップ画面に戻らなくてもマルバツールをいつでも開けるようになり、全てのKey証言が集まっていない状態でも書き込めるようになった。
    • 前作ではマルバツールのキーワード表示はひらがな、カタカナだけだったが、今作では漢字も使うようになり、視認性が向上している。
    • また、前作ではマスにカーソルを合わせると自動でキーワードがスクロールして見づらかったが、今作ではキーワードにカーソルを合わせることで拡大表示されるようになり見やすくなった。
  • Hintシステムや捜査パート、追跡パートが追加されたため、推理ADVとしての出来も向上している。
    • 中には事件と関係のないHintもあるが、各キャラを掘り下げるような話が聞けるものになっている。
  • 大筋は変化しないものの、途中の選択肢で違った展開を見られるようになった。
  • 本体縦持ちにするのもマルバツールやコナン手帳を使用する時だけになり、快適性が上がっている。HintやKey証言の確認も横持ちのまま可能。
  • ランク表示のおかげでやりこみ要素が増え、一度クリアしたシナリオも何度でもプレイする意欲が湧くような作りになった。
  • タイトルメニューの「おまけ」から一度見たイベントグラフィックを閲覧できるようになった。

問題点(2)

  • シナリオ開始時、前作はシナリオタイトル画面を飛ばすことが出来たが、今作は飛ばせなくなっている。
    • Key証言やHint入手時の演出など、ややテンポを崩す演出が追加されている。
    • シナリオ終了時にも毎回登場人物紹介や評価画面が出て、これらは全て飛ばすことができない。
  • タイトルから服部平次の活躍を期待するだろうが、彼らが登場するのは後半の2シナリオのみ。ここで肩透かしを食らったという人も。
    • ただし、シナリオ構成自体は探偵団メイン、警察メインといった形で主要メンバーが変わり、バリエーション豊か。
  • マルバツールは漢字を使うようになったためか、前作のサイズ小にあたる問題しかなくなってしまった。
    • また、前作にあったおまけパズルも削られてしまった。

総評(2)

操作性の向上やメニュー周りの改善、Hintなどの新システムで全体的な完成度が上がった。
また、ところどころにキャラクター同士の関係を中心とした描写があり、キャラクターモノとしても良シナリオに仕上がっている。
キャラゲーとしては中々の出来だが、前作のようなおまけ問題集がないのでパズル好きにはやや物足りないかもしれない。


名探偵コナン 夕暮れの皇女

【めいたんていこなん ゆうぐれのおうじょ】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ワンダースワンカラー(モノクロ両対応)
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売元 バンダイ
開発元 バンダイ
キャラメル・ママ
トムキャットシステム
発売日 2001年4月5日
定価 3,980円(税抜)
判定 なし

概要(3)

『名探偵コナン』を題材にしたワンダースワン三部作の完結編。
シリーズでは唯一カラーに対応しており、より美麗になった画面でゲームを楽しむことが出来る。
前作、前々作との連動要素もあり、商品コードの入力や通信ケーブル*1を使用して連動することでシナリオに変化が起きるようになっている。

  • 前作のHintシステムを発展させた「推理ボックス」システムが採用された。
    • 前作は特定の人物にHintを使うことで新たな証言を得られたが、今作では提示される謎に対して複数の証言を当てはめて推理することで先へ進めるようになった。
    • この提示される謎は大きく分けてストーリーを進めるのに必要なメインの謎と、メインの謎を解くために必要なサブの2種類がある。サブやマルバツールを解くことでメインを解くための証言が手に入る仕組みになっている。
  • 手帳システムが本格化。推理ボックス、キーワード、マルバツール、セーブとプレイマニュアルが1つに収められている。
    • 本体を縦持ちにし、上下で項目を切り替え、左右でページ送りという操作でより本格的なものになっている。
  • 新要素として時間制限付き選択肢が登場。
  • ストーリーのスケールも大きくなり、前作までのオムニバス形式から1つの事件を追っていく形式になった。
    • 完結編のため、前作、前々作の登場人物も大量に登場する。以前の登場人物のその後が語られたり、再び容疑者となったり役割は様々。
  • 前作でなくなったおまけパズルが復活した。
    • ストーリー中にパズル同好会のメンバーを見つけたり、前作との連動で問題をプレイすることが可能。全てのパズルを解くと最終章、おまけシナリオがプレイ出来る。
  • メインメニューに前述の連動やおまけパズル、前2作のあらすじが読める「灰原の部屋」が追加された。

評価点(3)

  • より美麗になったグラフィック。
    • 登場人物、イベントグラフィックなどがカラー化され、視認性も向上。逆に背景はセピア一色で構成されており、独特の雰囲気を出している。
    • タイトルにもある「夕暮れの皇女」ことアレキサンドライトが、光によって色が変化する性質を持つのもカラー化によって視覚的に分かりやすくなっているなど、カラー化による恩恵は多い。この色が変わる性質は謎解きにも関係してくる。
    • また、大サイズのパズルも復活し、キーワードの表示も前2作の折衷になり見さすさと難易度を両立している。
  • 前2作の要素を全て絡めたストーリーも見所。最終的にはあの組織まで登場する、まさに完結編と呼ぶに相応しい展開が用意されている。
    • 発生する事件の数こそ少ないもののストーリーは長く、蘭たちに危機が迫ったり、コナンが爆発する建物に取り残されたりと劇場版のような展開も。

問題点(3)

  • 以前のシリーズから流用されているイベントグラフィックは一部を除いてカラー化されていない。
  • 推理手帳システムが大きく変更されたため、慣れるまでが大変。
    • 情報を集めてマルバツールを解けばよかった前2作と異なり、マルバツールも証拠を集める手段の1つに過ぎず、フラグ立ても複雑化している。
    • また、手帳画面が縦画面にまとめられたため、頻繁に本体を持ち替える問題が再発した。

総評(3)

  • 美しくなったグラフィック、完結編に相応しいストーリー展開、システム面の作りこみなど全体的には質の高いタイトル。
  • 前2作のあらすじも収録されているものの、ぜひ『魔術師の挑戦状!』からプレイしてほしいタイトルである。

余談

  • 本シリーズのメインシナリオを担当したスタッフがオススメポイントや裏話を掲載しており、現在でも読むことが出来る。興味のある人はググってみよう。
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  • バンダイ
  • 名探偵コナン
  • トムキャットシステム

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最終更新:2021年08月08日 14:43

*1 通信ケーブルが使えるのは『西の名探偵』のみ。なくても商品コード入力で連動可能。