ストライカーズ1945 PLUS Portable
【すとらいかーず せんきゅうひゃくよんじゅうご ぷらす ぽーたぶる / - いちきゅうよんご ぷらす ぽーたぶる】
ジャンル
|
縦スクロールシューティング
|
|
対応機種
|
プレイステーション・ポータブル
|
メディア
|
UMD 1枚
|
発売元
|
アークシステムワークス
|
開発元
|
クロスノーツ
|
発売日
|
2009年8月6日
|
定価
|
3,800円(税別)
|
プレイ人数
|
1人~2人
|
レーティング
|
CERO:A(全年齢対象)
|
判定
|
劣化ゲー
|
ポイント
|
クロスノーツ補正 滅茶苦茶な下手移植 各種デモ丸々カット 充実のオプション再来
|
彩京STGシリーズ
|
概要
彩京の縦スクロールシューティング『ストライカーズ』の外伝的タイトル『ストライカーズ1945 PLUS』の移植作。
『ストライカーズ』はシンプルなシステム、高速敵弾「彩京弾」を軸とするストイックなゲーム性、堅実な見た目とは裏腹にトンデモ兵器が次々飛び出すハッタリ具合が好評を博した、90年代の縦STGを代表する名シリーズ。
その中でも1999年にリリースされた『PLUS』はMVS(業務用ネオジオ)用に開発された、弾幕系に近いゲーム性を持っているシリーズ異色のタイトルである。
当初は海外市場に向けて開発された作品だったため日本では注目度が低く、ネオジオ移植版もNEOGEO.comで限定ライセンス生産された50本しか存在しないという「知る人ぞ知る名作」といった評価に留まっていた。
こうした経緯から、発売から10年を経て初めて注目される形で国内にリリースされた本作は、それなりの期待が込められたタイトルだったのだが……
残念ながら現在本作については名作STG『ストライカーズ1945 PLUS』を騙った、全く別の何かという評価が一般的である。
それもそのはず、本作を移植したのは名作であるSFC版『ヴァルケン』をPS2で超劣化させた、あの悪名高きクロスノーツなのだから。
問題点
-
あまりにも低い移植度
-
サウンドの手抜き
-
ボス戦のBGMが無い。原作では3種類のボス戦曲が用意されていたのに、ステージ曲が流れ続けるだけになっている。
本来はいずれも熱い曲調で独特の緊張感を演出していたのだが、盛り上がりもへったくれもない。
発売前に公開された販促ムービーの時点で指摘されていた(というか普通は気付かないはずがない。)が、そのまま発売されてしまった。
-
また、ステージクリア時のBGMもかなり遅れて再生される。
-
自機の一つ、ライトニングの改変
-
スーパーショット(溜め撃ち)ゲージの溜まり方が原作と比べて異様に早い。原作ではやや性能が厳しい機体だったので調整なのかもしれないが、そう考えても不自然に早い。
また、ショットの色が何故か青い(AC版では黄色。)。
-
ゲーム開始時の操作説明画面、ステージ開始時のブリーフィング画面が無くなっている。
-
操作説明は原作では全て英語表記だったのでまだ分からなくもないが(それでも日本語に訳すなりして入れろという話だが。)、演出の一環でもあるブリーフィング画面が削られているのは酷い。
-
1周クリア時のエンディング&プレイ内容評価画面が無い。2周目をクリアしても流れない。
-
列車面のボスの第一形態の爆発のグラフィックが違う。
-
原作よりも敵が硬い。1ステージにおけるプレイ時間が間延びしており、原作での攻略パターンが通用しなくなってしまっている。
-
他にも再現されてない部分が色々とあるため、原作をプレイしていた人は別物と感じてしまう。
-
難易度・残機設定が無い
-
2009年リリースのSTGでこれはあまりにお粗末。ちなみにオプション項目は「画面比率変更」と「キー変更」のみ。
-
SS・PS版の『ストライカーズ1945』シリーズでは残機を1~4で選んだり、難易度を7段階から選ぶ事ができた。
同じクロスノーツによって発売され、劣化移植として不評を買ったPS2版『ストライカーズ1945 I&II』ですら難易度、残機変更はできたのに、それよりもさらに劣化している。
-
2人同時プレイの不具合
-
片方プレイヤーがゲームオーバーになると、プレイ中のもう片方も強制的にゲームオーバーになる。
もちろん原作ではこのようなことはなく、片方がゲームオーバーになってもプレイは続くし、コンティニューで途中から参戦することもできる。
-
ロードが長い
-
ロードは画面切り替わり毎に入り、最新のPSP3000型でもかなり待たされる。原作の魅力であったテンポの良さが完全に殺されている。
-
上記のSS・PS・PS2版では、さほど長いロードではなかった。
-
家庭用ならではの追加モードも無い
-
SS・PS版の『ストライカーズ』シリーズには機体紹介のムービーが家庭用オリジナルモードとして追加されていたが、そのようなファンサービスは皆無。
-
新たな自機が追加されているようなこともなく、隠し機体「P-55 アセンダー」ももともと原作にあった機体である。
『ストライカーズ』の何たるかを分かっているスタッフが作れば、シリーズ屈指の人気機体にも拘らずPLUSではラインナップから外れていた「震電」のコンバートぐらいは容易かったと思われるのだが……
評価点
-
全然原作と違うとはいえ、外見だけは一応それっぽく移植されている。
同じくクロスノーツの手によって、超絶クソゲーとして生まれ変わってしまったPS2版『ヴァルケン』ほど酷いアレンジはされておらず、クソゲーの域は出ていない。
-
……尤も、この事実が彩京ファンにとって救いとなるかと訊かれると返答に困るのだが。
総評
まともな移植がされていない上に、快適性・ボリュームの面でも最悪。
10年以上前に古いハードで移植された作品よりも明らかに劣化しており、見劣る部分が多い。移植度の低さ・中身の薄さもさることながら、ロードの長さ・2人プレイ時のバグで余計にイラつかされる出来となってしまっている。
一応、1人プレイでは特に目立ったバグは確認されておらず、商品未満のクオリティとは言い難い。
シューティングとしての体裁は何とか保っており、原作を知らない人にとっては楽しめなくはないだろう。
しかし原作をやったことがない人、或いは彩京のSTGに触れたことが無い人に「この程度のゲームなのか」と思われてしまう可能性がある以上、クロスノーツの罪は極めて重いと断じざるを得ない。
余談
-
初回特典としてオリジナルサウンドトラックが付けられた。もともとBGMの評価が高かった作品なので、原作ファンにとってはサントラが本体でゲームはオマケである。
-
しかしサントラを付けるぐらいならゲーム内にサウンドテストを入れられただろうという指摘も少なくない。
また、このサントラにはゲームでは省かれたボス戦BGMも収録されている。それを何故ゲーム内に入れなかったのか。
-
かなり細かい点ではあるが収録されている曲のうち、「空・炭鉱ステージボス戦」BGMと「海・街ステージボス戦」BGMのタイトルが入れ替わっていたり、他のストライカーズシリーズのサントラには収録されている「ステージクリア」時のBGMが収録されていない等、残念な点もある。
-
こんな劣化移植というヴァンダリズムを繰り返した以上当然というべきか、クロスノーツは本作以降目立った活動をしていない。公式ホームページも閉鎖されており、事実上の活動休止状態となっている。
-
……ただし、原神敬幸氏を始めとするクロスノーツの主要スタッフは既に原神氏が立ち上げたゼロディブに移籍しており、更にクロスノーツ設立者も新会社エクストリームを立ち上げている。両社の活動実績を見る限りにおいては、どうやら反省などまるでしていない様子。
-
現在、彩京の版権はセロディブを子会社化したシティコネクションが保有しているのだが、シリーズ人気作『ストライカーズ1945 II』のゲームアーカイブスはガンホー・オンライン・エンターテイメントが配信元となってDL販売している。
-
ゲーム内容とは直接関係ないことだが、「フィアット G.56」は移動速度が遅いのに、公式サイトでは機動力が高いとウソが書かれている。
-
現在はアケアカNEOGEO経由でオリジナル版『ストライカーズ1945 PLUS』が配信されているため、本作の存在意義も失われることになった。
+
|
アーケード版と比べてみよう
|
アーケード版
PSP版
|
最終更新:2023年07月12日 14:05