SDガンダム Gジェネレーション CROSS DRIVE

【えすでぃーがんだむ じーじぇねれーしょん くろすどらいぶ】

ジャンル シミュレーション
対応機種 ニンテンドーDS
メディア DSカード
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 ヴァンガード
発売日 2007年8月9日
価格(税込) 通常版/通常版特典付き 5,040円
DS Lite本体同梱限定版 21,840円
プレイ人数 1人
判定 クソゲー
ポイント 2007年クソゲーオブザイヤー携帯機部門次点
悪い意味で原作通りなシナリオ
再現系・ギャザビ両方の悪い所の寄せ集め
タッチペンオンリーの残念な操作性
戦闘アニメをはじめ全体的にテンポ最悪
収録機体や図鑑などのネタ要素もイマイチ
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
SDガンダム Gジェネレーションシリーズ


概要

  • Gジェネシリーズの一作にして、ヴァンガード制作としては現状の最終作。
  • 本作では諸々のゲームデザインが異なっているものの、作品の枠を越えたクロスオーバーとifシナリオを特徴とするギャザビシリーズに属する(はずの)作品である。
  • 本作のシナリオはゲーム序盤で2ルートに分岐する仕様となっており、ゲームオリジナルキャラの男主人公フィオ・クロフォードと女主人公ニケアから選択する。
    • 大まかなシナリオの流れは2ルート共通だが、『G』の再現はフィオ編のみで『W』の再現はニケア編のみなどといった個性はあり、同じキャラでもルートによって細かい描写や設定が変わっていることもある。
  • なおタイトルの「CROSS DRIVE(クロスドライブ)」とは、前作の「チーム攻撃」をベースとした新システムで、特定のキャラ同士で発動可能な連携攻撃のこと。
    • 誰とでも発動できたチーム攻撃と異なり、発動できるキャラと組み合わせは限られている。また、参加人数によって攻撃範囲が異なるといった違いもある。
    • キャラだけでなく、搭乗機体も発動条件に含まれるものもある。それらは専用のクロスドライブ名と派手な攻撃演出が用意されており、本作の見所となっている。

理想(パッケージ裏)

  • 刻を越え、重なり合う想い──DSで究極の『G』を体感せよ!
  • タッチペンだけのシンプル&快適な操作性!
  • 多彩なカットインアニメーションによる迫力の戦闘シーン!
  • 原作キャラクターと新作オリジナルキャラクターの夢のコラボレーション!
  • 本作でしか味わえないifのストーリーを楽しもう!

現実(問題点)

「刻を越え、重なり合う想い──DSで究極の『G』を体感せよ!」→数多くのクソゲー要素を詰め込んだ結果、前作『GジェネDS』からの期待を見事に裏切り何も体感できない残念な出来に

シナリオ

  • 「原作キャラクターと新作オリジナルキャラクターの夢のコラボレーション!」「本作でしか味わえないifのストーリーを楽しもう!」→ろくなifストーリーがなく全然クロスオーバーしない
  • Gジェネは再現系(トムクリエイト製)とギャザビ系(ヴァンガード製)の二つがあり、上記の通り本作はギャザビ系に属している。しかし、本作には従来のギャザビシリーズの醍醐味であるクロスオーバーやifシナリオがほとんど見られない。
    • ストーリー構成は、本編は『Ζ』から始まり、それが終わったら『ΖΖ』、それが終わったらオリジナル、そしてそれが終わったら…といった流れになっている。
      • しかしシナリオの配分が悪く、メインセッション全44~45話に対して『Ζ』の話だけで20話近く消費する。当然、その間は延々と『Ζ』の敵勢力と戦うだけである。後述するが、全編通してほぼ原作をなぞり続けるだけで無駄に時間もかかるので、面白味や新鮮味にも乏しい。
      • 一応、何話かすると別の話も入るが、数話挟む程度ですぐに本筋に戻る。また、オリジナルキャラ達が織り成すストーリーもこの形で終わってしまう。
    • 再現系Gジェネならば「各ガンダムシリーズの歴史をたどる」というコンセプトがあり、また自由にステージやシリーズを選べる仕様もあるため問題にはならなかった。しかし、本来クロスオーバーをメインとするギャザビ系の一本道のシナリオで、同じシリーズの原作再現を延々と続けるので問題点として挙がっている。
      • ストーリー自体も、各作品のシナリオを忠実に再現するほどの話数が用意されていないため、作品の要点や名シーンこそ押さえているものの、本筋以外の細かなエピソードは省略されることが多い。前作までは各作品を上手く混ぜ込むことで、少ない話数でも地味なネタを拾ったり、予想外な脇役キャラにスポットを当てるといった意外性も発揮できていたのだが…。
    • 悪い意味で原作に忠実なため、原作での敵は敵対しかせず、死亡・離脱する者はほぼ原作通りに死亡・離脱する。ギャザビシリーズならではの所属・作品を越えた共闘や救出劇、和解などの場面はほとんど見られない。
  • 要するに再現系シリーズとギャザビシリーズの悪い所が集まった結果がこれである。
    • 一応、原作と結末が変わっている者もいるが、『逆シャア』のアムロ、アストナージ、チェーン*1や、『ポケ戦』のバーニィ*2、『X ASTRAY』のプレア、『STARGAZER』のセレーネ、スウェン*3など、生存して自軍で活躍できるのは数名しかいない。
    • 逆に下記のような原作からの改悪や無意味なクロスオーバー展開も見られ、せっかくのifストーリーが悪い方向に作用している面すらある。
      • 『Ζ』のアポリーとロベルトは前作と違って中盤で必ず離脱するのだが、フィオ編では「DG細胞に侵されて共にゾンビ化→そのまま敵として撃破される」と、救いが無い上に原作再現ともほど遠い結末に。ニケア編ではシナリオ上で「激戦の最中で味方を庇って2人とも戦死」と『Ζ』本編の展開に寄せてはいるが、描写はテキストのみで専用イベントはおろかマップ演出すら無く、イマイチ盛り上がりに欠ける展開となっている。いずれにしてもゲーム上で脱落させる必然性も感じられず、微妙な扱いである。
      • 『SEED Destiny』では、原作同様の流れでシンが瀕死のステラを独断で連れ出す展開があるが、その途中で別勢力である自軍に助けを求めるというクロスオーバー展開が挿入される。…のだが、結局解決策は見つからず原作通りにネオに引き渡す展開に移るため、無意味なクロスオーバーに終わっている。
  • 参戦作品の半数近くが『メモリアルセッション』という本筋と関係ないステージ1~2つで原作再現して終わり、クリア後にパイロットだけ自軍に参加するといった形で消化される。外伝系の作品に至っては、メインシナリオでの出番もほとんどない。
    • メモリアルセッションでは自軍の介入ができず、固定配置のゲストユニットのみで攻略する形になる。言うまでもないが、前作までと違って他作品とのクロスオーバーやifシナリオはほぼ存在しない*4
      • また、このせいで間接攻撃やクロスドライブなどを軸にした戦術を取れなかったり、低ステータスのモブパイロットを主力にせざるを得ない場面があり、本編とは別方向で面倒なステージがある。
    • クリア後に自軍で使用可能となるパイロットも、主人公+ヒロイン程度で基本的に数名のみ。
      • 『第08MS小隊』のように、せっかくチームごと参戦しメンバーも生存したのに自軍では使用できないケースもある。
  • 後述の『X』のように扱いが良くなった作品はあるのだが、上記のメモリアルセッションで消化されるだけの作品や、『∀』のように極少数の機体とパイロットが登場するだけの所謂「いるだけ参戦」な作品も増えてしまった。
    • 前作でも扱いの小さかった『V』は、前半主役機であるヴィクトリーガンダムが復活した一方でV2アサルトバスターが削除され、ザンスパイン&カテジナやリーンホースJrといった印象的な機体も未登場に。『∀』はスモー2機による専用クロスドライブ「女王の騎士」によって原作最終決戦での金縛り攻撃が再現されたにもかかわらず、肝心のターンX&ギンガナムがリストラされ、作品自体も前作と打って変わって空気扱いになるなど、総じてチグハグな構成となっている。

システム

  • タッチペンの操作が劣悪
    • 「タッチペンだけのシンプル&快適な操作性!」→いつもの操作をほぼ全てタッチペンに押し込んだだけ。典型的なDSクソゲーの例である。
    • データ量が増えたせいなのか読み込み時間が目立ち、全体的に反応が遅い。そして「タッチでカーソル移動→再度タッチで決定」という操作もあってテンポが悪い。
    • 一応、セッション中のマップ画面は十字ボタンでスクロールでき、利き手設定を変えればABXYボタンでもスクロール可能で、ボタンでユニットへカーソル移動もできる。しかし結局はタッチしないと決定できないのであまり意味を成していない。
  • 敵の攻撃に対して普通に回避・防御ができなくなった
    • その代わりなのか、戦闘前にタッチ操作で機体の位置を操作し、配置によって命中・回避値が増減する仕様がある。が、最大で+10%~-10%しか変化しない。
      • 前述のクロスドライブもこのタッチ操作によって発動するのだが、発動判定がややシビアで配置し辛かったりする。
    • 回避・防御を兼ねた行動はIDコマンドで使用できるが、一部キャラクターしか使えない。使えたところで4枠しかないIDコマンドの一つを潰しており、持っていなければそもそも回避・防御が出来ないためどちらにせよ不便な仕様である。
  • 戦闘シーンが今までと比べて時間がかかるのに、前作同様に一度クリアしないとスキップできない。
    • 本作では戦闘シーンの演出が一新されており、被弾・回避モーションなども追加されている。しかし敵味方毎の画面切り替えや、追加された被弾・回避モーションなど細かい部分で時間がかかるようになり、総じて戦闘シーンのテンポが悪化してしまっている。
      • 一新した割に効果音周りの再現度はさほど変わっておらず、例えばビームライフルの発射音は大半が初代ガンダムのままである。せめてSEED系のビーム発射音くらいは用意してほしかったところ。
    • また、本作では間接攻撃や一部の必殺技・クロスドライブでしか全体攻撃を行えなくなった。ファンネルなどのオールレンジ攻撃でも通常武装では単体しか狙えず、この点もテンポの悪さに拍車をかけている。
      • この結果、時間効率を考えると間接攻撃でまとめて殲滅するのが最良の戦い方となっている。中盤以降ならば必殺技による全体攻撃も充実してくるが、戦闘シーンそのもののテンポの悪さは変わらない。
    • 一新された演出の中でも、画面内に砲台が最大1~2機しか映らないオールレンジ攻撃系、各砲塔から同時ではなく1発ずつ順に撃ち出す一斉射撃系など、過去作と比べてもチマチマとした形に劣化しているものがある。
  • チュートリアルが恐ろしく長い。前述のテンポの悪さもあり、無駄に1時間ぐらいかかる。
    • チュートリアル以降の本編も大差はなく、しかも1ステージ内で前半戦と後半戦に分かれていることもあるため、1面ステージ進めるのに大体30分~1時間はかかる。本作は2ルートで合計100ステージ以上あるので、全クリアへの道のりは果てしないものとなっている*5
    • また、イベントシーンではしばしば「機体が故障・ショートする演出」が挿入されるのだが、1回につき数秒費やすためこの点でも無駄に時間がかかる。

ユニット・パイロット

  • ゲームオリジナルキャラの立ち絵のビジュアルがやや崩れ気味。男主人公フィオとそのパートナーの頭身が明らかにおかしい事をはじめ他も体のバランスがどこかおかしく、顔アイコンも軒並み老け顔で版権作と比べて浮きすぎている。
    • デザイン自体も『Z』『W』などの登場人物に似ていると指摘されるほどで、どうにも既視感の拭えない造形となっている。流石に性格や背景設定までそのままという訳ではないが。
    • キャラデザ担当は公式サイト等でガンダムの絵を書いていた経験もある人物なのだが、基本劇画タッチの人である。製作側からあえてそういったデザインにするような注文が出ていた可能性もあるが、人選を間違っていたとしか思えない。
  • 前作までと異なり、いわゆるゲームオリジナル機体は一切登場しない*6
    • このため、オリジナルキャラはいずれも既存の機体に搭乗する。しかし、ニケア編において「ゼロシステム」(『W』の戦闘サポートシステム)の上位版が登場するなど、版権を踏み台にしている面すらある。
      • かと思えばオリジナルの敵勢力も中盤で壊滅するので最強の敵というわけでもなく、全体的に扱いが中途半端。
    • センチュリオのような設定面で複雑な機体が出せないのはともかく、スーパー・ディアスといった既存設定の延長となる機体も未収録になったのは残念なところ。
  • 一部は顔アイコンが一新されているが、前作から顔アイコンをそのまま引き継いだ者も多く、やや統一感がない。
    • 『Ζ』のカミーユやアムロなどの顔アイコンは劇場版のビジュアルで新録しているが、主要キャラでもクワトロやジェリド、シロッコなどは前作(TV版準拠)のままなので違和感がある。
    • 『ΖΖ』のルーや『SEED Destiny』のアウルなど、作品内の一部だけを新録している例もあり、変更の基準が不鮮明である。
  • ユニットの特徴がほとんど無い
    • 戦闘における攻撃手段は近・中・遠距離武装の3枠を基本とし、機体によっては特殊攻撃枠が追加で用意されているという方式に。そして間接攻撃は共通して1枠のみとなったため、前作より武装枠が減少してしまっている。
      • 武器の少ないアッシマーなどの機体は、近距離でも「(ビームライフル)」が使えるといった処理が成されている。この()付きの武装は、通常より威力が若干低下する。
      • 間接攻撃は枠が減っただけでなく、射程も統一され仕様面では大きく劣化してしまった。とりわけガンダム試作3号機デンドロビウムはモロにこの影響を受けており、爆導索やマイクロミサイルなど特徴的な武装が尽くオミットされている。
    • さらにユニットのランクで強さが決まるため、最大値のランク50まで上げればどんなユニットも同等の強さになる。
      • 前作でも、強化2段目になるとユニットの性能差が薄れるという特徴はあった。しかし本作では、前述のように全体攻撃が減少した上に武装枠削減・間接攻撃の劣化など、ユニット毎での個性となる要素が乏しくなって問題点と化している。
    • ランク上げの改造・強化に関しても、パーツを複数個使用できない・演出が長い上にスキップもできないとテンポ面での問題点が目立つ。
      • 一応小技として、「ユニット変換パーツを用いてザクII化→ザクIIIに改造→再びザクII化…」を繰り返すと楽にランク50まで上げられる、というものがある。後は目当てのユニットの系統に変換し、改造を進めていけば良い。
      • ただし、一部のワンオフ機体はそもそも変換・改造ができないため、地道に強化パーツをつぎ込む必要がある。さらに非ワンオフ機体の中にも「シナリオで強制出撃となる固定仕様の機体」があり、これも同様に変換・改造できない。
  • 微妙な換装システム
    • 本作では換装による装備変更が可能なユニットが増えているが、換装できるのは出撃前のみ*7。セッション中は換装できないため不便、というか前作より劣化している。
    • 装備変更が可能なユニットの選定も妙であり、ダガーLやザクウォーリアが換装できて、ウィンダムは何故か換装不可。そして前作・前々作から引き続き、ストライクガンダムもエール固定*8という残念仕様である。
  • 不遇すぎる大型ユニット
    • 本作ではMAをはじめとした大型ユニットもチームを組めるようになったが、従来の大型ユニットの長所であった全体攻撃の削除に加え間接攻撃も劣化したため、運用するメリットは皆無と言っていい。
    • 特殊防御込みで打たれ強い利点は残っているものの、大型ユニットを含むチームは最大3体しか組めないため、通常の4体編成に比べてもやはり総合力で劣る。
      • 加えて目玉システムのクロスドライブに対応していない欠点もあり、実戦では極めて扱い辛い。
  • クロスドライブの難点
    • クロスドライブが発動できる組み合わせについてはゲーム内では説明されず、総当りで組み合わせて試すしかない。
      一応、原作で関連のあるコンビや同チームに所属していたキャラ同士を組ませれば、自然に条件が満たせるようにはなっているが…。
    • ほとんどが原作通りの組み合わせとなっており、作品や世界観を超えた連携は少ない。前述のシナリオの都合上、敵キャラを交えた組み合わせもほぼ存在しない。
      • 組み合わせが限られているため、結果として編成に縛りが生まれている。また前述のように全体攻撃の手段が限られるせいで、ステージ攻略のテンポの悪化にも繋がってしまっている。
    • 一部のクロスドライブは発動時期が限られており、中盤~終盤になるまで解禁されないのはともかく、一定時期を過ぎると使えなくなるパターンもある。
    • 専用クロスドライブは演出も派手で高威力だが、総じて戦闘シーンが長い。全体攻撃はともかく単体攻撃は時間効率が悪いため、ゲームの仕様外の部分で扱いづらくなってしまっている。
      • 特定キャラの離脱により中盤から使えなくなる「アーガマ・プラトゥーン」、『W』勢から五飛がハブられている「Endless Waltz」など、仕様上の難点を抱えているものもある。
  • 『X』の扱い
    • 「フリーデン」(『X』の陸上戦艦)…と言う名前の「ガルダ級戦艦」(『Ζ』『ΖΖ』の大型輸送艦)が登場する。当然ながら、陸上戦艦としてのフリーデンは登場しない。
      • あまりに斬新すぎたため、当時の某掲示板では「新たな可能性が見つかった」と皮肉られた。
      • また、ゲーム内では特に言及されておらず、見た目もディフォルメされているため気づきにくいが、フリーデンとガルダ級戦艦ではサイズから重量まで全てのスケールが違いすぎており*9、代理としても違和感が強い。
      • 一応、ガンダムシリーズには『X』を除くと『1st』のビッグ・トレーや『SEED』のレセップスなどしか陸上戦艦がなく、山間部の突破や高空戦に参加できずシナリオ的にも活躍させ辛いため仕方ないという意見もある。
    • ウィッツ、ロアビィがギャザビシリーズに初登場したは良いのだが、原作での愛機であるガンダムエアマスターとガンダムレオパルドは揃って実装されていない。初登場時の乗機はリック・ディアスで、その後の強制出撃ではネモに乗るという有様である。
    • 今回は『X』の最終決戦も再現されたにもかかわらず、ガンダムヴァサーゴ・CBとガンダムアシュタロン・HCも実装されていない。このため、フロスト兄弟は最後まで通常のヴァサーゴとアシュタロンに搭乗し、さらに「サテライトランチャーの代わりにAI制御のガンダムダブルエックスが参加する」という残念な演出も見られる。
  • 不遇なデスティニーガンダム
    • 『SEED Destiny』の後期主人公機体の1つで、当時のアニメ内での扱いはお世辞にもよろしくなく、逆にゲームでは好待遇を受けがちな機体ではあったが、なぜか本作での扱いは驚くほどに悪い。
    • 多彩な武装を持つ設定にもかかわらず、本作で使えるのはビームソード・ビームライフル・長距離ビーム砲の3種のみ。一応、長距離ビーム砲は間接攻撃でも使用でき、バルカンやビームブーメランの省略は他作品でも見られるし武装枠の都合もあるので仕方ないとしても、代名詞たる「パルマ・フィオキーナ(掌のビーム砲)」が未実装という信じられない仕様。
    • さらに、作中で印象的だった光の翼や残像演出は一切存在しない。加えてクロスドライブも共通の汎用演出しかなく、ハイパー化にも未対応、シナリオ内では原作通りながら敵機として登場するなど、とことん不遇である。
      • なお、ストライクフリーダムやF91などで光の翼や残像演出は見られるため、本作でそれらの演出が再現できなかった訳ではないとも思われる。また、詳しくは余談で触れるが、開発当初はこれらの武装や演出を再現する予定があった可能性がある。
    • この他、ライバル機のインフィニットジャスティスガンダムも蹴り技が一切なかったりと、本作では肝心な武装・攻撃が再現されていない例がいくつか見られる。
  • 収録機体・キャラ関連
    • 前述のようにゲームオリジナル機体がほぼいないことに加え、マイナーな機体・キャラも減少気味で味気なくなった。
      • かろうじてEx-Sガンダムなどは続投しているが、ガンダムMk-II試作0号機やZガンダム3号機(グリーンダイバーズ仕様)など、前作にいたマイナー機体で未収録に終わっているものは少なくない。
      • これでも機体・キャラの総数は増えているが、同じ見た目で内部的に専用仕様となっている機体を別ユニット扱いしているものが多々ある。キャラクターにおいても、例えばドモンやシンの時期・制服違いだけで9キャラ食っていたりと詐欺気味。
    • 各図鑑の説明文が普通の内容になってしまった。それ自体に大きな問題がある訳ではないのだが、前作までの色々な意味でぶっ飛んだ記述が好評だったため、それを望んでいたファンをガッカリさせることに。
    • ゲーム中のテキストにはわずかだが誤字脱字がある。シナリオ内にもたまに見られるが、ストライクノワールの格闘武器の「フラガッハ」表記(正しくは「フラガッハ」)などは嫌でも目に付いてしまう。

評価点

  • OPムービーは、ギャザビシリーズながら本家シリーズと同等のフルCGで構成されており、見応えがある。
    • ただしハード性能を考慮していないのか、ムービー中のBGMは音割れ気味。
    • カオスガンダムの誘導ミサイルなど、ゲーム内では使えない武装を使用しているシーンもあったりする。
  • BGMは過去作の流用・再録に加えて、一部楽曲は新規で収録。これによってほとんどの参戦作品に主題歌または劇中BGMが用意されており、充実した構成となっている。
    • オリジナルの楽曲も流用が多いが、総じて戦闘BGMの評価は高い。
  • ギャザビシリーズで初めてガンダムダブルエックスが登場した。
    • ツインサテライトキャノンによる殲滅力はもちろんのこと、専用のクロスドライブもあるなど、比較的見所は多い方である。
    • 今までのシリーズでは、ガロード自体が隠しキャラだったり脇役が一切出なかったりと『X』自体が散々な扱いを受けていた。本作では上記のような難点はあれどもシナリオ上の見せ場は増えており、全体で見れば扱いは良くなっている。
  • 同じくギャザビシリーズ初参戦となった『ASTRAY』は、ロウやガイといった主要メンバーが2ルート共通で自軍に加入するのだが、フィオ編とニケア編でそれぞれキャラの性格やIDコマンドの性能などが異なっている。
    • 原作が漫画や小説などの複数の媒体で展開されていて、各媒体によって性格や描写に微妙に差異があったことを踏まえた面白い個性付けと言える。
    • BGMは本家シリーズとも異なるオリジナルのものが用意されており、こちらの出来も良好。
  • オリジナルキャラ関連の設定や人間関係、ストーリー展開などといった固有の描写そのものは決して悪くはない。無意味なクロスオーバーや版権作品を踏み台にした要素など、コラボレーションがイマイチでなければ評価は変わっていただろう。
    • フィオ編は少年漫画的な構成で、両親との死別やパートナーとの対峙といった要素を備えつつも必要以上に暗くなり過ぎない展開を見せる。ニケア編は強化人間設定や過去のトラウマといった重い要素を揃えた終始シリアスなストーリーとなっており、いずれもガンダム作品に相応しい特徴を備えている。
  • 編成システムが変わり、メインとなる母艦1隻以外は戦艦の編成が自由になった。
    • パイロットはMS・MA、艦長キャラは戦艦にしか編成できないが、一部のパイロットは艦長との兼任が可能。該当するのはジャミルやビーチャ、ベラ*10といった原作でもパイロットと艦長を両方こなしていたキャラで、原作再現はもちろん編成の自由度も高まっている。
    • ただし、出撃数の制限から戦艦を優先して編成する必要はほぼ無く、慣れてくると戦艦そのものが空気になりがち。
  • 改造する際に各メカニックキャラを選ぶ事ができ、選んだメカニックによって各能力値に補正がかかるという仕様。メカニックにスポットライトが当てられるシステムは珍しく、個性的といえる。
    • これに関連して、改造によってMSに特殊能力・装備をランダムで付加することもできる。単純なステータスupだけでなく、I・フィールドのような固有装備も追加可能。
    • その気になれば、ファンネルやドラグーン、メガ粒子砲といったトンデモ装備すら追加できたりする*11
      • もっとも外見には反映されないため、実際には謎の部位からファンネルやビームを射出するシュールな戦闘シーンを拝むことになる。
    • また問題点で指摘した通り、ここにもテンポ面での問題を抱えてしまっているのだが。
  • シナリオ中に宇宙→地上と遷移するステージがあるためか、本作では宇宙専用機といった概念がなく、試作3号機といった機体でも地上マップに出せる。
    • 地形適性の概念はあるが、上記の改造にて適性を向上させる装備を追加すれば補強も可能。
  • 前作では宇宙世紀の一部機体や、アナザー作品の大半の非量産機は一機しか保有できなかったが、今回はほとんどの機体が生産可能になり複数所持できるようになった。
  • 戦闘シーンやイベントの演出がやや強化された。特に戦闘シーンはグラフィックが一新されたこともあり、前作は前々作から退化したと言われるほど*12の出来だったので相対的に良く見える。
    • 前作の必殺技ではほとんど見られなかったカットイン演出や、戦闘アニメに合わせた台詞表示なども効果的に取り入れられており、見栄えそのものは決して悪くない。
      • この他、例えばクロスボーンガンダムX1は「ABCマント」が発動するとマントを脱ぎ捨てる演出が入り、必殺技「分身攻撃」にてブランドマーカーやヒートダガーキックも取り入れられているなど、前作では省略されていた要素が表現された機体もある。
    • さらにクロスドライブという形で連携攻撃の演出も大きく強化されているため、「多彩なカットインアニメーションによる迫力の戦闘シーン!」は評価点といって差し支えないだろう。
      • クロスドライブも作品・世界観を超えた例が皆無という訳ではなく、ロウと『ΖΖ』のガンダムチームによるジャンク屋同士の組み合わせや、ウッソと他作品の女性キャラ3人を合わせた『V』のシュラク隊を思わせる組み合わせ…といった個性的なパターンも少数だが見られる。
    • ただし前述のように、結果として戦闘シーンのテンポの悪化に繋がっており、オールレンジ攻撃や一斉射撃系など劣化している演出もある。

総評

前作が非常に高く評価されていたこともあり本作にも期待していたプレイヤーは多かったが、本作は前作から良い部分を何故か全て取り払ってしまった
部分的には評価できる要素もあるが、ギャザビシリーズとして期待されていたクロスオーバーやifシナリオは皆無、オリジナル要素も微妙と大きく外してしまっている。
これらの悪評もあり、結果としてギャザビシリーズに引導を渡すこととなった。
とはいえ、本作のオリジナルキャラが評価されていない訳ではないため、後述するシスクードやシグのような形での再登場に期待したいところではある。


余談

  • 2007年のクソゲーオブザイヤー携帯機部門次点作品である。
    • もっとも、携帯機部門の初年度であることに加え、同年の据置機部門にてかのヨンパチショックが起こっているので、以降のノミネート作品と同列に語るのは少々酷かもしれない。
  • その評価は素直に中古の値段にも表れ、前作の方が中古相場も買い取りも高いという状況を生み出した。
  • 散々な評価であった故か本作以降、いわゆるギャザビート系列作品は一切リリースされていない。開発担当のヴァンガードも本作を最後にGジェネの開発から外されている。
    • 前作と本作を比較すると、ifシナリオやマイナーキャラを多数取り入れたことで良くも悪くもマニア向け過ぎた前作に対し原作再現を重視したストーリーや、DSながらほとんど活用していなかったタッチ操作を徹底的に用いた操作性など、前作の反省を活かそうとした形跡は見られる。それが結果として上記の不評に繋がったのは惜しい所か。
    • なお新作こそ途絶えているものの、ギャザビシリーズのオリジナル機体である「シスクード」は『SDガンダム Gジェネレーション GENESIS』のDLCにて参戦しており、この他ガンプラにガシャポン・食玩などの可動フィギュアといった立体化も相次いて行われている。
      • さらに後の『SDガンダム Gジェネレーション CROSSRAYS』のDLCではシスクードに加え、パイロットの「シグ・ウェドナー」も参戦した。これにより、初めてシグにボイス演出が付いたと同時に、ギャザビシリーズを由来とする戦闘BGMまで収録されることとなった。
  • 改造ツールを使用すると、本作の開発中に削除されたと思しきユニットが確認できる。
    該当するのは『デスティニーガンダム』と『ガンダム試作3号機デンドロビウム(及びステイメン)』の各ハイパー化仕様で、それらの名残と思しき没データが存在している。
    • 本作ではそれぞれの原作パイロットであるシンとコウが共にハイパー化可能であり、元機体の特殊武装枠が空きになっている。おそらくパイロットに連動して機体もハイパー化し、必殺技*13も追加する予定であったと思われるが、採用されずに削除されたようだ。
      • 余談の余談だが、上記2機は前述のように本作ではかなり不遇な立ち位置にいるという残念な共通項がある。もし削除されていなければ評価は大きく変わっていたのだが…。

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  • ヴァンガード
  • 2007年
  • ガンダム
  • KOTY携帯次点

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最終更新:2024年02月22日 08:51

*1 アムロは原作同様の流れを辿りつつ奇跡的に生還し、シャアのみ行方不明となる。アストナージとチェーンはゲーム中でメカニック用員としての役割があるためか、死亡シーンの再現自体がない。

*2 小説版でも最後に奇跡的に生存はしている。

*3 原作で2人とも生死不明で、一応どちらともとれる描写になっていた。ただし漫画版では2人とも生還した姿が描かれており、本作のエピローグでも再現されている。

*4 上記のように『0080』のバーニィだけは劇中の一騎打ちを演じた後も無事に生き残るようになっており、クリア後はクリス共々自軍に加入する。

*5 一応、1周目クリア以降は戦闘シーンを省略可能となるため多少短縮はできるが。

*6 後述の「フリーデン」や、『V』のホワイトアークの同型艦「アルトリウス」といった、名称の異なるオリジナル機体は登場する。

*7 従来作のように、戦闘中に母艦に機体を収容・帰還させるといった仕様自体が存在しない。

*8 一応ストライクノワールはいるが、公式設定では完全な別機体である。

*9 数値設定だけで言えば、ガルダ級は最大積載量9800tで、重量6380tのフリーデンを運搬可能なレベルである。

*10 『クロスボーン』の艦長キャラであり、作中ではMSでの戦闘描写は無いのだが、前日談にあたる『F91』においてパイロットを務めている。

*11 ただし、対応する武装枠に()付きの武装が充てられている機体でないと使用できない。

*12 既存機体のグラフィックを流用していながら、被弾・回避モーションなどの演出を省略していたため。その分テンポは速くなっていたが。

*13 デスティニーはパルマ・フィオキーナなどが候補に挙がるほか、試作3号機デンドロビウムは前作にもあった「吶喊」の採用が考えられる。