雷電伝説

【らいでんでんせつ】

ジャンル シューティング
対応機種 スーパーファミコン
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売元 東映動画
開発元 カオス
発売日 1991年11月29日
定価 8,700円(税別)
判定 劣化ゲー
ポイント もはや別物
雷電シリーズリンク


概要

縦スクロールシューティング。8方向レバー+2ボタン(ショット、ボム)で操作。全8ステージ、1周エンド。

  • 業務用で人気を博し、多くのハードに移植された『雷電』ではあったが、SFC版、MD版、FM-TOWNS版は何故か『雷電伝説』と改題されての発売となってしまった(PCE版のみ『雷電』及び『SUPER雷電』)。SFC版の開発は悪評の多いカオス(旧マイクロニクス)。
  • 他の家庭用ハードでも業務用の仕様を完全再現出来たケースは極めて少ないが、それを差し引いてもこのSFC版は、音、絵、調整、再現度、独自の追加要素、全部門において他移植作品中のワーストを勝ち取った鬼子。
  • その冗談のような出来栄えの悪さは、今もまさに伝説となって雷電フリークの間で語られる。もう常識レベルの基礎知識とか定番ジョークとか、そういう扱いである。

ストーリー

AD2090、外宇宙生命体の攻撃にさらされた地球の世界連合軍は優れた技術者たちを集め、敵の撃墜された戦闘機をベースに超高空戦闘爆撃機"雷電"を開発した。
しかし、あまりにも優れた機動力、性能であったために実戦に耐えられるパイロットはたった二人のみ。二機の雷電は、地球の存亡を賭けて出撃するのだった。

問題点

業務用を改悪した箇所が多すぎる。それこそ挙げればキリが無い。

グラフィック・演出の改悪点

  • 爆発パターンは自機、ザコ敵、中型機、ボス敵を含め、1種類のみである。この時点で既に手抜き臭が漂う。ボス敵はやられた瞬間消滅して、上述の爆発パターンを少しずつズラした場所で繰り返すだけのやられ方である。
  • ミスした自機は爆発パターンと共に消滅するのみ。業務用の破片撒き散らしの演出どころか、効果音すらない。
  • ボンバーは1枚絵が画面中央でブレるだけの演出である。しかも自機がどこにいようと必ず画面中央に投下される。
  • 効果音が明らかに違う。レーザーの発射音が「ピュロロピュロロ」と非常にうるさい物になってしまっている。
  • サブウェポンのミサイルがヒットした際のエフェクトもない。
  • セイブ作品ではお馴染みの隠れキャラであるミクラスが青色でなくて何故か赤色である。グラフィックも汚く、パッと見た限りではミクラスと分かりづらい。

ゲームデザイン・ゲームバランスの改悪点

  • 勲章、フェアリー、アイテムの配置が違うのはもはや当たり前。
  • ショットが画面上端で消える。当たり判定はある模様。
    • ちなみに業務用では逆に当たり判定だけ消える
  • バルカンが最大までパワーアップしても7WAYに発射されない。5WAY止まりである。
  • 建物に隠れた敵も破壊できる。
  • ホーミングミサイルの仕様が全然違う。業務用は初期段階は最初は2連装単発なのに、本作はいきなり4連装2連射である。また真後ろの敵には誘導しない。グラフィックも緑ではない。

ボス敵の改悪点

  • 1面ボスの「デザートスパイダー」は画面上に張り付いて連射していれば出現する前に破壊できてしまう。
    • 元のアーケード版でもボス本体への張り付き連射は有効であったが、本作のように攻撃させずに倒せるほど極端ではない。
  • 3面の大型強襲艦がグラフィックからして違う。業務用は両サイドの砲門+中央の制御部という仕様だが、本作では砲門が1つしかない。しかも制御部は飾りであり、ただの背景扱いである。説明書で「一見強そうに見えるが、意外と弱い」と開き直っている。
  • 複雑な背景を再現するのに技術力が足りなかったか何なのか、6面が業務用と全く違う物になっている。飛ばして7面に行けば良かったのに、真っ黒な背景に淡々と隕石が降り続けるだけのオリジナルステージと差し替えられた。しかもボスは2面ボス「フライングフォックス」を流用。説明書では「フライングフォックスMK-II」という改良型である、とされているが、グラフィックが多少違うだけで能力は2面登場時と全く同じ。
  • 7面ボスの「アントノフ MA-27」がデザインからして違う。板状の砲台は最初から本体に完全固定され、パイプ部分にザコ敵「タランチュラ」が出現することもない。勿論ボスが弾幕を撃ってくることもない。 破壊すると何故か140万点というヤケクソ気味な高得点が入る。
    • ある程度画面がスクロールしてからでないとボスが死なないため、その間に破壊する分のダメージを与えると、以降1発ごとに倒した時の点数が入る。開幕ボム+フル装備で弱点の前に張り付いて連射するとカンストさせることも可能。
  • ボスを撃破すると自機が自動的に画面中央に移動するが、このときでも自機の当たり判定が機能しているため、場合によっては画面内に残っている敵弾に勝手に体当たりしミスになってしまう理不尽なことが起きる。

その他の改悪点

  • BGMの順序が違う。2面で業務用の5面BGM、3面で業務用の2面BGMが流れるが、もはや些細な問題である。
  • とどめに家庭用機種移植時に追加されたEDも真っ黒な背景に白文字でメッセージが書かれているだけと非常に素っ気ない。他機種は力が入っていたのに・・・

評価点

  • BGMのクオリティだけは当時の雷電移植の中でも良質な部類に入る(SUPER雷電は除く)。
    旧マイクロニクス開発時代のソフトは、BGMの質すらも死んでいると批判されている事を考えると
    この辺は過去作よりは進化している…と思えるかもしれないが サウンドに関してはコピアシステムによる外注 である。
  • 当時の御三家ハード(PCE、PCESCD、MD、SFC)の雷電移植としては唯一二人同時プレイが可能。
  • パワーアップ時の自機変形演出の再現(MD版では削除)や、比較的画面のちらつきが少ない(PCE及びSCD版はややちらつく)、など他機種より優れている部分もあるにはある。…本当些細な部分ではあるが。
  • ホーミングミサイルが最初から最強状態だったり、ボス戦もボンバー併用によるごり押しが通用しやすくなった、ミスからの復活がその場復活に変更等により全体的にAC版より難易度が低下しエンディングに辿り着きやすくなった。
    • 加えて、普及率の高かったスーパーファミコンでの発売もあり、これらの事から本作は「STG入門者が気軽に雷電の雰囲気を楽しめるゲーム」として割り切れば楽しめなくも無い。
  • 6面で差し替えられたオリジナルステージも、縦スクロールSTGにおけるボーナスステージの一種と思い切れば意外と悪くない。

総評

本作のスタッフロールを見ると、本ゲームが僅か7名のスタッフで製作されたことが分かる。人員不足、技術不足もあったかも知れないが、本ゲームのあまりの出来の悪さは「プラットフォームが変わってもマイクロニクス(と、販売元の東映動画)は糞」というイメージをユーザーに植え付けることになってしまった。雷電がスーパーファミコンで遊べる、と期待した多くのユーザーを失望させたことに間違いは無い。

余談

  • その後カオスは『SONIC WINGS』のアーケード版の開発協力を経てSFC版を手がけるがこちらは良移植で、本作の反省を生かされているあたり、カオスにとって本作の経験は無駄にはしていなかったのかもしれない。
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最終更新:2022年10月08日 10:47
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