遊☆戯☆王デュエルモンスターズ5 エキスパート1

【ゆうぎおうでゅえるもんすたーずふぁいぶ えきすぱーとわん】

ジャンル 対戦型カードバトル
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテインメントジャパン(EAST)
発売日 2001年7月5日
価格 5,800円(税別)
判定 なし
ポイント 遊戯王ゲーム、初のOCG化
遊☆戯☆王 関連作品リンク


概要

遊戯王デュエルモンスターズシリーズのナンバリングタイトル5作目。GBAでは「DDM」に続く2作目で、デュエルモンスターズシリーズとしては初。 シリーズで初めて遊戯王オフィシャルカードゲーム(以下OCG)のルールが実装された。
カードは当時発売されていた「Curse of Anubis」までの全種類が収録されている。

特徴

OCGルール完全再現

  • 前作までのゲーム独自ルールをほぼ全廃し、新エキスパートルール(当時のOCGルール)と制限カードを再現している。
  • 「サイドデッキ*1」を利用した「マッチ戦ルール*2」も再現している。通常は1デュエルで決着となるが、大会などのイベントデュエルでは当然マッチ戦で戦うことになる。相手にもサイドデッキが存在しており、マッチ戦の2戦目以降は少し構成が変わって強くなっている。
  • 本作にはやはり5種類中3種類のカードがランダムで封入される特典が付いているが、そのカードもゲーム内に登場する。パスワード機能を使えばゲーム内でもそのまま使うことができる。

カードパックの再現

  • 本作ではお金やショップの概念はなく、デュエル勝利後に5枚入りのカードパック1つを選択して手に入れることになる。
  • このパックの種類は当時発売されていたものと同一。中身や封入率も実物をほぼ再現している。
    • ただし、実物では6枚以上入っていたり、中身固定だったパックもランダム5枚入りに固定されている。
    • 当時、カードダス自販機で展開していた「ブースター」シリーズは、「Expert Pack」という架空シリーズのパックとして登場する。
  • 選択できるようになるパックはゲーム内で特定の条件を満たすと増えていく。
  • 大会の賞品などでしか手に入らない特別なパックも存在する。中身は雑誌付録、ゲーム購入特典などが中心。

カレンダーシステム

  • ゲームは1月1日から始まり、1回デュエルするごとに一日が経過。
  • 特定の日付になると大会などのイベントが発生する。
  • 現実の祝日等に特定の相手とデュエルすると、特殊なルールでのデュエルになる隠しイベントも存在。勝利時は特定のパックが手に入る。
  • 「週刊少年ジャンプ*3」「Vジャンプ」の発売日にもマークがついており、この日になると「付録パック」を手に入れることができる。

D-TACTICSモード

  • いわゆる「詰めデュエル」。本編とは独立したモードとして25問が収録されている。
  • 海馬コーポレーションのデュエリスト養成システムということで、出題や講評は海馬瀬人本人が行ってくれる。
  • カードを遊んだことがない人でもルールを体験できる仕組みになっている。

評価点

  • 当時のOCGルールと制限カードを再現している。OCGルールを取り扱ったのはゲームソフトとしては初であり、フェイズ処理や速攻魔法の発動タイミングもしっかりとしている。本作で《サイクロン》の正しい処理を知った決闘者もいるかもしれない。
    • ただし当時の新エキスパートルールで明確に定まっていなかった優先権に関しては曖昧にされている。
  • 制限は2001年1月15日適用のものを採用。「Curse of Anubis」発売から暫く経った後のものだが、このタイミングまで《苦渋の選択》*4が無制限だったのでこれは仕方ないと思われる。
  • カードのイラストそのものは、GBAにしては綺麗に実物を再現している。
    • 加えて、絵違いカードや非プレイアブルカードもいくつか収録されている力の入れっぷり。
  • キャラクター関連
    • GB版では原作漫画が基準になっていた登場キャラクターのイラストは、本作で巻頭カラーや攻略本のカラーページ基準の物に差し替えられているが、対象プレイヤーを考慮すると良い結果とも言える。
      • 特にアニメ登場前だった「マリクの人形」と「闇と光の仮面」については、本作で既に原作漫画の巻頭カラー絵で彼らを見られるという事になったようだ。
    • 登場キャラクターも、GB4の面子に加えて「武藤遊戯」や「本田ヒロト」といった過去作からの復活キャラや「真崎 杏子」や「武藤双六」といったGB版ではサブキャラ扱いだったキャラクターとも決闘する事が出来る。

問題点

テンポ・操作性

  • 全体的に動作・演出がもっさり。
    • Bボタンを押しっぱなしにすれば多少高速化されるが、面倒な割に大きく改善されるわけではない。
      また、下記のチェーン確認が入ると止まる。
  • チェーン*5関連操作の鬱陶しさ。
    • カードの効果が発動すると、処理の順番を確認するチェーン画面が必ず表示される。この画面は飛ばすことができないうえ、チェーンを使う必要がない場合でも表示されてしまう。
    • チェーンは一見理解しにくいルールでもあるため、飛ばさずに見せることでルールを教える側面もあるかもしれないが、それでは飛ばせないことが問題になる。
    • プレイヤーの手札・場にチェーンに使えるカードがあると、進行が停止してチェーンするかどうかの選択肢が表示される。
      • はいはA、いいえはBを押すので、高速化のためにBボタンを押していると操作ミスを誘発する可能性もある。
  • 戦闘をする場合はBボタン、戦闘せずにターン終了する場合はスタートボタン。どちらも次のステップに進むための操作だが、ボタンが分かれているので直感的にわかりづらい。
    • 間違えてスタートボタンを押してしまうと即座にターン終了となるため致命的。

グラフィック

  • カードテキストがひらがなとカタカナのみで読みづらい。また、一画面に収めるためにテキストを短縮してしまっているカードも存在する。
    • その影響で、《地割れ》*6や《和睦の使者》*7などOCGと異なる効果・裁定になっているカードもある。
  • カード枠のグラフィックは単色ベタ塗りであまりよろしくない。また、デュエル画面ではイラストが表示されないので見分けがつかない場合もある。
    • デュエル画面にカードイラストが表示されるOCG作品はGBA最終作「EX2006」が最初であった。処理能力や容量の問題もあったのかもしれない。

OCGとの兼ね合い

  • ルールがOCGになった弊害で、登場キャラクターの中には原作とは大きくかけ離れたデッキになってしまったものもいる。
    • たとえばパンドラが《ブラック・マジシャン・ガール》をデッキに入れているなど*8。当時はデュエルシーンがなかったマリクなど、やむを得ない事情のキャラクターもいるが。
  • 一部のカードの効果や入手にバグがある。
  • 通信対戦使用禁止カードの存在。
    • 特定のカードは通信対戦で使えないのだが、基準が不明瞭である。このようなルールがあるのは本作だけ。
  • 神のカードは入手可能だが、デュエルで使用することができない。
    • 当時の神のカードは使用不能の観賞用カードという形でしか実在しなかったので、OCG再現としては正しい。
  • カードの入手タイミングが悪い。
    • 実物の発売が古いパックから解禁されていく仕組みとなっているが、遊戯王OCGの初期シリーズはルールが大きく異なっていたので、古いパックには現行ルールで役に立つカードが少なく、序盤はデッキ強化の機会が少ない。
    • 反面、相手はパックを気にせずにデッキを組んでいる。前半戦の時点から《ヂェミナイ・エルフ》や《ダーク・エルフ》といった強力なアタッカーや《ハーピィの羽根帚》や《マジック・ジャマー》、《人喰い虫》といった強力な魔法・罠及び効果モンスターをどんどん使って来る為、パスワードで使用カードを増やしていないプレイヤーにとっては不利になりがち。
      • ステージ1のデュエリストこそ出だしという事もあってか、上述カードの使用頻度が低く、その他モンスターの平均攻撃力も低めなので、ゲーム初期で獲得可能なカードでも普通に対処できる。しかし、ステージ2になると敵アタッカーの平均攻撃力が1800以上に跳ね上がっていたり、強力な特殊効果も使用してくるため急激に難化。ステージ2突入時点でゲーム内のみで獲得可能なカードでの対処に限界が訪れてしまい、ここまでくるとパスワードに頼るしかない。
      • 攻略本では各デュエリストの攻略法が書かれているが、同時にオススメとして紹介されているカードも(ゲーム内のみ獲得可能カードで縛ると)時期不相応なカードばかり。公式からもパスワードを推奨しているようだ。
        本作と次作ではパスワード入力に入手出来るのはパスワードが書かれているOCGカードからでしか入手出来なくなった。
      • 過去作ではDM3でもアタッカー攻撃力のインフレがステージ2から顕著になっていたが、こちらではゲーム内要素のコンストラクションを用いて序盤から強力なアタッカーを多数作成できる事によって十分に対処できたので、本作と違って問題視される事はなかった。

イベント等

  • パックの解禁条件は「ステージ内で10勝する」「特定の相手から10勝」「ステージの全員に10勝」と作業感が強い。
    • 相手が誰でも選べるパックに変わりがないのも作業感に拍車をかけている。
  • 次ステージ出現フラグがわかりにくい。
    • 前作までは勝利回数が通算5勝に達すると変化する勝利メッセージが次ステージ出現のフラグになっていたが、本作においてはそんな物は存在せず、GB版と同様の感覚でプレイしていると突然の次ステージ出現演出で驚くプレイヤーも多いだろう。
  • サイドデッキが用意されているCPUは、実は第1ステージの5人だけ。
  • CPUはあまり賢くない。
    • 伏せカードを全く警戒せずに攻撃を仕掛ける、どんな弱いカードにも可能なら必ずカウンターするなど。
    • 残りLPが1000の時に《ダーク・エルフ》で攻撃し、LPコストを支払って自滅という間抜けな事まで平然と行う。
  • カレンダーを進めるにはデュエルするしかないので、日付限定イベントに関連した要素の収集が非常に困難である。
    • 全国大会に2回優勝で出現するデュエリストや、「双六杯」の優勝者限定パックコンプリートなど。どちらも年(=365デュエルごと)に1回しかない。さらに全国大会の出場者限定カードは優勝するとなくなってしまう(=手元に残すためには決勝戦でわざと負ける必要がある)。カードコンプリートだけでも大変なのに、それを条件とするデュエリストもいる。
      • つまり全国大会に3回…つまりは下記のトレード等が無いと最低3年はやらないと、全キャラ出現はしない という事になる。
      • 今となっては全国大会限定カードは、次作からトレードする方法もある。通信ケーブル等が必要だが…
  • トレードが1枚ずつしかできない。
  • デッキキャパシティの代わりにデュエリストとしての指標を示すポイントが導入されたが、デッキ編成等への影響が無く完全な死に要素になっている。

総評

OCGルールを初めて再現し、ゲームでも白熱したデュエルを楽しめるようになった。
しかし、処理が重くその他のシステムも洗練されているとは言い難い。
GBA初のデュエルモンスターズ作品ということもあってか良くも悪くも荒削りな作品。

余談

  • 操作や演出関連の問題点の多くは続編で解決されている。
  • 本作では唯一「予約限定カード」が存在せず、初回版も大量に出回った為、通常版は存在しない。
  • 海外版ではデッキ編成やデュエル時の画面、カードフォーマット、一部BGMが『DM6』から流用されているが、D-TACTICSモードが削除された。

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最終更新:2023年11月19日 20:30

*1 メインデッキ、融合デッキ(現エクストラデッキ)とは別に用意される15枚のカードの束。他デッキの対策カードやデッキの内容を変える(通称スイッチ)為のカードを投入する。

*2 3戦の内、先に2勝したプレイヤーが勝利となるルール。

*3 当時の発売日は火曜日、現在は月曜日発売。

*4 デッキから5枚のカードを選び、相手に1枚選択させ、選択した1枚を手札に入れ、残り4枚を墓地に捨てる

*5 チェーンとは、複数のカード効果が同時に発動したり、特定のカードに対して使用するカード(効果打ち消しなど)を使ったりしたときの処理手順である。

*6 本来は「『相手フィールド上で』表側表示の攻撃力が一番低いモンスターを破壊する」カードなのだが本作では、「表向きになっている中で攻撃力が一番低いカード一体を破壊する」と、自分モンスターも破壊される可能性もある為少々扱いづらいカードに。当時のエラッタ前テキストは表裏側表示が表記せず、第2期の再録カードには「敵モンスター」と表記されていたものもあったため、ゲーム内テキストで「敵モンスター」の部分が削除された可能性がある。

*7 本来は「そのターン、戦闘ダメージを0にしてモンスターが破壊されない」カードなのだが、本作の場合「ダメージは受けないが、モンスターが破壊される」。こちらは初心者にありがちなテキストの解釈間違いのまま実装されたと思われる。余談だが、現在のOCGではテキストがわかりやすく修正されている。

*8 原作では、パンドラはこのカードの存在を知らなかったがゆえに倒された。