本項ではプレイステーションソフト『スーパーロボット大戦コンプリートボックス』と、その分売・システム微調整版である
PS版『第2次スーパーロボット大戦』『第3次スーパーロボット大戦』『スーパーロボット大戦EX』を併せて解説します。


スーパーロボット大戦コンプリートボックス

【すーぱーろぼっとたいせんこんぷりーとぼっくす】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 2枚
発売元 バンプレスト
開発元 ウィンキーソフト
発売日 1999年6月10日
定価 7,140円
プレイ人数 1人~2人
備考 後に各2,100円で分売(後述)
判定 ゲームバランスが不安定
劣化ゲー
ポイント 『F』準拠の仕様になりゲームバランスが悪化
DISC2は資料として有用
スーパーロボット大戦シリーズ



第2次! 第3次! EX!
伝説の3部作が、最新システムで蘇る!



概要

入手困難なFC『第2次スーパーロボット大戦』、SFC『第3次スーパーロボット大戦』&『スーパーロボット大戦EX』の3作をプレイステーション向けにリメイクし、1つのディスクに収録したコンピレーションソフト。タイトルに『コンプリート』を冠してはいるが、当時までに発売された全てのシリーズ作品が収録されているわけではなく、入手困難な3作品をコンプリートといった意味合いである。

上記のキャッチコピーなのだが、肝心のその「最新システム」が様々な問題点を抱えていた『スーパーロボット大戦F』準拠だったため、FC版/SFC版におけるゲームバランスが歪んでしまう事態となった。

なお、3作を収録したディスク1と、収録されている3作のシナリオフローチャート等が閲覧出来るモードやボイス編集機能がある『HISTORY OF SUPER ROBOT WARS』が収録されたディスク2に分かれている。


問題点(3作共通)

はじめに

  • 本作のキャッチコピーは「最新システムで蘇る」であるが、実のところ『第3次』のパラメータに『F』のシステムを強引に当てはめただけである
    運動性以外の機体性能・武器の性能・敵機からの獲得資金に至るまで、使用できる部分はほぼ全てにおいて本作に使い回されている。
    当然、『F』と従来作ではシステム的に異なる部分が相当数存在するが、その「異なる部分」同士の辻褄合わせが殆ど行われていない。
    • これにより危ういながらも保たれていた各オリジナルのゲームバランスが崩壊。『F』とは別の方向に狂ったバランスへと変貌してしまった。
    • なおややこしいので初めに述べておくと、流用したのは『F』の「システム」であって、『F』の「バランス」ではない点に留意されたし。

基礎システムについて

  • 本作は『F』と同じ武器攻撃力にパイロット攻撃力を乗算する形となり、またパイロット攻撃力も『F』から大幅に下げられた。
    この計算式の変更と、射撃と格闘に分離した影響が合わさり、敵味方共に与ダメージが大幅に低下するという事態を招いてしまった。
    • SFC版『第3次』は、現在と違って与ダメージの基準はあくまでパイロットの攻撃力であり、武器攻撃力はそれに追従する形である。
      そのためビームサーベルやバルカン等、低威力でも高命中補正を持っていれば、最強武器と同等かそれ以上の有用武器として多用された。
      しかし今作では計算式が加算から乗算になった結果、低火力の武器ではまともなダメージを殆ど与えられないという事態が相次いだ。
      与ダメージを上げるために武器改造を施そうにも、後述する深刻な資金不足で思うように改造できない。泣きっ面に蜂である。
    • 耐久に重きを置いた結果とも言われているが、バルカンやビームサーベル等の補助武器の使い道が無くなった事は、「(EX以外は)悪化した」と原作ファンから言われても仕方ないと言える。
    • この他、回避/命中に関わる運動性を採用した事や、リソース稼ぎに重要な幸運と努力を分離した影響から、強力な機体に搭乗できないパイロットのレベルアップが非常に困難になった。Fでできていた経験値還元システムがなくなっていることも、この問題点に拍車をかけている。
    • さらには、「最新システムで蘇る」と、まるで『F』そのままであるかのような仕様を彷彿とさせる変更要素が加えられた結果、大きなインフレから大きなデフレバランスに変更されたことに気づかないプレイヤーも現れ、有効な改造や攻略法の違いからより混乱を招いてしまった。
  • 本作のダメージデフレを助長させたもう一つの決定的要素として、気力の上げにくさが挙げられる。
    • SFC版『第3次』の気力上限は200であり、武器改造ができずとも気力を十分に上げれば高火力を実現でき、被ダメージも抑えられた。
      また、敵撃墜時の上昇値は+5、気合の効果が+15であり、補給や戦艦に搭載した際は-5である等、気力上げ・気力維持がしやすかった。
    • しかし本作では『F』に準拠した結果、撃墜時の上昇値が+4、気合の効果が+10となり、補給時に一気に10も下がるようになってしまった。
      特に敵に攻撃を当てても気力が+1されなくなった事については地味ながら痛く、気力が重要なオーラバトラーには死活問題となる。
      代替要素になったであろう「激励」もごく僅かしか習得しない*1ため、3作全ての全編を通して気力不足・火力不足に苦しむようにった。
  • 本作で再構築された『第2次』『EX』も、この『SFC版第3次の数値とFのシステムで制作したPS版第3次』をベースにされている。
    • どちらも各オリジナル版に存在した遊びやすさや独自のシステム等が失われ、悪い意味で完全に異なるバランスへと変貌している。
      特にマップ兵器の性能・使い勝手はやりすぎなまでに悪化しており、それらを主力武器としたユニットは大きく弱体化している。
  • 基礎部分が『F』と同様であるため、同作のPS版で指摘された「戦闘アニメスキップ不可・ロード時間が長い」という問題点も引き継いだ。
    上記のダメージデフレで敵1機の撃墜に時間が掛かる事も相まって、1回の戦闘・1話のクリアに非常に時間が掛かるようになってしまった。

精神コマンドについて

  • 覚える精神コマンドの効果は基本的にSFC版『第3次』がベースになっており、本作のシステムに合わせた調整は殆ど施されていない。
    それどころか、精神ポイント消費量や習得ラインナップまでもが『第3次』がベース。おかげでゲーム性と嚙み合わないという事態が相次いだ。
  • SFC版『第3次』同様に多くのパイロットが「根性/ド根性」を習得する設定のままになってしまっている。
    • SFC版『第3次』は、AIが自動で敵ターン中の味方の行動を決定し、現行スパロボのようにプレイヤーが任意に選ぶ事ができなかった。
      このため大半のパイロットが、ある程度は被弾する事を前提にして、HP回復コマンド「根性/ド根性」を覚えるように設定されていた。
    • 一方本作は、敵ターン時の行動の任意選択が可能になったため、『F』ほどではないにせよ、「根性/ド根性」の重要性は下がっている。
      この影響で、「集中・ひらめき・魂*2」等の重要コマンドを習得するリアル系パイロットは『F』『第4次/S』より激減してしまった。
      オリジナル版準拠と言われればその通りだが、『F』と同じシステムを採用した以上は、それに合わせた調整は必要だったであろう。
  • 『F』『第4次』は敵ステータスの確認に専用精神コマンド「偵察」が必要だったが、各オリジナルでは無条件に確認が可能であった。
    しかし本作ではこの辻褄合わせが殆ど行われていないため、「偵察」を習得できるパイロットはごく少数に留まってしまっている。
    特に『第3次』では開始時点で誰も習得していないため、「敵のステータスを調べて対策を考える」というSRPGの基本すら不可能になった
  • 精神コマンド「激怒」がなくなっている。
    • 「激怒」は敵全員にダメージを与えると共に、待機状態を解除させる効果があり、攻撃と早解きを兼ねる要素として利用されていた。
    • これが無くなった代わりに敵を1機だけ引き付ける「挑発」が加わったものの、SFC版から変更された事に対する不満意見も少なくない。
      そもそもこの「挑発」自体、条件付きキャラクターであるリューネただ一人しか覚えない。この点で見てもやはり調整不足が目立つ。
  • 各パイロットの精神ポイントはSFC版や『F』よりもかなり少なく設定されているのに、精神コマンド消費量は『F』と全く同じ。
    おかげでパイロットによっては、SFC版よりも使用回数が大きく減少する、序盤ではまともに使う事すらできない等の事態が発生している。
    例えばSFC版のマリは、「補給」を覚えるLv24の時点で2回、終盤では3回使用できたが、本作では最終シナリオ間際でも1回しか使用できない。

獲得資金について

  • 例によって獲得資金もSFC版『第3次』の流用。これによって大量の問題点が生まれてしまう事となった
  • SFC版『第3次』はまだ武器改造の概念がなかったため、雑魚からの獲得資金が少なく、ボスや戦艦からのそれは多いという調整であった。
    一方で本作は武器改造ができる上に与ダメージが低いため、SFC版『第3次』以上の獲得資金が求められる事は普通に考えても必然である。
    一部機体のパラメータが弱体化されている事も相まって、これのせいでただでさえ高い序盤戦の難易度が大幅に上がる事となってしまった。
  • 「幸運」習得者及びその使用機会が大幅に減少、実質的にSFC版『第3次』よりも総獲得資金が下がる事になってしまった
    • SFC版『第3次』は「幸運*3」の習得者が比較的多く、また消費量も低かったため、序盤からでもコツコツ資金を稼ぐ事が可能であった。
      しかし『F』で効果が「幸運/努力」に分割され、更に本作で大半の「幸運」習得者が代わりに「努力」を習得するよう変更されてしまった。
    • この問題は『第2次』『EX』にも深刻な影響を与えており、特に獲得資金の多い敵が殆ど出現しない前者では顕著となる。
      本作の深刻な資金不足を助長し、難易度を大幅に引き上げた決定的要因の一つと言えるだろう。
  • オリジナル版に採用されていたインターミッションでのユニット処分が削除されてしまったのも資金不足の原因の一つとなっている。
    僅かではあるものの、ユニットの処分時に資金を獲得できたため、多少なりとも経済面での支えになっていたのだが…。

改造の仕様について

  • 武器改造に掛かる費用と、改造による攻撃力の上昇値が妙におかしい。主に『第2次』『第3次』の問題点である。
    • 本作は基本的に「有用武器ほど上昇値が低い割に改造費が高く、弱い武器ほど格安で攻撃力を伸ばせる」という設定になっている。
      例えばF91は、前者と後者をフル改造した際の攻撃力が殆ど変わらない。弾数や消費EN等も考慮すると、後者を改造した方が効率が良い事も。
    • 勿論「各武器で上昇値・改造費が異なる」という仕様自体は、本作のベースとなった『F』や、それ以降の他作品にも存在する仕様である。
      一括改造となった現在では強力な武器やMAP兵器の上昇値が緩やかな事も珍しくないが、「高いのに伸びが悪い」という仕様は本作くらいである。
    • しかも『第3次』後半は一部MSの最強武器であるファンネルがほぼ必須のバランスなので、費用対効果の低さに我慢しつつ改造する羽目に。
      上記の「オリジナル版よりも資金を稼ぎ辛い」という問題も、この費用対効果の低さが更なる逆風となっている。
  • 機体改造については、「フル改造ボーナスによる上昇値が改造による上昇値か同等以上」という珍現象が発生している。
    • 改造の上昇値は『CB』の機体性能に合わせた数値に設定されているのに対し、フル改造ボーナスは『F』と同じ数値のまま
      例えば「装甲はフル改造で+500、フル改造ボーナスで更に+500」「ENはフル改造で+80、フル改造ボーナスで更に+150」と設定数値が極端。
    • とは言え前述の通り改造資金が全く足りないので、フル改造できるユニットは非常に限られており、救済措置にもなっていない。
      そもそも本作の仕様上、下手に耐久力を上げると敵に狙われなくなるため、折角高めた機体性能(=改造費)の無駄になりかねない。

特殊技能・特殊能力・敵の強さについて

  • 『F』や他作品と違って雑魚パイロットが妙に強い。能力値も高い上、レベル1からシールド防御や斬り払い等の特殊技能を持っている。
    • オリジナル版と違ってシールド防御や斬り払い等を持っているのなら、当然その違いを埋めるための辻褄合わせが必要になってくる。
      その辻褄合わせが先述の「集中」や「必中」にあたるのだが、上記の通り大半のMS系パイロットはこれらを殆ど習得しない。
  • パイロットの性格システムが存在している事から、主に敵ネームドの気力が敵を倒せば倒すほど上がる仕様となっている。
    やはりこちらも精神コマンドがSFC版準拠のせいで、強敵の撃破に有用だった精神コマンド「脱力・挑発*4」を持つパイロットは皆無に等しい。
    これもまた、主にボス戦においてただでさえ高い難易度を大幅に引き上げる要因の一つである。
  • 敵ユニットの強さも同様で、こちらが先述の資金不足と強力なMS不足に苦しめられている時に、高性能ユニットを次々に投入してくる。
    敵ユニットの思考パターンも『F』仕様に変化しており、イベントでしか使用してこなかったMAP兵器を普通に使ってくるようになった。
  • 本作で特殊技能…つまりはニュータイプ技能も導入され、同技能保持者しかファンネルを使えなくなった。しかし実はこれが非常に痛い
    • SFC版『第3次』にはまだ特殊技能の概念がないため、敵味方共にシールド防御や斬り払いができず、ファンネルを誰でも使用できた。
      『第3次』のファンネルは命中補正が非常に高く、「攻撃力は高いが回避/命中は微妙」というタイプのキャラだと大活躍が望めた。
    • 本作では技能の導入によって回避/命中でも差を付けられるため、『F』同様非ニュータイプは殆どが2軍落ちという事態となってしまった。
      SFC版では非ニュータイプでも活躍の機会があった事を考慮すると、この技能の導入はあまりに相性が悪かったと言わざるを得ないだろう。
  • ビームバリアのIフィールドは大ダメージにより貫通可能になったが、ビーム吸収は依然として不可能なまま。
    • そのため、Ζガンダムやビギナ・ギナといった最強武器がビーム兵器の機体は、一級MSでありながらSFC版同様に2軍落ちしやすい。
    • ちなみに今作のF91はヴェスバーが非ビーム兵器になっている*5が、最大射程が『第3次』ベースの5しかなく、やはり終盤は戦力外となる*6
    • Ζガンダムは最強武器の改造の幅が大きく、攻撃力がMS最強になるが、射程・燃費・命中補正の点で結局ファンネル搭載機に大きく劣る。

その他の問題点・改悪点

  • 異常に低くなってしまったクリティカル発生確率
    • 本作の武器・機体性能は基本的にSFC版『第3次』がベースだが、同作には存在しないクリティカル補正が新たに設定されている。
      しかし本作のクリティカル補正は、補正の概念が導入されたSFC版『EX』がベースとなっておらず、±0~-20%のものが殆ど。
      +10%以上の補正がある武器は、MSや戦闘機のバルカン・機銃系と、スーパーロボット系の一部の武器のみである。
      敵の強さも相まって『F』と比べてクリティカル発生率が極端に下がっており、難易度を上げる原因の一つになってしまっている。
  • リメイクに伴い強化パーツのシステムが実装されたが、その調整には疑問符が付くものも少なくない。
    • 機体性能が本作に比較的近い『第4次』のチョバムアーマーは、HP1.7回・装甲3回分の改造に相当するHP+500・装甲+150という効果だった。
      一方で本作のチョバムアーマーはHP+100・装甲+50である。装甲は1回分の改造、HPに至っては僅か0.5回の改造に相当する効果しかない。
      この上昇量ではせいぜい150程度のダメージしか軽減できず、本作のダメージデフレを考慮してもあまりにも低すぎると言わざるを得ない。
      最上位のHP・装甲系パーツである超合金ニューZですらHP/装甲+200。装甲はともかくHPが非常に低く、終盤ではほぼあって無いようなもの。
    • 『F』の没パーツだったIフィールド発生器・バリアジェネレーター・バイオニックコンデンサーは、依然として本作でも没のままである。
      特にバイオニックコンデンサーは、最大EN+100→50という、わざわざ本作の機体性能に準じた効果にしていながら、何故かまた没にしている。
      仮にこれが実装されていれば、百式のメガバズーカランチャーやスーパーロボット系の必殺技の使用回数を増やす事ができたのだが…。
  • 機体の不可解な弱体化
    • スーパーロボット系の機体は、SFC版と比較して、何故か装甲が70~100ほど下げられてしまっている。
      計算式の変更に伴うダメージデフレのために装甲を下げたのだろう…かと思いきや、各MS勢や敵側の装甲はSFC版とほぼ変わりない。
      プレイヤー側のスーパーロボット系のみを狙い撃ちした調整である。一体何を目論んでこのような調整をしたのだろうか…。
    • 「主力武器がEN消費型の機体」の初期ENも、装甲と同じく何故か20~50ほど下げられている。
      例として各主役スーパーロボット系、オリジナル勢はサイバスターにヴァルシオーネ、MSではF91やΖΖガンダム等が該当する。
      この調整により、SFC版では無改造でも3回使用できた武器が、本作では改造しないと2回しか使用できない等の事態が発生する事に。
      ただでさえダメージのデフレと資金不足が甚だしい本作において、何故わざわざ嫌がらせのような調整をするのか。
      しかも徹底された調整とは言い難く、Ζガンダムやビギナ・ギナ等は、EN消費型の機体ながらSFC版と同じ初期EN、基準が全く分からない。
    • ガンキャノン、マサキ、リューネの宇宙適応が、SFC版では現在の宇宙Aに相当する宇宙7だったが、本作では何故か宇宙Bにされている。
      確かにベースとなった『F』ではいずれも宇宙Bだったが、キャッチコピーの「最新システム」をそんなところに適用しなくてもいいだろう。
    • 一方でグランゾンは、本作では弱体化どころか異常なまでに強化されている。
      ワームスマッシャーは射程が3から6に一気に倍増し、弾数も10発から20発に増加と大盤振る舞いに増やされている。
      グラビトロンカノンは範囲こそ『F』仕様に狭まったが、必要気力が撤廃され、更にEN120消費という悪燃費から弾数2発へと変更。
      ブラックホールクラスターは高い威力と命中補正はそのままに射程が2伸び、燃費も半減、必要気力が30も軽減されるという超性能である。
      他機体と違って初期ENも装甲も弱体化されず、挙句の果てにシュウがSFC版と違って加入時点で二回行動できるという厚遇っぷり。
      このような「使いやすくる調整」を他機体にも施してくれれば、本作の評価も大きく異なったものになっただろうに。

まとめ

  • 問題点だらけの『F』のシステムに、『第3次』の数値を安易かつ強引に当てはめ、細部の調整を怠った結果が上記の通りである。
    勿論『第3次』も決して優れた完成度ではなかった。しかし、全体版挑発とも言える「激怒」の存在、ビーム攻撃を無効化するIフィールド、高範囲かつ非ビーム兵器のMAP兵器等があり、それらを上手く駆使すれば苦しい展開が打開できるという、高難易度ながらも意外にバランスは取れていた。
    しかしそれらを考慮せず、安易に数値とシステムだけを合わせた結果「オリジナルの良さを潰した上で、従来作にあった抜け道やセオリーも悉く潰され、それぞれの短所だけが絡み合う」という、蘇るどころかゾンビのような作品へと仕上がってしまった。
    • オリジナル版と同じ戦略は通用しないため、同名の別ゲームと割り切ってプレイするしかない。 当然これは『第2次』『EX』も同様であり、オリジナルとはかけ離れたゲーム性へと変化し、その変貌ぶりも悪い方向へと向かってしまっている。

ディスク2について

  • ディスク2の「バーチャルスタジアム」の練り込み不足
    • ディスク2の「バーチャルスタジアム」というモードでは、スパロボでは類を見ない2P対戦ができる。これ自体はスパロボシリーズ内では珍しいモードなのだが、本編のシステムをそのまま使っているため待ちが圧倒的に有利となっており、プレイヤー同士が独自にルールを設定しないとまともな対戦にならない。特に命中系精神コマンドを使うと目も当てられなくなり、リアルファイトへの突入は必至。
    • 自分で使用している部隊の他にサンプル軍団も用意されているが、強さがばらばら。ボス軍団に至ってはネオ・グランゾンを筆頭としたボスだらけで、ハンデなしでは勝負にすらならない。
  • キャラクター大事典及びロボット大図鑑の内容の充実具合に差がありすぎる。
    • 具体的に言うと、事典&図鑑が初めて搭載された『第4次』以降にも登場するキャラと、『EX』に登場した数々のオリジナルキャラはかなり充実しており、読み応えがある。
    • その一方で、『第2次』『第3次』にしか登場しないキャラは非常に簡素な記述で終わっているものが多い。酷いものは殆ど悪口状態の場合すらある。
      • 例えば『ゲッター』の巴武蔵は「柔道が得意なゲッター3のパイロット。」のたった1行。3番手とはいえ、仮にも主役チームの一員に対してこの扱いは酷すぎる。
    • 『第4次』や『F』の頃からの誤字修正なども一切行われていない。
  • 本作でボイスが収録されたキャラも多数存在するが、流石に量が多すぎたのか全体的に低音質であり、『F』で収録したキャラと比べると瞭然。
    • 』で収録済のひびき洸やハサウェイ・ノアに至るまで、音質が悪くなっている。

評価点(3作共通)

  • グラフィック・ボイス関連の改善・向上。
    • 『F』に存在したコン・バトラーVのムービーは本作でも見られる他、『F』では未参戦だったライディーンのムービーも改めて用意された。
    • 『F』で好評だった顔グラフィックの変化も健在。既存キャラは勿論、本作でのみ登場するララァ・洸・マリア等にも採用されている。
      また、既存キャラのエマやスレッガーも変化するようになった他、敵キャラであるマシュマー、ジェリド等にも用意されている。
      特にマシュマーは、グラフィックが新たに描き直されている上、そのパターンも主役のジュドーより多いという謎の厚遇を受けている。
    • 『F』の特長であったDVE(=ドラマティック・ボイス・イベント)も、あちらほど数は多くないもののいくつか追加・採用されている。
      特に見物なのがガルマの特攻DVE。最後がちゃんと「DCに栄光あれーーーっ!」と、スパロボでの所属勢力を叫ぶ台詞になっている。
    • オリジナルキャストの都合による代役声優の起用も本作で本格的に始まり、『F』のように声優の都合による登場キャラの選別もなくなった。
  • MAP兵器を使う際、機体とパイロットの組み合わせが原作通りだと、大変格好いいカットインが挿入されるようになった。
    • 具体的には、ブライト+戦艦のハイパーメガ粒子砲、クワトロ+百式、ガトー+GP-02A、コウ+GP-03デンドロビウム、魔装機神系等である。
    • しかしZZガンダムには何故か存在しない。『EX』での悲惨な弱体化といい、ZZが何をしたというのか…。
  • 今作のファンネル系武装は、ニュータイプ技能の射程ボーナスを見越して、SFC版よりも射程が1短くされている。
    • しかし今作はニュータイプLv5で射程が+2され、かつ一軍ニュータイプは全員Lv5まで育つため、実質的にSFC版より射程が伸びている。
      例えばνガンダムのフィン・ファンネルはSFC版は射程9、本作は射程8。そこにニュータイプLv5のアムロを乗せると+2で射程10となる。
      SFC版で他ファンネル搭載機より射程が短かったキュベレイMK-IIは特に恩恵が強く、SFC版よりも射程外攻撃を仕掛けやすくなっている。
      また、敵側でニュータイプLv5まで育つパイロットは一部のネームドのみなので、敵ファンネル搭載機に射程外攻撃を行う事も可能になった。
    • 尤もこの仕様により、ファンネルを使えないオールドタイプ、ニュータイプLv5まで伸びないキャラとの格差が更に広まったとも言えるが…。
  • リメイクに伴い『F』と同等の強化パーツシステムが採用された事は、先述した問題点こそあれど純粋な評価点である。
    • その中でも最大射程を伸ばせる高性能レーダーの存在が嬉しく、やはり上記のキュベレイMK-IIが特にこれの恩恵を受けている。
      また、ミノフスキークラフトの実装により、敵基地の内部が舞台のシナリオでブルーガーに装備させて出撃させる事が可能になった*7
    • 『F』では没パーツだったリローダーが正式に実装。特に『第3次』はファンネルが主力武器なので大いに役に立ってくれる。
  • 反撃を行う際に、使用する武器を選べるようになった。
    • 要するに『第4次』以降のシステムになったという事だが、各オリジナル版ではこれができなかったため、改善点の一つと言える。
  • ディスク2の『HISTORY OF SUPER ROBOT WARS』が意外と面白い。
    • 収録された3作のシステム説明やシナリオフローチャート、オリジナル版を簡易的に紹介するダイジェストムービーが閲覧できる。
      当時はゲームアーカイブス等もなく、旧作をプレイするには中古ROMを探す他なかったため、当時のプレイヤーからは好意的に見られた。
    • 各キャラの戦闘ボイス等を、自由に並べ変えて編集し再生したりできるボイス編集モードがある。ハマる人はこれだけで1日潰せるほど。
    • 『第4次』『新』『F』と同じく、収録されている3作のキャラクター大事典・ロボット大図鑑・カラオケモードも実装されている。
      上記のような問題点もあるが、当然本作にしか登場していない機体やキャラクターの事も載っているので、それらを見るのも面白いだろう。
    • 魔装機神関連の設定資料も充実している。今となってはやや古い資料ではあるが、魔装機神ファンは決して押さえておいて損はない。
      • ここに収録されているムービー集ではSDサイズながらゲッターやコン・バトラーの変形・合体を3DCGで再現したムービーを見られる。なぜか『第3次』では原作取り込みのムービーが流れるため、地味にここでしか見ることが出来ない。サイバスターの変形ムービーは貴重だろう。
    • おまけとしてこのディスク専用のエンディングスタッフロールも収録されているのだが、登場するロボと同じポーズを取った各スタッフが紹介されるというシュールなものになっている。なお、OPムービーもディスク1と2で別々のものになっている。
    • カラオケモードのアニメーションもこだわっており、「ブレストファイヤーで溶ける機械獣」「オーラ斬りで縦に真っ二つに分かれてから撃墜される」など専用の撃墜演出が見られる。これが本編で使われていれば少しは評価も上がっただろう。
  • 発売当時はすでにFC、SFCから次世代ハードへの移行が進んでおり、元ゲー未経験者が収録3作品を手軽に遊べる手段としては評価できた。
    • もっとも、仕様上の理不尽さに攻略で挫折する人が多く、元ゲー自体をクソゲーだと勘違いしてしまう人も生み出してしまったが…。

第2次スーパーロボット大戦

発売日 1999年12月2日
定価 2,100円
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※ゲームアーカイブスで付与されたレーティングを記載
配信 ゲームアーカイブス:2011年1月26日/800円
判定 ゲームバランスが不安定
劣化ゲー
ポイント 分売に当たり獲得資金が1.5倍に
バランスの悪さはそのまま
+ 参戦作品一覧
  • 機動戦士ガンダム
  • 機動戦士Ζガンダム
  • 機動戦士ガンダムΖΖ
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • 機動戦士ガンダムF91
  • マジンガーZ
  • グレートマジンガー
  • UFOロボ グレンダイザー
  • ゲッターロボ
  • ゲッターロボG
  • 魔装機神サイバスター(ソフト発売時期に放送されていた同名のアニメとは無関係。『第3次』『EX』についても同様。)

特徴(第2次)

  • 2機の隠しユニットの追加
    • FC版でショップがあった場所に特定ユニットを待機させると、隠し機体として「Gアーマー」「クィン・マンサ」を入手できる。
      Gアーマーは数少ない本作オリジナルの要素。クィン・マンサについてはFC版でも登場したが、入手条件が変更されている。
  • 仲間になるユニットの変更
    • 途中で離脱したゲッターQ・テキサスマック・ボスボロットは最後まで使えるよう変更されている(このうちゲッターQは条件付きユニット)。
      • ゲッターQは全体的に性能が低く戦力外レベルなのに対し、テキサスマックは武器の性能がそこそこ優れ二人分の精神コマンドが使えるため、それなりに使える部類に入る。
    • オリジナルでは途中で離脱したアフロダイAはダイアナンAとなって帰ってくる。
  • 一部敵ユニット・パイロットの変更
    • 『第2次』で敵として登場すると矛盾するクェスはラストバタリオンからいなくなっている。
    • 最終話に登場するラカンは乗機がゲーマルクから原作で乗っていたドーベン・ウルフに変更されている(『第2次G』でもゲーマルクのままだった)。
  • 説明書には、『第4次』などから文面を流用しているため「シナリオクリア後に分岐が出現することもあるから」とあるが、実際はFC版同様追加シナリオや『第2次G』のような展開になる分岐要素は存在しない。

問題点(第2次)

  • 3作で最も深刻な資金不足
    • 先述したように本作は、システムが違いすぎるため「Fのシステムを掛け合わせた第3次」で別物に作り直されている。
      これの最大の問題点は、敵の配置がほぼそのままでありながら、『第3次』の「雑魚からの獲得資金が少なくボスや戦艦からは多い」が本作にまで適用されている事にある。
    • 『第2次G』では要所要所にメカザウルス・ダイを高額ユニットとして登場させる事でこの問題を解消していたが、本作では敵配置に殆ど変化がないため、高額の資金を持つボスや戦艦系の敵が滅多に出現せず、満足な改造が殆ど行えない。こんなツメスパロボのようなゲーム性で中盤以降まで進めなければならない。
    • このため、高額資金に目が眩んでフォウを説得せず撃墜するプレイヤーが多数生まれてしまう事に。
      サイコガンダムの獲得資金は20000と高額で、更に後述の通りフォウは数MAP後に離脱するため、撃墜した方がメリットが大きい。
  • 要塞マップではFC版通り戦艦が出撃不可。また飛行ユニットが飛行できない(FC版では飛行グラフィックこそないが飛行扱いだった)。
    これのせいで一部のユニットの使い勝手が悪くなり、また場合によっては補給が困難になる。「最新のシステムで蘇る」はずでは?
    • 『第2次』は最終シナリオが要塞マップなため、ゲッタードラゴンが地上Bの影響を受けて弱体化してしまう。
      消費気力もENも低いポセイドンの大雪山おろしを改造する方が、そこに至るまでの道のりも楽になる部分もある。
      • もっとも地上Bでも攻撃力はシャインスパークの方が上であり、大雪山おろしは宇宙や空相手には使えないという欠点がある。
        安定したボス狩りとして前者を使い、後者はあくまでも雑魚狩り用とするのか、雑魚・ボス問わず両者併用かは好みの問題だが。
  • FC版には機体性能の概念がなくレベルのみであったため、1st世代であるRX-78でも特に他MSと比べて弱いという事はなかった。
    しかし本作は、CB版『第3次』からのデータ流用の都合から2軍MS並みの性能しかなく、ゲーム開始時点で既に厳しい戦いを強いられる。
    先述した隠し要素のGアーマーを入手すると多少はマシになるが、あると便利というよりは無いとかなりキツいというレベル。
    上記のゲッタードラゴンもそうだが、安直にデータを流用した結果、原作にはない問題点が発生してしまっている。
  • 開発スタッフはこのCB版『第2次』を本作の入門用としており、大味ではあるが難易度は比較的低い。
    敵パイロットのレベルが低めで、敵ユニットも殆ど改造されないので、先述のデフレも相まってあまり高いダメージは受けない。
    敵ユニットの出現総数が全体的に少ないため、敵軍の総攻撃に押し潰されて右往左往する危険性も少ない。
    • その代わり、こういった味付けが施された結果、戦略性が薄いかなり大味なゲーム性に変わってしまっている。
    • 先述の通り本作は獲得資金が非常に少ないため、敵が殆ど改造されない分こちら側も満足に改造を行えない。
      他のスパロボとは違い、どの機体や武器を改造しどう運用するかといったプレイは、本作ではかなり後半まで行いにくい。
      精神コマンド関連の問題や両軍のダメージデフレの影響も相まって、お互いにHPを削り合うという単調な消耗戦になりやすい。
    • 敵パイロットのレベルが低めにされている分、自軍パイロットのレベルも上がりにくい。
      本作で最もレベルの高い最終ボスですら32しかないため、甲児やプルに至っては精神コマンド「熱血」すら覚えられない事となる。
      通常プレイでは到達できないような習得レベルに設定された精神コマンドは昔からよくあるが、このCB版『第2次』は特に多い。
      2回行動も誰もできないため、複雑に考えなくて済む分、シミュレーションRPG・戦略性の面では相当味気なく感じられる。
      『第2次G』は味方を育てやすく、精神コマンドの充実に合わせ、最終ボスのレベルは60で2回行動もするように調整されていた。
      話数が少なめのSFC版『EX』も、序盤パイロットの初期レベルが比較的高めの10台に設定されていたりと、上手く調整されていたのだが…。
      • 甲児に関しては、修理or補給ユニットに搭乗させる事で「熱血」の習得はギリギリ可能だが、作業感が強くなってしまう。
        プルが熱血を覚えないのはFC版の再現なのかもしれないが、FC版と違い幸運を習得するので、多少は資金面の支えとして役立つ。
    • 更に、敵機の総数が少ない分、パイロットの気力を上げにくい問題もある。
      ゲッタードラゴンは気力制限130・攻撃力2500という全ユニット最強の武器を装備しており、ボスや強敵の撃破には欠かせない。
      これを使用するため、終盤は必然的にドラゴンで敵を倒す事が多くなるため、ますます他に経験値と気力が回らなくなる悪循環に陥る。
      本作で気力制限140のサイバスターの最強武器・コスモノヴァを使った事のあるプレイヤーはまずいないだろう。
  • 『第2次』に関しては、『第4次』のシステムに準拠したバランスや資金・仲間の離脱に関して調整が入ったリメイク版の『第2次G』が先に発売されていたにもかかわらず、それらの要素が反映されていない部分が多い。
    • 『第2次』は他のシリーズに比べても仕様が異なる部分が多いため、『第2次G』ベースのリメイクを要望する声もあった。
    • 『第2次G』のララァ・胡蝶・フォウ・ミネルバXは仲間にできれば最後まで使えたのに対し、本作ではオリジナル通り数話で離脱する。前述のゲッターQは条件次第で最後まで使えるのだから意味が分からない。オリジナルを尊重したいのかしたくないのかはっきりしないところである。
      • 離脱したキャラは『第3次』で離脱したことを前提にシナリオを組まれている所があり(ララァが少し微妙だが)、その辺の兼ね合いもあると考えられる。
    • ステージ毎に挟まれる会話イベントも基本的にFC版とほぼ同じなため非常に薄く、酷い時には一言二言の会話だけで終わる。FC版の再現と言われればそれまでだが、加筆修正があってもよかったのではないだろうか。
      • 例外の一部として、『マジンガーZ』のローレライは侍口調の武人キャラから原作通りの口調に修正されており、若干話の展開も異なる。
    • 以降の作品との矛盾等もほとんど解消されていない。
      • 黒い三連星やカクリコン、ライラは『第2次』で死亡扱いになったにもかかわらず『第3次』以降にも普通に登場するのだが、本作でも死亡扱いが修正されていない。
      • 特に一番酷いのはレコア関係。『第2次』でシロッコの部下だったはずなのに『第3次』で味方として登場し条件を満たすとシロッコに拐かされて裏切るという意味不明なことになっている。
    • 一方でキャプテンラドラ関連やEDのリューネ関連など、一応『第2次G』を反映している部分も無いわけではない。
      • グレートマジンガー・ゲッターロボG・νガンダムの3機は、FC版では「アーガマに不具合発生→先行した部隊が戦闘中に自軍戦艦がネェル・アーガマにパワーアップして増援で現れる→着艦してマップ上で乗り換える」と言う盛り上がるイベントが用意されていたのだが、本作では何故かイベントが『第2次G』準拠となっており、「マチルダが持ってきた機体にマップ終了後に乗り換えるだけ」という少々味気ない展開になってしまっている。そんなところを『第2次G』準拠にしなくても…
        もっとも機体とパイロットが紐づけされていて直接的なパワーアップとなったFC版と違って乗り換えとなる為、改造が引き継がれるゲッター以外は機体性能が下がって弱くなってしまうこともあり、仕方ない面もある。

評価点(第2次)

  • FC版ではNPCのみ、『第2次G』では存在すらしないセシリーが、本作では操作可能となり正式に加入する。
    とは言え最終シナリオを目前に控えた状態での加入なので、そこまで他作品と変化があるわけではないが。

第3次スーパーロボット大戦

発売日 1999年12月22日
定価 2,100円
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※ゲームアーカイブスで付与されたレーティングを記載
配信 ゲームアーカイブス:2011年1月26日/1,000円
判定 ゲームバランスが不安定
劣化ゲー
ポイント 分売に当たり獲得資金が1.5倍に
バランスの悪さはそのまま
+ 参戦作品一覧
  • 機動戦士ガンダム
  • 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
  • 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
  • 機動戦士Ζガンダム
  • 機動戦士ガンダムΖΖ
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • 機動戦士ガンダムF91
  • 無敵鋼人ダイターン3
  • マジンガーZ
  • グレートマジンガー
  • UFOロボ グレンダイザー
  • ゲッターロボ
  • ゲッターロボG
  • 超電磁ロボ コン・バトラーV
  • 勇者ライディーン
  • 魔装機神サイバスター

問題点(第3次)

  • シリーズ全体でも飛び抜けて高い難易度。
    • 先述したように本作は、『第3次』の数値に『F』のシステムを掛け合わせるという、極めて雑な手法によって開発されている。
      これによって、上で述べた計算式の変化によるダメージのデフレ、「幸運」保持者の減少、総獲得資金の減少、精神コマンドの調整不足によるシステムとの嚙み合わなさ、満足に行えない武器改造といった大量の問題点が噴出。今なお据え置きスパロボ史上最高とも呼ばれるほどに高難易度のゲーム性へと変貌してしまっている。
  • ダメージデフレの影響が、特に重くのしかかるのが『第3次』の序~中盤戦である。
    • 『第3次』の序~中盤戦は弱小MSのネモが多数配備され、リアル系パイロットは否が応でもこれを使ってゲームを進めねばならない。
      しかしダメージデフレの影響で、元々の威力が低いバルカンはカスダメしか出せず、ビームサーベルは格闘値の低さで同じくカスダメ。
      ビームライフル以外はほぼ産廃と化し、そのライフルも射程が短く威力も低く、与ダメージもダメージデフレの影響でSFC版のそれ以下。
      バルカンとサーベルが封じられ、ライフルもダメージも伸び悩むという、システム変更の悪影響が最大限に発揮される事となってしまった。
  • SFC版では強力なユニットに仕上がっていたGP-03デンドロビウムは、リメイクに伴う仕様変更で悲惨な目に。
    • ビームバリアの仕様変更でビーム兵器への絶対的優位性が下がり、計算式の変化でただでさえ低い攻撃力が更に強調されるようになった。
    • 特にSFC版で重宝されたMAP兵器「マイクロミサイル」は、『F』仕様になったため攻撃範囲が狭まり、使い勝手が大幅に低下。
      しかもダメージ計算式の関係で与ダメージが大幅に低下したため、よほど資金を投入して改造しないと使い道を見出しにくくなった。
  • 同じくSFC版で強力だったΖΖガンダムは、リメイクに伴う弱体化…とは別の謎の弱体化修正を受けており、冷遇が激しい。
    与ダメージのデフレが顕著な本作において、頼みの綱のMAP兵器の攻撃力が一気に500も低下した他、命中補正も20下げられている。
    更に最大ENも20下げられており、「EN消費行動*8を僅かでも行うとMAP兵器を撃てなくなる」という不可解な調整が施された。
  • SFC版における百式のMAP兵器は、攻撃範囲が非常に広い反面、その命中補正が自軍ワースト2の85しかないという味付けであった。
    しかし本作では攻撃範囲が『F』仕様にされてしまったため、使用回数や命中補正はそのままに幅1マス・射程9へと大きく弱体化。
    更にΖΖガンダムと同じく、肝心の攻撃力もSFC版の1500から1000へと大幅に弱体化し、おまけに気力制限まで付く始末である。
    特にこの気力制限が非常に厄介でり、ΖΖガンダムのように「二回行動+補給で連続発射」という戦法が取れなくなってしまった。
    一応「改造次第で2発撃てる」「クレイバズーカが使える」という改善点があるが、上記の改悪点を補えるほどのものではない。
  • ENと弾薬を回復させる補給装置は、SFC版は「最大射程3・最大3回まで使用可能」、『F』では「最大射程1・回数制限なし」となっていた。
    一方本作では「最大射程1・最大3回まで使用可能」と、両作品の悪いとこ取りとなっている。
  • マジンガー系はP属性・サブパイロット・最強武器の追加等、いくつかの改善点がある一方で、大きく下方修正された部分も少なくない。
    • SFC版のブレストバーンの燃費は比較的良好な40だったが、今作では何と60、サンダーブレークに至っては70と超大幅に悪化している
      これに加えて、今作では主力武器がEN消費型機体の初期ENが下げられているため、燃費が非常に悪いマジンガー系はこれはモロに響く。
      特にグレートマジンガーはENが50も下げられており、例えENをフル改造してもサンダーブレークを4発しか使えなくなっている。
      SFC版のサンダーブレークは弱かったので、これが最強武器になった事自体は改善点であるが、それにしてもこの燃費はおかしすぎる。
      また、SFC版のグレートブーメランは射程5の優秀な武器だったが、今作ではP属性射程3に変更、ドリルプレッシャーパンチと性能が被っている。
    • 同じくグレンダイザーも、スペースサンダーの燃費が30から60へと極端に悪化、グレートほどではないがENも下げられている。
      ただし今作のグレンダイザーは合体する事でサブパイロットの精神コマンドを使えるようになったため、グレートよりはマシな扱いである。
      尤も、ライディーンと違い「パイロットが熱血も閃きも加速も覚えない」という点は改善されなかったが…。
    • ちなみに、マジンガーZの時点で「ブレストファイヤーの燃費が60」という燃費の悪さであり、これはSFC版も本作も同じである。
      リメイクに伴い、2機の燃費をマジンガーの燃費に合わせたのかもしれない。何故わざわざ悪い方に合わせたのかは不明だが
  • 本作の『第3次』に登場するラカン・ダカランが、何とレベル40でニュータイプ技能を習得する。
    • これは終盤でゲーマルクに搭乗するので、恐らく彼にファンネルを使用させるためのゲーム的な処置と思われる。
      しかし原作のラカンはニュータイプでも何でもなく、強化人間になるための手術も受けたといった設定・描写等も特にない。
      こんな原作を無視した調整をするのなら、「自軍の全ガンダム系パイロットにもニュータイプ技能を付けてほしい」という不満も多い。
    • また、前述の通りPS版『第2次』ではわざわざ乗機が原作に合うよう変更されているのに、『第3次』では原作無視の設定を追加するという改変の統一感の無さも指摘されている*9
  • ユニット性能が『F』に準じた結果、ドライセンやゲーマルク等の一部敵機がSFC版から大きく強化されている。
    • ドライセンのトライブレードやベルガ・ギロスのショットランサーが、今作では移動後に使用可能なり、対処が困難になった。
      特にトライブレードは、SFC版の+60%という高い命中補正はそのままに、遠くから一気に距離を詰めて放ってくる脅威の武装へと変貌した。
      「最新システムで蘇る!」がキャッチコピーの本作であるが、その最新システムによって凄まじい強敵を生み出してしまった
    • また、『F』をベースに開発した結果、どちらにもSFC版にはなかった武器が追加されてまい、SFC版よりも最大射程が伸びている。
      ベルガ・ギロスが特に酷く、HP・運動性・装甲に優れ、P属性武器と射程7のライフルを装備という最強クラスの雑魚へメガ進化している。
    • ゲーマルクも高い装甲とHPを持っている上に、ファンネルの射程がSFC版と同じ10、そこに技能補正が上乗せされて実に11もの射程を誇る*10
  • 先述した敵の雑魚パイロットの強さを最も体感できるのも本作。特に中盤以降に現れるバイオロイド強化兵はアムロよりも攻撃力が高い*11
    • しかもDC強化兵と各バイオロイド兵は、当時存在しなかった特殊技能「切り払い」「シールド防御」を全員もれなく保有している。
      ファンネルを使う際は射程外攻撃をしないと切り払われる他、DC強化兵とバイオロイドエリート兵は本作としてはかなり高い技能レベル2。
      更には全員例外なく終盤で2回行動してくる上、バイオロイド兵士系は人工知能よりも獲得経験値が少ないというおまけ付きである。
  • ブライトやアポリー等の一部例外も存在するが、味方パイロットの2回行動可能レベルが全体的にSFC版よりも遅くなっている。
    特に洸と万丈以外のスーパー系は、現実的なレベルでの2回行動がほぼ不可能になった。これも本作の基となった『F』の影響だろうか?
    • 一方で敵パイロットは全体的に早くなっており、一例としてSFC版29話のグレミーは1回行動だが、本作では普通に2回行動をしてくる。
      雑魚のエリート兵や強化兵も同様で、SFC版よりも早いタイミングで2回行動をするようになり、一部のシナリオの難易度が上がっている。
      本作で新規に追加された強化兵に至っては、タイミングが6話も前倒しされている。しかも高難度シナリオの「オデッサ・デイ」で…。
  • 様々な要因で高難度化していながら、隠しMAP『ラグナロク』への到達条件が総ターン数419ターンから350ターンへと大幅に減らされている。
    • 1ステージ平均にしてSFC版が約11ターンに対して、『CB』は約9ターンと2ターンも削減しなければならない計算になる。
      そもそも隠し要素であるため、必要とする総ターン数は明示されておらず、SFC版と同感覚でプレイしているとまず達成不能になる。
    • 恐らくサブパイロットの精神コマンド使用や反撃の任意選択が可能等を考慮した上での処置なのだろう。こういう調整だけは抜かりがない。
      しかし実際には、進めやすくなるどころか大幅な難易度上昇を招いたのは上記の通り。つくづく開発者の思惑が空回りしている。
  • プレイヤーに不利なイベントの追加
    • ライディーンのゴッドボイスに、SFC版には無かった「7回以上使うと最終ステージに出撃できなくなる」というペナルティが追加された*12
      SFC版は強力な武装と資金を得られる反面、追加ルートだと遠回りな上に総ターン数がかさむ…という調整で利点・欠点を釣り合わせていた。
      しかし本作では欠点2つになってしまい、追加する意義が大きく薄れた。使用条件が厳しいため、7回以上使う事が稀なのが救いではあるが。
    • 『ラグナロク』のネオ・グランゾンにもイベントが追加。開始時に「気合」が掛かるので相手の気力110からのスタートとなる。
      しかもHPが一定以下になるともう一度「気合」を使った後、味方フェイズ中でも問答無用でMAP兵器をぶっ放してくる。
      極めて命中率・威力が高いため、一工夫しなければ勝つのは難しいだろう。
      • 追い打ちをかけるようにユニットの特殊能力にHP回復(大)が追加されたため、SFC版の様にターン毎の攻撃によるダメージ蓄積で撃破という戦術はほぼ不可能になった。

評価点(第3次)

  • 洸がSFC版では覚えなかった熱血を覚えたり、コン・バトラーVが5人分の精神コマンドを使用可能になったのは改善点と言える。
    マジンガーZのブレストファイヤーの地形対応もさり気なく改善されている。どの道中盤以降は戦力外であるが…。
  • 先述の通り本作の補給装置は『第3次』と『F』の悪いとこ取りだが、おかげで「相互に補給し合って経験値を稼ぐ」事が可能になった。
    尤も、これができるのはボスボロットが加入する中盤のごく一時期である。攻略本では「今の内にやっておけ(意訳)」等と書かれていた。
    また、これをしてしまうと隠しシナリオへの到達は絶望的となる。
  • 終盤に発生するカミーユ精神崩壊イベントは、本作では複数のカットインで構成された豪華なものとなり、再現度が急上昇した。
  • 隠し要素のサザビーを入手する際、SFC版では説得してNPC化したナイーダを、シナリオクリアまで生存させる必要があった。
    しかし本作ではナイーダがNPC化せずにプレイヤーが操作できるようになったため、サザビーの入手難易度が大幅に低下した。
    ちなみに、ナイーダとデュークの戦闘に特殊台詞も用意されている。今では当たり前だが、当時としては非常に珍しい要素である。

スーパーロボット大戦EX

発売日 2000年1月6日
定価 2,100円
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
※ゲームアーカイブスで付与されたレーティングを記載
配信 ゲームアーカイブス:2011年1月26日/1,000円
判定 ゲームバランスが不安定
劣化ゲー
ポイント 分売に当たり獲得資金が1.5倍に
バランスの悪さはそのまま
+ 参戦作品一覧
  • 機動戦士ガンダム
  • 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
  • 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
  • 機動戦士Ζガンダム
  • 機動戦士ガンダムΖΖ
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • 機動戦士ガンダムF91
  • 聖戦士ダンバイン
  • マジンガーZ
  • グレートマジンガー
  • UFOロボ グレンダイザー
  • ゲッターロボG
  • 戦国魔神ゴーショーグン
  • 魔装機神サイバスター

特徴(EX)

  • SFC版と同じく、マサキの章・リューネの章・隠しシナリオであるシュウの章の3本立てとなっている。
    ただしSFC版とは異なり、マサキとリューネの章を両方クリアしなければ、シュウの章を選択できなくなった。
  • SFC版と同様にISS(詳細はSFC版を参照)を採用しており、クリアした章のISSを引き継ぐと、その選択肢等が別の章に反映される。
    シナリオ展開はSFC版と同じだが、攻略面は後述のナグツァート等、本作独自の調整でSFC版で可能だった事が不可能になる等の点もある。
  • サイバスターやグランゾン等の主役機をはじめ、序盤から強力な味方ユニットが多いため、上記2作よりは比較的マシなバランスである。
    とは言えあくまでマシなだけであり、『第3次』の数値に『F』のシステムを掛け合わせた事による弊害は、依然として奥深くまで食い込んでいる。

問題点(EX)

ユニットやパイロットの変更点等

  • 精神コマンドは上記2作から調整が入り、中にはバーニィが「熱血・必中・幸運・努力」を覚える等改善されたキャラも存在する。
    上記2作では誰も習得しなかった精神コマンド「魂」「復活」「再動」等も、ごく一部のキャラながら習得するように変更されている。
    一方で嫌がらせめいた改悪も数多く、カミーユ・アムロ・クワトロから「熱血・ひらめき・集中」がそれぞれ消滅。何故よりによって主役を…。
    • とは言えカミーユの「熱血」はともかく、他2人についてはSFC版『EX』の再現である。そんなところをわざわざ律儀に再現しなくても…。
    • カミーユについては、彼が「熱血」を覚えないと記載されている攻略本*13が存在しており、恐らくこれを参考にしてしまったと思われる。
      実際、この攻略本と本作のカミーユの精神習得レベルが同一になっている。自分の会社のゲームなのに何故攻略本を参考にするのだろう?
  • ユニットの性能差について。
    • 例えば、サイバスター等はSFC版を意識したような攻撃力に調整されたのに対し、マジンガーZは上記2作と同じMS以下の攻撃力のままである。
      SFC版ではグレートには劣ると言えど、EN消費と攻撃力のバランスが良い優秀な機体だったが、本作では手を加えないと削りと壁が関の山。
      無消費・対地用の近接攻撃で、ブレストファイヤーに次ぐ高威力武器「パンチ」も『F』のデータを流用した都合から削除されてしまった。
    • 『ダンバイン』のショウは、原作主人公かつエースでありながら、何故か自軍聖戦士で最弱の格闘値に設定・調整されている。
      このため、SFC版及び『第4次/S』や『F』で見せた爆発力が大幅に薄れてしまっている。特に経験者は従来作との差が一目瞭然だろう*14
    • ΖΖガンダムは最大ENが上記2作の200から180に下げられ、EN無改造ではMAP兵器を撃てないという更に酷い調整が施された。
      確かに「ΖΖガンダムの初期ENが180」というのはSFC版の再現なのだが、SFC版のハイメガキャノンは消費EN100である。
      機体性能だけをSFC版『EX』から流用して、武器性能はCB版『第3次』から変化なし…というより一層の雑な調整となっている。

マサキの章について

  • マサキの章は、総合的な難易度自体は「やさしい」に相応しいと言える、本作の中では難易度表記に比較的合った章である。
    • ΖΖガンダムやF91といった強力な面子が加入するため、ユニットやゲームバランス等に問題こそあるものの、そこまで難しくはない。
      SFC版の第4話では早々に移動要塞が出現していたが、今作では別の敵に置き換えられる等、難易度表記に見合った調整もされている*15
      また、本作ではオーラバトラーの妖精の精神コマンドを使えるようになったため、その恩恵を大きく受けた事も幸いしている。
      与ダメージのデフレの影響により、終盤手前のヴォルクルスの相手が非常に面倒臭くなったという弊害もあるが…。

リューネの章について

  • 難易度表記自体は「ふつう」となっているが、正直言って本作では飛び抜けて難しい。
    • サイバスターが『CB版第3次』から強化された一方で、ヴァルシオーネは何故か弱体化され、加入機体も火力不足が深刻なMSばかり。
      ビーム吸収を所持しているボスも多いため、MSはνガンダムやドーベン・ウルフといった一部の機体しか殆ど役に立たない。
    • SFC版のΖガンダムは「ビーム吸収の影響を受けるが高火力・短射程・低燃費」という特徴であり、νガンダムはその逆という性能だった。
      しかし本作では『CB版第3次』から安直にデータを流用した結果、Ζガンダムだけが極端なまでの弱体化を一方的に受けてしまった。
      SFC版では900の火力差があったが今作では同威力になり、無改造で10発撃てたハイパーメガランチャーは僅か4発しか撃てなくなった。
      データ流用のせいで射程すらも1低下してしまった上、挙句の果てに先述の通りカミーユが熱血を忘れてしまう始末である。
      正に杜撰な調整としか言いようがなく、どう好意的に見ても擁護できるものではない。
    • また、SFC版はズサ・ザクIII改・ドライセン等も攻撃力2000超えの武器を所持しており、脇を固める機体として十分に活用できた。
      しかし本作ではデータ流用のせいで『CB版第3次』と同じ雑魚MS程度の攻撃力に弱体化してしまい、火力不足に一役買ってしまっている。
      例えばSFC版のザクIII改は攻撃力2000超えで射程も7あったが、今作では射程5、火力に至っては800にも届かないというレベルである。
      おまけにデフォルトパイロットのフォウの地形適応が何故か陸Bにされている。『CB版第3次』は陸Aだったのに何故わざわざ弱体化を?
      マサキの章の場合、元々ザクII改やガンダムMk-II等の二軍MSしか加入しないため問題はなかったが、リューネの章だとモロに響く。
    • そのため主な攻撃担当は、ゲッターロボG及び条件付加入のバストールのみとなってしまった。
      そのゲッタードラゴンも序盤で仲間になるという都合からか、機体性能がCB版『第2次』『第3次』より弱体化されている。
      バストールも火力面では問題ないが、他章のオーラバトラーよりも遠距離攻撃が苦手で、オーラバトラーメインの戦略を取りづらい。
    • その一方で敵はやたら強い。上述したドライセンのトライブレードや強化デモンゴーレムの雄たけび等、命中率補正が異常な武器の所持者や、前述の強化デモンゴーレムや戦闘獣や移動要塞など、凄まじい耐久力を誇る敵も健在。
      • この問題点がモロに響くのが15話「セブ神殿を守れ」。
        このマップはターン制限がある上に耐久力の高い敵がわんさか出撃しておりSFC版でも屈指の難所だったが、本作では前述の攻撃力低下の煽りを受け、さらに難易度が上がっている。「ここで詰んだ」という報告も数多い。
        一方で抜け道がないわけではなく、MAP奥に陣取って動かないボスクラスの敵ユニットを精神コマンドの「挑発」で誘い出して袋叩きにするという戦法を取ることはできる。
    • 最終話に至っては、大ボスの取り巻きとして『第2次』のボスユニットであったヴァルシオンのバーゲンセールとも言うべき編成である。
      ラスボスも高火力・長射程・重装甲・バリア持ち・全方位MAP兵器の四重苦であり勝つのは困難。間違いなく各章の最終話の中で一番難しい。
      • 上記のものは『EX』から健在ではあったが、主役勢の精神コマンドの改悪やダメージデフレ化によってこちらの攻撃力が落ちているため、結果的に難易度の向上に繋がってしまっている。
      • 上記の「セブ神殿を守れ」を通過しない*16、マサキと合流するルートの最終話は、ボスの取り巻きが2回行動でMAP兵器をガンガン撃ってくるヴァルシオン改。ただ、このルートだとラスボスがマサキの章と同じであり弱いので、集中攻撃で一気にクリア出来るのが不幸中の幸い。

シュウの章について

  • 難易度表記は「難しい」だが、殆どのマップをグランゾン1機に無双させればクリア可能なので、リューネの章よりは難易度が低い。
    この章に限っては「挑発」等の精神コマンドが登場した事、グランゾンの相対的な防御力強化によりSFC版より易しくなったという印象が強い。
    • もっともSFC版と同じく一部のマップでグランゾンが使用できなくなる点は変わらないため、あまりに頼りすぎるのも考えものではある。
      また「ノルス奪取」では与ダメージ低下により移動要塞の撃墜が難しく、ここで撃墜できないとヴォルクルス登場マップで苦労する事になる。
    • 隠しコマンドでネオ・グランゾンが使える点もSFC版と同じだが、その性能はHP60000/装甲1600/攻撃力6000という凄まじいもの。
      言うまでもなくこの機体だけで敵を蹂躙可能だが、散々述べた通り本作のバランス自体がおかしいため使った方がストレスを溜めずに済む。

その他

  • 入手できる強化パーツのラインナップが、上記の『第2次』『第3次』と比較して異常なまでにショボい。
    • 『第3次』の場合、サイコフレームx2、バイオセンサーx5、超合金Zx2、メガブースターx3と、主力機の総数に足る量を入手できる*17
      一方でこの『EX』では、シナリオの総数が『第2次』『第3次』以下である事を考慮しても、強化パーツの入力量がやたらと少ない。
    • 例として普通に進めたリューネの章の場合、アポジモーターx1、マグネットコーティングx3、チョバムアーマーx2、以上である
      サイコフレームや超合金Z等の上位パーツ、ハイブリッドアーマーー等の中堅パーツはおろか、ブースターですら本作では入手できない。
      ISSやグラン・ガラン/ゴラオンの選択で多少変わるが、それでも少なすぎると言わざるを得ず、主力機に行き渡らせる事すらできない。
      ちなみにリューネの章のブースターは1つ入手できるかどうかだが、『第2次』では6つも入手可能。いくらなんでもアンバランスが過ぎる。
    • シュウの章は更に酷く、説得等の条件付きで加入するキャラクターを意図的に撃墜しない限り、ただの1つも強化パーツを入手できない
      他主人公では複数入手できる使い捨てパーツも、条件付きでリローダーとリペアキットSが1つだけ、それ以外は入手不可という有様である。
    • 『第2次』『第3次』より明らかに少ないため、何らかの意図があって施した調整なのだろうが、ここまでする必要があったのだろうか?
  • フル改造ボーナスのおかしさは上記で述べた通りだが、この『EX』では更におかしな事になっている。
    • HP・ENのボーナス値は本作の機体性能に見合った1500・100に調整された一方で、移動力・運動性・装甲は何故か更に上昇している。
      移動力は+2、装甲は『完結編』をも上回る600、運動性に至っては『完結編』の2.5倍である50もの超強烈なボーナスを得られてしまう
    • 通常改造と合わせると装甲+1100/運動性+110となり、ここまで数値が高いと機体によっては最終ボスの攻撃すらほぼ無力化してしまえる。
      幸いにも獲得資金の少なさからこの問題が浮き彫りになる事は少ないが、ここまで異常な高さに設定する必要はあったのだろうか?
  • 長距離武器として頻繁に使うリニアレールガンのグラフィックにスピード感がなくなっている。
    • SFCではレーザーみたいにも見えるのを変更しようとしたのかもしれないが、エネルギー弾のようなものを飛ばす見た目になってしまった。
  • ナグツァートの無敵モードが超強化されている。
    SFC版でもHP65000に毎ターン30%(19500)回復という恐ろしい耐久力を持っていたが、装甲が350しかないため頑張れば落とす事もできた。
    一方本作では高いHPとその回復に加え、装甲6400/運動性300/間接攻撃orMAP兵器無効/ビーム吸収と、まるで『F完結編』のような性能に変貌。
    本作のゲームバランスにおいて、この性能のナグツァートを落とす事は不可能であり、SFC版のやり込み要素の一つが損なわれている。

評価点(EX)

  • 『第3次』からの改善
    • システムと全く嚙み合っていない『第3次』と比較して、こちらはベースとなった『F』にある程度寄り添った調整が施されている。
    • 機体面では、武器/機体改造の効果が高くなった。例えば運動性の上昇値が『第3次』では僅か3だったが、この『EX』では5である。
      武器改造の上昇値も50刻みから100刻みに変更され、『第2~3次』で深刻だったダメージのデフレをある程度解消しやすくなった。
      先述した「強力な武器とビームライフルの攻撃力の逆転現象」も改善され、本作ではちゃんとライフルよりファンネルの方が強くなる。
      ただしMAP兵器は相変わらず高額な改造費かつ50刻みの上昇値であり、SFC版と比較して大幅に弱体化してしまっている。
    • パイロット面も同様で、『F』のシステムに合わせた変更・調整が施されている。
      『第3次』では「脱力」を一切覚えなかったが、こちらではボスとエル(妖精)が使えるようになっており、強敵を弱体化できるようになった。
      「偵察」も複数のキャラが覚えるよう調整されており、1話からとはいかないまでも、かなり早期に使用できるようになっている。
      「挑発」も同様で、各シナリオにつき1~2人ほど使用可能なキャラが追加・調整されており、戦略に上手く組み込めるようになった。
    • クリティカル補正にも僅かながら調整が入り、例えばファンネルの補正は『第3次』では-20%だが、この『EX』では+10%に上昇している。
      加えて雑魚パイロットのステータスも『第3次』ほど高くないため、ある程度はクリティカルの発生を見込めるようになった。
      まぁそれでも、SFC版のファンネルの補正は+30%だったため、SFC版と比較すると大幅に弱体化しているのだが…*18
  • 獲得資金の少なさも若干見直されており、敵を倒して得られる資金がSFC版よりも概ね増加傾向にある。
    • 例えばSFC版のデモンゴーレム強は350しか得られなかったが本作では1500。ガディフォールに至っては2000から5000に上昇している。
      ダメージデフレや改造費の高さ、幸運持ちの減少により、相変わらずの資金不足ではあるが、それでも『第2~3次』よりはマシになった。

総評

「伝説の作品が蘇る!」という触れ込みで発売された本作だったが、好評とは言えない『F』のシステムを無理やり当てはめた結果、FC版/SFC版にはない様々な問題が浮上してしまい、正真正銘の復活とはとてもいい切れたものではないチグハグな出来と化してしまった。
オリジナル版のファンからはシステムの違いで批判され、前作『F』のファンからはゲームバランスの激変による混乱や誤解を招き、あくまで作品単体で見たとしてもとても褒められたゲームとは言えない、という「三重苦」を背負う羽目に。

こうした点から戦闘面に非常に粗が多いためプレイするにはかなりの辛抱が必要だが、反撃命令が可能になったことやおまけ要素が充実していること、オリジナル版より劣化しているとはいえ、『F』とも違う本作独自のゲームバランスが形成されていることなど、見所がないわけではない。また、それなりの戦略手腕を求められるので、難しいスパロボに挑みたいという人には向いているかもしれない。


余談

  • NT化で物議をかもしたラカンはDisc2用に設定された精神コマンドが「ひらめき・必中・集中・熱血・根性・魂」という強力なラインナップ。
    勿論Disc1では敵パイロットなので使用される事はないが、自軍の貧相な精神コマンドと比較すると不公平さを感じてしまう。
  • 本作の『第3次』に登場するDCエリート兵・強化兵の戦闘ボイスは、全て中村秀利氏が当てたものに統一されている。
    • これによって『F』で散々ネタにされたボイス「踏み込みが足りん!」は、本作では残念ながら聞く事ができなくなってしまった。
      そのため、後半でのDC側の兵士は、全てエリートぶった偉そうな口調の兵士の声しか聞く機会がなくなってしまう。
      DISK2の『HISTORY OF SUPER ROBOT WARS』には小杉十郎太氏の声が収録されている他、DC兵士は4種類声が用意されているというのに…。
  • 「バーチャルスタジアム」の部隊について
    • 「ボス軍団」という部隊が2つあるが、1つは上記の本物のボス軍団でもう1つはマジンガーチームが全員ボスボロットに乗っているお笑い軍団である。
    • ネオ・グランゾンはボス軍団だと上記の性能なのだが、邪神軍団にいる方は縮退砲の攻撃力がSFC版『第4次』と同じ18000になっている。
  • 本作発売の半年後、各作品の獲得資金のみ1.5倍に調整されたものが単品で発売された。
    『CB』と分売版のセーブデータに互換性はなく、また残念ながら『CB』に付属していた『HISTORY OF SUPER ROBOT WARS』は無い。
    • 変更点が「1.5倍の資金」のみというといまいち恩恵が薄いように感じられるが、1周で獲得できる総資金は大きく改善されている。
      特にボスや戦艦の獲得資金が高い『第3次』が顕著で、終盤は「幸運」をフル活用すると、1シナリオあたり40~50万は稼ぐ事ができる。
      各MSのファンネルやスーパー系の必殺技をフル改造する余裕が生まれ、中盤以降のゲームバランスが多少改善される事となった。
      Disc2こそ付属しないものの、これからプレイを検討している方は、余程の拘りが無い限りは単品版の入手をオススメする。
    • とは言え大元がCB版である事には変わりないので、多少遊びやすくなったとは言えど、ゲームバランスは依然として難ありである。
      また、ボスや戦艦からの獲得資金が多くない『EX』、これらの出現数が少ない『第2次』は、『第3次』ほどの恩恵がない点にも要注意。
    • 2011年1月26日から、単品版のみゲームアーカイブスで配信されている。
      価格は『第2次』が800円、『第3次』『EX』が各1,000円と高めだが、PSV>PSP>PS3の順でロード時間が短くなっているのは嬉しい。
  • DISC2のボイス編集は『F/完結編』のボイスを流用しているため、マサキには本作未登場の『機動武闘伝Gガンダム』の主人公・ドモンの名を呼ぶボイスが収録されている。
  • α』の中断のメッセージの中には、リュウセイが本作について宣伝している触れたものがある。
    • こっちを中断してる間、俺は(本作を)プレイさせてもらうぜ」といった内容。明らかにキツい難易度のこのゲームを戦闘の息抜きにプレイするあたり、ゲーマーのリュウセイらしいと言える。

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最終更新:2024年04月25日 13:22

*1 『第3次』ではルー・イーノ・弁慶・メリー・胡蝶の僅か5人しか習得しない。しかも弁慶は気合に精神ポイントを使い、メリーはスポット参戦、胡蝶はレベル上げもままならない二軍のため、実質的にルーとイーノ2人のみである。ちなみに『EX』は「激励」を覚えるキャラの習得レベルが非常に高く、まともに使用できるキャラは『第3次』よりも更に少ない。

*2 それぞれ「1ターンの間、命中率/回避率を30%上昇」「一度だけ敵の攻撃を完全回避」「一度だけ与ダメージ3倍」。

*3 一度だけ獲得資金と経験値2倍にする精神コマンド。

*4 前者は「指定した敵の気力を下げる」、後者は「指定した敵をおびき出す」。

*5 『EX』が非ビーム兵器だったのでそれに合わせたのか、あるいは原作の破壊力を意識したのか、何にせよ真相は不明。

*6 流石に短すぎるせいかCB版『EX』で5から6に伸びるが、SFC版は2~9なので結局弱体化している。

*7 尤も、本作のベースとなった『F』では基地内でも飛行ユニットが出撃可能であり、最初からこの仕様にしとけと言われればそれまでだが…。

*8 「変形して飛行する、宇宙で移動する、ビーム兵器を受けてビームコートが発動する等。

*9 これに関しては、『F』を流用してまず『第3次』を開発し、その後それを流用して『第2次』を開発したためと思われる。

*10 先述の通り本作のファンネルは、ニュータイプ技能の射程補正を見越してSFC版より1短くされている。しかし何故かゲーマルクはSFC版と変わらない10であり、SFC版よりも射程が伸びている。ちなみにニュータイプLv5のイリアが乗ると射程12、ラミエルかよ。

*11 最も射撃値が高いガンダム系パイロットはジュドーであり、バイオロイド強化兵は格闘・射撃共にそのジュドーと同数値。バイオロイドエリート兵に至ってはそのジュドーをも上回る攻撃力を誇る。

*12 「ゴッドボイスは洸の体に甚大な負担をかける」という設定の再現となっており、『第4次/S』で初めて実装された。

*13 アスペクト(ファミ通)の「スーパーロボット大戦EX 熱血・幸運・必中ガイド」、ケイブンシャの「スーパーロボット大戦EXを一生楽しむ本」等。

*14 その一方で聖戦士技能によるハイパーオーラ斬りの攻撃力増加がほぼFの時のままなため、攻撃力や武器改造の上昇量が抑えられている今作においてこれだけは突出した数値になる。なので必殺の一撃を叩きこむ事に限れば遅れはとらない

*15 ただし移動要塞を倒して得られる多額の資金を得られなくなったというデメリットもある。

*16 SFC版と異なりマサキの章をクリアするのみではシュウの章が出現しないため、一度は上記ルートを通過しないと結局プレイできなくなっているのだが…。

*17 ルートによって多少変動するが、概ね主力機に2つ装備できる程度の量は入手できる。『第2次』も同様。

*18 SFC版はアムロの技量の高さとファンネルの優れたクリティカル率補正により、熱血が不要かと思うほどクリティカルを連発していた。