這いよれ! ニャル子さん 名状しがたいゲームのようなもの

【はいよれ にゃるこさん めいじょうしがたいげーむのようなもの】

ジャンル 邪神の混沌アドベンチャー

対応機種 プレイステーション・ヴィータ
発売元 5pb.(MAGES.)
開発元 ガイズウェア
カムイ
トムキャットシステム
発売日 2013年5月30日
定価 通常版:6,090円
限定版 輝くトラペゾヘドロンBOX:8,190円
判定 なし
ポイント タイトルに偽りなし

概要

クトゥルー系ラヴ(クラフト)コメディという異色ライトノベル『這いよれ!ニャル子さん』のテレビアニメ第一期*1をベースとするADV。
シナリオ中盤まではアニメ版準拠だが後半はゲームオリジナルで、そこには出番の少なかった(というか削られた)キャラの登場シーンが追加されている。

なお、ゲームとしての出来はまさしくタイトルが示す通り「名状しがたいゲーム のようなもの 」であった。

  • ちなみに、このサブタイトル自体は主人公のニャル子(ニャルラトホテプ)が戦闘で主力武器とする「名状しがたいバールのようなもの」に由来する。無論、お披露目時点で「思い出したかのようにクトゥルーネタを織り込むな」とのツッコミ入り済み。アニメ製作チームが「名状しがたい製作委員会のようなもの」となっているなど、本作を代表する定番フレーズの一つとなっている。

クトゥルー神話とは?

ハワード・フィリップス・ラヴクラフト著『クトゥルーの呼び声』*2に端を発し、幾多の作家が世界観や人物を共有して築き上げたシェアード・ワールド。「クトゥルフ」と総称されることもある。
SFの普遍的テーマの一つである「We are not alone(「我々は孤独ではない」=「宇宙の様々な存在は、人類との接触を望んでいる」)」という概念を覆すように人間は塵芥のように扱われ、「姿を見た瞬間に発狂」「真実に近づいたせいで発狂」などの悲惨な最期を遂げるのが通例である。

『這いよれ!ニャル子さん』では「クトゥルー神話の邪神や旧支配者は実在する宇宙人であり、ラヴクラフト氏やダーレス氏は彼らと接触した際にインスピレーションを得て執筆活動を行った*3」ということになっており、神話内の個体名は「○○星人」という種族名という扱いがされている。

  • なお、ラヴクラフト自身も作中でこれらの邪神を「地球外知的生命体」と表現したことがあるなど、実際のところ『ニャル子さん』自体にも数多のパロディ・ギャグの裏に原典ネタが随所にちりばめられていたりする。

システムの特徴

  • 「フラグが立った」
    • 読んで字のごとく、普通はマスクデータになっているキャラごとのフラグが見えるようになっている。具体的にいうと該当する選択肢を選んだ瞬間に「○○のフラグが立った!」と表示される。
    • ちなみに初めてこの表示を見た時に手に入るトロフィーは「○○フラグへし折り失敗」。折るのが前提、というのは原作かららしい。
  • 「CHAOS:LOTる」
    • スロットマシーン風のイベントで、「誰が」「誰に」「何をした」という三つを揃えてミニイベントが見られる。
    • 本編とはかかわりがなく、さらに相手欄には「プレイヤー」までも入っている。
    • 何故か同じ組み合わせを作ってもテキストが既読扱いにならない。バグなのか仕様なのか……
  • 「バッチコーイカメラ」
    • ARを用いたオマケ要素で、クリアすると解禁される。要するにフォトフレーム。
  • 「FORKS GEAR」
    • こちらもクリア後のオマケ。クー子が作った同人ゲームという設定のSTG。

評価点

  • 適当な設定や勢いだけの展開
    • それは問題点ではないかと思われるかもしれないが、そもそも原作の時点でこうなのだから「原作のノリに忠実」というわけである。
    • 原作でもニャル子たちはその場のノリと気まぐれで設定をコロコロ二転三転させ*4、真尋に突っ込まれるたびに「一巡前の宇宙の話だった」「それが世界の選択なんです」「つまらないこと聞かないでください!」とごまかしている。
    • これを詳しく書くとネタバレになるが、今回もやはりオチは「しょうもない」。これもエピローグで毎回「今回も本当にしょうもない事件だった」と漏らす原作再現。
  • ようやく出番をもらえたニャル夫兄さん
    • 原作では二巻でメインを張ったものの、ドラマCDではその二巻からがオリジナルエピソードになったせいでロクに出られず、アニメでも舞台となる「幻夢境」関連の設定や時系列が変更された影響でチョイ役同然の不遇な扱いだったが、今回はかなり目立つ役になっている。とはいえその分一番酷い目にあってもいるが。
    • ちなみに立場が近いノーデンスはドラマCD以降出番が急増し、そして今回もかなり出てくる。作者の逢空先生が、声を演じた島田敏氏の大ファンだから……らしい。

賛否両論点

  • 基本一本道のシナリオ
    • ED以外はほぼ全キャラ共通でシナリオ分岐はない。一応別行動するパートもあるがすぐに合流する。
    • また全篇真尋視点でザッピングや心理描写はない。シンプルすぎる。
  • アニメパートが少ない
    • 起動時とシナリオ開始時の二回だけ。さらに後者はアニメ版のノンテロップバージョンをそのまま使っている。
    • 本編でも立ち絵がそのまま左右にスライドして立ち回りを表現したり、一昔前のADVのよう。
      • 最近でも全く動かないゲームも多いので、どたばた感が出ていて良いとも取れるが。表情差分はちゃんとある。
    • イベントスチルはほとんどがアニメのキャプチャ画像。

問題点

  • シーンスキップがない
    • シナリオが本当に一本道だからなのか、次のシーンへ飛んだりという機能がない。周回プレイ時に少々不便。

総評

タイトル通りの「ゲームのようなもの」で、サイドストーリーつきのファンアイテムといった方が適当。
原作の適当でパロディ全開のノリが好きならば問題なく楽しめるが、そうでないと「半端にあれこれ小ネタを仕込んだ駄キャラゲー」としか思えないだろう(それもあながち間違いではないが)。

+ タグ編集
  • タグ:
  • 2013年
  • トムキャットシステム

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月23日 15:17

*1 FLASHアニメシリーズを含めると三期目。文庫のオビでも「SAN度目の正直!」と書かれていた。

*2 大伯父の不可解な死の真相を探ろうとする主人公が、少しずつ狂気に囚われていく怪異作品。

*3 ただし「ニャル子さん」の世界観では地球はある事情から厳重な保護管理体制にあり、公的機関が認可した業者や職業以外の宇宙人は地球に入れないことになっている。ニャル子曰く「少々アウトローな連中だったみたいで」とのこと。

*4 ティンダロスの猟犬が「ニャル子の実家の斜向かいで飼ってるペット」として出てきた後で「ホットドッグの材料」になっていたり、バルザイのテキオー刀が「環境に適応するアイテム」から「単なる刃物」になったりと、枚挙に暇がない。