北斗の拳2 世紀末救世主伝説

【ほくとのけんつー せいきまつきゅうせいしゅでんせつ】

ジャンル 横スクロールアクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 1MbitROMカートリッジ
発売元 東映動画
開発元 ショウエイシステム
ベアーズ
発売日 1987年4月17日
定価 5,300円(税別)
判定 なし
ポイント 前作の不満点は一部改善
相変わらず後半面は難しく、演出も残念気味
東映オリジナル奥義の登場
北斗の拳シリーズ

概要

もはや知らない人のほうが少ないであろう有名漫画&アニメ『北斗の拳』を題材にしたアクションゲーム。
全7+1面。今回は舞台が天帝編となっており、アニメ『北斗の拳2』の放送に合わせた内容になっている。


ゲーム内容

  • 十字ボタン+2ボタン(Aでパンチ、Bでキック)で操作。ジャンプは格闘アクションゲームのように十字ボタン上で出る。
  • 前作同様、プレイヤーはケンシロウを操作して、画面上に次々と出現するザコキャラクターをパンチやキックで倒していく。
    • 前作と違い、本作は基本的に右方向に進んでいく*1。また、制限時間が追加され、画面上中央のタイマーがゼロになると1ミスになる。
    • ステージ最後に待ち構えるボス敵を倒せばクリアとなるが、本作は中ボスが存在するステージもある(1、2、3、6ステージで出現)。中ボスを倒す事で残りライフが約4分の1、残りタイムが30カウント回復する。
  • ザコキャラクターをパンチで倒すと、時折「あべし」という断末魔の文字が出現する…のはいいが、それがアイテム扱いで取るとパワーアップするというSTGっぽい謎仕様は前作と同じである。
    • 4段階目までのパワーアップは「あべし」を取る事により行われ、キックがボタン長押しで連打となる、パンチがボタン長押しで連打となる、敵の飛び道具をパンチ、キックで跳ね返せるようになる、体力が全回復する(4段階目になった時のみ)といった効果が得られる。
  • 今回は「あべし」に加えて「ひでぶ」も出現する。断末魔ボイスが違うので出る敵はある程度判別できる。
    • 5段階目から最強段階(7段階目)までのパワーアップは「ひでぶ」を取る事によって行われ、移動速度アップ、Aボタンを押しながらBボタン(またはBボタンを押しながらAボタン)でオーラを消費して飛び道具を放てるようになる、被ダメージが半分になるといった効果が得られる。
  • 前作同様、キックのほうがリーチが長く使い勝手が良いが、敵をふっ飛ばして倒してしまう。「あべし」「ひでぶ」はパンチで爆発させて倒さない限り出ないので、適度に使い分けていく必要がある。
  • 各ステージの特定の場所に到達すると画面の上にユリアのネックレスが出現し、取る事で無想転生が発動し一定時間無敵になる。
  • 敵を倒すと画面右上に表示されるHITの数が加算され、20体ごとにオーラのゲージが1つ増える。7つ分までストック可能。
    • 特定の敵が落とすユリアのネックレスを取ると3つ増える。
  • ステージボスに対して、最初の一撃を体の特定の場所にパンチかキックのいずれかを当てると秘孔を突いたことになり、一度に体力の約3分の1を奪うことができる。
    • そのまま撃破すると奥義名が表示される演出が入り、ボーナス点が加算される。
  • 残機のエクステンドは10万点ごとに発生。
  • 通常のゲームとは別にVSステージをタイトル画面で選択、プレイが出来る。
    • 通常ステージの1面から4面までのボス戦のみを行う、いわゆるボス戦練習モードになっている。

評価点

  • 前作より敵キャラクターの種類が増えている。
    • しかも中ボスには原作漫画のみのジャスク&シーノ兄弟が登場し、ステージボスにはアニメオリジナルのタイガとボルツが登場する。
  • 前作の不満点の一部の改善。
    • 左スクロールから普遍的な右スクロールアクションに変更、正解の扉に入らないといけないループ構造は廃止された。
    • ケンシロウのグラフィックは肩当てが判別できるなどの改善が見られる。
      • ミス時のアニメが膝をついて崩れ落ちるというまともなものになった。
    • ボス敵の倒され方も中ボスや1面のバスク、2面のゲイラは体が破裂する一方、3面以降の元斗の拳士たちはその場に崩れ落ちるといったようにキャラの格を意識したものになっている。
    • 前作でバグっているようだと形容された背景グラフィックもある程度改善された。
      • ただし、一部の背景は現代アートのような珍妙なものもある。VSモードの背景で顕著。

賛否両論点

  • 7面ボスのファルコをノーコンティニューで倒すと隠し面扱いの8面に進むことができ、最終ボスと戦えるのだが…
    + ネタバレ注意 最終ボスはシュラ(砂蜘蛛)。「カイオウじゃないの?」と言いたくなるが、本作はアニメ放映中に制作・販売されたので仕方が無い部分もある。ただそれを考えても最終ボスに据えるのはどうかと思うが…

本作から、ある意味東映北斗シリーズの原点となる、オリジナル奥義(東映奥義)が登場する。

+ 一覧
北斗破顔拳 1面ボス、バスクに対して出る。原作でマダラに決めた奥義であり、頭部を内側から破裂させる事ができる。
喘破刺倒拳 2面ボス、ゲイラに対して出る、東映オリジナル奥義。「喘破」は息を吐けても吸えなくなるという原作でもゲイラに突いた秘孔であるが、技名自体はオリジナル。
北斗八悶九断 3面ボス、タイガ(アニメオリジナルキャラクター)に対して出る。原作ではジャギに決め損なった奥義。八つの苦しみを与え、体を九つの破片に爆発させる。
北斗紫滅光破 4面ボス、ソリアに対して出る、東映オリジナル奥義。太陽光を利用した一種のオーラ拳で、特に紫色の物体に威力を発揮する
北斗滅殺拳 5面ボス、ボルツ(アニメオリジナルキャラクター)に対して出る、東映オリジナル奥義。肉体を一瞬のうちに消滅させ、たとえ魂が生き残っていたとしても戻るところをなくしてしまう拳
北斗七星拳 6面ボス、ブロンザ(ゲームオリジナルキャラクター*2)に対して出る、東映オリジナル奥義。ケンの意識が高揚し、胸の七つの傷跡が赤く浮き上がった時、無意識に発せられる拳。ちなみにこのブロンザ、なぜか無想転生*3を会得している。
北斗神拳秘奥義無想戈穴 7面ボス、ファルコに対して出る、東映オリジナル奥義。「戈穴」という秘孔自体は原作でファルコに突いているが、不発にされたため具体的な効果は不明。「幻の秘拳」らしいので、何が何だか分からないがとにかく凄い技であるらしい
北斗神拳秘奥義天破の拳 最終ボスに対して出る、東映オリジナル奥義。相手に最大級の痛覚を与える拳で、受けた相手が天も裂けんばかりの叫び声を挙げるため、名付けられたという。*4

後半面に出る奥義は、適当な名前もあいまってもはや何が何だか分からない。原作では、この辺りになるとケンシロウがほとんど技名を言わないため、どうにか絞り出したのだろう。……それにしたって、もう少しなんとかならないかと思うが。


問題点

  • 道中の難易度曲線は序盤の3面までは緩やかであるが、4面以降は急激に上昇する。
    • 4面からはザコ敵の耐久力が上昇して攻撃を2発加えないと倒せなくなり、動き自体も素早くなる。前作にも登場した画面左右から超高速で突っ込んでくる通称「スライディング部隊」も登場し始める。
    • 4面の道中自体は短いのだが、後述の稼ぎ・永パ防止の飛び道具が常に飛び交う状況になっている。
    • 5面は長丁場の上に中ボスが一切登場しないため体力回復ができず、本作の鬼門ステージになっている。
    • 6面も長丁場だが中ボスが系3体登場し、体力回復の機会が多いので後半面の中では比較的優しめ。
      ただし乗ると壊れる床&即死の落とし穴という初見殺しのトラップがあるので油断はできない。
    • 7面は道中の長さは前の2つの面に比べると短いが、スライディング部隊の出現頻度が高い。
  • 特定の中ボスは頭部のみにしか攻撃を受け付けない。そこでジャンプ攻撃で頭部を狙う必要があるのだが、攻撃の当たり判定が拳や足の先にしか無いので非常に当てづらい。
    • このため初心者は1面中ボスの副司令バロナや2面中ボスの賞金稼ぎブゾリに大苦戦することになる。
  • ボス敵も4面のソリア以降は強敵。正面に立つと飛び道具の白華弾*5を連射してくる上、拳や蹴りの一発一発も重い。
    • そのため、後半のボスの戦い方はヒットアンドアウェイでジャンプキックを当て続けるあまりケンシロウらしくない戦い方になりがち。
    • また、攻撃の当たり判定が拳や足の先にしか無いので密着すると自キャラも敵も攻撃が当たらなくなる仕様を利用して上手くこちらの攻撃を当て続ける戦法もあるがタイミングはシビア。
  • 一度ミスすると初期状態に戻ってしまうため、後半面でミスすると雑魚の強さもあり、立て直すのが非常に難しい*6。STGの『グラディウス』のような「序盤で最大パワーアップしてそのままノーミスクリア」するプレイが最適解になりやすい。
  • しかし、「あべし」「ひでぶ」を取って早めにパワーアップしたいのはやまやまだが、同じ場所にとどまってザコの出現を待っていると、「永パ防止パターン」とばかりに画面いっぱいに棍棒が飛び交い、多大なダメージを受けてしまう。そのため時間切れに気をつけつつ、適度に左右に移動してザコを倒していく必要がある。
  • 「あべし」「ひでぶ」を稼ぐために同じ場所にとどまってといると画面いっぱいに飛び道具が飛び交うようになり、多大なダメージを受けてしまいやすくなる。
    • 発動後にその場所から離れれば解除される。
    • そもそも本作は時間制限があるので、稼ぎ・永パ防止要素として機能しているとは言い難く、単なるストレス要素になってしまっている。
  • 被ダメージ時の無敵が無い仕様の為、一部のボスの攻撃を画面端で食らうと多段ヒットしてライフが満タンでも一瞬で1ミスになってしまう。
  • 3面では扉をくぐって建物の奥に入らなければならないシーンがあるが、扉に入るコマンドは「扉の前でAB同時+右」。前作同様、隠しコマンドのように複雑である
  • ステージクリア時の演出が稚拙。
    • ステージ1、2、3、6でそれぞれバットとリン、アイン、ハーン兄弟、天帝ルイが現れるが、画面右側から歩いてきて中央で立ち止まるだけ。セリフも無く、グラフィックからも判断がつきにくいので意味不明な演出になってしまっている。
    • なお、ステージ6でルイをジャコウの元から助け出してしまうので、原作的にはその後のステージ7でファルコと対決する理由が無くなってしまう。
  • VSステージではパワーアップが出来ず、無強化のままでボスと戦う事になる。また、4ステージで終了の為、以降のボスとの対戦は出来ない。

総評

前作の問題点は一部改善されたが、演出面や難易度曲線は相変わらず難がある。
アクションゲームとして普通に遊べる出来にはなったものの、前作プレイヤーや原作ファンからの不満・不信を払拭するまでには至らなかった。

次回作からは『ドラクエ』などのヒットでブームだったRPGにジャンル変えをすることになるのだが…


余談

  • 同社が約5か月後に発売した『SWAT』では本作に関する宣伝やネタがある。また同作もツッコミどころ満載なゲームである。
  • ファミコン版のシリーズで唯一海外でも発売された
    • セガハードの北斗ゲーと違い、ちゃんと北斗の拳のゲームとしてローカライズされているが、何故かケンシロウのカラーリングが青色ベースに変更されていたり、パッケージに『2』のストーリーには登場しないトキが載っていたりとわざわざ『1』の要素を取り入れるという微妙な間違いを犯している。
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最終更新:2022年06月13日 04:17

*1 あまり意味は無いが、後戻りも可能になった。

*2 TVアニメの没キャラクターの再利用、ポジションは赤光将軍。ショウキをアニメで赤光将軍にしたため没になったと思われる。しかしショウキは善人でケンシロウに道を開けているので、没キャラが再利用されたと思われる。

*3 愛ゆえの哀しみを知った者のみが会得できる""北斗神拳究極奥義""

*4 サウザー戦の「天乱れたとき天をも破ると言われる北斗神拳究極の秘奥義・天破の構え」とは天破の意味が異なる関係ないようである。

*5 原作では闘気を纏った突き技だが、本作を始めゲームでは飛び道具として表現されることが多い。

*6 ジャンプでの移動スピードが歩くより早いため、最低限のパワーアップでの復活も不可能ではない。