沙耶の唄

【さやのうた】

ジャンル サスペンスホラーアドベンチャー
対応機種 Windows 98~XP
メディア CD-ROM 1枚
発売・開発元 ニトロプラス
発売日 2003年12月26日
定価 4,800円(税別)
レーティング メディ倫: 18歳未満禁止
廉価版 NITRO THE BEST!:2009年7月31日/2,800円
あそBD:2013年2月28日/5,800円(共に税別)
配信 2009年7月30日/2,300円(税別)
判定 なし
ポイント グロゲーの皮を被った純愛?
物語に特化した設計
ニトロプラス作品リンク

WARNING!!!!!!!
本作は18歳以上のみ対象のアダルトゲームです。
また閲覧の際はゲーム本編のネタバレに注意してください。


概要

処女作の『Phantom』以来、ハードな作風で人気を博していたブランド「ニトロプラス」の第六作目。シナリオは『Phantom』を手がけた虚淵玄(うろぶち げん)氏が担当している。
当時の宣伝では、(ハードな展開に定評のある)虚淵玄が珍しい恋愛モノに挑戦していることが強調されていたし、発売前の宣伝には、キャッチコピーの「世界を侵す恋」 *1 など実に当たり障りのない文句が躍っていた。だがいざ発売されてみると、パッケージ裏には「サスペンスホラーアドベンチャー」とジャンル名が書かれ、異種陵辱モノを思わせるサンプルCGが載っていた。

ストーリー

あらすじ(ダミー?)

以下は通販サイト「げっちゅ屋」の紹介記事に添えられていた宣伝文である(現在では別の物に差し替えられている)。当時の記事はこちら

 ニトロプラス・アクションシリーズでお馴染みの虚淵玄&中央東口の両氏が、今回は得意とするアクション活劇路線はあえてとらず、男女の恋愛物語、そしてアダルトゲームとしてのHCGの充実など、新しい作風へとチャレンジした意欲作となっている。
 医科大学に籍を置く男女4人の恋物語。そして、ある日とつぜん郁紀(ふみのり)の家へと転がり込んでくる謎の少女・沙耶。人知れず悩みを抱えた一人の青年が、様々な人々との出会いと別れを経験し、ついには自分なりの人生を切り開いていこうと歩み出す……。
 内容はアドベンチャータイプのマルチエンディングを採用。低価格設定の短編ものではあるが、両氏の作り出す新しい作品に触れてみてはいかがだろうか。

一見普通に見える宣伝文だが、経験者には「明らかにダミーだが嘘はついていない」と思わせる、やけに巧妙な文となっていた。

実際のゲーム内容

+  注意! ゲーム内容の重大なネタバレあり

評価点

  • プレイ中の没入感は高い。本作は(一般的なアダルトソフトと比べると)低価格ソフトなのだが、それは決して「手抜き」という訳ではない。CG、テキスト、BGM、声優陣の熱演、どれもがプレイヤーを魅了するのに十分過ぎるクオリティを誇っている。

難点もしくは注意点

  • かなり人を選ぶストーリーなので、人によっては「開始5分でギブアップ……」という事態になるかもしれない。
  • ややボリュームに欠ける。ボイススキップなしかつ全ルートをプレイしても10時間もあれば終わる。そのため、ゲームというよりは「読み物」とみなした方が妥当と思われる。
    • 話の骨子はしっかりしているが、短編という事情もあって全体的に話の進行は駆け足。
    • ゲーム全体を通して選択肢は2つしかない。そしてどちらも結末に大きく作用する。
  • グロ、残酷描写がある。間接的に描写されているため、それが却って恐ろしく感じられることもある.
    • 直接的なものもあり、特に郁紀の友人が彼らの「ご馳走」を見てしまうシーン(通称「冷蔵庫」)はトラウマ必至。また、頭蓋骨のアップもある。
    • グロ画像カット機能が付いていることは付いているが、残念なことに背景にしか適用されず、上の文章で挙げてるシーンはどうやっても回避できない。
  • ジャンル的には「エロゲー」だが……
    • 行為に及ぶシーンも少なく、「その全てが郁紀の視点から見たものである」ことを注記しておく。
    • 中央東口氏の影が濃い画風やゲーム全体の雰囲気も相まって、劣情を催すというよりは背徳の要素が強い。
    • という訳で、そっち方面では全く期待できない。もっとも当時のニトロにそれを期待するのは筋違いでもある。
  • バックログ閲覧機能の操作性が少し悪い。これはベスト版でだいぶ修正された。

総評

ニトロプラスの、いや18禁ゲームというジャンルにおける大問題作。
扱っている題材が極端であり、陰惨な描写があちこちに存在するため、軽い気持ちで手に取ることは絶対に避けたほうがいい。仮に覚悟を決めてプレイしたとしても、何とも言えない気持ちにさせられるのだから。
ただし、ただ「グロい」「救いがない」というだけではない。このゲームのエンディング全てが郁紀と沙耶の離別であることはすでに述べたが、3つ全てが「悲しくも美しい別れ」であり、プレイした人全てが「愛」について深く考えさせられる内容となっている。
そのため本作はニトロプラスとシナリオライターの虚淵玄氏を語る上で外せない作品となっており、ファンも非常に多い。発売後長い年月を経てもなお語り継がれていくであろう作品であることは間違いない。

余談

  • 本作での使用曲名はすべて「S」で始まっている。
    • テーマソングの名前もズバリ「沙耶の唄」である。唄っているのはニトロファンにはわりとお馴染みのいとうかなこ女史。近年では『School Days』のバッドエンドテーマ曲を唄っていた。
  • 沙耶はキャラ人気が高く、後にニトロプラスが製作した対戦格闘ゲーム『ニトロ+ロワイヤル』『ニトロプラス ブラスターズ -ヒロインズ インフィニット デュエル-』にも出演した。やっていることはある意味原典以上にえげつないのだが、こちらはお祭りゲーなだけに陰鬱さは微塵も感じられない。
  • なんとアメコミにも進出。アメリカ向けにリメイクした結果なのか沙耶はセクシーな大人の女性に、郁紀はガチムチの尻顎男になっている。また、本編でははっきり描かれなかった沙耶の真の姿は昆虫のようなエイリアンとして描かれている。
    • ちなみにシナリオは原作ゲームを踏襲しながらも、独自の展開となっている。
  • Andoroidアプリにも進出している。当然18禁。
  • 虚淵玄氏が脚本を担当したアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」が大ヒットを記録した2011年には本作も再注目されて売り上げを伸ばし、半年足らずの間に新作ゲーム一本分ほどの利益を稼ぎ出したという。
  • 『クトゥルフ神話』『火の鳥 復活編』のオマージュであることは上で触れられた通りだが、ヒロインである沙耶の設定や恋愛描写の一部は新井素子の小説『グリーン・レクイエム』が元ネタと思われる。