魂斗羅ハードスピリッツ

【こんとらはーどすぴりっつ】

ジャンル アクションシューティング
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテインメント東京
トーセ
シング
発売日 通常版:2002年11月14日
定価 通常版:4,800円(税別)
廉価版 コナミ ザ ベスト:2005年11月3日/2,500円(税別)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2016年3月9日/650円(税別)
判定 劣化ゲー
ポイント 魂斗羅の売りである爽快感がほとんど無い
途中再開機能がなぜかパスワード制、しかも入力方法がめんどくさい
難易度も無駄に高くストレスが溜まる仕様
ライフ制・武器二丁制・スライディング・ボム・乱れ撃ち全て削除
GB版ですらあったOPデモも丸々削除
『ハードコア』代替品としての価値は無くもない
魂斗羅シリーズリンク


概要

魂斗羅シリーズの傑作『魂斗羅スピリッツ』『魂斗羅ザ・ハードコア』のステージ構造を厳選して繋ぎ合わせたリメイク作。
ゲームのベースはスピリッツ側を採用している。

問題点

  • 本作はスピリッツをベースとしているため、ハードコアのシステムであるライフ制とスライディングは削除。また武器二丁制・ボム・乱れ撃ちも削除されている。
    • 武器ニ丁制はその名の通り武器を2つ所持することができ、状況によって使い分けたり、敵にやられて使用していた武器を失ってももう片方の武器を使うことができた。
    • 乱れ撃ちはその両方の武器を回転しつつ画面中にブチまけるという豪快な攻撃。ボムは画面全体に広がる爆風でダメージを与える消費アイテム。
    • ライフ制は2回まで攻撃を耐えられ、スライディングは長い無敵時間と攻撃力を持ち、敵の攻撃の回避にも役立った。
  • 上記のようにプレイヤーに有利なシステムがことごとく削除されたが、ゲームシステムの調整は一切されていない。
  • 画面が狭くなったにもかかわらず、キャラサイズがオリジナルのままなので異常に狭苦しい。
  • スピリッツで使えた安全地帯が全く使えなくなっている。
    • 例えば1面の中ボスの1つである中間要塞は上から2段目の足場で伏せれば安全地帯となったが本作では狙撃兵に容赦なく狙撃される。
    • またスピリッツと同様のボス戦でも本来は使えた回避タイミングが画面サイズの関係上、回避不可能になっている点がいくつもある。
  • 当たり判定がおかしくキャラからはみ出している。
    • この変更点と相まって4面ドドリゲス下のシーンは異常に難易度が高い。
  • ボスの耐久力がバランスがおかしい。
    • 例えば3面ボスのビッグファズが時限爆弾攻撃をする前に倒せたりしてしまう。特にレーザーやクラッシュを装備している時に顕著。
  • 武器のバランスもおかしい。
    • ホーミングとレーザーが異常に強くなったかと思えば、ファイヤーは威力が大幅にダウンしてしまいさっぱり弱くなっている等。
  • 一部、回避不能な仕掛けや攻撃がみられる。
    • 例えば4面ボスのドドリゲスの撃破時の演出は原作では「爆発時にミサイルに捕まって無くても自動的にクリア」という仕掛けだったが、本作では「撃破時に必ずミサイルに捕まってなければクリアにならない」という酷い初見殺しになってしまっている。
  • 逆に削除されてしまった仕掛けや攻撃も見受けられてしまっている。
    • 例を挙げると3面ボスのウォールウォーカー第二形態は原作では無敵の本体とミサイルの合わせ技による厳しい戦いであったが、本作では何故かミサイル攻撃が削除されてしまい、単に無敵の本体を避けながらスクロールストップまで進むかなり暇なエリアになってしまった。その前の第1形態撃破後のミサイルによる不意打ちも削除されてしまい不自然な空きが出来てしまっている。
    • その後に待ち受ける敵基地入り口でのミサイル掃射も削除。直前に登場するバリアの存在意義も消滅してしまっている。
  • オプションがまさかの難易度設定しかない。しかもNOVICE、NORMALの2種類しかなく、HARDが無い。
    • スピリッツのオプションは残機設定、難易度設定(EASY、NORMAL、HARD)、サウンド設定ができた。
    • 原作の最高難易度は敵の攻撃が非常に激しく上級者に対しても満足の行くような難易度構成になっているのだが、難易度の上限がNORMALまでしかない事によって、上級者にとってはどうも物足りなく感じてしまいがち。
    • HARD設定が無い代わりに本作ではNORMALクリアで最終リザルトが表示されるようになっているが、何故かステージクリアジングルが流れる上に下記のパッとしない一枚絵もセットで登場してしまい、ALLクリアを実感出来ないやる気の無い物になってしまっている。
  • 難易度NOVICEとNORMALの違いが自機数、コンティニュー回数、面数、大型敵の耐久力だけ。NOVICEでも敵の登場数や攻撃の種類はNORMALと変わらない*1
  • OPデモは丸々削除。GB版ですらあったのに…。 「開発者…ゆるさん。」
  • クリアボーナスの削除。
    • 代わりに後述するパスワードが表示される仕様になっている。何故GB版の過ちを繰り返したのか・・・
  • ステージクリアの1枚絵が新たに作った1枚絵のみに。しかもタイトル同様に同発の『真』に無理に合わせてしまった為世界観とミスマッチでいまいちパッとしない。
    • スピリッツではステージごとに変わる熱い漢の1枚絵が拝めた。
  • 音楽が超劣化。
    • PSG音源が主体でやかましく、スピリッツの壮大な音楽の足元にも及ばない。
    • これで楽曲のフレーズが原曲を再現していれば多少は評価が出来ると思われるが、2面ではイントロが何故かカットされてしまったり、4面では謎の新フレーズが追加されていたりと、全体的に不自然な仕上がり。正直言って、原曲を再現したいのかしたくないのかハッキリして欲しい。
    • 同社のGBAソフトの『キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲』『グラディウスジェネレーション』は音楽こそ残念な反面ゲーム性に優れているが、本作は音楽・ゲーム性共に残念な出来となっている。
  • BGMとシンクロする一部ステージ演出も変更されてしまっている。
    • 例えば本来は無音から始まりヘルライダーズの大群の襲撃と共にBGMが再生されるステージ4冒頭のトンネルエリアも、本作ではステージ開始直後からBGMが再生される様に仕様変更された関係で、雰囲気がぶち壊されてしまっている。
    • また、3面ボスの大覚ロボ・ビックファズ戦後は本来なら撃破後はBGMが止まる→首チョンパという、非常に爽快感のある演出になっていたのだが、本作では撃破後もBGMが鳴り止まない上にシャッターが閉まる際のSEもカットと意味不明な演出と化してしまった。これによって原作が音響や演出面を大事にしている点を再認識させる事に。
  • 途中再開機能があるがどういうことかパスワード制である。これはGB版でもあったが方式が全く異なる。
    • しかも18文字とやたらと長い。
    • 入力方法もかなりめんどくさく、アルファベット26文字と1~9の数字を上下で1文字ずつ選択し、入力しなければならない。
    • ただ文字数が多いだけあって、現スコア・ハイスコア・残機・コンティニュー回数・取得している武器まで記録され、ほぼ同じ状態で再開できる。
    • そもそも、魂斗羅シリーズ自体は一周辺りのプレイ時間が長くなく、さっと終わるゲームである。本作もそのような流れのゲームなので、途中再開機能自体いらないのだが…。
  • 原作のEDと着陸地点選択場面では日本語でメッセージが表示されるが本作ではOP共々カットされてしまい、GBA版で日本語が使われている場面はタイトルのみになってしまった。

ハードコアステージの問題

スピリッツのトップビューステージであった2面と5面がハードコアのステージに置き換わっている。 が、ここにも問題が見られる。

  • 2面に入ったハードコアのステージはなんと7面(軍用列車)である。当然難しさもハンパでなく、その後の3面との難易度の差がとても激しくなっている。カプコンのベルトゲー並。
    • しかもスライディングができないために、難易度がさらに跳ね上がっている。敵の攻撃の中にはスライディングで避けるようなのもあるため、正方法での攻略は困難を極める。
    • ちなみに海外版ハードコアはライフ制の廃止によって難易度が跳ね上がっている事から「海外版に近い仕様になった」とも言えるが、本作では更にスライディングも削除されてしまっている点から、只さえも難易度が高い海外版仕様のステージを劣化した性能のプレイヤーで進む事を強制させられるハメに。
  • グラフィックはそのまま移植しているため、背景はどう見てもスピリッツのステージに劣る。しかもなぜか色が変に明るくなっている。
  • なぜか音楽はハードコアのその面の曲でなく、スピリッツの2面・5面の曲を使用している。2面はともかく、5面(ハードコアの11面)は合ってない。
    • 特に5面では何故かボス戦BGMが使用されず道中BGMがそのまま流れるスピリッツ4面のドドリゲス戦と同じ仕様に変更されてしまっており、BGMの曲調も相まって盛り上がりの無い戦いを無駄に強いられてしまうことに。ちなみに原作ではラスボス戦専用BGMが設定されている影響で、非常に熱いシチュエーションになっている。
  • ハードコアでは本来は敵サイドのキャラクターとの会話シーンが挿入される筈だが、コンセプトの関係で廃止。
    • それにより2面冒頭のデッドアイ・ジョーが脱出の手助けをするシーンがカットされた他、5面ではDr.ジオ・マンドレイクとバハムート大佐が会話イベントも無く最初から変身状態でその場で待っていたかの如く登場している等、説得力に欠ける展開になり、本作から入ったプレイヤーは唐突感から疑問符を抱いてしまう可能性が高い。  
    • とはいえ欧州版ハードコア『Probotector』は設定面の関係上一部演出がカットされている事からこちらは「欧州版に近い仕様になった」とも言える。
  • ステージに登場するボスの攻撃もカットされてしまった物もある上、無理にスピリッツと仕様を統一ししてまった影響か、原作特有の多関節によるなめらかなアクションがオミットされ、動きがぎこちなくなってしまったボスもいる。
    • 特に5面で2番目に待ち受けるドクタースパイダーは原作でははき出した糸を辿りながら八方向のエネルギー弾を撃ってくる非常にトリッキーなボスだったが、エネルギー弾が削除されてしまった上に登場シーンから当たり判定が出現してしまっている影響で攻撃が始まるまでに秒殺可能になってしまい、大幅に弱体化してしまった。

その他の変更点

  • 全体的に動きが遅くなった。
    • 特にこの変更点で顕著なのは5面の中ボス2体で、どちらもダイナミックな動きでプレイヤーを魅せていた行動パターンが行動の低下をモロに喰らってしょぼくなってしまった。
  • 爆発エフェクトに半透明処理がかかるようになった。
  • レーザーが大型の敵でも貫通するようになった。
    • この仕様変更によって本作で威力が強化されてしまったレーザーが更に強化されてしまう事に。
  • 自機数が難易度によって決められるようになった(NOVICE:7人、NORMAL:3人)。
    • 上述の通りオプション画面では難易度設定しか変更が出来ない仕様の為、苦肉の策として実装したとしか思えない。
    • また、難易度NORMALで初期残機数が固定されてしまった事により、原作特有の高難易度を更に高める事になってしまった。
  • コンティニューが回数制になった(NOVICE:10回、NORMAL:5回)。
    • 原作ではコンティニュー回数が無限で諦めずにコンティニューを繰り返していれば必ずクリア出来る仕様になっていたが、本作ではコンティニューが有限になってしまった為、上述の初期残機数の固定と相まって難易度を引き上げる要因になってしまった。
  • 同発の『真魂斗羅』同様、Lボタンを押しながら攻撃すると銃口位置を固定しながら移動できるようになった。
    • このシステムが実装された事によって一部のボスが弱体化してしまっている他、安置が削除された影響でこのシステムに頼るしか無いボスも存在している事も事実である。
  • 武器二丁制が廃止された代わりに、何かしら武器を持っている状態で武器を取ると現在持っている武器が真上に放り出されるようになった。つまり、近年の同社『悪魔城ドラキュラ』シリーズのサブウェポンと同じ方式に変更されている。
    • 間違えて武器を取ってしまった際は助かるが、鬱陶しくなる場面も見られる。
  • 6面のボスラッシュのゲームオーバー後の復活地点について。
    • 原作ではボスラッシュでゲームオーバーになると最初のボスであるゴメラモスキングからやりなおしだったが、本作ではメタルエイリアンまででゲームオーバーになったらキムコウから、ギャバ以降からはギャバからの2ヶ所に増加・変更された関係でリトライしやすくなった。
    • 加えて、武器性能が変更された事でボスを瞬殺しやすくなったり、もっさりした敵の攻撃モーションと相まってボスラッシュ自体の難易度は低下している。
  • 難易度によって行くことの出来る面が決められている(NOVICE:4面まで、NORMAL:全面)。
    • 原作のEASYでは6面ラストまで行くと真のラスボスと戦えなかったのだが、本作では必ず戦えるようになったと言えるだろう。

評価点

  • プレイ困難なハードコアのステージが遊べる。
    • 原作の一つのMD『魂斗羅ザ・ハードコア』はハード末期の作品故に市場での流通量が少なく、かつ同作はかつてメーカー側の諸事情の関係かバーチャルコンソール等のレトロゲーム配信サービスでも未だに配信されてなかった事から、現行ハードでのプレイが困難に陥っていた。GBAというハードにステージのみが移植された事はある意味幸運とも言える。ビルとランスでハードコアのステージを遊べるなど、斬新さもある。なお、現在は他のハードでも遊べるようになった。詳しくは余談を参照。
  • 携帯版魂斗羅シリーズにおいて初めて2人同時プレイが可能になった事。
    • 本作以前に携帯機で発売された2作の魂斗羅シリーズ『コントラ』『魂斗羅スピリッツ』では画面サイズの都合もあったのか、シリーズの醍醐味の2人同時プレイが削除されてしまい1人プレイ専用タイトルになっていたのだが、本作は通信ケーブルを使う事で2人同時プレイを行う事が出来、ようやく据え置き機と同様のプレイスタイルに戻ったと言える。
      • が、後にニンテンドーDS『魂斗羅 Dual Spirits』が発売した事で、本作の存在意義の一つが失われてしまう事に…。
  • 前述の通り、演出面では劣化しているがGB版ではカットされたスピリッツの名場面である4面も収録してある。
    • これにより、OPデモの削除がますます目立ってしまう事に…。
  • エンディングにセピア色の各面のボスと戦っている画像が追加された。但し原作の魂斗羅の軌跡の一枚絵は削除されている。
    • 本作のEDはNOVICEでもステージ4をクリアしても流れる仕組みになっており、その際は原作の着陸地点選択画面BGMが使用されており、OP曲以外の原作BGMが全曲収録されているのは十分に評価出来るだろう。
  • 全面クリア後にランク評価が付くようになった。
    • これは同発の『真魂斗羅』に合わせた仕様の一つであり、『真』の方ではステージ毎にランクが表示される仕組みになっているが、高ランクを取るまで本作にのめり込んだプレイヤーは少ないだろう。

総評

魂斗羅の売りである爽快感がほとんど無く、難易度も無駄に高く、とにかくストレスが溜まる。決して「携帯機でスピリッツが遊べる!」などと思い買ってはいけない
本作のプロデューサーである中里伸也氏はスピリッツとハードコアの制作に関わっていたのにどうしてこんなことになってしまったのか…。

本作は長らくの間プレイ自体が困難だったハードコアの代替品としての価値もあったのだが、現在はそれも消え失せてしまい、最終的に存在意義の無い作品になってしまった。

余談

  • 本作はPS2『真魂斗羅』と同時発売された。
    • そちらの評価は良好であり、大手レビューサイトmk2でも77点と高評価である。それだけに本作の出来は残念極まりない。
  • 本作の攻略本も『真』とのカップリングで発売したが、敵キャラクターの正式名称と裏設定の解説も付属しており、そのせいかゲーム本編のお粗末さと相まって「原作の設定資料集」としか言いようが無い物になってしまっている。
  • コナミ・ザ・ベストとして2005年11月3日に再販されたが、ベスト版発売からわずか5ヶ月後の2006年3月(2011年6月サービス終了)にサービス開始したi-revoゲーム経由でPCへ、約1年後の2006年12月2日にバーチャルコンソール経由でWiiへと当時の現行機でスピリッツが短期間で配信されてしまい、わざわざこの時期にベスト版を発売した意味が本当にあったのかが怪しい。
  • 本作は悪名高い「クロスノーツ」開発との噂が流れているが、トーセ開発とクレジットされている。
    • ただスタッフクレジット内は元リバーヒルソフトスタッフの名前が大半を占めている。このことからどうやら当時トーセの孫請けを多く行っていたシングが開発を担当したようである。
  • Wii Uバーチャルコンソールでも配信されているが、オリジナルの魂斗羅スピリッツも同様に配信されているので、VCでわざわざ本作をスピリッツ目当てでプレイする意義はほぼ無いに等しく、プレイ困難なハードコアのステージが(当時の)現行ハードで遊べる事くらいしか存在価値が無かった。
    • 更にその後は魂斗羅スピリッツ自体が携帯機のNewニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで配信された事から「どこでもプレイできる魂斗羅スピリッツ」というアイデンティティーの一つも消滅してしまい、本作の肩身も更に狭まる事になった。
    • そして、トドメとしてメガドライブミニと『魂斗羅 アニバーサリーコレクション』にてファン待望となるハードコアの移植が決定。これにより遂に本作の存在意義も消滅する形になった。
  • DSの『魂斗羅 Dual Spirits』に収録されているミュージアムでは『MSX版初代』、『GB版スピリッツ』に加え本作が未掲載になっており、これは前者が海外未発売、後者2つがどちらも移植作扱いという理由で除外されたものと考えられている*2

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  • 2002年
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  • 魂斗羅

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最終更新:2024年03月12日 14:51

*1 NOVICEでも普通に人面犬が襲ってくる。スピリッツでは、EASYだと人面犬は襲ってこなかった。

*2 更に『魂斗羅 Dual Spirits』自体、海外先行でリリースされており日本版を出すにあたってミュージアムの内容補完がされなかったとも言える。