いただきストリートWii

【いただきすとりーとうぃー】

ジャンル ボードゲーム
対応機種 Wii
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 AQインタラクティブ→マーベラスAQL
(吸収合併に伴う継承)
発売日 2011年12月1日
定価 5,800円(税別)
判定 シリーズファンから不評
ポイント DSに引き続きマリオとDQが共演
演出に凝りすぎてテンポが大幅劣化
いただきストリートシリーズ
ドラゴンクエストシリーズ
マリオシリーズ


概要

サイコロを振って盤面を巡りながら資産一位を目指すボードゲーム『いただきストリート』(いたスト)シリーズの一作で、シリーズ20周年記念作品。
同様に『ドラゴンクエスト』シリーズ25周年記念作品、マリオ生誕30周年記念作品でもあり、最近のいたストでは恒例となった他ゲームとのコラボレーションが行われている。
『ドラゴンクエスト』シリーズの参戦は通算4度目(携帯電話用ゲームを含めれば5度目)、マリオシリーズの参戦は『いただきストリートDS』に続いて2度目。


特徴・ゲームシステム

  • 本作の一番の特徴として、通常ルールを簡略化したイージールールが初搭載されていることが挙げられる。
    • 通常ルールは前作『いただきストリートDS』と同様。初期資金とマークを集めて得られるサラリーを元手に店を買い、他のプレイヤーが自分の店に止まったときに徴収する買い物料、店に増資することによって連動して価値が上がる株を利用して目標金額以上の資産を稼ぐことが目的。
    • イージールールでは株やエリアの概念が存在しない。その代わり、同じプレイヤーの物件が隣接すると物件の価値が高くなると共に、増資あまり*1も増える。
      • 交渉や5倍買いは通常通りできるので、いかにして自分の店をつなげるか、また相手の店のつながりを断ち切るかを考える必要がある。
      • よって、イージールールでは主な収入源がマークを集めて得られるサラリーと相手から徴収できる買い物料のみになる。
  • 勝利条件は通常ルール、イージールールで共通しており、目標金額に到達したプレイヤーが銀行に戻ったらそのプレイヤーが優勝。また、初期設定であれば誰か一人が破産すればその時点でゲーム終了となり、その場合は総資産が最も多いプレイヤーが優勝となる。
    • 本作では銀行でサラリーをもらって目標金額に到達した場合、銀行にぴったり止まって株を購入し、その結果株価が上昇して目標金額に到達した場合もその時点で優勝となる。*2
  • キャラ数が前作の22種類から26種類に増加。ディディーコング・クッパJr.・サンディ・ルイーダが使用可能になった。
  • 前作ではプレイヤーの分身がオリジナルのアバターだったが、本作ではMiiに変更された。
    • 「ひとりで遊ぶ」モードの場合操作するキャラはMii固定となり、「きせかえ」で自身のMiiを好きなコスチュームに着替えさせることが出来る。もちろんそのままゲームプレイも可能。

難点

テンポの悪さ

  • 今作は演出に力が入っているのだが、それが災いしてゲームテンポはかなり悪い。
    • 一応設定でゲームスピードと会話スピードは変更でき、ゲームスピードは「ふつう」「はやい」「超はやい』、会話スピードは「ふつう」「はやい」「会話なし」の3段階に設定出来る。
    • 問題は前者。これを初期設定(ふつう)のままにすると、サイコロの目が出るのに時間がかかる上、歩くスピードもかなり遅いためストレスを感じることほぼ必至。
    • 「はやい」だと歩くスピードは改善されるものの、サイコロの演出はそのままのため「超はやい」推奨。
      • このサイコロの演出がどのくらい長いかと言うと、サイコロを振ってから移動可能になるまで約4秒かかる。「超はやい」では2秒もかからない。
  • 但し、「超はやい」にしても一部のテンポを悪くする演出は据え置き。以下具体例を挙げる。
    • お店関係のイベントは、一軒ごとに演出を見せる。
    • 所持金・総資産の増減がカウンターのロール表現。
    • 競売時、競りのコールが10G単位のみ。

操作性

  • 斜め入力が必要な機会が多いがWiiリモコンには十字キーしかないため斜め入力しにくい。
    • GCコントローラ・クラシックコントローラは非対応だがヌンチャクは対応しているため、使用すればこの問題は解消される。
  • Wiiリモコンに合わせてボタン設定が大幅削減されている。これに因り、10株売りなどが1ボタンでできなくなった。

システム関係

  • 前作に引き続き「ひとりで遊ぶ」ではMiiしか使えない
    • 操作キャラとしてマリオ・DQシリーズのキャラを使いたければ「みんなで遊ぶ」にするしかない。
  • 株価の変動タイミングが『いただきストリート3』の仕様に戻った。
    • これによりゲーム上の重要テクニックである「空き地インサイダー」*3が自分のターン1ターンのみで完結する仕様になり、他プレイヤーが同じ株を買う(相乗り)などによる対処などができなくなった。
  • チュートリアルは基本的にマスの説明だけしかなく、やや不親切。
  • 複数人でプレイする場合は、対戦中のセーブが出来ない。戦績も同様。
    • そのためやむを得ずプレイを中断しなければならない時、Wii本体の電源をつけっぱなしにしておくことしか解決策がない。
    • 戦績に関してもCPUとの対戦成績・マップ別の順位・ベストテンなど削除されている。

その他の難点

  • 画面のインターフェースが見にくく、情報が分かりにくい。
    • 右下にあるプレイヤー情報を表示しているウィンドウが妙に大きく、場所が悪い上に消せない。このせいでマップの視認性を悪くしている。
    • サイコロを振った後だと、マップの先を一覧で見ることができない。
    • 資産があっても「土地がどのくらい」で株の割合がわからない。
  • エリア名は全マップで「エリアA」「エリアB」などといった名前に統一されている。ぱっと見でどのエリアなのかわかり辛い上、過去作ではエリア名も「あかヨッシー」「ラダトーム」などのように凝っていたので、残念に思うプレイヤーが多い。
  • ドラクエとマリオのコラボであるにもかかわらず、チャンスカードの絵柄がドラクエ、マリオと全く関係ないものになってしまっている。*4
  • BGM・キャラクター・マップ(グラフィックを除く)が過去作からの流用が多い。

評価点

  • ルール・システムは今までの「いただきストリート」シリーズとほぼ同様であるため面白さは健在。
    • 特にシリーズ未プレイであれば問題なく楽しめるだろう。

ルール・システム面

  • イージールールの搭載。
    • イージールールでは株による難解な要素が存在しないため、子どもなどライトユーザーでも気軽に楽しめるようになった。
      • このイージールールは「イージーモード」と名を変えて、次作『いただきストリートドラゴンクエスト&ファイナルファンタジー30th ANNIVERSARY』にも引き継がれている。
  • 「きせかえ」の種類が前作と比べ豊富になった。
  • ステージ数はそれなりに用意されている。バリエーションも多い。
  • 「ツアーモード」でマップを自由に決められるようになった。*5
  • Wiiというハードの特性を活かし、Wiiリモコンを振ることでサイコロを振ることができる。これにより、まるで大きなサイコロを振っているような感覚が楽しめる。

キャラクター関係

  • 前作同様、普段は喋らないキャラたちが無邪気に喋り、会話の際に表示されるモーションもキャラごとに設定されていて表情豊かに動く。
    • 例えば買い物料が高く設定されたマスに止まったり最下位になるとキャラによって悲しんだり、怒ったりして会話・モーションもそれに準じたものになる。これに限らずキャラクターたちは喜怒哀楽をはっきり表現するので愛着が湧く。
    • 場面によってはキャラ同士で会話することもある。
  • クッパJr.・ディディーコング・サンディ・ルイーダの追加。
    • これら追加キャラクターのファンにとっては嬉しい要素。

総評

初となるWiiでの「いただきストリート」ということで大きく期待された本作だが、過去作からテンポが大幅に劣化してしまっており、その期待とは裏腹にシリーズファンから酷評されてしまった。
本作の目立った要素はイージールールの追加くらいであり、「いただきストリート」シリーズにおいてとりわけ本作が優れている部分は少ないと言わざるを得ないが、基本のゲームルールは完成されているため過去作と比較しなければ決して悪い出来ではない。

細かな粗を気にせず楽しむ、カジュアル層向けの作品と言えるだろう。


余談

  • シリーズでは初めて、『FORTUNE STREET』というタイトルで海外でも発売された。
    • 本作がシリーズ初作品だったためか、海外では評価が高い。
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  • ドラゴンクエストシリーズ
  • マリオ
  • 2011年

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最終更新:2024年03月21日 20:34

*1 増資できる上限額のこと。これが多いほどたくさん増資できるため、徴収できる買い物料も増えやすくなる。

*2 前作までだとこの時点では優勝とはされず、一度銀行を出てマップを回ってこなければならなかった。

*3 自分ターンで行える空き地の「改築」を利用することで擬似的な増資行為を行って株価を上げ、その株をすぐに売り払うことで資金を稼ぐ行為。

*4 前作では全てのチャンスカードがドラクエ、マリオをモチーフにしたもので、全て違う絵柄だった。

*5 前作では、ツアーモードはマップの順番が決まっていた。