グラディウスIV -復活-

【ぐらでぃうすふぉー ふっかつ】

ジャンル 横スクロールシューティング
対応機種 アーケード(KONAMI HORNET)
販売・開発元 コナミ
稼動開始日 1999年2月4日
プレイ人数 1人~2人(交代)
判定 ゲームバランスが不安定
シリーズファンから不評
ポイント 過去作の焼き直しだらけ
美麗だが活用されていないグラフィック
ランダム要素で運ゲー化
グラディウスシリーズ


概要

人気横スクロールシューティングゲーム『グラディウス』シリーズのナンバリングタイトル第4作。
アーケード作品としては1989年の『グラディウスIII -伝説から神話へ-』以来10年ぶりの新作。
グラフィックには3Dポリゴンが採用され、発表時のビジュアルの美麗さもあってファンの期待が寄せられていたが、焼き直しが非常に多い構成により、ファンから落胆されることになった。


問題点

本作の問題点は様々な要因が重なってのものだが、これらは概して言えば過去作からの焼き直しが起因となって「演出面」と「ゲームバランス」の二つに分けられる。

全体的に目新しさの乏しい演出

  • ステージ構成・ギミックなど全体的なゲームデザインに目新しさがほとんど見られない。
    • 1面(流体金属ステージ)からして『グラディウスII -GOFERの野望-』の1面(人工太陽ステージ)のグラフィックを差し替えただけと言っても過言ではない程そっくりである。
      • BGMは流石に同じではないとはいえ、かなり類似性を感じさせる曲になっている
    • 以降のステージも植物、火山、細胞、高速スクロールと、多少のギミックの違いはあれど既出の過去作品の焼き直しといったモチーフばかりが続く構成。
      • 幾つかのステージにシリーズ屈指の凶悪さをもつギミックがあるが、この点については後述に譲る。
  • 各ステージのボスも攻撃方法やデザインに独自性の少ない、面白みに欠けるものが多い。
    • グラディウスシリーズは伝統的に個性や先鋭したボスが特徴の一つとなっているが、本作は総じて過去作品でどこかで見た事のあるような攻撃方法、もしくは過去作品のボスそのものに若干+αしたようなボスばかり。
    • 攻撃パターンのバリエーションも当時の他のSTGと比べても少なく、例えば攻撃方法自体もレーザー系攻撃のグラフィックや効果音が似たようなものばかりでケレン味に著しく欠ける。
      • 比較的印象的なボスといえば、強ボスと評される6面ボス「ベリアール」と、本作では最も多彩な攻撃方法を有する7面ボス「ローリングコア」ぐらい。
  • グラフィックが3D化されたが、全く活用されていない。
    • 前述のようにボスキャラの動きなども2D時代とあまり変わらず、しかも3DCGならではの演出も無いため「とりあえず3DCGで作った」状態になっている。
      • 演出に乏しいのは3DCG化の初期作品だから・・・ということはなく、本作はどちらかというと後発にもかかわらず先行した作品がすでに3DCGの特性を活用した演出等を駆使していたことから見劣りをしてしまっている。
    • グラフィックそのものは綺麗なので、あくまで「グラディウスらしさ」にこだわった結果とも言えなくもないが、実際は下記に挙げるようにミスマッチが激しい。
      • 単機の挙動が有機的に滑らかになっているが、逆にボス撃破時の爆風エフェクトなどは特撮のような画風に加え、その割にコマ数の少ないアニメーションが採用されているために特に画面上から浮いている。
      • 攻撃がヒットした敵のモーションも色反転による雑な点滅が採用されており*1、生物系ボスはなまじ有機的に動くだけに乱雑な点滅は目に付きやすい。強いて利点を挙げるなら当たった事が分かりやすいことと言えるが、コア系など機械類ボスにはそもそも命中時の視覚的な表現はないので結局無用である。
      • 障害物は書き込まれている部類だが、さらに奥にある背景は単色系のグラデーションか「無い」のどちらかが多く深みが無い。グラフィック全体の平たい印象を強くしている。
    • 解像度が高過ぎたのか一部のモニターと相性が悪くチラチラする*2問題もあった。また、この解像度の高さに頼り過ぎたのかビックバイパーや敵、敵弾等が小さくなり、迫力が無かったり見づらかったりする。
  • 効果音やエフェクトが地味すぎて、爽快感が出にくい
    • よく遭遇するハッチで言えば、これまでのように「ドカン!」という感じの大げさだが爆発したことがわかりやすい破壊音だったが、本作だと「ゴポッ」とかなり拍子抜けする音になっている。例としてハッチを挙げたが全般的にこのようになってしまっている。
      • エフェクトも全般的にかなり地味にされており、爆発エフェクトで言えばちょっと表示されてすぐ消えてしまう。
    • 音質が上げられなかったのか、全般的に効果音がくぐもった感じである。過去作と比べると効果音の音量もかなり小さくされている。さすがに全く聞こえないわけではないが、複数の敵を一気に倒しても結構音が出ない。
    • 以上のような状態のため、シリーズ恒例のたくさんの敵をフル装備でなぎ払うシーンでも効果音も破壊エフェクトが地味で見栄えもあまりしないため爽快感も出づらい。

ゲームバランスの問題

  • 自機性能のバランスの悪さ
    • 本作の機体のタイプは『II』から継続の4タイプに、新規の2タイプを加えた計6タイプからの選択となっている。ちなみに『III』にあったエディットモードは本作には無い。
      • 強さは全般的に、6番≧5番>4番>3番>2番>1番の順に強いと言われている。下段の装備程強いのは『II』と同様の傾向。
    • しかし、ツインレーザーとフライングトーピドゥー(空中で直進する2連ミサイル)で圧倒的な攻撃力を有する6番装備があまりに強く、他のゲージの立場がなくなっている。
      • 但し、6番装備はフライングトーピドゥーの弾速の遅さから、要塞面のハッチ地帯に弱く、後述のように他タイプと比較すると1段階高いスピードアップが要求される。
    • もう一方の新装備である5番装備はミサイル武装のバーティカルマイン(爆風を縦に生じる爆雷)が高威力で便利であるものの、レーザー武装のアーマーピアッシング(光の軌跡を残す徹甲弾)があまりにも弱い。
      • アーマーピアッシングは当たり判定が先端にしか無い上に連射不可。ノーマルショットの方がレーザーより強いという、本来あるまじき状態となっている*3。唯一3面の泡に対しては異様に強いが*4、うっかり装備してしまった場合、以降はダブルでの攻略を余儀なくされる。
      • 逆に言えば「バーティカルマインとノーマルショットだけでどうにかできる、していく」というコンセプトであり、復活時のパワーカプセルの必要数や攻撃の自由度では6番装備より強力な点も多く、こちらを愛用するプレイヤーも少なくない。
    • 『II』から続投の1~4番装備にいたっては、連発不可の上威力低下のスプレッドボム、地形や装甲等に引っかかりまくるリップルレーザーなど大幅に弱体化している。
      • スプレッドやリップルの弱体化は『外伝』から引き継いでいる面もある。問題は『外伝』にあった高火力装備が今作には5番装備のバーティカルマイン位しか無いことである。
    • アーケード版『II』『III』のリップルは「攻撃判定は上下に広がるが、自身の食らい判定は最初のまま」という特徴があり、装甲(細い通路?)・地形に引っかからなかったのはその為。レーザー系が道中はいいがボス相手に罠装備な傾向がある今作で、見た目どおり作ったリップルがちょうどいい塩梅だったのかも。
    • シリーズの代名詞である1、2番装備の「レーザー」もザコ敵にはそれなりに強いが、耐久力のある敵にはノーマルやダブルよりダメージが入りにくく(見た目と違い先端部が当たった時にしか攻撃力の判定が発生しない為。)、アーマーピアッシング同様に地雷装備となってしまった。
      • この仕様は初代『グラディウス』での触手細胞にレーザーを当てた時にも発生する。過去作からの反省が活かされていない。
    • 防御面もシールド・フォースフィールド共に『II』と同様の仕様になり、防御力が『III』の半分になっている。
      • 被弾時の無敵時間も非常に短くなり、『II』で可能だった地形接触時の無敵時間を利用して地形の中を強引に通り抜ける技がやりにくくなっている。
  • 安直な調整にもかかわらず、明らかに問題のあるゲームバランス
    • 「バランスの良かった『II』のものをベースにすれば、バランスがとれるだろう」と後にスタッフが述べており、安直な調整をしていた事が発覚している。
      しかし、『II』をベースにしているとは言ってもその『II』からの各装備の弱体化が著しく、その『II』からのバランス調整すら活かされていない。
    • 本作の自機性能は総じて「純粋に火力が低すぎる」点が酷く、強いとされる6番や5番は「ミサイルがピーキーな動きをしてメインショットの代わりを果たしてくれるため」まともなSTGレベルの火力をなんとか保てるからである。
    • 更に本作の高次周は「6番装備ではスピード5速必須」とまで言われている。ほとんどの周回プレイヤーは6番装備で「4速、最終面は5速」というプレイスタイルを敢行することとなり、「従来のシリーズでネタでしかなかったカンスト速度」が望ましいとされる異常事態に。
      • 原因は「オプションの間隔が大幅に狭まったため5速まで上げざるを得ない」というもので、回避のために5速(4速)必要とされたわけではない。それくらい本作のオプション性能と最終面の敵配置は噛み合っていないのである。
    • 難易度面で「極悪」と言われた前作の『III』は自機側もレーザー、ミサイル、オプション配置などシリーズ最強レベルまで引き上げられ、プレイヤーに爽快感を与えた点は長所として評価されてもいた。しかし、それらは本作ではほとんどチャラとなってしまい、それどころか前々作『II』にも劣る性能になってしまっている。
    • これらの劣悪装備の数々ではあるが、当時のゲーム雑誌の集計から一応全装備で複数周回はされている(後述するインターネットランキングが実装されたのも集計としては大きいが。)。
    • なお、上述のようにレーザーがボス相手には実質機能しておらず、ボスの耐久力が全体的に高いことから、連射装置なしではかなり攻略は厳しくなる。
      99年当時ともなれば概ね連射装置は普及していたがデフォルトでは当然フォローされていない。このあたりも「レーザーがまともな性能なら」という点が惜しまれる。
  • ランダム要素多用による運ゲー化
    • 本作は敵が有機的な(グロ的な)動きをするため、敵の攻撃をパターンを覚えて回避するより、アドリブ的な避けを各所で要求される。
      その最たる例が3面(泡ステージ)の泡と氷ブロック、6面(細胞ステージ)の触手で、そのアルゴリズムは完全なランダムでありパターン化がほぼ不可能。これにより本作は「運ゲー」と言う悪評を得る事となった。
    • 両者とも運が悪いとプレイヤーの行動云々にかかわらず完全に詰む事がある(特に3面の狭い通路に破壊不能の氷が引っ掛かるのはどうしようもない。)。AC版『III』を周回できる猛者シューターが本作は1周で投げたという逸話も残すほど。
    • グラディウスは元々綿密なパターン化によって一見クリア不可に見える局面を上級者は安定してクリアしていく姿が見られる、典型的な「覚え系STG」である。これは1周目から高難度を誇った『III』ですら例外ではなかった。
      そのため『III』を否定しないリピーターは「努力が報われる良いゲーム」としていた点を評価する人間もいたため、高速で動く自機をアドリブで制御するプレイヤースキルを求められる本作はあまりにゲーム性が異なり、「受け入れがたい」との評を受けるのは当然だったといえる。
    • これらに加え最前線を行く超上級者が「最も安定する6番装備では5速必須」「全一プレイヤーでも5周目でのミスが避けられない」など、伝聞だけでユーザーにマイナスインパクトを与える要素が多かったのも評価を下げる要因となった。
  • 上述のように開発側は本作のバランス調整に『II』を参考としたとしているものの、実際のところ本作の難易度は『III』に近いかなりの高難易度である
    1周ですらシリーズ屈指を誇り、『III』をクリアできる程の腕前がないと厳しい。「ランダム性が高すぎる本作の攻略は、パターン化による攻略が概ね通用する『III』よりも厳しい」という声も一部では聞かれるほどである。
    • 周回以降の難易度の上昇ペースは前作を遥かに上回っており、シリーズ最高レベルを軽々と突破した。本シリーズ周回難易度の一つとして「1000万点」という指標があるが、開発側はそれを当然意識して本作では9,999,900点でカンストとなっており、集計が早々に打ち切られ達成者が少ない『III』の1000万点より本作カンスト者の方が少ない(あるいは同レベル。)。
      • 最終的には先にカンストが達成された4/5番装備以外は永パが確認されてしまったためにアルカディアでの集計は終了している。
    • 90年代後半にはSTGのゲーム性が弾回避による爽快感へとシフトしていたためか、高次周での難易度上昇は「撃ち返し弾を高速にして最大5発」「従来は撃ち返して来なかった破壊可能弾なども容赦なく撃ち返してくる」とかつてないレベルまで強化されている。
      • 具体例として、高次周の1面ボスは第1形態のブレス弾の物量・弾速が凄まじいことになっており、しかもその全てが撃ち返してくるという理不尽な有様となっている。幸い背後が安地だが、ダメージを与えられないまま第2形態に移行してしまうと移行先の形態がランダムになってしまう。
    • にもかかわらず、自機の攻撃性能や防御性能は大幅に下げられており、「弾幕STG」にみられる「弾の多さに対する対策(『R-TYPE』のフォースや『怒首領蜂』シリーズの小さい当たり判定など。)」が全く練られていない。
    • 工場出荷設定でのスコアエクステンドは「1回目7万点、2回目以降15万点」とこれまでと比べて要求スコアが引き上げられている。1周辺り3~5機と少なすぎる訳ではないが、下記のランクシステムの仕様と合わさると無視できない問題点になりうる。
    • 本作のランクシステムは従来のステージランク、装備ランクに加えて『パロディウス』シリーズで存在していたタイマーランクが実装されている。周回制だからか『パロディウス』シリーズ程露骨ではないが装備状態によって上がりやすく*5、更に「1周目でも1回ミスだけでは下がり切らず、同じ場面で更にミスする事でようやく最低になる」仕様。ミス後の復帰には複数の残機をつぎ込むケースが多く、上記のエクステンドの少なさが足を引っ張る事になる。
    • 本作の評判を聞いてか、トレジャーの外注によって作られた続編『V』では総じてパターン化が通用する作りに回帰し、敵の攻撃が強力になった一方で自機性能も大幅に引き上げられた『III』に近い作風になっている。

その他の問題

  • 前作と同様、多発するバグ。中には重大なものも。
    • 自機のレーザーの先端が画面内にある時、装備をダブルに変更すると、レーザー先端の当たり判定がそのステージ内だけ画面に残り続ける。うまく使えば攻略の手助けにはなる。
    • 2面ボスの撃破と同時にエクステンドすると、稀に効果音が消える。
    • 稀に3面の泡や氷が地形にハマり、短いスパンで何回もの反射を繰り返すことがある。この反射の際の加速にリミットが無いため、havok仕様でもないのに異常な速度で吹っ飛ぶことがある。
    • 極太レーザーの発射準備をしたローリングコア(前述参照)の後ろに回りこむと、場合によりボスが硬直する。その間は自爆もしないため、復活砲台を利用すれば永久パターンが成立。
    • 『III』で多発した敵の理不尽な当たり判定についてはあまり見られないが(ダッカーの判定が大きめな位)、地形の判定がおかしい所が多く、すり抜ける所があったと思えば、近付いただけで死んだりと不安定である。
+ 各ステージの詳細な問題点
  • 1面(流体金属)
    • 各所に巨大な流体金属の球体が配置され、そこから金属龍が出現するステージ。上記にもあるが、完全に『II』の1面の人工太陽と火龍を流体金属に差し替えただけである。
    • ボスはヨロガトン・キメラ。第一形態は白色、緑色、青色の3つの首を持つドラゴンの姿で、どの色の首に一番多くダメージを与えたかで第二形態が変化するギミックを持つ。
      • 第二形態は形態ごとに強さがはっきり分かれており、対処が楽な触手形態(青色)に変形させるのが定石だが、誤って亀形態(白色)に変形させてしまった場合、1ボスとしてはやや熾烈な攻撃に晒される事になる。
  • 3面(バブル)
    • 本作最大の問題とされるステージで、多くのプレイヤーを理不尽に挫折させた。全体的に狭い通路に撃つと分裂する泡と破壊不能の結晶が漂っている。
      • 『II』の結晶ステージと『III』のバブルステージを組み合わせただけという安直な構成の上に、2つのステージを足して2で割るどころか2倍したかのような難易度
    • 大泡と結晶の配置自体は固定だが、泡と結晶の反射角度や加速、画面上下端から出現する小泡の量にランダム性が強く、対処にアドリブが要求される。
      • また、泡が分裂する動きをしている際は全くダメージを与えられない上に接触判定も残っているため、分裂中の泡にぶつかるとシールドがあっても即死する。スタッフによると、この割れるアニメーションについて「IIIの泡に違和感があって、こういうのをやりたかった」とのことだが、見た目を重視するあまり、結果的にゲームバランスを蔑ろにしている。
      • しかもこの泡、ショットで弾力性のある割れ方を表現している割に結晶障害物とは固形物のようにカンカン弾き合っているので演出としても違和感が凄まじい事になっている。巨大な結晶が小さな泡と反射して急加速するので対処も難しい。
      • 更に泡を分裂させた際にいきなり方向転換や加速し出す等の不可解な挙動をすることもあり、軌道の読みにくさに拍車をかけている。
    • ボスはバブルコア。ここでも泡の読みにくい動きに苦しむことになる。
    • 本作は2周目以降は前半面の地形が変化するが、この面に関しては全体的に広くなるため難易度が下がる感がある。ボスについても画面外に誘導出来る様になるため弱体化している。
  • 4面(マグマ)
    • 前半は恒例の火山、後半は波打つマグマ地帯と二面性を持つステージ。
    • 本作の中では比較的理不尽さが無いステージだが、逆にシビアなパターン性による窮屈感が目立つ。敵やハッチ処理を誤ると危険な状況に陥る点が『III』と相変わらずである。
    • ボスはギラードル。開幕の超速WAY弾はおそらく安地前提。3周目以降はばら撒かれる小虫の撃ち返しが酷く、『III』のヴァイフの恐怖再びである。
    • 2周目の地形の構成も凶悪で、シリーズ屈指の高難度ステージとなる。
  • 5面(モアイ)
    • 恒例のモアイ面。『III』であったイオンリングのシールド貫通はなくなったが、モアイの吐くイオンリングの数がさらに尋常ではない程に多くなっている。さらにイオンリングが従来作と異なり直線ではなく拡散するように吐き出される為避けるのも一苦労。
      • そのうえ全体的に通路が狭く逃げ場がほとんどない。そのため通るルートの構築がこれまで以上に重要で、これを怠るとあっという間にイオンリングに囲まれて圧殺される。
      • 後半は灰色の復活モアイが登場。破壊してもすぐに甦るので(しかも発狂し、イオンリング発射量が増大)、一時破壊しておくタイミングを見極める必要があり。
      • たまに崩れ落ちたモアイの破片が宙に浮いたまま固まるという謎の現象が起きる。
    • ボスはアー&ムー。初見殺しこそ多めだが、回避自体が難しい攻撃はなく前後面のボスと比べてまだ倒しやすい強さなのは救い。
  • 6面(細胞)
    • 3面と並ぶ高難度ステージ。序盤は血管地帯で、血管を破壊するとアメーバが次々に出てくるがその数が尋常ではない。あまりの多さに既に出現しているアメーバがキャラオーバーで突然消滅するほど。アメーバ出現時に前兆がないため、非常に厳しい。
    • 後半は本作最悪のザコ敵とされる触手細胞(通称:ヒトデ、タコ)が出現。倒してもすぐに同じ物が出るうえ、こちらの攻撃に対し高速で振り回す腕の判定が大きいために出現タイミングによっては詰む*6ので、本体を全く攻撃せずスルーしつつ腕からのアメーバや弾に対処する事例も出てくる。結果、キャラオーバーを利用するというバグに近い攻略法を強いられる。
    • 終盤におなじみ復活細胞壁があるが、レーザーだと異様に掘り辛いほか、AC版はやたらと処理落ちがかかる。
    • ボスは本作最強のベリアール。弱点の目と目玉ビットからのレーザー乱れ撃ち、振り回す腕から弾を連射する。高速レーザーと低速弾という厄介な組み合わせに加え、これらはバリアを貫通するため正確な弾避け技術を要求される。
      • しかし、レーザーは発光や残像がきつく錯覚を起こしやすいうえ、腕からの弾が重なると弾を隠してしまうという技術以前の嫌がらせが付く。
      • 振り回す腕や弱点前の触手が邪魔で弱点に撃ち込みづらい。特にリップルは触手に阻まれ殆ど当たらない。
      • 苦労して倒しても、最期(死に際)に物凄い「初見殺し」が待ち受けている。一応、よく見れば躱せる部類ではあるが・・・
    • エクステンドした大量の自機を「1周クリアを目指す人」から「カンストするまで周回する人」までこのステージの後半のやり直しで吐き出すのが恒例となっており、実際ハイスコア集計を行っていた雑誌のコメントも、高次周のこのステージのコメントが大量にあった。
    • ベリアールについては現在では速攻撃破パターンが確立されているが、実行にはほぼフル装備で到達する必要があり、極悪な道中のノーミス突破が必須となる。
  • 7面(高速)
    • 『III』にもあった高速面。ギミックが似ていることから、通称「イライラ棒」と呼ばれている。
      • 通路が他のシリーズ作の高速面と比べて狭いうえ、細かい位置調整を強いる風車のトラップが各所に配置されており、シリーズ一凶悪な高速面となっている。
      • かと思えば地形の判定が不可解な個所が多々あり、すり抜けてしまう所がある。
    • ボスはローリングコア。1周目では取るに足らないボスだが、復活砲台のせいでベリアールと同じくリップルはなかなか弱点に届かない。
      • ボス撃破時に画面内の敵のレーザー等が消えるが、たまに当たり判定だけ残る事があるので、運が悪いといきなり死ぬ。
    • 前のステージの後半で死にまくり、ほとんどのプレイヤーがほぼ裸でボスと戦うのが恒例の次のステージ、なので安易にクリアだけでは許されず、しっかりパワーアップカプセルを回収する必要に迫られる。
    • 『II』では高速面のみオプションハンターが出現しない配慮がされていたが、今回は出現条件を満たすと容赦なく出現する。
  • 9面(要塞)
    • 恒例の細やかな地形ギミックが目白押し。入口は大量のハッチと砲台が待ち構えている上に、細いクランク状通路でバリアが使い物にならない。ミサイルの遅い6番装備では苦戦する。ステージの最難所で、復活が最も困難なポイントでもある。
    • しばらく進むと突然要塞自体が回転し、縦スクロールとなる。縦通路は狭いうえにまたも砲台とハッチの嵐である。ここも正確なオプション配置が必須で、テイルガン装備だと有利。
    • どの装備もしっかり対策が必要となるが、周回時は6番装備以外は4速、6番装備は5速を必要とされるとんでもないステージであり、更に高速で制御しにくいにもかかわらずステージは狭く敵弾は多く処理落ちはほとんどかからない、と『III』を周回していた猛者や他の高難度STGでならした猛者すら挫折させる最終ステージ。6面と違い、高難度にもかかわらず復活が絶望的であるのも特徴で、最初にカンストを達成したスコアラーが本ステージの難所で復活を一度成功させたことが書かれたくらいである。
    • ちなみに9面でのゲームオーバー時のみコンティニュー不可(何周目でも一緒。)。

賛否両論点

  • BGMのクオリティは決して低くはないのだが、賛否が分かれる。
    • 雰囲気面について、『III』までとは一線を画しており、良く言えば神秘的なのだが、悪く言うと全体的に音色が軽い。
      • メインBGM担当はギタドラシリーズで楽曲を提供している渡辺篤紀(Atsuki)氏。どちらかといえばオシャレな曲を得意とするコンポーザーである。また、『サイレントスコープ』や『ザ・警察官』などで知られるJimmy Wecklこと上高治巳氏もBGM作曲に参加している。
    • 評判の良いものとして空中戦BGM2「FEITON」、植物面BGM「DEMETER」、要塞面後半BGM「ATHENA」が挙げられる。
      高速ステージのBGM「DUPON」は朝日放送テレビのクイズ番組『パネルクイズ アタック25』でも使われていたので、ゲームを知らずとも耳にした人もいるだろう。
    • どのBGMもステージの雰囲気とはある程度合致したものであり、極度に使い所を間違えているようなものは存在しない。
      • 強いて言えば上記の「ATHENA」が爽やか過ぎて過去作での同シチュエーションでの楽曲(『II』の「THE FINAL EMEMY」及び『III』の「FINAL SHOT」)にあった緊張感が薄いということくらいか。
      • サウンドトラックにはフュージョンアレンジも収録されており、こちらは好評。
  • 曲数の問題ではボス曲が2曲しかない事が槍玉に挙げられる。
    • その2曲も過去シリーズのボス曲のアレンジで、モチーフが似たり寄ったりな上、音色のセットまで同じなので実質単曲の音源違いといっていい。ラスボスも同じである。
  • 旧シリーズでは曲の少ない作品も珍しくなく、ある意味では伝統とも言えなくはない。
    • 通常ボス・ボスラッシュ共にAC版『III』と同じラインナップではあるのだが、既に家庭用版や移植版で曲数の補強された作品を複数経ているだけに、回帰の仕方が悪い方向に目立ってしまった。

評価点

  • 7面ボスであるローリングコアは外見、攻撃パターン共に特徴的であり、ファンに強い印象を残している。
    • IVのボスは印象の薄いものが多いのだが、このローリングコアのみに関しては、以降のシリーズ作品である『V』、『オトメディウス』のボスラッシュに採用されており、人気ボスとも言える立ち位置を確立している。
    • またシリーズ愛用者で本作を低評価するプレイヤーも2面を「面白い」と高く評価することもある。植物ステージそのものは過去作でも何度かあったが、各所に配置されているツタのギミックは問題点で挙げた有機的な挙動を上手く活用しており、独自性があって面白いと評価する人も多い。
      難易度も序盤ステージだけあって控え目。高次周でもSTGが得意なプレイヤーなら復活パターンの作成、実行が可能と十分攻略している実績もある。
  • グラフィック自体はとても綺麗。
    • 512x384という当時のAC基板としての破格の解像度*7、当時のポリゴンゲームに多かったぼやけたテクスチャなどがあまり見られないなど、グラフィック水準自体はかなり高い。
    • また上述のように2D時代ではあり得なかったような滑らかな動きをする敵が多数登場するなど、この基板性能が活かされていないわけでは決してない。
    • つくづく、この基板性能に見合った演出などがあまりに乏しかったことが惜しまれる。*8
  • 問題点で挙げた通り難易度バランスは悪い本作だが、改善しようとしてる点も一応見られる。
    • 序盤の1、2面道中は嫌らしい敵配置、ギミックが控え目で比較的遊びやすい。
      • 『III』で指摘されてたパワーカプセル出現量の少なさが改善されており、順調にパワーアップできれば2面序盤でフル装備にできる。
    • フル装備になっても気が抜けない一方で、1周目における復活パターンの実行難易度は他のアーケード過去作程シビアではない意見もある。場面毎の難易度差はあるとはいえ、パワーカプセル出現量が改善されたこと、ミスをしてランクが低下すると攻撃が明白に穏やかになる事が大きいだろう。
      • 8面のボスラッシュはこれまでと異なり途中でミスをしても、開幕のザブラッシュの後やられたボスから再開される仕様であり、本作での数少ない救いの1つとされている。
        最終面の最後に控える恒例のクラブ地帯も今回はダッカー等の他ザコからの邪魔がほぼ入らないため、過去作と比べて突破しやすい。
      • 『III』も1周目であれば一応どこからでも復活可能ではあるが、場面毎の難易度差が激しい上に復活自体が困難なポイントも多く、余程の腕がない限り1回のミスで事実上詰みに陥る事が珍しくなかった。
  • テンポの改善
    • 約45分~1時間の長丁場だった『III』の反省からか、本作では1周クリアにかかる時間は約35分前後に収まっている。極端な長さのステージはなく常時強烈な処理落ちに見舞われる状況もないため、比較的テンポよく進んでいく。
      • シビアなパターンだけでなくアドリブで対処する(=高いスキルと集中力を求められる)場面もあり、プレイヤーの集中力維持の観点から見てこの調整は妥当と言えるだろう。
  • コンティニューの実装
    • 本作はグラディウスのAC版ナンバリングタイトル(国内のみ)で初めてコンティニューが実装された。
    • アーケード版グラディウスシリーズにおけるコンティニューの実装については、伝統の1機ゲーっぷりから初心者は「誰得」と思うかも知れないが、本作は上記の通りミス後のランク変化が分かりやすい調整であるため、遅まきながらの実装で漸く日の目を見たともいえる。
      • ……と、言いたい所だが、本作では「最終面に限ってコンティニューが不可能」という欠点もあるため、最終面での復活は残機頼みになっている。
  • 1999年というご時世に、周回ループ仕様のゲームをアーケードゲームで出した点。
    • 周回ループは今現在のゲームセンター事情ではどうしてもオペレーターに嫌われる傾向がある*9が、「グラディウス」シリーズの通例でもあったため、発売前から注目されていた。この点に関してはゲームバランスに影響はないので、安易に一周(または二周)エンディングの形式にせず、通例を守り通したことは評価されるべきといえる。
    • 基板の設定によっては2周ENDになっている場合もある。
      • 周回設定は「1LOOPEND 2LOOPEND ENDLESS」から設定できるが、工場出荷設定は「2LOOPEND」である。これから開発側としてはインカム面から1000万までダラダラとプレイされるのを避けて貰いたいというのが窺えるだろう。

総評

一言で言うと、「名作の焼き直しだけでは名作にならない」ことを体現した作品。

3D化したにもかかわらず過去作の模倣だらけで新鮮さがないこと、安直な調整によりことごとく弱体化された武装の数々、そしてランダム要素による運ゲー化でパターン構築の面白さの低下など、グラディウスシリーズ作品として褒められる点がほとんど存在しない。
中でも過去作の使い回しを多用したことで余計に劣化した要素が目立ってしまい、ファンから厳しい目を向けられる事になってしまった。
また、美麗な3Dポリゴン、過去作とは作風を変えたBGMなど、本作ならではの要素も活かしきれておらず、残念ながら受け入れられたとは言い難い。

本作稼動当時のコナミはSTGにて『セクシーパロディウス』など微妙な作品が続いていた上、既に他のジャンルでの売れ筋を作り出していた時期にあった*10
そのような中、STGにおける起死回生の一作として送り出された本作だったが、結果はコナミのACシューティングに致命的な一撃を与える形となってしまった。
特にバランス面の調整で「『III』があれほど否定の声が挙がるにもかかわらず賛成派が声を上げる『IIIならではの良バランス』」を前作の開発者は思いっきり意識してユーザーも答えたにもかかわらず、本作ではそれを全て捨て去ってしまった(高火力、爽快感、オプション間隔。)。
このあたりこそが、当時既に続編を作る能力がなかったと言われてしまう所以だろう。
少なくとも装備のバランスに関しては、前作の『III』の良い点を引き継いでおらず、本作の手本にした『II』の良さも再現できなかった。


その後の展開

  • 本作を最後にコナミ製作のACシューティングは終焉したと言っていい状態であり、2007年に登場した『オトメディウス』を除いてACシューティングの展開は途絶えている。
    • また、本作の移植においても単体での移植は無く、PS2『グラディウスIII&IV -復活の神話-』およびPSP『グラディウス ポータブル』と、どれも他作品とのカップリング・オムニバス収録となっている。本作の立ち位置が良く現れていると言えよう。
      • なお、これらの移植版では難易度を最低のEASIESTに設定すると「3面の泡が壊れやすくなる」「ただのエフェクトだったアーマーピアッシングの残像部分にも当たり判定がついて、使い勝手が向上」等の移植版独自の調整が適用される。
  • ファンからも「コナミにはもうSTGを作る技量がないのでは」と囁かれる様になり、事実本作から約5年後に家庭用オリジナルとしてリリースされた次のナンバリングタイトル『グラディウスV』の開発担当はコナミではなく外注のトレジャーとなった。
    • その『V』が国内外で高い評価を得て良作として認知されているのはなんとも皮肉な話である。
    • なお、このトレジャーは元コナミのメンバーが独立して設立した経歴を持つメーカーである。この点も皮肉であろう。

余談

  • 本作の2年前にリリースされた家庭用オリジナルタイトル『グラディウス外伝』は地味な広告や外伝という名の通りのスタイル変更から風当たりがあり、グラディウスの新作として好ましい評価を得られなかった過去がある。それが『IV』の失望感から今では良作として、或いは(現金な話だが)順当に進化したグラディウスの一つだと再評価され、これまた皮肉な話となった。
  • 後のスタッフインタビューにて、本作の制作においては「過去のシリーズファンを意識しゲームデザインを意図的に『II』に似せた」と述べられているが、その一方でランダム要素導入について「安易なパターンゲー化を避けるため」とも述べており、この制作コンセプトのチグハグさこそが、プレイヤーを落胆させた一番の要因であったと言える。
    • また同インタビューで、本作独自のギミック(泡の割れ方や、6面の撃つと反応する触手)について「こだわって作った」「こういうのを表現したかった」と述べているが、そのこだわった部分が軒並みバランスの悪さで批判されているのも、やはり皮肉な話である。
  • コナミが展開する『遊戯王OCG』に、グラディウスシリーズに登場するキャラクターがモンスターカードとして登場しているが、2021年現在今作がモチーフになったカードは未登場。
    • 2019年に『V』に登場する「ビックバイパーT301」及び「ブラスターキャノンコア」が登場しており、今作だけスルーされる形となってしまっている。

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最終更新:2024年02月06日 23:48
添付ファイル

*1 ファミコンやゲームボーイ時代の手法である。

*2 詳細はインタレース・モードで検索。2画面を高速切替して高解像度を表示する。

*3 一応前作『III』の時点で、「ノーマルショットの方がサイクロンレーザーより有利な場面が多い」という強弱の逆転現象の例はあった。

*4 泡に攻撃が命中した際、風船のように凹む演出があることから、徹甲弾で切り裂くようにして効果的に攻撃できるという設定を表現したものと思われる。

*5 特にシールド、フォースフィールドを装備すると目に見えて上がる。

*6 壊し続けると画面中央上下から出現されて、左端で攻撃してもハタかれてしまう。

*7 当時は家庭用・AC問わず画面解像度は320x240が主流だった。

*8 ちなみに本作に使われているHORNET基板は15KHz/24KHzに対応した表示モードを持っており、本作では24KHzモードを標準としていることから高精細な描画を実現している。なお、24KHz非対応のモニタの場合でも基板のディップスイッチで15KHz設定にすれば動作は可能だが制約が生じるため本来の画質ではない。

*9 昔のゲームは、「うまくなれば1コインでいつまでも遊べる」というのを売りにしている部分もあったが、「100円で延々粘られては商売にならない」というゲームセンター側の事情を考慮し、現在では明確にエンディングが存在したり、決まった時間の1プレイを終えたら強制的にゲームエンドとなる作品がほとんどである。

*10 beatmaniaシリーズの作品群が隆盛を迎えつつあり、本作のコンポーザーが音ゲー方面で知られる人物であったこともそれを象徴している。