本項ではアッパーバージョンの『CAPCOM VS. SNK MILLENNIUM FIGHT 2000 PRO』についても記述する。判定は2作品とも「なし」。



CAPCOM VS. SNK MILLENNIUM FIGHT 2000

【かぷこん ばーさす えすえぬけい みれにあむふぁいと つーさうざんど】

ジャンル 格闘ゲーム

対応機種 アーケード(NAOMI)
ドリームキャスト
販売・開発元 カプコン
稼働開始日 2000年8月18日
発売日 【DC】2000年9月6日
判定 なし
ポイント 夢のクロスオーバー
ぶっちゃけほぼ『ストII VS. KOF』
問題の多いレシオ関連
DC版の隠し要素解禁に要するポイント総量が鬼
CAPCOMクロスオーバー関連作品シリーズ
SNKクロスオーバー関連作品シリーズ

概要

格闘ゲームブームを起こしたカプコンと、そのライバル的存在であったSNKのクロスオーバー作品。本作はその中のカプコン側リリース一作目である*1
MARVEL VS. CAPCOM 2 New Age of Heroes』から引き続き、当時の最先端基板であるNAOMIにて稼働、NAOMIと互換であるDCにも移植された。


登場キャラクター

『PRO』からの登場キャラクターもまとめて記載。出典は裏キャラクターを除き、キャラクターセレクト画面で確認可能。
なお、対戦キャラクターとしてはバイスは『THE KING OF FIGHTERS '96』、ユリは『龍虎の拳2』からだが、本作ではサブキャラクターを含めた初出作を出典として扱っている。
キャラクター名の後ろの括弧内はレシオ値。また、モリガン・ナコルル・豪鬼・ダン・ジョー以外の全員に性能違いのEXキャラクターが存在*2

CAPCOMサイド ストリートファイター(3人) リュウ(2) ケン(2) サガット(3)
ストリートファイターII9人 春麗(2) ガイル(2) エドモンド本田(2) ブランカ(1) ダルシム(1)
ザンギエフ(2) M.バイソン(2) バルログ(3) ベガ(3)
スーパーストリートファイターII(1人) キャミィ(1)
スーパーストリートファイターIIX(1人) 豪鬼(4、隠しキャラクター)
ストリートファイターZERO(0人→1人) ダン(1、『PRO』追加キャラクター)
ストリートファイターZERO2(1人) 春日野さくら(1)
ヴァンパイア(1人) モリガン(2/PROでの乱入時は4、隠しキャラクター)
裏キャラクター(1人) 殺意の波動に目覚めたリュウ*3(4、隠しキャラクター)
SNKサイド THE KING OF FIGHTERS '94(3人) 草薙京(2) 二階堂紅丸(1) ルガール・バーンシュタイン(3)
THE KING OF FIGHTERS '95(2人) 八神庵(2) バイス*4(1)
餓狼伝説 宿命の闘い(3人→4人) テリー・ボガード(2) ジョー・ヒガシ(1、『PRO』追加キャラクター)
ライデン(2) ギース・ハワード(3)
餓狼伝説2 新たなる闘い(2人) 不知火舞(2) キム・カッファン(2)
餓狼伝説3 遥かなる闘い(1人) 山崎竜二(3)
龍虎の拳(3人) リョウ・サカザキ(2) ユリ・サカザキ*5(1) キング(1)
サムライスピリッツ(1人) ナコルル(2/PROでの乱入時は4、隠しキャラクター)
裏キャラクター(1人) ツキノヨルオロチノチニクルフイオリ*6(4、隠しキャラクター)

特徴

  • グラフィックはカプコン側は『ストリートファイターZERO』シリーズや『ヴァンパイア』シリーズのドット絵、SNK側はそれらとは異なるフォーマットで新規に作り下ろしたもの。
    • カプコン側は原則使い回しだが、『ZERO』は『II』の前日談という設定なので、リュウは新たに「SNKキャラと同じ画風で書かれたストII時代のリュウ」ということで新規に書き起こされた。それに伴い、ケンと豪鬼も同じフォーマットで書き直されている。
    • また、ベガも『ZERO』のマッチョベガと違い「SNKキャラと同じ画風のストIIベガ」として新規で作られた。
  • 操作系はSNK側に寄せ、弱強・パンチキックの4ボタン。中攻撃は基本的にはなし。
    • カプコン側の中攻撃で重要なものは特殊入力技として再現されている。例としてリュウは左斜め下方向に入れての強キックでしゃがみ中キックが出る。
  • ゲームルールは『THE KING OF FIGHTERS』シリーズのような勝ち抜き戦。ただしチーム人数は変動し、1~4人で組むことが可能。
  • キャラクター属性「グルーヴ」
    • CAPCOMグルーヴとSNKグルーヴのどちらかを選択可能。CAPCOMキャラクターもSNKグルーヴを使えるし、その逆もまた。但し、チーム全体で一つのグルーヴしか設定できないため、キャラとの相性はよく吟味したほうがよい。
    • 「CAPCOMグルーヴ」
      • 『ストリートファイターZERO』・『ZERO2』、及び『ZERO3』の「Z-ISM」がベース。
      • 攻撃によりスーパーコンボゲージがLv1からLv3まで溜まり、その具合でキャラの攻撃力もアップする。
      • スーパーコンボ使用時にはボタン入力によってゲージ使用量を変えられる。ボタン数の関係上、強ボタンでLv2、弱強同時押しでLv3となる。
    • 「SNKグルーヴ」
      • 初期の『KOF』シリーズ(『'97』・『'98』での「EXTRAモード」相当)がベース。ただしこちらも攻撃避けではなく回り込みのため『'96』の方がやや近い。
      • ゲージ溜め動作によりエクストラゲージが溜まり、最大まで溜めると攻撃力がアップするMAX状態になり、全消費で超必殺技が使える。
      • 体力が一定以下になると超必殺技が使いたい放題になり、更にゲージも満タンだとMAX超必殺技が使用可能になる。
    • また、本作では選択したグルーヴによってイラストの画風のタッチが変化する。
      • CAPCOMグルーヴのイラストは、CAPCOMキャラをイケノ氏、SNKキャラを西村キヌ氏が担当。
      • SNKグルーヴでは当時まだSNKに在籍していた森気楼氏が描いたCAPCOMキャラを見ることができるが、SNKキャラはCAPCOMのBENGUS氏が森気楼氏に似せた画風で描いたものになる。
  • 本作最大の要素「レシオ」
    • 各キャラクターに最初からレシオという、簡単にいうと強さのランクを示す数値が1~4で設定されている。
    • 女性キャラや線の細いキャラクターは1、歴代作品でボスを務めたキャラクターは3、隠しキャラクターの一部はレシオ4、主役級やそれに匹敵するキャラは2という具合の設定。
      • 一応、高レシオのキャラほど単発攻撃力や体力は高めに設定されてはいるのだが、しかし…(後述)。
    • チーム作成は、この合計がちょうど4になるようにしか組み合わせることができないので、必然的に人数は1~4人で組むことになる。
  • EXキャラクター
    • 隠しキャラクターとして、デフォルトで使えるキャラクターほぼ全員にEXキャラクターという性能違いの裏キャラクターが存在している。隠しではあるが、感覚としては『サムライスピリッツ』シリーズの修羅・羅刹に近い。
    • 主に必殺技の入れ換えが行われており、例えば通常版の京はラッシュ重視の『KOF'96』以降の性能を、EX京は波動昇竜系の『KOF'95』以前の性能を再現している。
    • 一見通常版から必殺技が減っただけに見えるキャラクターもいるが、そうしたキャラクターは通常キャラクターとは異なる特殊技を持っていたり、同じ必殺技でも性能が異なるなどの差別化が行われている。
    • リュウと庵については他のキャラと異なり、姿やレシオすら異なる別枠の殺意リュウと暴走庵がEX扱いになっている。また、ナコルルとモリガンと豪鬼にはEX自体が存在しない。

評価点

  • とにかく(アーケードでは)初のドリームマッチ。ファミ通のクロスレビューでは「プロ野球で言うならばオールスター戦」と称された。会社内でのクロスオーバーが各社煮詰まってきていたところ、まさかの会社越境の対戦にファンは涙した。
    • しかしその人選は決して褒められた物ではなかった(後述)。
  • 新規に書き下ろされたドット絵、背景などのクオリティは高い。SNK側のキャラクターもカプコン側と違和感なく溶け込み、それでいて元のデザインの良さは殺されていない。
    • メトロシティやパオパオカフェなどのステージ背景に、両社のキャラクターが随所にカメオ出演するなど芸が細かい。
  • 『KOF』や『ストIII』シリーズのような、ステージの演出も評価が高い。
    • 鳥が通過してからキャラクターが向かい合う画面になるタイステージや、篝火の炎が燃えながら画面が広がる城門前のステージなど、かなり凝った作りになっている。
      • 次回作では、こういった演出は無くなってしまったため惜しむ声は多い。また、ステージもすべて完全オリジナルになっている。
  • EXキャラクターの存在で広がるバリエーション。
    • パワーウェイブがまったく使えないEXテリーなんてものもいるが、『KOF』風の性能や『スパIIX』風の性能などキャラクターの人数が実質倍近いので好評である。
  • NAOMI基板とDCとの連携
    • ビジュアルメモリをAC筐体に接続することで、DC版で解禁したシークレットキャラクターやカラーエディットしたキャラクターをアーケードで使えたり、DC版での解禁に必要なバーサス(通貨)を効率よく稼げたりと、いろいろな連携が見られた。

賛否両論点

  • BGMは『ZERO3』に続いてテクノミュージック系で、ビートを重視した曲調になっている。
    • 家庭用ではシークレットファクターとしてだが、懐かしのテーマ曲としてカプコン・SNKそれぞれのステージBGMに切り替えることが可能。
  • 空中ガード等の対空を制御するシステムがなく、無敵技及び対空技がかなり強いバランスであるため、「差し合い重視の守りが強いゲーム」であったこと。
    • 一概に悪い点とは言えないが、全体的にジリジリと相手の体力を減らしていく展開になりがちで、攻めて勝つ爽快感はあまりないゲームであった(高レベルの対戦になるほど特に)。
      • 空中弱攻撃は一度出すとずっと出しっぱなしになる技が多く、当たれば地上の連続技につなげるなどかなりお手軽なのだが、総じて判定面が弱め。地上の通常技対空をきちんと出されると相討ちが関の山で、必殺技対空には落されやすい。

問題点

  • レシオによるバランス崩壊
    • 最初からキャラクターに序列を与えてしまうという改革は失敗だった。高レシオのキャラにはそこまでの優位が与えられていないことが多く、結局はレシオ1×4が強い。
      • レシオは性能よりも設定上の立ち位置で決まっている面が大きく、レシオ1のキャラクターだからといって単純に弱いというわけではない。また、ステータスなどにもそこまで極端な違いがない。
    • そのため結局、合計すれば体力も性能も他レシオと大差ないレシオ1×4人チームが強い、という単純な結果に。
      • レシオ1に最強キャラ疑惑のあるキング(ノーマル)がいるのも痛い*7。強脚払い、及びスライディングの隙が少なく、回り込みも高性能な上に「ダブルストライク」をノーゲージで使える必殺技として所持しているため、本作で重要な『差し合い・飛び道具の打ち合い』を制しやすい。さらに超必殺技の「サイレントフラッシュ」がLV1から高性能で、出掛りに長めの無敵時間がある上、ガードされてもほぼ問題ないほど隙が小さい。空中コンボに取り入れることで投げや強脚払いからの追撃にも使える万能技となっている。
      • またレシオ1抜きにしても、レシオ2かつ隠しキャラのナコルルがあまりにも突出しており、ナコルル+レシオ1×2チームも4人チームに負けず劣らず強い。ナコルルの次点だが、ただでさえ守りが堅い上に高性能スーパーコンボ「トータルワイプアウト」*8を持つガイルも猛威を振るった。
    • 隠し要素であるペアマッチモード(弱P+強Pを押したままゲームスタート)では全員のレシオが2に統一(攻撃力・防御力もそれに合わせて調整)され2人固定になるが、コマンドが必要かつ2人だけしか使えないということもあり、一般的なルールにはならなかった。
  • キャラ選出の大幅な偏り
    • CAPCOM側は隠しのモリガンを除いた全員が『ストリートファイター』シリーズ出身キャラクターである。
      • さらに内訳を見るとほぼ全員が『ストII』シリーズにも登場している上に、無印『ストII』時点で登場していた12人全員が参戦している。ここまでやるといっそ清々しいほど。*9
      • それ以外は『ストZERO』シリーズからさくら(と殺意リュウ)が出ている程度で、当時最新作だった『ストIII』シリーズからは誰も出場していない。
      • ファイナルファイト*10や『MARVEL VS. CAPCOM』に登場していたCAPCOM側キャラクターも不在。ここまで極端に偏る人選は後にも先にも本作のみ。
    • SNK側も大半が『KOF'98』の登場キャラクターに偏っており、当時KOFシリーズに出場経験が無かったのはライデンと隠しのナコルルのみ。*11また、カプコン側と同様に当時最新作だった『KOF'99』に登場したキャラクターは本作には一切登場していない。
      • 一応、大元の作品を辿れば『KOF』オリジナルは5人(+暴走庵)で、残りは『餓狼伝説』から5人(+ライデン)、『龍虎の拳』から3人と、『KOF』参加内でもある程度は散らしてキャラは選出されているが、それを考慮しても出典はこの3タイトル+ナコルルの『サムスピ』のみに絞られている。
      • 『KOF』不参加を優先すると、どうしてもマイナーなタイトルやマニアックなキャラに偏ってオールスター感が薄れてしまうし、そもそもKOFシリーズ自体が元々は自社内のお祭作品である為、これは仕方ないとも言える。
    • このため、これでは実質的に『ストリートファイターII vs. THE KING OF FIGHTERS'98』ではないかと揶揄されることも多い。
    • 第一弾ということで比較的世界観の近い2作を中心にし、時代劇やファンタジー要素は薄めの世界観にまとめたのであろうと思われる。
      • その割にはなぜか背景にスーツ姿の柳生十兵衛がいたりするが、これについては本編の十兵衛ではなく『真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変』の開発時にスタッフの落書きから生まれた「柳生課長」という公式スピンオフキャラ*12。また、グルーヴセレクトの背景には何故かプレイヤーキャラクターが登場していない『パワーストーン2』と『私立ジャスティス学園』のタイトル画面が映っている。
    • SNK側の『頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM』ではある程度キャラクターの出典が散らされてバリエーション豊かな顔ぶれとなっていたため、その対比で本作の人選の偏りが余計に目立つことになってしまったとも考えられる。
  • ボタン減によるカプコン側キャラクターの違和感
    • 操作感自体はストリートファイターに近いだけに、かえってボタンの少なさが違和感増大。
    • ただし順押しコマンドの瞬獄殺やダークネスイリュージョンは若干出しやすくなった。
  • カプコン側の使い回しキャラクターのドット絵が汚い
    • 新規に書き下ろされていないストリートファイター出身のキャラクターは『ZERO3』のグラフィックのコピペ。そのまま拡大だけしたようで、ハードのドット比違いのしわ寄せが来た。
      • 特に、『ヴァンパイア』シリーズからの使い回しであるモリガンは、ドットの粗さに加えてタッチが違うので非常に浮いた存在になってしまっている。
    • さらに描画バグもよく見られ、グラフィックが壊れてる事が度々あった。
    • SNK側や今回書き起こしのリュウ辺りは非常に綺麗なドットなのでその差がますます顕著。
      • また、開発初期はそのリュウ等も『ZERO3』のドットが使用されていた。カプコン側で胴着キャラクターとベガのグラフィックが浮いているのはその名残。これならSNK側も『ZERO3』の画風・アスペクトで描けばよかったのではないのだろうか…
  • (無印では)キャラクターごとのエンディングが一切無い。
    • 最終ボスがベガ・ギース・豪鬼の誰だったかで3種類の共通エンディングに分岐する方式だが、ベガとギースのルートではボスの逃亡、豪鬼のルートでは即座に復活して再度死合う展開となり、どれも後味が悪い。
  • SNK側のキャラクターに対するカプコンの認識不足ともとれる不可解な点が多い。
    • 特に物議を醸したのが、京の庵に対する呼称が「八神」ではなく「」だった事。続編の『2』ではきちんと原典通りの呼称に改訂された。
    • リョウ、ユリ、舞、キム、山崎(+『PRO』から追加されたジョー)辺りは明らかに当時のKOFシリーズにおけるキャラクター性に寄せたものになっている*13。発売当時は「SNK=KOF」のイメージが定着していたため、仕方ない部分もあるのだが。
  • DC版ではシークレットファクター(隠し要素)をオープンにするためにバーサス(通貨)が必要になるのだが、ソフト単体での入手量とショップの値段のバランス設定がおかしい。
    • 1回エンディングまで到達すると大体300~400バーサス位もらえるのだが安い物でも200はする上、EXキャラクターはレシオによって2000~7000バーサスと高く、ナコルルやモリガンは乱入戦(これもそれぞれ購入する必要がある)に勝利したうえで自分のサイドのEXキャラクターをすべてオープンにしないとショップに並ばず、値段も8000バーサスと高い。
    • 豪鬼に至っては乱入戦に勝利した上でモリガンとナコルルを両方オープンにして懐かしのテーマ*14も購入する必要があり、やっとショップに並んでも購入には9500バーサス必要になる。
    • これでは数百回クリアしないとコンプリート出来ない。
    • 前述のNAOMI連動でACでビジュアルメモリを使用すれば効率的に稼げる他、ネオジオポケットカラーと接続用ケーブルがあるなら『頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM』からポイントを受け取ることができる。
      • そのため、バーサス(通貨)稼ぎはこれらの連動要素の利用を想定したものとなっていると思われるのだが、流石に高すぎ。
  • AC版では当初シークレットキャラクターを使用できるのはDC版で解禁済のビジュアルメモリを持ち込んだプレイヤーのみ。
    • 連動要素を全面に押し出した結果とも言えるが、これによりACのみのプレイヤーと格差が産まれてしまった形である。
    • 後に店舗側の設定によるオペレーターコマンドの公開により、デフォルトでボスキャラクターとEXキャラクターが使用できるようになったため、最終的な格差は無くなっている。

総評

カプコンとSNKというライバル社同士の初のアーケードクロスオーバーということで格ゲーファンからの注目は高かったが、荒削りな部分が多く色々と問題は山積であった。
その一方で独自の背景や演出、BGMなど注目すべき点も多く、また本作の新要素は全て続編への叩き台にもなっており、まさに礎になった作品といえる。

余談

+ 元カプコン・岡本吉起による開発秘話(YouTube)


CAPCOM VS. SNK MILLENNIUM FIGHT 2000 PRO

【かぷこん ばーさす えすえぬけい みれにあむふぁいと つーさうざんど ぷろ】

ジャンル 格闘ゲーム


対応機種 アーケード(NAOMI)
ドリームキャスト
プレイステーション
販売・開発元 カプコン
稼働開始日 2001年6月6日
発売日 【DC】2001年6月14日
【PS】2002年4月18日
判定 なし
ポイント バランス調整で高レシオキャラ有利に
隠し要素の無条件解禁移行
PS版はキャラのみ要解禁(必要なポイントのバランスは問題なし)

概要(PRO)

本作と続編『2』とのちょうど中間あたりで出たアッパーバージョン。
DCのほか、『PRO』に限りPSにも「カプコン最後のPS用新作ソフト」として移植されている。
以下、比較のため初期バージョンを『無印』と表記する。

変更点(PRO)

  • 新たに火引弾(ダン)と東丈(ジョー・ヒガシ)が追加。
    • この2人は『無印』ではプレイヤーとしては登場していないが、共通EDにおいて大会優勝タッグということになっていた。
  • ベガ/ギース撃破ルートのエンディングにて、キャラクターごとのエンディングメッセージが追加。
    • 上述の通りダンとジョーがプレイヤーキャラクターになったことで、『無印』においてこの2人が優勝チームだったという設定がなくなったことに伴い、優勝はプレイヤーチームということになり、「ニュース番組中に流れる優勝者への一言インタビュー」という簡素なものではあるものの個別のエンディングテキストが追加されている。
    • ただし、『無印』同様に豪鬼撃破ルートでは専用エンディングに変化するため、この個別インタビューは見られない。
  • 前作の隠し要素は最初から開放(PS版除く)。
    • DC版は『無印』のシークレットファクター全開放の項目も用意されている。DC版『無印』で作成したオリジナルカラーも変換して移行可能。
    • AC版とDC版のビジュアルメモリ連動要素はオリジナルカラーの使用を除いて廃止されている。
  • 乱入CPU(モリガン、ナコルル)のレシオが4に強化。また、ランダムでそれぞれ殺意リュウ/暴走庵に差し替わる。
    • 総じて乱入キャラは前作のように簡単には倒せなくなった。
    • モリガン/ナコルルはプレイヤーキャラとしてはレシオ2のまま。

評価点(PRO)

  • レシオ数値に準じた性能調整をより顕著に
    • 全体的に見るとレシオ1・レシオ2は基本ステータス及び性能面がかなり弱体化し、逆にレシオ3・レシオ4は基本ステータス及び性能面が上昇していることが多い。
    • 特にレシオ1の弱体化が目立ち、これにより「レシオ1×4人」や「ナコルル+レシオ1×2人」のチームは、かなり勝ちにくくなっている。
    • このため、『無印』と比べて「レシオ2×2人」や「レシオ3+レシオ1」の編成に日の目が当たり、「レシオ4」ソロでも充分立ち回れるようになった等、結果的にキャラクター選択の駆け引きの幅は広がったといえる。
  • 隠し要素の無条件解禁移行(PS版除く)
    • 上述したようにDC版『無印』では隠し要素の解禁に必要なポイントの総計が非常に多く、必要クリア回数も相当なものとなっていた。
      それが無条件解禁に移行した点は、アーケード版も含めて評価に値するだろう。
    • さらに、DC版には『無印』の隠し要素全解禁サービスも用意されている。
    • PS版ではシステム関連は無条件解禁となっているが、キャラクターに関しては解禁が必要。詳細は後述。

賛否両論点(PRO)

  • PS版のキャラクター解禁に関する仕様
    • PS版のキャラクターに限り、『無印』同様に自力で解禁する必要がある。
      • 一応、解禁ポイントや条件自体は『無印』から緩和・調整されているため困難ではないものの、無条件解禁だったDC版と比べると面倒ではある。
      • 必要ポイントはEXキャラが各50VS、モリガン/ナコルル/殺意リュウ/暴走庵/豪鬼は各300VS。
        参考までに、アーケードモード1回クリアで300VS強。つまり1回クリアでEXキャラ6人もしくはモリガン/ナコルル/殺意リュウ/暴走庵/豪鬼の中から1人という計算で、10回程度クリアすれば全キャラそろう計算になる。
      • 『無印』にあった各種の前提条件もないため、解禁順自体は完全に任意。
  • コンボ周りの自由度の減少。
    • 無印ではできた空中追撃系のコンボは、そのほとんどが不可能になる形で調整された。(例:キングの画面端近くで通常投げ→サイレントフラッシュや、ケンの昇龍拳→昇龍裂破など)
    • 「バランス調整の一環として仕方ない」という意見もあるが、「できないことを増やす形で調整するのはどうか?」という意見も多く、『無印はやってたけどPROはやる気にならない、面白くない』というプレイヤーもいた。結果的にプレイヤーの幅を狭めてしまった感は否めない。

問題点(PRO)

  • 追加キャラ自身の問題
    • ダン・ジョーともにEXキャラクターは存在せず、完成度はどちらも手抜き感が否めない。
      • ダンは新規グラフィックではあるものの『ZERO』ベースでアスペクト比もそれに準拠しており、ほかの胴着キャラクターと比べて動きがぎこちなく違和感がある。
      • ジョーは次回作に向けて制作途中のものを引っ張ってきたせいか、技が初期の餓狼シリーズや『KOF'98』の裏キャラクター版並に少ない。
      • なお、ダンの出典は『ストZERO』、ジョーは『餓狼伝説』(+『KOF』出場済)と、本作の出場作品枠の偏りをさらに上昇させる選出となってしまっている。
  • 既存キャラの問題
    • 守りが強いゲームを崩すためか、対空技が全体的に弱体化されている。特に草薙京などは強みの百式・鬼焼きの弱体化で厳しい状態となっている。
  • PS版固有の問題
    • 選択グルーヴに関わらずCAPCOMキャラクターがSNK絵、SNKキャラクターがCAPCOM絵に固定される。
    • その他にも、ゲージ類がややシンプルなデザインに変更されたり、演出が一部省かれている等、ハード性能の問題で色々と削減されている。
    • そもそも次回作が既にPS2で出ているのにPSに移植したこと自体も謎。

総評(PRO)

AC/DC版はバランス調整とシークレットファクター全開放を行った上位バージョンと言える。
だがAC版の稼働タイミングが続編『2』の2ヶ月前という近さだったこともあり、あまり流行しなかった。

PS版はキャラのみ解禁制に逆戻りしているなど多少の劣化はあるが、解禁までのバランスはきちんと調整されておりDC版と比べると多少面倒という程度。
ただ既にPS2で『2』が発売された半年後のタイミングで今更PSで出したこと自体は謎である。


その後の展開

2001年8月に続編『CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001』(以下、『2』)が発売。
『2』が2D格闘ゲームの決定版とでもいうべき大作になったことに比べ、正直本作は続編へのつなぎ、前段階というイメージが強い。
実際『2』は異例ともいえるほどさまざまな機種に移植されているが、本作は発売当時のハードへの移植のみであり、配信なども一向にされない。
本作の独自要素を全て見直した『2』が非常に評価が高いということは、裏を返せば本作が失敗だった、ということを裏付けているとも考えられる。
しかし、本作があったから『2』がある、ということを忘れてはいけない。
後継作品の影響で割を食ったという意味では、SNK側の『餓狼伝説2 新たなる闘い』と相通じるものがある。
こちらもアッパーバージョンの『餓狼伝説スペシャル』の存在のため、現在では目立たない状態となっている。


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最終更新:2024年04月16日 06:36

*1 SNK側からは先に『SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズ』『頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM』という2作品がリリースされている。

*2 リュウは殺意の波動に目覚めたリュウ、庵はツキノヨルオロチノチニクルフイオリが対応。

*3 本作ではリュウのEXキャラクター扱いだが、キャラクターとしての実際の初出は『ストリートファイターALPHA2』。

*4 サブキャラクター(ルガールの秘書)としての初出であり、プレイアブル初出は『THE KING OF FIGHTERS '96』。

*5 サブキャラクター(Mr.ビッグに誘拐されたリョウの妹)としての初出であり、プレイアブル初出は『龍虎の拳2』。

*6 本作では庵のEXキャラクター扱いだが、キャラクターとしての実際の初出は『THE KING OF FIGHTERS '97』。

*7 EXキャラの場合は「ダブルストライク」がゲージ使用技となり、「サイレントフラッシュ」が使えなくなるため、立ち回りの制圧力が落ちて最強クラスからは一歩劣ると言われている。

*8 LV1から無敵時間が攻撃判定発生後まで持続する上、ガードされても隙が少なくほぼ5分。かなりめり込んだ時に1フレ投げでようやく反撃できる程度。しかもヒット時は同じスパコンの「サマーソルトストライク」で追撃可能で、威力も決して低くない。

*9 なお、同様の事例は先駆けて家庭用『ストZERO3』でもあり、そちらは最終的に『スパIIX』に登場した17人全員が一堂に会した。ただし、そちらは明確に『ストリートファイター』シリーズであることを考慮すれば特に問題のある人選ではない。

*10 背景としては存在している

*11 本編以外ではゲームボーイ版『熱闘KOF'95』にナコルルが出場していた。残るライデンについても本作から9年後に発売された『KOFXII』にて出場を果たし、ナコルルも本編の『KOFXIV』に出場した為、現時点で見ると全員がKOFシリーズ本編に出場済ということになる。

*12 「職を失い職安通い中のサラリーマン」という設定で、旧SNKの公式ホームページにイラスト掲載コーナーが作られていた。

*13 当時のKOFシリーズではリョウは道場に門下生が集まらない=実家が貧乏な描写にされ、ユリは台詞の語尾に「~ッチ」と付けて話す、舞はアンディの事しか頭にないかの様なキャラ、キムは悪人と判断した相手を誰彼構わず更正しようとするなど元々の生真面目で正義感の強い面が誇張、山崎は常に狂気を剥き出しにした狂人(『リアルバウト餓狼伝説スペシャル』での描写を更に誇張)、ジョーは尻を出して挑発するなど、どのキャラも見方によってはギャグキャラともとれる立ち位置となっていた。

*14 ステージBGMを『ストII』、初期の『餓狼伝説』シリーズ、『KOF'94』などで使われた曲に設定変更できるようにするもの