このページでは、オリジナル版のPS『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』について解説しています。
後の3DS移植版については、リンク先参照。


ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち

【どらごんくえすとせぶん えでんのせんしたち】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 2枚組
発売元 エニックス
開発元 ハートビート
アルテピアッツァ
発売日 2000年8月26日
定価 8,190円(税込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1ブロック使用 / 最大15ファイル保存可
レーティング CERO:全年齢対象*1
廉価版 PS one Books:2005年2月3日/3,675円
アルティメットヒッツ:2006年7月20日/2,625円
備考 初期出荷版はフリーズ頻発につき購入時要注意
後期出荷版への交換対応は行われていない
判定 賛否両論
ポイント 終始フリーズに怯えながらのプレイを強いられる初期版
魅力でもあるが重い展開や鬱イベ、石版集めなど賛否両論
職業間と呪文・特技間のバランス問題
あまりにも出来が悪過ぎて怖いムービー
ロード時間や戦闘バランス等光る点もあり
ドラゴンクエストシリーズ


概要

国民的RPG『ドラゴンクエスト』シリーズの第7作。 5年ぶりの新作で、雑誌等で大々的に告知されたり発売延期を重ねるなどして発売前から話題を集め続けていた。 その分ファンの期待も大きく、PSソフトの国内販売本数1位の、ゲーム史に残る作品となっている。
シリーズ内の販売本数で『III』が持つ記録を以来12年ぶりに塗り替えている。 新聞やテレビでも発売が報じられたほか、発売日に買えなかった高校生が同級生を恐喝し奪おうとする事件も報道されるなど、社会での扱いも『III』以来の大々的なものとなった。

開発はハートビート*2と、アルテピアッツァ*3


特徴

「世界を広げていく」物語

  • 物語は、世界にただ1つの孤島から始まる。
    • ストーリー開始時点の世界には、広い海に主人公の住む島1つしか存在しないが、その島にある神殿の「台座」に、随所に散らばる割れた「不思議な石版」を集めてはめ込むことで、石版に対応した過去の地方へ行けるようになる。その地方を脅かす問題を主人公たちが解決すると、現代でその地方が復活し、冒険範囲が広がっていく。
    • この「石版を集め、過去の世界へ飛んで問題を解決し、解放された現代を冒険しつつ新たな石版を集める」という流れが、本作全体、特に序~中盤の基本システムとなっている。

仲間との会話

  • 本作の目玉システムの一つ。移動時または戦闘中に「はなす」コマンドを選ぶことでパーティメンバーと会話できる。
    • メインシナリオのイベントフラグの切り替えがあるたびにほぼ確実に各キャラのコメントが聞けるほか、町やダンジョンに着いた時にはロケーションについて感想を述べたり、町の住民との会話にも細かく反応が用意されている。
    • 本作のパーティメンバーは加入以降のストーリーで直接的な主役となることが少なく、この会話を通してキャラクター性がフォローされている。
      • こまめに会話を拾うことで冒険の息遣いを感じられるよう作りこまれている。例えば最序盤は仲間達が少し弱気で魔物との戦いにも不慣れであることが読み取れるが、序盤の山場であるフォロッド城(敵が強く、シナリオ面でも多くの犠牲者が出るなど重い内容)をクリアすると、自信や覚悟が身についたのか強気の台詞を発するようになる、など。
      • 中でもマリベルはこの会話内容のバリエーションが豊富かつ個性的で、後の世で再評価された(後述)。
      • ただ、場面ごとに設定された台詞が出つくすと沈黙する仕様であり、「道に迷ってしまい、無言の仲間と延々とダンジョンをさまよう」というやや怖い状況が生まれてしまうことも。
    • 謎解きに詰まった際も、会話からヒントが得られる場合もある。
      • 「ここから先は進めないから精霊から貰ったあのアイテムを使って力を借りよう」「伝説が英雄が封印された玉石のありかは分からない。けど以前に誰かが変な石を売って金儲けしようとしていなかったか?」など、プレイヤーが伏線を忘れた頃にフォローしてくれる。
    • 戦闘中にも会話が可能。会話システム自体は後のシリーズ作品やリメイク作品にも継承されているが、戦闘中に会話できるのは本作だけ。ボス戦では専用の会話も用意されている。
      • 「あいつは仲間をよぶタイプだから早く倒そう」「あいつは即死攻撃(ザキ系)を使ってくる」など、少しだけ戦闘の役に立つ内容も存在する。

グラフィックの向上

  • ハードの性能向上にあわせ町やダンジョンのマップが3Dとなった。ボタン操作で視点を変更でき、「視点を変えることで初めて気づける、物陰に隠れた扉や宝箱」も登場した。
    • その一方、キャラクターのグラフィックは2Dのままとなっており、「従来のドラクエらしさ」を残した擬似3D化に成功している。
    • また、壁などの地形も直線ではなく若干歪んだ形になっていたり、不規則に陰影やハイライトが入っていたりと、3D特有の質感の堅さや単調さを軽減する工夫がされている。
    • 戦闘画面は引き続き2Dベースだが*4、敵アニメーションは前作やSFC版『III』以上に豊富なモーションと効果音でより生き生きとしたものになった。

転職システム

  • 転職システムは『VI』のものを継承。
    • 転職すると職業ごとにパラメータ補正や特性がかかり、また職に就いたまま戦闘回数を重ねることで「熟練度」をためて職業レベルを上げて特技や呪文を習得していく(転職すると特技を忘れたりキャラ自体のLvが下がったりする『III』のシステムとは異なる)。
    • 職業には、転職条件に制限のない「下級職」と、複数の下級職を特定の組み合わせでマスターすることで転職可能になる「上級職」とがあり、さらに一定の条件で上級職をマスターすると「勇者」になれる。
  • 職業が前作から再編され、一部の職業が削除され、「笑わせ師」「羊飼い」など多数の新職業が登場している。
    • また、特定の上級職を複数マスターすると転職できる勇者以外の高性能な職業として「最上級職」が2種用意されている。
    • 前2作の「仲間モンスター」が廃止され、代わりに「モンスター職」が追加されている。
      • 通常の職業が持たない「呪文や特技への耐性」を持つものもあり、低レベルクリアなどに有用な存在。マスターするとフィールドマップ上のグラフィックがモンスターに変身するという遊び要素もある。
  • 特定の2つの職業に連続して就くことで、それらの職の特徴を足し合わせた特技を覚える「職歴技」という要素が取り入れられた。

移民の町

  • ストーリーを進めると「移民の町を作りたいので人を集めてほしい」と頼まれる。以降、世界各地に勧誘対象のNPCがランダムで現れるようになり、話しかけることで住人を増やせる。
    • 初期は小規模な町だが、発展するにつれて複数画面の大掛かりなマップへと拡大していき、購入可能なアイテムが増えていく。
    • 住人には性別と職業が設定されており、最終段階で住人構成が一定の条件を満たすと特殊な町へと発展する。商人ばかりなら「プレミアムバザー」、農民と家畜ばかりなら「グレイトファーム」などといった具合。
      • 町の発展には手間がかかるが、ここでしか手に入らない貴重なアイテムが存在し、苦労に見合う実利がある。

モンスター図鑑

  • 戦ったことのあるモンスターの情報が記載されていく図鑑。序盤のとある町のイベントをこなすことで入手可能。今作以降の作品でも名前を変えつつ実装されている。
    • 今までに倒した数や獲得経験値・Gが閲覧できるほか、獲得したことがあればドロップアイテムも追記される。
    • ○ボタンを押すことでそのモンスターの行動時のアニメーションを効果音付きで見ることができる。今作のモンスターのドット絵アニメーションは非常によく動き、効果音も凝っているため嬉しい機能。
    • 全298ページをコンプリートすると豪華な特典が入手できる。

モンスターパーク

  • 倒してなついたモンスターをサファリパークのように飼育して触れ合う「モンスターパーク」。従来の仲間モンスターシステムに代わって登場。
    • 従来の仲間モンスターシステムと同様にモンスターごとに「なつきやすさ」が設定されている。なつきにくいレアモンスターもおり、魔物ハンター職の「まものならし」や肉系のアイテムでなつく確率を上げる必要がある。
    • 全280種類を揃えると、戦闘中に使用できる非常に強力な効果を持つアイテムをもらえる。

世界ランキング協会

  • 前作に登場した「ベストドレッサーコンテスト」の発展形として、「ちから」「かしこさ」「かっこよさ」のステータスを競うランキングが登場。
    • ランキングには意外な人物の名前が登場することもあり、一部はメインシナリオの関係者の名前も見られる。

その他

  • 仲間の作戦をキャラクター単位で指定できるようになった。
    • 回復役を誰にするか切り替えるなど、より柔軟な運用が可能になった。
    • これに合わせ、作戦名「みんながんばれ」が「バッチリがんばれ」に変更された。
  • 「持ち上げ」のシステムが新登場。ツボやタルなどのオブジェクトに隣接して「便利ボタン」を押すと持ち上げたまま移動することができ、再度入力で放り投げる。
    • 従来までのドラクエ同様に「しらべる」コマンドでツボやタルの中を調べるのに加え、持ち上げる→投げて破壊し中身を取り出すというプロセスでも道具を入手可能となった。
      • このため、「主人公達が行く先々でツボやタルを破壊する」という、過去作にも増してシュールな光景が繰り広げられることに…。
    • また、植物などの壊れないオブジェクトは移動させることができる。これを活用したダンジョンギミックやイベントも登場したほか、無意味なお遊び(花で地面に文字を書くなど)にも使える。
    • これはのちにリメイクされたPS版『IV』にも受け継がれた。
  • PSに機種が移ったためセーブがメモリーカード式になった。
    • ROMカセット時代のシリーズでは破損セーブデータの自動削除機能の誤認識によってデータが消え易い上、その際のおどろおどろしい演出が難点(かつ醍醐味)であったが、ようやく解消された。
      • ただし、メモリーカード自体に自動削除機能が存在しないため、破損したデータは手動で消す必要があるが、破損の程度次第では壊れたデータ自体を消去できなくなるという問題点が新たに生じる。当然のことだが、記録メディアの扱いには要注意*5
        壊れた冒険の書に上書きを試みた際の神父の専用台詞も用意されている。

評価点

不便さを感じさせないシステムや演出面、操作性

  • ロード時間はPSであることを全く感じさせないほど早い。
    • ハートビートが開発した「ロード時間をほぼ皆無にする技術」を採用しており、戦闘開始前からマップ移動、ムービーに至るまで、全ての場面でのロード時間は1秒以下。当時としては考えられないほどの速さであり、下手するとROMカセット以上。
      • ただこれがフリーズ多発の原因にもなってしまったようで、結局やり直しに時間を取られうる事態となっているのは少々残念。
  • 戦闘のエフェクトが派手なわりに動きが早く、PS1のRPGの中でも有数の戦闘のテンポである。
  • 呪文や特技は「ダメージ」「回復」などの機能別に分類されるようになっており、ごちゃ混ぜであった『VI』までと比べると地味ながら快適な戦闘がこなせるようになっている。
  • 斜め移動も組み込まれたので、操作性が良かったSFC版『III』からさらに快適になった。特に大空を飛べる乗り物は、過去シリーズ作は「調べる」でなければ停止できず、速度の緩急が大味な乗り物しか存在しなかったが、本作では格段に操作しやすい。
    • 当時のインタビューによると開発者も操作感覚を試行錯誤していたようで、Vジャンプフェスタにて行われた試験プレイでは、視点回転中に歩くとその場でグルグル回り続けるだけであった。
  • シリーズで初めて、メニューウィンドウの背景が半透明化した。

個々のエピソードのテンポの良さと作り込み

  • ボリュームが多いため全体でみると中だるみを訴える声もあるが、個々のエピソード自体はテンポよく進む。ストーリーの良さも相まって、個別のエピソードはのめり込むようにプレイできる。
  • 現在と過去のつながりを示す描写はあちこちにあり、先祖と子孫の共通点を見つけたり、過去のできごとが現在にどのように伝わっているのか、など伏線とその回収はよく練り込まれている。
    • またゲーム終盤になると、独立していた過去の石版世界の間に少しずつつながりが見えるようになってくる。長い物語を注意深く観察し理解できれば、過去と現在が全世界で繋がり合う壮大なシナリオが楽しめる。
  • Disc2ではそれまでのDQ史上でみても壮大な規模の展開となるが、これも過去と今のつながりが非常に重要な要素となっている。暗いストーリーであるぶん、それを乗り越えて迎えたEDは感動的。

メインシナリオの戦闘バランス自体は良好で、職業選択の自由度も高い

  • 職業システムの一番の利点である「誰でもどんな職業にでもなれる」という点はしっかり引き継ぎ、そのためプレイヤーのスタイルに合わせて自由に職業を変えていくことが出来る。
    • 前作では雑魚敵のHPの高さが批判されたが、今作では前作に比べて削減されている。後述の通り呪文と特技のバランスには問題があるものの、使う特技をしっかり選んでいけば、通常戦闘を中心とした戦闘バランスは概ね良好である。
      • レベル上げや熟練度稼ぎを積極的にせずとも進みやすく、大ボリュームを感じさせず、という難易度の絶妙なバランスになっている。
    • 勇者の転職条件は、前作の「主人公のみ特定の上級職の1つだけマスターすれば可」という主人公特権がなくなったものの、全メンバー共通で「いずれかの上級職を3種マスター」と統一され、主人公以外についてはむしろ緩和された。
    • 職業「船乗り」は基本職ながらステータス補正が強力で、初心者への救済措置として機能している。「ボス戦でつまずいても、船乗りに転職したら楽に勝てた」という人もいる。
    • 補助効果や状態異常がターン経過で元に戻る仕様となった。このシステム変更によって戦略性が増している。
    • 『V』『VI』で序盤から中盤にかけてのバランスブレイカーと言われる事もあったブーメラン系の武器は攻撃力そのままで入手時期が遅くなった事や、値段が約1.5倍になった事などで少しだけ弱体化している。
    • 仲間の人数は実質的に5人と『V』『VI』に比べてかなり控えめだが、突出したバランスブレイカーも弱過ぎて使えない仲間も存在せず、それぞれにそれなりの個性がありつつ何でも担える。

個性的なボスキャラ達

  • 小分けされたシナリオで構成される本作では、それに伴い配置されているボスキャラの数も非常に多くなっているのだが、彼らは前作「VI」のボスに劣らずユニークな戦法を取る者が多くプレイヤーを飽きさせない。
    + ネタバレ注意
  • 後述の「強いボスの一例」に記載されているボスも大概曲者揃いだが、それ以外にも「敵味方問わずランダムな対象に特大ダメージを与える特技『みなごろし』を乱発して事故を多発させる」「猛毒・眠り・呪文封じ・目くらましといった多彩なステータス異常攻撃を連発」等々、これまでに無い一癖も二癖もあるボスが多数。
  • インパクトの強いものでは「前作ではラスボスの専用技だった超強力な技『念じボール』を中盤に差し掛かる頃の段階で放つ」「戦闘をふりだしに戻すシリーズお馴染みアイテム『時の砂』を使ってくる」といったものも。
  • シリーズでも屈指の強さを誇るとされる本作の裏ボスは、従来通りの強烈な全体攻撃に織り交ぜて「いっぱつギャグ」「ステテコダンス」というお笑い系(=1ターン休み)の特技を多用するという衝撃的な戦法を取る。
    • このため、攻撃一辺倒であった従来の裏ボスよりもアドリブ力を要求される戦闘となり、高レベルであっても油断ができない。

  • 戦法が個性的なボスが必ずしも強いというわけではないが、大量のボスの差別化という点には概ね成功していると言える。
  • また、シナリオ面においても 単純な力押しで人間を侵攻・支配しているボスはむしろ少数派であり、石版世界ごとに多種多様な手口で人々を陥れようとしているなど、こちらもしっかりと差別化が図られている。

会話システムの導入によるメインキャラクターの人物像演出

  • 前作までのDQシリーズでは、加入イベントを終えた後の仲間はセリフを喋る機会そのものが少なくなりがちであった。
  • 今作ではいつでも会話システムにより仲間のセリフ量が大幅に増したことで、作中の事物に対して仲間が何を考えて旅をしているのかが非常に分かりやすくなり、メインキャラクターの個性が強く印象づけられる形となった。
  • 感情をはっきりと示し、時にプレイヤーの心情を代弁するかのような鋭い発言を繰り出すマリベル嬢や、老騎士らしい思慮深く落ち着いた一面と ちょっぴりスケベでお茶目な一面を併せ持つ英雄メルビンなどが好評を得ている。
    • マリベルは会話システムのために作られたキャラクターとされており、行く先々で起こるイベントに一喜一憂する彼女の会話は必見。
      • 当時はまだ「ツンデレ」という概念や言葉が明確に存在しなかったため、当初はその性格や態度が刺々しいと受け取られがちであったが、徐々にキャラクターの魅力が理解され、後世にて「早すぎたツンデレ」と再評価された。
  • 頻繁に加入するNPC(後述)も、パーティに加わっている間は仲間会話の対象となる。積極的に話しかければ人間関係やシナリオの理解がより深まるだろう。
  • 戦闘中の会話に関しても尋常ではない作り込みで、膨大なテキスト量から戦況に応じた様々なセリフを喋り戦闘を盛り上げてくれる。
    • 「主人公が相手モンスターを倒した」場合に褒めてくれたり、「味方に補助呪文をかけた」場合に感謝されたりは序の口。例えば「眠り状態からターン経過により自然復帰」と「眠っている最中に殴られたことで復帰」でセリフが分かれていたりと、驚くほど細かいパターンが用意されている。
    • マイナー特技である「急所突き」で相手を即死させた時や、果ては相手モンスターの麻痺状態がターン経過により自然回復した時などという恐ろしくマニアックな状況にもしっかり専用セリフが存在する。
    • 先述の通り、ボス戦では必ず専用の会話が用意されているのは当然のこと、本作では頻繁に発生するイベントでの何気ない固定雑魚戦ですらほとんどの場合個別の専用会話が存在する。
    • メタル系モンスターを前に大はしゃぎするマリベルや、対照的に「どうせすぐ逃げちまうよ」と妙に冷めた反応のガボなど、戦闘中だからこそ見られる各キャラの個性も様々。主人公が敵の攻撃を回避した時のマリベルのコメントは必見。
    • 「毒の沼地の上での戦闘」「武器を持っていない状態で戦闘」「残りMPが少ない状態で戦闘」「残りMPが0の状態で戦闘」など、様々なシチュエーションで会話を試してみるのも面白い。
  • この戦闘中の会話システムは後発作品や本作のリメイクには受け継がれなかったため、現状このPS版VIIでのみ楽しめるシステムとなっている。

個性豊かなNPC

  • 先述の通り本作はNPC加入数がシリーズ随一であるが、そのどれもが明確な個性を持っている。
    • 中でも本作の過去のダーマ神殿で大神官をつとめる少女フォズは、ダーマの神官としてシリーズで初めて個性が描かれ、「頑張り屋な少女」というキャラクターが一部のファンに人気を博した。転職の際にわざわざ過去のダーマ神殿へ通う者もいたとか。
  • お助けキャラとして戦闘に参加してくれるNPC戦闘員も多数登場する。彼らは戦闘補助という役割に留まらず、世界・シナリオを彩るフレーバーとしての役割も色濃い。使う特技は職業や本人の資質と関連付けられており、それぞれの戦闘スタイルからもそのキャラの生き様や世界の広がりが想像でき、クールな演出と言える。

カジノの爽快感

  • 本作以降カジノが当たりやすくなり、レアアイテムの入手が容易になった。
  • 新ゲームとして「ラッキーパネル」が登場。4行×5列の20枚のパネルをめくる神経衰弱を行い、全てめくることに成功すればパネルに描かれていたアイテムが貰える というもの。
    • 登場する景品はランダムだが、運が良ければ本来時期的にはるか先の入手になる強力な武器・防具を先んじて取得することも可能であり、中毒性は抜群。高額で売却できる品も多数手に入るため金策にも有用。
  • ただしやり過ぎるとゲームバランス崩壊の要因となるのも事実であるため、攻略に手応えを求める場合はのめり込み過ぎない方が良い。

終盤のやり込み育成のやりやすさ

  • 取得経験値とゴールドの量は減少傾向にあるが、メタル狩りがやりやすくなったほか、熟練度上昇限界レベルが「確実に逃走成功とトヘロスが通用するレベルから+3まで」と『VI』に比べてゆるくなり、育成はしやすくなった。
  • 今作では、以後定番となる「スライム系ばかり登場する地域」も初めて導入された。
    • 終盤に登場するこの地域では熟練度が育たないレベルが存在せず、高経験値のメタル系、落とすゴールドの額が高いゴールデンスライムなどが出現し、非常に稼ぎがやりやすくなっている。ルーラで一発で行き来できるのも便利。

音楽

  • 音楽担当はお馴染みの故すぎやまこういち氏で、良曲揃いである。
    • ただ、作風を反映してかもの悲しい楽曲が多いのが本作の特徴。
      • 問題が未解決である過去の町のBGM「哀しみの日々」は、本作の作風全体を象徴する一曲と言われる。
      • 新たな石版世界の到達直後に毎回まず聞く曲となる過去フィールドのBGM「失われた世界」も同様だが、繊細で哀愁感のある美しいメロディーから本作の楽曲では特に人気が高いといわれる。
      • 情緒的な場面で使用される『愛する人へ』も小さな幸福感や懐かしさの中に僅かな寂しさを感じさせる美しい名曲である。
    • 塔の曲「魔塔の響き」は階層によって曲調が変化する『I』の洞窟曲以来のギミックが使われている*6

賛否両論点

ストーリー・シナリオ

文字通り「100時間遊べるRPG」

  • 本作は想定クリア時間が70~100時間以上というとてつもないボリュームを持つ。
    • しかもこの想定時間は「カジノなどの寄り道を全てスルーしたり、熟練度稼ぎもしなかった場合」のものであり、何の予備知識もなく進めた場合はクリアまで200時間を超える可能性もある。
      • ボリュームの多さ自体は歓迎すべきなのだが、後述の「石版集め」など、人によっては面倒くささや飽きやすさを感じやすいシステムであったことも手伝い、途中でリタイアしてしまう人も多かった。
    • その一方、時間の経過による町の様子や人々の会話の移り変わりなどはよく作りこまれており、取得必須の石版探しを会話や宝探しとの同時並行として楽しめたという人も少なからずいる。
  • 以上のような背景から、本作の大ボリュームに対しては「長く濃密に遊べる」という肯定的意見と「退屈でつきあいきれない」という否定的な見解とで真っ二つに割れている。

時代またぐおつかいイベントの繰り返し

  • 多くの場所で「人々が問題を抱えており、通りかかった主人公一行が『○○に行って××してきてくれ』『××のことは□□さんが知ってる』と依頼を受け、各地をたらい回しにされる」という展開となる。
    • 大半の個別エピソードはシンプルでわかりやすいとはいえ、これが数十ヶ所ある町という町で繰り返され、地方によっては過去と現代の同じ町で同じような内容を引き受ける場合もある。
    • ボリューム満点のクエスト攻略として好意的に取り組むプレイヤーもいる一方、「地域に介入する」という本作の構造ゆえ各エピソードとしては主人公一行が脇役に徹しがちな点もあり「『狂言回し役』兼『ただの対魔物戦力』としてこき使われるだけ」と感じ、その繰り返しにうんざりするプレイヤーもいた。
  • 1つ1つのエピソードは話の幹も起承転結もしっかりしており、エピソード単体ごとの評価は高い。
    • しかしこれらのエピソードの大半は「1話完結型」で、各世界でのエピソードとストーリー本筋との関わりが薄い。
      • 小間切れの個別エピソードを互いに結合する要素は終盤まで乏しく、極端に言えば「使い捨ての舞台と人物を使った小話の繰り返し」となってしまっている。
      • たとえば「因縁の敵がおり、複数の石版世界をまたいで何度も敵対する」「小エピソードと並行的に、大枠の物語を継続的に意識させる要素が常に小出しにされる」などがあれば、この点は解消された可能性がある*7
  • 既にクリア済の過去世界に戻ったり、過去と現代を何度も行き来したりしてイベントをクリアするのは本作の醍醐味である一方、時代と地方をまたぐ移動の利便性は低い。
    • 過去~現代間、過去~過去の別地方間の移動にはすべて一度神殿を経由する必要があり、テンポが良いとは言えない。
    • かつ、石版世界の中ではルーラが使えないため、一つの世界であってもフィールドやダンジョンを挟んで同じ場所を3度4度と往復を余儀なくされる、テンポの悪いイベントも散見される。
  • 過去世界へ出発する前(後述)や、人探しに終始する「ダイアラック地方」など、戦闘のないエピソードが序盤に重なってしまった点も冗長さを印象付ける要因となった。

全体的にストーリーが陰鬱として重く、過去世界の雰囲気が暗い

  • 石版世界=過去の世界のエピソードは基本的に「『魔物の脅威によって制圧されている/陥落の徴候がある』過去の地方に主人公たちが介入し可能な範囲で救う」という展開になる。
  • その構成上、苦境により心身の疲弊しきった人々、及びそういった状況下で生じた住民達の不和などが多く描かれ、魔物により意図的に仕組まれた人間同士の醜い争いが中心となっているシナリオも少なくない。陰鬱とした描写が歴代ドラクエで最も目立つと評されることが多い。
    • また、冒頭のパズルダンジョン(後述)を突破して訪れる1つ目の過去世界のシナリオからして暗い。ストーリー進行につれ徐々に深刻になっていくのではなく、悲劇性の強いエピソードが序盤から連続した点も、ゲーム全体に暗い印象を持ちやすい一因となっている。
  • 「特徴」の「音楽」の項目にて先述の通り、過去世界のBGMが悲哀感漂うものばかりである点も暗い印象に拍車をかけており、先述のフィールド曲『失われた世界』、町の曲『哀しみの日々』は良くも悪くも本作を象徴している。
    • 無論、この評価は「音楽が作風を的確に表現している」ことの証左、BGM自体の質の高さの証明に他ならない。
  • 新たに到達する町が、既に惨状にある場所ばかりである。
    • 過去作では、冒険を進めて新たに訪れる町の多くはその地域住民の安住の地で、プレイヤーも安心できる冒険の新規拠点となるのが普通であった。「新たにたどり着いた町が既に滅びている、滅びつつある」という描写は、むしろその地方を特徴付けるスパイス要素として少数盛り込まれるにとどまっていた。
    • しかし今作で新たに訪れる町はどれも魔物による被害を既に受けているか、比較的平和に見えてもその後大抵悲壮な展開へと縺れ込んでしまうという、過去作にない異例の仕様となっている。
    • 「新しい町の活気を見てワクワクする」という冒険の楽しみが通用しにくく、むしろ苦労して新しい町へ行く度に暗いBGMと悲惨な空気に出迎えられる覚悟が必要で、気が滅入るというプレイヤーも少なくなかった。
  • また各エピソードの「後味」についてもしばしば指摘される。
    • 過去世界で問題を解決しその世界の封印自体は解けても、人間関係のこじれは円満な解決に至らなかったり、最終的に救いきれていない人物を残したままとなったり、払った犠牲があまりに大きすぎたり、その後現代の世界で過去と同じ過ちを繰り返していたり…と、エピソードとしてのカタルシスが(おそらく意図的に)不完全となる話も多い。
  • 単純な「人間vs魔物」「ボスを倒せば全て解決」のありがちな展開の一辺倒でない、掘り下げられた心理描写による物語の深みは本作の大きな魅力ともいえる。こういった要素は過去のドラクエシリーズにも随所に散りばめられてはいたが、そのような要素が作品全体でここまで強調されたのはシリーズ過去作に例がなく、「シナリオが深い」「鬱ゲーだ」などと賛否両論を巻き起こすこととなった。

以下、暗いエピソードをいくつか挙げる。

+ ネタバレ注意
  • 最初に訪れる地域ウッドパルナからして悲惨である。
    • 「村を襲う魔物と戦った村の英雄パルナが、村人が命惜しさに加勢の約束を守らなかったせいで死に、パルナの妹が強い恨みを抱いた結果魔王に付け込まれ魔物化してしまう」という話が展開される。
      • この地域を救うにはパルナの妹の命を絶たねばならないが、彼女と戦うのは彼女が人の心を取り戻した後であり、プレイヤーは「 無抵抗の元人間 を殺す」という決断を迫られる。主人公たちが直接倒さない手段も存在するが、ストーリー上では結局他の人間が彼女を殺害するため「無抵抗の元人間を死なせる」という展開自体は避けられない。
    • その後、現代に戻って村を訪れると平和に栄えているが、「村の英雄」と伝えられているのは過去に主人公たちと共に妹を倒した男のみで、殉死したパルナの存在や、「村人たちが英雄を見捨てた後悔と戒めの証しとして死んだ英雄の名を村の名前にした」という事実は忘れ去られてしまっている。村に平和が戻ったとはいえ、無念の死を遂げた英雄とその妹にとっては救いのない結末である。
    • 本作における最初のシナリオながら「魔物の侵攻の陰に起きた人間同士の確執」「世界は救えてもとても素直には喜べない結末」「過去の出来事を知る身からするとやりきれない現代の村の姿」という、本作のエッセンスがこれでもかと盛り込まれたシナリオで、プレイヤーに強烈な印象を植え付けた。
      • 作中の重要人物も、事件の解決の折には「空は晴れたがとても心までは晴れた気分にはなれない」と述べる。
  • 訪れた時点で滅んでから50年経っているダイアラック。例外の1人を除いてどうあがいても救うことができない。
    • 村人の残留思念による回想を読み取る形で、過去に村を襲った惨劇の前後の情景を見せられる悲痛なシナリオ。このシナリオでは元凶となった魔物と戦うこともできない。結末そのものは「この村の悲劇が二度と起こらないように登場キャラが伝承の旅に出る」という前向きなものではあるが。
    • 現代に戻ると村そのものが無くなっている。この地は先述の「移民の町」の舞台であり、プレイヤーの行動によってゼロから新しい街を再興していくことになる。ある意味ここまで含めてこの世界のシナリオとも言える。
  • 昼ドラも真っ青なドロドロの愛憎劇を2回も繰り広げるグリンフレーク。
    • 直接的な死人が出たりはしないものの、誰一人として幸福にならない。こちらも現代では滅びている。
    • 更にこの愛憎劇には「魔物は一切絡んでいない」。すべて人間の愛と欲「だけ」が引き起こしたものであり、魔物の策略が背景にあった後述のレブレサックより質が悪いという意見もある。
    • ちなみに(地方そのものの封印は別として)グリンフレークの町が滅んだのは名産品の産出に強く貢献していた人物が出奔した上に経営者が失敗を繰り返したための「ただの過疎化」である。出奔した人物が流れ着いた先は本人の顛末はともかくとして町としては栄えて後世まで残っている。
  • 3度も異なる魔物の勢力に襲われ、進行を誤ると救えず滅んだ状態のままゲームが進むルーメン。
    • 1度目は単純な魔物の侵攻により村が制圧されている事だが、のっけから拠点となるべき村が既に魔物に占領されている状態から始まる。
    • 2度目は本来1度目の脅威よりも前に村を襲っていた魔物が復活した事によるが、町人が 触手に絡めとられて穴に引きずり込まれる という、SDキャラでなかったらグロ指定待ったなしの現場を直接目撃する事になる。
    • これでも、2度目までは単純なモンスターの退治だが、3度目の襲撃時には「見かけは恐ろしいが実は無害な魔物」を殺すかどうかの選択を求められる。その魔物はどのような選択をしても最終的には死んでしまうのだが、プレイヤーが手を下さなかった場合は街が滅びずに済む。
      • 魔物を倒す選択をすると再三問い詰められるので、ここで踏ん切りがつかずに殺せなかったプレイヤーもいるだろう。その点では良心的なつくりと言えるが、プレイヤーの選択・行動の結果として町が滅ぶのはやはり後味が良くない。
  • 産まれたばかりの赤子が醜悪なモンスターに変えられてしまう呪いがかけられたコスタール。
    • しかも国を訪れて早々、母親の目の前で赤ん坊が変貌していく様を見せられたり悲惨度は群を抜く。
    • コスタールではそのほかにも人間とホビット族との間で確執があり、ホビットの集落に入った途端にBGMが止まって一斉に住人が姿を隠すという中々衝撃的なイベントもある。
      • こちらは言わばホビット側の逆恨みに近いもの*8で、ストーリーが進むと自然と解消される。
  • そして、数ある鬱展開エピソードの中でも最たる例として挙げられるのが、レブレサックという村のイベントである。
    • このイベントは登場人物に対する救いのなさやその後の村人の言動が多くのプレイヤーの怒りを買い、『ロマンシング サ・ガ3』のキドラント、『ワイルドアームズ』のサーフ村と並んで「RPGで最もムカついた村・イベントは?」という話題になると今なお真っ先に挙げられるほど有名になっている。
+ レブレサックのイベント概要(ネタバレ注意)
  • 主人公たちは「村の教会に魔物が住みついたので倒してほしい」という依頼を受けるが、実は魔物の正体は村の平和と引きかえに魔物と取引し、見た目だけが魔物になってしまった心優しい神父だった。そのことに村の少年が気づくが、村人たちには信用されず、むしろ無抵抗の魔物神父を一方的に殺せとわめきだす。
  • それを助けようとしたところ、魔物の仲間だと勘違いされた主人公たちと少年は村人によって岩山に閉じ込められるが、そこで諸悪の根源の魔物を倒して神父を元の姿に戻すことに成功する。しかし、自分が村にいることで村人が嫌な思いをするのではないかと考えた神父はひっそりと村を出て行ってしまう。
  • 真相を聞かされた村人たちは自分たちの行いを後悔し*9、戒めと反省の意味を込めて事件の一部始終を記した石碑を作った。…と、ここまでならまだ良かったのだが
    • 現代に戻ると石碑の内容は大きく変わっていた。主人公たちは魔物扱いで村を救ったのは村人と神父、しかも魔物に変えられた神父を救ったのも村人になっているという具合に、村人を美化し事実を歪曲した内容になっていたのである。
      そんな中、村の子供たちが偶然本物の石碑を発見し、主人公たちはそれを村長に突きつける。すると村長は、「こんなもの、あってはならないんですよ」と言うや本物の石碑を壊し、真実を闇に葬ってしまう。さらに村のほぼ全員が「子供たちの話はウソだ」と決めつけるありさまで、「嘘を言っているのは大人たちなのに」「嘘をついちゃいけないっていつも僕たちに言ってるのにどうして…?」と、子供たちを苦悩させる。
      実はこのイベント、石版さえ入手すればあとはストーリー進行に全く関係はない。しかし、「本作では過去の世界を救う→現代にその世界が出現し、向かうことで新たなイベントが発生する」という流れが基本となっているため、予備知識なしではまず回避できない。
    • これに輪にかけて酷いのが魔王復活後(Disc2)で、村人以外は全て敵だと思い込み、家にこもって主人公たち(と村に引っ越してきたばかりの普通の青年)を罵倒するのである。これはストーリー上の展開も大きいのだが、他の村と比べてもこの状態は常軌を逸しており、一部の住人が「村人の方が魔物よりも怖い」と明言するほどでプレイヤーの心象を大いに損ねた。
      • このようなあまりに自分勝手な言動に、多くのプレイヤーが「間違いなくドラクエ史上最低最悪の村」「とっとと滅びろ、むしろ滅ぼされた方が余程マシ」「住人が消えた町が他にあるのに何でここの連中は無事なんだ」「俺らの代わりに罵倒してくれるマリベルがよりによってこの場面にいない」と怒りを露にすることになった。
    • 村人の言動以外でも「相手がいくら人間とはいえ、魔物の姿をした神父を助けようとした結果、無抵抗のまま岩山に閉じ込められる主人公ら」や、「他の出口を探そうとして岩山を探索していたのに、正反対のエリアにいるボスを倒すとなぜか村人が閉ざしていた扉が開く」など、不自然な描写も多い。
  • ただ、プレイした人の中には「後から考えると村長の行為も正当性がある」と理解を示す者も少なくない。
    • 実際、現実においても史実が歪められている・誤って伝わっている事はよくある。そして、主人公やプレイヤーにとっての過去の事件は「実際に体験して来たリアル」だが、現代のレブレサックの村人達にとっての事件は「石碑くらいでしか歴史を知る事ができない、遠い過去の話」でしかないのである。
      そんな中で過去の村人の恥と言う真実を公開しても、極端な話、主人公達(メタ的にはプレイヤー)がスッキリするだけでしかなく、逆に村が混乱し、村人同士で対立が発生する可能性も大きい。そして、現代の都会と中世時代の村社会における人間関係の重要性は比べ物にならないほどに重い(現実の日本を考えれば想像はつくだろう)。それを考えれば、村長がやった事は、村を守るためには当然の行為であるとする意見である。
      • 実際、主人公の仲間であるメルビンも村長の行いに唯一理解を示している。さらに、真実を知った村の子供たちが後世まで真実を伝えようとしたり、主人公たちを信じて旦那に黙って泊めてくれる宿屋の女将などもおり、プレイヤー視点で見ても全く救いが無い訳ではない。
    • 「旅人が悪い魔物である」という内容に歴史を改竄し真実の石版を受け入れずに揉み消したせいで、魔王復活後は村人が村を訪れた外部の人間に対する疑心暗鬼に陥ってしまい、外部の者を受け付けずに閉じこもっているという展開のため、歴史を改竄したことへの報いは受けているという見方も出来る。
    • また、レブレサックの前に通過する町ルーメンでは、前述の通り魔物退治の依頼を受けるかどうかの選択を迫られ、引き受けたプレイヤーはこのレブレサックの住人と同じ過ちをしてしまうこととなる。一概にレブレサックの住人を責めることは出来ないという考えに至ったプレイヤーや自責の念に駆られたプレイヤーも多いだろう。
      • このように冷静になって考察すれば深いイベントではあるのだが、実際に体験した時の不快感は筆舌に尽くし難い。「胸糞が悪い・鬱イベント」と言う第一印象があまりに鮮烈であるため、そのままにプレイヤーの記憶と感情が固定されやすく、結果的に「深く考えさせられるイベント」と言う印象は薄くなってしまいがちなのである。
    • ちなみに、村を出て行った神父はその後記憶を失って別の大陸の村に流れ着き、そこで主人公たちと再会する(ストーリー上はこちらの方を先に訪れる)のだが、ほどなくして村を襲いに来たモンスターから主人公たちを逃がすために殺されてしまう
      更にエンディングではこの村に立ち寄ることもできないので平和になった後の村の様子も分からず、何一つフォローされる要素がない。プレイヤーの心証を損ねたまま物語が終わってしまう点も悪評に繋がってしまった。


ただし、本作の「暗くて陰鬱なエピソードばかり」という評価はネット上ではやや誇張して語られがちであるということは留意しておきたい。

  • 前述の通り「魔物を倒して世界を救う」というフォーマットそのものはどの過去世界のシナリオでも一貫しており、平和が訪れれば基本的に人々は喜び、主人公達の健闘には感謝してくれる。「苦労して世界を救ってもカタルシスが一切得られない」という評価は極端である。
    • 「水面下で起こっていた魔物の計画を阻止し、最悪の事態を主人公達が人知れず未然に防ぐ」という日の目を見にくい立場をとるシナリオにも、主人公達の活躍を理解してくれている人物は少数でも必ず登場している。
  • 複雑な人間模様が展開されるシナリオばかり強く印象に残ってしまいやすいが、「魔物の親玉を倒して問題解決」というシンプルでスッキリと終われるシナリオの数も複数ある。またシナリオの随所でコミカルなセリフや演出も差し込まれるため、緊張と緩和のバランスは考えられている。
  • 作中でのシナリオの補足要素として、過去世界を救った(=現代に島が復活し、進行フラグ上は先に進める状態になった)後で現代に戻る前にシナリオの重要人物に会いに行くとちょっとしたイベント・会話が発生したり、しばらくシナリオが進んでから過去世界を再訪すると時間が経過していてその後の様子を見られたり、既にクリアした地方の人物の顛末がしばらく後に訪れた異なる石版世界で語られたり…と、実は細かいフォローが多数用意されている。
    • 中には「亡くなった友人のことにどう折り合いをつけて生きていくか」といった、キャラの心情を理解するために非常に重要なミニイベントも存在する。
      • こういったイベントを見ることはクリアに必須ではないため、ちゃんと見ることができたプレイヤーとそうでないプレイヤーとの間でシナリオの印象が変わりやすいというのも、本作のシナリオに賛否両論を生んだ要因と言える。
  • 本作のシナリオが本当に「遊んでも遊んでも気が滅入るような暗い話ばかり」であるならば、本ページでも"問題点"の項に記載されて然るべきである。
    • あくまで"賛否両論点"であるのは、本作のシナリオが王道RPGの、そしてDQの物語としてしっかり成立しており、シリーズ他作品とは毛色が異なるながらも高く評価するプレイヤーも大勢存在するということに他ならない。

最序盤のイベントの長さ

  • 世界でただ一つだけ存在し、魔物も存在しない平和な島に住む主人公たちが好奇心から島の遺跡の謎を解き、異世界に迷い込んだことをきっかけに島々を復活させる冒険が始まる…というのが本作冒頭のストーリーだが、この冒頭部分のパートがものすごく長い
  • ゲーム開始からしばらくは「主人公の住む漁村フィッシュベル」「親友キーファの住むグランエスタード城・城下町」「入口を閉ざす謎の神殿」の3ヶ所の拠点を中心に島中を回って進行することになるのだが、町もお城も広大かつ住民も多いため、探索や情報収集にはかなりの時間がかかる。イベント進行のフラグもやたらと煩雑で、物語を進めるだけでも大変な苦労を要する。
  • 冒頭パートの後半では冒険の世界への入口となる「石版の台座」へたどり着くために先述の神殿を攻略する必要があるが、この神殿が過去のドラクエに類を見ない戦闘の全くない難解なパズルダンジョンとなっており、一度入るとクリアするまで脱出もセーブもできない。
    • 困ったことにこのダンジョンは一本道でなく、最速でも15分、事前知識がなければ1時間ほどかかる可能性のある広大な迷宮となっている。
      • 道中に「別の場所の仕掛けを解くためのヒントや後の伏線に過ぎず、その時点では先に進めない部屋」という初見殺しの部屋まである。単に他の箇所を順当に攻略すればよいだけではあるが、他の謎解きにも存在に気づきにくいものがあるため、解けない部屋で「ここに何かあるはず」とあたりをつけてしまい、一向に先に進めなくなってしまったプレイヤーも少なからずいた。
    • 主人公の住む世界には魔物がいない設定であり、この謎解きをクリアし最初の石版世界に突入するまで戦闘が発生しない。よって、「ドラクエらしからぬいきなりの大型謎解きに戸惑い、スライムと初戦闘するだけで感激した」というプレイヤーまで現れる妙な事態に。
    • なお、これだけ大々的に採用され、演出もいわくありげだったパズルだが、その後のストーリーには一切絡んで来ない。「道中で手に入る謎解き専用アイテム『聖者シリーズ』の形状が、実は後に手に入る最強装備に似ている」という演出はあるが、攻略本をよく見なければはっきりとは気づけず、小ネタの域を出ない。
  • 後日、3DS版リメイクの発売に際したインタビューにて制作者が「『MYST』が面白いと思って入れてみた」と述懐し、同時に「今振り返るとあれはいらなかったんじゃないか?と思っている」と反省の弁を語っている。
    • 実際、リメイク版では島の探索パート・神殿の謎解きパート共にやりすぎなくらい簡略化されている。
  • 今作の反動か、次作『VIII』ではオープニング開始1分でキャラ同士のやりとりもそこそこに即戦闘へ突入し、その後の目的地と道順が明示されるという真逆の内容となった。
  • 上記の通り、実質的に公式で失敗扱いとされてしまっているこの冒頭パートだが、一方で「平和な世界で暮らす人々の生活や人間模様を非常に丁寧に描写しているからこそ その後の展開が引き立つ」「キーファと2人で神殿を探索し謎を解き明かしていく雰囲気や高揚感が秀逸」という意見もあり、PS版の仕様を支持するプレイヤーも根強く存在する。

前半の山場・ダーマ神殿の難易度、転職可能になるまでの遅さ

  • 転職が可能となり冒険の楽しみが本格化する節目「ダーマ神殿」へたどり着くのに初見では20時間以上かかることもあり、これだけでも前作よりかなり遅いが、今作のダーマ地方では転職を可能にするために、ゲーム中でも指折りの難関となる極めて長いイベントをクリアする必要がある
    • このイベントは「直前にパーティ人数が1人減る」「今までより1ランク強い敵が出現」「行動範囲が制限され、現代に帰れなくなる上に最寄の町の物価が高い」と過酷な環境を、「当初、特技・呪文を全て封印される」というドラクエ史上でも非常に厳しい制約を課された状態で複数のダンジョンを攻略するという、極めて厳しいもの。
      • 一応、救済要素としてアイテム「奇跡の石(ホイミの効果を無限使用可能、ただし戦闘中限定)」、使うと呪文の効果がある店売り品、要所でのNPC加入などが用意されているが、それでも難易度は高い。
      • そんな絶望感の漂うイベントの中には、2回もの強制敗北イベント(所謂「負けバトル」)まで存在する。その内1回は再戦の機会がある重要な敵だが、もう1回は再戦機会のない一般人風の相手で、ストーリー的な盛り上がりに欠ける。
      • 特技・呪文を取り返すまでが一大苦労だが、その後も地下闘技場でそこそこの強さの中ボス相手に6連戦、最後に控える大ボスも2回行動可能+強力な全体技とスキがない。
      • さらに、某NPCに話しかけるとDisc2レベルの場違いな強敵との戦闘に陥るという、設定ミスと思われる事象が発生する地点もあった。
  • 難易度のみならずシナリオ的にも賛否両論である。
    • ダーマ編は登場人物が多く、それぞれのキャラクターが目的や意思、事情を持ち、魔物との戦いの中ドラマチックで激しい展開が相次いで発生する。
      • 主要人物としてパーティに永続加入してもおかしくなさそうな少年のザジを筆頭に、ザジの姉であり衝撃的な顛末を辿るネリス、傍若無人なあらくれの頭目だが単なる横暴者でもないスイフー、大神官のフォズなど、単発シナリオの枠組みで使い捨てにされるには惜しいキャラクターが大勢登場する。
      • 多くの登場人物と戦闘で相見えたり共闘したりするうえ、戦闘面でも実力者揃いで、RPGという意味では王道的で熱い。
      • しかし、このエピソードは作中の他シナリオと同様のドロドロとした人間関係が、作中でも屈指の閉鎖的で鬱屈とした舞台で展開されるため、気が滅入るというプレイヤーも少なくない。
  • 難易度の高さと鬱屈としたストーリーとが組み合わさり、「壮絶なドラマに否応無く巻き込まれた臨場感と、それに見合った難易度で燃える」と感じるか、「暗さの残るドラマ長くてダレる」と感じるか、の評価が大きく分かれやすい。本作の賛否両論を体現したステージといえよう。
    • 受け入れられなかった人の中にはここでゲームを放棄した人も多く『II』の「ロンダルキアへの洞窟」や『VI』の「真ムドー」と並ぶ難所と称する声もある。
  • やっとのことでこの試練を乗り越え、念願の転職を済ませ「これからが本番」と意気込むプレイヤーへ、難敵「山賊四人衆」の登場が追い打ちをかける(詳細は後述)。
    • 1人1人はそれほど強くないが搦め手に長けた初見殺しな戦闘パターンを有し、転職後とはいえほとんど職業レベルも上がっていない状態で多くのプレイヤーが敗北を喫し、再び挫けることとなった。

終盤の盛り上がり不足

  • 石版集めの長さとは逆に、物語のまとめとも言うべき現代編の分量は石版世界編の1から2エピソード分であり、Disc1部分が膨大であったぶんアッサリ感が否めない。
    • 回収されている伏線も、並列的に展開される物語を注意深く追っていかないと回収されていることに気付かない。例を挙げればグランエスタードが封印されなかった理由(ひいてはサブタイトルである「エデンの戦士たち」の意味)、謎の神殿や石版の由来、ユバール族の存在意義等。
    • その為、本作のシナリオについての「結」の部分及びエンディングは、賛否両論を受けやすい。伏線の回収に興味を持たせるだけの配慮や動機付けが終盤に不足していたとも言える。

復活させた大地のスケールの小ささ

  • 石版システムの都合上、少しずつ大地を復活させていくという流れで、全ての大陸を復活させても小さな島がポツポツと点在する諸島のような状態であるため、スケール感や復活達成のカタルシスに乏しい。マップや攻略本などの世界全体図などの図解でも、大きな大陸というよりも「小さな島の集まった地形」が見てとれる。
    • そのせいか復活した大陸を歩いて冒険する場面がほとんど無く、世界歩きを堪能しづらい。現代にのみ新しく存在する施設・それに関わる大きなイベントがあまり無いことも現代編の探索要素の薄さに拍車をかける。
    • 現代はルーラが使えるため尚のこと歩き回る機会が少ないこともあり、「島を復活させて現代に帰った直後だけ船による海路で町へ向かい、ルーラ登録を終えたら一部の『現代にしか存在しない新しい施設』をざっと見て回って島の探索は終了」というあっさりとした印象になりがち。
      • また、全大陸復活とほぼ同時に話が急展開加速するので、世界全体を復活させたという達成感は最終盤までお預けとなる。
    • ただし、先述の通り石版システムの為の地形と考えると仕方無い所もある。
  • また、本作では『VI』以前と比べてマップの一マス一マスがかなり小さくなっている。そのため、ゲーム上のフィールド自体が視覚的に小さくなり、結果的に大陸感が薄れているという面もある。
    • 本作のエンジンを流用して作られたPS版『IV』と、FC版『IV』を比較すれば一目瞭然。

戦闘

強弱の激しすぎるボス難易度

  • なぜか強いボスと弱いボスの差が異様に激しいのが本作の特徴。
+ 強いボスの例(ネタバレ注意)

デス・アミーゴ

  • 本人の戦闘能力自体はそこそこで、かまいたちが痛いのとちょっと速いのが怖いくらいだが、なんと「洞窟の力」のせいで呪文が使えなくなっている。薬草が不足しているとあっさりと倒されてしまう事もある。
    • 呪文は道中では問題なく使えるがボスがいる一帯でだけ使えないという設定のため、初見では事前準備は難しい。NPCのきこりは薬草を使って回復してくれるが、無駄行動も多いためあまりアテにならない。

デスマシーン

  • 攻撃力も守備力も高く、こちらの数少ない主な攻撃手段である打撃をまぶしい光でかわし、こちらの有力な打開策であるルカニもマジックバリアで無力化してくるという強敵。しかも前座のボスとの連戦であり、消耗戦は必至である。
    • 同ボスの出る地域は他にも「ザコ敵のからくり兵が手強い」「フリーズバグ(後述)がある」など様々な面で難易度が高い。

どうくつまじん

  • グリンフレーク地域で戦うことになり、キーファをパーティーに入れている間に戦うことができる最後のボスとなる。

山賊四人衆

  • 先述した通り、ダーマ編にて転職が解禁された直後、現代のダーマ地方にて登場する難敵。3vs4という数的に不利な状況で戦わされる上に、4人それぞれが多彩な全体攻撃や状態異常攻撃を操り、これまでの戦いとは桁違いの猛攻を仕掛けてくる。
  • 初見プレイヤーは下級職への転職直後でステータスが大きく下がっている&まともな特技を覚えていない状況で戦うことが多く、長く苦しい過去ダーマ編を乗り越え意気揚々と転職をしたプレイヤーに強烈なトラウマを植え付けた。
    • その強さに加え、敗北時に教会へ戻されない特殊な演出が挿入されることから「これも直前の過去ダーマ編よろしく負けバトルで、他に順路があるのだ」と勘違いし進められなくなる人も少なくなかった。
  • 戦闘に関するステータス補正が高い『船乗り』に転職して挑む、冷静にそれぞれの敵の行動パターンを読んで戦略を立てるなどすれば現代ダーマ到達直後でも勝機はあるが、今後を踏まえてもまずは地道に職業レベルを上げて有用な特技を取得していく方が無難かもしれない。

グラコス

  • まず、彼がボスを勤めるハーメリア地域では、洪水イベントが起こるとボスを倒すまで現代に戻れなくなる*10
    • 道中の雑魚モンスター全般も「全体攻撃を仕掛ける敵」「桁外れに強いヘルダイバー」「凶悪な性能を持つトラップモンスターのツボックが同じ場所に2体潜んでいる」など消耗しやすい。レベル上げやある程度ならアイテムの購入は可能だが、所持品を万全に整えることや転職は出来ないため、HPの下がる魔法使いなどに就いていると悲惨な事に。
  • このような厳しい条件がそろっているのにも拘らず、ボスとしてのスペックが非常に高い。複数の全体攻撃技を持ちながらそのどれもが強烈で、運が悪いと1ターンに2回行動で2度全体攻撃を仕掛けられてしまう*11。通常攻撃力も飛び抜けて高いため、前述のHPの下がる職のデメリットがもろに響いてくる。
    • 一応、回復に長けたNPCである老楽師が一緒に戦ってくれる救済措置が用意されてはいる。

ヘルクラウダー

  • 強いボスが多い今作の中でも屈指の強敵である。
    • 最大2回行動、ラリホーを扱う増援を呼ぶ、こちらの平均HPが180~190程度の中で全体に平均90ダメージを与えてくる、同時点で主要なダメージソースとなる特技「とおぼえ」「どとうのひつじ」「しんくうは」に完全耐性持ち、などの凶悪な性能を複数兼ね備えている。
    • これに輪をかけ「主要メンバーであるマリベルの離脱直後」というタイミングも苦戦を強いる大きな要因となっている。
    • 彼女は分かりやすく魔法使いタイプのステータスなため、プレイヤーの多くは彼女を「呪文による回復・補助」方面の転職育成を行いがちだった。結果としてボス戦での要となる補助呪文をマリベルに依存しており、彼女が抜けた際に大きな戦力ダウンに見舞われる事態が多発した。
      • 特に初見プレイヤーはその離脱の予測が難しく、戦力ダウンに見舞われた状態で、パーティ構成を練り直す余裕もないまま戦わねばならなかった。
      • ただし、マリベルと入れ替わりの形で加入するアイラが初期習得している「メダパニダンス」が呼び出された増援の処理に効果覿面という一種の救済措置も存在する。これまでの育て方に関わらない有効な攻略法を確実に用意している点は配慮が行き届いていると言える。
    • 後述の通りこの後に続くボスが単独で見て弱いのもあり、このボスがあまりに強力だったおかげでその後のボス全般の印象が霞んでしまった。
  • ただし、これらは決してゲームバランスを崩壊させるほどの理不尽な強さというわけではなく、「印象に残る強ボス」として今日まで語られるインパクトを残している点においてはそれそのものは問題点ではない。
    どちらかというと、以下に述べる「シナリオの盛り上がりすら削ぎかねないほど弱すぎるボス」が多い事の方が問題と言えるかもしれない。
+ 弱いボスの例(ネタバレ注意)

ゴーレムチョッキンガー

  • いずれも本作最初のシナリオであるウッドパルナ編のボス。ゴーレムは実質的に本作最初のボスとなる。
  • この2体が弱いというより、この2体との戦いを含むウッドパルナ編の後半でパーティに一時参加してくれる戦士・ハンクが強すぎる。
    • ハンクはこの時点での主人公たちよりはるかに高いダメージを物理攻撃で叩き出し、HPが減った味方はホイミで回復までしてくれる。主人公達がほぼ初期レベルであっても防御を中心に立ち回ればほぼ一人で叩き伏せてしまうほど。
  • さながら『V』のパパスがボス戦にまで同伴しているかのような戦い。最初のシナリオのボスという本来であれば否が応でも盛り上がるであろう戦闘がこんな調子なのは、人によってはやや興ざめに思えるかもしれない。

りゅうき兵

  • 強化版と弱体化版の2連戦。強化版は高いステータスと強力な呪文・特技で攻めてくる強敵だが、主人公たちが敗北するか6ターン経過すると戦闘が強制終了し、イベントを経て弱体化版との再戦になる。
  • 弱体化版は全てのステータスが大幅に低下し、呪文も特技も使わなくなり貧弱な打撃一辺倒に。もはや負ける方が難しい戦いと化すが、なんとこの戦闘では負けてもイベントが始まり、こちらの勝利扱いとして物語が進行してしまう
    • つまりこいつとの戦闘は最初から最後まで結果が決まった茶番に等しい。もはや強い弱いどころの次元の話ではない。ここまでする必要はあったのか…?

ボトク

  • 良くも悪くもシナリオ面が印象深いレブレサック地方のボスを務めるが、その戦闘性能はあまりに貧弱。
    • 攻撃力は直前に戦うヘルクラウダーに到底及ばないどころか、5つ前のエリアのグラコスにすら劣る。そのうえ、この時点では雀の涙の回復力しかないベホイミ*12を唱え、行動を事実上浪費する。
    • また、特定の人物を集中攻撃する特性を持っているが、直接攻撃できる技が弱めの通常攻撃しかないので、この特性に気づけば後は狙われている相手をスカラで補助するだけで完封できてしまう。

バリクナジャ

  • 石版編における最後のボスにもかかわらず、猛毒の霧が有効な点で有名。それを抜きにしてもHPをはじめ全体的なステータスが低く、完全一回行動で搦め手も少なく、ヘルクラウダーを倒したパーティなら苦戦のしようがない。
    • 直前に戦うメインストーリーにほとんど絡まない中ボス・ガマデウスの方が、2体のお供とコンビネーション攻撃を仕掛けてきてはるかに手強い。
    • ただし、赤子を魔物に変えてコスタールへ絶望感を与えるやり口など、ストーリー上は十分知略に長けたボスという印象がある。

4体がかりで攻めてくる裏ボス

  • 個々の攻撃手段が1体目の裏ボスはおろか周辺の雑魚よりも場違いにぬるい。ここまできた実力があればまず負けることはない。
  • 上述したものは場違いに弱いためむしろネタにされている。
  • 他にも弱めのボスは多いが、それらはシナリオ内における前座(いわゆる中ボス)ポジションに配置されていることが多く、親玉ボスの多くは面目を保てる程度の強さは有している。
    • しかし、本作は何故か後半になるにつれて設定上の地位に見合わない弱すぎるボスが増えていく傾向にある。個別解説の通り、単純に前に戦ったボスより絶対的なステータスそのものが劣っているボスもおり、調整の意図が見えない。
    • 過去作でも、演出的な意味から場違いに弱くても違和感のないボス(大ボスの前座*13、直前の大ボスよりも設定的に格下*14など)はいたが、上記のボスは設定的にも説明がつかない。

膨大なやり込み要素

  • 総数が大幅に増えたアイテムや職業・特技、移民の町やモンスターパークといった脇道要素など、本作はやり込み・収集要素に関してはシリーズ有数の膨大なボリュームを有している。
  • ただし、その中には"種類だけがむやみに膨大で、ゲーム的な意味がほぼ存在しないもの"や、"システムが練り込み不足でただただ骨が折れるもの"も多い。いたずらな水増し、もしくは調整不足ともとれる方向での「大ボリューム」のため、やり込み要素を好むプレイヤーからも賛否が分かれやすい。
  • アイテム関連では、終盤になると「敵からの低確率ドロップ限定の装備品」や「作成が難しい移民の町の特殊形態限定の店売り品」等、入手困難なレアアイテムが多数登場するようになるが、入手時期・難易度に対して性能が全く見合っておらず、最速で入手しても利用価値が皆無のものが非常に多い。
    • 最終盤~クリア後の雑魚からのドロップ限定ながら性能が低すぎる「もろはのつるぎ」「ふぶきのつるぎ」、攻撃力が低く、特技が存在するシステム上グループ攻撃という持ち味も活かせない「たいようのおうぎ」、同じ店に同じ金額で完全上位互換の武器が売っている「ビッグボウガン」等。
    • 入手自体は難しくない一般的な市販品にも存在価値が皆無なものが多々。前作からわざわざ続投したものの高いかっこよさ補正・コーディネートボーナスという利点が消され存在意義が無くなった「ピンクパール」、購入できる時期には装備者が誰もいない「おおばさみ」等。
  • 実用性を伴わないアイテムは過去作でも珍しくなく、それらを全て排除してしまうのもそれはそれで味気ないのだが、今作でのその数はシリーズでも群を抜いている。これをコレクション要素と取るか単なる調整不足のムダの山と取るかは意見が分かれるだろう。
    • 次作『VIII』ではこういった利用価値に乏しいアイテムがかなり整理された。錬金システムの実装により素材としての利用方法が増えたことも大きい。本作のアイテムコレクションを経験したプレイヤーの中には拍子抜けした人も多いだろう。
    • また、本作の3DSリメイク版では、主にすれちがい石版システムの実装により多くのアイテムの入手手段が増え、PS版では価値が低かったアイテムでも意外な形で日の目を見るようになったものも。
  • 職業・特技、移民の町、モンスターパークに関しては"問題点"の項にてそれぞれ詳細を後述。
    • いずれも概ね「練り込み不足により労力だけが膨れ上がってしまっている」形となっており、収集要素のボリュームに対しモチベーションを保ちづらい面が目立つ。

取得ゴールドと装備のバランス

  • 今作の序盤では、獲得経験値・ゴールドの少なさが批判を招いた前作以上に金策が厳しい。
    • 本作はシリーズでも珍しく初期パーティが3人の状態で冒険が始まるのだが、全員初期装備に武器を持っていない状態なので武器の購入は必須であり、それでいて序盤の装備品が過去作に比べて著しく高く、懐が大変厳しい。
    • アイテムの売値が従来の「買値の3/4」から『I』の頃の「買値の1/2」に回帰したことも資金不足に拍車をかけている。
    • 一応、攻撃や防御が微増するだけの装備品は購入するメリットがほとんどないバランスの為、不必要な装備品を買わない+アイテム売却すれば、ゴールド貯めをそれほど行わなくてもよい難易度にはなっている。特殊効果や属性防御が重要な今作では、単純な攻撃力・防御力で装備品を選ばないことに気づかせる役割があるともいえるが、やはり上級者以外には不親切とも言える。
  • 中盤以降は一転してこういった難点が解消されるが、むしろ終盤は金銭が容易に手に入りすぎるようになる。
    • カジノでは黒字になりやすいラッキーパネルが遊べるため、地道な作業だがうまくやれば金銭面はいくらか楽になる。
    • Disc1の終盤ごろにはおどる宝石(350G)が出るほか、Disc2になればゴールデンスライム(なんと3000G)が出現する。それ以外のモンスターの報酬を考えるとやはりバランスはとれていないのだが。
      また、このころには強力な装備品がタダで手に入る機会も増える(ユバールの剣や水竜の剣など)ので、浮いた分を他の装備に回すことができる。

その他

メインキャラクターのビジュアル面

  • 多くのキャラが溌溂とした青年や美少女・美女として描かれていた前作までとは異なり、今作のメインキャラクター達はやや癖 のあるビジュアルとなっている。*15
    • 主人公は緑の頭巾を被った小柄で素朴な田舎の少年*16といった出で立ちで、知らない人からすればRPGの主人公であるとはまず思わないであろう地味な見た目。
      幼馴染の少女マリベルはほっかむりがチャームポイントのくせっ毛の少女、主人公の2つ年上の青年キーファはやけにアゴが強調された濃い顔立ち…と、本作のパッケージ絵に写る初期メンバー3人からしてかなり独特なデザイン。
      その後も鳥山節にあふれた野生児ガボ、鎖帷子に身を包んだ老人メルビン、やけにくちびるが強調された踊り子戦士アイラ…と、いずれもどこか一癖ある見た目のキャラが続いていく。
      • 今作からデジタル作画に移行した鳥山明氏の画風の変化もあり、過去のシリーズと比べるとかなり特徴的なビジュアルあることは事実で、この点で敬遠してしまったというシリーズファンの声もある。
  • ただし、これらはあくまでビジュアル面「のみ」を見た場合の話。
    • そもそも主人公やマリベルが田舎の村の垢抜けない少年少女であることは設定上の前提であり、そうした出自の人物が世界を変える冒険に関わっていくことは物語上でもしっかりと意味を持っている。ガボ・メルビンも出自に沿ったまっとうなデザインである。
    • 先述の通り、本作は仲間会話システムの存在によりキャラクター描写の面では過去作と比べものにならないほど充実しており、キャラの魅力という点においては決して引けを取らない。若者・子供・老人と年齢がバラけている点も会話の面白味に一役買っている。
    • 直近の作品と比べるとパーティーメンバーの入れ替わりが少ないこともあり、長い冒険の中でそれぞれのキャラに愛着を持ちやすく、「終わってみればこのメンバーでの旅は楽しかった」「むしろこうした面々だからこそのDQ7」という意見も多い。

問題点・不評点

「石版集め」の大変さ

  • 冒険の舞台となる新しい世界に行くために、積極的に探索を行い「石版」を見つけ出す必要がある。過去の作品でも「小さなメダル」のように細かい探索やサブクエストをこなすことでゲーム進行が有利になる収集要素はあったが、ストーリー進行で強制されたのは本作が初である。
    • ある程度はメインシナリオを進める過程で自然に集まるが、大抵は見つけにくい石版が何枚か出てくる。それらはご丁寧にも、本作の特徴である「2つの世界」「3D」をフルに活かして隠されている。
      • 石版は過去と現在の両方に散らばっており、同じ構造の場所を2回探索する事も多く飽きが来やすい。加えて、双方の世界で探索済みの場所がごっちゃになり取り漏らしも起きやすい。
      • また、デフォルトビューで壁の裏にあるなど、カメラ角度を変えないと見えないような場所に置かれた石版も多く、3Dゲーム黎明期で不慣れなプレイヤーを苦しめた。
    • しかも当初はノーヒント。物語が進むと「占いおばば」がありかのヒントを教えてくれるようになるが、具体的な位置まではわからない。
  • 隠しダンジョンも石版で解放するようになっており、それらを集めるのも一筋縄ではいかない。カジノの景品だったり、小さなメダルの景品だったり、ラスボス撃破後にある手順を踏む必要があったり。
  • これについて「なぜ『全体の任意のパーセントまで取れば先に進める(例:スーパーマリオ64のパワースター)』というユーザーライクな措置をとらず、『何十枚もあるものをすべて回収せよ』なのか?」と疑問に思った人もいるかもしれないが、『ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書』にて堀井雄二氏が語った所によると「石版を使って自由にマップを作れる」という自由度の高いシステムが初期案だったとのこと。
    • つまり元々は「揃えなくても先には進める」予定だったので救済措置も必要なかったのだが、いざ製作すると自由度のせいでストーリーが破綻してしまい、システムのほうが形骸化されて現在の形になってしまった。
  • こうした収集難易度の高さ・作業量の膨大さからシナリオの進行を阻まれるユーザーが続出。ひいてはユーザーが本作のクリアを断念するに至る最も大きな要因のひとつと言える要素となってしまった。
  • 一方で、元々街やダンジョンをくまなく探索し尽くして宝探しを楽しむプレイスタイルのユーザーからは「石版集めはそれほど苦労しなかった」という意見も存在した。
    • 本作の石版集めの問題点は、100万人規模のユーザーを擁する国民的RPGにおいて、そうした徹底探索型のプレイスタイルを全てのユーザーに強要してしまった点にあるとも言える。

キャラクターの入れ替わりに関する諸問題

  • 本作のパーティメンバーは基本的に4人で、ストーリーの進行と共にメンバーが抜けたり入ったりするが、中には唐突に離脱して二度と戻ってこない者や、長期離脱するために戻ってきた時には戦力外になってしまう者がいる。
    自由なメンバー交代は終盤に入ってようやくできるようになるが、パーティ人数4人に対してプレイヤーキャラ5人と中途半端。しかもパーティーから外れた1人は経験値や職業熟練度が入らないため、どんどんお荷物になっていく。積極的なメンバー入れ換えを促すには、会話システムの牽引力だけでは力不足の感が否めない。
    • 元々は4人固定パーティのシナリオであったところにマリベルを後付けで追加したため、このような事態になった模様。
+ プレイヤーキャラの離脱・加入に関する詳細(ネタバレ注意)

問題の人物とはキーファとマリベルである。

  • 初期メンバーの1人である主人公の幼なじみ・キーファは冒険心に溢れ、堅苦しさを嫌う一国の王子。冒険の言い出しっぺでもあり、戦闘能力も優秀な頼れる存在だが…
    • なんと比較的序盤から「出会って数日の女に惚れたので、その部族の守り手になる」という理由で、仲間も家族も祖国も捨てて唐突に去ってしまう。そのあまりに衝撃的な別れはプレイヤーを唖然とさせた。
      自分から主人公を巻き込んだ冒険を自ら放棄、国を継ぐ責任も放棄、家族のフォローも主人公に丸投げと去り方があまりに無責任な上、彼が抜けた直後が先述のダーマ編で肝心な時に戦力が減る*17……と、プレイヤーの心証をすこぶる悪くする去り方であった。キーファ離脱後は、難所である海底神殿をクリアするまではしばらくの間3人パーティが続くことになる。
      • ステータスを上げる「種」も最終的に無駄になることから一部のプレイヤーから「種泥棒」と揶揄された。
    • フォローしておくと、離脱を予め予感させる材料が全く皆無というわけではなく、以下のように多少なりとも予期させる点は存在している。
      • 前作『VI』では呪文が使えないハッサンも転職を見越してMPが成長していたのに対しキーファはそれがない(「MPの成長が一切ない=いずれ離脱する」とそれとなく察知することは可能)
      • 序盤でとある場所にいる占い師にキーファを先頭にして話しかけるとその後の離脱を暗に仄めかすような会話をする。
      • 過去のフォロッドのゼボットやグリンフレークのペペなど、恋愛絡みの事件で後悔している人物をシナリオで事前に配置する、そして離脱前夜にキーファが「主人公と同じく自分にしかできないことを俺もやっと見つけた」と語るイベントがあるなど、多少の不自然さは感じられるものの、キーファの変心を段階的に見せる作劇がきちんとなされている。
      • しかし2つ目以降については離脱に纏わる要素だと察知し辛いため、実質的には上述のキャラのスペックの不自然さくらいしか手掛かりがない。
    • 30周年記念特番ではこの件について触れられた堀井雄二氏が「ドラマに切なさを出したかった」「いろいろなものを与えてから別れられると辛いからなるべく早く離脱するようにした」と述べている。
      • 確かにゲームがはるか先に進んだ時点での離脱では却って問題になるので早めに離脱させること自体は配慮としてはおかしくない。
        問題なのは「離脱を察知させる要素と戦力面でのフォロー不足」と「離脱キャラに纏わる描写の仕方」であるため、そこにもっと配慮していれば評価はまた違っていただろう。
    • ただし、誰に種を使うかは完全にプレイヤー次第であるため全てのプレイヤーが種を使って損をしたわけでもなく、全てのプレイヤーが彼の言動に嫌悪感を抱いたというわけでもない。
      上述の「部族の守り手になる」という動機にしても、あくまで「そうすることが自分の果たすべき役割(=自分にしかできないこと)だと自覚したから」という流れの上でのことであり、「ただ惚れた女のためだけに全てを放り出した」というわけではない。
      キーファに対する評価については風評が独り歩きしている側面も否めない点には留意すべきだろう。
  • 初期メンバーの1人・マリベルは中盤の3地方クリア後に長期離脱し、Disc2まで戻って来ない。こちらは転職後かなり経ってからで、育て方次第では相当の戦力ダウンになる。
    • 高い素早さとMPを活かした魔法のスペシャリストとなりやすい存在なのがかなり痛い。先述の通り、離脱直後に戦うボス「ヘルクラウダー」が今作屈指の強敵であり、初見者が突然の離脱に対応しにくい点も大きい。
    • ダーマ以降の参戦期間で見ると後に加入するメンバーとほぼ同じかより長いが、全体攻撃呪文の黄金期に離脱し、特技主体のパワーゲームと化した終盤に戻るため、復帰直後のマリベルはことさらお荷物に感じられてしまう。
      • ただし、彼女が離脱する理由は「父親が倒れて冒険どころではなくなった」という誰しもが納得できるものであり*18、彼女が後で戻ってくることや、マリベルが抜けた分をメルビンでカバーできる点、離脱後にすぐ加入するアイラが即戦力になりえることなどから、キーファに比べ批判の声は少ない。
  • 本作はNPCの加入総人数が歴代ぶっちぎりの最多だが、その度に仲間加入時のMEが、戦闘員・非戦闘員を問わず流れる。
    • 正規メンバーや重要なNPCだけでなく、ほんの一瞬だけ加入するような非戦闘員NPCまでのべつ幕なしに流れ、実に30回近く聴かされる事になる。
      • 最終的にパーティメンバー候補が5人となった後、居残りの1人を機械的に入れ替えるときにまでこのMEが流れる。
    • 過去作では、このMEは物語に深くかかわるメンバーの加入時にほぼ限定されていたため、流れまくるために特別感も薄れている上、その都度キャンセルできない操作不能な時間が続くためテンポも悪化している。

一部のムービー映像の質が低い

  • 特に『神さま復活』シーンの踊りのムービーが悪い意味で有名で、「表情の動きがない」「脇にシワが寄っている」など作画崩壊しており『恐怖のムービー』などと揶揄された。
    批判も多く「ドラクエにムービーを入れてはいけない」と評され、ネット上を中心に長い間ネタにされ続けている。
    • 後の『IX』などではムービーをトゥーンレンダリングアニメで作ってあるあたり、本作での反省が活かされているようである。
      • ただしすべてのムービーが低品質なわけではなく、人物が一切出てこないティラノス復活のムービーは特に不評ではない。
    • 鳥山明氏の絵に無理に寄せた結果かとも言われたが、同氏の絵のゲームにおける3D化は既に『トバル』シリーズで実現しており、こちらのオープニングムービーも完全3DCG映像である。
+ 参考動画

調整不足が見られる雑魚戦のバランス

  • 今作の雑魚モンスターは何故か「メラミ・バギマ等の中級攻撃呪文」「火炎の息・氷の息の2種類の中位ブレス」を使ってくる敵が非常に多く、物語中盤以降はエンディングまでほぼ全編を通してこれらの攻撃を使われ続ける。
  • 今作で最上位の攻撃呪文を使う雑魚が現れるのはなんとラストダンジョンが初*19。後者2つのブレスに至ってはラストダンジョン内の雑魚も平然と吐いてくる有様。
    • ストーリーが進みこちら側のHPが上がったり属性耐性を持つ防具が充実してくれば、上述の中級呪文・ブレス程度は痛くも痒くもなくなる。Disc1終盤の頃にはダメージはほとんど気にならない値になっているだろう。
  • 雑魚敵の危険な攻撃はこの他にも様々なため一概には言えないものの、この調整のあおりを受けて、これらの呪文・ブレスが登場し始める物語中盤の「海底都市」「プロビナ山洞窟」辺りのダンジョンは雑魚戦の難易度が高く、その後は長らく右肩下がり、最上級の強力な呪文・特技が飛び交い始めるラストダンジョンでようやくまともな難易度に戻るという、全体で見るとやや歪なゲームバランスになってしまっている。
  • シリーズにおいて、雑魚敵が最上位呪文を使い始めることには「それだけ物語が後半に差し掛かった」という一種の雰囲気作りを担っている面もあったため、ゲームバランス面以外にも悪影響がある。後半の恐ろしいモンスターのカッコいいモーションから繰り出される攻撃が貧弱な中級呪文では盛り上がるものも盛り上がれない。
    • ちなみに前作『VI』ではラストから3つ前のダンジョンにベギラゴン使いが、前々作『V』では後半に入って間もなくのダンジョンにベギラゴン&バギクロス使いが出現する。
      • 本作を含むシリーズ伝統の仕様として、敵が使う攻撃呪文はこちらが使うものより若干威力が下げられているのだが、そういうバランス調整が出来るのなら尚のこと早めにお披露目してもよかったのでは…。
  • なお、ボス戦に関して中盤辺りから早々にメラゾーマやバギクロスといった最上級呪文が使われ始める。

職業育成のバランスにおける新たな問題

  • 前作で「調整が甘くゲームバランスが悪い」と批判されがちだった職業システムに対して、本作で行われた調整の結果、前作とは違う面で育成しづらくなったところが見られる。
    • 強力な呪文・特技の習得レベルが上がったので、熟練度上げの手間は全体的に前作より増えた。
      • たとえば「魔法使い」なら前作で猛威を振るった「メラミ」の習得が★1から★5になり、とりあえず全員に習得させる安直な「火攻め」テクニックへの対策となった一方、火力不足・低耐久により低職業レベル域での通常運用が難しくなった面もある。
    • 1つの職業で得られる呪文・特技の習得できる数が減った。戦士は6個→4個、賢者は14個→8個など。新規追加されたモンスター職は下級職だと習得特技が4個程度しかないものも。
    • 馬車のように戦闘不参加で経験値を獲得する方法がなく、笑わせ師や羊飼いなど、ステータス補正が劣悪な職業に就き弱体化した仲間を育てにくくなった。
    • 職業が増えると同時に特技の総数は増えたが、結果的に互いに性能が重複する技や、習得の手間に見合った実用性がない「死に技」も増えた。
      • 「アストロン」の劣化である「ノアのはこぶね」、習得方法の関係上、覚える頃には全く同じ性能の特技を確実に既に覚えてしまっている「さざなみの歌」など。
  • 「拠点である始まりの地を経由して複数の世界を行き来する」という形式のため、石版世界の中で職業をマスターしてしまうと一度帰還しなければ以降の職業熟練度が無駄になってしまう。
    • 同じシステムの『DQVI』でも存在していた問題ではあるが、こちらではいちいち転職のために現代世界へ帰還するというのがテンポが悪く目につきやすい。ただでさえ本作の職業熟練度溜めは面倒なのに、余計に面倒臭さを増している。
      • この辺りは、『ファイナルファンタジー』の『3』や『5』のように好きなタイミングでキャンプメニューから職業(ジョブ)を切り換えられるシステムの方が戦闘回数を無駄にせずに済むのでなんとかして欲しかったものである。
      • ダーマ神殿での転職に特別な感じを受けるのでそちらのほうが好きだという人も珍しくないが、職業強化の観点では不便でしかない。
  • 「最上級職」は勇者・ゴッドハンド・天地雷鳴士と3種類あるが、ゴッドハンドの優秀さが目立つ。他2つと比べ必須職業の数が少なく就きやすい上、強力な攻撃特技と回復呪文、優れた能力補正を併せ持つ。
    • 当然他の職業はゴッドハンドにないメリットがあり、最速でゴッドハンドになろうとすると全体攻撃手段が不足する、といった面はあるが、それでもなりやすさと強さのバランスは他の職業から抜きんでている。
  • モンスター職は面白い要素ではあるのだが、様々な点でハードルが高く、モンスター職で冒険すること自体がクリア前ではかなり困難。
    • 転職に必要な「モンスターの心」というアイテムは宝箱から手に入る数は少なく、モンスターのドロップ、カジノの景品*20など全体的に入手条件が厳しい
      • モンスター上級職は下級職を極めることでも転職できるが、下級職や最上級職の心の中には低確率のモンスタードロップ限定品が存在する。運に左右され、相当な時間を要することもある。
    • また「どのモンスターの職が存在するか」「どのモンスター職を極めるとどの上級職に就けるのか」といった情報がゲーム中になく、上級職になれる下級職の組み合わせも予測は不可能。「おどる宝石とフライングデビルでヘルバトラーになれる」など誰がわかるのだろうか。
      • ダーマ神殿で転職できるようになっても、更にある時点までストーリーを進めないとモンスターは心をドロップするようにならない。ドロップ限定の心を落とすモンスターの中にはこれより前のエリアでしか出現しないもの*21もあり、知らなければこれらの職業に就く機会がない。
    • モンスター下級職はステータス補正が極端に低く、就くこと自体がためらわれがちなうえ、習得特技も1つの職業あたりの個数が少ないうえ他職業との重複が多く、マスターするのに必要な熟練度も高いなど、それ自体に就くメリットは少ない。
    • 一方でモンスター上級職・最上級職はかなり強力で、人間職では不可能な呪文・特技への耐性や独自の特技*22が得られ、マスター特典では耐性の更なるパワーアップもある*23。エビルエスタークやプラチナキングは特に強く、下級職時代からの苦労に見合った価値がある。

前作で指摘された呪文・特技のバランスの悪さが未解消
前作『VI』でも同様の問題を指摘されており、根本的解消に至っていない。
この全体像についてはSFC版『VI』の記載内容とほぼ同様のため、そちらを参照されたい。

以下、今作での問題点を記述する。

  • 早期に習得できる強い特技やMP不要の強力な特技が新たに追加された。
  • 前作での「低い職業レベルで覚える一部の技が異様に強い」という批判を踏まえてか、前作で強力とされた呪文・特技の仕様や習得職業レベルが大幅に変更された。
    • 「せいけん突き」は威力低下+耐性を持つ敵が増加したため立場が悪化、「変身」はプラチナキング職限定のせいで活用機会がほぼない、等。
    • しかし、結局その代わりとなる「どとうの羊」「つるぎの舞」などの有用な特技が新たに追加されたり、一部の既存特技が強化されたりしたため、根本的解決に至らなかった。
+ 強力な特技の例
どとうの羊
「ひつじかい」という一見弱そうな職業をマスターすると習得。早い時期に習得可能。
レベルに依存して威力が上がる無作為の4回連続攻撃。一撃のダメージが大きく、敵が1体の場合はヘタな前衛職を上回る火力を誇る。ただし、ラスボスを除くボスの多くはこの特技にある程度の耐性を持っている。
つるぎのまい
通常攻撃の0.7倍の威力で4回連続攻撃。戦士と踊り子の職歴技と早期に習得可能でありながら、上級職のバトルマスターで習得する「ばくれつけん(ダメージ倍率は0.5倍)」を超える威力。
対象はランダムだが、4回とも同じ敵に命中すれば1ターンで通常攻撃約3回分と非常に高い火力が出る。装備している武器の特殊効果(まどろみの剣の「眠り」など)も回数分発動判定がある。 前作で猛威を振るった「せいけんづき」は強力とはいえ活かすには攻撃力の高いキャラで低耐性の敵を狙う必要があったが、本作ではこの特技で非力なキャラでも簡単に高火力を出せてしまう。
いなずま
敵全体に約45のイオ属性ダメージ。魔法使い+船乗りの職歴技で習得が容易でありながらMP消費なしで十分な火力を持ち、耐性を持つ敵が少ないことから、序盤~中盤前半の呪文のお株を完全に奪った。
しんくうは
前作同様、敵全体にレベル依存のバギ属性ダメージ。耐性を持つ敵が多いとはいえ高火力で、中盤後半以降の雑魚戦でいなずまに代わって呪文のお株を奪った存在。前作でこの特技唯一の欠点だったエフェクトの長さも解消されている。
  • 一応補足しておくと、職歴の判定仕様(後述)もあり、「いなずま」は前情報無しの初見プレイでは気づきにくい特技である。
    • 「つるぎのまい」と「どとうのひつじ」は説明書に習得方法が明記されているものの、踊り子、羊飼いというパラメータ補正が悪い地雷的イメージのある職業への転職が必要なため、その強さを知らなければ習得させようという気になりにくい……のだが、途中加入するアイラが「踊り子マスター、戦士★3」という「つるぎのまいを覚えさせてください」と言わんばかりの職歴で仲間になるため、とりあえず覚えさせて使ってみて、強さに気付いた人は多かった。
    • これら含めて大半の職歴技は上級職と無関係な組み合わせでないと習得できないため、上級職になるのが遅れるというネックもある。
  • 逆に、攻撃呪文の利用価値は前作以上に薄くなってしまった。
+ 攻撃呪文の不遇さ
  • 初級呪文
    実用的なのは最序盤のマリベルの「メラ」のみ。それも武器攻撃にすぐ追い抜かれる。他の呪文は、自由に使える頃は既に中盤に差し掛かっており完全に力不足。
  • 中・上級呪文
    メラミ、イオラは習得が遅くなったとは言えまだ使いどころがあるが、上級呪文は前作で唯一活用しやすかったベギラゴンの習得が大幅に遅く(魔法使い★8→魔法戦士★7)なり、イオナズンは最速で賢者を目指して習得すれば十分活躍できる……のだが、キャライメージから大半の人が賢者を目指すであろうマリベルが、よほど職業熟練稼ぎをしないかぎり覚える頃に離脱してしまう罠。そして復帰する頃には物足りない。他はほぼ全てが覚えた時点で力不足。特技の強さとのバランスが全く取れていない。『V』『VI』では攻撃呪文にとって最後の砦とも言えた「山彦の帽子」をもってしても特技にかなわない場合も多い(たとえばメラゾーマ2発よりアルテマソード1発の方が強い)うえ、「山彦の帽子」自体入手が最強の隠しボスを倒した後限定のため、そもそも活躍の場がない。
  • 「職歴」での特技習得は、2つの職業で連続して条件を満たす必要がある。転職直前に就いていた職業以外は勘を忘れてしまう為、間に別職業を挟まず再びその職業に戻らないと条件を満たせない。
  • 尚、堀井雄二氏は「職歴システムは前作の究めると最終的にどのキャラも同じ様なタイプになるという問題を改善するために導入された」と発売当時のインタビューで語っているが、結局の所職歴技も究めると全ての技を習得できるため、やりこみプレイヤーにとっては結果的に手順が多少複雑になっただけで根本的解消には至っていないとも言える。

収集要素が面倒

  • 移民の町の住人集めがひたすら作業的である
    • 移民を集める方法は「現代の宿屋や教会などに入った際、ランダムで出現するNPCに話しかける」というもの。NPCの出現率はかなり低く、確実に会うにはひたすら何度も同じ部屋を出入りしてロードを繰り返す行為が必要で、単純作業感が強い。
      • 移民となるNPCは住人の数が増えるほど出現率が下がる仕様であり、終盤にかけて作業感が増す原因になっている。
    • 農民や家畜、神父やシスターなど特定種の移民をそろえることで「特別な町」を作ることもできるが、移民はただでさえ出現の確率が低いうえ種類は完全にランダムのため、選別の手間は非常に大きい。
      • 「特別な町」にはそこでしか買えない最強クラスの装備品が売られており、やりこむ上では避けて通りにくいものとなっている。
      • 「特別な町」を作る窮余の策として「同じセーブデータを何個も増やして移民を交換する」のが唯一の確実な方法だが、それこそ作業以外の何物でもなく、1つの町に同じ住民のクローンが蔓延る異様な光景となる。
  • 「モンスター図鑑」の利便性が悪い
  • 本作から実装されたモンスター図鑑システムだが、初出システムなだけあって機能性やUIはかなり不便。
    • なんと言っても目次ページが存在しない点が大変面倒。最初の「No.001:スライム」から1ページずつめくっていかなければ読み進められない*24ため、ゲーム中盤のモンスターは参照するだけでも非常に時間がかかる。コンプリートを目指す際の穴抜け確認も一苦労。
    • ボスモンスターは何故か全体の半数ほどしか図鑑に載らない。地味な中ボス達はまだしも、シナリオ面・戦闘面の両方で印象的なダーマ編の大ボスが載らないなど選出基準もよく分からない。
    • ドロップアイテムの欄は実際にドロップしたことがなければ掲載されないため、有用なアイテムを持つモンスターを確認して狩りに行く…といった「図鑑」的な使い方ができない。このため今作の図鑑は情報量に乏しく、実際のところほとんどコレクション要素である。
      • コンプリート特典を入手するためにはドロップアイテム欄までは埋める必要は無いが、本作の敵のアイテムドロップ率は最序盤の敵を除きほぼ全員が1/64以下であるため、この欄まで埋めた完璧な図鑑完成は非常に困難。
    • モンスターのアクションは最初は1種類しか見ることができず、増やすには倒した匹数を稼ぐ必要がある。2種類のアクションを持つ敵は20匹、3種類の敵は50匹、4種類だと90匹…とノルマがどんどん上がっていく。
      • 当然、1体しか倒せないボスモンスター達は1種類のアクションしか見ることができない。しかも何故かその1種類に限って地味な通常攻撃のアクションばかり選出されているのも残念。
  • これらの問題点は作品を追うにつれて改善・改良されていく。次作のPSリメイク版『IV』では目次が追加され、アクションは最初から全て見ることができ、ドロップアイテムも20匹倒せば載るようになった。『VIII』ではモンスターの系統・生息地での索引や、個別の解説文も追加されている。
  • 「モンスターパーク」のコンプリートが難しい
    • 全280種のコンプリートは並大抵の手間ではなく、挑戦するには尋常でない根気が必要。
    • 中盤でパークのイベントをこなした後は一定確率で戦闘後にモンスターが起き上がりパークへ勧誘できるようになるのだが、何もせずに戦って自然に起き上がる確率は非常に低く、エンディングまでに集まるのは精々2~30体が関の山。
      • 本格的に集める場合は上級職である『魔物ハンター』で覚える特技「まものならし」を戦闘中に対象のモンスターに使い、起き上がる確率を上げてから倒す作業が必須となる。
    • UIも劣悪そのもので、勧誘済のモンスターを確認する方法は宿舎の管理人に話しかけ「現在パークにいるモンスター一覧を表示させる」方法のみ。モンスター図鑑のNo.と照らし合わせて勧誘が抜けている穴を確認…といったことは不可能。
    • 一応、本作の全ての雑魚モンスターはラスボス戦直前の最終段階でも出会うことが可能なため、過去作のような期間限定モンスターの存在によりコンプ不可能になる心配はない。
  • モンスターを勧誘しても『ドラゴンクエストモンスターズ』や『V』『VI』のように一緒に戦えるわけでもなく、パーク内でNPCとして話せるのみ。1体につき3パターンのセリフが用意されているため人によっては楽しめるかもしれないが、面倒さに見合ったやりこむ動機に欠ける。
    • 全280種類を揃えると、特徴の項でも述べたように強力なアイテムをもらえる。ただその頃には既にこちらは十分過ぎるほど強く、実用的価値については微妙。
    • モンスターパークで得られる物的な報酬はこのコンプリート特典アイテムただ一つのみ。当然ながら全てのモンスターと遭遇できる段階にならないと何も得るものが無い、相当に極まったやり込み要素である。
      • ちいさなメダルのように「○○体集めるごとに報酬」というシステムがあればストーリー攻略と並行して集めていくモチベーションにもなったのだが…。
  • 「移民の町」「モンスターパーク」のいずれも「ちいさなメダル」のようにシナリオ進行のついでにやり込めるものではなく、本格的に取り組むには本編を放置する必要があり、内容が単純作業に近いなど、少々練り込み不足と評されやすい。
    • 特に「移民の町」の方はメリットが大きいだけに尚更不満が溜まりやすい。リメイクではこの両者が大幅に改善されている。

隠しダンジョンへの石版の取得に収集・寄り道要素が必須

  • 本作の隠しダンジョンへは過去世界と同様に石版を集めることで行けるようになるのだが、そのための石版の中には入手手段が「ちいさなメダルの景品」「カジノの景品」「最終段階まで発展した移民の町の宝箱」といった収集・寄り道要素に関わるものもある。
  • 過去作ではちいさなメダルやカジノはあくまで利用することで冒険を有利に進めるようになるおまけ要素的な存在であった。いくら隠しダンジョン自体がクリア後のおまけ要素とはいえ、こうした要素の利用を強制されてしまうのはプレイスタイルを縛ってしまっている。
    • 一応、カジノの景品はゴールドによるコインの購入でも済ませられる程度の少額の交換枚数であり、移民の町も人数を集めるだけで済むためほとんど苦労は要さないのだが、ちいさなメダルだけは結構な累積枚数を要求されるため、探索をそこそこにサクサク進めてきたプレイヤーにとってはかなり大変。
      • 今作では時期を逃すと取れなくなるちいさなメダルがいくつかあり、後から集めるのが大変なのも難点(一応、それらを全部取り逃しても石版の入手には足りる)。

あるアイテムの入手方法が奇想天外な方法に設定されている

  • ネタバレ防止のために詳細は書かないが「限られたタイミングで、壊れた状態のあるアイテムを特別な宝箱に封印し、ゲームリセット後にそのセーブデータで再開」することで、アイテムの時間を巻き戻して修復できるというもの。
    • 何のヒントも無いままこのような方法に気付くのは中々難しく*25、情報がなければ多くのプレイヤーが取り逃してしまう。
      • 非常に有名なネタなのでネット普及率がまだあまり高くないにもかかわらず普及したが、このような技を仕込んだことは不親切であるとみなされることも多い。

バグ

※これらのバグは後期出荷版ではあまり発生しません

  • フリーズが発生しやすい。しかも場所やシチュエーションを問わず
    • 「過去のフォロッド城でからくり兵が攻めてきた時にフリーズする」という報告が多数寄せられたことから、「からくり兵バグ」という名称が生まれた。
    • 同じ世界でボス「デスマシーン」を倒すとフリーズするという報告も多々あり、こちらは「デスマシーンバグ」と呼ばれた。デスマシーンは序盤におけるかなりの強敵であり、2連戦ということもあり、倒すのに時間もかかるボスであったため多くのプレイヤーが涙を飲んだ。
      • しかも、戦闘後にデスマシーンが「キノウテイシ…」と言った後にフリーズするというタイミングの良さ。「狙ってやったんじゃないか」という邪推までされた。
    • 他にも「ルーラで飛んだまま降りてこない」「戦闘が終わった瞬間にブラックアウト」など、報告例は数知れず。
    • なお、これらのフリーズは後に発売された廉価版では激減し、ついでに細かい各種バグも修正されている(PS one Books、アルティメットヒッツ)。それでもいくつかフリーズ報告はあるものの危険性はかなり違うので、新しく買う場合はこちらを。
      • ちなみに発売時期の関係で、フリーズ多発のものは「エニックス」名義、廉価版は合併後の「スクウェア・エニックス」名義になっている。見分ける際の一つの目安としてどうぞ。
  • 他のバグ
    • 「Disc2で一時期使えなくなる魔法のじゅうたんがDisc1でもなぜか使えなくなってハマる」「砂漠地方で過去の世界に置いてきたはずの学者がなぜか現代の元いた場所にもいて、話しかけるとハマる」「山奥の塔でスラっちを仲間にせずに扉を開けて最上階に行くと妙な事が起きてハマる」……など、進行不能になってしまう状況が多い。最初のものは発生する条件が不明なので特に回避が難しい。
      • これらの致命的なバグはやはり廉価版では修正済。
    • 「とうぞくのはな」や「レミラーマ」が、店の中等の絶対に取れない宝箱にまで反応してしまう。このため、隠し通路があるのではないかと考えたプレイヤーもいた。
      • 実はわざわざ反応するように設定されている模様のため、バグではなく意図的にこうしているのかもしれないが、余す事無く宝を回収したいプレイヤーにとっては不親切な仕様である*26

総評

シナリオ全体としては世界を解放して広げていくという冒険感溢れるストーリー展開となっており、そこで語られる「必ずしもハッピーエンドで終わらない」個々のシナリオも、重さと暗さを多分に含んだ内容に賛否はあれど、印象深いものや評価の高いものは多い。

一方で、石版集めに苦労させられたり必須イベントがあまりにも多すぎたりしたことから、作業量の多さに音を上げてしまったプレイヤーが多かった。
また、やり込み要素がたくさんある反面、それがストーリーの攻略に少なからず必要な局面があることもプレイヤーを挫折に追い込む一因となった。
大ボリュームや重い展開からハマる人は非常にハマる一方で、保守的路線・王道路線を貫いているドラクエシリーズの中においては極めて異端・異質ともいえる作風に加え、莫大な手間と時間を必要とするゲームデザインから大きく賛否の分かれる作品である。


余談

+ 前述のプレイヤーキャラの離脱に関する余談(ネタバレ注意)
  • 前述のキーファの離脱についてだが、Vジャンプの攻略本では終盤のダンジョンのページにキーファがパーティの一員となっている写真があったため*27「またパーティに戻ってくるのではないか」と多くのプレイヤーが誤解し、裏技があるなどといったデマの流布や掲示板での論争を招く事態となった*28
    • ちなみに本作の装備品にはキーファ+αが装備できるが、入手時にはキーファがおらず、αのキャラもそれよりもっと強力な装備が手に入るのでまったく役に立たない装備品がちらほら存在する(くさりがま、おおばさみなど)。
  • 「アイラにキーファに使った種*29の効果が継承される」というウワサがあるが実際はデマ。こうしたデマが出回り、信じられてしまうほどにキーファが抜けたショックはプレイヤーにとって大きかった。
  • 本作は当初ニンテンドウ64で出る予定だったとされている。同ハードの周辺機器「64DD」を活用し、石版による複数の世界とそれぞれが独立したシナリオはこれによるディスクによる書き換えシステムに対応したものだろう。PSらしからぬグラフィックも64向けと言えば合点がいく。
    • だが、PSが『FFVII』の成功などで一気にメジャーハードに躍り出たことにより、ハードが変更されることとなった。その関係で延期に延期を重ねた作品になっている。
      • ただし、明確に「ニンテンドウ64でドラクエ7が開発されていた」と公式が明言した情報源が挙げられておらず、あくまで確実なのは「堀井雄二氏がN64でDQを作ろうと考えていた」までに過ぎない。
  • 本作の5ヶ月前の3月に後継ハード「プレイステーション2(PS2)」が発売されたものの、ソフト面では本作が話題をかっさらった一面が強くローンチタイトルは元より2000年内に発売された専用ソフトの中でミリオンセラーのソフトは1本も出なかった(初ミリオンは翌年発売の『鬼武者』)。
    • その一方でハードそのものはDVD再生機能を有するためアメリカ映画「マトリックス」のDVD見たさに怒涛のような売行きを記録した(DVDプレイヤーは5万円超の時代だったのでPS2の39,800円は破格)*30
    • PS2はPS1に対して後方互換性があるため、プレイヤーの多くは買ったばかりのPS2で本作をプレーしたと思われる。ただしあくまでもPS1のソフトであるため本作のロイヤリティはPS2には含まれず、上記の通りPS2はローンチをはじめとした専用ソフト売上に悪影響を及ぼしたこともあり結果的に2000年のSCEは511億円の赤字を叩き出している*31。また同年はPS2のソフト売上本数全部合算してもハードの売上台数に届かないという珍記録も打ち立てた。
  • Vジャンプでの事前情報が一時期堀井雄二氏の手から離れてエニックスチェックになった時に、情報が出過ぎて堀井氏が抗議した事がある。
    • これが発売延期に影響したと言われるが、これについては堀井氏自身が否定している。
    • なお、この発売延期がまだライバル会社だったスクウェアのFF9に影響している*32
  • ドラクエファンだったレベルファイブの日野社長が、石版システムの不満をエニックスに直接出向いて訴えた。これが後に『VIII』の開発に携わるきっかけとなる*33
  • 幼少期のキーファを主人公にしたスピンオフ作品『ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート』が発売された。本作は、エニックスブランドでの最後の作品でもある(その後に合併しスクウェア・エニックスとなった)。
    • 上述のフォズ大神官も『キャラバンハート』に登場している。
  • 関連作品として、藤原カムイ氏による漫画版や土門弘幸氏によるノベライズ版がある。
    • 漫画版はオリジナル要素もいくつか含んでいるが、完結されることなく打ち切りエンドとなった。
      • 作者曰く「打ち切られたというより打ち切った。すでに完成されたものに対してオリジナル要素を加えることに異常な拒否反応を示す向きの方もおられるのも確かで、そうした煩わしさから逃れたい気持ちがあったから」とのこと(ただ、肝心の設定面にファンにとって受け入れがたい側面が多かったのも事実)。
    • ノベライズ版は過去の『小説ドラゴンクエスト』に比べるとゲームの設定や進行に忠実な内容となっている。四六版は入手困難だったが、2004年4月28日に新書版が発売され比較的入手しやすくなった。四六版の挿入絵はいのまたむつみ氏、新書版は鳥居大介氏が描いている。なお、本作以降シリーズのノベライズはされていない。
      • 『V』のノベライズとほぼ同じ文章量だが、本作の分量の莫大さもあってか中盤以降半分近くの石版世界は省略されており、一部重要エピソードが丸々カットされている。他、終盤の展開などが独自の路線になっているが、大幅な分量を使ったダーマ編が白熱の内容となっていたり、終盤展開でのなんとも言えない不吉な感じが上手く出ていたり、ラスボスに独自設定が追加されていたり、前述の「エスタード島が封印されなかった理由」などが説明されており評価は高い。
      • 「個々のシナリオの完成度は高いのに、それを味わうためのシステム周りが不親切」という本作の評価の一面を表しているとも言える。
      • 小説版ドラクエお馴染みの独自カップリング要素もある。
      • 余談の余談ではあるが、かのレブレサックは後味の悪さもあってか丸々カットとなっている。にもかかわらず、レブレサック編のボスのボトクは「魔王軍のナンバー2」と言っていい重要な役に抜擢されており、何度も主人公たちの前に現れ、決着が付くのが最終決戦直前という、ゲームでのネタにされるほどの弱さが嘘のような扱いの良さである。
  • 本作をもってドラクエ関連のキャラクターアートやコンセプトアート、攻略本等におけるアイテムイラスト等がCG塗りに移行した。
  • 2013年2月7日にはニンテンドー3DS版が発売された。
    • この3DS版のコンセプトは「全員終われるドラクエVII」と、PS版の反省を込められている。
  • 2016年6月に発売の3DアクションRPG「ドラゴンクエストヒーローズII 双子の王と予言の終わり」にて、マリベルとガボが出演。二人が主役となるクエストも配信。
  • 本作PS版のCMにSMAPが出演していたが、今作をきっかけに『X』まで出演することとなった。
  • 本作PS版のCD-ROM読み込みストレス解消の仕組みを作った山名学氏は『IV』でAIを作っている。派手さは無いが欠かせない重要なシステムに絡んでいる人物である。
  • 2001年にはアメリカで『DRAGON WARRIOR VII』というタイトルで発売された。
    • SFC時代の『V』『VI』は海外展開されなかったため『IV』から2つ飛ばしのナンバリングとなった。
    • PS版『DW4(DQ4)』が発売中止となり、次作『VIII』からはTRPG『DragonQuest』との版権問題が解決したのか海外でも『DRAGON QUEST』のタイトルで発売されるようになったので、本作が最後の『DRAGON WARRIOR』タイトル作品となった。

+ タグ編集
  • タグ:
  • ドラゴンクエストシリーズ
  • スクウェア・エニックス
  • エニックス
  • ハートビート
  • アルテピアッツァ
  • PS
  • 2000年
  • RPG

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月14日 09:43

*1 廉価版で付与されたレーティングを記載。

*2 後に『ポケモンコロシアム』を作ったジニアス・ソノリティと社長が同じ

*3 PS2版『V』や『オプーナ』を作る

*4 背景のみ3Dになっており、技や呪文の演出に応じてカメラが動く仕掛けがある。

*5 DS版ではソフト側での自動削除が復活しており、セーブ枠が1つしかない『IX』のみ、データ破損後の起動時に復旧を試みてくれる(100%復活の保証はもちろん無い上に、失敗すると例の演出が久々に入ってくるが)。

*6 3DS版は全階層で各曲調のメドレー形式の曲が流れる。

*7 実際、本作のコミカライズ版『エデンの戦士たち』ではその欠点を解消しようと努めている節がある

*8 人間の国に嫁いだホビットの姫が早世した事による関係悪化。ホビットの長老自身も逆恨みのようなもんだと認めているが、感情的に仕方ないものでもある。

*9 その中でものうのうと「私はあの魔物が神父様だって気づいてたよ!」などとのたまう輩もいる。ついでにこの人物、終始あまりに傲慢かつ自分勝手な発言が多く、レブレサックに理解を示すプレイヤーからも擁護されないケースがほとんど。

*10 ストーリーの進行上、不自然な地点に教会が存在して、中に居るNPCが「ここから先に進むのならば冒険の書に記録(セーブ)した方がいいぞ」と話すので勘のいい人やちゃんと会話を拾う人ならば「この先に重大なイベントがあるから冒険の書を残しておいた方がいい」と推測出来るのだが、救済措置として機能したかは怪しい。

*11 前作のグラコスの行動パターンは1ターンに1回行動となっていた。

*12 本作のベホイミは敵が使っても回復量が同じであるため、4桁のHPを持つ敵がたった2桁の回復をしたところで無意味に等しい。

*13 『V』のゴンズやラマダ等

*14 『VI』のズイカク・ショウカク等

*15 公式サイトのキャラクター紹介ページ(※3DS版)を参照。

*16 年齢設定は16歳のため実は「少年」という程ではない。他作品の主人公達とあまり変わらない歳である。

*17 厳密に言えば、キーファはユバール編開始して早々にパーティから離脱するため、キーファ離脱直後はユバール編であるのだが、ユバール編はボス戦も無く難易度が低いためすぐに終わり、パーティから離脱してもシナリオにはガッツリ関わってくるためユバール編で離脱しているという印象が薄く、キーファ離脱直後にダーマ編という印象になりやすい。

*18 キーファ離脱後にマリベルの父親に話しかけると「キーファのようにマリベルが戻ってこなかったら…」と不安を吐露しており、心労を重ねている。キーファの離脱が病の遠因であると言えなくもない。そしてマリベルが看病するとみるみる元気を取り戻していく。

*19 ラストダンジョンに突入可能な段階になってフィールドと海にも数体登場するようになるが、そちらは出歩く必要が無い。

*20 景品交換所ではなく前述の新ゲーム「ラッキーパネル」の景品で入手できる。ドロップを待つよりははるかに楽なのだが、出現率はやはり低く、この方法では手に入らない種類の心も多い。

*21 サンダーラットとダンビラムーチョ

*22 シリーズ最強の攻撃呪文「マダンテ」を覚えるのはローズバトラー職限定。他の魔法系職業や、『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』で習得できたにじくじゃくでもない。なぜこんな設定にしたのかと首を傾げる人は多い。

*23 ただし一部モンスター職にはマスターすると以前より耐性が低下するものがある。

*24 しかも1ページめくる度に1秒弱も要する。

*25 とは言え、特別な宝箱に関する情報はとある人物から得ることができ、全ての人物に話しかけ探索して回るプレイヤーなら、気付くのはさほど難しくはない。

*26 ちなみにチートで取ると実際の中身は空っぽらしい。

*27 初版以外ではガボ(正しいメンバー)に差し替えられている。

*28 これ以外にもかなりいい加減な内容が書かれている。メルビンが質問に答える「導きの館」のコーナーで、多くのプレイヤーを悩ませたティラノスの行方に関する質問に関して「事件に巻き込まれた」など。

*29 能力値を永続的に増強する消費アイテム。

*30 このため「PS2初のキラータイトルはマトリックスのDVD」と揶揄された。またソフト売上自体は前身機のPS1よりも下落傾向にあった。

*31 当初のPS2は販売価格が1万数千円ほど原価割れしていた。

*32 最終的に8月26日と発表された時に、FF9は発売日を前倒ししている。

*33 『ファミ通.com』2018年12月8日付記事。