ゴーストパイロット

【ごーすとぱいろっと】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード(MVS)
販売・開発元 SNK
稼働開始日 1991年
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 凡作の域を出ない
展開が無駄に遅く単調
地味に高難度
「一回のミス=即死」も珍しくない


概要

  • 西暦194X年、資源不足に悩む「I国」「D国」2大軍事国家が、資源が豊富であることが分かったF国に侵攻した。F国首脳部は、味方すら知るものは少ない「ゴースト」と自らを呼ぶ飛行チームに秘密裏に通達を出した。“ゴーストパイロット”が「I国」「D国」に立ち向かうべく出撃する、という設定の縦スクロールシューティング。
  • ゲームシステム自体はオーソドックスで、メカデザインやステージ構成等所々で『飛翔鮫』へのオマージュが見られるのが特徴。

基本システム

  • 全12面。8方向レバー+2ボタン(ショット、ボム)で操作。
  • ボンバーは1面開始時、2面開始時、7面開始時、12面開始時に選択が可能。
    • 自機のすぐ前方に巨大な爆風を発生させる「ダイナミックボンバー」、発射後にレバーで方向を制御できる「フラッシュボンバー」の他に、2面開始時、7面開始時は、地上ルートなら「ナパーム」、空中ルートなら「援護攻撃」も選択できる。
  • 赤い敵編隊を全滅させると、S(ショット1段階パワーアップ)や、B(ボム1個補充)が出現する。地上物を破壊すると☆(ステージクリア後、取った数に応じてボーナス点が入る)が出現し、特定の場所で1UP(エクステンド)が手に入る場合もある。スコアによるエクステンドは存在しない。

問題点

本作は2つ同時に出たネオジオ初の縦シューティングゲームのうちの1つである(もう1つは同日に出た『ASOII ラストガーディアン』。こちらはASOの続編ではあり、出来は悪いわけでは無いが何故かかなりマイナー)。だが、ネオジオ最初期という事を差し引いてもゲームの出来が良いとは言いがたい。

横画面の弊害

  • 本作は横画面縦スクロールシューティング(以下、STG)なのだが、ハッキリ言って横画面だということへの配慮がまるでなされていない。その最たる例が「画面の横スクロール」だろう。
    • 確かに、通常の縦STGにおいては、画面がある程度横へとスクロールするのは極自然な仕様なのだが、このゴーストパイロットは画面の比率も考えず、無思慮に横スクロールを導入してしまった。そのため、自機の動けるフィールドが異常なほど左右に長くなっており、うかつに自機を左右に動かすとどこぞの東亜シューティングよろしく、横にいた戦車に弾を撃たれてやられやすい。
    • その後、『レイストーム』や『マーズマトリックス』、同じネオジオの『ソニックウイングス2』等横画面縦スクロールSTGが発売されているが、横スクロールが無い作品が多い。

非常に高い難易度

  • 自機の移動速度は遅く、移動速度を向上させるアイテムも存在せず、さらにショットはどれだけパワーアップしても前方集中形である。さらに、当たり判定も大きく(両翼にカスった程度でもアウト)、敵機も自機に体当たりしてくるような動きをするものが多い。以上の理由により、敵弾や敵機を回避しづらいので相当な高難易度である。オマージュ先の『飛翔鮫』どころか続編の『鮫!鮫!鮫!(1P版)』に引けを取らないほどの凄まじさといえる。
  • 加えて前述したように、横画面縦スクロールであることに配慮した創りではないどころか、意地悪なことに動ける範囲内全体に敵が配置されている場面も珍しくないため、常に横軸の画面外にも気を配らなければならない。
  • そして本作の難易度を著しく上げている原因の一つに、「ミスした時の救済措置が存在しない上に、装備(パワーアップ状態と所持していたボム)も当たり前のようにリセットされる」というものがある。
    • 被弾や衝突によりミスした時はその場での復活になるが、この時にはアイテムを一切放出しない上に、なんと無敵時間も一切ない。加えて装備は当たり前のようにリセットされるという正しく「泣きっ面に蜂」状態である。そして先程でも挙げたように、元来からある自機は遅く当たり判定も大きいデメリットも加わって....
    • 結果、これら複数のデメリットとペナルティがのし掛かってしまうことにより、「一回ミスしただけなのに自機が残っていても立て直しもままならなくて、すぐにまたミス」を自機が全滅するまで繰り返してしまって、あっという間にゲームオーバーという状況に陥ってしまうことも珍しくない。即ち、「一回死ぬ=(自機が残っていようが)即死」と言っても過言ではない。
  • アイテムの回収もまた難しい。どのアイテムも基本的に特定の敵を倒した際に画面を不規則に漂うのだが、これがまた厄介で、既に説明されている通り、元来からある自機の遅さと当たり判定の大きさ、横へのスクロールがあるくらい横軸にも幅が広いことも加わって、敵や弾を避けるのとアイテムを回収するのを両立するのがまた困難なのである。
    • この為、アイテムを回収しようとしてミスをしてしまい、先で記したように復活も困難な仕様ものし掛かって却ってピンチに陥ることも珍しくない。さらに本作はエクステンドが特定箇所で出現する1UPアイテムを回収するしか手段がない。回収するならボムで一旦敵を一掃するなどして進路を確保した方が安全。一応STGにしてはエクステンド機会が多い(1UPの出現数が多い)のだが、本作は全面通しての長さも半端ではないので...(後述)

アーケードにしては非常に多いボリューム

  • ステージは全部で12あるが、1面と12面は他の面の2倍近い長さがある。
    • 1面クリア後に地上ルート(5面構成)、空中ルート(同じく5面構成)を選択することになる。選ばなかったルートは選んだルートをクリアした後にプレイすることになるのだが、後にプレイしたルートの方が難易度が上がるということはないので、あまり意味の無い選択と言える。
  • 本作はクリアまでのプレイ時間がとにかく長く、全面クリアには1時間以上かかる。
    • 敵配置も練られているとは言い難く、地上物が出現しない空中ルートでは特にそれが顕著で、ダラダラと敵編隊が出現し続けるだけ、というシーンも多い。
    • ちなみにクリアまでのプレイ時間が長く設定されている点については、ネオジオのメモリーカードで保存したデータをアーケードで使用する事が前提なのが理由とされているらしい。当時は機能自体が根付かなかったのだが。

評価点

  • グラフィック及びBGM
    • 当時最新機種だったMVS基板で製作されただけあり、グラフィックは良く描き込まれている。
    • また、BGMも地味な曲こそ存在するものの、全体的に高水準。音楽は同時期に『ザ・スーパースパイ』の曲も手がけていた幡谷政彦氏。
  • ボンバー選択制
    • 本作はステージ開始前に使用するボンバーを任意で選択する事が可能で、ある意味では『雷電II』を先取っているとも言える。

総評

決して遊べないというわけではないが、ゲームとしてはやたらと高い難易度以外は特に見るべきところはないという、全体的に寂しい出来となってしまっている。


家庭用移植

  • 家庭用ネオジオ版(1991年7月1日 19,800円)
    • 業務用と同等。
  • ネオジオCD版(1995年3月17日 6,090円)
    • ステージ開始前等のロードの存在以外は業務用及びネオジオ版とほぼ同様。
  • アケアカNEOGEO版(2018年4月26日 PS4/Switch:823円(税込)、XbonOne/Windows:840円(税込))
    • ネオジオ版は長らくバーチャルコンソール等での配信はされていなかった。しかし、2018/03/03に行われた「アケアカNEOGEOシリーズ 100万ダウンロード記念祭」のステージ上でアケアカNEOGEOにて本作が配信されることが決定した。ただし、こちらはMVS版基準での配信なので、(厳密な意味では)ネオジオ版の配信は未だ実現していない。
    • 中断機能が存在している。中断を上手く用いる事で最後まで楽に進められる…かも知れない。

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最終更新:2022年07月22日 22:57