jubeat copious

【ゆびーと かぴあす】

ジャンル 音楽ゲーム
対応機種 アーケード
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
稼動開始日 2011年9月15日(無印)
2012年3月14日(APPEND)
プレー人数 1人(オンライン対戦時最大4人)
判定 シリーズファンから不評
ポイント 「伝導」をテーマにした作品だが…
楽曲解禁方法の改悪
称号パーツ1000個獲得して解禁出来る楽曲
jubeatシリーズ


概要

音楽シミュレーションゲーム『BEMANIシリーズ』の人気作『jubeat』の4作目。
2作目ripples、3作目knitはそれぞれ「APPEND」というバージョンアップ版が稼働したため、それを含めると6バージョン目となる。

2012年春にjubeat copious APPENDと称したアップデートが行われ、新曲が多く追加された。本記事ではAPPENDについても触れる。

問題点

稼動初期のバグ

  • 稼働されて間もない頃はバグが非常に多く存在し快適にプレーすることができなかった。
    • 中でも代表的なのが処理落ち。マーカー表示がカクカクとした動きの紙芝居状態に陥り、プレーすらもままならない状況になることもあった。
    • それ以外にも曲を解禁する為に必要なポイントがちゃんと増加しなかったり(これも現在では修正済)、突然再起動するといった危険なものもある。
    • このあまりのお粗末っぷりにスタッフブログが一時炎上。その後緊急アップデートが行われた。
      • 最終的にそのアップデートにより大方のバグが修正され、基本的には快適に遊ぶことができるようになった。

曲解禁システム

  • 今作の曲解禁イベントは「copious travel」。プレーに応じて得られるAchievement Point(以下AP)を貯めてロケットを飛ばし、宇宙を旅して曲を解禁するというものだが…。
    • 必要なAPが非常に多いことに加え、前作よりも1回のプレーで得られるAPが減少。数百クレジット程プレーしないとたどり着かない。
    • 主に称号によるAPが減少。代わりに曲プレーによるAPが、伝導や記録更新・マッチングなどのポイントが加算されるようになったので、むしろ実プレーに寄ったというべきか。
    • 更に今作では譜面別に解禁となった。そのため1曲につき3回解禁作業を行わなければならない。''この改悪には多くの不満が噴出した。
    • 一方、前作と違い、十分にAPを所持していれば1クレごとに1譜面ずつ解禁ができるようになっているため、APが余ってイライラ、ということは減っている。が、そもそも必要ポイントが増えているのであまりメリットに感じる人は少ないと思われる。
    • KONAMI独自の電子マネー「PASELI」を使用すれば、解禁速度が格段に(概ね2~3倍)速くなるが、自由に曲を選べない、クレジットカードを利用しない場合チャージ方法がやや面倒というデメリットもある。
      • 後述のアルストロメリアの条件も鑑みると、PASELIを流通させる目的でこのような仕様になったのかもしれない。当然、PASELIを導入しない・できない人からしたら非常に不利になる。
  • 旧作の隠し曲は今作でも解禁されていない。しかも、それを解禁する手段が極めて乏しいためかなり難しくなっている。
    + 旧作の隠し曲を解禁するには
  • 旧作隠し曲を解禁する方法はその隠し曲をプレーすることUFOシステムを利用することである。前作までは新曲を解禁している途中に旧作の隠し曲も出るが、今回はそれがない。
    • 前者の方法は当然普通にプレーするのでは使えない。そこで解禁しているプレーヤーと店内で対戦し、その曲を相手に選択してもらってプレーするか、後述の「MATCHING SELECT」を利用しなければならない。この手順を伝導という。
    • MATCHING SELECTとはランダム選曲機能の一種で、オンライン対戦で待ち受け状態になっている曲を未解禁曲含めてサーチし選曲するシステム。これで隠し曲が選曲される事によって前述の条件が達成される。つまり、完全な運任せである。あまり選曲されない曲の場合待ち受け状態にならないことも多くその場合この方法での解禁は困難になる。
      • 故に運に左右されない店内対戦を利用した解禁方法を使うプレーヤーが多いが、その影響で2台以上設置している店舗ではプレー順番待ちなどの対人トラブルが増える一因となっている。
    • UFOシステムとは、travelのポイント消費と同じフェイズでUFOを呼ぶ事ができ、そのUFOが未解禁の旧隠し曲や称号パーツ、マーカー、背景をランダムで持ってくるというものである。1プレーにつき1~4機の中で機数を選択でき、多ければその分手に入れるチャンスも増えるのだが、2機以上呼ぶ際は電子マネーの「PASELI」を別途消費しなくてはならない。そしてこれもMATCHING SELECTと同じく運任せである。
    • UFOも必中ではなく何も持ってこない場合もあるため、運が悪いと無駄にPASELIを消費する羽目になる。また「曲だけが目当てだ」という目的意識に縛られていると、不要な存在となる称号やマーカーの獲得にも時間やPASELIが費やされることに徒労感ばかり感じてしまう羽目にもなる。
      • PASELI非対応の店ではUFOが1機固定となってしまう。
  • travelとは別枠の特殊条件で解禁できる曲が4曲存在する。
    • うち3曲は通常解禁を狙う場合プレーヤーのスキル、マッチング条件、更には相手プレーヤーのスキルにまで奇跡レベルの条件合致が求められる。しかしこの3曲は先述の伝導を利用することでも解禁可能。
    • だが、残りの1曲「アルストロメリア」を解禁するにはプレー中に手に入る称号パーツ全1028個のうち1000個獲得するという、途方も無い道のり(デフォルト設定の場合、最低でも 2万円弱 はかかる)を辿らねばならない。それ以外に方法はなく伝導も不可能。
      • その後のアップデートでかなりの称号が追加されているが、それでも1000個到達に相当苦労するのは間違いない。
      • しかもパーツの個数は無課金では確認不可能。課金したとしても持っているパーツが並べられるだけで、具体的な個数が全く書かれていない。(一応1ページ=100個。)

譜面

  • 本作は、譜面に関する問題点が過去作に比べて顕著に表れた。
    • 他の音ゲーでいう「縦連打(同じボタンを素早く複数回連続で押す)」はマーカー表示の問題で再現することが難しい、などの操作システム上の制約を抱えている本作だが、前バージョンのknit APPEND辺りから、譜面の難易度を挙げる「ギミック」として「ひたすらにパネル間の距離が遠く、事前に身構えておかないとまず拾いきれないような配置で、更には個数も多い同時押し」がやたらと多用され出している、とする見方がある。
    • copiousにおいてもその傾向は受け継がれており、「初見殺し・フルコンボ阻止があからさま過ぎて芸がない」というような不評意見が少なくない。中には「乱打・偏差(微妙なズレ)・スライド・左右別フレーズ・混合フレーズ等で難しさを出すにしても、既にデバイス面で物理的限界に行きついてしまっており、こういう方向でないと難しさや曲ごとの独自性を打ち出せなくなっているのでは」と、プレーヤーのスキル傾向上昇に対しての譜面製作の行き詰まり感を指摘する声もある。
      • 「jubeatはあくまで初心者向けに打ち出している」ことを前面に押し出し、「初心者向けなんだから無理に譜面を難しくする必要はない」という意見もある。
    • そしてcopiousでは、あろうことか手の大きさによっては物理的に手だけで押すことが不可能な譜面*1まで登場してしまった。これはjubeat plusというiPadやiPhoneなどでプレーできるjubeatに収録されていた楽曲「SWEET CUBE」がcopiousに収録されたことから発生した問題だが、この楽曲のEXTREME譜面にはiPadのように面積の少ないデバイスだから押すことができる配置が存在し、それがアーケードに移植される際に譜面の変更が一切なくそのまま収録されてしまった。素早く手を移動して押すことでミスを出さずに押すことはできるが、押すタイミングをずらしているのでスコアが減少してしまう。このため人によっては顎や肘でも使わない限りEXCELLENT(最高得点の1000000点)を出すことが事実上不可能となり、もはや事前に身構えるなどの話以前の大問題であることから物議を醸した。
  • また、難易度の調整が一切行われていない。
    • ただでさえ譜面内容に反しレベル表記が低かったり高かったりする譜面(プレーヤーの間では前者は詐称曲、後者は逆詐称曲と呼ばれている)が多かった前作でも調整はわずかしか行われていなかったが、今作に至っては全く修正せずに放置された。
      • 今作の収録曲にもそのような曲が多々存在し、レベル表記がアテにならなくなりつつある。

その他

  • 「Lincle Link」という他機種(厳密には『IIDX19』が主軸)との楽曲相互移植イベントが行われ、IIDX側にはjubeat曲が3曲移植された。が、jubeatには1曲も移植されずjubeatのユーザーから大きく不満が噴出した。
    • 後に両機種でプレーできる2曲が追加されたが、その条件は「IIDX19のラスボスをフルコンボすると双方に曲解禁」「解禁された曲をjubeatのすべてのレベルにおいてフルコンボするともう1曲が解禁」と、伝導を前提としているだけあって恐ろしく鬼畜。*2
  • 稼働も末期となった2012年8月には『GuitarFreaksXG3 & DrumManiaXG3』との隠し曲解禁イベント『ギタ・ドラ・jubeat 大夏祭り』が開催されたが、その解禁方法に対しても非難が殺到した。詳細についてはXG3のページを参照。
  • スタッフが今作の隠し曲の曲名とアーティストを全てバラしてしまった。これにより解禁のドキドキ感が失われたことも非常に不評である。
  • 稼動してから暫くの間、版権の申請を忘れたのか収録がアナウンスされていた楽曲、前から存在していた楽曲の一部が収録されていなかった。
    • シリーズ初の版権曲の大量削除も相まって、その間はシリーズ最大の曲数と謳っておきながら前作よりも曲数が減っている*3という事態になっていた。
      • 最終的にはアップデートにより追加されたが、それでもcopious(膨大、夥しいという意味を持つ)という名に相応しいとは思えない曲数である。むしろ膨大なのは解禁にかかるクレジットの量だと揶揄されてしまっている。酷いことにそれはjubeatだけにとどまらず、連動イベントや同時期に稼働していた機種など、当時のBEMANIシリーズ全体の問題になっていた。

評価点

  • コナミオリジナル曲
    • 今作では今までjubeatシリーズに曲がなかったアーティストが多く参入。
    • IIDXシリーズ等で人気のMr.T氏、IIDX18で久々の復活となったTatsh氏、pop'n musicをはじめとした他機種でも人気のTЁЯRAの楽曲がその一例。
    • それ以外にも幅広いジャンルのオリジナル曲が収録されており評価は高い。
  • 一部仕様の改良
    • 毎日ランダムに一曲選ばれその楽曲をプレーするとボーナスAPがもらえるオススメ楽曲が『チャレンジ』と名を一新し改良された。
      • 前作以前のオススメ楽曲の仕様を継いだ『きょうのチャレンジ』、前作のラッキー楽曲の仕様を継ぎ改良された『みんなとチャレンジ』に加え、筐体ごとにランダムに一曲選ばれる『ここだけチャレンジ』、追加料金を払って1プレーの間だけ選出される『いまだけチャレンジ』が追加。
      • また特筆すべきポイントは、ランダムに選ばれた一曲が未解禁だった場合、その楽曲はその日に限り限定解禁される。解禁が大変な今作では非常にありがたい機能。また伝導対象曲ならプレーするだけで解禁される。
    • 称号機能が強化された。称号の一部を他の称号の一部と入れ替える事ができる。
      • ただでさえシュールで笑えるものが多かった称号がカスタマイズ次第で抱腹絶倒モノになる(例:マンコイノチカラ,マンのk etc...)
      • カスタマイズは任意でやる場合課金が必要。ただし、無課金でも称号ランダムを選べばおもしろ称号ができる。
      • また、この称号の一部も伝導することができる。これが前述の称号パーツである。PASELIを使わないでプレーする場合、UFO以上に取りたいのであればこのマッチングで伝導してもらう他ない。伝導する側も、なるべくパーツを持った称号を設定しておけば前述のアルストロメリアが若干楽になる。なお、称号がパーツを持っているかどうかは特設サイトで確認可能。

総評

今作のテーマは「伝導」だが、その伝導に頼り切ってしまっている感も強い(特に旧隠し曲において)上に、中には伝導不可能な曲まで存在する等、テーマを生かしきれていないという感じが否めないところ。実際の所、伝導という名のランダムセレクトゲーとも言える。(一台のみorソロの場合は絶対にこれに頼らなければならない。)

曲を伝導した者には大量のAPが入るため、一概に欠点とは言えないが、それは特殊条件の楽曲を解禁できる超上級者や旧曲を多く解禁しているヘビープレーヤーの特権であって、今作から始めたプレーヤーは隠し曲を一つも持っていないためこの恩恵は何も受けられない。
一部のユーザー層に負担と不満を強いる作りとなってしまっており、解禁の苦痛さやバグ、ハードルの高さなどが複合し主に前作以前からのプレーヤーからの評価は悪い。

ちなみにこのjubeatというゲームのコンセプトは「初心者を引きつける」ことであるが、今作はどう考えてもこのコンセプトを忘れたようにしか見えないのも問題であろう。

紆余曲折ながら当初存在したバグは改善され、ゲーム自体の面白さは失われることもなく、音楽ゲームとしては普通に遊べる一作となった。


その後の展開

  • 2012年9月25日に次回作『jubeat saucer』が稼働した。こちらでは多くの要望がありながらも初代アップデート以降全く無かった「他機種からの曲移植」が多数行われたが…… 詳細は個別記事にて。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 音ゲー
  • コナミデジタルエンタテインメント
  • jubeat

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年01月06日 15:43

*1 pop'n music シリーズにも、手の大きさ次第では物理的に手だけで押すことが不可能な譜面が3の時点で登場している。あちらは女性プレーヤーが多いため、このゲーム以上に深刻な問題か…?もっとも、pop'n music の場合、初期は多人数プレーを前提としていたという事情もあるが。

*2 一応他者からの伝導による解禁は可能であるものの、後者はIIDXの相互ライバル登録というこれまた課金の必要とする行為を伴う。

*3 in:55曲,out:57曲。2曲減っていた。