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アパシー ~鳴神学園都市伝説探偵局~

【あぱしー ~なるかみがくえんとしでんせつたんていきょく~】

ジャンル 学園ミステリーアドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 256MbitDSカード
発売元 アークシステムワークス
開発元 ディー・イー・エル
発売日 2007年10月25日
価格 3,990円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 クソゲー
ポイント 2007年クソゲーオブザイヤー携帯機部門大賞
続きは同人で
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概要

都市伝説をテーマに据えたアドベンチャー。
同年に『学校であった怖い話』の舞台設定を原点とした「アパシー・シリーズ」と呼ばれる作品群の立ち上げが発表されており、本作はその1つとして発売されたものである。
シナリオは『学校であった怖い話』と同じく、元パンドラボックス社長の飯島建男。本作以降は新PN「飯島多紀哉」の名義を使用している。

氏はPANDORA MAXシリーズの失敗後は創作活動を停止して海外で翻訳業に従事していたが、帰国後はパンドラボックスの版権を受け継ぐ新会社「シャノン」を設立。
本作と『四八(仮)』『ONI零 ~戦国乱世百花繚乱~』の三作を復帰作として提げ、ゲーム制作の場へと舞い戻ってきた。

…はずだったのだが。


問題点

  • システム面がことごとくダメ。基本システムとして「サウンドノベル形式のテキストアドベンチャー!」と大きく記されているが、テキストADVとして基本的な部分がまったく出来ていない。
    • 例を挙げると、同じ話を繰り返しプレイさせる内容であるにも拘らず「既読スキップ」が実装されていない。また手動スキップも「エフェクトはそのまま、カット不可」な為あまり意味がない。黎明期ならまだしも、この時代のADVならば周回プレイ用のスキップ機能は常識的に備わっているはずの機能である。
    • DS初期のゲームでよくあった「無理やりタッチ操作を取り入れた弊害」も完成されているADVというシステム形式をおかしくしている。途中で入るミニゲームも邪魔以外の何物でもなく、そもそも「タッチして離すと決定」という仕様なため、操作がやりにくい。何故既に完成している既存のシステムで遊ばせてくれないのか…。
    • その有様であるとともに、結構な頻度で起こるフリーズバグ。システムが完成していてバグが出にくいはずのADVでこの様とはどういうことなのだろうか。『学校であった怖い話』の方がシステムの完成度は高い。過去に負けてどうする…。
  • 公式サイトで「特殊能力で、相手の嘘を見抜け!」と大々的に宣伝されていた特殊能力「天眼」が、完全に設定負け。
    • いわゆる「邪気眼」と呼ばれるタイプの能力で、「相手の発言の善意/悪意を見抜く」というものなのだが使う機会が限られ過ぎていて意味が薄い。「万物の正邪を見抜く眼」という設定が完全に空回りしている。
  • シナリオも微妙どころか問題点ばかり
    • 全体的に稚拙な内容で、ボリューム的にも怖さ的にも微妙。
    • キャラ造形も「名前がややこし過ぎて感情移入しにくい」「話言葉に多々無理があり読む者を萎えさせる」などいわゆる「創作初心者が陥りがちな独りよがりの物語」にありがちな薄っぺらいもの。
    • 主人公の口の悪さもそれに拍車をかけており、上記の能力もあって「イヤな奴」以外の何物でもない。
  • メインシナリオが3話しかない。そしてその他は全て些細な怪談や都市伝説の話である。
    • 天眼に関わるメインストーリーが恐ろしく薄い。嘘を暴くために主人公が天眼を使う1話と、別の能力の目を持ったキャラクターが現れる2話。そしてそのキャラが唐突に死亡する3話(エピローグ)。で、終わりである。設定も何も明かされない。
    • 多岐に渡る選択肢にもかかわらず、エンディングは「俺たちの戦いはこれからだ」エンド1つだけ。公式サイトの煽り文句は「複雑に枝分かれした物語を遊びつくせ!」だが、行き着く先が同じではどうにも…。
    • 選択肢によってテキストに矛盾が出る事がある(何故か自分の名前を2回言う先輩など)が、まさかこれが差分というわけでもないだろう…いや、それはわからないが。
    • そのくせテキストADVのキモとも言える謎解きに関しては、ほぼノーヒント。答えを知ったら納得するのではなく怒りを覚えるレベルの理不尽さ。たまにヒントがあっても間違っていることがある。
  • メイン客層がどこなのかよくわからない。
    • 都市伝説ネタでティーンエイジを狙っているのかと思いきや、90年代に出た『学怖』や制作者の作品を読んでいないと分からないネタがやたらと多い。事前に同人誌を読んでいる人しか楽しめないと言われている。
  • 根本的な問題として、シナリオや設定を完成させる気が端から無い。アパシーシリーズそのものが「生徒数数千名を超えるマンモス校を舞台とし、全シナリオがパラレルワールド」という設定であり「完成しなくても不完全でも、それはそういうもの」という形になっている。
    • 「蓬莱学園シリーズ」のようなシェアードワールドに近く、読む側にクリエイター気質があって足りない部分を自己補完できなければ内容が伝わらないという商業作品としては厳しい仕様である。

評価点

  • エンディングで流れる主題歌は本ゲームで数少ないまともな部分。ただし本編があまりにも薄いので何の感慨も湧かないのだが…。

総評

何故コンシューマで出した」、その一言である。最初から「そういうもの」と分かってくれるコアなファン相手に同人で和気藹々とやっていれば叩かれることもなかっただろうが、何を思ってわざわざ同人ゲームの予告編をフルプライス商業タイトルとして販売したのだろうか。
『学怖』がヒットしてから流れた時間と、その間に作成したゲームの評価を考えれば「商業向きではない」と気づけたのではないだろうか。
その後本作は『戦国乱世百花繚乱』『四八(仮)』と並んで2007年KOTY大賞に輝くこととなり、飯島氏の評価を果てしなく下げる原因となってしまった。


余談

  • スタッフ曰く「続編は同人で出す」とのこと。だったら最初から商業で出すな。有料体験版と罵られても仕方がないレベルの行為である。
    • ただし、そもそものところアパシーシリーズは同人ゲームと商用ゲームの両立を掲げており、殺人を筆頭とする犯罪行為・食人・同性愛と言った際どい表現が多い作品は同人、それ以外は商業と分けられる「予定」だったとか。つまり実際は酷いエログロになる予定だったのだろうか。
  • ゲームライターのマフィア梶田氏が本作のスクリプト作成を行っていたことを自身のYouTubeチャンネルで明かしている。
  • 2011年、飯島氏が自身の公式サイトにおいて「同人活動を行う上でのつてが無くなった」「ゲーム開発に関わること自体今後どうなるかわからない」と発言。以降は子供達のゴルフ育成に専念していたようで「アパシー」シリーズ自体が凍結に陥っていた。
    • それが一段落したからか、2017年頃から「アパシー」の新作を同人で出したり、過去に同人やケータイアプリで発表した『送り犬』をSwitchにリメイク*1するなどしている。
    • 2022年には『アパシー 鳴神学園七不思議』が発売。本作から実に15年ぶりの「アパシー」の名を冠したCS機となる。エンディング数はあの『彼岸花』を超える300種類以上を用意していると言及されている。実際発売されるとそれなりのボリュームなっており、CSとしては問題ない作りになっている。
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  • アークシステムワークス
  • 2007年
  • DS
  • ADV
  • KOTY携帯大賞

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最終更新:2024年01月25日 16:01

*1 開発担当は別会社。自身は追加シナリオの執筆など。