機動戦士ガンダム クライマックスU.C.

【きどうせんしがんだむ くらいまっくす ゆーしー】

ジャンル 3Dアクションシューティング
対応機種 プレイステーション2
発売元 バンダイ
発売日 2006年3月2日
定価 7,140円
判定 なし
ポイント バンダイ名義最後の据え置き機タイトル
U.C.総決算…しかしVガン不在
ロボットアクションとしては手堅い作り
ガンダムゲームリンク


概要

ガンダムシリーズの中で、宇宙世紀を舞台にしたタイトルを揃えた3Dアクションシューティング。
前年の『機動戦士ガンダム 一年戦争』が(当時)かなり厳しめの評価だったため、画面構成やシステムが似ている本作は情報が出始めた段階ですでに「また似たようなのを出すのか」と批判の声が上がっていた。
が、実際蓋を開けてみれば、これまでの『1stガンダム』偏重を改めたかなり雰囲気の違うゲームに仕上がっていた。


特徴

  • 同様のタイトルとは違う多作品ぶり
    • それまでのガンダムゲームは『1st』を重視したものがほとんどであったが、今回は『ΖΖ』や『逆襲のシャア』、そして『F91』と『クロスボーン・ガンダム』まで含めた豪華ぶり。
    • キャッチコピーは「宇宙世紀の総決算!!」だった。が、実は『Vガンダム』は不参戦。(後述)
  • システムの見直し
    • 先行してPSPで展開していた『ガンダムバトルシリーズ』に近い操作性で、しかもシューティングゲームライクなため爽快感もある。雑魚がビームライフルを受けてもビクともしない、などということはない。
    • 武器の持ち替えはないが、チャージ射撃が3段階となっており、そのタメ段階で武器が変化する。また、ジャストショットだと威力や一撃の弾数が上がったり、マルチロックとなり複数の敵に攻撃できるものもある。
    • 機体の性能によってはスピードに欠けるものもあるが、それも「遅すぎてイライラする」ということはなく「重量感がある」という感じになっている。
  • 二つのモード
    • 原作の名場面を追体験する「クロニクルモード」と、一兵士として戦場を駆ける「プログレスモード」の二つがメインとなる。
    • クロニクルモードでは、クリア済みのミッションはパイロットや機体を変更して遊べる。ジオンのミッションで連邦機を使うとNPCが「識別を切り替えろ!!」と言ったりする芸の細かさ。
    • プログレスモードでは、親子二代にわたる戦場の記録が紡がれる事になる。
  • 他にもエクストラモードなどがある。

評価点

  • 初心者にも優しい仕様
    • ダメージを受けた状態で敵機を破壊すると、高確率で回復アイテムを落とす。また、被弾していない場合はカードを入手出来、使用可能な機体やパイロットが増える。
    • うっかり被弾しても、すぐに応戦すれば回復する事が可能となっている。
    • 全体的にスピード感があり、難易度も比較的優しめなのでテンポが大変良い。サクッと遊ぶには実に丁度いいゲームバランス。
  • 軽い動作
    • Wikipediaによれば、動作性の軽さのためにこれまでのタイトルに比べてポリゴン数が少なめになっているらしい。実際、処理落ちして興が冷めるようなことはほとんどない。
    • その割りにモデリングは綺麗。さすがはPS2円熟期のタイトル。
      • しかしながら全機体にウェザリングを過剰に施しているため、ムービーにおいては初出撃のジオングが初代ガンダムと同じくらい傷まみれだったり、納品前のνガンダムが傷だらけだったりと惜しい場面も多々ある。
  • マニアックなこだわり
    • 上記のNPC台詞の他にも、かなり細かいこだわりが多い。オペレータとして『08小隊』で登場したジオンの女性兵士*1がいたり、ステージによって特殊セリフも用意されている。
  • 参戦作品
    • 本作は『1st』『08小隊』『ポケットの中の戦争』といった一年戦争時代から、『0083』『Ζ』『ΖΖ』『逆シャア』、更には『F91』と充実した収録作品数を誇り、ファンを大喜びさせた。
    • 今でこそ『VSシリーズ』や『ガンダム無双シリーズ』等で多数の作品の機体が使用できるものの、当時ここまでの作品が収録されたダムゲーは本作以外には存在しなかった。本作から7カ月後に発売された『ガンダムバトルロワイヤル』でさえ、マイナー機体の収録という長所こそあれど『Ζ』までしか収録されていない。
    • その『F91』では、まさかのクロスボーンガンダムガンダムF90Vを使用可能。
  • 魅力的なオープニングムービー
    • 本作のオープニングムービーは『1st~F91』までの宇宙世紀作品を駆け抜けるような内容となっており、非常にクオリティが高いと名高い。
    • 通常版の他に条件を満たすと見ることのできるバージョンが存在し、両方ともファンの心を奮い立たせる演出になっている。
  • プログレスモードのオリジナルキャラの声優が豪華。
    • 主人公カムナを石川英郎氏が演じており、他主要キャラも堀江由衣氏、能登麻美子氏、勝安里氏、水樹奈々氏と人気と実力を兼ね揃え、当時のガンダム作品ではあまり見かけなかった有名声優が演じている。
  • BGMも好評であり、一部のオリジナル曲は『ガンダムバトルシリーズ』などの他作品にも流用されている。
    • 原作由来のBGMは各参戦作品における印象的な楽曲を採用している。1曲辺りの尺は短めにアレンジされてはいるが、その分曲数は豊富に収録されている。
    • エンディング曲には『F91』の主題歌「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」を採用。森口博子氏の代表曲の1つである「水の星へ愛をこめて」と共に屈指の人気を誇る曲であり、原曲がフルで収録されている点でも本作は貴重な作品と言える。

問題点

  • プログレスモードのシナリオがあまり良くない。その上薄い。
    • どの陣営にいてもメンバーが同じなのはまだいい方。初代は『逆シャア』シナリオ終了後に結婚して引退するのだが、嫁候補の一人はそれまでシナリオに一切出てきていない「地球に残してきた幼馴染」。しかも彼女と結婚しないと、子供がNTになれない。
      • 加えて幼馴染はオリジナルキャラの中で1人だけボイスを発する場面がなく、当然ながらCVも設定されていない。この点も影の薄さを強めているのは否めない。
    • 初代・二代目ともに主人公の仲間の男性キャラが完全に空気。女性キャラは嫁候補なのでまだ出番はあるのだが。
    • 後述のコミカライズ版では、その薄さが見事に解消された。最初からそうしてくれれば…。
    • 『クロスボーン』ミッション終了後の一枚絵は、子供がどのタイプ(男女2タイプずつの容姿がある)でも同じ。と言うか、四人全員が集合している。そこまでのシーンで共闘するような描写はないのに。
  • 参戦作品の扱いについて
    • 各作品の主要機体はおおむね使用可能だが、『Ζ』のリック・ディアスやバイアランなど、ゲームに登場はするものの使用機体として実装されていない機体が存在する。また『F91』のヘビーガンなど、原作でそこそこ印象的であったにもかかわらず参戦していない機体もいる。
      • このせいでせっかく参戦したのにめぼしい乗機のないパイロットがいたり、『F91』時代に旧式のジェガンで出撃する残念な原作再現光景も見られる。
    • とにかく『Ζ』偏重で、機体数もミッションも多い。当時は新訳劇場版で盛り上がっていた時期だったとはいえ、さすがに偏りすぎ。
    • 逆に『ポケ戦』ミッションは、バーニィ編を入れても3つしかない。そしていずれもタイマン。ストーリー上は間違ってはいないのだが…。
    • そして『クロスボーン』からは機体がクロスボーンガンダム系3機しか参戦しておらず、機体的にもミッション内容的にも「おまけ」感が拭えない。
    • 前述の通り、『Vガンダム』不参戦。「宇宙世紀の総決算」なのに。
      • 一年戦争から70年、『F91』からも30年ほど後の話なので、各種機体やキャラクターなどの世代も全く異なるため、一緒に扱うのが難しかった可能性は存在する。仮に参戦すればプログレスモードも更に1世代追加する必要があるため、「百年三代の物語」になってしまう。
      • また、『V』はUCガンダムの「1st・Ζ・ΖΖ・CCA・F91・V」としてではなく、平成ガンダムの「V・G・W・X~」と括られてしまう場合も多く、その影響もあるのかもしれない。一応、UCガンダムのみに絞り込んだ『SDガンダム GGENERATION SPIRITS』にはシナリオ再現も含めてきちんと収録されているが、以降の各種ゲーム作品では主要機体が部分的に参戦する程度に留まっている。

総評

作品の扱いなどについて少々粗はあるが、システムなどには特筆するほどの問題点はない。目新しい要素は少ないが、ガンダムの3Dアクションシューティングとしては非常に手堅くまとまっている。
ガンダムシリーズが好きで、「宇宙世紀を追体験したい」「パイロットになった気分を味わいたい」というのであれば文句なくオススメできる1作である。


余談

  • 本作がバンダイ名義で発売された最後のゲームソフトとなった。
  • 『機動戦士ガンダム0080』の主人公であるアルフレッド・イズルハが声付きゲームへの初参戦を果たしているが、担当声優の浪川大輔氏は当時12歳で既に声変わりを経ていたため、本作では『アンリミテッド:サガ』のルビィなどを演じた比嘉久美子氏が代役を務めている。
    • 比嘉氏は以降のゲーム作品でもアル役で続投している。なお、浪川氏は後発媒体にて「大人になって過去を振り返るアル」といった形で出演しており、声変わりをファンサービスに組み込んだ好例となっている。
    • ちなみに浪川氏は本作のプログレスモードのオリジナルキャラ役として参加しており、比嘉氏もアル役以外にF91時代の連邦側オペレーター役を担当していたりする。
  • 月刊ガンダムエースでは本作のプログレスモードを元にしたコミカライズ版が連載された。コミカライズ版のサブタイトルは『紡がれし血統』。
    • 初代編と二代目編を平行で進める構成など、作者によるオリジナル要素が非常に色濃い他『フォーミュラー戦記0122』からガードナー艦長がゲスト出演するなど、見所もかなり多い。
  • 本作にはインパクトのある裏技として「見切りバグ」なるバグ技があり、「マルチロック」が可能な機体と「見切り」スキルを持つパイロットを組み合わせてある操作を行うと、射撃武装を延々と連射し続けることが可能になる。
    • これを利用すると、ΖΖガンダムのハイメガキャノンやF91のヴェスバー、果てはクロスボーンガンダムX1の小型核弾頭さえも無限に発射できる。無敵というわけではないがゲームバランスは崩れるので、ご利用は計画的に。
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最終更新:2024年04月15日 23:19

*1 正式な名前のないモブキャラながらカルトな人気を誇るキャラ。ケルゲレンのオペレータだったため「ケルゲレン子」と呼ばれている。