注意:本稿では『原始島』『プレヒストリックアイル2 原始島』の2タイトルを紹介します。判定分類は双方共「ゲームバランスが不安定」に指定されています。


原始島

【げんしとう】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
販売元 SNK
稼働開始日 1988年
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 一度死んだら無理ゲー

概要

  • 1930年、バハマ諸島の異変を調査するために、2機のセスナがグリーンヘル島へ飛び立つという設定の横スクロールシューティングゲーム。

基本システム

  • 8方向レバー+2ボタン(ショット、オプション回転)で操作。全5面。
  • 画面右から出現する卵型のアイテムキャリアを破壊すると、自機のスピードアップ、パワーアップアイテム、ボーナス得点といったメリットが得られる。
  • 本作品のカギはオプションの使い方である。パワーアップアイテムを取るとオプションが装着され、回転ボタンを押すごとに45度角で右回りに回転し、向きによって異なる攻撃をする。前方だと強力なショット、斜め下だと爆弾といった風である。

評価点

  • グラフィックの描き込みは当時としてはかなりレベルが高く、巨大恐竜のゴツゴツ感、威圧感はよく表現されている。
  • BGMも出来がいい。

問題点

  • このゲームは『ゲバラ』や『バミューダトライアングル』など、当時鬼難易度の作品をリリースしてたSNKのゲーム同様異様に難易度が高い。
  • スクロールは右方向だけでなく、上下にスクロールする事もある。そのため、敵は前方だけでなく、画面上下、後方からも出現する。そのため、オプション攻撃でカバーしていく必要があるのだが、どの攻撃も一癖ニ癖あるため、回転ミスは即ミスに繋がる。
    • そのくせ、オプションは仕様上すぐには回転できない(例えば前に張っていたら、後ろに回して攻撃を切り替えようと思っても、オプションが移動している間のタイムラグがある)ため、プレイヤーは敵の攻撃を相当先読みするか、あるいはアドリブで避けて回転するまで耐える必要がある。要求されるスキルが地味に高いのである。
    • オプションは敵弾を防ぐ役目も果たしてくれるが、一定回数敵弾に触れると消滅してしまう。しかもフルパワーアップ状態になるとパワーアップアイテムが出現しない(=耐久力が回復できず、一度消滅させないと出現しなくなる)始末。ただし、ゲーム中稀に出る、あるアイテムを取ると、取得後一定時間自機の周りを取り囲みながら分裂するオプションの幻影(らしきもの)が出現する。この動作が終わるとオプションの耐久力が回復した状態に戻る。
  • 敵弾の量は少ないが、トリッキーな動きをする敵が多く、何より敵の量が非常に多い。さらに自機の判定も大きめのため、敵をさばき切れず体当たりでやられてしまう事が多い。
  • 一度ミスするとその場復活…するのだが、初期状態に戻されてしまう。自機の初期スピードは非常に遅く、攻撃も貧弱である。そのため激戦区で一度ミスすると、敵を避け切れず、敵も倒せず…といった感じでまたミスをし、一気にゲームオーバーに追い込まれてしまう。

総評

見た目はいいのに、難易度が…という典型例。もう少しゲームバランスの調整が欲しかった作品である。
当時のSNKのゲームは本作と同様に見た目だけが良く、本作もそのテンプレに当たる作品と思われる。


家庭用移植

  • 稼働から20年以上経過した後に発売したPSP『SNKアーケードクラシックスゼロ』が国内で唯一の移植。
    • 海外では国内におけるネオジオステーションと同様に単品で配信されている。
  • 2018年11月13日に北米地域にて発売されたNintendo Switch用のオムニバスソフト『SNK 40th Anniversary Collection』に本作が収録されている。海外版のソフトではあるが、海外版と日本版の両方がプレイ可能と言う仕様になっている*1。なお、Nintendo Switchのソフトはリージョンフリーなので国内の本体でも動作可能。
    • その後、同ソフトはPS4、XboxOne、Windows(Steam)でも発売され、プレイする環境としては比較的容易になったとも言えよう。

余談

  • 同社のゲームとの関連
    • 本作の舞台となるグリーンヘル島は同社のサムライスピリッツシリーズでタムタム及びチャムチャム兄妹の出身地及び天草四郎時貞の武器「ガタマーの宝珠」こと「パレンケストーン」の出自として設定されている。このため現在は「グリーンヘル島=侍魂」というイメージを抱くプレイヤーがほとんどを占めている。
    • また、グリーンヘル島の存在から察するに、今作は侍魂の世界における未来の時代の物語とも見て取れる。もしも本作と世界観を共有する続編が発売されていたのなら、侍魂のキャラの子孫が登場していたかも知れない。
    • ただし、グリーンヘルはアマゾンや熱帯のジャングルを意味する言葉なので、かなり安直なネーミングではある。
  • 本作のエンディングは衝撃的な内容として話題に挙がることがある。詳しくはネタバレになるので避けるが、初見はほぼ呆然となることだろう。
    • もっとも、この手のエンディングは当時のSNK作品ではそれなりに見られていたが。


プレヒストリックアイル2 原始島

【ぷれひすとりっくあいるつー げんしとう】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード(MVS)
販売元 夢工房
開発元 夢工房、ザウルス
稼働開始日 1999年
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント ライフアイテム出過ぎ

概要(2)

  • 前作から実に11年の時を経てMVSにて発売された横スクロールシューティングゲーム。通称「原始島2」。
  • 襲い掛かかる恐竜達をこちらのショットで倒していくゲームの流れは前作と同様。舞台が現代に変わり、自機も前作のセスナ機から戦闘ヘリに変更された。
    システム面ではオプションが廃止。代わりに緊急回避用のボンバーが実装され、オーソドックスなボンバーSTGとなった。
  • 「プレヒストリックアイル」は前作の海外版のタイトルでもあり、本作ではそちらがメインタイトルで「原始島」のほうがサブタイトルという変わった形になっている*2

基本システム(2)

  • 8方向レバー+2ボタン(ショット、ボム)で操作。全5面+最終面がラスボス戦という構成の1周エンド。国内版の工場出荷設定ではライフ制となっている。
    • ゲーム開始時に2種類のヘリから自機を選択。1P側と2P側で機体カラーとパイロットが異なるが、性能は同じである。*3
      • 青/黄色(アパッチ風):移動速度は高速、直線ショットタイプ。初期ショットはキャノン(後述)
      • 緑/橙(ハインド風):移動速度は低速、拡散ショットタイプ。初期ショットはガトリング
    • 自機のショットは2種類。同じアイテムを取ると4段階までパワーアップ、違うアイテムを取るとショットの種類が切り替わる。
      • ガトリング(G):攻撃範囲に優れる非貫通弾を連射。接近して撃ち込む事で高火力を叩きだせる。
      • キャノン(C):敵を貫通する貫通弾。攻撃範囲はガトリングより若干狭め。
    • サブウェポンも4種類あり、同種のものを取ると2段階までパワーアップする。
      • ミサイル(M):正面方向へ高速で飛ぶミサイル。
      • ホーミング(H):敵に向かって飛ぶ誘導弾。
      • ナパーム(N):前方下方向へ投下され、地面に着弾すると炎上するナパーム弾。
      • スーパーミサイル(S):上下に2発ずつ発射後、高速で直進する大型ミサイル。他のサブウェポンとは異なり、特定の箇所でしか現れない。
    • ショットボタン押しっぱなしで自機のレバー操作に連動して方向が変わるショットが出るが、手動で連射したほうがずっと効率がいいのではっきり言って使う意味はない。
    • なお、ダメージを受けるとショットのパワーアップが1段階下がる。更に救助者を連れている場合は1人失う。
      • 前作とは異なり、接触するとダメージを受ける障害物や地形の概念は存在しない。地面が存在する場面が存在するが、触れてもセーフである。
  • ステージ内には「HELP!」という吹き出しを出し、救助を求めている一般人がいる。恐竜にやられる前に自機が触れると救助した事となる。ステージ途中に一般人を回収するヘリがあり、救出した人数によってアイテムがバラ撒かれる。人数が多いとボム補充アイテム、ライフ回復アイテム(基板設定によっては残機増加アイテム)等も出現する。
    • また、特定のステージでは次々と救助艇に乗り込む民間人を恐竜の攻撃から守るシーンもあり、成果次第によってこれまたボム補充アイテム、ライフ回復アイテム、画面内の敵を全滅させるアイテムがバラ撒かれる。
      • ステージ道中に配置された一般者を全員救助すると、ノーミスでステージクリアした回数分の勲章が画面に表示される。
  • フルパワーアップ状態で更にパワーアップアイテムを取ると、一定時間敵を倒した敵の得点に倍率がかかる(最大16倍)。勲章を取るとステージ最後に得点として精算されるといった稼ぎ要素も存在する。
    • ステージ道中で回収した一般人をあえて救出ヘリに乗せずにぶらさげたままステージをクリアすると、救出者ボーナスが大幅に跳ね上がる。
  • なお、海外版では日本版とシステムが若干異なり、ライフ制からこのタイプのSTGにありがちな残機制がデフォルト設定となっている。
    • この設定で被弾すると自機が撃墜され、その時点で回収していた救助者は全て失う。
    • 日本版でも基板の設定を変更することで海外版と同じ仕様にできるので、最初から双方の仕様をどちらか選択して稼働できるように想定していた可能性はあったものと思われる。

評価点(2)

  • 高レベルな演出。
    • グラフィックは夢工房の作品の『パルスター』及び『ブレイジングスター』同様、CGプリレンダリングで描かれているため、グラフィックの描き込みは良好。
    • 逃げるボス敵を、滝のように水が流れ落ちる通路を通って追いかける、遺跡が豪快に崩れ落ちる、といった映画的な演出もユーザーの間では好評。
  • 前作同様にボスはいずれも個性的なもの揃い。動き的に恐竜よりも怪獣がしっくりくる2面ボスや第二形態で驚きの変化を見せる4面ボス等。
    • 特にラスボスのインパクトは相当なもの。出現時の演出と一騎打ちとなる最終ステージは演出的に本作の見所の一つといえるだろう。

問題点(2)

  • ゲームの難易度は前作とは比較にならないほど低い。
    • 前作は画面後方からも敵が多数出現したが、本作ではそのような事は無い。
      • 同じく前作では敵だけでなく地形や障害物にも注意する必要があったが、本作ではそのような心配は一切不要である。
    • 初期ライフが出荷時設定なら5あるし*4、決してクリアするのが難しいとも言えない救出イベントをこなしていけば、ライフ回復アイテムとボムアイテムがたくさん手に入る。
      前作で問題になった被弾時のパワーダウンもショットレベルが1段階ダウンだけになったため、多少被弾してもあまり痛手にならないのが大きい。
      • その上、5面の救助艇イベントを成功させると、何とライフ全回復アイテム*5がもらえるという大判振る舞いをしてくれる。当時のアーケード用シューティングでここまで大サービス要素はとても珍しい。*6
    • そのため完成度が決して低くないにもかかわらず、初プレイか数プレイで物量戦でクリア出来てしまい飽きる人が続出してしまったという。
  • と言っても、自機の当たり判定はやや大きめであり、多WAY弾の間をくぐる時は慎重を要する。
    • 特に2面ボスである青色の巨大恐竜は、「紫色のホーミングレーザー」「至近距離からの全包囲弾」「ジャンプして体当たり」といった、初見殺しな攻撃を仕掛けてくる。1クレジットクリアするには多少のやり込みも必要かも知れない。
  • 設定で残機制にしていた場合、ライフ制と比べて難易度が高くなる。
    • エクステンドの機会が5面の救助艇イベントを成功時のみ*7であることと、多数の救助者を回収した状態でミスしてしまうと救助ヘリに乗せる時のアイテムが激減してしまうことが要因。
      • また残機制設定ではミスするとボムが3発にリセットされて復帰する。そのため、うっかり抱え落ちをしてしまうとかなりの痛手になる。
    • もし。最初から残機制の仕様でリリースされていたのなら、シューターからもある程度は受け入れられたかも知れない。

総評(2)

前作『原始島』のあまりの高難度や、夢工房の前作品『ブレイジングスター』の歯ごたえのある難度に対し、本作は間口を広げようとしたのか、妙にヌルくなってしまった横スクロールシューティングゲーム。
飽きてやめるのは、勲章コンプリートを達成してからでも遅くない。もしくはプリレンダーの恐竜達を眺めて和むゲームと割り切って楽しもう。


家庭用移植(2)

  • アケアカNEOGEO版(PS4/Xbox ONE/Nintendo Switch)(2018年8月2日配信、ハムスター)
    • 当時、家庭用ネオジオへの移植がされなかったため、家庭用移植はこれが初。日本版と海外版が両方収録されているほか、設定でライフ制と残機制を選択可能。
      • 『アーケードアーカイブス』シリーズで恒例のハイスコアモードとキャラバンモードでは残機制となっている。

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最終更新:2021年02月28日 14:15

*1 他の収録作品もほぼこれに準じている

*2 本作は海外版も日本版と同タイトルだが、相違点は「原始島」のサブタイトルがないだけである

*3 1P側のパイロットは「ラフなアーミールックの傭兵風の男性」なのに対し、2P側のパイロットは「ノースリーブで開放的な格好の女性」とまったく正反対な見た目。

*4 残機制の場合は出荷時設定で3機

*5 ライフ制の場合。残機制では1upアイテム

*6 他の例では同年稼動の『ぐわんげ』ぐらいだろう。

*7 ライフ制、残機制共にスコアではエクステンドしない