ヨッシーのパネポン (GB)
【よっしーのぱねぽん】
ジャンル
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アクションパズルゲーム
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対応機種
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ゲームボーイ
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発売元
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任天堂
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開発元
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任天堂開発第一部 インテリジェントシステムズ
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発売日
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1996年10月26日
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定価
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3,000円(税別)
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プレイ人数
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【GB】1~2人 【3DS】1人
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セーブデータ
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なし
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) ※バーチャルコンソール版より付加
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周辺機器
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GB専用通信ケーブル対応
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配信
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バーチャルコンソール 【3DS】2012年12月11日/400円(税5%込)
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書換
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ニンテンドウパワー 2000年3月1日/1,000円 F×4・B×0
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判定
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劣化ゲー
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ポイント
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無理矢理再現移植による操作性の変化 あざやかじゃないカラー
発売8日後にSFC版がサテラビューにて無料配信 ただし移植としてはかなり頑張っている方
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マリオシリーズ・関連作品リンク
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ヨッシーシリーズリンク
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パネルでポンシリーズリンク
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概要
1995年に発売されたSFC用アクションパズルゲーム『パネルでポン』のGB移植版。
厳密には『パネルでポン』の海外版として再制作されたSNES(海外SFC)版『ヨッシーのパネポン』(英名:Tetris Attack)の移植である。
(海外版タイトルは「Tetris」の名前が入っているが、実際のゲーム内容はパネポンそのもの)
問題点
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パネルやカーソルの挙動、ゲームフィールドの高さなどゲームの根幹部がSFC版と異なる。そのためSFC版をはじめとした他機種と同じ感覚でプレイした場合多くのテクニックが通用しない。
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オリジナルと比較して滑るカーソルともたつくパネル入れ替え。
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SFC版に慣れたプレイヤーはまず操作感に戸惑うこと間違いなし。慣れれば遊べるレベルではあるものの挙動に慣れるまでが大変。
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パネルが入れ替わり・落下する中間状態が実際に描画されるのではなく、動いているよう「見せかけた」アニメーション。
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入れ替えは、両パネルが消えて中央に無地の四角が表示、その後逆側に両パネルが出現(となるはずなのだろうが、パネルが消える前に無地の四角が出たり、無地の四角が消えてからパネルが入れ替わるなど描画が一定しない)。落下は全くアニメーションせず落下前と落下後が瞬間的に切り替わるのみ。
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なお、後の『ポケモンでパネポン』の隠しモードでは(非カラー)GBで入れ替え・落下アニメーションを実現している。
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これにより、SFC版では可能だった「高速でパネルを入れ替えて無理矢理同時消しを連鎖に変える」というテクニックが不可能になった。
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一瞬の入れ替えアニメーションの際に「十字ボタン操作を受け付けない」ようになっているらしく、これがもたつきの原因になっていると思われる。入れ替えの時だけ、移動を緩める必要性が出てくるという訳だ。もちろんSFCではそんな仕様は無い。
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他機種とゲームオーバーの猶予時間が異なる。
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対戦モードではパネルが天井に付いてもすぐゲームオーバーにはならない。連鎖や同時消しをするとこの時間はさらに延びる。しかし本作ではこの時間がSFC版などと比べ短いようで、パネルせり上げ後に猶予時間を読めず自爆するプレイヤーが続出した。
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なぜか、パネルの柄が動くようになる天井との隙間が1マスしかない状態の時だけ、敵からの攻撃が来ない。
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パネルを下げると降ってくるようになる。またこのパネルも、一度に降ってくるのではなく1つずつ時間をおいて降ってくるように変更されている。
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容量の都合からか、システムや演出面における要素の削減が目立つ。
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キャラクターが全13人から全12人に削減。
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リストラされたのは氷の世界のターくん(ペンギン)。
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これによりVSコンピュータも各レベル1面ずつ(EASY:全10面→全9面・NORMAL:全11面→全10面・(S-)HARD:全12面→全11面)減った。
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2人対戦では12人全員のキャラクターを選択できるようになるが、1人用ゲームでは6人からしか選択できない。
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SFC版でも同様なのだが、そちらは対戦と1人用で別々の背景画像が用意されており、容量の都合から1人用背景は一部キャラクターのみという明確な理由があった。しかしGB版では1人用・対戦とも同じ背景チップを使いまわしているので、わざわざ選択できないようにした意図が不明。
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ゲームモードや獲得点数ごとに変わるエンディング用のBGMは計5つあったのだが、パズルとその他用の2曲に削減される。
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箱には当時のSGB対応ソフトのお約束として
「スーパーゲームボーイで、あざやかカラー」と書いてあるが、半分嘘。
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SGBに対応しているもののゲーム画面は常に全面が同じ色。しかも配色は非常に地味なセピア色で、とてもあざやかとは言えない。
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少なくとも判別が重要なパズルゲームで設定するような色ではないだろう。
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全面同色である点も、スクロールする左側フィールドが同色なのは技術的制限だが、右側のステータス部だけでも色を変えればかなり印象は違っていたはずである。
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このため自分で色を設定したほうが格段に見やすくあざやかにできる。
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さらにGBCやGBAでプレイした場合、パネルは白・赤・黄緑・黒の4色で、カーソルは青色で表示されるのではるかに見やすくなる。
以下は機種の仕様上仕方なさそうな部分。
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解像度の問題からゲームフィールドの高さが従来の12段から9段に縮小。
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このためパネルをわざと高くせり上げる→連鎖を仕掛ける戦法がやりづらくなった。
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ただしGBの性能を考えると他に選択肢はなかったと言える。12段を実現するならパネルは8ドットになり判別は困難だったと思われる。
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ボタン数の都合から仕方ないのだが、パネルせり上げがL・RボタンからBボタンに変更。
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他機種用経験者がSGBやGBAでプレイすると思わずL・Rボタンを押してしまう罠。
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VSコンピュータ戦がおじゃまパネルを送りあう形式から、ステージクリアモードで見られた「連鎖や同時消しで相手の体力ゲージを削る」形式に変更。
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自分のフィールドには相手からのおじゃまパネルが降るのだが、相手におじゃまパネルが降る様子を見られないので連鎖を仕掛けても爽快感が薄い。
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またモタモタ時間をかけていると体力を回復してしまう敵もいるなど、連鎖の物量作戦ではすぐにクリアできないことも。
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もっとも、解像度の関係上仕方のないことでもあるかもしれないが。事実、同じGBの『テトリスフラッシュ』や『スタースイープ』等も、敵フィールドがコンピュータ対戦時に見えない仕様になっている。
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オプションモードがない。
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『パネルでポン』にオプションは存在しなかったが、SFC版『ヨッシーのパネポン』には新たにオプションが追加されていた。GBでは設定する項目があまりなさそうとはいえ、サウンドテストができないのはやはり惜しい。
賛否両論点
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キャラクターの総入れ替え。
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SFC版のオリジナルキャラである妖精の女の子から『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』のキャラクターに交代。
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いわゆるアニメ絵の妖精では受け入れられないと海外スタッフから指摘を受けたため。キャラクター交代を惜しむ意見と、より親しみやすいヨッシーへの変更を受け入れる意見があり賛否両論。
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キャラクターは交代したが、世界観は妖精の世界をほぼそのまま流用。ただし本作では
「ここはヨッシーアイランド」と言い張っている
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評価点
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SFC版からのアレンジ曲およびクッパのテーマに代表される新曲などBGM全般は良好。
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ヨッシーのテーマは本作でしか聴く事の出来ないフレーズがあるため、一聴の価値はある。
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SFC版からの流用曲も単なるペーストではなく新たなフレーズを加える・曲調を変えるなどしてアレンジしてあるため、ショボく感じない。
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特にエンディングの曲はGBの音源とヨッシーアイランドのフレーズを加えた切なさが醸し出す良アレンジとして評価されており、原曲より好きという人もいるほど。
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モノクロ仕様に合わせた見やすいパネルデザイン
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ゲームフィールドが低くなった分パネルは大きく描かれるようになった。ただそれだけではなく、パネルのデザインもぱっと見での判別がしやすいよう相当配慮されている。
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☆パネルは図形を白抜きとして地色は濃く、また◆パネルは地色をベタ1色塗りではなくメッシュにしている。さらに各パネルをよく見ると、柄ごとにパネル枠の濃度を変えているのがわかる。
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家庭用ハードや業務用作品からゲームボーイへ移植されたパズルゲームでは、パーツが小さく判別が困難といった作品がよく見られたが、本作ではこの点に関してストレスを感じることは少ないだろう。
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ゲーム画面右にはキャラクターが表示されており、SFC版同様連鎖や同時消しでアクションを起こすなどよく動く。
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これは「SFC版と比較してショボいと思われないために配慮した」と公式攻略本のスタッフインタビューで語られている。
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VSコンピュータ戦にもパスワードコンティニューが導入される。
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これによりハードおよびSPハードのグッドエンディングを見ることが容易になった。
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パズルモードの問題はSFC版とすべて同一ではなく、一部新しい問題に入れ替えられた。
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VSコンピュータのエンディングにおけるセリフが修正された。
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SFC版ではヨッシーっぽくない変な笑い声など、やや不自然な表現があった。
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SGB使用時のピクチャーフレームはSFC版のグラフィックを流用しており見栄えが良い。
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地味なゲーム画面との差が目立つほど。よってパッケージのあざやか表記は半分本当なのだ。最初はSFC版のメニュー画面から流用した壁紙だけだが、ゲーム内で公開されるコマンドを入力するとさらに6数種の背景から選べる。
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そして何よりも、移植に関しては様々な問題を抱えながらもかなり頑張っていると言う事。
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後の『ポケモンでパネポン』は本作のシステムをベースにカラー化・操作性の改善を施した上で、SFC版や独自の要素を加えたいいとこ取りの作風となっている。
総評
攻略本のスタッフインタビューで「下位機種への移植となり一度は移植を諦めた」との発言から、どことなく無理をして移植・再現した感が漂うが、携帯ゲーム機への初移植作となったこと、その後良移植として支持されたGBC版『ポケモンでパネポン』の土台となった点は十分に評価できる。
キャラクターの総入れ替え及び削減をはじめ、操作性やCOM対戦時のルール変更など各種の差異、演出の劣化が目立つ移植となってしまってはいるものの、ハード制約の中で努力の跡が窺える移植作といえよう。
ただし、本作の挙動に慣れると他機種版のプレイ時に違和感を持ったり、ひどいと下手になってしまう副作用の可能性には注意しなければならない。
そのため後継機種にて操作性に問題のない版が出ている現在においては、移植具合や他機種との差異を確かめる資料的価値を求めるか、どうしてもヨッシーの世界観でパネポンを遊びたいという明確な理由がなければあえて本作を選択する必要はないだろう。
余談
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本作の発売からわずか8日後の11月3日にSFC版がサテラビュー用放送番組として無料で配信された。
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こちらはオリジナルのキャラクターをヨッシー達に変更しただけでなく、バグの改善やオプションモードの追加などを施したリニューアル版となっている。タイトル画面には
「ゲームボーイのヨッシーのパネポンもよろしくね!」
との宣伝文句があるのだが、システム面では全く不備のないSFC版をタダでプレイできたサテラビューユーザーにとってどれだけの宣伝効果があったのかは疑わしい。
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もっともゲーム自体が無料とはいえ、当時としてはハードルも値段も高いサテラビューの受信環境が必須であり、さらに普及台数からしてGB版を手にしたユーザーの方が多いだろう。
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こちらについての詳細は『パネルでポン』の『ヨッシーのパネポン』の項を参照。
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本作の「せりあげがLRでなくB」の時のユーザーに配慮する為、GCの『NINTENDO パズルコレクション』でGBAに接続する「パネポン」や、GBAソフト『ドクターマリオ&パネルでポン』の「パネポン」は、LRせりあげにするかBせりあげにするかを決められるようになっている。
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ただし残念だが後に発売されたシリーズの据え置き機版ではボタン設定自体がない。
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テレビCMは女子校を舞台に生徒が
パネポ~~~ン!!
と叫んだりする学園青春ミニドラマ(?)仕立て。
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SFC版の能楽といい、ゲームのイメージとは全く関係ナシなのはどうにかならなかったのか。
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後の『ポケモンでパネポン』では前述の通り操作性やパネルの挙動がSFCと遜色ない動作を実現できているのだが、これはGBCのスペック向上によるものと思われていた。しかし後年の解析で判明した『パネルでポンGB』はモノクロのスペックでほぼ同様の動作を実現できている。4年間の移植の技術及び最適化の向上を感じずにはいられない。
最終更新:2023年08月02日 21:10