アヴェンジャー

【あヴぇんじゃー】

ジャンル シューティング
対応機種 PCエンジン CD-ROM2
メディア CD-ROM 1枚
発売元 レーザーソフト(日本テレネット)
発売日 1990年12月7日
定価 6,780円
判定 なし
ポイント 制裁者「AVENGER」
何気にドラマティックなイベント展開
シューティングとしては凡作レベル


概要

  • PCエンジンCD-ROM2初期から精力的にソフトをリリースしていた今は亡き日本テレネットが放った、オリジナル縦シューティング。
  • 第三次世界大戦中の西暦2036年を舞台に、最終兵器「VOLOS」の世界無差別攻撃を阻止する為、制裁者の意味を込めて名付けられた最新型戦闘ヘリ「AVENGER」を操作して世界を救うのが目的。
  • 一人プレイ専用、全8ステージ構成。

主なルール

  • 主に使うボタンはショットと自機方向固定/特殊兵器使用の二種類。後者に関しては下記にて。
  • 各ステージを始める前に自機の主要兵器(メインショット)、支援兵器(サブショット)、特殊兵器(強力武器)を、各3種類から選ぶ事となる。主要、支援攻撃は他シューティングで言うところの無制限に撃てるショット、特殊攻撃は回数制限のあるボムに近い存在である。
    • 最初は「バルカン」「ロケット」の二種、すなわち主要兵器しか選べないが、ステージが進むにつれて選べる兵器が段々と増えてくる。主な兵器は以下の通り。
      • 主要兵器…射撃スピードが速い「バルカン」、攻撃力の高い「ロケット」、雑魚敵を貫通する「レーザー」の3種。
      • 支援兵器…敵追尾性能を持つ「ホーミング」、自機移動と反対方向に弾を放つ「ディスペンサー」、自機サイドに補助オプションが付いて攻撃してくれる「ガンポッド」の3種。
      • 特殊兵器…画面内の敵弾を消す「E.C.M.」、一定時間無敵になる「バリア」、画面内の敵にダメージを与える「戦術核」の3種。
  • 敵が落とすアイテムは1種類だけだが、アイテムを落としている間、時間経過で3色に切り替わる。以下その効果を示す。
    • 赤状態で取るとライフが1回復、青状態で取ると主要兵器が最大三段階までパワーアップ、緑状態で取ると、支援兵器が一段階までパワーアップ。
  • 自機を左右に移動させると、自機の射撃方向が斜めになる特徴がある。ショットを撃ちながら方向固定ボタンを押しっぱなしにする事により、射撃方向を固定する事が可能。また、ショットを撃たずに同じボタンを押すと、特殊武器が使用できる。
  • ステージ1と最終ステージを除き、一部ステージ前にミッション選択ができる。選択によってステージが変化するのだが、結局は全てのステージを挑む事になるので、特に先を気にする必要はない。また、どの選択の仕方をしてもエンディングなどが変化する訳でもない。
  • ライフ制。ライフゲージが4つあるが、ゲージが0になってもミスにはならず、その状態でダメージを食らうとゲームオーバー。また、一部ステージに存在する壁に激突すると、一撃でミス(ゲームオーバー)となる。

評価点

  • オープニング、及びエンディングで導入されるビジュアルシーンは、なかなか描きこまれている。当時のCD-ROM×2の基準からしても十分なクオリティ。
    • 各ステージをクリアするとボスの撃沈をバックにしたAVENGERの一枚絵が表示されるが、これもやけにかっこいい。
  • 同じくOP、EDでナレーションのボイスが入る演出があるのだが、声の担当はアニメ「北斗の拳」のサウザー役や「開運!なんでも鑑定団」などで知られる銀河万丈氏。あのしぶくてかっこいい口調でストーリーを語ってくれるのだ。
    • 今では考えられないかも知れないが、PCエンジンのCD-ROM2系のソフトで豪華声優陣をばんばん起用するのは、割と普通であったのだ。
  • CD-ROM×2を活かしたCD音源のBGMのクオリティも高くて聞き応えあり。サウンドテストが存在しないのが悔やまれるが。
  • 各ステージの構造は適度で無駄な間延びは皆無。また、他のPCエンジンのライフ制シューティングにありがちな、ダメージを食らうとパワーダウンするペナルティが無いのも良心的。
  • ステージ前に上官から任務の内容を文章表示でされるのだが、これがなかなか熱い。ただ「出撃せよ」みたいな味気無さではなく、敵組織の詳細な状況や、もしこの戦争が終わったら…といった感情を交えた指示が示されて、意外とドラマティックな展開に富んでいる。他ゲームで例えるならアーケードやスーファミの『エリア88』のサキの語り口みたいなものを想像して頂きたい。
    • ただ、このゲームにおいてビジュアルシーンが発生するのはオープニングとエンディングのみ。せっかくCD-ROM2で製作されたのだから、各ステージ終了後にでもイベントを入れて欲しかったという要望もあった模様。しかし、そうしてしまうとテンポが悪くなってしまうという弊害もある訳で、この辺は複雑かもしれない。
    • ちなみに本作のイベントはすべてスキップが可能で、無理にイベントや会話を見る必要は無い。
  • ガチガチのパターンゲームではないが、高いアドリブ力が必須というわけでもない。
    • 適切な立ち回り・武器の選択・特殊武器を使うタイミングのパターンを構築していけば、アドリブで進めない初心者でも道は開ける。

賛否両論点

  • 弾幕以前の時代のシューティングだが、当時としては敵弾数が多い箇所がある。
    • 弾避けが熱いと高評価する人もいたが、手に負えない人もいた。
    • ただしパターン攻略が通用するので、強敵の出現位置を覚え速攻で倒す、敵弾が来ない位置を覚えるなどの手段で対処できる。
  • ディスペンサーを使いこなせるかどうかで難易度が激変する。
    • 威力・連射能力とも十分高いため、敵の配置や行動パターンを把握した上で使いこなせば、支援兵器ながら主要兵器以上の活躍を見せ、攻略が非常に楽になる。ディスペンサーを自在に扱えるようになれば、他の支援兵器を選ぶ必要は無い。
    • その一方で、慣れないうちは思った通りの方向に攻撃するのが難しく、使い勝手が悪い。

問題点

  • ややロードが長く、待たされる事が多い。
  • 自機がもろい。
    • ダメージ後の無敵時間が短く、やられ判定も大きい。それ故に慣れないとある程度の腕前のシューターでも序盤から死亡、なんて事が普通にあり得る。評価点で述べたパワーダウンしない仕様なのが救いだが。
  • 売りであろう自機射撃方向の小回りが利きにくい。左右キーを長く押さないと向きがなかなか変わらない上、その間にダメージを食らう状況に陥りやすい。
    • また、この方向調整自体がほとんど使えない。パワーアップが万全な状態ならば、射撃方向は前方固定だけで終始やっていける程で、わざわざ向きを変える意味合いも少ない。
      • ただし使いこなす事ができれば、敵の攻撃を回避しやすい位置をキープしつつ、効果的に攻撃する事ができる。もちろん、敵の配置や行動パターンを覚える必要がある。
  • 特殊武器もストックが少ない上に性能が微妙であまり使えない。E.C.M.は敵弾を消すだけでストック3、バリアは発生時間が短すぎる上にストック1だけ、戦術核はまだ使える方だが2ストックしかない。
    • 戦術核は緊急回避目的ではなく、高難度の箇所で決め打ちで使うと有用。そのためには、敵配置と使うタイミングを覚えておく必要がある。
  • 全体的に敵配置があまり練られておらず、一言でいえば「雑」なバランス。各ボスの攻撃パターンが単調で、ラスボスも全然ラストという感じがしない投げやりっぷり。
  • ビジュアルシーンのクオリティと反比例するかのように、シューティング中のグラフィックが同期のHuカードソフト並かそれ以下のチープさ。「ビジュアル詐欺だろこれ!」と言われても文句は言えないレベル。
    • グラフィックが本作の1年前にアーケードから移植されたHuカードソフトの『究極タイガー』に似ているが、それと比べても見劣りする程の外見。『究極タイガー』は2Mbitなのに頑張った外見、こっちはCD-ROM2なのにしょぼい…この差は一体?

総評

シューティングとしてはそれなりに破壊する爽快感はあるし、それなりに遊べる出来ではあるのだが、力の入ったビジュアルシーンやストーリー展開と比べると、何かガッカリさせられる、そんな出来。
本作の少し前に同社から発売されたシューティング『レギオン』は擁護できないクソゲーだった事を考えると、まだ本作はまともな部類ではあるが…。


余談

  • タイトル画面でセレクトボタンを押すと、女の子(同社の『コズミックファンタジー』のキャラ、しかもちゃんとボイス入り)を交えたCMが放映される謎のおまけがある。しかも、何故か「近畿日本ツーリスト(実在する企業)」のCMで、コミカル成分ゼロの近未来の戦争が舞台の本作に導入する意味合いが全くわからない。

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最終更新:2022年07月28日 14:58