ファイナルファンタジーXII

【ふぁいなるふぁんたじーとぅえるぶ】

ジャンル RPG #amazon plugin Error : amazonからデータを取得できませんでした。時間をおいて再度実行してください。
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 スクウェア・エニックス
発売日 2006年3月16日
定価 8,900円
レーティング CERO:全年齢対象
廉価版 アルティメットヒッツ:2008年6月26日/2,940円
判定 スルメゲー
ポイント オフライン版シームレスバトルの先駆け的作品
高い完成度と自由度だが複雑難解なシステム
世界観重視のシナリオ
脱・JRPGの嚆矢的存在として国内より海外で人気
長年のシステム解析・やり込みによる大きな変遷
オイヨイヨ!
ファイナルファンタジーシリーズ関連作品リンク


概要

  • ファイナルファンタジータクティクス』『ベイグラントストーリー』の制作スタッフがイヴァリースの続編として制作したのが本作。『FFTA』のようなパラレル設定ではなく、FFTから約1200年前の超古代文明時代を舞台とした正史である。
    • 敵がフィールド上を徘徊し、切り替えなく戦闘になる「シームレスバトル」が注目を集める。当初の発表より約2年の延期を経て発売。
  • しかし従来のナンバリングタイトルとは全く違う方向性のものが多く、長年の議論を呼ぶ事となる。
+  OPとプレイ動画

あらすじ

戦乱渦巻くイヴァリース、小国ダルマスカは、急速に勢力を広げるアルケイディア帝国と戦争状態に陥っていた。
先日アーシェ王女と祝言を挙げたばかりのラスラ王子は自ら剣を取り前線に立つが、あえなく戦死する。
敗色濃厚のダルマスカはアルケイディアとの和平を結ぼうとするが、和平調印式にダルマスカのバッシュ将軍は、ダルマスカ国王を売国奴と呼んで暗殺する。
かくしてダルマスカは和平の道も絶たれ、アルケイディアに降伏した。
2年後、ダルマスカの首都ラバナスタに住む、空賊に憧れる孤児の少年ヴァンは、帝国に征服された祖国とその状態を受け入れつつある民たちに苛立ち、帝国兵からスリをするなどして抑圧された日々を送っていた。彼の兄は、調印式を襲撃したバッシュ将軍との関係を疑われ、厳しい尋問の末廃人となり世を去っていた。
そんな折、ラバナスタに新しい執政官が赴任することになり、それを記念したパレードが行われた。
新たな執政官ヴェインは「私が憎いか。帝国が憎いか」から始まる巧みな演説によって民衆の反帝国感情を見事に払拭してしまった。
ダルマスカに深い傷を与えたアルケイディアを許してしまっていいのか。憎しみを抑えられないヴァンは、帝国が抑えているラバナスタ王宮の宝物庫に忍び込んだ。
そこでダルマスカ解放軍として活動するかつての王女アーシェ、そして空賊バルフレアと出会う。


特徴

ゲームシステム

  • アクティブディメンションバトル(ADB)
    • 敵がフィールド上を徘徊するシームレスバトル。接近すると抜刀して画面の切り替えなく戦闘に移行する。戦闘の流れは従来の「アクティブタイムバトル(ATB)」に以下のような空間の概念が加えられたもので、戦闘中もフィールド上を自由に動き回ることが出来る。
      • 射程や効果範囲が存在し、マラソンや散開戦術といった防御的戦術で重要な要素になっている。
      • 天候と地形により、属性魔法の威力、遠隔武器の命中率、一部モンスターの出現条件などに影響する。また特定の地形の上ではパワーアップするような敵もいる。
      • フィールド上に多種多様なトラップが仕掛けられている。有害なものがほとんどだが、中にはHPやMPが回復するものもある。これらはライブラをすると目視でき、レビテトで無効化できる。
      • 戦闘とフィールドの境が無いため、戦闘前から敵の能力を調べる事も可能。
    • 当時の日本人ゲーマー(特にMMO未経験者)にとって見慣れない概念が多く、プレイヤーの戸惑いは大きかった。アクションRPGと勘違いされ、「アクションなのに行動がコマンド」といった批判をされることも多かった。
  • ガンビット
    • 各PCを制御するAIをカスタマイズできるシステム。
    • 「条件文」と「コマンド」を組み合わせ、優先順位を指定することでAIを構築する。
      • ガンビット起動中でも手動入力で直接コマンドを指示できる。この場合は手動入力のコマンドが優先される。
  • ライセンス
    • 敵を倒すと得られるLP(ライセンスポイント)を消費して「ライセンス」を習得。ステータスの底上げなど様々なライセンスを習得する。
      • 装備品や魔法はここでライセンスを習得する事で初めて装備や使用が可能となる。
      • 下記のミストナックや召喚獣もここで習得する。
    • 隣接するマス目には上下左右自由に進むことができ、育成の自由度が高い。
  • ミストカートリッジ
    • MP(ミストカートリッジ)を一定量消費することで大技を出せる。
      • 「ミストナック」は戦闘メンバー全員の全MPを消費する必殺技。使用すると演出画面に映り、連携を繋げると威力が増す。ミストナックを2個/3個習得すると、最大MPが2倍/3倍となる。
      • 「召喚獣」は召喚獣とのバトルに勝利後、ライセンス習得で召喚可能になる。召喚すると一定時間召喚獣を引き連れ、召喚者との2人PTで戦うことになる。召喚獣の攻撃には通常技と発動後に召喚終了となる大技がある。大技には各召喚獣で異なる発動条件がある。
  • フィールド
    • 全てのフィールドは繋がっており、ワールドマップはない。また各ロケーションはいくつかのエリアに区切られて構成されている。
      • 序盤から行動可能範囲が広く、高レベルのロケーションに早期に入ることも可能。中盤からは行動可能範囲がほぼ無制限になる。
      • これに対応してモブ・隠し召喚獣・ハントループなどの強力モンスターが各地に配置されている。強力装備を早期に入手することも可能。これらを早期にやり尽くそうというやり込みもある。
    • 序盤のロケーションから強力モンスターが配置されていることもある。ゲームを先に進め、レベルが上がった後でもそのロケーションに訪れる価値を持たせるMMORPGのような工夫である。
  • ギル
    • 敵はギルを持っておらず、敵が落とす「おたから」が収入源になる。
      • おたからを売ると、交易品が売り出される場合がある。交易品は通常より割安になっている。このため「盗む」の重要度が他の作品以上に高い。
    • 同種族の敵を倒し続けると『チェイン』が繋がる。チェインレベルが上がると敵がアイテムを落とす確率が上がる。

評価点

  • 高い戦術性
    • 戦術性を評価する人は、やり込み等のごく一部に限られるのが実際の所。しかしながら本作の戦術性はFFVにも並ぶとまで言われ、熱狂的なやり込みプレイヤーが存在する。
      • 単純にシステムが良いだけでなく、装備やライセンスの性能、敵の行動、リスクリターンのバランスなどのゲームバランスが絶妙。極めて理論的でありながら偶発的な運要素も適度に混ざっており、一つのほころびから一気に崩れるスリルと、戦線維持のジリジリとした緊張感を併せ持つ。
      • こうしたゲームバランスが、システム解析後も研究が続いて様々な戦術が編み出される原動力になる。
    • 複数PC+リアルタイムバトルは、操作の忙しさやAIの問題などから、プレイヤーの戦術を各PCに反映させづらいことが欠点と言われる。ガンビットはこれを解決する手段として非常に高い評価を受けている。
  • やりこみ要素が豊富。
    • モブ・隠し召喚・レア装備・ハントループなどがやり込みの柱。細かい所ではクランレポートを埋めていくやり込みもある。
      • ハントカタログというモンスター図鑑には本作の設定が詰めこまれている。読み物として面白いだけでなく、イヴァリース作品全体を通して重要な設定群となっている。
    • 序盤から行動可能範囲が広いため、序盤で強力モンスターを倒したり強力装備を収集するというやり込みが生まれた。
  • グラフィック・世界観
    • 作りこまれたグラフィックによるその世界観は非常に美しい。アナログスティックで360度カメラを回すことが可能になったこともあり、カメラを回して絶景ポイントを探してみるのも面白い。
    • SFチックな飛空艇内部からミストの漂う幻想的な森林、エキゾチックな雰囲気漂う遺跡まで冒険できるロケーションのバリエーションは幅広い。
    • 松野氏の作品の特徴である世界観の細かい作りこみは健在。本筋とはあまり関係ない設定類まで非常に細かく作られており、NPCの話に耳を傾けたり上述のメモを集めていくことで、よりFFXIIの世界に世界に浸って楽しむことが出来る。
  • 崎元仁氏による音楽は好評。
    • 特にオーケストラアレンジの「ファイナルファンタジー」や「帝国のテーマ」、ラスボス戦の「自由への闘い」は名曲として評判が高い。

問題点・賛否両論点

ゲームシステム・ゲームバランス

  • ただ遊んでいるだけでは戦術性を感じにくいゲームバランス。
    • 先の評価点の裏返しとなるが、戦術の核となる要素はゲーム内で明示されていない仕様を活かしたものが多く、またそうした要素のゲーム内での説明も少ないため、奥の深さに気づかれにくかった。
      • 従来のアビリティや特殊技の豊富だったFFと比べて「たたかう」と「まほう」が中心となるシンプルな戦闘のため一見やれることが少なく、戦術も何もないとの声も見られた。
    • 全体的に物価が高めで装備品を揃えようとすると金欠に陥りやすい一方、それらを解消するためにほどよく「稼ぎ」を行うことでスムーズにゲームを進めるようになるため、本作はクリアまでの難易度自体はそこまで高くない。
      • バトルチェインを生かした絶好の狩り場と言えるロケーションも用意されており、稼ぎ自体も容易に行え楽しいものになっている。
    • あえてプレイヤーに有利な情報をゲーム内で提供しなかった点について「プレイヤーに遊び方を押し付けないため(自分で遊び方を考えて欲しい)ではないか?」という見解もある。だがその場合でも、「あまりに取っ掛かりが少なく、『自分で遊び方を見つける』ハードルが高すぎる」と言うのは問題であろう。
+  本作の戦術的要素について
  • プレイヤーの能力に左右されるガンビットの活用。
    • 各キャラのコマンドを自分の戦術に合わせて1から設定するため設定力の差がモロに出る。状況に必要な戦術を具体化しなければならないので、理解と知識が無いとつまづきやすい。
      • 条件文の少ない序盤ですら基本から高度なものまで戦術をガンビット化できる。分かってないと単純なタコ殴りAIぐらいしか組めない一方、システムを限りなく理解していればゲーム内最強の敵すらもただ画面を眺めているだけで勝手に倒してくれるという事すら可能。
    • どれだけ設定するかのさじ加減も自由自在。例えガチガチに設定していても手動入力すればそっちを優先するので、プレイスタイルを選ばないのも長所。
  • 大技(ミストナックと召喚獣)の扱いの難しさ。
    • ミストナックは一気に大ダメージを与えられるため、ボスの発狂前にトドメを刺すのに有効。しかしダメージにランダム性が高いうえに連携が続くと反射神経(発動可能なミストナックの入れ替えなど)が要求されることに加え、「戦闘メンバー全員のMPを全て消費する」という甚大なコストのため連携を失敗すると一転して全滅の危険にさらされる。
    • 召喚獣を召喚すると単純に戦闘人数が減るためリスクが高い。何も考えずに使うと大抵どちらかのHPがすぐに尽きて召喚終了ということになりがち。
      • 召喚獣の攻撃には、通常技と、発動後は召喚終了になる大技がある。しかしどちらも特徴的な特性のものが多い。上手く活かせば数万ダメージを連発できるような者もいるが、活かし方を知らないと駄目なので難しい。
  • ギル収入のランダム性
    • 主なギル収入源は、敵から入手するおたから、トレジャー(宝箱)の二つ。しかしこれらは非常にランダム性が強く、収入が安定しない。「盗む」のアビリティを使えば高確率でおたからが入手できるがシームレスの都合上マップの一つ一つが大きいため、出会う敵にいちいち「盗む」を使うと従来の作品に比べテンポはかなり悪くなる。
      • 売却用のおたからのドロップ率はだいたい5割前後。
      • トレジャーは出現するか否か、中身がギルかアイテムかもランダム。中身がギルなら金額はランダム(最低額は1ギルで共通)、アイテムでも2種の内からランダムで選択される。
    • 何も考えずにプレイしているとギルが全く足りない。そのためどう稼ぐか、もしくはどう節約するかを考えなければならない。
  • 「最強の矛」入手に関して
    • 名前通りの強さであり、所定の宝箱に入っているのだが、それ以前にマップに存在する別の特定の宝箱4つのうち一つでも開けてしまうと、その所定の宝箱からは取ることができなくなる。しかも対象の大半がかなり目立つところにある。この仕様の存在意義は何だろうか…。探索を推奨するゲーム性と反している。
      • この条件を満たしてしまったり二個目以降が欲しい場合は、敵が落とすトレジャーから探す必要がある。入手できる確率は0.1%。こちらは納得がいく条件だが。
  • 本編とサブクエストのバランス
    • 本編ラスボスはモブランクS上位~H下位の強さ。本編とサブクエストは強さが整合されており、本編攻略途中に寄るのが最も良い難易度となっている。
    • 序盤から自由度が高く、高レベルダンジョンから強力装備を早期に入手することも(苦難は伴うが)可能。その結果、本編の難度が極端に低下する事態が起こる。逆に本編の後半からサブストーリーをプレイし始めると下位の敵が弱すぎて至極お使い感が生まれてしまう。
      • 「無理して早期から高レベルダンジョンに突入しておいて本編の難度に不満を言うのは筋違い」という意見も多い。サブクエストをクリアしていくと更なる凶悪ダンジョンに入れるので、こういうクエストに挑戦するのがいい。

ストーリー

  • 物語の舞台は一地域、スケールが小さい。
    • 話の大筋は簡素で演出も地味。あっと言わせるような展開もない。突飛な展開や演出などはなく、筋自体はしっかりまとまっているが、突飛な展開がなさすぎたとも言える。
    • また第三勢力を描くシーンが多く、主役一行の知らないところで話が大きく進む場面が複数ある。
      • 全体のあらすじは政治や戦争などの世界情勢がメインだが、主人公一行の視点では人里離れた辺境を旅し世界の裏側に触れる事がメインであるため。
    • 政治的な利害、思想の衝突など、単純な勧善懲悪では全くなく、かなり珍しい内容が中心になっている。
      • スタッフの曰く「強大な敵国が悪なのはおかしい。国民が苦しみ自分たちの国に誇りを持てないなら強大にはなれない。敵には敵なりの正義がある。」というもの。
    • 「プレイヤーの価値観次第で見かたが全く変わる」とも言われる。
      • ストーリーの話題は興味すらない人も多いが、一旦話題にのぼると決まって激論が交わされる。大抵は内容についての論争よりも、各プレイヤーの見方・考え方・解釈の衝突になりやすい。
    • 発売前にもいくらか言及されていたアーシェの恋愛関連などの描写は明らかに不足している。本筋関連の描写の不足はないのだが…。
      • ただ言い回しが難しい部分が少なからずあり、「子供に理解できるのか?」という疑問が国内のみならず海外プレイヤーからも投げかけられた。
      • そういう言い回しや地味な演出を、渋いと好む人も。恋愛展開が前面に出てこず、バタついた展開がない点が良いと言う人もいる。
      • ちなみに旧監督の松野は「恋愛シナリオは不得意」「主人公とヒロインでは何かの関係がなければおかしいが、単純な愛ではなく他の愛」と答えていた。
      • 実際には同じ境遇にある理解者同士という関係となっている。しかし主人公とヒロインが夜中に二人きりなのに、愛の語らいなど全くせず小難しい議論をする様には、ガッカリする人も。
  • 目立った活躍は主人公のヴァンではなく仲間のバルフレアが担当してしまっている。
    • ついでに物語の展開や設定的な意味でも一番重要なキャラはアーシェ。主人公のヴァンは「自由」というテーマの牽引役となっている。
      • 表立って活躍するバルフレア、本筋の重要人物のアーシェと比べて、抽象的なテーマを牽引する役目のヴァンの影が薄くなっている。
      • さらにテーマには「自由」の対比として「義務」があり、法を司るジャッジであるガブラスや敵の司令官のヴェインが「義務」の牽引役となっている。
    • 要するにヴァンを中心に話が動いているという感じが微塵もなく、空気主人公と揶揄される原因となっている。
      • 劇中でのバルフレアのセリフ「この物語の主人公さ」は、裏に意図があるわけでもなく(特に深い意味は無い言葉だったのだろうが)本当に言葉通りの意味となってしまった。
      • ヴァンが活躍している評価の高いシーンもあるのだが、どのシーンも悉く渋い。
    +  エピローグのネタバレ注意
  • 本作ではNPCが山ほどいるが、彼らはストーリー理解の補助の役割を担っており、会話内容も時期によって変化する。
    • 本編イベントだけを追っていれば十分で、いちいちテキストを読む必要はない。疑問点を解消するには大いに役立つが、反面余計な手間のかかる構成となっているとも言える。

その他

  • ヴァン役の声優である武田航平の演技力の無さ。
    • 滑舌が悪いために、「『飛び降りろ』が『オイヨイヨ』に聞こえる」という序盤のシーンが有名。参考動画
    • オイヨイヨイベントだけではなく、全てにおいて滑舌がおかしく、字幕が無ければ何を言っているのか聞き取りづらい。
      • こうした滑舌の悪さから、ヴァン自体を「オイヨイヨ」と揶揄する動きも多く、もしくは滑舌ネタ繋がりでオンドゥルなどと呼ばれることもあった。
      • 「声がまともなら」という意見が極端に多く、インター版で英語音声だと違和感がなくなるとまで言われている。
    • 武田氏は声の仕事を本業としない俳優で、当時20歳で俳優歴も4年程度。スクエニの看板であるFFシリーズの主人公役には荷が重すぎた面もあると言える。
      • これは製作者側が「ヴァンには先入観を持って接して欲しくないため、あえて無名の俳優を使った」と公表している。そしてモーションキャプチャとの兼任でもあった影響も大きい。
    • なお、主人公に若手俳優を起用するのは今作が初めてではなく、『FFX』の主人公・ティーダ役の森田成一も俳優であり、経験も少なかった(後に声優に転向)。同作での成功という経緯があって、本作でも俳優が起用された可能性も大きいだろう。
      • もっとも、悪い方には響かなかったとは言え、同作でも演技指導などのフォローがありながら演技が素人くさいという意見は散見された。
      • ましてや武田氏の場合は起用時の年齢も若く、俳優養成所出身でもなかった。製作陣はこの辺りのリスクをもっと念頭に入れるべきだったと言える。
    • 他にも声優未経験の俳優を起用したキャラはいたが、ヴァンの場合主人公なので(影は薄いが)台詞は当然多く、演技自体も相対的に拙い部分が非常に目立っていた。
      • 例を挙げるとパンネロ役の声優も声優としては素人であったが、ヴァンほど酷くなくいたって普通の演技である。
        エンディングの盛り上がるような場面で「空賊デビュー」という台詞が「風俗デビュー」と聞こえてしまうというものがあるが、「オイヨイヨ」と比べればよっぽど台詞の原型を留めており、またそれくらいしか滑舌のおかしい台詞はない。
    • 武田氏はその後俳優として着実に経験を積んでおり、特撮『仮面ライダーキバ』や朝ドラ『ウェルかめ』などの有名作にもレギュラー出演した。
      • FFシリーズのお祭りゲー、『ディシディア ファイナルファンタジー』に『XII』からはガブラスが登場したが *2 、武田氏は公式ブログでDFF発売後に、ヴァンに思い入れがありもう一度演じたいと述べ、ディシディアに出たかった事などを「待ってますよスクエニさん(笑)」と冗談半分で仄めかしている。
      • 続編『ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー』で遂にヴァンが参戦。成長した氏の演技力による新たなヴァンに注目が集まっていたのだが、まさかの前の事務所サーカス側と本人の事情で声優変更。ファンにとっても残念な結果になってしまった。本人は出演を希望していたのはブログを見れば明白だった。
      • 現在この問題はクリアされたらしく、のちに発売された『仮面ライダー バトライド・ウォーII』では武田氏が声優として出演している。実際に移籍後もちょくちょくヴァンの話題をブログやニコ生で出していて2011年の現在の公式サイト開設当初からFF12の事は書かれている。2015年3月6日の公式ブログではFFの思い入れや変更当時の事などの他にディシディアのアーケード版の事を聞いて再びヴァンとして戻りたいという意思がある事を表明している。
      • しかし、ディシディアアーケードにおいても小野氏がヴァンの声として続投。さらに「ディシディアのヴァン役の小野賢章さんは代役ではなく交代としての起用であり、難しい状況の中受け入れてくれた小野さんと事務所様に対する敬意を含めた意味で今後もヴァンの声優としてはディシディアを含めて小野さんにお願いしたいと考えている」とプロデューサーの間一朗氏から明言までされた。

海外評価

  • まず最初に、海外では日本のRPGは古典的という見かたが多い。日本のプレイヤーも保守派が多いと見られていて、先進的なRPGが生まれる土壌すらないとまで考える人も少なくない。
    しかし、こうした意識があったために、先進的なシステムを取り入れた本作は、海外では驚きをもって歓迎された。
    • E3・2004でプレイアブルデモを出展した際、欧米記者の中には「日本のユーザーは保守的だと思うが、こういう挑戦的なことを経営陣はよく許したね」とまで言う人がいたという。
      • 本作の開発チームは元クエスト所属のスタッフが多い言わば外様のチームであり、ナンバリングタイトルを制作した経験がないスタッフが多い。こういう新規の開発体制が変化の原因かもしれない。
      • またFFの生みの親である坂口博信も「他がやってることをやってもしょうがない。好きなものを作ればいい。」と彼らを後押ししていたという。
  • 海外の歴代ゲームランキングで「スーパーマリオカート」「テトリス」「バイオハザード4」等のそうそうたる名作達とともにベスト10にランクインしたことがある。
    • FF12のやり込みは海外のほうが進んでいると言われている *3 。国内評価の低さ、海外評価の高さがこうした所にも表れている。

総評

  • 発売からほどなくして「これはFFではない」と激しい批判に晒された本作。
    シナリオを求める人からは、キャラクターや展開の魅力の薄さ、イベント間のテンポを損なう広大なゲーム構成が批判され、システムを求める人からは、ガンビットなどのとっつきにくい独自のシステムが反発を招いた。
    • 当時は派生作もまだ少なく、FFといえば「現代風の美男美女が繰り広げるメカニックファンタジー」というイメージが近年以上に根強かった為、中世風というだけで否定的な者も少なくなかった。
    • 2年もの発売延期、開発トップの病気療養による途中降板があったため、この批判はスタッフにまで及んだ。
    • クロスレビューで40点満点を付けたファミ通にも批判が殺到。2chの批判スレはわずか半月間に100スレを突破し、ディスク割り画像も散見された。
  • しかしこれらの評価はよく研究されないまま評価された所もあり、現在は練り込まれた世界観、自由度とやりこみ要素、完成度の高いシステムを評価する傾向も増えてきた。
    • とても長い製作期間をかけただけあって大きな欠陥も無く、ゲームとしての完成度は高い。
    • とは言え根本的な評価は変わっておらず、『FFシリーズ凋落の始まり』と見る人は今でも多い。人気投票でも今だにシリーズ中最下位であり、ネガティブな認識は根強いものとなっている。
    • 仕様への理解を要するシステムで批判された、IIやVIIIの轍を踏んだと言えるかもしれない。
    • また、世界観やシステムは再評価されて来たが、シナリオ面では未だに批判の方が強い。

余談

  • 続編
    • 2007年に派生作品『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング』が発売された。
      • 本作最大の問題点とも言えるヴァンの扱いが大幅に改善され、ちゃんと主人公をしているとして評価が高い。
      • 開発経緯が少々特殊であり、本作のスタッフは『FFXIIRW』にはほとんど関わっていない。設定もTやXIIとの矛盾が多く、一部で混乱を招いた。
      • 一応公式には続編ではなく「オリジナルの新作」という見解。ただし、ストーリーは本作の続きとなっている。
    • 正史続編の『ファイナルファンタジータクティクスA2 封穴のグリモア』も2007年に発売。こちらにもXIIの一部キャラクターが登場している。
    • 『Fortress』というFFXIIの続編が作られていた。
      • プラットフォームはPS3/Xbox360/PC(Windows)と、本格的な続編だった様子。
      • 2010年1月に外注先の開発会社が経営難で閉鎖し、開発中の技術デモ動画や大量のアートワークが流出したため判明。しかし現在は開発中かどうかは一切不明となっている。
    • 『FFX/X-2』HD版発売時にインタビューにて、北瀬佳範氏によるXIIのHDリマスターに向けて意欲的なコメントが残されている。
  • 後継作品のバルフレア贔屓
    • バルフレアは以降の作品でどういうわけか一部のスタッフの贔屓を受けることになり *4 、XIIを知らない人間からも「でしゃばるな」と嫌われることに。
    • 松野氏のツィッターによると「バルフレアは平田広明さんの起用を前提で考えたキャラでした。もっとキザっぽくでもよかったかなと今では思います。」というほどで元々海外ドラマ好きな影響でそれを見ていた惚れ込んでいたらしい。
      • その過剰なまでの特定の声優贔屓が本編へ影響を与えただけでなく、後の獅子戦争でのバルフレア贔屓にもつながったのだろう。
    • XIIのシナリオ担当の渡辺大祐は、Xの「ティーダの物語を描くためにスピラや『シン』の設定を広げた」という制作秘話を比較に出して、XIIではXとは逆に「まずイヴァリースという世界が存在していて、そのなかで生きているキャラを描く作りかたをした」と話している。
      • XIIまでは世界観中心だったが、後継作品ではキャラクター中心の考え方がスタッフ内に出てきたものと推測される。
  • 漫画版
    • ナンバリング作品としては久々にコミカライズがされていた。当初はガンガンパワードにて連載されていたが、当誌の休刊に伴いガンガンONLINEに移籍し、直後に終了となった。
    • ストーリーは序盤のウォースラ戦までが展開。コミックス1巻はゲームのプロローグ部分を丸々描いている。
  • コラボ商品
    • サントリーから出されたコラボ商品のポーションはあまりにも「回復アイテムである」ことを強調しすぎたがゆえに薬臭いマズいものとなってしまった *5 。が、それが逆に話題となり、FFVIIAC・DDFFでもポーションが、FFXIIIではエリクサーが発売され、FF・DQコラボ食品の先駆けとなった。味は改良され普通に炭酸飲料らしいものとなっていったが、瓶から缶に代わってしまったことや独特の薬っぽい味が失われたことを嘆く声も一部ではある。
    • ネットではこれをベースにして改良(魔改造?)を施したハイポーションが作られるなど一時期大流行した事も。
  • グランディアIIIへの影響
    • 本作の度重なる延期の穴埋めとして『グランディアIII』が発売される形になった。
      • おそらく、開発中だった『グランディアIII』の発売日を早められ、短期間での開発を迫られたものと思われる。
      • もっとも他にも途中で無茶な納期を迫られたが一応は遊べる形にまとめた例はあり、『グランディアIII』の場合そもそもゲームとしての根本的な問題点が多いため、この評価の原因がFFXIIであるとは言い切れないが…。
  • 声優起用の傾向
    • FF12発売以降、スクエニの作品は主役クラスのキャラの声に声優仕事が少ない非声優を起用する作品が極端に減った。
      • それでも脇に起用していた作品はあったが2011年3月発売のDDFFの時のヴァン役変更で権利問題や芸能事務所の移籍問題も絡んだからかDDFF発売以降はこの流れが更に加速し、その後のFFの主要級の起用は声優事務所所属の声優やFF起用前から声優としてのキャリアがあるタレントが主である。このあたりは怪我の功名というべきか *6
      • ただ鹿賀丈史や伊藤歩はその後も続投しており、DDFF前に決定している声優は非声優でも死去以外では変えない意向のようだ。またオリジナルキャストを重視し芸能界引退したと思われたユウナ役の青木麻由子も名義を変更して久々に復帰している。
    • スクエニの別作品だと『ドラッグオンドラグーン3』ではピーターこと池畑慎之介が別役とはいえ起用されているし、『ドラゴンクエストヒーローズ~』では松坂桃李、桐谷美鈴、中川翔子、片岡愛之助を起用して盛大な宣伝効果を招いている。セガの『龍が如く』シリーズのように芸能人起用が主な作品もあるので作品ごとのスタッフの考え方にもよる。