本項目ではセガサターン版とプレイステーション2版の『ラングリッサーIII』を紹介します。判定は前者が「なし」、後者が「劣化ゲー」です。



ラングリッサーIII

【らんぐりっさーすりー】

ジャンル シミュレーションRPG


対応機種 セガサターン
発売元 日本コンピュータシステム
開発元 メサイヤ
発売日 1996年10月18日
定価 特別版 スペシャルパッケージ
6,800円
通常版 レギュラーパッケージ
5,800円
プレイ人数 1人
廉価版 サタコレシリーズ
1998年2月11日/2,800円
判定 なし
ポイント シリーズの転換期
ラングリッサーシリーズ

ストーリー

ここは、豊かなる国ラーカス王国を中心としてリグリア帝国、バーラル王国などが存在する大地。
主人公ディハルト・クラウスは、騎士の修行のため親元を離れ、王都ラーカシア上空に浮かぶ浮遊城の城主ウィリアム伯爵家につかえていた。
そんなある日、北のリグリア帝国が、突如ラーカス王国に攻め込んできた。
おりしもそれは、ディハルトの騎士叙勲式の日であった。
いったい何が起ころうとしているのか……


概要

  • SRPGシリーズ『ラングリッサー』のナンバリング作品3作目。
  • 戦闘システムの変更やヒロインセレクトの導入など、シリーズの中でも大きなターニングポイントとなる作品である。

特徴

戦闘システム

  • プレイヤーと敵がターンごとにユニットを動かしていた前作までとは違い、本作では「ターン」の概念が抜本的に見直された。
    • ユニットの移動は敵味方同時に行われ、全ユニットの移動終了時に隣接していたユニット同士で戦闘が行われるようになった。
    • それにより、前作まで通じていた「敵の行動を見てから対応する」戦法がとれなくなったため、ユニットの移動にはある程度先読みする力が求められるようになった。
  • 傭兵システムも一新。
    • 前作までは指揮官と傭兵のユニットが個別に分かれていたが、本作では双方を一纏めにしてユニットとして扱うようになった。
    • 雇った傭兵はある程度自由に陣形をとらせることが可能。横並びにして壁として機能させたり、斜めに配置して敵ユニットとの接触数を増やすなど戦略的な行動がとれるようになった。
      • 毎ターンの戦闘は、「指揮官の移動」→「傭兵の陣形の展開」「陣形で接触したユニット同士の交戦や魔法等の使用」という流れで行われる。
    • なお、本作のみ傭兵はHPが0になっても、治療コマンドや回復魔法をかけることで蘇生できる。
  • ユニット隣接時の戦闘は、専用のフィールドに移動して行われる。
    • ここでは従来通り、指揮官も傭兵も個別ユニットとして扱われる。
    • プレイヤーができることはユニットの配置を決めることと、各ユニットに指示を与えることのみ。
    • 配置と指示を決めれば戦闘開始。各ユニットは与えられた指示の下、全てオートで操作される。
    • どちらかの指揮官のHPが0になるか、各ユニットに与えられた指示が全て終われば戦闘は終了する。

ヒロインセレクト

  • 本作以降のシリーズを象徴となる目玉システム。
    • その名からも察せられる通り、数あるヒロイン候補のキャラクターの好感度を上げ、ある時期を境に告白し、認められればヒロインとして迎えられるシステムのこと。
      • 発売当時は「ときめきメモリアル」による空前絶後のギャルゲーブームが巻き起こっており、本作もその煽りを受けたと見て間違いない。
    • 基本的にはゲーム中に表れる選択肢を選ぶことで好感度が増減される。シナリオによっては攻略ターン数、撃破したユニット数なども好感度に関わってくる。
      • 好感度が一定値に達していれば告白成功条件は満たされる。一部ヒロインはフラグを立てる必要があるのだが、それは後述。
      • 基準となる一定値はそこまで高くないため、やろうと思えば一回のゲームプレイで全ヒロインを告白成功ラインまで持っていくことは十分可能。
    • 好評だったためか、本作以降も受け継がれることになった。

その他本作のみの特徴

  • 本作のみレベルの上限が10から99に引き上げられた。
    • 上位クラスへのクラスチェンジに関しては、一定のレベルまで上がった後自動的に行われ、レベルの値は引き継がれる。
    • シリーズお約束のレベルダウンアイテム、ルーンストーンは「使用者のステータスはそのままに、レベルを5下げる」という効果になった。
  • 転職に関しては、特定のレベルに上がった後、準備画面から任意で行えるようになった。
    • 隠しクラスは特定のクラスになっている状態でレベルアップするのではなく、専用のアイテムを使用することで開放するようになった。
  • 指揮官ユニットのHPが最大99まで成長するようになった(他シリーズは全ユニットの最大HPは10で統一)
  • 装備品の上限数も、従来の2つから5つへと増加。剣・鎧・盾・兜・装飾品というRPGとしてオーソドックスなカテゴリに分かれるようになった。
  • 「治療」コマンドでMPが回復しない(他シリーズでは少量回復する)

評価点

全36章にも及ぶ重厚なストーリー

  • ヒロインセレクトを導入したことでギャルゲー扱いされることも少なくない本作だが、ストーリーの内容自体は前作までの流れを汲む重厚でシリアスな戦記モノ。
    • リグリア帝国の侵攻によって祖国ラーカスを奪われ、同盟国だったはずのバーラル王国からも裏切られたディハルトが、各地の小勢力を束ね祖国奪還を目指すストーリーは評価が高い。
    • 戦争を繰り広げる各国の思惑が交錯する中、話が進むごとにそれらを裏で操る闇の勢力が見え隠れするなど、群像劇としても見応えは抜群。
    • シリーズの中でも時系列の古い作品であるため、シリーズの中心的存在である聖剣ラングリッサーや、闇の皇子ボーゼル誕生の経緯なども明かされる。
    • 以上のように、ストーリーはシリーズの中でも非常に壮大なスケールで描かれる。シリーズの歴史を知る上では欠かせない作品だと言えるだろう。

豊富なやりこみ要素

  • シリーズ伝統のルーンストーンを使った育成要素は本作でも健在。
    • 本作ではゲームクリア後に挑めるおまけシナリオの中で、ルーンストーンの使用を前提とした極悪難易度のシナリオも用意されているため、ユニットを極限まで育てる意義が生まれた。
    • シナリオセレクトの使用を前提とした周回要素も多く、1度見たイベントでも2度目、3度目と繰り返していくと内容が変化するものも存在する。
      • これらの周回要素を探していくのも楽しみの1つと言えるだろう。
  • マップ中の隠しアイテム探しやNPC全員救出といった伝統要素も健在。
    • 特にシナリオ23「死人使い再び」では、攻略本で「NPC全員救出する条件は、たとえレベルを上げてテレポートを使っても無理だと思います。もしこの条件をクリア出来たらきっとシミュレーションの超強者として自慢してもいいと思います」と開発者からのメッセージが記載されている。

ウィットに富んだギャグ演出

  • 本筋のストーリーがシリアスな反面、シリーズ伝統であるおまけシナリオでは色々とブッ飛んだストーリーが展開される。
    • 自軍全員で 牛丼屋に駆け込んだり 、過去作の主人公が登場して 各々の登場作のゲームシステムをなじり合ったり。
    • このおまけシナリオはいずれも、セガサターンマガジンにおいて読者に募集していたアイデアを採用した物である。
      • あくまでもおまけシナリオであり、本筋のストーリーとは一切関わらないことは明記しておく。
  • 「通常プレイでは倒せなかった一部の強敵をシナリオセレクトを使って無理矢理倒すと、イカサマを使ったことを咎められ強制ゲームオーバーになる」 という要素は次回作でも受け継がれた。

魅力的なキャラクター

  • シリーズの伝統でもある、うるし原智志氏の手がけたキャラクターたちは本作でも健在。次世代ハードに移行したことから、氏の絵柄の再現度も非常に高い。
    • 元々女性キャラのデザインに定評のあるデザイナーであるため、ヒロイン候補となる5人の女キャラに関しても魅力は抜群。
    • オープニングアニメーションの作画も氏が手がけているため、クオリティは非常に高い。

強化されたボイス演出

  • ハードのスペック向上に伴い、過去作よりもボイスシーンが多くなった。
    • 声優も、男性陣には神谷明氏や塩沢兼人氏が、女性陣にも笠原弘子氏や井上喜久子氏などといった実力者が揃っている。

リアルタイム性を取り入れたSLG

  • 後述する不満点やバグこそあるものの、敵味方が同時に動き出し、それを考慮してユニットの動かし方や陣形を動かしたり考えるのはシリーズの中でも本作のみの魅力である。
    • この戦闘システムは次回以降も形を変えて受け継がれ、より洗練されたものへと進化していく。

問題点

テンポの悪い戦闘システム

  • 過去作から一新した戦闘システムだが、取っ付きが悪く評価はあまり高くない。
    • 先述した通り、ユニットの移動は敵味方同時に行われるようになったが、ハードスペックの限界なのか、全ユニットの移動完了には非常に時間が掛かる。
      • ユニットを動かし終わった後は、隣接したユニット同士で戦闘が行われるが、本作では戦闘1つ進めるだけでも「戦闘開始の宣言」→「ユニットの配置・作戦の選択」→「戦闘デモの表示」というステップを踏まなければならない。このため、1つの戦闘を終えるのに慣れても1分は掛かる。
      • ゲームが進めば1ターンに十数体ものユニットとの戦闘が繰り広げられるため、その度にユニットの配置・作戦の選択と戦闘デモを見なければならない。テンポは言うまでもなく劣悪。
      • なお戦闘デモが終わっても 画面が切り替わらず、ゲームが進行しなくなるバグ もある。発生率もそれなりに高い。*1
    • 上記のステップに関しては、オプション画面から「戦闘シーン」をOFFにすれば丸々カットが可能。ユニットの配置などは自動的に行われ、プレイヤーには戦闘の結果のみが表示される。進行不能バグも発生しない。
      • なので基本的にはOFFにしてゲームを遊ぶことが推奨される。と言うより、OFFにしないとやってられない。
      • そのため、プレイ開始当初以外で戦闘をONにしたことがないプレイヤーが大勢を占める。
      • 戦闘をOFFにすると「ユニットの配置・作戦の選択」の要素もカットされるため、OFFよりも有利になる戦術を試行錯誤したプレイヤーも少ない。
      • なお戦闘をONにすると、戦闘中に各キャラのテーマ曲が流れる。

駆け引き要素の低減

  • ラングリッサーシリーズでは、「傭兵を1体ずつ倒して経験値を稼ぐ」「指揮官を集中狙いして速攻撃破する」といった戦闘面の駆け引きが面白さの1つだった。
    • 今作では戦闘時におけるユニットの標的は全て自動で行われるため、そういった駆け引きによる楽しみが損なわれてしまった。
      • 一応、ユニットに命令する作成次第ではある程度コントロールできるが、完全ではない。先述した「戦闘シーン」のOFFを選択していれば尚更。
    • このため、先述した「傭兵を失っても蘇生可能」という設定も合わさって、実力が同等のユニット同士が戦闘すると攻撃と回復を交互に繰り返してばかりで膠着状態になってしまう。
  • 治療でMPが回復しないため、敵のMP切れを待ってからの進行が他シリーズよりも安易にできてしまう。

傭兵の陣形

  • 本作では指揮官の移動後に傭兵の陣形を展開するようになったが、指揮官が密集した場合には傭兵が意図しない場所に押し出されるような配置にされてしまうことがある。
    • 直接攻撃に弱い味方の魔術師系の傭兵が前線に押し出された結果、敵ユニットから集中攻撃を受けて撤退になりやすい。
    • そのため、魔術師系は基本的に傭兵を雇わない方が安全に戦えるという、傭兵の存在意義とは逆の仕様になってしまっている。

重大な初見殺し要素

  • 本作ではマルチエンディングを採用しており、ベストエンドを見るには一定の手順を踏む必要がある。
    • が、一部の手順は初見では気付きにくいものも含まれている。
+ ...
  • それは主人公ディハルトの幼馴染であり、ヒロインの1人でもあるフレア姫の説得イベントについて。
    • 彼女はバーラル王国の王女であり、その立場上、ディハルトとは面識がありながらも何度も敵対してしまう。
    • その都度イベントをこなしてフラグを立て、最終的に彼女を自軍に引き入れなければならないのだが……
    • 説得可能条件とは、「特定のイベントを見る」「会話イベントの度に特定の選択肢を選ぶこと」「彼女の好感度が一定値以上」の3つ。1つでも欠ければ説得はできない。
    • 選択肢に関しては1度でも間違った選択肢を選べばその時点で説得は不可能になってしまう。地雷臭い選択肢がないのが幸いか。
    • 好感度に関しても地雷要素が多く、基本的にディハルトからフレアに戦闘を挑むと好感度が減ってしまう。
      • 当然と思うかもしれないが、説得可能フラグの1つに 「フレアからディハルトに戦闘を挑まれる」 というものがあるため非常にややこしい。
    • また、フレアが登場するマップでフレア以外の敵を全滅させても好感度は減る。意図的にフレアへの戦闘を避けてもこの有様である。
  • フレアを説得出来なかった場合、代替えキャラとしてシカ族の勇者ド・カーニが加入するのだが、この場合最後の最後でアルテミュラーとファーナをアルハザードの呪縛から救う事が出来ず、バッドエンドが確定してしまう。
    • 上記フラグ立てに失敗した場合、シナリオセレクトで過去のシナリオからやり直せば修正は可能。
      • ただしゲームをやり直す関係上、通常のゲームプレイで得られる以上の経験値が手に入ってしまうため、ゲームバランスは更に悪くなってしまう。
  • また、無事ベストエンドルートにたどり着けたとしても、最終盤でとある初見殺し要素が待ち受けている。
+ ...
  • ラスト2章ではディハルトの恋人となったキャラクターが敵に捕らえれてしまうため、ディハルトは恋人を取り返すための戦いに挑むことになる。
    • シチュエーションとしては燃えるが、捕まったキャラクターは当然使用不可能になる。そのユニットを戦闘の要にしていた場合は大きな戦力ロスになってしまう。
    • 一応お助けユニットとしてアルテミュラーとファーナが加入するのだが、どちらも前線で戦う戦士系のユニットなので、後方支援ユニットが使用不可能になった場合は大きなフォローにはならない。

賛否両論点

魔法が有利すぎるゲームバランス

  • 元々ラングリッサーシリーズでは、遠距離から反撃を受けずダメージを与えることのできる魔法の立場が非常に大きい。
    • 本作でもその優位性は健在であり、過去作よりもお手軽に大ダメージが与えられるようになってしまった。
      • 本作では序盤から強力な全体魔法を覚えているユニットが参加することもあり、その強力っぷりを実感しやすい。
    • シリーズ伝統の最強魔法「メテオ」は相手ユニットの魔法防御を無視する特性の恩恵もあり、チート級の火力を誇る。
    • 更に本作での一部の魔法職ユニットは「連続魔法」という特別なスキルを習得する。
      • これはその名の通り、1ターンに2回連続で魔法を使えるというものであり、先述したメテオを連発しようものなら ラスボスでも瞬殺可能。 *2
      • 無論安易に連発しようものならMPが枯渇してしまうが、本作では魔力草という一度にMPを大回復できるアイテムが安価で買えるため、欠点としてあまり機能していない。
    • このように本作では魔法の優位性が過去作以上に大きくなっているため、フルに使いこなそうものならゲームバランスがプレイヤー有利の方向に大きく傾いてしまう。
    • 尤も魔法の優位性は敵軍も同様であり、ゲームが進めば敵ユニットは群れをなして強力な魔法を自軍に浴びせてくる。対策を怠れば大きな被害は避けられない。
      • お手軽に強力なダメージを与えられるという点も、初心者救済要素とも解釈ができるし、魔法1つで敵ユニットが一瞬にして消滅する光景は何やかんやで爽快である。
      • 実際、本作の魔法の強さはユーザーアンケートで好評な結果だったとのこと。
    • IやIIでは近世までの砲兵のイメージでバランス調整されていたが、III終盤の魔法は近代兵器のイメージでの調整となっている。
  • 『デア』のようなルート分岐はないものの、エンディングの後日談の種類は多い。
    + ...
  • 34章までの通常ENDでは、フレア死亡と生存のパターンあり。
  • 36章まであるベストENDルートではベストEND以外に、最終面で時間をかけすぎるとさらわれたヒロインが生贄にされてしまうヒロイン死亡ENDもある。
  • 過去作同様、各エンディングに「高活躍 撤退数なし」「低活躍 撤退数なし」「高活躍 撤退数あり」「低活躍 撤退数あり」でそれぞれ後日談が4種類ずつある。
    • 撤退数が1でもあると悲惨な結末を迎えるのはシリーズ恒例となっている。
  • さらにヒロイン候補キャラの後日談は、恋人にした場合と通常パターン以外に、好感度が高い主人公に片想い状態もあるため、後日談のパターンが3倍ある。
    • 全員の好感度を高めて、主人公に片想いしているヒロイン候補キャラの後味が悪い後日談が並ぶことになりがち。

総評

テンポが悪く癖の強い戦闘システムから賛否が激しく、異色作扱いされることも多い本作だが、 シリーズの原点を描いたストーリーや、ヒロインセレクトを始めとした次回作以降にも受け継がれるシステムなど、 ラングリッサーを語る上で本作は決して切って離すことのできない立ち位置にあると言える。 遊びづらさはあるが、シリーズの歴史を知る意味でもプレイする価値は大いにあるだろう。

なお、本作はナンバリング作品の中で唯一バーチャルコンソールやゲームアーカイブスで配信されておらず、今からプレイするにはややハードルが高い。 2005年にはPS2にも移植されたのだが、その出来栄えはというと……(後述)


余談

  • 本作のCDにはスタッフによる製作日誌やヒロインたちを主役にしたショートストーリー、キャラクターグラフィック集などが同梱されている。
    • CDドライブなどに挿入すれば全て閲覧可能。どれも一見の価値あり。
  • 本作の店頭販売分のうち、一部店舗では ヒロインたちの全裸ポスター(乳首付き) が特典として配布されたことがある。
    • これに関して、うるし原智志氏は後年 「ラングIIIのあのイラストではメサイヤ様に大変なご迷惑をおかけしたため、それ以後ラングリッサーシリーズに関してそういった絵は描かないようにしています」 とシリーズを総括した画集『レジェンド・オブ・ラングリッサー』にて述べている。
      • 問題だったのは裸ではなく乳首のほうなので、ラングリッサーIV&Vにも同じような構図の全裸のヒロインたちの公式イラストは存在していて、そちらは髪で乳首が隠されている。
      • 後に自らのイラスト集でラングリッサーシリーズのヒロインたちのヌードイラスト(乳首、たわし付き)を大量に掲載している が、こちらはヒロイン本人ではなくあくまで「そっくりさん」という建前になっている。
    • 一応断っておくと、本作は 全年齢対象ソフト である。
      • 2019年発売の『I&II』リメイクに於いて女性キャラの抱き枕カバー(胸を丸出しにしているR-18なデザイン)付きの限定版が登場したが、ちゃんと 18歳未満購入禁止 になっている。
  • 次回作以降にも受け継がれる「ヒロインセレクト」だが、本作のみ条件を満たせば、なんと 男に対しても告白可能
    • 告白と言っても内容はクスッと笑える雑談程度のもので、決して「アッー!」な内容に走るものではないことを留意されたし。繰り返すが、本作は 全年齢対象ソフト である。
      • ただし、 一部怪しいものもあるにはあるが……
  • 行動決定後の移動は開発中は敵味方の全傭兵がわらわらと動く予定だったが、ハードの処理能力的に無理があったため、やむなく指揮官だけ動いて傭兵が配置される形になった。
  • PS移植案はあったが、そのままのデータだとPSでは戦闘中の床テクスチャを表示できないことが判明して、その部分を作り直す工数が大きいので中止になったとのこと。
  • 本作後、開発チームの一部は「キャリアソフト」として独立したが、IVと完結編であるVを引き続き共同制作している。(その後アトラスにてグローランサーを制作)

ラングリッサーIII(PS2移植版)

【らんぐりっさーすりー】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション2
発売元 タイトー
開発元 クロスノーツ
発売日 2005年10月29日
定価 5,800円(税別)
判定 劣化ゲー
ポイント クロスノーツ補正
ラングリッサーシリーズ

概要(PS2)

セガサターンにて発売元メサイヤ(NCS)、製作元キャリアソフトで発売されたラングリッサーシリーズ3作目をPS2に移植したもの。
それまでのナンバリング作品から戦闘システムが変更されたのが原因で元々評価はイマイチだった為か
他のシリーズ作品とは異なり、この時点までセガサターン以外のハードでは登場していなかった。

これで原作に忠実な移植か、或いは原作の欠点を解決した移植であれば問題は無かったのだが、
移植担当はよりにもよって本作発売の前年、あの『ヴァルケソ』を世に送り出した原神敬幸氏が率いるクロスノーツ。

結果として本作は、 劣化移植というヴァンダリズム とでも形容すべき「問題点だらけの作品」として世に放たれてしまったのである。


特徴(PS2)

  • ハードスペック向上に伴う画質・音質の向上。
  • アルバム機能の追加。
    • シナリオを進めるごとに、特定のイベントやスチルを閲覧できるようになった。
  • 何故か登場キャラクターの1人である蟲使いのラグの担当声優が変更された。(茶風林氏→笹岡繁蔵氏)
  • 登場キャラクターの衣装で露出が高めのものが、ほぼすべて改変された。
    • 恐らくはハードの違いによる規制と思われる。同じくタイトーが発売元である『鋳薔薇』のPS2移植版でも、女性キャラの衣装で同様の改変が行われている。

問題点(PS2)

  • 変更された衣装の出来が悪い。
    • 単純に改変後のデザインがダサイ。中にはオムツを穿いているようにしか見えなくなったキャラまで存在しており、悲惨としか言い様が無い。
      • 比較検証しているサイトもあるので、画像付きで詳細を知りたい方はそちらを参照していただきたい。
  • OPアニメが変更されていない為、発売当時としては古臭い
    • 原作が10年近く前(1996年に発売)の作品なので、本作発売当時の作品とは思えないぐらいに滲んでいる。
  • シナリオ前のあらすじが削除されてしまった。
  • 旧来作品では問題なく行えていた敵配置の確認が、どういう訳か不可能になってしまった。
  • 雇用した傭兵を確認する際、いちいち専用画面を開かなくてはいけないように改悪されてしまった。
    • 現在の装備の確認に関しても、いちいち専用画面を開かなくてはいけないように(ry
    • 転職時の装備変更に関しても、旧来はすぐに設定画面に飛べたものを、いちいち装備設定画面を開(ry
  • 何故かステータス画面に知力のステータスが表示されなくなっている。
  • シナリオセレクトや隠しショップというシリーズのお約束は悉く削除されている。
    • これに伴い、存在意義が完全に失われた隠しマップが存在している*3
    • シナリオセレクトの削除に伴い、フレアの説得に失敗しバッドエンドが確定になってしまうと取り返しがつかなくなってしまい、ゲームを最初からやり直さなければならなくなってしまった。
  • 戦闘シーンでキャラクター固有のテーマ曲が使われなくなった。
    • また、戦闘シーンそのものもいくつかの動作を削除するなど原作から悉く劣化している。
      • 過去作では指揮官の職種ごとに攻撃時の動作が異なっていたのだが、今作では全て統一されてしまい、没個性となってしまった。
  • 戦闘時の移動経路表示が削除されてしまった。
    • 一旦入力したコマンドを変更しようとした場合、他のシリーズ作品では確認を求められたが、本作では確認無しで入力したコマンドを取り消してしまう。
  • 敵COMの思考が明らかにおかしい。
    • 傭兵無し、指揮官のHPが1という明らかにその場で回復に専念すべき状況で、何故かこちらに特攻してくる。
  • 表示バグが多すぎる。
  • ここには書き切れない程に改悪点が多いが、特にUI関係の改悪が多い。その為、プレイするとストレスが溜まる局面が多すぎる。

評価点(PS2)

  • ストーリーはベタ移植
    • その点は特に劣化していないので、元の良さを楽しめる。
  • セーブデータは消えづらくなった。
    • 元がSSである為、どうしてもハードに起因するセーブデータの消失の問題があったが、PS2に移植された事でその点は心配なくなった。
  • ゲーム難易度の低下
    • 皮肉にも敵AIの悪化に伴い難易度は易しくなっている。本来のゲームの楽しさを味わうことはできないが……

総評(PS2)

SSからPS2という性能面で上回る機種への移植にもかかわらず、改良点が冗談抜きに皆無。
まさに当wikiにおける「劣化ゲー」判定のお手本とでも言うべき作品である。…そんなお手本を見せられてもユーザーとしては迷惑なだけだが。

現在ラングリッサーシリーズのナンバリング作品中、『III』だけがバーチャルコンソールやゲームアーカイブスで配信されておらず、現行機種で遊ぶ手段は残念ながら本作以外に存在していない*4。原作の評価が芳しくなかった故か、それとも本作の存在そのものが原因なのか…。

もし、このページを閲覧した貴方が『ラングリッサーIII』に興味を持っておられるのであれば、
劣化に劣化を重ね見る影も無くなってしまっている本作ではなく、多少苦労してでも稼動するセガサターン本体を手に入れて、SS版の原作を遊んでいただきたい。


その後の展開

  • ラングリッサーシリーズの新作としては本作発売後暫く経過した2012年7月、ブラウザゲー『ラングリッサー・トライソード』のサービスが開始された。
    • と思っていたら何と2012年12月にサービス終了。僅か5ヶ月の命であった…。
    • 当Wikiの取り扱い対象外である為詳細は触れないが、満場一致のクソゲー判定を喰らうような出来栄えであった様子。
  • また、ジャンルをアクションRPGに変更したネットゲーム『ラングリッサー シュヴァルツ』も予定されていたが、あえなく開発中止に。公式サイトは長らく残っていたのだが、現在は繋がらなくなっている。
    • 因みに『トライソード』の運営、『シュヴァルツ』の開発を行っていたガマニアデジタルエンターテインメント*5は、ブラゲユーザーの間では屈指の糞運営ぶりで広く知られているらしい。何でこのシリーズはこうもクソゲー製作会社と縁があるのか。
  • スマホゲーム『ラングリッサーモバイル』では、過去作のステージを再現して幕間の会話もフルボイス(ただし全て新しい声優陣による新録)で搭載された「時空の裂け目」というコンテンツで、本作のステージも用意されている。
    • 余談だがモバイルにおける本作の主人公ディハルトはキャラクター崩壊が酷いという意見も多い。ランモバにおけるディハルトは「めんどくさい」を口癖のように言うキャラ付けになっている。バニーさんに対して発揮していた熱い本性など見る影もない。フレアの説得やエンディング内容のために告白相手以外の好感度下げとか確かに面倒だった
    • 野伏系の微妙な性能も相まって、弱いしキャラ付けも変なこれをディハルトとは呼びたくないということから、ランモバのプレイヤーからは「D」と呼ばれている。
      • 後に、本編後に霧風を訪ねてフェラキアに滅ぼされた倭国を旅した設定のSPクラスが追加されて、性能面は大幅に救済された。

余談(PS2)

  • 本作には初回生産版限定でキャラクターの設定資料集なるものが付属していた。
    • が、内容は中に書いてあるキャラクターの説明文はほぼ全て SS版の説明書に載っていたものの丸コピペ。 やる気が感じられない一品となっている。
  • 発売直前まで彩京の携帯サイトにソフト紹介と壁紙等の配布を行う特設コーナーが作られていた…のだが、発売と同時にサイト上の特設コーナーが消滅。「発売直後に黒歴史化」というまさかの事態になってしまった。
    • 株式会社彩京は当時は既にクロスノーツ(元々、経営は違えど所有は同じだった)に吸収合併された後であり、「彩京」はクロスノーツが持つブランド名と成り果てていた。
      • 彩京ブランドはどちらかといえばSTG麻雀方面での印象が強く、ラングリッサーシリーズはおろかSRPGというジャンル自体とも関連性が強いとは言い難い。にも拘らず彩京のサイトで紹介していたのは、たまたま彩京が携帯サイトを持っていた為なのだとか。この時点でスタッフのやる気の程が窺い知れるというものである。
    • ちなみに特設コーナー消滅の直接的な原因は、発売時点でシリーズの使用許諾をクロスノーツが持っておらず発売後のコンテンツ維持ができなかったから。なんともはや。
  • 現在ラングリッサーシリーズを含むメサイヤ関連の版権は、クロスノーツがライセンスを得ていた権利元のNCS(日本コンピュータシステム株式会社)から、株式会社エクストリームに移っている。
    • クロスノーツが取引先買収絡みの影響もあって事業停止に追い込まれた際、社長を退いた佐藤昌平氏が株式会社エクストリームを設立。その後エクストリームがメサイヤ関連の版権を買い取る形で引き継いだという事らしい。なおエクストリーム社の本業は旧メサイヤの大元であり佐藤昌平氏の古巣でもあるNCSと同様に人材派遣業。
    • また、クロスノーツの一部スタッフは原神敬幸氏の設立した株式会社ゼロディブに移籍した模様。
+ タグ編集
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  • 1996年
  • SS
  • SRPG
  • ラングリッサー

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最終更新:2023年02月26日 11:21

*1 戦闘デモでハード性能の限界を叩いてしまっていることでコンセントの電圧に変動があっても問題なく動作する余裕が少ないプログラム設計になってしまっているということらしい。戦闘デモありでプレイしたい場合、常時インバータ給電方式UPSなどを使って安定した電源環境を用意すればハング対策になるらしい。

*2 本作のラスボスは攻撃魔法を無効化する特性を持つが、メテオはその特性すら貫通してしまう。

*3 元作品には面セレクト機能を使わないと遊べない隠しマップがあった

*4 『I』と『II』はバーチャルコンソール・ゲームアーカイブスの他、『プロジェクトEGG』というサービスを利用することでWindowsでもプレイ可能。『IV』と『V』は、PS向けにカップリング移植されたものをゲームアーカイブスで遊べる。

*5 2015年6月より株式会社エイジに社名変更。