ソード・オブ・ソダン

【そーど・おぶ・そだん】

ジャンル アクション
対応機種 メガドライブ
メディア 4MbitROMカートリッジ
発売元 セガ・エンタープライゼス
開発元 Innerprise Software
発売日 1991年10月11日
定価 6,000円(税抜)
備考 18歳未満禁止ソフト相応
判定 クソゲー
ポイント 通称「帝王ソダン
CERO:Zにも収まらないゴア描写
酷い劣化移植
劣悪な操作性
かなり死にやすい
薬のつかいかたによっては…?

WARNING!!!!!!!
グロ要素満載のゲームです。



概要

洋ゲーからの移植物。
横スクロールの2Dアクションであり、主人公は男性(ボルダン)と女性(シャルダン)の二人から選べる。タイトルの「ソダン」とは、主人公たちの師匠の名前。

元は1988年にDiscovery Softwareより発売されたAmiga用のゲーム*1だが、メガドライブへの移植にあたりポーションシステムの発展や攻撃モーション毎の有効性の差異など、グラフィックのみならずゲーム内容にも大幅な変更が加えられており、見た目以外はほぼ別ものであるアレンジ移植となっている。

本作は大味すぎる内容と異常なまでに高い難度で当時のゲーマーを驚愕させ、雑誌「BEEP!メガドライブ」の読者投票によるランキングにおいて、前人未到の最下位在位23回を記録した。


あらすじ

 黒魔術師ゾラス…はるか昔、悪魔と交わりし罪によって、東の彼方、暗黒の淵へと追放された狂気の魔人。そのゾラスが人々への復讐のため、悪魔とともに再び現われて、ここ、北の王国を支配するようになってから早、十数年がたつ。国王を始め、力のある者は壮絶な戦いの末ことごとく殺され、後に残った無力の民は、ひたすらゾラスを恐れて圧政の下に虐げられている。

 しかし、今、王国の城塞都市をはるかに臨んで、勇猛な若き二人の戦士が、打倒ゾラスを誓って、悪魔との決戦に挑もうとしていた。剣豪ボルダンとその妹シャルダン…王国の崩壊寸前、密かに城から連れ出された旧国王の子供たちの成人した姿である。

 彼らは西の国に住む歴戦の勇者ソダンに預けられ、幼少より戦士の訓練を受けてこの日のために備えてきた。旅立ちに際し、ソダンは二人に自らの剣を渡し、王国の再興を託したのだった。

 はたして二人は亡き父の無念をはらし、祖先の領土を取り戻すべく、魔人ゾラスを討ちはたすことができるであろうか!?  運命の輪は回り始めている…。

「ソード・オブ・ソダン 取扱説明書」より


評価点

  • 洋ゲーらしく濃い画風で、ドットの描き込みはそこそこ丁寧。
  • 攻撃方法の選択と間合いの取り方が重要で、劣悪な操作性(後述)を我慢すればアクションゲームとしての味は出る。
    • ボタンで斬りを繰り出すほか、方向キーとの組み合わせで突きや大振りも出せる。攻撃方法によって繰り出す速さや当たる距離・範囲・威力などが違い、また敵によっては特定の攻撃しか当たらないため、使い分けが重要。
  • 敵を倒すことで手に入る4種類の薬は、ポーズを押して薬を選択し飲むのだが、この際にアクションゲームとしては珍しく、飲む薬を一度に複数選択できる
    • 組み合わせによって攻撃力倍増や無敵、残機UP、次面へワープなど、ポーションの効果は非常に強力。正しく的確に使用できればプレイが一気に楽になる。中にはダメージを受けるなどマイナス効果もあるが、良い効果は説明書におおむね記載されている。

問題点

劣悪な操作性

  • 歩きがとても遅い。ジャンプしながらのほうが速く進める。
  • 方向キーだけを押した場合は向きを変えない前進or後退になり、振り向くためには「ボタンを押しながら逆方向入力」という操作が必要。敵が左右から出現するので振り向きは頻繁に行う必要があり、振り向く際にも多少の時間がかかるため、とても面倒。

やたらと高難度

  • 敵の数が多く、さらに一体一体が硬い。慣れないうちは挟撃されると為す術もなく殺される。
  • キャラ同士の接触判定がなく、敵と重なってしまうと攻撃が当たらない。こちらは鈍い動きともたつく動作で必死に位置取りすることになる。
  • 即死トラップが多い。
    • たとえばステージ5の落とし穴。微妙にシミになっているところが目印だが、とても分かりにくく、かつ説明書にも載っていない初見殺しポイントとなっている。
    • ステージ6には押しつぶす壁、地面から突き出る針、足場が不安定な溶岩地帯などがある。しかも右から火の玉が飛んでくるため、異常に難度が高くなっている。
  • 男主人公のボルダンは剣の振りが遅く、難度が更に上がる。
  • ただし難しいのはノーマルの話であり、イージーは常識的な難易度。なので実質「ノーマル=ハード」「イージー=ノーマル」と思った方がよい。

薬システムの分かりづらさ

  • 攻略時は薬の効果が生命線となるのだが、扱いが難しい。
    • 画面上にあるものを含めて4つしかストックできないので、計画的に利用する必要がある。
    • 4色全て組み合わせて飲むと「WINNERS DON'T DO DRUGS (勝者は薬に頼らない)」の表示とともに最大HPの99%ダメージを受ける。基本的に即死すると考えて良い。
      • 原文であろう「WINNERS DON'T USE DRUGS」という言葉自体は、アメリカのアーケードゲームの起動時に表示されていた反麻薬キャンペーン*2のキャッチフレーズであり、本作ではパロディの意味合いがあると思われる。
  • とはいえ大半は良い効果であり、組み合わせることさらに強力な効果も得られる。
    • 「状況に応じてどの組み合わせでポーションを使用するか」がこのゲームの根幹であり、それが理解できるまでに至ればうってかわって楽しめるゲームと化す。「勝者は薬に頼らない」と言いつつ、薬を使わないとキツいというツッコミをしては行けない

その他

  • エンディングが手抜き。
    • 計3枚の絵とエピローグの文章が表示されるのみでBGMもない。しかもボタン入力でスキップされてしまうという罠まである。
  • スコアランキングの謎仕様
    • タイトルで放置していると表示されるスコアランキングが「ゲーム中の雑魚敵である虫が一字ずつ運んでくる」という演出なのだが、これがなぜか異様に遅く完成まで数分かかる。このため純粋にスコアを確認したくても完成を延々待たされることになる。

賛否両論点

アクの強い演出

  • キャラのアニメーションがガクガクで、プロポーションも少々おかしい。
  • 大元のデッサンに難がある。その一風変わった出来映えは、ある意味一見の価値あり。
  • キャラの死に様の描写は「大量出血」「ハラワタが露出」「生首が落ちる」など、残虐な方向への作り込みが深い。
  • BGMなし。ステージでは鳥の囀りや雷鳴などの環境音のみが終止響き続ける。陰惨なグラフィックと相まって、何とも言えない雰囲気を醸し出している。ある種の緊張感はあるが。
    • が、キャラのダメージボイスは搭載。攻撃されるたびにいちいちうめき声を上げ、死ぬときには断末魔の叫びを上げる。
  • スタート時やステージ間のメッセージ送りには、「テン」という気の抜ける音が入る。

総評

とにかく操作性が悪い。これに加えて、汚いグラフィックやイヤな方向に力の入った演出、雑魚の波状攻撃や即死トラップを始めとするストレスフルな難度調整など、問題点がこれでもかとばかりに押し寄せる。クリアには並々ならぬ忍耐力が必要である。サターンにデス様が現れるまで、本作は「帝王ソダン」としてセガのクソゲー王座に君臨していた。

ただし、斬りと突きの使い分けや薬の運用方法、敵との間合いの取り方など、我慢して噛んでみればアクションゲームとしての味は出る。その食べ辛さは「スルメ」などという単語ではとても言い表せないものの、単につまらないだけのゲームと本作の格の違いはそこにある。


余談

  • ゲームの同人誌即売会で、「ソード・オブ・ソダン完全クリアー」の本を出す強者も現れた。
  • アニメーター/キャラクタデザイナーの森木靖泰氏はソダンをプレイしたいが為にメガドライブ本体を購入する程のファンだった事を当時、「マル勝メガドライブ」の創刊号に掲載されたコラムでイラスト付きで述べている。
    • しかも当時は国内ではまだ発売されていなかったので、わざわざGENESIS版を購入してプレイするといった筋金入りのクソゲーマニアっ振りである。
  • 「BEEP!メガドライブ」誌上の読者投票において、ソダンの地位を脅かすクソゲーが現れると、10点投票を行ってソダンを防衛しようとするグループも出現し「ソダン親衛隊」と名づけられたという逸話もあった。さてはアンチだなオメー
  • ちなみに北米では日本版の前年にGENESIS版が発売されているが、そちらはEAから発売された。なお、GENESIS版の移植を担当したInnerprise Softwareは本作発売の翌年に倒産している。なお、Amiga版を開発したDiscovery Softwareも1990年に破産している。
  • 存在自体あまり知られていないが、あのBethesda Softworksが1993年にAmiga版をMachintosh用*3にほぼベタ移植したものを発売している。
    • 更に、AppleII GS版は開発途中ながらも1989年のCES EXPOで展示があり実際の発売予定も組まれていた*4。しかし、AppleII GS版のプログラマが開発中に揉め事を起こしたことで解雇され、代わりのプログラマが見つかるまで開発は中断となった。結局、そこから進展もないまま1990年にDiscovery Softwareが経営悪化により破産したことでお蔵入りとなってしまった。
    • そして、約30年が経とうとした2018年5月26日、お蔵入りとなっていったAppleII GS版が有志により発掘され、検分の結果、原作の殆どのレベルがプレイ可能な状態で公開された。だが、スプライトグリッチが多く見られたりと未完成部分が所々あり、修正にはソースコードが必要だがそちらは未だ見つかっていない。
  • IBM-PC、AtariST、コモドール64版の開発も計画されていたがこちらは計画だけで終わってしまっている。
  • メガドライブの復刻ハードである『メガドライブ ミニ』に本作は収録されなかったが、当初は「メガドライブという時代を語る上で外せない作品になるのでは?」ということで本作の収録を考えていたとインタビューで明かしている。
    • 収録候補から外された理由はレーティングにおける「倫理問題」である。本作のゴア表現の中には現在のCERO:Z(18歳以上のみ対象)でもアウトなものが含まれており、「本作のためだけにレーティングを上げてユーザーを制限させてしまうのは違うのではないか?*5」ということで候補から外されたとのこと。
  • 現在、メガドライブ版(GENESIS版)の版権はPiko Interactiveが所有している。
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最終更新:2024年04月12日 01:17
添付ファイル

*1 Amiga版の開発も同社が担当している

*2 厳密には日本製アーケードゲームでいうところの「WARNING」画面に相当する著作権保護警告の意味も隠されていると言われる

*3 対応OSは当時の現行Mac OSだったSystem 7

*4 当時の完成度は70%で、最初の3レベルがプレイ可能なところまではできていた。PCゲームを扱う量販店では店頭デモも流れていた。

*5 『メガドライブ ミニ』のレーティング区分はCERO:B(12歳以上対象)である。