ミニ4ボーイ
【みによんぼーい】
ジャンル
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ミニ四駆レース
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対応機種
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ゲームボーイ
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発売元
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J・ウイング
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開発元
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不明(オカリナシステム?)
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発売日
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1996年12月27日
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定価
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5,229円
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判定
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クソゲー
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ポイント
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やく32ぶんの1スケールのマシン やく32ぶんの1スケールのストーリー やく32ぶんの1レベルのりんじょうかん やく32ぶんの1レベルのクオリティ
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ミニ4ボーイシリーズ - I / II
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概要
1980~90年代に何度もブームを巻き起こした、タミヤ(TAMIYA、当時:田宮模型)の「ミニ四駆」に便乗して制作・販売されたGBソフト。
それを意識してか、パッケージには発売当時にブームの牽引役だった漫画及びアニメ作品『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』に登場するミニ四駆マシンに酷似したイラストが使われている。
だが、このソフトはタミヤのミニ四駆とは一線を画す、いわば
ノンライセンス商品
である。そのため、作中で「ミニ四駆」という言葉が使われることはない(「ミニ四駆」はタミヤの登録商標)。
代わりに、作中及び説明書ではミニ四駆にあたるマシンのことを「やく32ぶんの1スケールのマシン」と呼んでいる。タイトルの『ミニ4ボーイ』がアウトのように見えるが、こちらはJ・ウイング自身がちゃっかり登録商標にしている。
以上の点から、本作をミニ四駆関連のパチモノの一つと認識している人は多い。まさに、ソフトの色だけでなく、外箱も中身も完全に灰色なゲームである。
それだけでも充分問題なのだが、本作はゲームとしてのクオリティも低い。以下に問題点を上げていく。
問題点
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本作の主人公が、ふとしたことから「やく32ぶんの1スケールのマシン(以下マシンと表記)」を手に入れたところから物語が始まるのだが、その後のストーリーが無い。
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厳密に言えば、主人公に設定されているランキングをレースで勝って上げていくのが話の目的である。だが、主人公がレースを続ける理由や勝ち続ける意義が全く表現されないため、プレイヤーはレース、買い物、マシンのセッティングを淡々と繰り返すだけになってしまう。RPGに例えるなら、敵を倒すことと装備を調えることを繰り返すだけである。
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主人公の初期ランキングは80位。つまり80人相手にレースで勝利しなければならない。やれることが前述の3つしかないので、賽の河原状態である。
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その80人にしても、いわゆる「名前有りキャラ」はランキングを10上げる毎に出てくるのみなので、70人以上が名無しの雑魚状態という仕様である。当然、雑魚戦にイベントはない。
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ライバルポジションに当たるキャラクターも登場するが、話にほとんど絡まないため空気。
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マシンレースの肝であるはずのレース画面が、タミヤ公認のものに比べると32分の1程度のクオリティ。
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レース画面に表示されるモノは大きく分けて3つある。
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一つは走行タイムの表示。これは問題ない。
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もう一つは、画面中央に表示される自分のマシンのドライバー視点(のようななにか)。実際のF1レースや『F-ZERO』や『マリオカート』、『リッジレーサー』などの誰かが乗るレースゲームならともかく、ミニ四駆は人が乗るものではない。斬新なゲーム性を追求したかったのかもしれないが、着眼点が根本的に間違っている。
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そして一番下に、サーキットを上から見下ろしたミニマップが表示される。中央のマップではマシン同士の位置関係が把握できないので、これを主に見ることになるのだが、自機と相手機を示すアイコンが○と×。
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さらに、どの画面も動きがカクカクしている。マシンのコーナリングなどは、中央画面も○×アイコンも完全に直角移動である。
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何より問題なのは、この3つの画面のどこにも自分が作ったマシンの走る姿が映らないことである。マシンの外見をいくつかのパターンから組み合わせて作れるのだが、肝心のレースでそれがまったく使われない。
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外見はマシンの各種パラメーターに影響するので全くの無駄ではなく、GBのゲームであることを踏まえるとモーショングラフィックが限られるのは仕方のないことである。
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しかし、せめてマシン型のアイコンが表示されているならともかく、○と×がカクカク動いているだけのレースは最早マイコンゲームレベルである。1996年発売のGBゲーム水準の32分の1にすらも届いていない。
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システム周りの作りこみが甘すぎる。他社の四駆ゲームと比べると、その出来栄えには雲泥の差がある。
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四駆ゲームなのにマシンセッティングの幅が狭い。様々なパーツに組み替えてマシンを適宜カスタマイズする意義が薄い。
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マシンの性能に関わるパラメーターがSP・CN・DF・PWの4つだけ。しかも、数値が高ければ高いだけマシンが早くなるというシンプル仕様。挙句の果てに、ショップに並ぶマシンの各種パーツはストーリー()の進行に合わせて性能の高いものが解禁されていくJRPGスタイル。これでは、セッティングもクソもない。
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両者がゴールラインを通過するまでレースが終了しない為、大差を付けて勝利してしまうと相手のマシンが到着するまで長々と待たされることになる。
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本家ではCPUに勝利して数秒経った場合は相手が走行中でも途中で切り上げている。
評価点
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シンプルな作り故の分かりやすさ
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JRPG的かつ作り込みの甘いゲーム性だが、その分だけ比較的とっつきやすい点は最低限評価できる。
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比較対象となる本家ミニ四駆シリーズのゲームは、その殆どが、やりごたえのある反面分かりにくい・難しいといった側面を持ち、どんな子供でも気軽に遊べるものではなかった。
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とりあえず地道にマシンを強化すれば誰でも先に進めるため、クリアできない、ということはない。
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クリアしたくない、となってしまう可能性は大いにありうるが。
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マシンやキャラクターなどのグラフィックはそれなりに出来が良い。
総評
内容が薄く肝心のゲーム内容はクソ、そのくせ作業を強いられる、とクソゲーとしての要素を手堅く押さえた一品である。
余談
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製作に関わった長谷見氏によると、タミヤ側から何らかの許可は取っていたらしい(参考: 制作者のwebサイト)とのこと。しかし、販売経緯や著作権問題に関する詳細は不明である。
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そんな色々と問題のあるソフトではあるが、当時はテレビCMまでやっていた(参考)。ミニ四駆らしき何かがコースを走っているCMで、「四駆レースのすべてを完璧にシミュレート!!」だそうな。
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もっとも、当時はバンダイの『ハイパーレーサー4WD』や青島文化教材社の『テクニ四駆』等のいわゆる「パチ四駆」が多数の会社から発売されていた時代なので、現れるべくして現れた作品とも言える。
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限りなくクロに近いグレー商品なので、訴訟か販売停止になってもおかしくないのだが、何と続編が出ている。
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そちらは色々と改造され、見事なバカゲーとしてチューンナップされている。
最終更新:2022年06月03日 21:29