Magic: The Gathering Duels of the Planeswalkers

【まじっく・ざ・ぎゃざりんぐ でゅえるず・おぶ・ざ・ぷれいんずうぉーかーず】

ジャンル トレーディングカードゲーム
対応機種 プレイステーション3
Xbox360
Windows XP~8
発売元 Wizards of the Coast
開発元 Stainless Games
発売日 初代:2009年6月17日
2012:2011年6月15日
2013:2012年6月20日
2014:2013年6月26日
2015:2014年7月16日
定価 【360】800MSP
【PS3】800円
【Win】9.99US$
備考 価格はゲーム本体のみ・有料DLCを除く
Win版はSteamにて購入可能*1
発売日はハードごとに若干の違いあり
判定 なし


概要

  • TCGの草分け的な存在にして現在まで世界的に高い人気を誇る『マジック:ザ・ギャザリング』(以下MtG)をコンピューターゲーム化した作品。MtGを製作・販売しているウィザーズ・オブ・コースト社自ら販売している。略称はDotP+年度。ただし年度はアメリカ基準なので発売年度+1なのでお間違えなく。
    • ゲームにはプロモーション・ブースターのコードが同梱され、それをMtGのイベントを開催する権利を持つ特定のカードショップへ持って行くと特別なカードが封入された(いわゆる現実のカードの)カードパックを手に入れることが可能。
  • 2009~2010年に発売された1作目以降、1年ごとに新しいバージョンが発売されている。現時点で『DotP』『DotP2012』『DotP2013』『DotP2014』『DotP2015』の5作品が発売されている。
    • 日本語向けローカライズが行われたのは『2012』のPS3版から。それまでは国内アカウントでもダウンロード可能だったが日本語は無しだった。
    • DotP2015からPS3がサポートを外れ代わりにXBOX Oneがサポート対象になっている。
  • 本記事では紙媒体をMtG、本作をDotP、Magic OnlineをMOと省略して表記する。

特徴

  • 対戦ルールはMtGのものとほぼ同様に進行していく。使用できるカードは外枠にエフェクトがかかるというゲームならではのアシスト機能もある。
    • 初期手札の引き直しルールに関しては1度目で7枚引き直せる(MtGやMOのほとんどのルールでは1度目の引き直しで6枚に減らされる)など、一部MtGと異なるので、これを機会に紙にも触ってみようという人は要注意。
  • 一からデッキを作ることはできない。使用できるのはあらかじめ構築されたテーマデッキのみ。
    • キャンペーンモードで勝利すると使ったデッキでカードが順次アンロックされていき、追加したり入れ換えたりすることが可能だが、あくまでアンロックされるカードはデッキテーマに沿ったもののみ。
    • 初代DotPでは追加されるだけでデッキから抜き取る事が出来ないという致命的問題があった。MtGでもMOでも特別な理由がなければ*2キーカードを引く確率を上げるために、デッキは下限ギリギリの60枚にするのが基本である。
      • DotP2012以降改善されたほか、DotP2015では土地の枚数を自分の好みで調整出来るようになった。
    • 有料DLC(エキスパンション)により使用できるテーマデッキが増える。また、作品ごとにテーマデッキ・登場カードは一新されている。
  • 2010年にMtGで初代DotPを元にした構築済みデッキが販売されたが、DotPとMtGで共通のデッキではなかった、何ぞ…。
  • オンライン対戦に対応。一人用ではキャンペーンモードのほか、カードを使ったパズル・チャレンジモードがある。
    • キャンペーンモードは『DotP2013』までは単に相手と戦うだけだったが、『2014』ではムービーやテキストなどによるストーリー要素も追加されている。
      • が、派手なCGムービーとは裏腹に翻訳された音声は恐らく本職ではないお粗末な棒読み。
      • さすがにアレだったのか、DotP2015では主役ナビゲーター役のジェイス・ベレレンに浪川大輔氏が抜擢された。
  • 演出面では、アイコンには実際のMTGのカードで使われたイラストが使用されている。
    • オープニングなどではCGムービーなどが使われている一方、実際のゲーム中はカードゲームの再現ということもあって派手な演出などはほとんど無い。
      • ダメージ時などに起こるエフェクトの種類自体は多彩。
    • BGMもMtGらしいダークなファンタジーの雰囲気がよく出ていると言える。
  • 通常の2~4人での無差別戦、2対2の双頭巨人戦の他、2012以降は作品ごとに異なるカジュアルルールで遊ぶことが可能。
    • 2012では魔王戦。1対多人数による対戦で、1人側は「魔王」として特殊な「計略カード」を使うことができる。
    • 2013ではプレインチェイス戦。場に出された「次元カード」の効果がお互いの場全体に効果を及ぼすというルール。
    • 2014ではシールド戦。開封された複数のブースターパックで作られたカードプールの中からデッキをその場で作って対戦する。
    • 2015では…なぜか消滅した。
  • DotP2015までは各基本セットの直前にリリースされたため、それらの基本セットから数枚が先行で収録されていたり、直接は先行収録されなくともカードとして登場するだろうというキャラが組み込まれている。これによって基本セット初の6人目のプレインズウォーカー*3や初の多色カード*4が予告されるなど、MtG上級者であってもプレイしてみるかという気にさせてくれる。

評価点

  • DLCを買わずに本体のみなら1,000円以下と安価にマジック:ザ・ギャザリングを遊ぶことができる。
  • AIは比較的まともで、盤面で明らかに損になるようなプレイングをすることは少ない。
  • 2012の魔王戦と2013のプレインチェイス戦では派手な効果が生じることもあり、普通のマジックとは一味違った楽しさがある。

問題点

  • 構築の自由度がなく、紙のMtGを本格的にやっているプレイヤーにとってはやや物足りない内容。
  • 各プレイごとにインスタントの割り込み受付時間が入るため、ややテンポが悪い。MtGなら一声、MOでもクリック一発で飛ばせるのだが…。
  • カードゲームのデジタルゲーム化ではよくあることだが、バグが多い。また、日本語版は誤植も多く、初見のカードだと戸惑いやすい。

総評

TCGの最大の魅力である構築の自由度は極めて低いものの、
値段の安さもあってマジックそのものを触りだけ遊んでみたいというプレイヤーにはうってつけの作品。


余談

  • MtGの開発元であるWotCは「このゲームでマジックに興味を持ったのなら、MtGかMOにも手を伸ばしてほしい」とコメントしている。
  • 一連の『DotP』シリーズは2014年の『DotP2015』で一旦終了した模様で、2015年からはWotC社公式のMtG入門向けゲームとして『マジック・デュエルズ』が配信されている。
    • こちらはDotPシリーズでは不可能だったデッキ構築が可能で、ゲームの値段も基本無料(課金によってブースターパックを購入できる)となっている。
    • 一人用のストーリーモード、通常の対人戦、フレンド対戦、双頭巨人戦、対AI戦の他、スキルクエストというチュートリアルのモードがあり、MtGの入門用としてよりわかりやすくなった。
    • 構築のカードプールは『マジック・オリジン』およびそれ以降のエキスパンション・セットのカードの各6-7割ほどと、ゲーム開始時やストーリーモードクリア時にもらえる過去セットのカード(ゲーム内では「スターター」として扱われる)。紙で新たに発売されたセットも随時追加されている。また、レアリティによって入手・投入できる枚数が制限されている*5。ローテーション(古いセットが使えなくなること)や禁止カードもなく、紙やMOとは異なる独特の環境になっている。
    • カードは前述のスターターの他、ゲーム内通貨のコインで各セットのカードパックを購入することで集めることができる。入手上限に達したカードはそれ以上出現しなくなるため、コンプリートに必要なコインはセット毎に一定である。コインは対戦勝利と毎日追加されるデイリークエストなどで獲得できる。対戦勝利で獲得できるコインは1日400コインまでに制限されている一方で、全カードのコンプリートには『霊気紛争』追加時点で8万コイン近く*6が必要であり、デイリークエストなどを考慮しても無課金の新規プレイヤーは最短でも4か月程度かかる。
      • 一方既コンプリート者にとっては、1日数プレイしてデイリークエストをクリアしていれば、次のセットの追加までに十分なコインが溜まるというちょうどいいバランスになっている。
    • カードプールの制限と枚数制限こそあるものの、自由にデッキが構築できるようになったことは非常に評判がいい。しかしながら、買い切り型であったDotPシリーズとは異なり、基本無料コイン課金のシステムでカードセットが追加され続けているため、新規プレイヤーはコンプリートまでにかなりの時間もしくは課金を要すること、そのために対人戦の資産格差が激しくなっていることは欠点と言える。
    • サポート終了に伴い課金を受け付けなくなったが、最終アップデートにて全てのカードがコンプリートされた状態になった。
  • 2018年以降は新たな基本無料デジタルゲームとして『Magic: The Gathering Arena』を配信している。
    • スタンダードのカードプールが完全再現され、レア度別の枚数制限も撤廃されたので、紙と全く同じデッキを組めるようになった。賞金制の公式大会も開催されている。
    • ローテーションによりスタンダード落ちしたカードに加え、独自の基準で追加された過去のカードも使用可能なフォーマット「ヒストリック」もプレイ可能。
    • ゲーム内通貨でパックを買うという方式は『マジック・デュエルズ』を引き継いでいるが、ランダムに出現する「ワイルドカード」を同レア度の好きなカードと交換できるため、デッキ構築はより容易になった。
    • シールドやドラフトといった、その場で開けたパックでデッキを組むリミテッド戦も可能になった。ただしドラフトについては疑似再現である*7
    • 一方で、一人用のストーリーモードはチュートリアルを兼ねた数戦のみ。NPC相手の練習も可能だが、基本的には対人戦に特化した作りである。

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最終更新:2020年12月07日 00:37

*1 どの版も2020年12月にWindows版のSteamでの販売は終了

*2 例えば「ターン開始時にデッキの残り枚数が200枚以上なら勝利する」というカードをキーカードとした「バベル」と呼ばれるデッキでは、デッキの仕様上240枚超の構成にされる

*3 基本セットでは各色1人(枚)ずつの5人というのが定番だった

*4 基本セットは基本故にそれまですべて単色カードしか収録されていなかった

*5 具体的にはコモンは通常のMtGと同じく4枚投入することが可能だが、アンコモンは3枚、レアは2枚、神話レアは1枚までと高レアリティほど投入できる枚数が少なくなっている

*6 不定期に開催されるセールを利用すれば必要な量は少なくなるが、いつどのセットが割引になるかは直前の告知まで不明であり、当てにし難い

*7 NPC相手にピックするモードと、ランダムマッチした8人でピックするモードがあるが、後者についても対戦相手となるのは同卓のプレイヤーとは限らない