魂斗羅 (MSX2)
【こんとら】
ジャンル
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アクションシューティング
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対応機種
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MSX2
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発売元
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コナミ
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発売日
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1989年5月26日
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定価
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5,800円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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【VC】CERO:A(全年齢対象)
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2010年2月2日/800Wiiポイント 【WiiU】2014年10月15日/823円
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判定
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劣化ゲー
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シリーズファンから不評
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ポイント
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画面切り替え方式に変更した結果ゲーム性が別物化 何故かライフ制と残機制を併用 テンポも悪化 コナミのMSX作品唯一の失敗作
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魂斗羅シリーズリンク
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概要
魂斗羅とは「熱い斗魂とゲリラ戦術の素質を先天的に併せ持つ最強の闘士」の呼称である。
そのシリーズ第一作目は、湯水のように湧き出るエイリアンをマシンガンや5WAYで虐殺しまくる爽快感溢れるアクションゲームの傑作である。
オリジナルのアーケード版、移植のファミコン版共に評価が高いこのゲームを、今度は「コナミ+MSX」という黄金タッグでMSX2に移植したのがこの作品。
コナミのMSX作品と言えば『グラディウス2』に『パロディウス タコは地球を救う』、『スペースマンボウ』に『メタルギア』と傑作が勢ぞろい。本来ならば駄作など生まれるはずは無い、と言われてきたが…。
問題点
オリジナルのゲームシステムは、「プレイヤーの任意によるスクロールアクション」である(擬似3Dステージなどもあるが)。しかしMSX2にはハードウェア横スクロール機能がないため、画面切り替え方式に変更されてしまったのである。そのせいで完全にゲーム性が変質してしまった。
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元々スクロールに弱いMSXに配慮したのか、2D面ではスクロールせずに1画面ずつ切り替わる仕様に変更。MSXなので仕方のない部分があるとは言え、非常にテンポが悪く、魂斗羅本来のゲーム性は完全に損なわれてしまっている。
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何故かライフ制+残機制(その場復活)を併用している。一発即死の緊張感が完全に台無しである。
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空中を上下に蛇行するカプセルや、壁面に配置されているセンターを撃つとアイテムが出現する仕様はオリジナルと同じだが、このアイテムが変な方向に飛ぶ。画面から見えなくなるほど真上に高く飛んだかと思えば、次の瞬間何故か少し右に離れた場所に落ちてくる。
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プレイヤーのゲーム開始直後及び、ミスからの復帰後の装備はノーマルガンである。パワーアップには銃アイテムを取る必要があるのだが、アイテムを取得すると一覧表が出現し、どの銃に換装するか選択する事になる。
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武装は銃アイテムを取り続けていると最大5種類まで増えて行くが、パワーアップの度にメニュー画面が開くため、ただでさえ悪いテンポが更に悪化している。
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おまけに魂斗羅名物のスプレッドガンも登場しない上、ステージをクリアすると前のステージで獲得した武器が没収され、勝手に初期装備であるノーマルガンに切り替わる仕様となっている。
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追加武器のリアーガン(グラディウスIIにおけるテイルガンに相当する武器)も不自然。使い勝手はともかく見た目が間抜けで魂斗羅の武器の中でもかなり浮いた物になっている。
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雑魚がワラワラ出てこない。1度に1画面に出現する敵兵士はせいぜい3人程度。ファミコンでさえもっと沢山出たのだが…。
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新たに追加した無駄に数の多いオリジナルステージが蛇足以外の何物でもない。新ボスが追加されているのかと言うとそんな事は無く、ステージ最後のセンサーを壊せばその時点でステージクリアになるという、味もそっけもない物となっている。
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「オリジナルステージ」であるマグマの面では下から炎が噴きあがってくるが、これはエネルギーゾーンの吹きあがる火炎の使いまわしであるなど、オリジナルステージの構成もどれも既存の使い回しで新鮮味に欠ける。一応下や左スクロールの面があるが、無理矢理変化を付けようとしたとしか言い様が無い。
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その癖、アーケード版の名物とも言える「爆破される橋」等のフィーチャーは削られてしまっている上に、FC版では再現されていた採掘場ステージもカット。
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そして止めにエンディングも1面BGMが流れつつ真っ黒な画面に英文が表示されるだけと非常にチープで、スタッフロールすらも存在しない。
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魂斗羅の醍醐味である2人同時プレーも不可能。以前同ハードで発売された『沙羅曼蛇』では出来たのに何故削ったのか・・・
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2人同時プレーの削除に伴い、主人公の『魂斗羅』もビルなのかランスなのか、正体が全く分からない。
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ちなみに後の携帯機作品『コントラ』『魂斗羅スピリッツ』でも同様に2人同時プレーが不可能だが、こちらでは「当時のハード容量の都合で実装を断念した」という明確な理由が付けられているが、本作ではその様な事は語られず終いである。
評価点
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前半面については、一部ステージや演出がカットされている所を除き、当時の魂斗羅の移植の中でも最もAC版に近い構成になっている。
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プレイヤーの成長要素やライフ+残機制等、初心者にとって優しい要素が多い点。
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加えて、外部メディアの『コナミの新10倍カートリッジ』を使用するとセーブ及びロードが可能になり、只でさえ楽な本作のクリアが更に簡単になる。
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AC版のラスボス後に待ち受ける展開や下スクロール等、オリジナルステージの発想自体は良い。
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テンポ自体は悪化しているが、武器の切り替えが容易で、「状況に応じて武器を切り替える」ゲーム性に変化。
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SCC音源搭載によりBGMは豪華。また効果音もそこそこ爽快感がある音が鳴る。
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加えて、楽曲のアレンジ自体もコンセプトの関係でAC版に比較的近い出来になっているのは素直に評価出来る。
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説明書自体は、ほぼ全ての敵がイラストやプロフィール付きで掲載されていたり、武器のスペックについても解説されている等、『グラディウス2』等と引けを取らないレベルで凝っている。
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掲載されているキャッチコピーも「破壊はバラより美しい」「戦争につけるクスリはない」等、やたらと力の入った物が多い。
…しかし、本作の独自要素の殆どは後発作品にて実装されてしまい、本作の存在意義はほぼ無いに等しくなっているのは事実である。
総評
アーケードやファミコンで人気を得た作品をMSXに移植した結果、全体的にチグハグな出来になってしまった1作。
こんな体たらく故か「コナミのMSX作品唯一の失敗作」とまで言われる破目に。
MSX2で同様なアレンジが加えられたゲームには『ラスタンサーガ』(タイトー)があるが、こちらは「オリジナルを知らなければ十分遊べる」レベルの劣化にとどまっていた。
しかし本作はオリジナルと比較するまでもなくゲーム性そのものが破綻しており、珍作『スーパーマリオブラザーズ スペシャル』(PC88/ハドソン)と同レベルの失敗作と断ぜざるを得まい。
余談
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しかし何故かこのMSX版がファミコン版よりも先にバーチャルコンソールで配信された。他、かつてi-Revoでも配信されていた事もあった。
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魂斗羅及びスーパー魂斗羅は海外ではコモドール64やアミガといったホビー用パソコンにも移植されているが、いずれもMSX2版の様な妙な内容にはなっていない。
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近年、本作はMSXで『ファミクルパロディック』などを制作していた「BIT2」(ビッツー)製だったのではないか?とまことしやかに噂されている。参考リンク1/2
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本作は問題点の項にある通り、スタッフロールがカットされてしまっているのだが、もしかしたら外注製故にスタッフの名前を載せられなかったのかも知れない。
最終更新:2021年09月30日 22:59