シティーハンター
【してぃーはんたー】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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PCエンジン
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メディア
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3MbitHuカード
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発売元
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サンソフト(サン電子)
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開発元
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フライト・プラン
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発売日
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1990年3月2日 |
定価
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6,300円
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判定
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なし
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ポイント
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据置機ではシティーハンター唯一のゲーム化 量も質も微妙なゲーム 大量虐殺リョウちゃん
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少年ジャンプシリーズリンク
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概要
1985年~1991年に週刊少年ジャンプで連載され、TVアニメも放映された『シティーハンター』のゲーム作品。
現時点では『シティーハンター』単独の家庭用ゲームは本作のみで、それ以外の機種では一切ゲーム化されていない、ある意味貴重な存在。
ジャンルとしては横スクロールアクション。プレイヤーは冴羽リョウを操り、依頼であるステージ内のミッションをこなしていくのが目的。
1人プレイ専用、全4ステージ構造(ステージ1~3は任意でステージ順を選ぶ事が可能)。
主なルール
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ステージを始める前に依頼画面にて3つの依頼があるので、選びたい依頼(ステージ)を受けるとその依頼に沿ったステージが始まる。特に依頼の順番を変えたからといって、入手できる武器の経緯が違う以外は、後の展開に影響を及ぼす事はない。また、目標を達成した依頼は二度と選べない(残りの依頼しか受けられない)。
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3つの依頼をすべてクリアすると、最後の依頼が出現、それをクリアするとエンディングを迎える。
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ステージ開始直後にて最初の地点に後戻りすると、依頼画面に戻る事ができる。但し、当然ながらその依頼はクリアされない扱いになるので、結局は必ずそのステージをクリアする必要がある。
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十字キーにてリョウの移動操作、主に使うボタンは、拳銃などの弾を放つショットボタンとジャンプボタンの2つ。
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ショットには一切の制限弾数はなく何度でも使用可能。原作とは違い弾のリロードをする必要も無し。
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十字キー下にてしゃがみ動作(その状態でのショットは可能)。リョウがドアに接した状態でキー上にてその中に入る事が可能な他、階段に接してキーの上下にてそれの乗り降りができる。
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ジャンプはボタンの押す長さでジャンプ力が変化し、ジャンプショットも可能。ジャンプ中の移動制御や向き調整は不可である。
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SELECTボタンを押すと、今所持している武器の切り替えが可能(詳細は下記にて)。
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ショット及びジャンプ中は、動作を行う度に微小の隙(その場に止まってしまう)が発生するので注意。但し、動けなくはなるが、ショットの連射自体は可能。
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最初から選択できる依頼である各ステージでは、とあるイベントにて武器を入手できる(最終ステージは入手武器はなし)。どれも攻撃、切り替えの使用は無制限で、入手すれば次の依頼に進んでも所持が引き継がれる(ステージ後戻りでも引継ぎ可能)。入手した武器は上記にて示した通り、SELECTボタンにて切り替えを行える。以下武器の種類の紹介。
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「拳銃」 - 初期装備で、始めからどの依頼を受けようが必ず所持している。前方に連射可能なショットを放つ。
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「バズーカ」 - 連射が効かず、撃つとリョウが反動で後ずさりしてしまうが、攻撃力がかなり高い前方一撃必殺系の武器。
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「レーザー」 - やや連射が効き辛いが、敵を貫通する性能の前方攻撃の武器。
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「ロケットランチャー」 - 放物線を描くような感じで攻撃を行う武器。連射は効かないが攻撃力は高い。
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ステージ中のあちこちに存在するドアに入ると、重要キャラが先に進むためのアイテムをくれたり、ライフを回復したり、次の道のりに進んだりできる。そのドアは何度でも入る事が可能だが、フラグが成立すると前いた重要キャラが消えている場合がある。また、入る事自体ができないドアもある(重要アイテムを入手しないと入れないか、終始入れないダミードアかのいずれか)。
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このゲームではドアに入り、重要キャラからアイテムを貰ったり、頼まれたお使いをこなさないと絶対にステージをクリアできない。所謂、他ゲームに例えれば、『メトロイド』などのダンジョン探索型方式である。
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ライフ制でそれが全部なくなるとミッション失敗となるが、依頼画面に戻されるだけでゲームオーバーにはならない。実質上のコンティニュー無制限といえる。
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初期/最大ライフは全16ゲージあり、ダメージ消費は1ゲージ固定。このゲームにはイベント入手以外のアイテムが存在しない為、他ゲームのようなアイテムによるの回復手段は無い。ダメージを回復するには、「ステージ中の看護婦やもっこりギャルのいるドアに入る(出入り無制限)」「ステージをクリアする」「ステージの後戻りをする」「ミッション失敗の再トライ」のいずれかとなっている(どの方法も必ず全ライフ回復する)。
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依頼画面にてパスワード入力コンティニューができる。パスワード表示は同じ依頼画面の「パスワード表示」にて確認可能。
評価点
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概要にもある通り、家庭用機では唯一の『シティーハンター』の単独ゲーム作品である事。
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BGMはサンソフト製だけあって高クオリティ。サウンドテストが存在せず、聴き放題とはいかないのが惜しい。
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原作再現要素
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ステージ内にて、アニメでお馴染みのリョウのあの独特の走り方が再現されている。
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ドア内で発生するもっこりイベントのギャルのお色気シーングラフィックの書き込みが妙に肉欲的でエロい。リョウちゃんじゃなくてももっこりできる。
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その他に、槇村香、海坊主、野上冴子といったお馴染みのメンバーがサブキャラとして出演している。
賛否両論点
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難易度は低いのでこの手のゲームに慣れた人には物足りないが、初心者には優しいゲームといえなくもない。
問題点
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全体的にステージ構造が単調。
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どのステージも敵やトラップのバリエーションが少なく、とにかく冗単気味。
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各ステージのボスが初見でもパターンが把握できる程弱い。しかもラスボスに相当する敵がいない(厳密にいうとクリア直前に硬い敵がいるが、本当に硬いだけでボスでも何でもない)
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リョウと最後の黒幕と対決シーンは無し。何とサブキャラの海坊主が不意打ちで黒幕を倒してENDという、ゲーム的に「それでいいのか?」と思えるあんまり結末。その時のリョウのセリフが「コノヤロ! おいしい所を持っていきやがって!」である。
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全4ステージといくらPCエンジンのソフトとはいえあまりにも少ないボリューム。難易度設定や裏ステージなんてものも一切無し。
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一応は各ステージの構造は長めではあるが、攻略の順路が分かってしまうと、いともあっけなくクリアできてしまう。
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操作性にやや難あり。
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リョウは拳銃などの銃火器しか扱えず、敵に接しても格闘技などの近距離攻撃ができない。それ故に敵に接触してしまうと、変なダメージを受けやすい時がある。原作では格闘戦もお手の物だったのに…。
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また、ドアに出入りすると、画面切り替わりと同時にいきなり敵の攻撃を受けて強制ダメージなんて状態も結構あり得る。さらには、リョウを移動させると、彼の前の視界がやたらと狭く、先の状況がわかり辛い(敵や罠が見えない)事すらもある。
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タイトル画面にて「PUSH・START・BUTTON」と表示されるが、PCエンジンのゲームを開始するボタンは「RUNボタン」であり、STARTボタンなんて存在しない。
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原作との齟齬
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原作のシティーハンターは現代が舞台で、SF的要素は薄いのだが、本作には「ターミネーター風のサイボーグ」「ケルベロス風の巨大犬」「宇宙刑事シャイダーに酷似したコンバットスーツ」などの敵が出る。
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原作にも体にロケットランチャーを仕込むような敵もいるにはいたが、やはり違和感は強い。
総評
現時点で唯一の『シティーハンター』単独のゲームという点では価値はあるが、
肝心のゲーム内容はゲームの体は成しているものの微妙な出来と言わざるをえない。
その後の展開
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同年にファミコンにて東映動画から『もっともあぶない刑事』がリリースされた。
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本作と色々と共通点(ハードボイルドなキャラゲー、ピストルドンパチアクション、グラフィックの描き方など)が多く、両者は色々と比較されやすい傾向にある。もっとも、規格外なクソゲーであるあちらと比べるとまだ本作はまともではあるが。
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本作以外のゲーム化では、掲載誌主催のお祭りゲーである1989年の『ファミコンジャンプ 英雄列伝』と、2019年の『JUMP FORCE』に登場する。
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2010年、エンタースフィアからGREE向けソーシャルゲームとして『シティーハンター 100万人のスイーパー』が配信された。
余談
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説明書裏にキャラの絵が描かれているのだが、その面子がリョウ、香、冴子、槇村兄の4人である。
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海坊主涙目という突っ込みもあるだろうが、それ以上に槇村兄はゲーム中に一切出演していないのに何故わざわざ説明書裏にいるのかという謎の方が大きな突っ込みどころだろう。まぁ、確かに槇村は人気が高いキャラではあるのだが。
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原作中で、リョウが本作と思しきゲームをプレイしているシーンが描かれている。
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本作のエンディングではスタッフクレジットは一切表示されず、一枚絵と共に表示されるのはゲーム中に登場したキャラクターのキャストロールのみになっている。昔はクレジットのないゲームも多かった。
最終更新:2023年08月31日 18:52