ダークシール

【だーくしーる】

ジャンル アクション
対応機種 アーケード
発売・開発元 データイースト
稼動開始日 1990年
判定 なし


プロローグ

民の心に黒き影満ち、遥かなる地の底の扉開かれし時、其の、暗黒の中より出たる魔の者共、世を邪悪なる闇に包まんとす。
その時、宿運によりて集いし士、光の力と技をもてこれを封じん。
かくて再び、世に光満つるなり。
(エトルリアの伝承より)

概要

クォータービューの全方位任意スクロールアクションゲーム。
全方位と言ってもゴールは決まっているので好き勝手に移動というわけにはいかない。

プレイヤーは性能の異なる4人のキャラクターから1人を任意で選択し、ステージを攻略していく。


システム

+ プレイアブルキャラクター
  • ナイト カール・F・グレイストン
    • 「I'm the Knight」
    • 動きは遅いが攻撃力が非常に高く、武器も剣ではなく鎖付き鉄球を振り回すので攻撃範囲が広い。短期決戦が得意。ハイファンタジーにおいては定番キャラクターではあるが上級者向け。
  • ウィザード フレイア・エディルネ
    • 「I'm Wizard」
    • 優れた攻撃性能と強力な魔法を使いこなす女性魔法使い。ボス戦では持ち味を発揮しにくい。
    • 女魔法使いならウィザードじゃなくてウイッチなのでは?という疑問は本作愛好者によく突っ込まれていた*1
  • バード ライガー・ホーク
    • 「I am the Bard」
    • 状態異常にかからないという特徴を持つ。武器は槍。攻撃範囲が若干狭いものの、さほど気にならないほど他ステータスが優秀。
  • ニンジャ キリカゼ
    • 「あいぁむにんじゃ!」
    • 硬派なハイファンタジーに紛れ込む黒頭巾の忍者*2。移動速度が速く、武器は飛び道具の手裏剣。魔法(忍術?)もそれなりに強力。ただ攻撃力が低いので長期戦は必至。
  • 1レバー2ボタン式。ライフ制。
    • 攻撃ボタンで攻撃。攻撃はナイトがモーニングスター、バードが槍、ウィザードが魔法、ニンジャが手裏剣を用いる。使用制限はないが連射は効かない。
    • 魔法ボタンで魔法を使用する。魔法は画面左側のゲージを消費する。ゲージは魔法の継続時間でもある。
      • ゲージ上部にある本のページが時間経過と共に変化していく。魔法使用時には、その時点で開かれていた魔法が発動する。一見ランダム性が強そうに見えるが、実はキャラによりどの魔法が何回選択できるかは違ってくる。
      • この魔法、「鉄球に変身して敵を轢き殺す」「宝箱に変身してアイテムをばらまいてパワーアップ」など、結構シュール。これを見て「やっぱデコゲーなんだよなぁ」と思ったファンは多いらしい。
  • 各ステージ最後にはボスが待ち構えている。ボス戦では魔法を使うことができない。
  • 道中では様々なアイテムを入手できる。
    • 一部のアイテムは画面下部にストックされ、攻撃力アップなどの効果が得られる。

評価点

  • 当時としては珍しいダークファンタジー題材の国産ゲーム
    • それまで独特の世界観で固定ファンを築き上げてきたデータイーストとしては異質な、耽美で美しい硬派なグラフィック、バロック調で統一されたBGMが特徴的。
      • もっとも同社は本作の前後に『ファイティングファンタジー』と『デスブレイド』というダークファンタジーを出しているので、異質に感じる方が「浅いファン」なのだが。
  • シンプルなシステム
    • 本作の操作はレバー+2ボタンと非常に少ない上、各ボタンの役割も攻撃と魔法と分かりやすく、かつアイテムも取得した時点で発動するため、本作は非常に複雑になりがちなRPG題材のアーケード作品の中では比較的取っつきやすい部類と言えるだろう。

問題点

  • キャラクター格差が激しい。
    • ナイトが弱すぎる。足が遅いため回避が難しく、攻撃を当てるのにも一苦労。一撃の威力が高くてもウィザードやニンジャの方が短期決戦できる場合もある。
      • 特にラスボス戦はどうしても長期戦になるため、スピードアップの効果がある「ブーツ」を時間で失ってしまいやすく、そうなると回避が極めて難しくなってしまう。雑誌「ゲーメスト」の攻略でも、「ナイトで1コインクリアは不可能なんじゃないか?」という意見があったりもした。現在はパターンを練れば1コインクリアできることは確認されている。
    • 逆にバードはとても使いやすい。

総評

『ファイティングファンタジー』から続くデコの硬派アクションゲーム。
同年には似た世界観、似たコンセプトのゲームとしてカプコンの『マジックソード』とタイトーの『カダッシュ』がリリースされている。
その中でも本作が割合印象的なのは、クォータービューという差別化というのもあるだろうが、デコ伝統の「ボイスを入れる際は現地人に入れてもらう」の法則に則ったことによる、英会話の先生によるお手本のようなキャラクターボイスと、それに対比したニンジャの発するひらがな英語のインパクトの強さのおかげであることも否めない。
残念ながらゲームとしての評価は『マジックソード』の方が高い傾向にある。だが、ライバル3作の中で続編が作られたのは本作だけである。


余談

  • 評価は飛び抜けて高いわけではないが、1990年ゲーメスト大賞でアクション部門10位、VGM部門8位、グラフィック部門10位を記録している。
  • 続編として『ダークシール2』が登場。グラフィックがアニメ調になりデモ画面も挿入されるが、中間デモのデコっぽさや耽美さがやや薄れ、エルフとドワーフが追加された代わりにニンジャがいなくなった。
    • データイーストの倒産で実現不可能になったものの、「ダークシール3および4を作る構想もあった」とは開発者の談。プレイヤーキャラはダークシール2のキャラ5人+忍者復活+新キャラ追加の(少なくとも)8人の予定、など。
  • 1990年度のVGMランキングトップ10を集めた「サイトロンビデオゲームミュージック年鑑1990」に本作のメインテーマ「THE SWORD OF DELIGHT」がアレンジ収録されている。
    • ダークで硬派な世界観とは打って変わった大胆なアレンジで評判が良い。
  • 本作は長年移植がされなかったが、海外では2008年に新興国向けゲーム機であるZeebo*3版がリリースされたほか、2018年には海外版である『Gate Of Doom』が北米地域のPS4/SwitchでDL配信されている*4
    • 続編の『ダークシール2』は北米地域のみではあるが、2010年にMajescoからWii用に発売されたオムニバス作品集である『DATA EAST Arcade Classics』に『Wizard Fire』(同作の海外版タイトル)が収録されている。
    • 2021年にはSteamにてZigguratがパブリッシャーとなって『Retro Classix』シリーズのいくつかのデコゲーを単体で配信しており、『Gate Of Doom』と『Wizard Fire』はどちらも遊ぶことができる。

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最終更新:2023年05月15日 11:08

*1 英語圏では男女問わず魔法使い全般をwizardと呼んだり、男の魔法使いをwitchと言ったりもするので、間違いというわけではないらしい。というかwitchの男性形はwizardではなくwarlockとされることが多い。そもそもwizardは「賢者」が語源なのに対し、witchは(キリスト教圏だと)「魔法のために悪魔と契った女」と言う意味の悪人である。

*2 日本人は勘違いしやすいが、ハイファンタジーとは「完全な異世界ファンタジー」という意味なので軽いノリでも『魔法戦士リウイ』はハイファンタジーであり、逆にどんなに重厚でもイギリスが舞台の『ハリー・ポッター』はローファンタジーである。なのでハイファンタジーなら西洋的な世界に忍者がいたところでどこもおかしくはない。AD&D、Wizardry、The Bard's Tale、Might & Magic、Dungeon Master、Fighting Fantasy(データイーストではない方)、など忍者が登場する西洋ファンタジー世界というのは当時当たり前の存在であり、疑問に思うのは無知の証拠。

*3 ブラジルのTectoyと通信機器向けの半導体企業であるクアルコムの合弁で作られたZeebo社のゲーム機。ソフトウェア供給はすべてダウンロード配信という方式を取っていた

*4 PS4/Switch版は現在の版権保有者であるジー・モードのライセンス許諾を受けたFlying Tiger Entertainmentが配信元となっている。